社長の独り言


2012年 12月

今月は別れのお話。

今年はまず3月に愛車ルノー・キャトルとの突然の別れがありました。直ぐにご機嫌が悪くなるフランス人女性のような車でしたが、今も私の心の中には少し寂しさが残っています。

そして10月末になって、7年近く当社で働いてくれた「T」君が退社する事になりました。

その後は新人の三浦君が当社に加わり、今は仕事の手順を教える方も、教わる方も手一杯の感じです。

さらに11月に入って、家内が通っている教会の「N」牧師さんが急に病気で亡くなってしまいました。

牧師さんは素晴らしい情熱と希望を持った方だったので、私も病院にお見舞いに伺い回復を願っていました。しかし11月に入って様態が急変したそうで、今も信じられませんが天に召されてしまいました。

もちろん別れがあれば、当社にとって三浦君の様な新たな出会いもあります。

なにか私にとって今年は古い殻を破る時期で、来年は新しい事に挑戦する時になるように思えて来ました。そんなわけで、来年も当社をよろしくお願いいたします。


さて今月のオススメワイン。

ベルトラン・アンブロワーズが造るオート・コート・ド・ニュイ地区の白10年。

09年のフランスは、素晴らしい天候で果実味は凝縮したのですが、ブルゴーニュ地方の白に関しては過熟となり酸味が乏しく、ぼそっとした味わいの物が多いのです。

しかし10年の白は、丁度良い気候と開花時期の天候で収量低下が起こったため、ふくよかでバランスの良いワインが多いのです。このワインはまさに10年産の良さを体感できるお手本のような味わいでした。

ダニエル・リオンが本拠地プレモー村の葡萄で造った赤は、蔵元で飲み頃まで熟成させてから出荷した04年産。

8年を経たワインは大きめのグラスに注いでいただくと、マシュルームと腐葉土の熟成香で幸せな気持ちに浸れます。味わいは04年特有の豊かなタンニンがこなれ始め、熟成したピノ・ノワール種の入門としては最適の一本だと思います。

ツィント・フンブレヒトがゲベルシュヴィール村のリースリング種で造る10年産の白。

アルザス地区でトップ評価を受ける造り手は、安価な村名付きリースリング種でも驚きの出来です。

この品種特有の鉱物っぽさは少なく、蜂蜜、桃、白ゴマを思わせる香り。果実味の凝縮が凄いのに、それ以上にミネラルと酸が豊かな為に引き締まった辛口に感じられます。アルザス好きは、強烈なこの味わいをぜひお試しください。

ダンデゾンがシラー種の古木葡萄から造る赤11年。真黒な色調、たっぷりとした果実味とスパイス感はまるで南仏の太陽を味わっているようです。安価でフルボディ・タイプがお好きな方にお勧めします。

ペットボトルに入ったグリーナー・プラネットの赤、白。南仏の有機栽培葡萄を使って、ふくよかでとてもバランスの良い味わいを持っています。

それと、このハーフサイズの瓶を取っておくと、別の飲み残したワインを移し替える際に大変重宝しますので、一度お試しあれ。


イタリアからはトッレヴェントの赤、白。葡萄品種は赤がプリミティーヴォ種、白はピノ・ビアンコ種とソーヴィニヨン・ブラン種。

赤は少し干した果実等の練れたニュアンスが感じられる、ふくよかでバランスの良いタイプ。

白は1年若いせいか香り高く、ライチやドライフラワーを感じさせます。香り付けにゲヴェルツトラミネール種を少しブレンドしているのでは?と思うほどです。

オーストラリアからはワラビークリークのシャルドネ種からの白。世界中にシャルドネ種からの白はございますが、まずはこの価格にご注目ください。

フレッシュ&フルーティでバランスの良い味わいの白がこの価格、しかも少し練れたニュアンスの感じられる09年産です。09年の次は11年産になって価格も上がってしまうので、ご興味のある方はお早めにお買い求めください。

最後は食品からです。サブロネットが造るグレープジュース。ここはアンジュ村でビオディナミ(有機栽培)を実践するワイン生産者なので、本来は赤ワイン、アンジュ・ルージュ用のカベルネ・フラン種を絞って発酵させずに少量だけ瓶詰めしました。

この品種のワインはさわやかな青さが特徴ですが、果汁の段階ではひたすら濃く甘いだけで、ミント香も、ビオディナミに多い還元香もありませんでした。

藤井 敏彦

2012年 11月

私は書店で三遊亭(さんゆうてい)圓生(えんしょう)の落語のCDを見つけると、つい買ってしまいます。

家内がそんな私のために、林家たい平独演会のチケットプレゼントに応募してくれました。その懸賞の結果ははずれたのですが、残念賞として半額で鑑賞できる割引券が郵送されたので、息子と二人で観に行って来ました。

夕方6時に入り口で券を買い、開演の7時までに食事を済ませます。今夜は落語ですから洋食はいけません。

私はテレビ塔の地下にある手打ちのソバ屋さんに入り、息子は冷やし狸そば、私は日本酒ともりそばを注文。

そばが来る前にちびちびと増毛の国稀を味わっていると、私の頭の中ではお囃子(はやし)がチントンシャンと鳴り始めています。

実は今日の独演会に少々不安がありました。私が聞いていたのは「昭和の落語界を代表する名人の一人」なだけに、伸び盛りとはいえ若手の噺家さんの落語は楽しめるのだろうかという気持ちです。

開演後、まず前座に出た女性のお弟子さんの噺で、そんな心配は直ぐに吹き飛びました。

そして林家たい平さんが登場、幽霊になりすまして友人を驚かす噺と、古道具屋さんの人情噺の二つを充分堪能させていただきました。

この日、実はさらにもう一点の心配事がありました。小学5年の息子が落語を楽しめるかどうかです。

二人でそばを食べながら、「落語はすごく古くから続く芸で、話し言葉も今とは違うので解らない言葉が出てくるかもしれない。でも解らない言葉は無視してもいいから、がんばって聞いていくと最後はちゃんと解ると思うよ。」と伝えました。

開演中の私は、時々横目で息子の様子をうかがっていました。息子は前座の時は、きょろきょろして余り楽しんではいませんでしたが、たい平さんが話し始めると前のめりになって食い入るように聞き入っています。

