社長の独り言


2017年 8月

今月は少し堅いお話し。

7月中旬、新聞記事で著作権協会(ジャスラック)が店内のBGM用に

音楽を無断使用したとして札幌の理容店を提訴したとありました。

実は当店にも2~3年前、著作権協会から同様の通達が届き、

それまでレコード店で購入したCDを店内で聞く事に使用料が発生するとは知りませんでした。

詳しい方に聞くと個人で音楽を聞くのと違って、営業用で音楽を使うと使用料が発生すると言われました。


そして著作権協会からの請求を払わずにいると提訴されてしまうと聞き、

当店では著作権協会に加入していない安価な有線放送(月額690円)と契約をして、

この事を著作権協会に伝えると使用料の請求は止まりました。

その後は営業時間中にその有線放送を流し、

閉店後に1人で音楽を聴きたい時は好きなCDを聴く形で、使い分けて音楽を楽しんでいます。


昔レコードを聴いていた頃は、今より面倒で、雑音も多く、

同じ個所を何度も聞こうとすると、レコード針の上げ下げが大変でした。

CDになってクリアな音で、音飛びも無く、リピートもボタン一つで何度でも出来て夢のようです。

しかし完璧なコピー品が簡単に出来るようになり、新たなルールが必要になったのだと思います。

良い音で、簡単に音楽が聴けるようなったのですから、新しいルールに沿って楽しむ事が必要なのでしょう。


それでは、今月のお薦めワインです。

栃木県のココファームの、こことある 余市ツヴァイゲルト 15年。

こことあるシリーズは自然の味わいを生かした適地適品種のワインです。

余市登地区の中川農園と小西農園の葡萄を、10R(トアール)ワイナリーの醸造家ブルース・ガットラヴ氏が、

北海道岩見沢にて野生酵母で醗酵させました。

エレガントさと奥深さのあるこの葡萄の実力が凝縮されています。

後味に白ワインを思わせるニュアンスがあり、魚料理にも合わせられる赤ワインです。


次はフランス・ボルドー地方から、シャトー・ド・フランのセリジエール06年。

サン・テミリオン村のトップシャトーであるシュヴァル・ブランとアンジェリュスのオーナー同士が、

手を組んで生まれたシャトー・ド・フランのスペシャル・キュヴェがセリジエールです。

通常では3,000円前後で販売されているものをお得な価格で見つけました。

凝縮したメルロ種の深みがある果実味に、

新樽比率の高いオーク樽からの品のある香ばしさが合わさり、スケール感のあるワインに仕上がっています。


ブルゴーニュ地方からは、アンリ・ボワイヨのブルゴーニュ・ブラン13年。

ボワイヨ家は1630年からの記録に残るヴォルネイ村で最も古い家柄の一つで、ドメーヌの創業は1885年。

現在の当主アンリ・ボワイヨ氏は5代目で、その息子も06年からドメーヌの仕事に参加しています。

リュットレゾネ(減農薬農法)を実践し、出来るだけ化学物質の使用を抑えています。

自社畑でなくても果実味の凝縮感、樽由来のバニラ香が合わさった素晴らしい白ワインです。


北のアルザス地方からは、シュルンバジェのリースリングでプランス・アベ14年。

1810年創業の伝統あるドメーヌで、重たさのないリッチさがこのドメーヌのスタイル。

現在は7代目アラン・ベイドン・シュルンバジェが当主。

栽培はすべてビオロジック(一部はビオディナミ)です。

130ヘクタールもある自社畑の約半分はグラン・クリュで、

スタンダード・キュヴェにも15年未満のグラン・クリュの若木が3~4割も格下げして使用されています。

凝縮感のある果実味とミネラル、柑橘類のような香りとキレのある酸が、暑い夏にぴったりです。


南仏からは自然派の生産者シャトー・ルジエールのグラン・ド・ニュヌ・ブラン14年。

ミネラルと果実味があふれる白ワインで、骨格がしっかりとしているのでお魚系のお食事と相性が抜群です。

また、フランスのワイン誌ベタンヌ・エ・ソーヴではこの蔵元を

「今後、このドメーヌがこの地域の白ワインとして頂点に近づいていると思っています」と高評価。

ルーサンヌ種他のブレンドで、完熟した果実味とバランス良さを持った、見逃せない逸品です。


今注目の、シュド・ウエスト地方からはジュランソン村のクロ・ラペールで上級品ヴィタージュ・ヴィエイユ08年。

有機栽培で、古木のグロ・マンサン種他からの白は、完熟したふくよかさのある果実味に、

味わいを引き締める心地よい酸味とミネラル感が伸びていく、奥行と広がりを持った熟成白ワイン。

9年の[熟成期間で複雑さが生まれ、ゆっくりと時間をかけて楽しむことができます。

希望小売3,200円が売り切りの特価で大変お買い得となりました。


イタリア・ヴェネト州からはカ・ルガーテが造るソアヴェ・クラシコのサン・ミケーレ15年。

2000年から化学肥料の使用を止め、牛糞、オーガニック・コンポストによる土、植物由来のミネラルの肥料を使用しています。

最初はレモンのような柑橘系の爽やかな香りがありますが、

次第に熟した果実や蜜のような凝縮感ある香りへと変化していきます。

一般的ながぶ飲み用ワインのイメージとは対照的に、味わいの凝縮度が高く、

さわやかなソアヴェの特徴が感じられつつも、しっかりと味わえるスタイルとなっています。


アブルッツオ州で大人気、ファルネーゼ社が造るドン・カミッロ15年。

サンジョベーゼ種85%、カベルネ・ソーヴィニヨン種15%からのワインを、

贅沢に小樽で3~4ヶ月だけ熟成させ赤は、完熟した果実感とスパイスを感じさせるアロマに、

バランスのとれた適度な樽香が調和して、複雑な風味を出しています。

凝縮された上品なタンニンがあり、サンジョベーゼ種のもたらすふくよかな果実味と、

カベルネ種の骨格を引き出した、パワフルで魅力のあるモダンスタイルのワインです。


スペイン・ナヴァラ地区で、新潮流として注目されているビーニャ・ソルサルが造るシャルドネ16年。

有機栽培を実践し、畑を区画ごとに細分化するなど、テロワールも大事にしており、

醸造においても近代醸造技術を思慮深く利用し、新樽や参加防止剤の使用を極力避けています。

フレッシュかつ上品なバランスの良い味わいなので、アペリティフから前菜、魚料理まで、幅広く合わせられます。

優しい味わいがお好きな方に飲んでもらいたい逸品です。


スペイン中央部ラ・マンチャ地区からオチョ・イ・メディオのマルベック16年。

濃い赤のイメージを持つマルベック種ですが、良い意味で期待を裏切ってくれるバランスの良いスペイン・ワイン。

長野のワイン名産地、桔梗ヶ原と同じくらいの標高(850m)で育まれた葡萄は、

酸と果実味の調和に優れ、旨みのある飲み飽きのしないタイプ。

マルベック種の新たな名産地となる可能性を感じさせるワインでした。


オーストリアからはハイサン・ノイマンが造る白ゲミシュター・ザッツのヌースベアク15年。

今、世界中ではカベルネ種、シャルドネ種等の単一葡萄品種のワインが主流ですが、

ゲミシュター・ザッツはオーストリアで造られる混植・混醸のワインです。

つまり、畑で複数の品種を栽培し、醸造も複数の葡萄を同時に行う昔ながらの製法です。

グリューナー・フェルトリーナー種、他7品種からの複雑で百花繚乱の様な味わいは、

きっとワインに新たな楽しみをもたらしてくれること間違いなしです。


ドイツからはトップ生産者の仲間入りを果たしたシュロス・リーザーの白。

モーゼル地方で最上の畑であるヴェレン村のゾンネンウーア(日時計)畑からのワイン。

リースリング種からのペトロール香、ビッグヴィンテージである15年の

豊かな酸味とミネラルが凝縮したワインは、10年、20年と熟成が可能なワインです。


ポルトガルのアレンテージョ地区からは日常飲むのにおすすめの赤ワイン。

生産者はアレクシャンドレ・レウヴァスで、アトランティコ・レセルヴァ14年。

安定した品質の高い造りで、世界各国のコンクールで金賞を受賞しています。

地元葡萄にカベルネ種をブレンドした赤をフレンチとアメリカンオーク樽で熟成させることで、

オーク樽由来の複雑なアロマが生まれ、味わいにも厚みをもたらし、

トップのインパクトから余韻まで楽しむことができます。


アメリカからは抜群のコストパフォーマンスを誇る人気ブランド、キャッスル・ロックのピノ・ノワール12年。

あえて自社畑や醸造設備を持たず、優れた畑および高い醸造技術を持つワイナリー等と

契約することにより、効率的に生産拠点を広げています。

カーネロス地区の豊かな陽光に、霧と冷たい海風が加わるこの地区は、

カリフォルニアらしい豊かな果実味と樽の風味に、

エレガントな酸味、適度に熟したタンニンが調和して、絶妙のバランス。

ほんのりとしたスパイシーさが味わいを引き締め、食欲をそそります。

5年を経て少し熟成感も開いて来た、コスパの優れたワインです。


現在、コストパフォーマンスで最も注目度の高い東ヨーロッパのルーマニアから、

ドメーニレ・サハティーニのピノ・ノワール14年。

ワイナリーと畑のあるムンテニア地方はブルゴーニュ地方と同じような気候であることから

良質なピノ・ノワール種が産出され、果実味と酸味のバランスも良く、

少し渋みと土っぽさを感じさせるコート・ド・ボーヌ地区のピノを彷彿とさせる味わいです。

タンクで発酵、熟成させ、木樽無しでこのバランスの良さですから驚きます。

ここで樽熟成させたものを味わってみたいと思うのは、私だけではないでしょう。


ハードリカーからは、シボーナ社のマディラ・フィニッシュのグラッパ。

暑い夏にこそ度数の強いグラッパで暑気払いをしましょう。

樽に残ったマディラ酒のふくよかな甘みと、マスカット種のグラッパ特有の華やかな香りの融合が

気持ちを落ち着かせ、ゆったりとした気分で食後のひと時を楽しませてくれると思います。


アメリカ・パタゴニア社のポリシーのひとつが自然保護。

近年、アウトドア向け衣料の販売だけでは限界を感じ、食物連鎖の修復を目指し、食品を手掛けることになりました。

衣料同様、「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える」ことを土台に造られた独自のビールです。

通常の大麦だけでは無く、「カーンザ」という土壌改良に役立つ穀物も使って、ビールを醸造。

この「カーンザ」は無農薬で、年に複数回収穫ができる多年性の植物。

15%程加えられたカーンザの辛みがアクセントになって、多くの人が素直に美味しいと感じる味わいです。

飲むことによって、自然保護に貢献しているようで、ちょっと良い気分になれるビールです。


食品ではフランス・マーカル社のポレンタ粉(トウモロコシの粉)を混ぜたマフィンがうちの家族にとても好評です!

卵1個に、だいたい同量(70g)の菜種油、砂糖、ポレンタ粉、小麦粉、

牛乳または豆乳にベーキングパウダーをまぜて焼くだけ。

黄金色のマフィンはなんとも食欲をそそり、つぶつぶ食感が心地よく、我が家の定番おやつになりました。

レシピのもとになったのは、ブラジルのポピュラーなおやつ「ボーロ・デ・フバ 」です。

そのレシピが店頭にございますので、どうぞチャレンジしてみてください!

また甘さを控えて、チーズなどを加えたらワインのおつまみになりそうです。


「風土火水」は北海道産の有機栽培に特化した食品のブランド。

まずは十勝産有機小麦のふすま(小麦の外皮)。

有機栽培だからこそ、安心していただける小麦ふすまです。

パンやクッキーに混ぜて焼くと香ばしい風味で、ヘルシー志向のおやつが出来上がります。

某レシピサイトに載っていたふすま100%のクッキーを作りましたら、スタッフに大変好評でした。

そのレシピは店頭にございますので、どうぞお試しください。


最後は「風土火水」の大豆ミート。

これを茹でて粉をまぶし、お肉料理(豚の生姜焼きや回鍋肉など)にまぜて作ると、

肉と区別がつかない位、肉もどきの食感です。

因みに家族もお肉と信じて食べていました。健康に気使うヘルシー志向の方におすすめです!

藤井 敏彦

2017年 7月

今月は夫婦のお話。 

先日、家内と二人で遅めの昼食をとる事になりました。

その日は車に乗っていたので、私は大好きな「ゆりや食堂」で、もりそばとラーメンの両方を食べたいと言った所、

家内は円山西町にある眺めの良いカフェでランチをしたいと言います。

結局、妥協案でまず食堂へ行って私がそばとラーメンを食べて、

その後カフェに行き私はコーヒー、家内はキッシュ・セットを食べて帰りました。


改めて思いますが、男と女は好みが違うのです。

これで思い出すのが、結婚当初お互いに映画が好きだったので、

休日の前夜にDVDを借りて一緒に映画を観ていました。

私はドカーン、バキューンの戦闘物やスポ根物を選び、 家内は文芸路線。

観終えるとお互いに感想を言うのですが、

家内は私の薦める映画のどれを見ても毎回、「人間が描けていない」の一言。


私は、文芸物にも駄作と名画があり、戦闘物も同様で、

それぞれのジャンルで良さを楽しもうと言うのですが、根本的に好みは平行線でした。

決定打となったのは、忘れもしないフェリーニ監督の「道」。

貧乏でハチャメチャな夫と、弱く、けな気な娘との生活は、何も希望が無く、過ぎてゆく。

ハッピーエンドが好きな私は、「道」を観終えると暗く落ち込むだけ。

やり切れない思いを言葉にできない私は、映画の中で娘が何度も言っていた「ザンパーノが来たよ!」を茶化して言うと、

「この映画の意味を何も感じないの?」と責められ、二人の映画鑑賞会は途切れました。


映画の好みだけではなく、食べ物の好みだって人それぞれ。

お互いの好みを主張するだけではなく、相手の希望も取り入れながら、

映画「道」のパターンには行かないようにと願っています。


さて、今月のお薦めワインです。

まずは地元から、小樽のアーバン・ワイナリー、オサ・ワイナリーからTabi(タビ)をご紹介します。

小樽にゆかりのある葡萄、旅路種の収穫を時期をずらして行い、ブレンドする事で、

フレッシュな酸味と完熟した風味を合わせ持つ複雑な味わいです。

寿司とのマリアージュを一番に考えられた絶妙なブレンド。お寿司好きな方にオススメな逸品です。

三笠、山崎ワイナリーのピノ・ノワール15年。

樹齢10年~18年のピノ・ノワール種から造られるワインは、

深みのある赤い果実、針葉樹林を思わせる深く冷涼な香り。

果実味と伸びやかなミネラルは、土地や気候の特徴を感じられるピノ・ノワールです。

北海道の赤ワインを代表するピノ・ノワールです。

長野県にある小布施ワイナリーのソーヴィニヨン・ブラン16年。

ハーブ香に爽やかな白桃、蜂蜜やパイナップルの香り、

そしてマッタリしすぎない濃さと、グレープフルーツ系のアフターが心地よいです。

日本のソーヴィニヨン・ブランでは珍しくphの低いワインなので、数年の熟成に耐えることができます。

山の幸とあわせて飲みたいと思った1本です。


次はフランス、ボルドー地方シャトー・ラローズ・トラントドンで、最高の年09年産。

シャトー・カマンサックのオーナーのエリゼ・フォルネ氏がディレクターを務めています。

所有する、サン・ローラン村の142ヘクタールの畑は、メドック地区最大。

上品でしっかりとしたボディを持っており、華やかな香りと木樽の風味もあります。

熟成を経た複雑さも開き始め、飲み頃に入り始めたボルドー赤ワインです。

ボルドー右岸のフロンサック地区からは、シャトー・メイネイの2002年。

新樽比率が8割と高く、始めはフレンチオーク樽の香ばしさが楽しめます。

次にヨモギを感じさせるほんのりとしたメルロ種の青さが調和し、

複雑なブケを楽しむことができる、今がまさに飲み頃のボルドーです。

同じくボルドーの右岸、カスティヨン地区で有機栽培を実践するシャトー・デュ・ロックの畑の中で、

若木から造られるワインが、「アンフォラ(素焼きの壺の意)」です。

樽を使わずにコンクリートタンクで発酵・熟成しているため、

渋みは控えめで瑞々しいピュアな果実味が口中に広がります。

まだ若い14年産ですから、今の状態ではアンフォラで醸造したような

葡萄を搾って瓶に詰めたような果実味たっぷりのワインです。

有機栽培葡萄の美味しさを、樽に入れずにそのまま味わって欲しいというオーナーの気持ちが伝わります。

次はサンテミリオン村で超有名なシャトー・ヴァランドローではなく、 ここのオーナー、 テュヌヴァン氏の事を、

評論家のパーカー氏が親しみをこめて、 バッド・ボーイ(ヤンチャ坊主)と名付けました。

すると、チュヌヴァン氏はその「あだ名」を、お値打ちなワインの名前にして発売しました。

数万円するヴァランドローとは違い、畑はサンテミリオン村ではありませんが、

彼が選んだ区画は恵まれた畑で、良質でありながら、お手頃価格。

このバッド・ボーイで10年を経た07年産が入荷しました。

たっぷりとしたベリー系の果実味と、木樽の風味が調和した飲み頃ワインをお見逃しなく。


次は仏ブルゴーニュ地方から。

シャンボール村のアンリ・フェレティグ家が造る、お手頃価格の赤。

ピノ・ノワール種とガメイ種を半分ずつブレンドした「コトー・ブルギニヨン」の赤です。

混醸(各葡萄品種を粒の状態で混ぜて、同時に発酵する)で造られているため、

豊かな果実味と心地よい酸味が、若いうちからに溶け込んで調和しています。

次は中堅で評価の高いヴァンサン・ジラルダンが、サン・ロマン村のシャルドネ種で造る12年産。

ビオディナミ栽培を行っていましたが、ブルゴーニュの天候の問題で、

完全なビオディナミでは不便な点もあるため、2011年よりリュット・レゾネ(減農薬)へ移行しました。

サン・ロマン村は標高が高く冷涼な為、酸味とミネラル感もあり、野菜のマリネや蒸し料理によく合います。

そしてシャサーニュ村からは、名門ギィ・アミオのアリゴテ種の白12年。

遅摘みによるリッチな味わいがこのドメーヌの特徴で、

それぞれの畑が本来持つミネラル感とともに荘厳な世界を提供してくれます。

果実味は豊かですが、鋭い酸とミネラル感があり、

アリゴテ種らしさと、バランスのとれた出来に仕上がっています。

爽やかなだけではなく厚みも欲しい、という方におすすめです。


次はロワール地方から、サンセール村ダニエル・ショタールが造るソーヴィニヨン・ブラン種の白。

土壌は全体の70%がキンメリジャンの粘土石灰質、30%がカイヨット(白亜)です。

葡萄の平均樹齢は20年、最も古い葡萄は樹齢40年です。

アロマを最大限に引き出すため、14度の低温で発酵させることで、

青っぽいハーブのニュアンスや、タニックなフレイバーが出ないようにしています。

スキンコンタクトなし、マロラクティック発酵をせず、 綺麗な澱と共にタンクで約8ヶ月熟成。

還元香もなくミネラルの凝縮したソーヴィニヨン・ブランです。

次はジュセ夫妻がシュナン・ブラン種で仕込んだ自然派のペティヤン(微発泡性ワイン)で、

リズ・エ・ベルトラン・ジュセ ラペティアン モンルイ・シュール・ロワール。

2004年に設立の新しい生産者ながら、フランスの3つ星レストランでもオンリストされている実力派。

化学肥料や農薬を使わない有機栽培で、野生酵母による自然発酵。

泡を得るための二次発酵の際も、蔗糖と酵母は無添加。

ノン・ドサージュでSO2も添加せずに造られており、自然派ワインの真骨頂が味わえます。


アルザス地方からは、自然派生産者の雄、ビネール氏が、

気心の知れた友達のジャン・リュック・シェランジェ氏とコラボして造っている、 クザヴィエ・ヴァイマンの、

ミノリ リボ・ミックス14年です。 葡萄はエーデルツヴィッカーと言われるブレンド・タイプ。

ピノ・グリ種主体のふくよかな果実味に、ゲヴュルツ種の香り高さが調和しています。

自然派アルザス・ワインのお試しに最適な逸品です。


イタリアからは、自然派第一人者であるアンジョリーノ・マウレの下で、ワイン造りを学んだ、

ダニエーレ・ピッチニン氏がヴェネト州で造る、ビアンコ・ディ・ムーニ15年。

シャルドネ種と土着品種のドゥレッラ種とのブレンドで造られるワインは、

心地よい酸味と充実した旨味が楽しめる澄んだ味わいで、暑い季節にはぴったりの白ワインです。

次は南部プーリア州の濃厚赤ワイン、プロゲット・ヴィーノのパッソ・デル・スッドゥでアパッシメント15年。

収穫した葡萄を乾燥させ、干し葡萄状にしてから発酵させた、アマローネ・スタイルのフルボディワイン。

燻製のような香りと、ビターチョコレートのような渋みと甘味の強い味わいは、

とてもインパクトがあり、飲みごたえがあります。グリルしたお肉料理、熟成チーズ等と相性が良いです。

イタリア・シチリア島からは有機栽培で造られたワインのご紹介です。

チェビコ社、ピプント・イオの赤(ネロ・ダヴォラ種+カベルネ種)と、白(カタラット種+シャルドネ種)の2種。

どちらも地元品種と国際品種をブレンドしてバランス良く仕上げられています。

白は華やかな香りとフルーティでクリーンな味わい。

赤は複雑でやや重厚なタイプ。どちらもきれいな果実味が料理を引き立ててくれます。


スペインからはマルケス・デ・グリニョンがラ・マンチャ州の高地で栽培されたカベルネ・ソーヴィニヨン種から造る赤。

気候は大陸性気候のため、夏は暑く乾燥しており、冬は寒い日が続きます。

また昼夜の寒暖差も激しいため、成熟した高品質の葡萄を得ることが出来ます。

ここの素晴らしい葡萄を更に高めるため、コンサルタントに仏ミッシェル・ロラン氏を起用しました。

発酵は天然酵母と人工酵母を使い、アリエ産のオーク樽で18ヶ月熟成。

フルボディなワインをお探しの方に満足していただけるワインです。


ドイツからは、貴重なリースリング種の古酒。

当社で扱いのある生産者カール・エルベス氏が、かつて醸造責任者を務めていた蔵元がモーゼル・シルト。

そのワイナリーが廃業した為、蔵元に残しておいた取って置きの古酒が限定入荷しました。

リースリング特有のペトロール香と、熟成感が見事に合わさった甘口。

リースリングが熟成に耐えうる事を証明してくれるようなワインです。

年によってラベルが違いますが、当時ホテルも営業しており、ホテルのラベルと一般販売用のラベルの違いです。


カリフォルニア州からはブレッド&バターのシャルドネ15年。

冷涼なソノマ地方カーネロス地区と、温暖なモントレー地方アロヨセコ地区の二つの畑の葡萄を合わせています。

タイプの違う畑の葡萄を合わせる事によって、複雑味溢れる優雅なスタイルに仕上がっています。

ナッツやバターの香り、ふくよかでミネラル感のある凝縮した味わいは、ムルソーの白ワインのようです。

少し完熟した甘味があるのが特徴で、バター・ソースの魚介料理、クリーム系のパスタやスープと良く合います。


食品ではマルカワみその自然栽培の玄米甘酒(すり)。

ここまで素材にこだわった甘酒は他にないでしょう。

こだわり抜いたこの甘酒は、一流のスポーツ選手にも支持されています。

大リーグで活躍中の前田健太選手は、広島時代から試合前と、試合中に

この玄米甘酒を同量の水で割り、少々のレモン汁をいれて飲まれているそうです。

米と麹を発酵させた“米麹”から作る甘酒には、ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、ビオチンなどの必須ビタミン群を含み、

病院で受ける栄養補給用の点滴と同じような成分であることから「飲む点滴」といわれており、

古くから夏バテ対策のドリンクとして愛飲されてきました。これからの季節ぜひオススメです!