今回は半額割引券という策略にまんまと踊らされた形ですが、林家たい平さんのお陰で楽しい休日を息子と過ごすことが出来ました。

そして今度はたい平さんに、私が大好きな人情噺「文七元結(ぶんしちもっとい)」を演じてもらいたいと思いました。

さて今月のオススメワイン。

今月は熟成したワインで良いものが多く見つかりました。

まずは、ジュヴレ村の名門カミュ家の特級畑マゾワイエールで98年。現代的な濃縮果実味のタイプではありませんが、ミディアムで奥行と複雑さが楽しめてこの価格はちょっとあり得ません。

ボーヌ村で古酒の在庫を多く持つコヴァール家。ここが得意とするボーヌ村の1級サン・ヴィーニュ畑で、最高のブドウが収穫された02年産が入荷しました。10年を経てもこの村特有のふくよかな果実味がたっぷり残り、さらなる熟成にも十分のポテンシャルを感じさせます。

変わってボルドー地方からは07年ですが、ポイヤック村のシュヴァリエ・ド・ドプラ。

このワインはポイヤック村で数ヘクタールの広さしかないシャトー・ベルグラーヴのセカンド的ワイン。名前にシャトー名は付きませんが、この村らしい力強さを持った味わいと5年を経た熟成感の両方が楽しめます。

一般に4,000〜5,000円はするポイヤック村のワインがこの価格なのはここのシャトーの知名度が低いため。名前よりは中身を重視する方にお勧めします。

メドック地区の頂点にいるシャトー・ポタンサック93年。雨が多かったこの年ですから、19年も経つと枯れ果てた味わいだろうと先入観をもって試飲しました。

すると色調、味わい共に驚くほど強さがあり、改めてオーナー、ドゥロン家の努力を見せつけられた気がします。

カスティヨン地区の名門シャトー・サント・コロンブの03年。有名なミッシャル・ロラン氏がコンサルタントした人気シャトーで、暑かった03年産が特別価格で入荷しました。

完熟したメルロ種からのふくよかな果実味が9年を経て木樽の風味と調和し、豊かな熟成香がグラスから立ち上るでしょう。ボルドーの03年産は絶対買いです!


そしてボルドー規格のシャトー・カンサック99年。1500円以下のボルドーといえばメルロ種主体がほとんどですが、こちらはアントル・ドゥ・メール地区では珍しくカベルネ・ソーヴィニヨン種主体。

そのせいか13年を経てもタンニンが味わいを支えており、果実味の枯れた部分を熟成旨みがうまく調和しています。特に古酒好きの方には箱買いしたくなる価格でしょう。

イタリアからはバロンチーニのキャンティ・リセルヴァ08年。この価格で樽熟成24カ月は造り手の意地でしょう。ディリーワインでも少し練れた味わいがお好みの方には最適の赤ではないでしょうか。

白はカヴァリエリ社のコッリ・ラヌヴィーニ スペリオーレ09年。ワイン単体で飲まれるとマルヴァジア種からの苦みが目立ちますが、オリーブオイルを使った料理と共に味わうと苦みが消えて旨みが出てきます。ぜひ一度、この味わいの変化を体験してみてください。

チリからはケブラダ・デ・マクール社のアルバ・デ・ドムス09年。低価格のイメージが強いチリのカベルネ・ソーヴィニヨン種ですが、こういった上級品になると持ち前の濃さに加え、複雑さと上品さを感じさせてくれます。特に高騰が続くボルドー地方の赤の代替え品として、じわじわと人気が出てきました。

最後は食品です。去年大人気だったフランスのマセズ社のトリュフ・チョコの500g缶が再入荷しました。このトリュフ一粒で、食後のひと時がとても豊かな時間に感じられることでしょう。

「ボンジュール!サバ缶」と名付けられた、フランス産サバの缶詰各種。日本でもお馴染みのサバ缶が、おフランス産になると何故こうもオシャレになるのでしょうか?

真っ白なお皿にこの缶詰とフランスパンのスライスを並べただけで絵になりそう。ちなみにフランス語で「サヴァ」は「よ!元気?」といった意味のくだけた挨拶で、日本の鯖(サバ)をフランス語ではmaquereau(マクロ)と言うそうです。

藤井 敏彦

2012年 10月

今月はご近所のお話。当店は南3条西3丁目の東向きにあります。

毎年春に近所の資生館小学校の児童さんが花壇を作って、店舗前の歩道に設置してくれます。今年はその花壇の隅に家内がひまわりの種を植えました。

毎朝、私が店先の清掃と共に花壇に水をあげていると、ひまわりはすくすくと成長して高さは1メートルほどに。

ただこのあたりは繁華街でもあるので、朝来てみると花壇にタバコの箱やビールの缶が捨てられていたりもします。

ある朝、せっかくのひまわりの茎が折られてしまい、私は折れた所をギブス代わりに厚紙を巻き付けました。

しかし数日後、夜の大雨で厚紙が外れてしまい、再びひまわりは同じ所から折れて萎れていました。

根からの水や栄養分の通り道が折れてしまうと、その先には栄養分が行かず萎れてしまうのかと思って、2日ほどそのままにしていた所、折れて地面を向いていた先の部分が首をもたげたように再び上に向かって伸び始めました。

私は見捨ててしまってごめんなさいと何度もひまわりに謝り、また厚紙のギブスを巻いてあげました。

するとその翌朝には、ひまわりの横に添え木が立てられ紐で固定されていたのです。

お隣の中山ミシンさんのお母さんが、ひまわりの様子を見て、添え木をしてくれたそうです。

この日の朝の清掃はお隣さんの前も念入りに行いました。地下街からこちらに引越して4年。ここに根を張って今後も長く営業していこうと心に誓いました。



さて今月のオススメワイン。

ブルゴーニュからは2種。エルヴェ・ケルランが造るブルゴーニュ規格の赤で、樽熟成させた上級品のキュヴェ・アッシュ09年。この年らしいふくよかな果実味と木樽の複雑さがうまく調和した、現代的ピノ・ノワール種の良さがこの価格で楽しめるのは絶対お得です。

ジャン・ジャック・コンフュロンが造るコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ規格のヴィニョット畑で08年。

実はこの畑ニュイ・サン・ジョルジュ村の1級クロ・ド・ラ・マレシャル畑に接する斜面下の良好な区画で、ニュイ・サン・ジョルジュの村名を名乗れる畑。

規格を村名から格下げしたお値打ちな値付けになっていますが、中身はバリバリの村名付きワインです。現代風な果実味主体ではなく、味わいの中心に酸味とタンニンがしっかりある伝統的スタイルですので、煮込み料理が恋しくなるようなピノ・ノワールです。

人気の生産者フレデリック・マニャンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ09年。凝縮した果実味とタンニンを、木樽の風味が包み込めたスケール感のある味わい。人気の理由が分かるマニャンのワイン各種が本数限定で特別価格になりました。

ボルドーからは今注目されるカスティヨン地区のシャトー・ブリッソン09年。メルロ種85%を12カ月樽熟成させた味わいは現代的で、売れっ子コンサルタントのミッシェル・ロラン氏を思わせるスタイル。この価格でふくよかな果実味があり、だれもが納得するようなボルドーワインです。

ディリーワインに最適なお値段のレ・クルーズの赤、白。白は南西部、赤は南仏と産地は異なりますが、ミディアムな果実味と酸、タンニンが調和したバランスの良い味わいは、毎日の食卓にピッタリです。

さて、今月のイタリアは低価格で良い物が多かったです。まずはロンコ社のフリザンテ(微発泡)で白とロゼ。白はトレビアーノ種、ロゼはサンジョベーゼ種から造られ、味わいは共に爽やかな辛口タイプ。口に含むと穏やかな泡が心地よく舌を刺激して、今年の暑さを一時でも忘れさせてくれるでしょう。

さらにお安いのがアブルッツォ州ブォン・ファットーレ社の赤と白。赤はモンテプルチアーノ種、白はトレビアーノ種でこの価格ですから、DOC規格の格下げ品ではないかと思います。特に白は1000円以上するDOC規格のトレビアーノ・ダブルッツォとしか思えない出来でした。箱で買うべきワインだと思います。

藤井 敏彦

2012年 9月

今月は数年ぶりに行った東京のお話。

私が滞在した4日間の内2日は仕事がらみでしたので、1日は家族でスカイツリー見物に行って来ました。

地下鉄を降りて長いエスカレーターで地上に出ると、正直言ってあまり広くない場所にツリーがドーンと立っていました。

ライバルの東京タワーが公園の横に立つ優雅な鉄のアートだとすると、こちらは川と公団住宅との間の限られた場所に、無理やり建てた馬鹿でかい電信柱といった感じ。

平日の早い時間だったせいか、予約なしでも40分ほど並んでエレベーターに乗れました。地上350メートルの第一展望台へは一人2000円。450メートルの第二展望台へは更に1000円ですから、計3000円。

家族だと1万円が消えてしまいます。実家が東京の家内は展望台から知っている建物が見えると喜んでいましたが、私は東京は広いんだということが判ったぐらい。お帰りのエレベーター出口の前にはお土産物売り場がお出迎えです。

個人的には高さ20センチ程のプラスチック製スカイツリー形のデジタル時計が気になりましたが、購入したのはお土産用に1/1000サイズ(63.4センチ)のスカイツリー形ボックスに入った細長いバームクーヘン。

実は息子の希望はスカイツリー横に出来た水族館の方でしたが、せっかくここまで来たからと大枚を払って展望台に登り、昼食を食べてから水族館に行きました。

入場料は高さ350メートルと同じ2000円。でもこちらは魚の見せ方が旭川の旭山動物園のように楽しく、展望台よりは2倍の価値があると思いました。

では、展望台へ行かず水族館だけに行けば良いかと聞かれると、やっぱり一度は3000円を払って登らないことには文句が言えません。ですから一寸贅沢ですが両方の5000円コースを体験してから「展望台は大したこと無いね!」と言うのが大人でしょう。


さて今月のオススメワイン。

まだ、2ヶ月先ですが、今年もボージョレ・ヌーヴォーのご案内が始まりました。今年の天候は夏前に雨が多かったそうで、8月以降の好天を皆が望んでいる状態です。

さて近年のヌーヴォーの傾向は、「この時期に1回しか飲まないので折角だから良い物を」、「いろんなヌーヴォーをグラスで飲み比べてみたい」という声が多いようです。

当社のヌーヴォーはボージョレを主体に、カシス・リキュールのヌーヴォーまで各種ございます。人気の生産者は予約で品切れますので、お早めのご予約をお待ちしております。

入荷したオススメワインはオリヴィエ・ルフレーヴが造るサントネ村で09年。自社畑ではなくても良い生産者から葡萄等を購入しているのでしょう、この価格とは思えないふくよかな果実味が楽しめます。村名が付いた上級品(定価2625円)が本数限定の特別価格で入荷しました。

一方シャルル・フランソワがオート・コート・ド・ボーヌ地区で造る09年は、濃さは中程度ですがピノ・ノワール種のエレガントさが感じられます。濃さのオリヴィエ、上品さのシャルルといった感じでお選びください。

白ではブルゴーニュ地方の大御所フェヴレ社サン・ヴェラン村の白09年。09年の白は酸味が穏やかでもったりしたワインが多いですが、このサン・ヴェランは上品なナッツ香とオレンジの風味を辛さとミネラル感が引き締め、全体がバランス良くまとまっています。白ワイン好きな方はぜひお試しください。

イタリアからは、特別価格で再入荷したアブルッツオ州の名門マシャレリ家がトレビアーノ種で造る白10年。これよりも安価なトレビアーノ種はいくらでもありますが、たっぷりとした果実味とミネラル感を持った味わいは、さすが伊ガンベロロッソ誌で3★評価される生産者です。同じマシャレリが09年産モンテプルチアーノ種で造る芳醇な赤もご一緒にお試しください。

北海道からは山崎ワイナリーで、今回の発売分は樽やタンクで熟成させた10年産。北国のワインはどうしても酸味が豊か。例えば2本を購入してまず1本を味わい、残りの1本を1〜2年熟成させて酸味や味わいの変化を楽しんでみてはいかがでしょうか。

最後はポルトガルの甘口ポートワインでも、ニーポート社が造る逸品。ルビーポートは熟成が短く入門編と言った感じですが、やはり生産者によって味わいは大きく異なります。このふくよかで凝縮した果実味は、畑での栽培から、収穫、醸造と全ての面で手間をかけた事が想像できます。