そして本業のマルカワさんが作る有機みそ。

素材にこだわり続け、全国でも珍しく昔ながらの蔵に住みついている麹菌を使用し、麹を造っています。

素材は有機大豆と有機米、すべて国産の物を使用し、塩はモンゴル地方で採取された天日湖塩を使用。

自然の醗酵速度に任せて、一年間木桶でゆっくりと熟成しております。


次は小豆島の醤油屋、ヤマヒサのぽんず。

日本の伝統的な技で製造されている材料で作っているので、ぽん酢だけで美味しいです!

レシピ1、旬のカブやきゅうりをジップロックの袋に入れ、ぽん酢を軽く入れ一晩、美味しい浅漬けになります。

レシピ2、豚肉のソテーにせん切り青しそと共にポン酢ひとかけ。夏らしい味わいです。もちろん冷しゃぶにもおすすめです!

毎年秋に、当店に入荷する小豆島・ヤマヒサのオリーブ新漬け.。

そのオリーブの花の酵母を採取し、その酵母により仕込んだ醤油です。

自然の神秘と人のたゆまぬ追求心から造られた芸術品のような醤油ははなやか香りの、やさしい味わい。

白身のお刺身や冷ややっこなどのかけ醤油に。また花醤とオリーブオイルやレモン汁と合わせ和風ドレッシングもおすすめです。

最後はヤマヒサの、のりの佃煮。

小豆島の醤油がのりを引き立たせ、とにかくご飯がすすみます!

炊きたてのあったかいごはんに合わせていただくと、日本人に生まれて良かった~と思わせるご飯の最高の友です!

藤井 敏彦

2017年 6月

5月の連休中に東京から友人家族が来て、一緒に美唄のアルテピアッツァ公園に行って来ました。

始めは温泉を考えましたが、石山通りは渋滞するので逆方向からの選択でしたが大変喜ばれました。

私が接待する際に心がけるのは地方から来た方は豪華な所、

そして東京など都会から来た方は北海道らしい広大な風景が望める所。

昨年この家族が来た時は、広大な農場内にある月寒の「じんぎすかんクラブ」に行って来ました。

ここのマトン肉は絶品ですが、あの過密な東京で生活している人にとって、

広大な自然を目の前にしてのジンギスカンとワインは何よりも贅沢な事だと感じました。


そこで今年も北海道らしい場所に、

プラス何か心をくすぐる所はないかと探したのが、安田 侃(カン)さんの彫刻公園。

7ヘクタールの丘陵地帯に彫刻が点在し、

敷地内にある廃校になった木造の小学校の教室にも作品が展示されています。

教室の壁にはコートを掛けていたであろう釘の跡が均等に並び、生徒さんの名前もうっすらと読み取れます。

目をつぶると子供の甲高い声がこだましそうな中で、柔らかな曲線の彫刻はその歓声を吸い取っている様な気にさせます。


ここで東京の友人が一番驚いたのが、

掻き入れ時とも言える連休中で晴天の午後、7ヘクタールの中に人が100名程しかいなかった事です。

東京で話題の展示会だと入場するのにも並び、鑑賞するのも数珠つなぎで立ち止まる事が出来ないのに、

この素晴らしい施設をゆっくりと独り占め感覚で楽しめる贅沢さは信じられないと喜んでいました。

この後は、三笠の山崎ワイナリーに寄って直売所でワインを購入し札幌へ帰ります。


夕食は二条市場の片岡精肉店で、厚さ約1センチにカットした超厚切り生ラムを購入して、今年は自宅でジンギスカン。

ワインは、まずイタリア・メディチ家の微発泡・ランブルスコ赤でドルチェ(甘口)。

ベル・ジンギスカンのたれには、少し甘味のあるランブルスコがピッタリでした。

2本目はピノ・ノワール好きな友人の為に、ジャイエ・ジルのパストゥグラン11年。

繊細なピノに骨太なガメ種をブレンドする事で、味わいの強い羊肉との調和を試みましたが、少しワインの力負けでした。

3本目は羊とは定番のボルドー赤。

オー・メドック地区のシャトー・ラローズ・トラントドン09年。

完熟した果実味とタンニンが、羊の脂身をきれいに洗い流してくれます。

それと厚切りの羊には、「たれ」よりも塩コショウが良かったです。

最後4本目は、友人が持参したジョルジュ・ルーミエのシャンボール・ミュジニで最高の2010年産!

友情をお金に置き換えるのは忍びないですが、時価25,000円は楽に超えるでしょう。

1時間半ジンギスカンの煙にまみれ汚れた居間の中で、

上品でけがれが無く、澄みきったサクランボ風味の花びらが静かに開きます。

当然、グラスもリーデル社の物に変えてゆっくり味わいましたが、

一番汚れていたのは室内では無く、自分の舌(ベロ)。

脂の強い羊肉まみれだった私の舌に載せられたシャンボール村のピノは、まるで野獣と美女。

真っ白い絹のシーツの上で鑑賞すべき物を、油で汚れたコンクリートの床に放り出された状態。

しかしこんな状況でもワイン好きは、「少しずつ香りが開いて来た」、

「こっちのグラスの方が酸味がきれいに延びる」とか言いながら夜は更けて往きました。


さて今月のお薦めワインは地元から。

札幌の藤野ワイナリーでキャンベル種のサン・スフル(酸化防止剤無添加)16年。

昨年も好評だったこの赤は、アルコール発酵終了後に瓶詰して販売、

購入後は皆さんが瓶内で始まる乳酸発酵を見守ります。

今の状態では、葡萄を搾って瓶に詰めたような果実味たっぷりのワイン。

冷暗所で保管頂くと、少しずつ乳酸発酵が始まることで酸味の鋭いリンゴ酸が減り 、

微炭酸の発生と共に柔らかな乳酸が形成されます。

次は栃木県ココファームの赤・風のルージュ14年。

葡萄は余市・藤沢農園産ツバイゲルトレーベ種約八割に、山形産メルロ種を二割ブレンド。

ツバイ種のスパイシーさに、メルロ種のふくよかさが上手く調和しています。

しかも、近年で最良の作柄だった14年産は今や貴重品です。


次は仏ボルドー地方から。

2010年以降ブルゴーニュ地方が高騰する中、

ボルドーは目立った値上がりが無く、為替の利点もあって今お値打ち感が出て来ました。

オー・メドック地区のシャトー・ラネッサンと、シャトー・カントメルルのセカンド・ラベルは、

共に9年を経て熟成旨みが開いて来た08年産。

ここ1~2年程はふくよかな果実味と、熟成旨みの両方が楽しめる時期でしょう。


そして今も高騰の続くブルゴーニュですが、今月もお値打ちな物を見つけました。

まずは赤から、ジャン・バティスト・ベジョのブルゴーニュ・ピノ14年。

2,000円以下でも痩せた感じが無く、果実感が楽しめるのは驚きでした。

次は毎年安定して良質なワインに仕上げてくるエルヴェ・シャルロパン氏。

マルサネ村ロンジュロワ畑は、日当たりの良い東南向き斜面中腹の区画。

豊かなタンニンで知られるこの村ですが、ここでは完熟した果実味がふくよかでタンニンと調和しています。

「パスカル・ラショー」はヴォーヌ・ロマネ村の名門ロベール・アルヌーが始めたネゴシアンのブランド名。

ブルゴーニュ規格の赤は作柄が良く、少しこなれた12年産が入荷。

買い葡萄でも、良質な小粒品種ピノ・ファンで造られた赤は品の良さを感じます。

定価3,100円が特別価格で入荷しました。

ニュイ・サン・ジョルジュ村の名門ロベール・シュヴィヨンのパストゥグラン13年。

少量のガメ種を加える事で、不思議ですがピノの風味が開いているのに、ガメ種の風味はあまり感じられません。

同じシュヴィヨンで上級品のピノ100%・ブルゴーニュ赤よりも私は気に入りました。

これはブレンドのマジックなのか?今の時期だけの短期的な風味かもしれませんが、

ピノ好きでしたらこの味わいを是非一度味わって欲しいと思いました。

次はブルゴーニュ白、シャブリの名門ウィリアム・フェーヴル社のサン・ブリ村。

ブルゴーニュでこの村だけが、例外的にソーヴィニヨン・ブラン種を栽培しています。

なぜ、この村だけ?と思いますが、シャブリ地区はコート・ドール地区よりも、

ソーヴィニヨン種で知られるロワール河サンセール村の方が近いのです。

異端児のサン・ブリですが、味わいは正攻法の爽やかなソーヴィニヨン種。

へそ曲がりと言われているが、自分は真っ直ぐだと自覚されている方にお勧めします。

こちらもシャブリ地区から、ジュヴレ・シャンベルタン村の雄、フィリップ・シャルロパンが造るシャブリの白。

赤の味わいと同様に、この白も凝縮した強さを持っています。

最高の作柄だった10年産が7年を経て少し熟成感も出て来ました。

更にもう1~2年寝かせると、豊かなブーケ(熟成香)も開いてくるでしょう。


南仏からは、最高の出来だった10年産の赤が2種入荷しました。

サンタ・デュックの古木からのローヌ赤。

暑く乾燥した年だけに、ドライ・フルーツやスパイスの風味と7年を経た熟成感の両方が楽しめます。

この価格では向かう所敵なしでしょう。

次はリラック村のシャトー・モンフォーコン。

ここは南仏でも濃度勝負ではなく、上品さを持ったスタイル。

しかし暑かった10年産は例年よりもエレガントさが弱く、強さがハッキリと感じられます。

この凝縮し野性味まである果実味と、それを必死に手なずけようとする生産者の思い、

この両方を思い感じながら味わってみて下さい。

南仏からの白ではマレノン協同組合のアムンタナージュ白。

手間のかかる有機栽培ワインは一般に2~3千円以上しますが、

ここの組合員は有機葡萄を安価で生産し、このような低価格で販売しています。

4品種のブレンドも、バランス良く仕上がっています。

また、有機ワインに多い還元(カンゲン)香や、アニマル香も無く、誰もが楽しめる白ワインです。


アルザス地方からの白はシュルンバジェ社のテール・ダルザス。

ここは認証は取っていませんが、自社畑は有機栽培。

この安価なブレンド・タイプも全て自社畑のワイン。

品種もシルヴァネール種やシャスラ種を使わず、上級品種だけで造っています。

格上の味わいでこの価格はお得です。


スペインからはヴァルフォルモサ社のカヴァ、クラシック・ブリュット・ナチュレ。

スパークリング・ワインで「ブリュット(辛口)」規格の残糖は1リットル当たり15gまで認められていますが、

ガス圧が高いと残糖10g程では、糖分は甘さとしてではなく「コク」として感じられます。

そしてブリュット・ナチュレの規格では残糖は0~3g。通常この残糖では、線の細さを感じてしまいますが、

ここでは長期熟成による旨味で味わいを調和させています。

そしてスペインの白では2点。

まずはテルモ・ロドリゲス氏がルエダ地区で造るバサ。

地元のヴェルデホ種は私のイメージでは、ソーヴィニヨン・ブラン種のメリハリ感と、

シャルドネ種のバランスの良さが合わさった無敵の品種。

旧価格の1,800円でも人気でしたが、円高から店頭1,300円にお安くなりました。

次はリオハの大手マルケス・デ・カセレス社が発売するリアス・バイシャス地区の白。

前述したヴェルデホ種は爽やかなフルーティ・タイプで、

リアス・バイシャス地区のアルバリーニョ種は、爽やかさに上品さと複雑さが少し出て来ます。

ここはスペイン白で最高の産地ですから高額ですが、この特別価格は驚きです。

ヴェルデホ種とは違った魅力を持っています。


オーストラリアからはヴィクトリア州ホッフキルシュのピノ・ノワール。

南極に近くなる南部は冷涼な気候で、近年は良質なピノ・ノワール種の産地で注目されています。

栽培、醸造共に自然派のこのワインは素直な果実味と特有の旨みを持ち、

オーストラリア・ワインも様々なスタイルが出てきた事が実感できます。


ワインに香草、果実、糖分、ブランディ等を加えた物がフレーヴァード・ワイン。

ヴェルモット類はワインに「ニガヨモギ」を始めとする香草やスパイスと甘味を漬け込んだお酒。

スペイン・シェリーの大手ゴンザレス社が、満を持して発売したヴェルモット「ラ・コパ」は、

ベースのワインを安価な物ではなく、同社のシェリーの中でも特別な古酒をベースにしています。

上物の甘口ワインに、良質な香草とスパイスですから、仕上がりは格別な旨みを持っています。

このままで素晴らしい食前酒ですが、

コニャック産ブランディでも加えると食後酒でも通用する強さと複雑さを楽しめるでしょう。


食品からは、小豆島(ショウドシマ)・ヤマヒサ社のお醤油2種。

まずは「こだわり醤油本生」、

国内産で無農薬の大豆と小麦を杉の大樽で発酵、熟成させ、火入れをせず瓶詰めしました。

始めは味が強く感じますが、逆に少量でも旨み十分なので、

上からかけるのではなく、醤油皿に取って、極少量付けて食べて見て下さい。

塩辛さではなく、複雑な旨みを味わう気持ちでどうぞ。

次はここの再仕込醤油の「豆しょう」。

醤油は蒸した大豆と炒った小麦に、種麹(タネコウジ)を添加して全体を麹(コウジ)にし、

塩水の中に入れて発酵、熟成させます。

再度、大麦と小麦で出来た麹を、今度は塩水では無く、

出来上がった醤油に入れて再び発酵、熟成させたのが再仕込。

豆からの旨み成分は2倍、逆に塩分は少ない為に、

濃いけど塩辛くない不思議な味わいです。

赤身の刺身や、ステーキにお試しください。

藤井 敏彦

2017年 4月

前にも一度ここで取り上げましたが、 朝日新聞金曜の夕刊に

「さっぽろレトロ建物グラフティ」という連載記事があります。

出版社の和田由美さんによる、ほのぼのとした紹介文と、

松本浦(ウラ)さんが描く建物は、写真よりも味わい深く記憶と重なります。

そして2月10日、私が時々伺う「ゆりや食堂」が掲載されました。


当社の飲食店のお客様は、皆さん現代的なピカピカのお店ばかりですが、

私が子供の頃にあった食堂がそのまま残っているのが、ここ「ゆりや」さんです。

「食堂」好きな私は、月に一度はここの暖簾(のれん)をくぐります。

ここでいつも頼む物は、もりそばとラーメン。

始めに蕎麦湯をもらい、湯をすすりながら待っていると、もりそばが来ます。

蕎麦たれは甘辛く厚みのあるタイプ。

のど越しのいい麺と共に味わうと、ふぅーと心の緊張が抜けてゆきます。

半分ほど食べて少したれが薄まると、わさびは使わずに唐辛子を一振りかけて残りを頂きます。

そばを食べ終え蕎麦湯をすすっていると、ラーメンの登場です。

澄んだスープにほんの少し縮れた麺、具はナルト、メンマ、チャーシュー、ねぎ。

透明感のあるプレーンなしょうゆ味は、子供の頃食べたラーメンの記憶がよみがえります。

こちらも何もかけずに食べますが、半分ほど食べると最後に白コショウを一振りかけてスープを味わいます。

そして思うのです、この味には今時のラーメン店にある粗引き黒コショウではなく、粉の白コショウが合うなぁ~。


私がもう少し年老いたら、休日の昼下がりにぬる燗の清酒をちびちび頂き、

その後に蕎麦かなぁ~なんて考えながら、食べ終えて帰ります。

ちなみに東京っ子の家内は、この「食堂のラーメン」に入れ込む私の気持ちが分かってもらえません。

多分、私にとってのソウル・フード(魂に染み付いた食べ物)なのでしょう。


さて、今月のお薦めワインです。今月は新入荷が多いので、お薦め品も沢山ございます。


まずは北海道。余市・リタファームからは十六夜(イザヨイ)の白2種。

デラウェア種と、旅路種は共にアメリカ系の食用葡萄なので、グレープ・ジュースを思わせる香りがございます。

デラはその香りが穏やかで、旅路はマスカット系の香りが華やかです。

またこの2種の白は、共に葡萄の皮と種を一緒に発酵させているので、

オレンジがかった色調と、複雑な「にが旨み」を持っています。

スパイシーなアジア系の食事にいかがでしょうか。

千歳ワイナリーからはピノ・ノワール種で2種類。

葡萄は余市産ピノで最も有名な木村農園産。

少し冷夏だった15年産ですが、溌剌とした果実感が楽しめます。

一方、リザーブは最良の14年産ですから、一回り豊かな果実感と樽香が楽しめます。

札幌の藤野ワイナリーはハセ・ロゼ。

食用葡萄のワインですがキャンディ香も余り出しゃばらず、爽やかでフレッシュ&フルーティなスタイル。

還元香等のネガティブな風味が無く、自然酵母を手なずける術を見つけたのでしょう。

ただ、酸化防止剤・無添加なので、保管は冷暗所でお願いします。


次は長野県・小布施ワイナリーの白2種。

まずはアメリカ台木を使わずに自根栽培している白葡萄をブレンドしたヴィーニュ・フランセーズ。

栽培から渾身を込めた自社畑産ワインがこの価格はお値打ちです。

次はフランス南西部のプティ・マンサン種からの白。

この品種は低収量ですが、果皮が厚く高温多湿な日本でもうまく育つ注目の品種。

ここ小布施だけではなく、ココファームも山形で栽培しています。

価格はそこそこしますが、一度味わっていただければ良質な白の可能性を感じていただけると思います。


次は仏ボルドー地方からの上級品2種。

銘酒ピション・ラランドのセカンド・ワイン、レゼルヴ・ド・ラ・コンテスで最高の10年産がお値打ち価格で入荷しました。

次は安定して高評価を受けているシャトー・ラグランジュの12年。

共にこの2種は今の相場では1万円近くにはなるでしょう。

今開けるとフレッシュな果実味で楽しめるでしょうし、熟成香を望むのでしたら、

更に5年程待っていただければ、素晴らしい未来の贈り物になるでしょう。

もう少しお手頃な価格のボルドーは4種類。

マルキ・ド・シャスのレゼルヴで、サン・ジュリアン村の葡萄で造った赤。

作柄の良かった10年産だけに、完熟したカベルネ種からの杉を思わす香りが広がります。

スモーキーなポイヤック村系ではなく、デュクリュ・ボーカイユ系の瑞々しい果実味はまさしくこの村の特徴でしょう。

そしてシャトー・シトランのセカンド・ワインで最良だった09年産。

直近の収穫年でも2千円近いワインが、最高の09年産でこの価格は注目!