藤井 敏彦

2012年 8月

今月は家族揃っての休日の過ごし方。

この日我が家のメニューはジンギスカンに決定していたので、お肉は二条市場横の片岡精肉店で生ラムを購入し、その後スーパーへ野菜を買いに出かけました。

ジンギスカンと言えば普通はモヤシですが、鍋の縁で焦がしてしまい結局食べられない事が多いと思いませんか。その歩留まりの悪さから、わが家ではキャベツを大きめに手でちぎって、モヤシの代わりに大量に入れています。

あとはキノコ、タマネギ、軽く茹でたジャガイモとニンジンあたりでしょうか。これらの野菜を買い物カゴに入れて、後は明日のお弁当用のおかずは何にしようかと家内が売り場を回っている時、私は酒売り場を物色。

会計後に買い物カゴの中に見えたのはうなぎの蒲焼き。新聞等で今年のうなぎはとても高いと書いてあったので、気張って買ったんだなぁと勝手に思っていました。

久しぶりのジンギスカンで沢山食べた翌朝、食卓にはお弁当の残りと思われる小さくて貧相なうなぎが二切れ並んでいました。私が今年のうなぎは高いだけではなく、こんなに貧相なのか?と聞くと、家内は大爆笑。

実は家内が昨日買ったのはうなぎではなく、「うなぎ屋さんが作った特製サンマ!」だったのです。息子はレンジで温め湯気の出たサンマを頬張りながら、これは絶対うなぎの味だ!と力説していました。

今年はうなぎの稚魚があまりに高騰し、うなぎに絡む様々な業種の苦労をたった一行で表現した、「うなぎ屋さんが作った特製サンマ!」を考えたコピーライターをまずは誉めてあげたい。

そして実際に息子を騙すほどの味わいにした加工所も頑張って作り、それを私たち庶民が購入することで経済が活性化する。

このようにうなぎが高騰していると庶民は我慢をして買わない。その硬く閉じた財布を何とか開かせようと、うなぎ屋さんやスーパーの総菜売り場の方々が知恵を絞る。

これこそが自由経済の美点だと思いました。


さて今月のオススメワイン。

今月は特にブルゴーニュ地方で良質な物が数多く入荷しました。まずは白から、アントワーヌ・ジョバールのブルゴーニュ・ブラン08年とフィリップ・コランのモンタニー村スー・レ・フィユ08年。

ブルゴーニュ好きはもう気づいていると思いますが、誰もが認める09年産は実は赤の年で、白にとっては暑すぎた様で酸味が乏しいワインが多く生まれました。そこで私がお薦めするのは08年産です。

ムルソー村に暮らすジョバール氏が造るブルゴーニュ規格の白は、ふくよかな果実味とヴァニラが合わさったまさしくムルソー村の味わい。

一方フィリップ・コランのモンタニー村の白は、カスタードクリームを思わせる上質な樽香と南らしい凝縮した果実味がたっぷり。グラマラスなフィリップ氏と、少し引き締まったアントワーヌ氏、共に甲乙付けがたい出来です。

またブルゴーニュの赤では、ヴォルネ村でビオ・ディナミ(有機栽培)を実践するミッシェル・ラファルジュのブルゴーニュ規格08年と、ニュダンが本拠地ラドワ村の葡萄で造る赤08年産の2種。

ラファルジュは干した果実の風味にタンニンと熟成旨味が合わさった伝統的ピノ・ノワールの味筋。 ニュダンはボーヌ地区らしい柔らかな果実味とラドワ村の土壌を思わせるミネラル感が上手く調和しています。

ボルドーからは、シャトー・ラグランジュが造る白10年と、赤はペサック・レオニャン村のシャトー・ル・ティル・コント・クラリ08年の2種。

ブルゴーニュの白が高騰している中で、狙い目はグラーブ地区ではなくメドック地区の有名シャトーが造る白。そして赤は、逆にメドック地区ではなくグラーブ地区の赤に掘り出し物が見つかります。今回の2本はまさにそのパターン。

豊かな果実味と良質な樽の風味で評価の高いラグランジュの白で10年産。

 赤も豊かな果実味と樽の風味、更にグラーブ地区特有のタバコや土のニュアンスがハッキリ楽しめます。ボルドー地区でパーカー氏90〜92点評価を受けて、この価格はメドック地区では絶対にあり得ないと思います。

南仏からは、シャトーヌフ・デュ・パプの生産者ユッセグリオのコート・デュ・ローヌで作柄の良かった09年産と、ギガル社のコート・デュ・ローヌ赤は少し熟成した07年産。

09年、07年と共に天候に恵まれ年で、完熟した果実味とスパイシーな強さが楽しめます。

イタリアからは北部ピエモンテ州、マルグラ社のバルベラ種で熟成した05年産。7年を経てこなれてきた果実味と複雑な熟成香がこの低価格で楽しめます。

最後はトリフェット・ド・フランス社のミルキーなトリュフチョコ。滑らかな口溶けのトリュフが1キロも入ってこの価格!おやすみ前にこのチョコを一粒いただくと私は幸せな気分にひたれます。

藤井 敏彦

2012年 7月

今月は温泉のお話。

6月の日曜日、予定では息子の野球チームの当番で私はグランド整備等の手伝いでしたが、雨で練習が中止となり急きょ家族で温泉に行くことになりました。場所は妻が気になっていた石狩当別「ふくろう乃湯」。

以前は、月2回ある日曜の休みは家族3人で買い物や公園などに出かけていましたが、息子が野球を始めると土、日は朝から夕方まで練習があり、家族揃って外出する事が無くなりました。この急な子離れに親の方が少し寂しく感じていたので、この日の天候は親にとっては恵みの雨。

北一条通り(275号線)を真っ直ぐ北東に30分強走り、左側にある小さな踏切を渡って国道の北側に平行する細い道を進み、小さな温泉の看板を左折すると建物が見えてきます。国道からはたった数分ですが、建物の横が沼で裏手が小さな山になっており、視界には自然しか見えない為、かなり山奥に入った印象。

一般家庭の玄関のような入り口で入浴料(600円)を払い中にはいると、脱衣所は六畳間ぐらいでしょうか。まるで誰かの家へお邪魔した感じですが、露天風呂に出ると目の前の斜面に小さな滝があり、あたりは森林の匂いが満喫できます。

ウーロン茶色の温泉は少しぬるめで、風情のある滝を見ながらゆっくり浸かって居ると、まるで人里離れた秘湯に来た気分。

大きなスーパー銭湯とは真逆のタイプ、例えて言うなら国立公園内で露天風呂に入った様な気分です。入浴後は沼に面した休憩室でゆっくりしました。ここのテーブルに置かれた電気ポットの横には当社の事務所と同じネスカフェの徳用瓶が置かれ「ご自由にお飲み下さい」とメモが付いています。

帰りに玄関横に並んでいた、朝もぎ笹タケノコ(約30本で600円)を購入。夕食で茹でと、焼きを、お薦めされた味噌マヨネーズで美味しく頂きましたが、私はマスタードと合わせるのも良かったです。

温泉の近所には、有名なパン屋さん「ノルトエッセン」もあるので、温泉好きには最適のドライブコースだと思いました。



さて今月のオススメワイン。

今月は2010年、11年など若いヴィンテージで美味しい物が入荷して来ました。

ボルドーのオー・メドック地区からはシャトー・カンボン・ラプルーズ09年。ボルドーでは最高の年と絶賛され、待ちに待ったこの年。完熟した果実を思わせるカシス風味に、上質な樽からのココア風味がゴージャスに絡み合います。

当然長熟な年ですから、セラーで熟成させ10年後に味わうのが理想ですが、まずは完熟した09年の美味しさを今、味わってみてください。

同じボルドーでカスティヨン地区からはシャトー・デギュイユのセカンドワイン、セニュール・デギュイユ08年。メルロ種のふくよかな味わいで知られるファーストラベルの08年は、特に出来が良くパーカー氏も90〜92点評価でした。当然同じ畑からのセカンドも80点台中盤は期待が出来、この価格は見逃せません。

ブルゴーニュからはルイ・ジャド社が造る新規格コトー・ブルギニヨンの赤、白。

この規格は高貴なピノ・ノワール種とシャルドネ種だけではなく、ガメイ種やアリゴテ種、他品種も使えることで、この価格でもふくよかさとバランスの良さが楽しめます。特に白のブレンドの巧さはさすがルイ・ジャドと感心しました。


イタリアは最北の地ヴァッレ・ダオスタ州からカーヴ・デ・オンズ・コミュヌが造るピノグリ種からの白10年。

涼しいピエモンテよりさらに北で造られた白がふくよかで芳醇なのですから、恵まれた区画の中でも厳選した葡萄を使っているのでしょう。ここのピノ・ノワール種で造る同価格の赤と共に味わっていただきたいワインです。

同じイタリアでも南端のプーリア州からは、タウロッソ社のチェント・バリックで天候の良かった05年。とにかく濃くて強い味わいに、樽風味がガツンと効いています。屋外のバーベキューでも負けないワインです。

チリからはウィリアム・フェーヴルがシャルドネ種で造るエスピノ10年。

仏シャブリ村出身の生産者は、チリでも石灰質土壌と、独自の醸造法にこだわり、濃さではなく品の良さと複雑さが感じられる、いい意味でチリらしくないワインを造っています。このワインをいただくと、味わいは産地よりも造り手の思いが色濃く出る事が納得出来るでしょう。

最後は地元北海道から中央葡萄酒千歳ワイナリーが、余市・木村農園産のケルナー種で造った辛口でハーフサイズ。 今まで北海道産で特色あるワインは、750mlが主体でしたが、ハーフサイズがあれば選択の幅は広がります。赤ワインの前に、地元の良質な白を試してみませんか。

藤井 敏彦

2012年 6月

今月は小学校5年生になった息子の話。

息子は日本ハム、稲葉選手の大ファン。その稲葉選手を夢見て、4月末から近所の少年野球チームに入りました。このチームは選手数が少ない為に、背番号は入団順に決まるシステム。

1日体験後に入団希望を伝えると、14人目の部員だったらしく翌週には背番号14番のユニフォームが貸し与えられました。因みに稲葉選手の背番号は41。その逆の14番になったと、息子は大喜びでユニフォーム姿の自分を鏡で何度も見ていました。

強豪他チームでは部員数が多く、6年生になっても背番号をもらえないお子さんがいるそうですが、このチームはこぢんまりとした家族的なムードで、おっとりタイプの息子も気に入ったようです。

さてユニフォームは借りましたが、今まで使っていたグローブもバットも軟式野球協会の規格品ではないそうで、スパイクシューズと共に買い揃えなければなりません。規格品で選ぶと、用具はそれぞれが1万円以上になります。しかし愛する子供が心身共に成長できるのなら、親は赤提灯に寄るのを我慢します。

通常は近所のグランドで練習なので徒歩で参加できますが、試合となると親が交代で車を用意して球場まで子供達と用具を運びます。家内は私への牽制なのか「私は(マニュアル・ギアですぐ故障する)前の車は運転できなかったけど、国産・オートマになって私でも送迎が出来てホントによかった」と何度もつぶやいています。

野球の練習は毎(土)(日)の朝から夕方まで。私は日曜勤務も多くて練習の見学も出来ませんでしたが、先日初めて車の当番と共に参加しました。7:30集合、9:00より試合、10:30まで奮闘しましたが、コールド負けで試合終了。その後は30分の昼食を除いて3時過ぎまで練習。

息子は試合経験もなく、入団したてですから当然補欠。しかしこの日はメンバーが12名しかいなかったので、息子は打者のバットを下げたり、ファールボールをタオルで拭いて審判に渡したり、1,3塁コーチとして立ったりと、補欠でもベンチで座っている暇はありません。

家で息子に何か用事を頼んでも面倒がってなかなかしてくれなかったのに、グランドでテキパキと雑用をこなす息子の姿は親にとって驚きでした。運動音痴の私と家内の子供ですから行く末が稲葉選手とは思いませんが、家庭では教えられなかった何かを息子は野球を通して学んでいるようです。


そして今月のオススメワイン。

今月は熟成した飲み頃ワインが多く見つかりました。ボルドー・カスティヨン地区からはシャトー サント・コロンブ04年。コンサルタントはミッシェル・ロラン氏ですから、肉付き豊かなメルロ種の特徴と樽からのヴァニラ香が8年を経て上手く調和しています。どなたにも安心してお勧めできる、低価格の飲み頃ボルドーです。

次は同じボルドーでも甘口の貴腐ワイン、ソーテルヌ村のシャトー・サンミッシェル07年250ml。私自身、食後に甘いワインを少し飲みたいなと思っても、750mlは最低でも5〜6人いないと開けられません。ところがこの貴腐ワインは250mlという珍しい小瓶。少人数でもこのワインとチーズがあれば、食後の一時がさらに幸せな気持ちになるでしょう。