次は共にオー・メドック地区の人気シャトー、カントメルルと、ラネッサンの共にセカンド・ワイン。

11年産のラネッサンは溌剌とした果実感、08年産のカントメルルは少し熟成した風味が楽しめます。

やっぱりボルドーは熟成していなければ、、と言う方には2種。

まずはリストラック村のシャトー・フルカ・デュプレ96年。

カベルネ種が完熟したこの年は、ふくよかな果実味と豊かなタンニンを持っており、

21年を経て熟成香とタンニンが溶け込んできました。

これから数年間が熟成のピークだと思われます。

リュサック・サン・テミリオン村のシャトー・フランス・ド・ロックは良年の05年産。

12年を経てキノコやハーブ系の熟成香が開き始めました。果実味もふくよかで誰もが喜ぶボルドーでしょう。

ボルドーの最後は有機栽培で有名なシャトー・ル・ピュイのセカンド・ワイン。

濃度や、樽風味は無くても、透き通った果実感は味覚を充分満足させてくれます。

特別価格で入荷しましたので、ボルドーの自然派ワインを体験してみるには最適の1本でしょう。


次はブルゴーニュ地方から。今月は白の良品が多く見つかりました。

まずはシャブリ地区からで、名門ウィリアム・フェーヴルの1級ヴァイヨン畑のシャルドネ種。

1級畑らしい凝縮したミネラル感と果実味が幾重にも重なっています。

上級シャブリの理想と言える様な仕上がりです。

でも、やっぱりシャルドネ種はコートドール・ボーヌ地区が良いと思っている方には、3種類。

ムルソー村のアルベール・グリヴォーのACブルゴーニュ規格のクロ・デュ・ミュルジュ畑で13年。

一度メーカー欠品しましたが、作柄の良かった13年が再入荷しました。

ラベルを見ずに味わうと、まさしくムルソー村の様なふくよかで厚みのある味わいが楽しめます。

ピュリニー村に多くの畑を持つアンリ・ボワイヨ家のACブル白13年は、ボーヌ近辺の村のシャルドネ種をブレンドした白。

ブレンドによる厚みと調和したバランスの良さは、ちょっと驚くような仕上がりでした。

3番目はサヴィニー村のシモン・ビーズでペリエール畑のシャルドネ種14年。

13年に夫が急死し、妻の千砂さんは家族とドメーヌを背負って行く事を決意した14年。

NHKの番組で1年間取材を受けた、あの年の葡萄から生まれたワインです。

涙もろい私はつい、ひいき目で見てしまうのをお許しください。

そして目下、絶好調のフレデリック・マニャン氏が造る白2種。

マニャン家はモレ・サン・ドニ村ですから、当然ピノ・ノワール種を得意とする生産者。

なのにサン・ロマン村とACブルのシャルドネが驚くほどの出来でした。

自社畑では無いのに、この白の完成度はすごい!


ブルゴーニュの赤では、フェヴレ社が所有するポマール村の最上リュジアン畑からの赤で10年を経た07年産。

しかもこの年にこの畑を購入したので、初めての収穫で当然、力の入った仕上がりとなっています。

まだまだ熟成可能なポテンシャルを充分に感じさせます。

次は有名ドメーヌの少し熟成した入門ワイン2種。

ポマール村の名門、ミッシェル・ゴヌーのACブル11年。

この村特有の凝縮した果実味だけではなく、中心に骨格を感じさせる味わいはさすがです。

次はヴォーヌ・ロマネ村のミッシェル・グロで、こちらはお隣ニュイ・サン・ジョルジュ村の11年。

6年を経ていますが、この村特有の果実味とタンニンが今もたっぷり。

数年の我慢の後には、楽しい思い出が待っている事でしょう。

今からでも魅力たっぷりで楽しめるのが、 リュリー村の名門ラ・フォリーが造る特醸品キュヴェ・マリー。

発酵中タンク上部に集まる果皮を混ぜる際に、ピジャージュ(棒や足で果皮を混ぜる)をせずに、

ルモンタージュ(タンク下部から果汁を抜き、果皮の上に注いで混ぜる)だけで発酵させる為、

タンニンが柔らかく果実味が際立っています。


ロワール地方からは赤と泡の2種。

地元のラブレ組合が造るお値打ちシノン村の赤。

未熟な青さの代名詞だった、ロワールのカベルネ・フラン種ですが、

今では爽やかで溌剌とした味わいで、とてもバランスの良い仕上がりになっています。

ラングロワ・シャトーが造るクレマン(泡)は、4品種を使って複雑さと独自の味わいを持っています。

地元のシュナン・ブラン種50%、カベルネ・フラン種10%に、シャルドネ種30%、

ピノ・ノワール種10%を加えて、シャンパーニュ地方を超える泡を目指しています。

アルザス地方からは有機栽培を実践するクリスチャン・ビネール家のシルヴァネール種。

この品種、一般的には格下に見られていますが、この生産者は上級品種を超える味わいに仕上げています。

多分、先代か先々代が植えたシルヴァネール種を、

今も大切に栽培し、細心の注意を払って醸造しているのでしょう。

こういったやせ我慢に、私はつい応援したくなります。

南仏からはサンシニアン地区のスーリエが造るグルナッシュ・ブラン種主体の白。

有機栽培を実践し、醸造も自然派のスタイルで行っています。

一般に有機栽培は手作業が増え、収量も下がる為に価格が高くなってしまいます。

そんな中で栽培、醸造共に自然派のワインでこの価格は驚きです。ぜひ一度お試しください。

フランス南西部からはマディラン地区のシャトー・サン・ベナジ01年。

地元葡萄のタナ種は強烈なタンニン(渋味)が特徴で、飲み頃までは辛抱が必要。

01年産は16年を経て、タンニンがこなれ果実味と調和し、今まさに飲み頃の美味しさが楽しめる状態です。

シャンパーニュ地方からはお手頃価格の2種。

お値打ち感たっぷりのルノーブル・アンタンス・ブリュットは、シャルドネ種40%、ピノ・ノワール種30%、ピノ・ムニエ種30%。

特にシャルドネ種は有名なシュイィ村産で、切れの良い酸味がスーッとのびて味わいを引き締めています。

一方ドゥ・カントナール・ブリュットも、

シャルドネ種は有名なコート・デ・ブラン産60%に、ピノ・ノワール種30%、ピノ・ムニエ種10%。

もう一回りふくよかで、バランスの良い味わいが楽しめます。


イタリア・ピエモンテ州からは赤2種。

まずはフォンタナフレッダ社のバローロ村12年。

北部にとってこの年は難しい年でしたが、ここではバローロらしい豊かさと、風格のあるタンニンが楽しめます。

天候以上に、人の努力が成果を結んだ味わいです。

次はロベルト・サロットが造る、お隣バルバレスコ村の、リゼルヴァ規格で97年産。

この年のイタリアは最高の作柄に恵まれ、各地で素晴らしいワインが造られました。

味わいは完熟を超えて、干し葡萄からのワインを思わせる凝縮感が20年を経た今も感じられます。

伝説の97年産が入手できる最後のチャンスでしょうか。

南イタリアからは赤、白の2種。

南部ラッツィオ州のマチョッカが地元のパッセリーナ種主体で造る白。

ここの大地の恵みを全て味わってほしいとの思いから、果皮と種も一緒に自然派の醸造を行い、

瓶詰まで酸化防止剤を添加していません。

葡萄の風味に畑の空気、日差し、土壌を一緒に煮込んだような豊潤な味わいを持った白。

赤はシチリア島モルガンテ社のネロ・ダヴォラ種13年。

温暖な気候の中で完熟した葡萄は、凝縮した果実味と柔らかなタンニンが調和しています。

低収量栽培を守り、丁寧な醸造によって生まれた、バランスの良い良質な赤ワインに仕上がっています。


今人気のスペインからは赤と、白の3種。

温暖なテラ・アルタ地区の若い生産者アルタビン。

入門編とも言えるプティット・レッド12年は、ガルナッチャ種主体に、シラー種、カリニャン種のブレンド。

果実味とタンニン、スパイス感が5年を経て調和して来ました。

この価格ではあり得ない程の満足感と、バランスの良さが楽しめます。

次の赤は最高の産地リベラ・デル・デュエロで高評価を受けているヴァルデリス。

ここのファースト・ラベルは94点評価を受ける素晴らしい赤ですが、定価4,500円。

そこで入門編として造られたのが、同じ自社畑の葡萄でも樽熟成無しで瓶詰したホーベンです。

タンク熟成による瑞々しい果実味がたっぷりで、色調も縁まで真っ黒。

複雑さは無くても、この低価格でこのフルボディ感は驚きです。

白はナヴァラ地区のソルサルがガルナッチャ・ブランカ種で造る辛口。

温暖な産地とは思えない引き締まった青リンゴの味わいは、北部の冷涼な産地を思わせます。

スペインといえば今も赤ワインのイメージですが、近年、白の出来には本当に驚かされます。


昨年あたりから、社内で旨安ワインと言えばポルトガル産です。

スペインの隣で温暖な気候の中、葡萄は完熟し良質なワインが出来ますが、

輸出はポートやマディラばかりで国外のワイン愛好家には知られていませんでした。

ベーシックなエストリア赤、白は何と500円!

この価格でもバランスが良く、毎日の食卓に最適なテーブル・ワインです。

この上級品といえるのがエンコスタ赤、白でこちらは900円!

一回り豊かな果実味と、数品種のブレンドによる調和した味わいが楽しめます。

ニューワールドからは白2種。

オーストラリアのウェルウッドはピノ・グリージョ種からの白。

この低価格でも豊かな果実味と、ナッツを思わせる香ばしさが豊かに広がります。

次はお隣ニュージーランドからヴァヴァサワーのソーヴィニヨン・ブラン種。

グラスから立ち上る柑橘や夏野菜の香りと、爽やかな酸味のメリハリのある味わいは、

この品種のお手本になりそうな出来栄えです。


ハード・リカーからはブランディとリキュールの2種。

ガロティエ社のカルヴァドスは、有機栽培のリンゴを蒸留したブランデー。

リンゴの皮を思わせる香りが、グラスから華やかに広がります。

次はフィリップ・ド・ブルゴーニュがオート・コート・ド・ボーヌ地区の桃から造ったリキュール。

完熟を過ぎて、過熟したような桃の香りと、凝縮した風味はただ者じゃございません。

食後に、このリキュールを一口頂くと幸せな気分になる事、間違えなしです。

次はノン・アルコールのドリンク。

コニャック地方フェヴリエ家(仏・2月の意)のユニ・ブラン種100%果汁で、ガス無しと、ガス入りの2種。

そのままでも美味しいですが、同じコニャック地方産ブランデーに少量加えても美味しく頂けます。


次は今話題のワイン用保存器プルテックスのアンチ・オックス。

仕組みはよく解りませんが、柔らかなシリコン製で蓋状の物を瓶にはめると、ワインの酸化を抑えます。

当社では、ボージョレ・ヌーヴォーにつけて数日ごとに時間経過を見ましたが、

最後は1ヶ月を経ても、お酢にはなりませんでした。

ただ酸化した風味にはなりませんが、味が何か違う方向へ向かっている感じがしたのも事実です。

飲食店のグラス・ワイン用には、一度試してみる事をお勧めします。

食品では3種。

タツヤの柿の種と燻製ピーナッツは、ちょっと癖になる程の良い組み合わせに驚きました。

次は品切れていましたカリフォルニア産の枝付きレーズンが、別のメーカーで入荷しました。

最後は新入荷、ベトゥルッツェッリ社の瓶入りグリーン・オリーブ。

シチリア産でこの低価格。サイズは大950g、小290gがございます。

藤井 敏彦

2017年 2月

寒中お見舞い申し上げます。

本来であれば社長の藤井が、この「店主の独り言」を担当しておりますが、

今回のみ私、藤井雅裕(専務取締役)がお詫びとご報告を兼ねて書かせていただきます。


昨年11月、12月に多くのお客様から「新しいワインショップフジヰ ニュースは

まだ出ないのですか」とお問い合わせをいただきました。

社員一丸となって繁忙期の前にフジヰ・ニュースをお届けするため作業をしておりました。

しかし11月中旬、急に私は言葉をうまく喋ることが出来なくなり、

検査を受けたところ6cmを越える髄膜腫(ずいまくしゅ)という大きな脳腫瘍が見つかり、

摘出手術のため入院することになりました。

当社は社長を含め7人で運営している零細企業のため、

毎日の業務をこなすことで精いっぱいとなり、このニュースが年を越してしまいました。

また、私が欠けた事でお客様への接客や飲食店様への対応で

ご迷惑をおかけしたことが多々あったかと思います。

本来であればお会いして申し上げなければいけませんが、

ひとまずこのフジヰ・ニュース上でお詫びさせていただきます。

大変に申し訳ございませんでした。

幸い、理解あるお客様のおかげで、会社は何とか新年を迎えることができました。

本当にありがとうございました。

私は12月中旬に10時間を超える大手術が成功し、

合併症もなく、いくつかのリハビリをこなし、昨年末に退院することができました。

開頭手術というリスクの高い治療でしたが、トップレベルの技術を持った医師、

粘り強く、親身になってくださる看護師、

有数の技術を持った技士や療法士の方々のおかげで無事克服できたと思います。

中村記念病院の皆さま、ありがとうございました。

退院後は順調に回復し、少しずつですが仕事に復帰しております。

今後は健康管理に努め、皆様にご迷惑のかからないようにしていきますので、

今後ともよろしくお願いいたします。

最後に私を支えてくれた妻と二人の息子にこの場を借りて感謝の気持ちを表したいと思います。

貴方たちが居てくれたおかげで病気に打ち勝つことができました。

本当にありがとう。これからも末永く、共に笑い、共に泣き、時にはケンカし、楽しい人生にしていきましょう。

次のおすすめワインは入院明けの私ではなく、店主の藤井よりさせていただきます。


ではここからは、いつもの店主の藤井による今月のお薦めワインです。

まずは北海道から、千歳ワイナリーで新発売になったケルナー種の上級品、プライベート・リザーブ。

優良な区画のケルナーを遅摘みした白は、

非常に凝縮した果実味を持ちながら甘くなっていません。

豊かなミネラル感が味わいを引き締めているからでしょう。

こうして今までとは違った新しいタイプのケルナー種が出てくる事で、

道産ワインの品質がまた一段階上がりました。

次は道産ワイン大手、㈱北海道ワインからの自社農場の鶴沼産ゲヴュルツトラミネール種14年。

ここでは新型の選果機を導入して更なる品質向上を図り、

その上13年産より600円も価格を下げて14年産を発売しました。

今、道産ワインの各生産者は、品質と価格の両面で努力を重ねているのがわかります。


山形県からは、タケダ・ワイナリーのブラン・ド・ノワール(黒葡萄で造った白ワインの意)樽熟成14年。

黒葡萄のベーリーAを優しく絞り、その透明な果汁を樽に入れて発酵、熟成させました。

香りよりも味わいに、厚みとにが旨味等の複雑さを感じることでしょう。

フルーティーで果実味たっぷりタイプよりも、

この白は和食も含めてお食事との相性が良いと思いました。ぜひお試しください。

長野県の名門、小布施ワイナリーからは、お値打ちな品2種。

白は近隣にあるカクトウ農園のシャルドネ種で上級品レゼルヴ・プリヴェ15年。

小布施の曽我社長自身は過剰な新樽香を嫌う方ですが、 カクトウ農園の優良区画の

シャルドネ葡萄を見た時に、これは新樽100%で醸造しなければならないと感じたそうです。

ナッツやバニラの香りと凝縮した果実味は、分かりやすく言うと良く出来た「ムルソー村」のスタイルです。

赤ではオーディネール・メルロ&カベルネ14年。

ミディアムな果実味にタンニンと酸味が調和した赤。

柔らかで澄んだ果実味に、もう少しで熟成旨みも開きそうな気配です。


次は仏ボルドー地方から2種。

果実味とタンニンがたっぷりのボルドーがお好きな方にはムーリ村のシャトー・モーヴザン・バルトン11年。

この年から新オーナーとなったバルトン家が、高価な光学式選別機を使って厳格な選別をしているのでしょう、

11年産ですがグレート・ヴィンテージの様な凝縮感が楽しめます。

今後も楽しみな新シャトーが又一つ見つかりました。

次も同じムーリ村で名門、シャトー・プジョーのセカンド、ラ・サル・ド・プジョーで熟成した07年産。

ボルドーに濃さ強さを望む方にはお薦めしませんが、

枯れ始めた果実味に溶け込んできたタンニンの感じがお好きな方には、たまらない1本だと思います。

しかし、少し前までセカンド・ワインは早飲み用で熟成はしないと言われていましたが、

こういったワインを飲むと考えを直さなければなりませんね。


ブルゴーニュ地方からはトリコン家のシャブリ14年。

ここ5年ほど毎年、高騰を続けるブルゴーニュ。特に人気の高いシャブリ地区は

値上がり幅も大きい中で、お買い得シャブリが見つかりました。

安価なだけではなく、味わいにメリハリがありシャブリらしさが楽しめます。

安いだけで、薄っぺらで酸っぱいだけの白だろうと思っている方!そんな貴方にこそ飲んで頂きたい1本です。

赤では古酒に強いセリエ・デ・ウルシュリーヌ社で、ラドワ村のレ・ブリコット畑赤08年。

ブルゴーニュでお値打ち品を見つけるコツは、まず信頼できる生産者、

そして超有名ではない村の良い区画のワインを探す事です。

少しマイナーなラドワ村ですが、1級畑に接する東向き斜面(日当たりの良い)のブリコット畑はまさにその好例です。

今も表情が開いてとても美味しいですが、

古酒好きの私にはもう2~3年熟成させたいと思ってしまう程のポテンシャルを感じさせます。


ロワール地区では有名なサンセール村の名門アンリ・ブルジョワ家が造るお値打ちな白のプティ・ブルジョワ。

サンセール村のソーヴィニヨン・ブラン種は3,000円を楽に超えますが、

サンセール村の付近で栽培されたソーヴィニヨン種は、

村の物と近い味わいを持ちながらも価格は約半分になります。

次はモンムソー社が造るアンジュ地区のフレッシュなロゼ。

完熟した果実甘みと、澄んだ酸味が調和してとても爽やかです。

女子だけでなく、男子でも美味しく飲める甘さ加減だと思います。


人気のスペインからは2種。まずはカラタユド地区のNKホワイト。

標高1000mの高地で栽培されたマカベオ種からの白は、野暮ったさが無くクリーンで引き締まった味わいです。

赤では45番ロス・フレイレスのシネルジア・バリカ07年。

地元のモナストレル種80%にカベルネ種20%を樽熟成させた赤は07年産。

10年を経てモナストレル種の果実味と、カベルネ種のタンニンが、木樽風味と共に調和してきました。

やっぱり力のある赤は、10年前後経ることで美味しくなってくるのが分かります。


アメリカからは安価ですが、クエイル・クリークのワインが良かったです。

個人的にはシャルドネ種白と、メルロ種赤が、素直な果実味で甘さが気にならず、

バランスの良い仕上がりで気に入りました。

飲食店のグラス・ワインや、毎日の食卓に合わせるデイリー・ワインには最適の赤、白だと思います。


今注目のニュージーランドは、良質ですが小規模生産者が多い為、安価なワインが殆どありません。

そんな中でバードのピノ・グリ種(定価2,200円)が、在庫処分の形でお安くなって入荷しました。

完熟した果実味がたっぷりのピノ・グリ種に、6年を経た熟成旨みも開き始めて来ました。


食品ではスペイン産ホセ・ロウ社のオリーブ3種。

一番人気はアンチョビの旨みとオリーブの塩味が楽しめるアンチョア。

面白いのは熟成した梅干しを思わせるシットリ感の

ブラック・オリーブのネグラ・デ・アラゴンでしょう。

藤井 敏彦

2016年11月

今月は寝室のお話し。

もう季節は冬ですが、今年の夏も暑く寝苦しい日がありました。

夏休みのキャンプから帰って来た息子は、自分の部屋が暑いと言ってベランダにマットを敷いて寝袋で寝始めました。

翌朝体が痛くなっても知らないよと言っても聞かないのでそのままにした所、

風が気持ち良くて熟睡できたと言い、その後は毎晩ベランダ寝。

その数日後、家内が私も寝てみると言い出し実行。

すると家内と息子は毎晩、一つしかない寝袋をジャンケンで争うようになりました。

今まで家内は布団がフカフカしてないと寝られないと言っていたのに、

コンクリートの床に敷いた厚さ1センチ程のマットで寝ているのです。


1週間程して、家内は私にもベランダ寝を体験してみたらと言い出し、私もトライしました。

幅1.5メートル程の狭いベランダの床に寝てみると

コンクリートの床は確かに硬いのですが、薄いマットでも十分快適。

その日はベランダに出ても風を感じませんでしたが、

横になってみると床のあたりは心地良い微風が頬を撫でるように流れ、

見上げるとベランダの壁にさえぎられ細く切り取られた空でも星はキラキラ輝いています。


気が付くと寝返りもせずにぐっすりと寝いり、翌朝は日を浴びて気持ち良く目覚めました。

翌晩から私は部屋の寝床に戻りましたが、ベランダ寝は意外に楽しい体験でした。

更にベランダが気に行った家内は、夕食も折りたたみのテーブルと椅子を出して外で食べるようになりました。

北国にとって長くはない夏のひと時、

キャンプに行かなくてもベランダへ一歩踏み出せば、手軽に屋外の空気を楽しむ事が出来ますよ。


さて、今月のお薦めワインです。

まずは、ヌーヴォーのお知らせ。

今年もフランスから11種類、イタリアから2種類、そしてカシス・リキュールの新酒が入荷します。

今年初登場のユドロ・ノエラ以外は、当社で毎年安定した品質で人気の高い新酒ばかりです。

私はいつも熟成したワインばかりを探していますが、この時期だけは私も出来たての新酒が恋しくなります。

皆さんも、年に一回ぐらいは初物を味わってみませんか。


次は北海道の奥尻島から、シャルドネ種の白15年。

島の畑は海に近く、潮風は微量の塩分を葡萄の実に付着させます。

その実を発酵させると、塩分がミネラル感となって独自の味わいになります。

天つゆではなく、塩で食べる天ぷらに合わせてみては如何でしょうか。

そして、余市で15年に創業した平川ワイナリーのポワレ(洋梨の発泡酒)。

元洞爺湖ウインザーホテルのソムリエ平川氏が転身し、始めたワイナリーです。

通常のスパークリングワインは2~3気圧以上の発泡性がありますが、 こちらは約1気圧と僅かな微発泡。

ガス圧を楽しむのではなく、少し高めの温度で熟した果実の風味を味わって欲しいと平川氏は話していました。


仏ボルドー地方からはシャトー・カロン・セギュールのオーナーが所有する別シャトーのカベルン・ガスクトン02年。

この年はグレイトではなく平均的な作柄でしたが、収穫を遅らせたカベルネ種は良質な仕上がりになりました。

14年を経て青さもこなれて、熟成香と熟成旨味が楽しめる飲み頃ワインです。

次はサン・ジュリアン村のシャトー・タルボ11年。

この年パーカー90点評価の格付けシャトーで、この価格はかなりのお値打ち。

あと10~15年後の楽しみに取って置きたい方には、丁度良いボルドーだと思います。


お値打ちボルドーでは、大人気のオー・メドック・ジスクール12年。

柔らかでふくよかな果実味にタンニンが調和し、今から楽しめるバランスの良い赤です。

そしてこの価格は今の相場より2割ほどお得だと思います。

でも、やっぱりボルドーは10年以上熟成させなければ、、、という方には

オー・メドック・ド・ラベゴルス05年か、プルミエ・コート・ド・ボルドー地区のシャトー・レスコンブ93年。

ラベゴルス05年産は優良年らしい完熟した果実味と、11年を経た熟成香の両方が楽しめます。

レスコンブ93年産は23年を経た複雑な熟成香と、

少し枯れ始めた果実味にタンニンが溶け込んだ古酒の世界が感じられます。


そして今注目のボルドー・白では、シャトー・ラグランジュが造る新しい白、フルール・デュ・ラック13年。

このシャトーではソーヴィニヨン・ブラン種主体のレ・ザルム・ド・ラグランジュを造っていますが、

こちらは逆にセミヨン種主体で造られた白ワインです。

品種特有のふくよかな果実味と、樽発酵による木樽の風味は、かなり上級な白の満足感に近い物です。


ブルゴーニュ地方からは有名生産者が造る、ベーシックなピノ・ノワールの赤2種が入荷しました。

フィリップ・シャルロパン・パリゾのブルゴーニュ赤13年と、

モンジャール・ミュニュレのオート・コート・ド・ニュイ地区の赤12年。

共に瑞々しい果実味と、良質な樽からのバニラ風味が、グラスの中からじわじわと開いて来ます。

少しこなれたピノ・ノワールでしたら、クロワ・ブランシュの06年産ヴォルネ村の赤がお薦め。

10年を経た香りは、果実でもドライフルーツを思わせます。

味わいは香りよりも若い印象で、果実味に酸味とタンニンが混じり始めたぐらいでまだまだふくよかです。

価格は近年のACブルゴーニュ程で、人気の高いヴォルネ村の06年がこの価格は注目です!