ブルゴーニュ地方からはラ・トゥールのブルゴーニュ赤99年。ピノノワール種にとって作柄の良かった99年産がこの価格です!しかも、あえて樽を減らして多くをタンクで熟成させた為に、酸化や枯れたニュアンスが無く練れた果実味が豊かに広がります。古酒の入門には最適の1本です。

古酒といえばスペイン、ティエラ・セレナのテンプラニーリョ・リゼルヴァ03年。大樽と小樽の両方を使って熟成させた味わいは、ココアやヴァニラの風味とふくよかな果実味が調和しています。この価格で飲み頃ワインが見つかるのは世界中でスペインしかないでしょう。

最後は地元北海道・三笠市の山崎ワイナリーの新ヴィンテージ。ケルナー種の白とバッカス種の白、ツバイゲルトレーベ種の赤は共に11年産ですから、フレッシュではつらつとした味わい。
一方ピノ・ノワール種09年と、メルロ種10年は8〜9ヶ月間樽熟成させており、果実味と木樽の風味が楽しめます。タンク熟成の11年産も、樽熟品もメリハリのある味わいで、今飲まれると爽やか風味で美味しく頂けます。あと1〜2年冷暗所で熟成させると、酸味が丸くなりこなれた味わいになってきます。

藤井 敏彦

2012年 5月

 

 学校の成績が芳しくなかった私は、終業式の日に渡される通信簿を開けるのに一瞬ためらいます。意を決して中を見ると当然「5」は無く、多くの「3」の中で「2」もしっかり自己主張。「世の中から通信簿がなくなればいいのに」と貰うたびに思ったものです。

私にとってイヤな思い出しかない通信簿ですが、飲食業界では皆の通信簿が12年4月20日、人前にさらされるというので、昨年からちょっとした騒ぎでした。そう、噂のミシュランガイド北海道版の発売です。

フランスのタイヤメーカーであるミシュラン社の創業者が、1900年に車の旅行者の為、ガソリンスタンドや修理工場、ホテル、レストランを掲載した小さなガイドブックを刊行したのが始まり。

その後、美味しい店を探すために覆面調査員を組織してフランス各地を調査し、1926年から美味しい料理を星の数で表す評価法が生まれたそうです。

さてこのミシュラン北海道版を読んでみると、高級店を厳しく批評するのかと思いきや、家庭的な店も豪華な店も、各店のお薦めメニューやチャームポイントを専門用語なしに読みやすく記載してあり、どのページを見てもお店に行って食事をしたくなります。

フランスで112年前から続く歴史あるレストランガイドですから、この本に掲載されるか否か、あるいは3★評価か否かで、本国フランスではシェフが解雇されたり、最悪は自殺に至る事もあると聞きます。

その覆面調査員(今回はフランス人と日本人で構成されているとか)が北海道に来て、フランス料理だけではなく和食、イタリアン、中華、すし、ラーメン、そば、ジンギスカンとあらゆるジャンルの料理を食べて、約700軒のレストランとホテルを選びました。

知っている店が載っていると嬉しいものですが、逆に自分が好きでも載っていない店もありました。そこは覆面調査員が見つけられなかった、自分の隠れ家と思いましょう。そしてたまには、この本で見つけた新しいお店に食事に行ってみてはいかがでしょうか。

因みに、残業前に近所で済ます今日の私の夕食は、南5西2第7グリーンビル1階にある立ち食いそばの「山忠」。娘さんとお父さんが打った太めの麺は安くて盛りが良く、覆面調査員が見つけられなかった私の隠れ家です。


そして今月のオススメワイン。

今月は千円台のワインで良質な物が多く見つかりました。

仏ボルドーからはシャトー・デュ・ボワ・シャンタン09年、規格はボルドー・シュペリュールです。通常ボルドーでこの価格ですと、正直言って多くは望めません。しかしこのワイン、しっかりとした果実味とタンニンを持ち、アフターには木樽の風味まで楽しめます。ちょっと驚きの出来でした。

ブルゴーニュ産は千円台ではありませんが、ボーヌ村のエマニュエル・ジブロが造るブルゴーニュ規格の赤06年。40年以上有機栽培を続けた葡萄は6年を経て旨味が広がり、果実味が濃くなくても豊かな味わいが楽しめます。ノンフィルター瓶詰めでワインには細かなオリが舞っていますが、これこそが旨味の証なのでしょう。

南仏はお値打ちワインの宝庫だけに見逃せません。白はフォンカリュ農協のシャルドネ10年。3割を樽で発酵、熟成させた味わいは豊かな果実味と調和した木樽風味を持ち、シャルドネ種のお手本のような仕上がりです。

一方マレノン農協の上級品、コート・デュ・リュベロン地区のグラン・マレノン06年は、地元のグルナッシュ種やヴェルメンティーノ種からの白。シャルドネ種とは違って果実味ではなくミネラル感と木樽の風味が6年を経て調和しています。川魚や山菜等に合わせてみたくなる様な少し個性的な味わいです。

赤ではコルビエール地区のエトワール・デュ・マタンが造るジー・ヴァン10年。有機栽培のグルナッシュ種、カリニャン種、他からのワインはミディアム・ボディですがインパクトがあり、アフターには旨味が広がる不思議な味わいです。

もう一つの赤はコトー・デュ・ラングドック地区のシャト・サンピエール・ガリグー07年。ボルドー、ブルゴーニュとは違って南仏の07年は素晴らしい作柄でした。スパイス感たっぷりの地元品種同士が5年を経て混じり始め、熟成香はまるでゴマ油を思わせます。アルコール辛さも落ち着き始めた飲み頃ワインです。

イタリアからも今月は安旨ワインが数多く入荷しました。マルケ州のヴェレノージ社が造るロッソピチェーノ10年。サンジョベーゼ種とモンテプルチアーノ種からの赤は果実味がたっぷりのフルーティタイプ。赤が苦手な方にもオススメできるワインでしょう。

また、ここの上級品ロッジョ・デル・フィラーレ07年は奥行きとスケール感を持つ味わいで、この価格はかなりのお値打ち。伊ガンベロロッソ誌でも3★評価を受けています。

白ではヴェゼーヴォ社がファランギーナ種で造るコクのある辛口。華やかな香りと凝縮した果実味は、オリーブオイルとの相性も最適でしょう。

スペインからはバレンシア地区のフィンカ・エンゲラ社が地元のヴェルディル種、他で仕込んだ白10年。良質なオレンジで知られる産地ですが、この葡萄からのワインにも不思議とオレンジを思わせる風味が感じられます。豊かな味わいを持ち、有機栽培でこの価格ですから、一度買われた方はリピーターになる方が多いです。

最後は地元北海道から、千歳ワイナリーのレシラ・ロゼ11年。葡萄は有名な余市の木村農園産ピノノワール種を使い、実を潰して数日後のピンク色に染まり始めた時期に果汁をタンクから抜き、果皮を入れずに発酵させた爽やかな辛口ロゼ。お花見や食前酒にはピッタリのワインです。

藤井 敏彦

2012年 4月

(先月号からの続き)

さて、私の愛車1990年製のルノー・キャトルは壊れ、修理費用は50万。しかし、これまでの度重なる修理のお陰で私の貯金は無く、家内の預金を切り崩すしか資金はありませんでした。この事は車種の決定権は私には無いことを意味します。

家内の希望は、第一に国産、次はオートマ、四駆、そして(床に穴が無く)ヒーターが効いて暖かい車です。

そして家内は情報収集の為に、生まれて初めて自動車雑誌を買って来ました。昼食後は毎日インターネットで車を探し、休日はリアサスが曲がったキャトルを私がいたわりながら運転して中古車屋さん巡りです。

こうして私が気づいたのは、家内は車種よりも車体の色にこだわりがあるようで、グレーは絶対イヤ、マットで鮮やかな色がいいようです。

また立体駐車場の天井高が低い為、セダンタイプしか選べません。するときれいなブルーで7年落ちのニッサン・ノートのオートマ、四駆が68万で見つかりました。

予算は50万でしたが、家内はこの色が気に入ったようで購入を決定。私はこの車が2005年製で、前のルノーが90年と、共にフランスワインの当たり年だからいいんじゃないと思った程度(笑)。

こうしてノートが我が家にやって来ました。キャトルは乗る時も降りる時も5枚あるドアを1つずつ鍵穴にキーを差して開閉しましたが、ノートはリモコンで全てのドアロックが開閉できます。

また、キャトルのエンジン始動は夏でもチョークを引き、冬は悪戦苦闘してエンジンを掛けていましたが、ノートはリモコンのボタンを押すだけでエンジンまでも掛かるのです。

運転もオートマなので、私は何もせずに、ただアクセルに足を載せているだけ。

帰宅後、駐車場に車を入れ、心の中で「ご苦労さん」と言ってリモコンでドアロックをすると、ロック確認の為にウインカーランプが一瞬光ります。このウインクが私には「いいえ、どういたしまして」と言われたように感じる程、ノートは従順でしっかりとした娘さんに思えてきました。

僕にとってキャトルは自由奔放で魅力的でしたが、7年間僕を困らせてもくれたフランス女性といった感じでした。

一方新しい生活が始まったノートは、現代的であっても不平を言わずに働く日本人女性でしょうか。これから僕の気持ちに変化(浮気心)が起こりましたら、また皆さんにお伝えさせていただきます。


そして今月のオススメワイン。

今ブルゴーニュで狙い目は、天候が良く完熟感が楽しめる09年産か、少し熟成感が楽しめてお値打ち品が見つかる07年産でしょう。

09年産はクリストフ・ブリチェックが造る地元モレ・サン・ドニ村のワイン。凝縮感のある果実味と良質な木樽の風味は、どなたが飲まれてもウットリする味わいでしょう。

一方の07年産のお薦めは、豊かな味わいで定評のあるJ・コンフュロン・コトティドのニュイ・サン・ジョルジュ村。

ふくよかな果実味とタンニンとが調和し始めたこの味わいを、辛口評価で知られる仏ベタンヌ&デソーヴ氏は20点法で17点評価しています。この定価7500円のワインが約4割も安くなって入荷しました。
同じ造り手で、特級畑エシェゾーとヴォーヌ・ロマネ村の1級畑スショの07年も狙い目ですよ。

白ではピュリニー村で知られるジャン・マルク・ボワイヨの大変珍しいブルゴーニュ・ブラン10年。村名付きクラスの果実味とミネラル感は、かなり良い区画の葡萄を使っていること間違いなしと思いました。

同じシャルドネでも樽の風味がお好きな方には、マルク・モレのサン・トーバン村1級シャルモワ畑09年。甘さを感じる09年産白が多い中、完熟感と酸味とが共存し全体をヴァニラの風味が包み込んでいます。

ボルドーではマルゴー村のシュヴァリエ・ド・ラスコンブ05年と、オー・メドック地区のシャトー・ラネッサン03年。共に作柄の良かった05年と03年らしく、ふくよかな果実味と完熟感のあるタンニンが調和をし始めています。

南仏ではコスティエール・ド・ニーム地区、シャトー・ボーボワのコンフィデンスで熟成した06年と、ラングドック地区モントペイルー村のドピヤックの赤10年の2点がお買い得です。

イタリアからはトスカーナ州のエリザベッタが造るアウロ・ロッソ08年。サンジョベーゼ種に25%ブレンドされたシラー種が、味わいにコクと複雑さを与えています。また収穫から4年を経て熟成感も出てきました。

藤井 敏彦

2012年 3月

別れというのは突然やってきます。

今年で製造後22年になる愛車ルノー・キャトルですが、この冬走行中に後ろタイアあたりから異音が、、、工場に行き車をリフトで上げてみると、驚いたことにリアサスペンション・アームの付け根の片方がサビで腐食し、タイヤが斜めになり車体の内側と擦れて削れていました。

いつアームが取れるか、あるいはタイヤが削れてパンクするか分からない状態なので、凸凹を避けてスピードを出さず慎重に走って付き合いのある板金工場に行くと、床を張り換えてアームを直す見積もりは40〜50万円。恐る恐る金額を家内に打ち明けると、ニコニコとした顔で「これでキャトルともお別れだね」の一言。

所々穴の開いた床の部分は目をつぶり、アームの付け根だけの修理で安く済まそうと別の工場を何軒か回り、なんとか5〜6万で直せる所を北広島で見つけ、家内の承認も得て車を置いてきました。