フランスで今月の旨安大賞は、セクレ・ド・シェでトゥーレーヌ村のソーヴィニヨン・ブラン種。

この品種は柑橘系スタイルのタイプが多いですが、こちらは野菜系の香りがグラスから広がります。

当然ラタトゥユ等の野菜料理には最適の白でしょう。


イタリアではソアヴェの名門タメリーニ家の白。

この上に畑名付きの上級品もございますが、私にはこちらの並品でも十分美味しく楽しめました。

しっかりと味がありながら、濃すぎずに爽やかさもあって丁度良いバランス感が素敵です。

同じヴェネト州で有機栽培を実践するエンピリアのビアンコ・ディ・クストーザ白。

トレビアーノ種、ガルガネガ種に数品種をブレンドした白はフルーティ系ではなく、 野菜やハーブ系の風味が主体。

食事と共にゆっくりと味わいたくなります。


今月は熟成ワインでお値打ちな物が見つかりました。

カリフォルニアからはヴァレンタインのカベルネ02年。

昨年亡くなったここの創業者が、自分用に売らずに残して置いたワインを、

輸入業者が残された家族に頼みこんで限定入荷しました。

14年を経てもまだ果実味とアルコール感がたっぷりで、収穫時の果汁の力を感じずにはいられません。

更なる熟成にも十分耐えうる赤でしょう。

そしてドイツからはモーゼルシルトのヴュルツガルテン畑の遅摘みリースリング種で、

約20年を経た97年と、94年の白2種。

2種共に遅摘みし、完熟したたリースリング種の甘みと、豊かな酸味が今も溌剌とした印象。

カリフォルニアの赤は創業者の遺品でしたが、

こちらは蔵元のモーゼル・シルト社の廃業によって放出された、共にいわく付きのお宝ワインです。

通常、長期熟成を経たワインは、保管料や金利負担等によりどんどん高くなりますが、

今回の赤、白は、今発売されている若いワインと変わらない価格で入荷しました。

ですからこの商品が完売後は代品がありませんので、気になる方はお早めのご注文をお薦めします。


スペインからはシェリーの逸品です。

名門ヴァルデスピノ社が年に一回だけ発売する特別のマンサニージャ。

海沿いの場所で造られたこのフィノ・タイプは、別格の新鮮さと、塩味がはっきりと感じられます。

これ程に澄んだ味わいは、スペイン・ヘレス地方のシェリーの蔵元に行って、

特別に瓶詰前の樽から試飲をさせてもらったレベルではないかと思います。

シェリーをよくご存じの方にこそ、味わっていただきたいシェリーです。


ハードリカーでは、北海道・十勝ワインのブランデー原酒。

1985年に蒸留し、30年以上樽熟成させていた原酒を、加水せずに小瓶に詰めました。

59%のブランデーを生のまま極少量、舌の上に乗せると強烈な辛さと刺激が突き刺さります。

その刺激をこらえて、5秒、10秒待つと、今度は少しずつ甘味と果実感が感じて来ます。

ほんの数滴で舌の上では、地獄と天国の両方が体験できる貴重な液体と言えるでしょう。


今年も蜂蜜のお酒ミードが、元の蜂蜜と共に訓子府(クンネップ)から届きました。

菅野さんが蜂から採取した菩提樹の花の蜜。

この蜂蜜を発酵させたのがミードです。

特に菩提樹の蜜は複雑な風味と濃さを持ち、イメージする蜂蜜とは全く別の物です。


食品からはサバティーノ・タルトゥーフィ社のトリュフ・ソルト。

一般には「塩」単体にトリュフの香りを付けますが、

ここでは豆のさやにトリュフ香を付けて、それに塩を加えた為に、塩分はあまり強くはありません。

ですから味付けされたポテト・チップス等に振りかけても塩辛さは目立ちません。

ちょっと良質なオリーブ・オイルにかけると、即席のトリュフ・オイルになり、

このオイルを魚や肉料理にかけていただくと、高級レストランの味になったように思えます。

まずは2グラム入りの小袋でお試しください。


藤井 敏彦

2016年 9月

今月は本のお話しです。

今、当社でも扱っているマンガ仕立てのワイン・ガイドブック、小久保 尊(タケル)著「図解 ワイン一年生」。

私は仕事柄、ワインの本を見つけると購入するようにしていますが、この本は今まで見た事が無い衝撃的なワインの本でした。

著者・小久保 尊は33歳で、千葉県でワインバーのオーナー・ソムリエとか。


ワインは中世以降ヨーロッパでの飲み物だったので当然ですが、

国内のワインの本は現地の書物を翻訳するか、見本にする物が殆どです。

欧州では2000年以上の年を経て葡萄品種や産地が淘汰され、

各葡萄産地内では区画による品質の上下が認知されています。

しかし日本でワインが飲まれるようになったのは近代から。

そして今では世界各地でワインが造られるようになり、

物流の整備も進み札幌にいても世界各地の物が入手できるようになりました。

伝統的な産地では歴史を超えたワインが残り、

新興産地では今までワインを飲まなかった消費者に向けた新しいワインがどんどん生まれています。

しかし今までのワイン・ガイドブックは、欧州の伝説的なワインしか取り上げていませんでした。

この筆者は今、日本で買える様々なワイン(伝統的な物と、新興産地の物)を同列に並べて、

その時の気分や好みに合わせて選びましょうという切り口で本は書かれています。


この新しいワイン選びに使われるのが、産地ではなく葡萄品種による分類。

そして沢山ある葡萄品種を覚える為に、各品種をアニメのキャラクター化しました。

このキャラクターが良く考えられており、カベルネ・ソーヴィニヨン種は優等生の男の子、

シャルドネ種は誰からも好かれる可愛い女の子、

ピノノワール種は人を寄せ付けない気品と美しさをを持った女性といった具合。

まずはこの性格分けがとても的を得ていて感心します。

でも、いろいろワインを飲んで来ると、同じ品種でも違うスタイルの物がある事が分かってきます。

出身はフランス・ボルドー地方のカベルネ種だって、

アメリカや、チリで栽培されるとその産地の味わいが加味されて、少しずつ変わってきます。

そういった違いをこの本では、ボルドー地方では優等生タイプのカベルネ君が、

アメリカに行ったカベルネ君だとサングラスをかけていたり、

ブルゴーニュの地方のピノ・ノワールちゃんは黒毛で影のある暗さを持っていましたが、

アメリカのピノちゃんは金髪でガムをクシャクシャ噛んだ姿で違いを表現しています。


もう一点は品種や産地でワインを分類していますが、銘柄を明記せずに目安となるアバウトな小売価格を伝えています。

たとえば「日本のビールは350缶で230円ぐらいで、とても美味しいですよ」と書いてある感じです。

当然ビールメーカーはキリン、アサヒ、サッポロ、サントリーがあり、

各社とも何種類か出していますが、どれを飲んでも美味しいですよと言う事でしょう。

この手の本は筆者の好みが当然あり、普通は好みのメーカーの商品が推奨されています。

この推奨銘柄が無いという事は、勘ぐって言うとメーカーのお抱えになっていない事です。

ガイド本を見て各名産地の推奨品の輸入元が1社に集中していると、

多分この筆者はその会社と関係があり、味ではなく自分の都合で銘柄を選んでいると思われます。

このデリケートな部分をこの本はバッサリと捨てました。

ブルゴーニュの説明で、「千円、二千円台でブルゴーニュを買えば、

まずひどい目にあうと思っておいた方がいいです」と言って、

ピノ好きな筆者は安物買いでガッカリするぐらいなら、五千円以上の物を買ってピノの良さを堪能してほしいそうです。


このあたりの割り切りの良さは、私も業界関係者だけに「アッパレ」と言いたい気分です。

内容の約1/3はマンガ仕立てで読みやすく、文章の所も重要な所は始めからアンダーラインが引いてあります。

誰もが読みやすい「おちゃらけた本」に見えますが、筆者のワインに対する思いは公正で、厳格で、何より純粋なのでしょう。

ワイン好きでしたら、1本買うのを我慢してでもこの本をジックリ読んでみてください。

結構、ワインの本質を突いているような言葉に出会える事でしょう。



さて今月のお薦めワイン、まずは北海道から。

余市のオチガビ・ワイナリーのバッカス種15年。

創業から3年を迎え、栽培、醸造、共に安定してきました。

そして今までケルナー種より高額の設定だったバッカス種の価格が、15年からお安くなりました。

お得な価格でふくよかな果実味と、熟した風味が楽しめます。

次はタキザワ・ワイナリーのミュラー・トゥルガウ種15年。

この年からミュラーは醸造法を変えて、3種類の醸造法でワインを造りブレンド。

フルーティな果実味はそのままに4割ほどを果皮と種と共に醗酵させた事で、

果皮からのタンニンや旨みが味わいに厚みと輪郭を与えています。

地元の葡萄を醸造によって更に磨きあげる試みがなされています。

そして十勝ワインのピノ・ノワール13年。

地元ワインのパイオニア、十勝ワインが造るピノは熟成させ飲み頃になってから発売しています。

今、道産ワインの多くは15年の中で、13年産を発売するのはメーカーの心意気でしょう。

3年を経て熟成旨みが少し開いて来ました。

長野県・小布施ワイナリーのメルロで、葡萄は佐藤明夫氏のキャトル・サンク農園の14年。

やはり長野産メルロは完熟感があり、ボルドー右岸の物に近い風味を持っています。

涼しい北海道にはない、熟したチェリーの果実味とスモーク風味が楽しめます。


フランス・ボルドーからは、シャトー・レオヴィル・ラス・カーズが造るクロ・デュ・マルキ10年。

何度も言いますが、値上がり前の10年産を見つけたら即、買です。

完熟感と凝縮感がたっぷりで、二周りは豊かな風味が楽しめます。

将来の楽しみに取って置きたいワインでしょう。

さて、ボルドーの09、10年産は当然美味しいですが、今、狙い目はその前後の年です。

オー・メドック地区の大規模シャトー、ボーモン11年。

この年は思いのほか出来が良く、めっけもんが見つかる年。

そして次は高額で知られるポムロル村から、クロ・ブラン・マゼイル11年。

熟したメルロ種からの豊かな味わいの赤は限定の入荷です。

ラベルではなく、中身と価格を優先する方にお薦めします。

日本で大人気シャトー・モンペラと同一オーナーで、トゥール・ド・ミランボーのレゼルヴ赤。

完熟したメルロ種からのチェリー・シロップ風味に、

上質な木樽の風味が混じってこの価格ですから、お隣、英国での人気もうなずけます。

作柄の良かった09年と、06年産マグナム瓶が限定入荷。

ボルドー地方シャトー・ル・ノーブル11年は大変お得なオーガニック・ワイン。

自然派ワインに多い癖などはなく、素直な果実味ときめ細かなタンニンが楽しめます。

今月入荷のフランス赤で、旨安大賞決定!


ブルゴーニュ地方からは、良質な白2種が入荷。

白の名門アンリ・ボワイヨのブルゴーニュ規格の白12年と、

シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェが、シャサーニュ村のシャルドネ種で造る白11年。

共に数年を経て若さが落ち着き始めた頃で、そろそろ飲み頃になって来ました。

こういった名門生産者の物でこなれた物は滅多に見かけません。

今、シャンボール村でグングン評価を上げているエルヴェ・シゴーのシャンボール13年。

有機栽培からの澄んだ果実味と、清らかな酸味がとってもチャーミング。

現在7,000円以上しているこの村の赤が、この価格は見逃せません。


ピノ・ノワール種の赤のお値打ち品では次の3種がお薦め。

まずは大人気ジャエ・ジルが造るパストゥグラン11年。

セメントタンク熟成ですが一部を樽熟させたのでしょう、うっすらスモークが香ります。

ピノの香り高さと、ガメイ種のコクが、5年を経て混じり始めています。

二番、セリエ・デ・ウルシュリーヌは自社畑ではなく、ネゴシアン(ワイン商)のワインですが、

ここのブルゴーニュ規格のピノ・ノワールは素晴らしい作柄だった02年産。

14年を経た熟成香と共に、素直な果実味が今も十分楽しめます。

三番目はニュイサンジョルジュ村のはずれに暮らすショーヴネ・ショパンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ12年。

4年を経てニュイ地区特有のタンニンと、果実味が調和してきました。

旨安の中でも私が一押しするのはショーヴネ・ショパン。

正にこれからが飲み頃の、お値打ちで良質なピノ・ノワールです。

今月はヴォルネ村でビオディナミ栽培を実践するフェヴリエ家の飲み頃赤が限定入荷しました。

まずは本拠地ヴォルネ村の98年産。

18年経た豊かな熟成香と、熟成旨みがきれいに楽しめます。

そして隣のボーヌ村に所有するシャルドヌロー畑の赤で98年と96年。

こちらは共にもう少し熟成が進み、香りに紹興酒や麹のニュアンスがありますが、

味わいは果実味とタンニンが調和した感じで香りよりは若い印象でした。

約20年を経た名醸地のワインとしては破格にお安く、味わいもまだしっかりしています。

誕生年の方だけではなく、古酒入門にも最適なワインでしょう。


南仏からは白、赤2種のワインです。

白ではラ・クロワ・グラシオがピクプール種からの辛口。

長女が醸造を担当し、フレッシュな果実味とミネラル感が調和した白に仕上げています。

地中海沿岸で採れる生カキだけでなく、魚介類にピッタリのワインです。

赤ではラストー村のコンブ・デューが造る赤で2000年産。

作柄の素晴らしかったこの年ですが、16年を経て今ではほとんど見かけない貴重なワインです。

味わいはグルナッシュ種と他の品種が調和してきましたが、今も強さを持っています。


ロワール地方からはサン・マルタンのミュスカデが、少しお安くなりました。

瓶詰め後2年を経てフレッシュさが落ち着き、少し味わいが調和して旨味がのって来ました。

この価格は注目です!

山のふもとサヴォワ地方からはリュパンがルーセット種で造る白。

アルプスからの澄んだ空気を味わうような爽やかな味わいです。


イタリアからはエミリア・ロマーニャ州で有機栽培を実践し、

バリバリの自然派の醸造を行うイル・ヴェイの赤、白が入荷しました。

若干、自然酵母由来の酸化風味がございますが、澄んだ果実感と、旨味を感じさせる味わいはここ独自の物です。

赤ではボッター・カルロ社のサリーチェ・サレンティーノで、樽熟せさせたリゼルヴァ規格。

この価格で強さと、複雑さを持った赤は中々見つかりません。

そして更に2~3年熟成させる事も十分可能でしょう。


カリフォルニアからはメーカーで品切れていた旨安ワイン、

エイリアスのシークレット・エージェント赤がやっと再入荷しました。

今までこの地では単一品種の濃くて強い味わいのイメージでしたが、少しずつ調和のとれたタイプが出て来ています。

この赤も数品種のブレンドで、ミディアムな果実味とバランスの良い味わいが楽しめます。


スペインからのお薦めは白1種と、赤2種。

白はアラゴン地区ランガのパイ・ブランコ。

ここの畑が3.14ヘクタールだったことから畑名を「パイ(円周率)」と名付けました。

古木のガルナッチャ・ブランカ種を樽熟成した白は、筋肉隆々の引き締まったスタイルでほれぼれするほどです。

シャルドネ種を使わずに、2,000円以下で、パーカー氏が90点は付けそうな出来に「あっぱれ!」と言ってあげたい出来。

赤ではメルム・プリオラーティのアルディレス07年。

プリオラート地区の急斜面畑で栽培された、ガルナッチャ種、カリニェナ種、他が9年を経て少し調和してきました。

この地区の赤は通常3,000円以上するのに、半値に近い価格でパーカー91点の出来。

こちらも又「あっぱれ!」の出来です。

最後はスペインの天才的サッカー選手、イニエスタ氏のワイナリーの上級品でプレミウム。

シラー種、カベルネ種、等3品種のブレンドを18ヶ月樽熟成させた赤は、凝縮した果実味と木樽風味が充分楽しめます。

サッカーファンでなくても納得できる上級ワインです。


次はウィーンのあるオーストリアからの白。

この国の白グリュナー・フェルトリーナー種は良質な事で知られますが、小規模生産者が多い為に価格も、3000円前後します。

フーグル家の白は半値以下の価格で、品種特性がしっかり楽しめます。

ちなみにこの白品種、岩見沢の10Rワイナリーさんが少量栽培しています。


今月はカリフォルニアから良質な物が多数入荷しました。

白はヴィラ・マウント・エデンがビエン・ナシード畑のシャルドネ種で08年産。

8年を経てグラマラスな完熟感と、カスタード・クリームを思わせる木樽風味が混じり始めた「コテコテ」の白。

バターをたっぷり使った料理が恋しくなります。

アメリカの赤で名産地と言えばナパ・ヴァレー地区ですが、値段もハイクラス。

コン・クリークは地元農家とのネットワークを生かして、お値打価格で良質なワインを造っています。

カベルネ種のタンニンと、シラー種の果実味を生かしたこの赤は、価格以上の濃さと豊かさを持っています。

一度ナパ・ヴァレーを飲んでみたいと言う方には最適の入門ワインでしょう。

ナパのカベルネ種で有名銘柄を追いかけると値段は数万円以上になりますが、

地元で多く栽培されるジンファンデル種では頂点の物でも1万円ほど。

カリフォルニアでコスパを求める方は、この品種抜きには考えられません。

サイクルズ・グラディエーターは、日当たりの良い事で知られるパソ・ロブレス地区のジンファンデル種を中心にブレンドし、

フレンチオーク樽でしっかりと熟成させる事で、フルーティさと複雑さの両方が楽しめます。

そしてオーク・リッジのエイシェント・ヴァイン。

ジンファンデルの銘醸地ロダイ地区の自社畑の中でも、最高齢120年~80年木の実を使って醸造した逸品は、

ネクターやシロップの様な果実味と骨太なアルコール感が口の中で爆発します。

アメリカン・スピリッツの真髄とも言える強烈なワイン。


ハードリカーからは、モルト・ウイスキーの最高峰ザ・マッカランの18年。

日本でもNHKテレビ「マッサン」の放映後、ニッカ、サントリーの熟成年数入りの物は完売したままです。

今から20年以上前、世界のハードリカー市場はウィスキーからラムやテキーラ等を使ったカクテルに需要が移り、

当時ウィスキー原酒の生産は激減しました。

そして近年になって、モルト・ウィスキーがブームになると、

飲み頃の原酒が少なく18年等の長期熟成品が今、生産出来ない状態になっています。

何せ、今から原酒を増産しても発売できるのは18年以上先なのですから。


今月の食品からは2種のジュースです。

ヴァンドームのクラシックは、ワインからアルコールを抜いて、炭酸を加えたスパークリング・タイプ。

今まで数多くのノン・アルコール・ワインを試飲しましたが、我慢できる物がありませんでした。

しかしドイツ製のヴァンドームは、きれいにアルコールだけを抜き取った印象で、

味わいはかなりワインに近いものに感じました。

日本からはは倉敷味工房で作られた夏みかんジュース。

ネクターの様な濃さは無くても、素直な果実感と柑橘の皮を思わせる爽やかな苦旨味が、大人でもお代りをしたくなります。

藤井 敏彦

2016年 6~7月

私は朝日新聞の金曜夕刊に載っている「さっぽろレトロ建物グラフティ」の記事は欠かさず見ています。

この記事は札幌のレトロな建物を写真ではなく(ここが重要!)松本浦さんのイラストと、

札幌の出版社を経営されている和田由美さんの温かみのある文で楽しく紹介しています。

そして16年5月27日のこの欄に、お付き合いのある平岸の酒屋「加島屋」さんが紹介されました。

昔、加島屋さんが北3条西2丁目の角で営業をされていた頃、私は北2条西2丁目に住んでいたのでよく伺っていました。

今年1月に亡くなった加島屋の主(あるじ)、廣岡さんは私より年上で、私にとってお兄さんの様な方でした。


私が若い頃、加島屋さんに自宅用のウィスキーを買いに行くと、

「学生のうちは安い物でいい、残ったお金で乾き物を買え」と指導されました。

その後廣岡さんは結婚され、ワインの試飲会ではいつも奥さんと二人というか、

奥さんのまさ子さんが子供をおんぶして3人で参加され、

まさ子さんは口直しのフランスパンやチーズを器用に背中の子供に食べさせていました。


廣岡さんのファッションは札幌南高のバンカラさと、アイビー・スタイルが融合した黒いエプロンと、いなせなねじり鉢巻き。

何時お会いしてもこのスタイルで、これを棺おけの中まで貫き通した、真のダンディな方でした。

お酒と缶ピースをこよなく愛し「灰皿にタバコを吸わせなくていい」が信条で、

数回吸うと爪で火種を落として火を消し、 又吸いたくなるとシケモクに火を付けて美味しそうに吹かしていました。


この連載は3年ほど続いており、家内と私は気になった建物を見に行ったり、

営業中のお店ですと中に入ってみたり、街歩きを楽しんでいます。

小樽と比べると古い建物が少ない札幌ですが、

和田さんは築50~60年でもいい味を出している建物をセンス良く見つけてくるなあと毎回感心して読んでいます。

そしてこの「さっぽろレトロ建物グラフティ」は、朝日新聞・北海道版のホームページ

www.asahi.com/area/hokkaido/articles/list0100133.htmlでも見ることが出来ます。


今月のお薦めワインです。

タキザワ・ワイナリーから今の北海道に最適なロゼ・ワイン2種。

余市産の黒葡萄キャンベル種のロゼは、醗酵前に葡萄を潰さず低温管理して

果皮の風味を果汁に浸透させ、果汁を発酵させたフレッシュで風味豊かな辛口。

もう一つのロゼは、茶色い旅路葡萄からのスパークリング。

こちらは醗酵初期の数日間は果汁に果皮と種も漬け込み、 オレンジの色調に旨みと複雑さを持ったスタイル。

食前酒だけではなく、食事と共に楽しめる太さを持っています。

奥尻ワイナリーで、一番人気の白ピノ・グリ種15年が入荷しました。

この島特有のコクとミネラル感は、特に白ワインで魅力を発揮します。

これからが時期のアスパラや、サラダ仕立ての前菜には最適の白です。

ただ、この15年産も生産者では完売でしたので当社在庫のみ。ご希望の方はお早めに!

三笠・山崎ワイナリーのバッカス種白15年は、

ふくよかなこの品種の特性を生かし、 少し甘みを残した中口に仕上げています。

次は道外の国内産ワイン。

山形タケダワイナリーのお徳用ワイン、蔵王スター1.8L。

山梨など本州の葡萄産地では、今も一升瓶ワインの需要があります。

生産農家ではコップや茶碗で気取らずに楽しんでいるのでしょう。

ジンギスカンなど人数が集まる時には最適な1本。


曽我 彰彦さんごめんなさい、今回もお薦めは佐藤家親子が栽培し、彰彦さんが醸造したワインです。

彰彦さんが炎天下で一匹、一匹、油虫を潰して有機栽培を行っているのはすごい事です。

でも曽我家自社畑物の半額に近い値段で佐藤家産シャルドネ種とソーヴィニヨン種も大変上質なのです。

長野の本家を守る兄・曽我彰彦さんと、余市の弟・曽我貴彦さんは、

共に自社畑だけではなく近隣の畑の葡萄からも安価で良質なワインを造っています。


次はフランスから、安価でも良質なボルドー2種。

シャトー・カスティロンヌ11年。こんなに安くても、ミディアムな果実味とボルドーらしいタンニンがちゃんと楽しめます。

この価格でこの味わいは驚きです。

次はマルキ・ド・シャスのグランド・キュヴェ07年。

9年を経てメルロ種とカベルネ種が調和をし始め、今もたっぷりとした果実味と熟成した風味の両方が楽しめます。

多分、優良な区画の葡萄だけから造られたのでしょう、上級品の味わいを持っています。


続いてブルゴーニュ地方からは、シャブリ村の頂点に立つ生産者ヴァンサン・ドーヴィサの14年が入荷しました。

正直言って1級畑でもないシャブリがこの価格は驚きですが、

ここの特級畑は14,000円で当社の割り当ては数本しかもらえません。

約6,000円はしますが、一度シャブリの真髄を味わってみませんか。


この4~5年、毎年高騰を続けるブルゴーニュ地方コート・ドール地区。

お値打ちなブルゴーニュを探すのが困難な中で、見つけたのがソヴェストル家のサントネ村の白。

ふくよかな果実味と木樽の風味が5年を経て調和してきた味わいは、上級シャルドネの典型とも言えるスタイルです。


南仏からはシャトーヌフ・デュ・パプの赤でシャトー・フォルティアのキュヴェ・バロン。

ここの通常のパプはグルナッシュ種70%ですが、このバロンは60%で代わりにシラー種が10%多く使われます。

これにより味わいは黒コショウのスパイス感が幾分穏やかで、果実感が豊かな赤になります。


次はロワール地方でソーヴィニヨン種最良の産地サンセール村から、対照的な白2種が入荷しました。

ポール・ドウチェ家のサンセール14年。

この村産だと3、000円以上する中で、3割以上お安いこの価格はぜったいお得。

柑橘の香りが広がり、爽やかな酸味と果実味が溌剌とした典型的なソーヴィニヨン・ブラン種の白です。

一方セバスチャン・リフォー家のサンセールはカルトロン13年。

リフォー家はビオディナミ栽培を実践し、醸造も自然酵母を使って、乳酸発酵も行うバリバリの自然派スタイル。

同じソーヴィニヨン種を使っていながらドウチェ家とは対照的で、

収穫も遅らせ貴腐葡萄混じりで複雑さと旨味がたっぷりな白に仕上げています。


イタリア・ピエモンテ州からはニコレッロが造るネッビオーロ種で99年。

ここはワインを樽熟成した後にステンレスタンクに入れて、 タンク上部の空いた所は不活性ガスで満たして長期熟成させます。

こうすると酸化が殆ど起こらず、果実味は豊かなままで熟成できます。

17年前のワインでも個体差が少なく、安心して飲む事が出来ます。

ビアンカーラのイ・マシエリはイタリア自然派の白で最も知られるワイン。

有機栽培を実践し、ガルガーネガ種主体で自然酵母、亜硫酸無添加等の自然派の醸造法で造られた白は、

通常のソアヴェとは大きく異なり、複雑でミネラル感と酸味が前面に出てきています。

自然派の入門には最適の1本だと思います。


イタリアで旨安ワインをお探しでしたら、まずはアブルッツォ州産モンテプルチアーノ種の赤でしょう。

この州で最大級の生産者トロ協同組合は、大手でありながら品質を両立している貴重な造り手。

ここの上級品リゼルヴァ11年が現地で有名なワイン専門誌で最高の3★評価を受けました。

最高評価を受けながら、この価格は驚くべき事です。そして、更に数年熟成させる余力も十分です。


スペインからは、南部イエクラ地区のカスターニョが造るソラネラ12年が特別価格になって再入荷。

地元のモナストレル種主体にカベルネ種他をブレンドし、樽熟成させた赤はパーカー氏94点評価。

この12年産の評価は2年ほど前にされ、当時ジャムっぽかった果実味も今では落ち着き始め、

各品種と木樽が調和した味わいになって来ました。この価格で94点のワインはあり得ないと思います。


スペインの白では2種類が良かったです。ラ・ビエンは地元のアイレン種からの爽やかな白。

この低価格で温暖な産地ですと、アルコールが目立ったり、 苦みが目立つ事が多いのですが、

この白は綺麗でバランスが良く仕上がっています。間違いなく、今月の旨安白に決定!

もう一つはリオハ地区の大手カセレス社がアルバリーニョ種で造る白。

このリアス・バイシャス地区はスペインとしては涼しく、酸とミネラル感が引き締まった味わいで、

価格も2,500~3,000円はする白で最良の産地。この特別価格をお見逃しなく!


カリフォルニアからはメーカーで品切れていた旨安ワイン、

エイリアスのシークレット・エージェント赤がやっと再入荷しました。

今までこの地では単一品種の濃くて強い味わいのイメージでしたが、少しずつ調和のとれたタイプが出て来ています。

この赤も数品種のブレンドで、ミディアムな果実味とバランスの良い味わいが楽しめます。


こちらもカリフォルニア産の、ウーマン・オブ・ザ・ヴァイン。

このワインは収穫年を見てわかるように、数年熟成した物。

メーカーの在庫処分価格で入荷しましたが、味わいは6~7年を経て美味しくなって来た頃。

フランスだけではなくカリフォルニアでもチリでも、丁寧に造ったワインは熟成して美味しくなります。

この価格ですから偉大なワインではありませんが、この価格で熟成旨みと複雑さがチョッピリ楽しめます。


実は当社の酒類販売免許は全種類なので日本酒や焼酎も扱えますが、

知っての通り店内に並んでいるのはワインか洋酒類です。

そんな中、あるワインの輸入業者の試飲会で清酒の出展もあり、

担当者が試飲して良かったと言うので、当社でも扱いを始めました。

新潟県越つかの酒造の飛来、私は清酒の味わいの表現は未熟な為に言うのも恥ずかしいのですが、

一升瓶で1,560円とそんなに高くない価格としては純米酒らしいコクと旨みを持っていると思いました。


食品からは、オリーブの種を抜き、そこにイワシ(アンチョビ)の身を入れたおつまみの缶詰。

当社ではアンチョビ風味のオリーブは、900g(業務用の大瓶)しか扱いがありませんでしたが、

小ぶりな350gの缶入りが入荷しました。

通常の瓶入りオリーブはお酢の酸味で嫌いな方も、アンチョビの旨み成分が合わさる事で日本人が好きな味になります。


フランスからはドゥルイ社オーガニックのリンゴ酢とマスタード。

共に澄んだ味わいは、有機栽培から来ているのでしょう。

調味料は調理中に使ってもいいですが、小皿に少量取って食卓に置き、お醤油の様に付けて食べるのもいいですよ。

絵具のパレットの様に、マスタードや、ビネガー、柚子こしょう、わさび等を並べるだけで、食卓が華やかに彩られます。

藤井 敏彦

2016年 5月

まずは先月の話の続きで、転落した方のお義母さんから電話があり 、経過も良くご本人は退院されたと連絡がありました。


さて今月はワインでも少し専門的なお話。

内容はマロ・ラクティック発酵(Malo-Lactic Fermentation 以後MLFと略す)についてです。

北海道のような涼しい産地のワインは、香り高くフルーティで豊かな酸味が特徴です。

寒冷地のワインに多く含まれる酸味がリンゴ酸で、味はレモンの様なシャープな酸味が特徴。

このリンゴ酸(マロ)を、乳酸菌(ラクテック)が醗酵(ファーメンテーション)して、

乳酸に変わる事をMLF(マロ・ラクティック発酵)と呼びます。

一般にドイツやシャブリなどの爽やかな白は、「MLF」を行わずにリンゴ酸を味わいの特徴に生かしています。

しかし、シャブリ村と同様にシャルドネ種で白を造るムルソー村では、

アルコール発酵後に「MLF」を行って、リンゴ酸を乳酸(ヨーグルトの酸味)に変え、

更に樽熟成させることで穏やかな酸と複雑さを持ったスタイルになります。


さて北海道に根付いたワイン用葡萄と言えば、ドイツ系品種の白・ケルナー。

この品種はフルーティな果実感と、爽やかな酸味が特徴なので、

今まで道内の生産者はMLFをせずに、リンゴ酸を生かした爽やかなタイプに仕上げていました。

そこに元ココファーム醸造長ブルース氏の10R(トアール)ワイナリーが、ケルナー種でMLFを行ったのです。

10Rのケルナーが発売したての頃は、MLFの風味はそんなに目立ちませんでしたが、

半年を過ぎた頃から酸味が穏やかになり「旨味」を感じさせる味わいが開いて来ました。

その旨み成分が、和食や日本のお惣菜にとても相性がいいのです。

多分、味噌やしょうゆなど発酵調味料を使った料理に、旨味を持ったこのワインが寄り添ってくれるのでしょう。


今も多くの道産ケルナー・ワインはMLFを行わずに爽やかなスタイルに仕上げていますが、

最近試飲をした藤野ワイナリーのケルナー14年はのっけからMLF風味。

一般的な北海道産ケルナーの味わいとは全く異なりますが、

このワインを味わった時に従来の壁を打ち破った新しいワインのスタイルを見つけた感じがしました。

MLFによる穏やかな酸味と、旨味、そして味わいを引き締めるミネラル感は、日本の食事に寄り添ってくれます。

酸と果実味でメリハリのあるスタイルか、旨味とミネラル感のタイプを選ぶかは?

飲み手のお好みや、合わせるお食事で選ばれるのがよいと思います。

そして間違いなく言える事は、北海道産ワインはどんどん進化をしています。


さて、今月のお薦めワインです。

まずは余市のオチガビ・ワイナリーと、千歳ワイナリーで、共に15年産ケルナー種からの白。

この2種のケルナーは、MLFを行わずにフレッシュ&フルーティに仕上げた白。

これからが時期のアスパラや、サラダ仕立ての前菜には最適の白です。

奥尻ワイナリーからは、ピノ・ノワール種からのロゼ。

ベリー系の華やかな風味主体ですが、アフターに潮風からのミネラル感と言うか、複雑さが味わいを引き締めています。

栃木県ココファームからの白は、やっと入荷した農民ドライ15年。

ここは自社畑が狭い為、日本各地の優良な農家さんから葡萄を購入して、良質な日本ワインを造っています。

このワインのうち約半分は余市産ドイツ系白葡萄が使われており、フルーティで香り高い味わいの中心を担っています。

山梨県名産の甲州種からの白は、中央葡萄酒が造るグレイス・甲州15年。

中央葡萄酒は甲州種の品質向上の為に、有名なボルドー大のデュブルデュー教授にコンサルタントを依頼し、

そこで得たノウハウを県内の同業他社に公開して、甲州ワイン全体の品質向上に力を注いでいます。

そして、この山梨県・中央葡萄酒の子会社にあたるのが、北海道の千歳ワイナリーです。


次は仏ボルドー地方から。 私は何度も言っていますが、

「素晴らしい作柄だった09年、10年を値上がり前の価格で見つけたら、迷わずに即、購入です!」

メドック地区で評価を上げているシャトー・スグ・ロング・モニエで09年産を見つけました。

完熟した葡萄からの旨みと、凝縮したコクが楽しめるでしょう。

次は今では貴重な存在になってきた05年産を、ペサック・レオニャン村のシャトー・ルーヴィエールで見つけました。

粘土質が少なく砂利質のグラーヴ地区は、濃度はミディアムですが香り高いスタイルに仕上がります。

収穫から11年を経て、この村特有のタバコの葉や葉巻を思わす熟成香と、木樽の風味が混じり始めた頃でしょう。

シャトー・デギュイユ・ケレは今注目されるカスティヨン地区で評価を上げている小さな(2.4ヘクタール)シャトー。

この価格ですが、ふくよかな果実味とローストした木樽の風味(新樽率6割)がしっかり楽しめます。

そしてこの11年産は仏アシェット誌で1★評価を受けています。


私の近年の持論は「安物ブルゴーニュ白を買うなら、丁寧に造られたボルドー白の中堅クラスを!」。

大人気シャトー・モンペラのオーナーが造る、シャトー・トゥール・ド・ミランボー白はまさにこのパターン。

トゥール・ド・ミランボー白12年の並品「パッション」でも十分美味しいですが、

同じシャトーの上級品「グラン・ヴァン」白は8年を経ただけあって木樽と果実味が混じり始めた熟成香が楽しめます。

バターを使った魚料理や、鳥や豚肉のシンプルなグリルが食べたくなりました。


さて、ブルゴーニュ地方からはボーヌ村の名門シャンソン社の古酒で、93年産ボーヌ1級マルコネ畑。

実はこの赤はまだ未試飲ですが、良い生産者と良い畑で23年を経たピノ・ノワール種が、

この価格でしたら、93年生まれで無くても買うべきでしょう。

この年の作柄も平均よりは少し良好でしたので、官能的な熟成香を期待しております。


さて、皆さんはワインの栓がコルクじゃないとダメでしょうか?

ボーヌ村の超名門!ジョセフ・ドルーアン社のサン・ヴェラン村(定価3,300円)の白で、

スクリュー・キャップ仕様が限定・特別価格で入荷しました。

瓶の中身は一緒で、栓が異なるだけで約3割も安いんです。

外見よりも中身を優先される方に、ぜひお薦めします。

次はデュボワ・ドルジュヴァルのサヴィニ・レ・ボーヌ村のピノ。

しかも素晴らしい作柄だった02年産で、タストヴィナージュ・ラベル。

このラベルは特級畑の中にあるクロ・ド・ヴージョ城で、この地の利き酒騎士団がブラインド試飲を行い、

各産地の特徴が味わいに認められたワインにだけに与えられます。

14年を経た今も、02年産らしい豊かな果実感が楽しめます。

そして、定評ある造り手ドミニク・ローラン氏のショレ・レ・ボーヌ村で作柄の良かった12年。

古木葡萄が多く残った畑を見つけ出し、風味豊かなワインをマジック・カスクと呼ばれる独自の樽で熟成させ、

果実味だけでなく旨みと複雑さを持った味わいに仕上げます。

味わった後の満足感は、ボーヌ村でも1級畑クラスを思わせます。

ジュヴレ村フィリップ・ルクレールが造るブルゴーニュ規格の赤13年。

ボン・バトン畑はシャンボール村で国道の東側の区画。

完熟を待って収穫した葡萄を自然酵母で長時間醗酵させ、しっかりと樽熟成させます。

このボン・バトンは造り手特有の凝縮感と、シャンボール村の上品さが毎年安定して楽しめます。

サヴィニ村の名門モーリス・エカールの赤。

お家騒動から本家と息子夫婦が分かれ、本家は畑を売却しましたが、

今もモーリス氏本人が醸造して昔の名前で販売しています。

さてこのワイン、酸とタンニンが味の中心に位置しており、

素直で飾り気が無く、食事と共に味わいたいタイプ。

しかも赤は1級畑で、近年ではあり得ない価格。

現代的なワインが無くしてしまった、何か、年老いた親父の背中を感じさせる様な味わいでした。


南仏からはミシェル・ガシェ氏がローヌ地区の古木葡萄で造った

赤(グルナッシュ種85%、シラー種15%)は、 アルコール15.5%!