しかし翌日、その工場から怖い連絡が来たのです。もう片方のリアサスも見てみたら、程度の違いはあれど同様の腐食が見られ、左右を直すと12万円になってしまうと言うのです。
恐る恐る新たな金額を家内に打ち明けると、また笑顔で「両方じゃ仕方ないね、でもこれで諦めがついたじゃない」。その後、家内が実家のお母さんに電話をしたら「これで終わるのね、壊れてくれて良かったじゃない、おめでとう」と言って一緒に喜んでいたそうです。

当然、修理の話しは無くなりました。ただ最後の工場では、パーツをはずし修理に取り掛かっていたのを中止したので、僅かですが工場の方に1万円だけ置いて、瀕死のキャトルを労わりながら慎重に運転して帰ってきました。

妻の希望は3点、国産、オートマ、4駆。それと隙間風が無く、ヒーターで温かくなる車だそうです。性悪女に惚れた私が馬鹿なのでしょうが、家電製品のような車には何故か思い入れが出来ないのです。(来月号に続く)

そして今月のオススメワイン。

ヴァンサン・コシュレルが造るブルゴーニュ規格の赤。6年を経た06年産はフレッシュな果実味が落ち着き少しドライフルーツの風味が出てきました。熟成感と果実味がバランス良く楽しめて、この価格はあり得ません!

シャトー・ド・ラ・クレが本拠地サントネ村で造るクロ・デュ・シャトー07年。5年を経て表情が開き始めた果実味とヴァニラを思わせる上品な樽風味が上手く調和しています。濃度はミディアムですが旨味を伴った味わいは、真のピノ好きがこれだよ!これ!と言うタイプでしょう。

 ボルドーからはオーメドック地区のシャトー・モーカイユ・フェルタン00年。オーナーはムーリ村のシャトー・モーカイユですから、仕上がりは手慣れた物。12年を経てもいまだに黒々とした色調を保ち、少し革製品を思わせる熟成香とふくよかな果実味の両方が楽しめるお買い得品。

南仏からはサンタ・デュックが本拠地ジゴンダス村の自社畑で造る08年。この年はそこそこの作柄でしたが、完璧主義のオーナー、イヴ・グラ氏はジゴンダス村の上級品オート・ギャリーグ08年(定価7,140円)の発売を止めて、その良質な葡萄を全部この村名ワインにブレンドしました。

当社でもこのジゴンダス村の08年と09年を比較試飲しました。共に素晴らしいワインですが、08年には09年にない旨味とスパイス感がハッキリと感じられました。しかも08年は09年より400円もお得なのです。今、買うなら絶対08年産をオススメします。

イタリアからはアブルッツォ州の名門マシャレリのワインが、オーナーの来日記念でお安くなって入荷しました。実は昨年日本に来る予定だったそうですが、東北大震災のために延期され今年3月に来日するそうです。
伊ガンベロロッソ誌がこの州の生産者に2★評価を与えているのは、ヴァレンティーニとマシャレリの二軒だけ。是非この機会にマシャレリのワインをお試し下さい。

藤井 敏彦

2012年 2月

新年の挨拶が遅くなりましたが、2012年もワインショップフジヰをよろしくお願い致します。


例年通り私の年越しは、札幌時計台の前(もちろん屋外です)で、冷えたシャンパーニュを飲みながらのカウントダウン。この馬鹿げた荒行も今回で31回目となりました。

寒がりの家内は今年も家で留守番ですが、小学校4年生になった息子が自分用のホットココアを持ってこの年越しに初参加。お初と言えば、3枚は重ね着する私の下着の一枚に某メーカーの「ヒートテック」を着たところ確かに効果は抜群でした。

ここ数年この年越しの参加者は、当社のお客様が数名と、確か1999年大晦日の真夜中に、この時計台で結婚式を挙げたクレイジーな(失礼!)ご夫婦と子供さんです。私は勝手に時計台の前で飲み物とグラスを用意しているので、気持ち良く一緒に飲める方であれば誰でも無料で参加できます。

今年は旅行で札幌に来られた?若いカップルが私達の輪に声をかけて来ました。シャンパングラスを渡して間もなく解ったのが、男性の方は言葉が不自由で女性の方が通訳をしてくれます。

初めて会った仲間がシャンパーニュを飲みながら新年を待ち、鐘の音と共に乾杯をしていると私は今年も無事に年が越せたという実感と、お酒を仕事に選んだことを感謝したくなります。

さて今年の大晦日に参加したい方は、温かい格好をして夜11時過ぎに時計台の前にお越し下さい。もちろん飲み物、食べ物の持ち込みも大歓迎です。

 そして今月のオススメワイン。

ボルドーからはメドック地区のシャトー・レ・グラン・シェーヌ06年。オーナーのマグレ氏は、別に所有するシャトー・パプ・クレマンで30メートルのベルトコンベアを設置し、収穫後は徹底的に選別して良い粒だけを発酵タンクに入れるようにしました。

その後の評価は急上昇で、グラーブ地区で最高のオーブリオンと互角の勝負をしようとしていると言われています。このグラン・シェーヌも同レベルとは言いませんが、完璧主義のオーナーはこのシャトーでも素晴らしい仕事をしています。6年を経てタンニンがこなれ始め、飲み頃の旨味が開き始めています。


グラーブ地区メリニャックのシャトー・ピク・カイユ94年。まずは18年を経た有名ボルドーワインがこの価格は見逃せません。グラーブらしい豊かな熟成香とミディアムできめ細かな舌触りは、濃度ではなく熟成旨味を愛する方にお勧めします。

白はムルソー村のミッシェル・ブーズロー氏が造るブルゴーニュ白09年。シャルドネ種によくある完熟リンゴと樽からのスモークフレーバーではなく、オリーブを思わせる香りとミネラル感豊かな野太い味わい。私は脂ののった塩サバが食べたくなりました。

スペインからはプリオラート地区のペルラ・デル・プリオラートが造るイニシアル05年。ガルナッチャ種主体のスパイシーな風味が7年を経てこなれ、スケール感のある骨格ときめ細かさが共に楽しめる複雑な味わいが出てきました。ぴりっとした辛さはスペイン産の生ハムと相性がピッタリでしょう。

最後は北海道・増毛町からポワール。とにかく香りは誰もが納得する洋梨。アルコールは3.5%ですが、味わいはまるでネクターのようにふくよかな舌触りをきめ細かな泡立ちが引き締めています。お食事前のアペリティフに味わっていただければ、美味しい食事と共に楽しい会話が続く事、間違いなし!

藤井 敏彦


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