パーカー氏も93点評価したこの12年産は、4年の熟成を経て濃さ強さは落ち着いて来ました。

少しこなれた味わいの南仏・赤でこの価格は充分お値打ちだと思います。


ボルドーの隣、南西部マディラン村からはアラン・ブリュモン氏が持つ2つのシャトー。

シャトー・ブースカッセはオーナー自身が住み、愛着のあるワイン。

地元のタナ種からの濃さ強さと共に、繊細さを合わせ持つバランスの良い赤。

一方、斜面の畑を有するシャトー・モンテュスは、タナ種の可能性を追求し凝縮と緻密さを極めた赤。

強烈な濃度を持ちながら、きめ細かで上品さすら感じる不思議なワイン。

この2つは常に90点以上の評価を受けて、マディラン村の頂点に君臨しています。

プレミアム・シャンパーニュ2種が、特別価格で入荷しました。

89年より無農薬栽培を実践するドラピエ社の大人気銘柄カルト・ブランシュ。

ピノ・ノワール種主体(75%)、ドサージュは通常の約半分の6~7g。

亜硫酸は約1/3に留めていますが、味わいは骨太で強さがあり、お食事と合わせたいタイプです。

一方、複雑さとスケール感のある味わいで知られるゴッセ社の代表銘柄がグランド・レゼルヴ。

ピノ・ノワール種42%、シャルドネ種43%、ピノ・ムニエ種15%のベース・ワインはMLFを行わず、

長期熟成(平均60ヶ月)によって酸味との調和と、豊潤な味わいを身につけています。


イタリアからはバローロ村の協同組合テッレ・デル・バローロが造るリゼルヴァ規格のバローロ。

人気のこの村で、有名生産者の物は1~2万は超えてしまいますが、組合が手掛けたこの赤は良心的な値付け。

しかも収穫は作柄の良かった07年。 頂点の生産者ではありませんが、

9年を経た飲み頃の07年産がこの価格は、ネビオロ種好きには気になる事でしょう。

さて、白ワインとは、葡萄の皮を入れずに搾った果汁だけを発酵させます。

赤ワインと同様に白葡萄を潰し果皮や種と共に発酵させると、酸化が進む事で赤茶けた色と、

皮や種からのタンニンで複雑な味わいになり、近年こういったワインを色調から「オレンジ・ワイン」と呼んでいます。

伊のオレンジ・タイプで有名なピエモンテ州のトリンケーロが入荷しました。


スペイン・ワインからは、大人気の生産者ファン・ヒルがカラタユド地区で造る赤オノロ・ベラ。

スペインのガルナッチャ種は、同じ品種である仏グルナッシュ種より果実味と骨格が豊かになり、

このワインでもその特徴がうまく生かされています。

ガルナッチャ単体でも風味豊かで、バランスの良いワインに仕上がっています。


オーストラリアからは冷涼地ヤラ・ヴァレー産ウィッカムズ・ロードのシャルドネ。

この国特有の果実味は程々に抑えられ、代わって酸味とミネラル感が色どりを感じさせます。

濃すぎず、奥行きある味わいは、お食事と調和し共に楽しめるスタイルです。

次もオーストラリアで冷涼なジーロング地区から、

ビトウィーン・ファイブ・ベルズが日本向けに造った「ジャパン」と言う名の赤。

シラーズ種にネロ・ダヴォラ種、ネビオロ種、ピノ・ムニエ種、リースリング種、シャルドネ種の不思議なブレンド。

オーストラリアに多い甘い果実感が無く、柔らかで繊細な味わいは、北国の赤を思わせる仕上がりです。


蒸留酒では有名なオスピス・ド・ボーヌ競売会のワイン用葡萄で造られたマール(ブランディ)。

近年マール、グラッパは、日本のアルコールの品質基準が厳しく、

事前検査で引っ掛かり輸入が困難になって来ました。

13年を経たマールと言うだけでも、この価格はお値打ちだと思います。


食品では岡山県の倉敷味工房から丁寧に作られた各種ソースが入荷しました。

全体に濃い味わいではないので一口目は物足りないのですが、

試食の為に豆腐にかけてゆっくり味わうと、自然な旨味がじわじわと広がります。

特に私はデミグラス・ソースと、ウースター・ソースが気に入りました。

藤井 敏彦

2016年 4月

ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、

3月中旬の深夜に当店の隣にある飲食店が入ったビルで転落事故がありました。


9階のお店で歓談されていた方が、非常階段から転落して当店の屋根に落ちたのです!

夜の2時頃で当店は無人でしたが、そのビルの飲食店の方が大きな音に気付き、

非常階段から下を見ると屋根の上に人が倒れており、119番通報したそうです。

すぐに救急車だけでなく、消防車やパトカーが何台も来て、

店前の一方通行の道路は黄色のテープで閉鎖され、まるで映画のような状況だったそうです。


何も知らない私たちは当日も朝から普通に仕事をしていたら、

隣のビルの本社の方が来て事故の状況を知らせてくれました。

一緒に3階の非常階段に行くと、屋根のビル側の所が少し凹んでいて、

その先に血の跡と半分に割れた眼鏡が落ちていました。


屋根の修理等については中央警察署に行って担当の方と話をして欲しいと言われ、

中央署へ行くと担当の刑事さんが来て上の階に移動。

そこは小さな部屋が並んでいて、中に入ると小さな机と椅子だけで、どう見ても取調室。

話を聞くと落ちた方は意識不明の重体で、屋根の修理等はその方の意識が戻ってからと言われました。

二日後、「社長さんはいらっしゃいますか」と年配の女性が来店。

聞くと転落した方の奥さんのお義母さんで、大阪から札幌に着いて、事故現場を見に来たそうです。

お義母さんによると落ちた方の意識は回復されたそうで、

何度も謝り「いやぁ~、落ちた先がいい社長さんで良かったわぁ~」と大阪弁でおっしゃっていました。

さらに次の日は病院に付きっきりだった転落した方のお母さんも来店。

息子さんは話が出来るようになったと聞き私も一安心。


当日の夜、息子さんは9階の飲食店にいましたが、

トイレに行くと言ってなぜか非常階段を下りて行き、6階でバランスを崩して落ちたようです。

うちは2階建てですが、屋根は3階の高さなので6階から3階分だけ落ちたのと、

落下場所がコンクリートではなく、傾斜のあるトタン屋根でバウンドした為に最悪の事態にならなかったようです。

後日、大阪のお義母さんから上等な昆布の佃煮が届き、

電話で佃煮のお礼を言うと、息子さんのスマホが無いとの事。

私も両方の親から菓子折り等を頂き恐縮していたので、後で建物の間の通路を探してみますと伝えました。

閉店後に懐中電灯と脚立を持って柵を乗り越え、隣り合う3軒のビルとの隙間を探すと、アイフォンが見つかりました。

6階から落ちたのにガラス面が割れてもなく無事なアイフォンを見て、

これもお母さん方の思いのお陰と感じました。

スマホを見つけた事を伝えると大変喜び、翌日にまた菓子折を持って来て下さいました。

親にとって子供は、幾つになっても大切で守ってあげるべき存在なのでしょう。

最後に、当店はお酒を販売しています。

「酒は百薬の長」とも言われますが、量を過ぎれば悪い事しか起きません。

私自身も含め、適量で楽しくお酒と接して行かなければと改めて思いました。


さて、今月のお薦めワインです。

北海道からは増毛のシードル(辛口)。

ここのシードルは、本場フランス・ノルマンディ地方の物より果実感がしっかりあります。

リンゴの収穫は秋ですが、増毛では蔵でリンゴを越冬させ春になってから仕込みを行います。

このひと冬の熟成が、味わいに豊かさをもたらしているのでしょう。


仏ボルドーからはメドック地区のシャトー・カルカニュー10年。

まずは素晴らしい天候だった10年産。

品種はカベルネ種が主体でメルロ種が25%しかなく、ボリューム感はミディアム・ボディですが、

カベルネ種特有の杉を思わせる香りが楽しめます。

ふくよかな赤がお好みでしたら、同価格帯で同じメドック地区の

シャトー・ピエール・ド・モンティニャック10年が、メルロ種40%でよりグラマラスな味わいが楽しめます。

ボルドー右岸ブライ地区のシャトー・グラン・マレショー10年。

こちらは完熟したメルロ種が75%で、さらに完熟した果実感がふくよかです。

内側を強く焦がした樽からのスモーキーな香りと共に、ゴージャスな味わいが楽しめます。


仏ブルゴーニュ地方からは、クリストフ・ブリチェック氏の本拠地モレ・サン・ドニ村のクロ・ソロン畑12年。

高騰するブルゴーニュで、人気のモレ・サン・ドニ村の赤がこの価格は注目。

さらに味わいも果実味とタンニンが詰まっており、

ピノ・ノワール種としては骨太なタイプ。ジビエ(獣肉)と合わせたくなる赤です。


南仏からは今絶好調の生産者サンタ・デュックの自社畑2種。

ロエ村のクロット畑は、グルナッシュ種とシラー種のブレンドで、作柄の良かった09年産。

7年を経て少し熟成感も楽しめるお値打ちの赤。

一方本拠地ジゴンダス村に所有する畑、8区画のブレンドした赤がオー・リュー・ディ11年。

濃さ、強さ、スパイス感だけではなく、スミレやピノ・ノワール種を思わせる凛としたニュアンスがあります。

時間と共に開き始める風味をゆっくりとお楽しみください。


次はロワール地方で一番人気、サンセール村の白。

メロ家はこの村の名門で、有機栽培を実践しています。

華やかな柑橘とハーブの香りに、溌剌とした酸味と果実味が織りなす

爽やかな味わいはサンセール村の理想とも言える仕上がり。

定価4、000円の品が驚きの価格で入荷いたしました。

この価格でしたら箱で買うべき!


アルザス地方からはシュルンバジェ家の特級ケスラー畑産ゲヴュルツトラミネール種の白。

華やかなライチやドライフラワーの香りがグラスからどんどん広がります。

凝縮した果実味とアルコール感が9年を経て調和し、飲み頃の美味しさが開いて来ました。

素晴らしい天候だった07年産は、今や貴重な存在でしょう。


グリニャン・レ・ザデマール地区は元「トリカスタン」と呼ばれていたワイン産地。

以前1,500円程していたワインですが、馴染みの無い新名称で販売が苦戦したのでしょう。

マラール・ゴーラン社でこの地区の赤が、安価な価格で入荷しました。

グルナッシュ種、他南仏系5品種程のブレンドで、ミディアムでスパイス感が調和した味わいが楽しめます。


イタリアからは北部フリウリ州産ボルゴ・マグレード社のワインが特価で入荷しました。

特にカベルネ種の赤と、シャルドネ種の白は遅摘みしたのでしょうか、ふくよかで完熟した果実味が楽しめます。

オリジナルの瓶とラベルも斬新で、かなり気合の入ったワインだった事が分かります。

次はイタリアで大人気の白、ソアヴェのお値打ち品。

ラ・ソガーラのソアヴェはふくよかな果実感と爽やかな酸味が楽しめる味わいで、

この価格でしたら2~3割は安い感じがします。

14年の天候が良かったか、良い区画の葡萄を使っているのか、

明らかにこの価格以上の風味を持っている感じがしました。

トスカーナ州はヴェラザーノのキャンティ・クラシコ・リゼルヴァ11年。

クラシコ地区の中でも有名なグレーベ地区の生産者。

通常5、000円の品が特別価格で入荷しました。

抜栓当日よりも、翌日の方がタンニンが豊かに広がりましたので、デキャンタされた方が楽しめると思います。

久しぶりに驚いたキャンティ・クラシコです。

お値打ち品では、レッチャイアが造る現代的なトスカーナ州の赤。

サンジョベーゼ種に、カベルネ種とメルロ種をブレンドで、最高の年10年産。

今も果実味たっぷりですが、6年を経て少し熟成感も開き始めています。


有機栽培、自然酵母による醗酵といった自然派ワインの流れは、スペインにも飛び火しています。

仏ブルゴーニュのシャソルネで修業したフランス人オリヴィエ氏は、スペインへ行き独自のワインを造りました。

安価な方の、ライヨス・ウヴァは自然派特有のアニマルや硫黄を思わす還元香はありますが、

澄んだ味わいでダシ系の旨味をハッキリ感じます。

上級品のヴァリャーダは、明らかに複雑さが出てきます。

粘土や羊の生肉の香りに、果実味と細かなタンニンが重なり厚みがあります。

柔らかさと硬さが両立した味わいは、もう少し熟成をさせるべきなのでしょう。

価格や産地、品種を超えて、ここまで真剣に試飲をしたワインは久しぶりでした。

自然派の波長に合う方には大絶賛されるでしょう。


次はオーストラリアの自然派ワイン。

温暖なこの国で一番冷涼なヴィクトリア州ヘンティ地区で90年に開墾、現在はビオディナミ栽培を実践。

手摘み収穫後に自然酵母で発酵、ノンフィルター、

瓶詰め時に極僅かな(35ppm)SO2添加と、バリバリの自然派醸造を行っています。

この国らしい果実甘さが無く、旨味と風味が詰まった味わいは他に類を見ないスタイルです。


次は人気のチリ。仏シャブリ村の生産者がチリで始めたワイナリー。

あえて古樽で熟成させたシャルドネ種の白は、一般のフルーティーなチリ産ワインとは異なり、

酸、ミネラル、樽が、味わいに複雑さと奥行き感を与えています。


最後は新入荷のシェリーですが、古い方には懐かしい 往年の名門「ドン・ソイロ」が再発売されました。

従来のイメージ以上の品質を目指し、アモンティリャードは12年、

フィノでも8年以上熟成させたプレミアム・シャリーです。

昔の味を知る方だけではなく、初めての方にもお薦めします。

藤井 敏彦

2016年 3月

先日家内と真駒内の六花文庫に行って来ました。

ここは元、六花亭の真駒内店だった建物を、「六花文庫」という名の図書館(利用料金は無料です)にして運営しています。

この建物は趣のある一軒家で、中は間仕切りのない吹き抜け。

この中に、お菓子の六花亭らしく食に関する本だけが壁一面に何千冊と並んでいます。

フランス料理、和食、そば、ラーメン、はてはジンギスカン等々。

さらに食べ物だけではなくワインや、お酒、コーヒー、日本茶、とにかく口に入る物の本がすべて網羅されている感じ。

室内には読書をしながら、うたた寝したくなる様なソファーや椅子が20脚ほど置かれ、座り手を待っています。

私は前から読みたかったセレナ・サトクリフ女史(世界で最も有名な女性ワイン評論家)の本を見つけ、

ソファーで3時間ほどゆっくり活字を追いながらくつろぐ事が出来ました。


さて、社長さんの仕事は会社をどう運営するかを決めること。

これを現実的に言い換えると、売上のお金を何に使うか決めることです。

前に私は余裕ができたら二人乗りのスポーツカーが欲しいとここに書きました。

会社の規模は全然違いますが、六花亭の社長さんは市民が利用できる図書館を建てて、

フジヰの社長はスポーツカーを買っていたら、我が社の社会貢献は無きに等しい事になります。

そう思うと、私は六花亭の社長さんの爪の垢でも煎じて飲まなければという気持ちになって来ました。


さて、今月のお薦めワインです。

北海道からは余市リタファームの十六夜(イザヨイ)シリーズで、ナイヤガラ15年。

ライチやマスカットの甘そうな香りですが、味は爽やかな酸味が心地良い辛口。

食前酒や、前菜の盛り合わせに最適な白でしょう。

        
仏ボルドー地方からはミラード社のポイヤック村94年。

この年の作柄は正直言って難しい年でした。

でも22年間の熟成香と、果実味とタンニンが調和する事で生まれたこの複雑な味わいは 5年や10年では絶対に出来ません。

果実味は少し枯れ始めてはいますが、22年という歳月をこの価格で入手できる事はないでしょう。

次はシャトー・オー・バージュ・リベラルが、オー・メドック地区の畑で造った赤。

作柄の良かった09年産ですから、ボルドーは濃さと豊かさが無いと寂しいという方にも楽しんで頂ける赤です。


ブルゴーニュ地方ではヴァンサン・ルグー氏の白。

ロマネコンティ社を退社して始めた自身のドメーヌは、風味豊かな味わいの赤で地元では今、大注目。

そこで出てきたのがこの白。どんな物かなと試飲をしたら、赤と同様に風味豊かでバランス良。

ルグー氏のワインは、赤、白、共に要チェックです。

今月もサヴィニ村のシモン・ビーズ家のワインが数種入荷しました。

中でも1級マルコネ畑の03年産は、一押しの赤。

上品な味わいが売りの生産者ですが、暑かった03年産は高い糖度から一回り豊かな骨格と味わいを持っています。

13年を経て高かったアルコール感も味わいに溶け込み、複雑で奥行きのある味わいが期待されます。


ルイ・ジャド社が所有するデュック・ド・マジェンタ社の赤。

白で知られるシャサーニュ村ですが、サントネ村側はピノ・ノワール種に適した土壌。

中でも1級モルジョ畑はこの村の赤でも最上の畑で知られています。

15年を経た今でもタンニンが主張し、更なる熟成のポテンシャルを感じさせます。

ルモワスネ社の10年産ブルゴーニュ規格の赤、白。

とにかく10年産を見つけたら即買いが鉄則。

完熟した果実味と豊かな風味は、他の年ではあり得ません。

今でも美味しく、5年後は豊かな熟成香が楽しみです。

ロベール・マチスのコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュで、熟成した08年。

8年を経て、なめし革や木桶を思わせる熟成香が広がります。

僅かに枯れ始めた果実味に、酸味とタンニンが調和した昔風なピノ・ノワール。

華やかな樽香は無いですが、少し野暮ったい感じが可愛らしく感じたのは私だけでしょうか?

ロワール河プイィ・ヒュメ地区のブノワ・ショヴォーのコトー・デュ・ジェノワ白。

火打石土壌のソーヴィニヨン・ブラン種は、華やかなハーブ香、オレンジやミカンを思わす果実味と豊かな酸味がたっぷり。

口に含むと、舌の上で風味がどんどん広がります。

この味わいで、この価格は驚きの出来!今月一番感動した白です。

バスク地方エリ・ミナのイルレギー白。

地元のグロ・マンサン種、他を使って濃さと複雑さを持った独自の味わいの白。

果実味よりもミネラル感が主体で、エビ、カニの濃厚さに負けない強さを持っています。

イタリアからはカ・デ・マンドルリのガヴィ。

地元コルテーゼ種の白ですが、リースリング種を思わせるミント系の香りと、小気味良い酸味が爽やかに広がります。

もっと北の産地の白を思わせる仕上がりです。

スペインからはカリニェーナ地区の赤ソルテオ。

このワイン、わざわざオーストラリアの醸造家にコンサルタントを依頼し造られました。

地元の葡萄3品種をブレンドし、フレッシュな果実味にタンニンが溶け込んだ柔らかなスタイル。

スペインらしさよりも、バランスのいい味わいを優先したのでしょう。


ドイツからはセント・チャールズのアウスレーゼ。

実はこのワインはアイス・ワイン用の葡萄でしたが、

温暖化で収穫日の気温が-7度しか下がらず、アイス・ワインを諦めアウスレーゼに格下げした白です。

-10度以下になれば2倍の価格で売れたのでしょうが、仕方なくこの特売価格になりました。

そんな訳で完全なアイス・ワインではありませんが、

このお値段でネクターの様な凝縮感と、清らかな酸味が楽しめるお値打ちな逸品です。

アメリカからオレゴン州ピノ・ノワール種の赤2種。

仏ジョセフ・ドルーアン社の故ロベール・ドルーアン氏が米オレゴン州を訪れ、

ピノに最適な地である事を確信して畑を購入、最愛の娘ヴェロニク・ドルーアン女史を派遣します。

その後、彼女の努力がオレゴン州全体の品質向上に貢献したのは有名な話。

そのヴェロニクさんの自社畑ドメーヌ・ドルーアンと、

ネゴシアン物に当たるクラウドラインのピノ・ノワール種が特別価格で入荷しました。

彼女の理想のピノはシャンボール・ミュジニ村だそうです。

二種共にニューワールドに多い樽香や濃度ではなく、

上品で凛としたシャンボール・スタイルのピノ・ノワールです。

チリからはラポストール社のアレクサンドル・メルロ。

コンサルタントに仏ミッシェル・ロラン氏を起用し、

ふくよかで柔らかな果実味とスモーキーな樽香が楽しめる、理想的なメルロ種の味わいが楽しめます。


最後は食品から。帯広・あいざわ農園産山幸種の葡萄果汁。

北海道でワインのパイオニアと言えば十勝ワイン。そしてこの地区でも新たな葡萄生産者が、活動を始めています。

先月当社に、甘味と酸味がはつらつとした9月収穫の果汁が入荷しましたが、

今月は少量ですが糖度の高い10月収穫の果汁も入荷しました。

タイからキングス・アイランドのココナッツ・チップス。

ジャンキーフード的ではなくナチュラルな味付けで、このお値段ですからどなたにでもお薦めできます。

マレキアーロ社製アンチョビ(カタクチイワシ)のオイル漬け。

地中海産のイワシをアルバニアで加工して、この価格が実現しました。

塩分控えめで素直な味は、ライ麦パン等にのせてそのままお召し上がりください。


藤井 敏彦

2016年 2月

12月30日の仕事納めの後は、31日に時計台で年越し。

翌1日、家内と息子が実家へ里帰りで千歳空港へ向かい、

一人になった私は話題の映画「スターウォーズ」を見に行きました。

映画は息つく暇も無い程に凄い出来で、私は大満足。

昨年の正月は戦車の映画「フューリー」を見て、一昨年は「ゼロ・グラビティ」ですから、

文芸路線好きの家内とは全く趣味が合いません。

家内は正月を実家でゆっくり過ごし、私は「ドカーン、バキューン」系の映画と、

つかの間の独身生活でエネルギー充填。

まずは布団を和室から居間のストーブの前に移動し、万年床体制にします。

後は本を読みながら昼寝をしたり、テレビや映画を見て、腹が減るとお雑煮とお餅を食べる生活。

習慣で毎朝一回は体重を記録しますが、こちらも何とか65キロ未満をキープ。

今年、唯一の汚点は、赤ワインを飲んでいる時にくしゃみをしてしまい、

布団のシーツに赤い水玉模様を付けてしまったことでしょうか。

職場であるワインショップフジヰも1月4日からは通常営業となり、

1月9日は今年最初の土曜試飲会。

僅か数日間の怠惰な生活でしたが、自分一人の生活は青春時代に戻ったような気分でした。


さて、今月のお薦めワイン。

はこだて・わいんのドルンフェルダー種からの赤。

この珍しい葡萄は、定評ある農家・余市の中井農園産。

この黒葡萄は果皮だけではなく、果肉も果汁も血の様に赤い為にふくよかな赤ワインとなります。

北国の赤の中では風味に青さや未熟さを感じず、バランスの良い味わいを持っています。

次は余市の新しい生産者・三氣の辺(ミキノホトリ)産、旅路葡萄の泡。

醸造は札幌の藤野ワイナリーで、自然酵母による醗酵とオリ引きをせずに瓶詰。

しかし、こうした自然派の醸造に多い還元香や、変なくせが目立たず瑞々しい果実感のきれいな仕上り。

食用葡萄だった旅路種ですが、ワインの可能性をはっきりと感じました。

上富良野の多田農園産メルロ種の赤。

特に黒葡萄の作柄が良かった14年らしく、13年より一回り豊かな果実味と、

自然酵母による醗酵からの柔らかな旨みを感じました。

そして、㈱北海道ワイン(おたるワイン)の自社農場・鶴沼の新製品で、ブランとルージュです。

従来ここでは単一品種のワインでしたが、 ブランはゲヴュルツトラミネール種とミュスカ種を、

ルージュはレンベルガー種に数種の黒葡萄をブレンドしています。

このブレンドが功を奏し、味わいに厚みと複雑さが楽しめます。

広大な自社畑を持つ同社だけに、このお値打な価格も大きな魅力と言えるでしょう。

更に同社が満身の力を込めたのが、定価5,000円でピノ・ノワール種と、ツバイゲルト種の上級品。

特にツバイゲルト種は新酵母による醗酵で、酸味と果実味が調和し、若くてもバランスの良い味わいが楽しめます。

長野からは小布施ワイナリーの泡。

北海道民にとって嬉しい事は、このワイン余市産ミュラー・トゥルガウ種と、ケルナー種が主体。

さらに長野産シャルドネ種をブレンド後、瓶内二次発酵できめ細かな泡を得ています。

このドイツ系品種とシャルドネ種のブレンドがいいのか、この価格とは思えない複雑な味わいが楽しめます。

次は余市の新しい生産者オーバーシーズのロゼです。

余市でも有名な藤本農園を引き継ぎましたが、醸造は山梨で行い山梨産葡萄を1割加えています。

伊の醸造家コタレッラ氏の協力もあって、初めてとは思えないバランスの良い仕上がり。

フレッシュなロゼですが、赤に通じるタンニンと旨みが楽しめます。


仏ボルドー地方からはサン・ジュリアン村シャトー・ラグランジュのセカンドワインで10年。

ここは毎年、安定して高品質を保っていますが、2010年はさすがに一回り濃さ強さを持っています。

その10年産がこの価格でしたら、相場より3割ほどは安いと思います。

ボルドーはせめて10年は寝かさないと飲みたくないと言う方には

オー・メドック地区のシャトー・トゥール・デュ・オー・ムーラン04年。

タンニン豊かな伝統的スタイルのボルドー・ワインが、12年を経て飲み頃となって入荷しました。

サン・テミリオン村のシャトー・ピュイ・バルベは最高の年2000年産。

メルロ種主体のワインが16年を経て豊かな熟成香と、少し枯れ始めた柔らかな味わいが楽しめます。

次はフロンサック村シャトー・ムーランのキュヴェ・ピヴェール11年。

このワイン、ボルドーでは少ない自然派のワインで、有機栽培されたメルロ種を

タンクで醗酵、熟成(12カ月)後、酸化防止剤のSO2を無添加で瓶詰めしました。

ラベルは人の頭を小鳥が突いている絵にバツが付いています。

多分このワインを飲んでも、二日酔いの頭痛が起こらない事を表現しているのでしょう。

ご興味ある方は、ご自身でお試ししてみませんか?

グラーヴ・ド・ヴェイル地区のシャトー・ベル・エール07年。

約5割のメルロ種にカベルネ・ソーヴィニヨン種とフラン種をブレンドした赤は、

9年を経て果実感とタンニンが調和し始めた頃。

革製品を思わせる熟成香も開き始め、正にこれからが飲み頃の美味しさが楽しめます。

さてボルドーと言えばイメージはシャトー元詰ですが、

探すと大手ネゴシアン(ワイン商)のワインにも安価で良質な物がございます。

大手のジネステ社が造るボルドー規格の赤、白がとてもよかったです。

赤のマスカロンは最高の年10年産で、完熟した果実味と木樽の風味が6年を経て調和してきました。

このワイン、仏アシェット誌での2★評価が納得できる味わいです。

白のマルキ・ド・シャス13年は、ふくよかな果実感がたっぷり。

品種はソーヴィニヨン種とセミヨン種が5割ずつですが、

現時点ではソーヴィニヨン種からの柑橘風味が華やかに開いています。


仏ブルゴーニュ地方からはシャトー・ド・サントネのブルゴーニュ規格の赤と、メルキュレ村の赤で、

共に作柄の良かった12年産ですから、熟した果実味が楽しめます。

高騰が続くブルゴーニュで、メルキュレの村名付きがこの価格は注目です。

次、アントワーヌ・シャトレは大手ネゴシアン(ワイン商)のブランドですが、収穫年と価格を見て下さい。

今や7~8,000円以上するシャンボール村の赤で、少しこなれた08年産が驚きの価格です。

濃度勝負ではなく凛とした果実感に、品のある酸とタンニンが調和した姿はまさにシャンボール村の味わい。

そして抜栓後、小一時間程経つと、少し妖艶なピノの魅力が開き始めます。

想像力豊かな方には、たまらなく魅力的なピノでしょう。

次もボーヌ村で評価の高いネゴシアン(ワイン商)のワイン3種。

まずはシャンソン社の白。モンタニー村のシャルドネ種で作柄の良かった12年産。

南部シャロネーズ地方らしい柔らかな果実味を、爽やかな酸と上品な木樽風味が調和しています。

そして名門ジョセフ・ドルーアン社のワインは、

ボーヌ村の葡萄だけで造られた、コート・ド・ボーヌ13年の赤、白。

特に白はドルーアン社を代表する1級クロ・デ・ムーシュ畑の若木も加えられています。

ミディアムで上品なスタイルは、お食事と共に時間を掛けて味わっていただくと、うっとりする表情を見せ始めます。

そして、注目のカナダ人パトリック・ピウズ氏が造るシャブリ。

果実味よりも酸味とミネラル感を優先した味わいは、骨太な酸と石を舐めたような硬質感の余韻が続きます。

この独特のスタイルは、シャブリの地でしか生み出すことが出来ない味わいなのでしょう。

お値打な物では、ベルトラン・アンブロワーズのコトー・ブルギニヨン赤、白。

白はタンク熟成とは思いますが、この価格とは思えない程ふくよかな果実感。

一方この赤は通常ガメイ種とブレンドしていますが、

13年は雹の為かガメイ種の収穫が無かった為にピノ・ノワール種単体で仕込まれました。

こちらも、低価格のピノとは思えない濃さと複雑さが楽しめます。ぜひ、煮込み料理と共にお楽しみください。

そして、ブルゴーニュで一番のお薦めが、ベルナール・ドラグランジュのブルゴーニュ赤。

ここは飲み頃まで熟成させてから出荷するため、今販売中のブルゴーニュ規格の赤が04年産!

この年特有の豊かなタンニンが、12年を経て果実味と調和し始め、熟成旨味と共に飲み頃の美味しさが楽しめます。

そして、この驚くようなこの低価格、古酒の入門には最適な1本です。

ヴォーヌ・ロマネ村の名門、グロ家の本家であるミッシェル・グロのニュイ・サン・ジョルジュ10年。

何度でも言いますが、値上がり前の価格で10年産を見つけたら即買いです。

10年の素晴らしい天候から完熟した葡萄が収穫された為、この年に不良ワインを造るのは大変困難な程。

10年産ブルゴーニュは見逃すな!です。


アルザス地方からは、自然派の生産者クリスチャン・ビネールのカッツェンタール畑リースリング種13年。

柑橘、樹脂、紅茶を思わす香りと、凝縮し、複雑な風味は強烈な印象。

美味しいというよりは「スゲー」とか「ヤバい」と言いたくなる味わいです。

従来の殻を打ち破り、新たな領域に踏み出した味を体験してみてください。

同じアルザスのポール・ブランクが古木のシルヴァネール種で造った白09年。

かなりの低収量なのでしょう、凝縮した果実感と共に、酸、ミネラル、更に塩味まで感じられます。

7年を経た09年産ですが、更に熟成しそうなポテンシャルを持った上質な白が特別価格で入荷しました。


地元のタナ種を使い、タンニン豊かなフルボディの赤で知られるマディラン村。

この村を世に知らしめた生産者アラン・ブリュモン氏のワインが特価で入荷しました。

マディラン村のシャトー・モンテュス10年と、同じ村のシャトー・ブースカッセ09年。

共に豊かで力強いタナ種の味わいがたっぷり楽しめます。

次はルイ・レオナール社のお買い得なフランスの泡。

僅かに残糖を感じますが、活気のある泡とバランスの良い味わいで、この価格はお値打ちでしょう。

カヴァではなく、フランスの泡をお探しの方にお薦めします。


イタリアからはレヴェルサンティ社のお買い得バローロ11年。

バローロ村の赤は上を見たら1万でも、2万円でもあります。

そんな中で最安値に近いこのバローロですが、

果実感とタンニンにこの村らしさがあり、これは十分楽しめるバローロだと感じました。

そして、ヴェネト州モンテ・デル・フラ社の赤バルドリーノ。

ここの赤はフランスで言うとボジョレ村の様な軽くて爽やかなスタイルなので、

フルボディ好きには受けませんが、 この赤が良かったです。

濃いわけではありませんが、すみれの香りと瑞々しい果実感がとてもチャーミングです。


そしてイタリアの自然派白ワイン2種。

エミリア・ロマーニャ州イル・ヴェイの白は有機栽培された3品種のブレンドで、2本分のマグネム・ボトル入り。

酸化防止剤のSO2は、葡萄を搾る際にのみ極少量使用。

自然派らしい還元香と果実の風味が楽しめる手作り感たっぷりの白。

トスカーナ州カルロ・タンガネッリのアナトリーノは、今流行りのオレンジワイン。

白葡萄トレビアーノ種を赤ワインの様に果皮と種も一緒に発酵させる事で、

皮からの複雑さと、種からのにが旨み、そしてオレンジ色の色調と太い酸味をまとっています。

鳥や豚肉料理、根菜類と合わせたくなる芳醇な白(オレンジ)ワインです。


そしてサン・ルチアーノが造るお手頃価格のトスカーナ州の赤。

品種はサンジョベーゼ種主体で、キャンティのスタイル。

イチゴやチェリーの香りに、瑞々しい果実味と酸、タンニンが綺麗に調和しています。

特別なご馳走ではなく、いつも通りの食卓に寄り添うような赤ワインです。

トスカーナ州でも海寄りのマレンマ村で有機栽培を実践する生産者ラ・ピエーヴェの赤、白。

両方とも澄んだ果実の風味が楽しめ、自然派ワインにありがちな還元香や、酸化のニュアンスはありません。

強く自己主張をせずに、自然体で有機ワインを造っている感じが伝わるでしょう。


スペインからアバニコ社のシンフォニア白でヴェルデホ種。

ルエダ地区で知られるこの葡萄ですが、このワインには産地名が付かない事で、

メリハリのある味わいはそのままで、お値段は半額程にお安くなりました。

これは文句なく、今月の白で旨安大賞に決定です。


こちらは、僅かな差で大賞を取れなかったトーレス社のサングレ・デ・トロ白。

こちらは地元のパレリャーダ種主体で、果実味とハーブ系の風味が特徴。

魚介類の鍋料理にはピッタリです。


カリフォルニアからはコースタル・リッジで赤、白。

温暖な気候から完熟した果実味と、程良い樽風味が香るふくよかなワイン。

カリフォルニア・ワインらしさがたっぷり楽しめる味わいで、私はジンギスカンが食べたくなりました。

皆さんは何と合わせますか?

同じカリフォルニアでスミス&フックのカベルネ・ソーヴィニヨン。

今カリフォルニアで濃い赤を探すと1万円の時代に、5000円以下でこの味わいは貴重です。

まだタンニンもアルコールも強いですが、凝縮した果実味がたっぷりで、1口目から飲み手を魅了してくれます。


チリからはファレルニア社のドンナ・マリア。

シラー種の赤ですが6割を通常収穫し、4割は遅摘みした葡萄をブレンドする事で、

ミディアム・ボディでも強さと複雑さが楽しめる味わいになっています。

最後は北海道とフランスの葡萄果汁2種。

帯広のあいざわ農園は、山葡萄を品種改良した黒葡萄・山幸(ヤマサチ)種の果汁。

ポール・ジローは、コニャック・ブランディ用の白葡萄ユニ・ブラン種の果汁。

山幸は濃縮した果実味に、野性味ある酸味とタンニンが加わり複雑で奥行きのある味わい。

ユニ・ブラン種も青タタミを思わす香りに、蜂蜜と豊かな酸味が合わさりメリハリのきいた果汁になっています。

そして、あいざわ農園では近い将来ワイナリーを目指して準備を進めています。

地元・北海道にワイナリーは益々増える事でしょう。

藤井 敏彦

2016年 1月

私の毎朝の仕事の一つに、店先の歩道の清掃があります。

今はやっと街路樹の落ち葉が散り、これからは除雪が始まります。

以前にも書きましたが、私は休みの日に一条橋から豊平川の河川敷を走って中島公園まで行き、公園を一回りします。

その公園や川原では職員の方が落ち葉清掃や、木々の剪定、補修等をしています。

河原や公園、道路、そして様々な施設は多分、国か、札幌市か、あるいは企業が、 予算をかけて

維持・管理しているおかげで、私たちは気持ち良く安全に通行でき、観光の方にも喜ばれるのでしょう。


私が札幌で生まれ育って56年。若い頃は街がどんどん大きくなり、

新しいデパートや様々な施設などが出来る度にワクワクしていました。

ところが今では近くの公園や河原を散歩することで、札幌の良さをしみじみ感じています。

ですから私を育ててくれたこの街を、感謝の気持ちを持って今日も店先の歩道を清掃しています。


最後に私にとって札幌でなければ出来ない事と言えば、大晦日の夜に行う時計台前での年越しです。

毎年12月31日の夜11時過ぎ、私は一人でシャンパーニュとグラスを持って、

時計台の前で寒さに震えながら12時の鐘の音を聞いています。

この苦行のような新年のカウントダウンも今年で34回目。

屋外なので当然寒いですが、興味のある方はどなたでも参加できます。

その際は温かい恰好をして、自分の飲み物とグラスをご持参ください。

冷え切った中で聞く時計台の鐘の音は、札幌市民であることを再認識できますよ。


さて、今月のお薦めワインです。

栃木県のココファームが、山梨の甲州葡萄で造った特別な白が、

甲州F.O.S.(ファルメンテッド・オン・スキン、葡萄の皮の上で発酵させたの意)11年。

通常白ワインは白葡萄を搾って果汁だけを発酵させる為、爽やかでフルーティな味わいになります。

逆に赤ワインは黒葡萄の果汁に、黒い果皮と、種が混じった状態で発酵させるので、

皮の色が染み出て赤くなります。

赤の発酵中は色だけではなく、渋みや旨味も染み出ることで複雑な味わいになります。

さてこのワインは、白葡萄の甲州種を赤ワインと同様に皮と共に発酵させました。

普通の白ワインと違ってオレンジ色の色調に、苦みや渋みと旨味がたっぷり楽しめます。

長野県の小布施ワイナリーのシャルドネ。

ここの自社畑産のワインは4、000円前後しますが、こちらは同じ村で尊敬されるカクトウ農園産。

良質な葡萄でも自社畑で無いだけで、3割以上お安くなっています。

醸造も半分は新樽で発酵、熟成させた贅沢な造り。

タンク醗酵からのフレッシュな果実味と、樽からのナッツ風味がグラスから広がります。

今でも美味しく、更に1~2年熟成させたくなるようなポテンシャルを感じます。


北海道・千歳ワイナリーのピノ・ノワール14年。

北海道は13、14年と作柄が良く、色調もこの品種としては十分に濃く、風味も豊かに仕上がっています。

千歳ピノの14年と、13年のリザーヴは、葡萄農家の木村氏と、

醸造家の青木氏とのコンビが造った上出来の作品。

北海道産ピノ・ノワール種の品質が、ますます上がっているのが実感できるでしょう。

上富良野・多田農園で黒葡萄のピノ・ノワール種で造られた珍しい白14年。

少し果皮の漬け込みが長かったのでしょうか、僅かに朱の混じった色調だけでなく、

黒葡萄からの果実感と旨みがはっきりと楽しめます。

多田農園の新シリーズは、ラベル変更以上に味わいも豊かになって来ました。


フランス・ボルドー地方からは、お手頃価格でヴィンテージ違いの3種が入荷しました。

まずはフロンサック村そばのシャトー・モンローズ10年。

素晴らしい天候だった年だけに、この価格でもメルロ種からの凝縮した果実味と、

少し樽からのスモーク香が楽しめます。

1箱ぐらい買った事を忘れて取って置ければ、数年後から楽しい思いが出来る事でしょう。

次もACボルドーでシャトー・フルール・オー・ゴーサン07年。

こちらもメルロ種主体ですが、8年を経て少し熟成した風味が開いて来ました。

今ですと葡萄からの果実味と、熟成香、両方の美味しさが楽しめます。

そして最後はメドック地区のシャトー・デ・グランジュ・ドール04年。

この価格でメドック産ワインというだけでも驚きですが、

更に11年を経た04年産です。

少し果実味が枯れ始めて来ましたがタンニンが味を引き締め、

土やキノコを思わせる熟成香がグラスから広がります。

濃度よりは、こなれた味わいがお好きな方に!

そしてもう少しご予算がある方には、

クラレンス・ディロンのクラレンドル・ボルドー・ルージュ10年。

当然作柄の良かった10年産ですが、こちらは無理に濃度を追求せずにミディアムで品の良い仕上がり。

味わっていただければ、さすが1級シャトー・オーブリオンのスタッフが造った品の良さが感じられるでしょう。


そしてブルゴーニュです。アルマン・ジョフロワの本拠地ジュヴレ・シャンベルタン村で09年。

赤で有名なこの村ですが、最近は1万円近く出さないと豊かな味わいを持つ物には中々出会えません。

そんな中、最高だった09年産で、この価格は驚きと言えるでしょう。

サヴィニ村のシモン・ビーズ13年産の赤と白。

日本では、妻の千沙(チサ)さんのお陰もあって人気ですが、

現地では品質で日本以上の高評価を受けています。

ビーズ家にとって13年はピンポン玉大の雹が畑を直撃し、

生産量は平年の7割減(つまり1/3しか収穫できなかった)。

そして収穫日の初日に、夫パトリック氏が自動車事故で亡くなってしまいました。

そんな運命的とも言える13年産が入荷しました。

きっと千砂さんは歯を食いしばってワインを造り、育てたのだと思います。

ご冥福をお祈りしながら、味わいたいワインです。


次はブルゴーニュとは思えない価格、ジャン・ルイ・カンソンの赤、白。

この価格だけでも驚きなのに白は12年、赤は11年産なので、少しこなれた旨みも感じられます。

お安い上に、飲み頃の旨みも楽しめて、「もってけ泥棒!」状態。こりゃ~買わなきゃ損ですよ!

そして、大手でありながら良質さで知られるジョセフ・ドルーアン社の

サヴィニー村と、ボーヌ村の赤2種。

ラベル表記は無いですが、サヴィニ村のゴドー畑は自社畑で、少しこなれた11年産。

ボーヌ系のチャーミングなチェリー風味に、酸味とタンニンと旨みが綺麗に調和しています。

これ以上何を望むのですか?と言いたくなる出来です。

そしてボーヌの1級シャンピモン畑は09年産。

複雑でスケール感のある味わいは、2~3ランク上の風格を感じさせます。

果実味と木樽の風味は今からでも楽しめますが、

表情はまだ押し黙った状態で開き始めるのは数年後でしょうか。


次はメオ・カミュゼのサン・フィリベール畑の白で、熟成した08年産。

ヴォーヌ・ロマネ村1級ボーモン畑から約300m西にあるサン・フェリベール畑は、

ヴォーヌ・ロマネ村のシャルドネ種と言えるような区画。

7年を経て果実味と、木樽の風味が調和し始めて来た頃でしょう。

シャンボール村・ユドロ・バイエのパストゥグラン13年。

一般にピノ好きな方々はガメイ種が嫌いですが、

こうした優良な造り手の手にかかると、ガメイ種が入っていても飲み手の心を捉えてしまうのです。

それは多分、ガメイ種の味よりもユドロ・バイエの味わいの方が強いからなのでしょう。

想像力豊かな方にこそ、味わっていただきたい赤です。
  

南仏からはまたまたサンタ・デュック社。

同地区で他の生産者では14年産が入荷しているのに、ここの古木ローヌ赤は09年産。

素晴らしい作柄の09年産で、さらに6年間も熟成していたら、他の生産者では敵わないでしょう。

ちょっと反則技の様な味わいを持つ赤です。

そしてシャプティエ社がラングドック地方産有機栽培のシラー種で造った赤。

スパイス感と果実味がたっぷりな赤なのに、

メーカーで終売が決まり定価1,400円が処分価格で入荷しました。

文句なく、今月の旨安大賞。

アルザス地方からはトリンバック社のレゼルヴ・リースリング12年。

同じリースリング種でも、どんどん辛口に向かっているドイツに対して、

近年のアルザスの生産者は、完熟感を求めて確実に甘くなっています。

そんな流行り事はお構いなしに、

ひたすら切れの良い辛口を造り続けているトリンバック社のリースリング種で上級品。

目が覚めるようなシャープな酸味を、一度お試しください。


ラングドック地方のディモンシュが造る自然派の白。

品種は有機栽培のクレレット種で、表記はありませんが熟成した07年産。

紅茶やハーブを思わす香り、凝縮して僅かに甘みを感じる程の果実味と、

苦旨みや少し酸化のニュアンスを合わせ持った複雑な味わい。

元の葡萄のポテンシャルを充分感じさせる、独自の個性を持った白。

南仏からは自然派の生産者マタン・カルムのマーノ・ア・マーノ11年。

有機栽培のグルナッシュ種を主体に、古木のカリニャン種をブレンド。

ドライフルーツと、自然派特有のアニマル系の香。

4年を経て酸、タンニンと果実味が調和し、熟成旨みも開き始めています。

南仏の濃さ強さと、自然派の澄んだ味わいの両方が楽しめます。

シュド・ウエスト地方カオール村の自然派、マ・デル・ペリエの赤ル・ヴァン・キ・ラップ。

葡萄は有機栽培のマルベック種とタナ種ですから強烈なタンニンを予想しましたが、

品のあるきめ細かなタンニンと果実味に驚きます。

自然派に多い還元的な香りも強すぎず、

柔らかで目の詰まった味わいは初めての方でも楽しめるでしょう。


イタリアからは、ヴェネツィア・ジューリア州のヴェンキアレッツァ。

ここは2013年創業の若い生産者。有機栽培を実践し、

自然酵母による醗酵ですが自然派特有の還元香を上手く手なずけています。

ソーヴィニヨン・ブラン種の白は、まるでニュージーランド産の様な華やかなタイプ。

ここの赤は豊かなタンニンで知られるレフォスコ種。

醗酵中にタンクの移し替えを頻繁に行い、細かで軽やかなタンニンに仕上げています。


ヴェネト州からはルイジ・リゲッティのソル(太陽の意)。

今イタリアは、アパッシメント(陰干し)が大流行。

収穫した葡萄をすぐに醗酵させず、乾燥させることで

水分が抜け糖度が上がり、濃くて強いワインが出来ます。

この赤は地元のコルヴィーナ種を約90日間乾燥させてからに醗酵させ、

カベルネ種とメルロ種のワインとブレンドした事で、強さだけではなく複雑さも身に着けています。

トスカーナ州からはモンタキアーリの、熟成したサンジョベーゼ種の赤ブルネスコ05年。

大樽熟成させたのでしょうか、オレンジの色調を持ち、干した果実やなめし革の香りが開いています。

昔のキャンティ・クラシコで上物か、ブルネロを思わせる仕上がりです。


南部プーリア州からはマーレ・マンニュムのプリミティーヴォ種(米のジンファンデル種)からの赤2種。

「ゾウ」ラベルのチャンキーはアメリカン・オークの新樽で熟成後に、

また、別の新樽で再熟成させた複雑な味と香りの赤。

「マンモス」ラベルの方は、スモークのストレートな香りに、ブルーベリーとアルコール感がガツンと来ます。

二種共に、ブラインドで味わうと、カリフォルニア・ワインと答えてしまいそうな味わいでした。

最後はナターレ・ヴェルガのシチリア島グレカニコ種からの白。

南の白とは思えない爽やかでメリハリの利いた味わい。しかもこのお値段は驚きでしょう。

今月の白・旨安大賞です。


スペインからは、カリニェーナ地区のソルテオ赤。

テンプラニーリョ種、ガルナッチャ種、マスエラ種のブレンドは、

果実味に酸味とタンニンが調和したバランスの良いタイプ。牛のラベルなので、焼き肉にも最適でしょう。

ドイツからは、モーゼル地方ザール地区のワーグナーが造るトロッケン(辛口)。

私の勝手な印象ですが、仏アルザスのリースリング種より、

ドイツのリースリング種の方が安価で良質と思っています。

そして、この白もその通りで、果実味と酸味が溌剌とした上物の白です。

オーストラリア・マーガレット・リヴァー地区の名門アッシュブルックのシャルドネ種。

ニューワールドらしい凝縮した果実味と、樽熟成によるナッツやスモーキーさの両方が楽しめます。

ムニエルなどのバターを使った料理が食べたくなる、豪華で豊かな味わいを持つ白です。

そして、ジョージア(元グルジア)のワイン。

緯度的には伊・ローマあたりと同じですから、温暖で葡萄栽培に適した場所なのでしょう。

赤、白共に完熟した果実味を持ち、ふくよかでバランスの良いタイプ。

この国もロシアから独立して、ワイン等の輸出を必死に進めています。

今後、東ヨーロッパの国々は、要チェックすべきでしょう。


食品からは、瀬戸内海の小豆島から、 ヤマヒサのオリーブ新漬け。

瓶詰めオリーブのお酢っぽさがなく、浅漬けの様な爽やかな風味は大人気で、

当店の年末の風物詩となって来ました。マンザニロ種と、カラマタ種がございます。

藤井 敏彦

2015年11月

今年の夏、家内の実家に里帰りした際に、栃木県のココファームまで行ってきました。

ご存知の方もいるとは思いますが、ココファームの生い立ちは

当時中学の特殊学級の教員だった故川田氏が、 特殊学級を卒業した生徒さんの職場を作る為に、

足利市郊外の山に葡萄畑を切り開き始めた「こころみ学園」がスタートです。

初めて見たココファームの葡萄畑(平均斜度38度)は余りに勾配が急で、

私は札幌大倉山のジャンプ台(平均斜度37度)を思わせました。

案内をしていただいた方に「なぜこんな場所に?」と聞くと、

一介の教師だった川田には平らな農地を得る事ができず、山奥の急斜面を開墾するしかなかったそうです。

しかし急斜面の畑だから、日当たりの良さと水はけが良く葡萄にとっては良い環境でした。

こころみ学園の園生は知的ハンディがあるから何もできないと家族からも思われ、

自宅では過保護に育てられた子供さんばかり。

自宅にいた時は夜に寝られず暴れる事も多かった子供さんも、

急斜面の畑で転びながら農作業をしてご飯をしっかり食べると、

夜もぐっすり睡眠が出来るようになり、心身共に健康になるそうです。


沖縄サミットの晩さん会で乾杯に使われたココファームのスパークリング・ワイン「NOVO(のぼ)」の話も伺いました。

代表の川田氏が発泡酒も造ってみたいと言い出し、

当時の醸造長だったブルース・ガットラヴ氏と シャンパーニュ地方へ視察に行きます。

アルコール発酵が終わったベースの白ワインをシャンパン瓶に詰め、

同時に砂糖と酵母を加えて栓をし、泡を得る為の二次発酵を1本、1本の瓶の中で行います。

発酵が終わると酵母は死に、瓶底にオリとして沈殿します。

数年の熟成後にオリを取り除くため、寝かせていた瓶を沢山穴のあいた作業台に1本、1本差し込みます。

そして約100日の間、朝と晩に瓶を手で45度づつ回しながら徐々に瓶を倒立させてオリを瓶の口に集めます。

この単純で気の遠くなる作業を見た川田氏は、

学園にいる自閉症の子供たちに最適な仕事が見つかったと喜んだそうです。


現在では、本場のシャンパーニュ地方でもこの動瓶作業は、

手ではなくジャイロ・パレットと呼ばれる専用の機械を使って省力化が進んでいます。

川田氏は、毎日手で動瓶をしていたら普通の企業ベースでは採算が取れない。

しかし、だからやろう。障害を持った子たちが採算づくでなく、手間暇かけて馬鹿正直に造ろうと言って、

何と!削岩機を入手して発泡酒用の涼しいセラー建設の為に、自ら裏山に穴を掘り始めたそうです。

このトンネルは間もなく岩盤に当たり途中からは専門の業者に依頼したそうですが、

今もワイナリーの隣にあり発泡酒の熟成庫として使っています。

ココファームのワインは、手間をかけ、正直に造っているだけではなく、

創業者の熱い思いが合わさる事で人の心を打つまでになるのでしょう。


今月のお薦めワインです。

北海道からは滝沢ワイナリーのミュラー・トゥルガウ種のスパークリング・ワイン。

ふくよかな果実感を、爽やかな酸味ときめ細かな泡が柔らかく包み込んでいます。

洞爺湖畔・月浦ワインのドルンフェルダー種・赤13年。

タンク熟成の為か、果実味がはつらつとして表情が開いています。

樽に入れなくても良質な赤となる典型のようなワインです。

余市の新生産者「三氣の辺(ミキノホトリ)」のシードル。

ワインの製造免許はまだなので、自社畑産リンゴを函館の「農楽蔵(ノラクラ)」で委託醸造しています。

農楽蔵らしい自然派の醸造で、味わいには果実味と共に、旨みもたっぷり感じられます。

三笠・山崎ワイナリーのケルナー種の白14年。

ここで定番人気のケルナー辛口ですが、作付して20年近くなり山崎さんは植え替えをするようです。

山崎ケルナーに思い入れのある方は、最後の収穫と言えるこの14年産を大切に取って置くべきでしょう。

北海道のパイオニア、十勝ワインのピノ・ノワール12年。

葡萄樹は-10度で、凍傷にかかり枯れてしまいます。

日本海側は雪が断熱材となり、気温が-10度以下でも雪の下に寝かせた木は越冬出来ますが、

太平洋側は降雪が少ない為にその手法が使えず、

寒さに耐性のある山葡萄と、ワイン用葡萄とで品種改良をして越冬が可能となります。

その為、十勝ワインではヨーロッパ系葡萄の開発が遅れ、

今回は余市の契約農家さんに欧州品種の栽培を依頼し、醸造が出来ました。

北海道12年産の赤は繊細な味わいですが、ワインの熟成には独自のノウハウを持つ池田町。

樽で1年、瓶で1年以上熟成させて旨みが開いて来ました。

「月を待つ」は栃木県ココファームが北海道・余市の藤澤農園と小西農園のケルナー種で造る白。

葡萄を栃木に送り、自然酵母を用い中低温で4か月間ゆっくりと醗酵させました。

道内のワイナリーにもケルナー・ワインは多数ございますが、

定評あるココファームが造るケルナーは一味違います。ぜひ一度お試しあれ。

余市・曽我貴彦氏の実家、長野県小布施ワイナリー。

こちらは貴彦氏の兄、彰彦氏が、渾身の思いで有機栽培を実践し、自然酵母でワインを造っています。

自然派醸造の特徴ともいえる還元香(アニマルや硫黄っぽい香)を彰彦氏は嫌い、

その香りが強く出た樽は除かれます。

各種のワインではじかれた樽をブレンドしたのがこのヴァルプチュー(官能的の意)です。

小布施の自社畑ワインは4、000円前後しますので、この価格はかなりお得。

しかもメルロ、カベルネ、バルベラ、フラン、タナ等がバランス良く調和しています。


次は仏ボルドー地方から。飲み頃になってきた08年産がお値打ち価格で2種類も入荷しました。

トラディション・デ・コロンビエはメドック地区のカベルネ・ソーヴィニヨン種主体でタンニン豊かな赤。

そしてサン・テミリオンの隣にあるリュサック村のシャトー・ド・リュサックは、メルロ種主体のふくよかタイプ。

共に7年を経たワインはハツラツとした果実味と、熟成による複雑な風味の、両方の美味しさが楽しめます。

グラーヴ村のクロ・フロリデーヌ・ルージュ04年。

グラーヴ(砂利の意)村の土壌は砂利が多い為に、ワインは「濃さ」ではなく香り高いスタイルになります。

大きめのグラスに注いでいただくと、土やキノコを思わす熟成香が豊かに広がり、

まるでピノ・ノワールの上物を味わっているかのような気持ちになるでしょう。

次はボルドーの白、シャトー・ラブリュス。

今受けする白は、爽やかなソーヴィニヨン・ブラン種でしょう。

でも、丁寧に作られたセミヨン種の辛口は、貴腐ワインに繋がる重厚で豊潤な風味を持っています。

少しへそ曲がりの私は、ちょっと野暮ったい程に複雑なこの白を、更に数年熟成させてから味わってみたくなりました。


ブルゴーニュ地方からはトルシュテ家の白09年。

地元で白と言えば普通シャルドネ種ですが、こちらはピノ・ブラン種、しかも6年を経た09年産。

少しすりリンゴの様な酸化のニュアンスはありますが、独自のコクとミネラル感が楽しめます。

同じ生産者のオート・コート・ド・ニュイ赤09年も野太い味わいです。

エルヴェ・シャルロパンのマルサネ村の赤。この赤は安定した品質で当社でも人気の1本。

今は13年産を販売していますが、作柄が更に良かった12年産が限定で入荷しました。

美味しい上に、更に1年こなれている12年物が同価格ですよ。

シャルロパンのファンでしたら、飲まずに取って置きたくなるでしょう。


そして、ルイ・ジャド社と共に、大手でありながら良質さで知られるジョセフ・ドルーアン社。

高騰しているブルゴーニュで、なんと、ここだけが値下げをしました。

入荷したどれもがお薦めですが、まずはアリゴテ種。

味わいはシャルドネ種かと思われそうな果実味の豊かさと、

爽やかな調和した酸味で、この価格は信じられません。

赤はショレ・レ・ボーヌ村。溌剌とした赤い果実の風味がたっぷり。

チャーミングで品のあるピノ・ノワール種のお手本のような出来です。

シャルドネ種ではリュリー村の白12年。

グラスからナッツやスモーク香が立ち上り、柔らかな果実味に酸味とミネラル感が調和しています。

「ドルーアン社が値下げをすると、周りの生産者は困っちゃうでしょう!」という声が他から聞こえて来そう。


フィサン村のベルトー家が造るブルゴーニュ規格の赤13年。

名門ベルトー家の赤は渋堅い味わいで、北のピノそのものでした。

そこへ13年から娘のアメリさんが実家に戻り、ワインは生まれ変わりました。

重いタンニンのベールを脱ぎ棄て、瑞々しいチェリーの果実味が広がります。

きれいな娘さんが造るワインを応援してみませんか。

モンテリー村の生産者組合会長を長年続けるポール・ガローデ氏のブルゴーニュ規格の赤。

こちらは4年を経た11年産なので、ベリー系の果実味にも少しだけこなれた表情が楽しめます。

白ではサン・トーバン村の重鎮マルク・コランのブルゴーニュ規格の白13年。

こちらは自社畑ではないですが、香りは梨にナッツとカスタードが混じり、

ふくよかな果実味に酸とミネラルが絡み合って、豊さとメリハリ感が楽しめます。

そして自社畑1級ルミリは、凝縮感とスケール感がばっちり出てきます。

この白を味わっていただければ、難しいと言われる13年産ですが、白は当たり年だとしか思えません。

ちょっと上物の赤ではルイ・ジャドが所有する生産者「デュック・ド・マジェンタ」で、

シャサーニュ村の1級クロ・ド・ラ・シャペル01年赤。

14年を経て果実味は少し落ち着いてきましたが、タンニンが味を引き締め今も豊かな味わいを持っています。

この味わいで産地が有名な村だったら、2倍以上の価格になるでしょう。


南仏からはシャトーヌフ・ド・ガダーニュ村のシャトー・グラン・ディニテル12年。

村の名前からも連想出来ますが、約千年前はシャトーヌフ・デュ・パプと同じ台地だった村。

当然、葡萄品種も味わいもヌフ・パプと同じスタイルで、値段は約1/3。

このワイン、あと1~2年待てば更に美味しくなるでしょう。

次は北部ロワール地方の中でも有名なサンセール村の白。

生産者はこの村で自然派の第一人者、セバスチャン・リフォー。

まずは、切れの良い辛口で知られるサンセール白の先入観を捨てて、

セバスチャン氏が完熟したソーヴィニヨン・ブラン種を、思い描く自然派の方法で醸造したら、

旨みと複雑さが増して独自な味わいになりました。

従来の淡麗辛口か、こちらのコク旨タイプかは、飲み手が選べば良いのです。

そして上級品のスケヴェルドラは、貴腐葡萄が半分混じっていた葡萄から造られました。

仏北部・ジュラ地方ジャック・ティソ氏のアルボワ村シャルドネ09年。

スイス国境近くの涼しいジュラ地方は、ポピュラーなシャルドネ種を使っても、

熟成が独特で複雑な味わいの白になります。

これからの時期クリーム系のシチューと合わせてみては如何でしょうか。


イタリアからはピエモンテ州トリンケーロのオレンジワイン。

ワインで色別の分類は、赤、白、ロゼでしたが、近年オレンジ色のワインが出て来ました。

赤は果皮と共に仕込む為に黒葡萄の皮の色が染み出て赤になり、

白は果皮を入れず果汁だけで仕込む為に淡い黄色になります。

近年、自然派の生産者が古代の製法を取り入れ始め、

白葡萄の果汁を搾らず、赤の様に白葡萄の果皮も共に醗酵させ、

酸化防止剤も無添加で造ると、酸化と果皮の色とで、ワインはオレンジ色になります。

味わいはフレッシュ&フルーティではなく、赤の様に渋みや複雑さのあるスタイルなので、

食事も鳥や豚の煮込みといった料理に合わせたくなります。

モンド・デル・ヴィーノのピノ・ピノは、高級品種ピノ・ノワール種を使って、

伝統的ブルゴーニュ・スタイルではなくフレッシュ&フルーティで微発泡の白に仕上げました。

難しい顔をしてではなく、コップでぐびぐびと愉快に楽しみましょう。

トスカーナ州の赤、モンテ・アンティコ10年。

地元のサンジョベーゼ種主体の赤を樽で1年、瓶で3年以上熟成させています。

濃さ強さは少し落ち着いて来ましたが、熟成香が開き始めており、

ドライエージング・ビーフのステーキと合わせてみたくなりました。

若いワインが多いこの価格帯で、作柄の良かった10年産は貴重です。
                                                                 
ピエールサンティ社が地元のヴェルディッキオ種で造った白。

この品種はコクと旨味が特徴で、この価格でも痩せた感じがなく風味豊か。

地元で魚の形と呼ばれる、独自の瓶に入っています。


スペインからはアルベアルがペドロ・ヒメネス種で造ったデザートワイン。

完熟まで待って収穫し、さらに天日干しした葡萄を伝統的な壺(約800L)で18ヶ月長期醗酵させています。

残糖は425g/Lもありますが、透明感のある果実甘味で、パーカー氏93点も納得します。

このワインがあると、食後の一時がとてもゴージャスになることでしょう。

辛口の白ではディット・セラーのカビロール。

有機栽培されたガルナッチャ・ブランカ種とマカベオ種の樹齢は30~65年と高く、果実味の凝縮は別格です。

赤で知られるスペインですが、最近は白も侮れません。

スペインの赤ではフラウタ・デ・バルトロの赤13年。

モナストレル種の瑞々しい果実味が少しこなれ、余韻に樽のニュアンスも感じられます。

安価ですが、バランスが良く、最適なデイリー・ワインだと思います。

もう1ランク上ですと、リオハ・アルタ地区のセニョーリオ・デ・ウヌエラのクリアンサ10年。

最新の設備から生まれたのでしょう、凝縮した赤い果実の風味とスモーキーな木樽の風味が豊かに広がります。


カリフォルニアからは黒いラベルのカーニヴォ。

この価格で樽濃いフルボディな赤は、やりすぎ感も少々ありますが、インパクトは十分。

安くて濃いワインがお好きな方には、お薦めします。


チリではヴィーニャ・パルグアのアンカ・パルグア09年。

このワインは有機栽培のカベルネ種、他5品種をブレンドした赤。

何よりも収穫後6年を経て果実のジャムっぽさが落ち着き、6品種が少しずつ調和してきました。

私はどうしても熟成したワインを選んでしまう傾向がありますね。


食品からはヴァンドーム社のノンアルコール・ドリンク。

発酵後のワインからアルコールを減圧蒸留で除去したようです。

今まで数々のノンアル・ワインを試しましたが、味に欠点があるか、

間抜けな感じがして扱う気にはなれませんでしたが、このクラシックは味、価格共に、納得できる商品です。


余市の三氣の辺(ミキノホトリ)農園の各種ストレート・ジュース。

将来的にはワイナリーまで考えていますが、その第一弾がストレート果汁です。

飲んでいただければ分かりますが、同じ100%ジュースでも濃縮還元タイプとは全く違います。

将来が楽しみな生産者の一人です。

スペイン・マラガ村の名産マスカット葡萄のレーズン。

完熟まで収穫を遅らせ、更に天日乾燥させたこのレーズンは種入り。

この種が完熟していてナッツのように香ばしく、実と共に美味しく味わえます。

長期熟成させたハード系チーズの付け合わせにも最適です。

藤井 敏彦

 

2015年 8月

奥手な私は(笑)、39歳でやっと結婚が出来、今56歳ですが息子はまだ中学2年。

そんな訳でまだまだ元気に働かなければなりません。

そこで昨年から週1回の休みに、豊平川の河川敷で始めたジョッギング。

自宅から河原に降りると一条大橋なので、そこから幌平(ホロヒラ)橋まで片道約2キロ半を走り、

中島公園に出て公園をゆっくり歩いて1周し、また幌平橋から市条大橋まで走っていました。

週1回の運動で汗を流すのは爽快なのですが、周りから膝に負担がかかるので走るよりは

「ウォーキング」が良いよと言われ、 今年からは腕をよく振りながら早足で歩いています。

ウォーキングで幌平橋に着くと、河原から中島公園に入り鴨々(カモカモ)川に沿って散歩をします。

公園をゆっくり1周すると、地下鉄幌平橋駅1番口の手前に公園管理事務所があります。

ここは昔STVが寄贈したという50メートルの競技用屋外プール(1996年閉鎖)がありました。

ここのプールの深さは端だと1.4メートル程あり子供は入場禁止。

子供の歓声が無い大人の社交場でした。

夏場2ヶ月程の営業でしたが、設備が古い事もあって料金は1日200円位だったと思います。

公園付近にはススキノで働く方も多く暮らしているので、

特に平日はホステスさんや怖いお兄さんが多く独自の雰囲気でした。

泳いでいる人は少なく、プールサイドで肌を焼いている人ばかり。

20年以上前、毎晩ススキノ交差点角の屋台で甘栗を炒っていた日焼けしたお兄さんも

ここのプールの常連で、プールサイドでコンガの練習をしていました。

友人の話では、中島スポーツセンター(2000年閉鎖)で相撲の札幌場所が開催されている時は、

おすもうさん達が中島プールで泳いでいたそうです。

さて、今はない施設の話だけではつまらないので、最近の中島公園のお話を一つ。

雪印乳業が寄贈した天文台が立つ岡田山と、キタラ・ホール北側との間にある切り株をご存じでしょうか。

直径が50センチ程あるその切り株は、よく見ると函館の方が欠けてはいますが北海道の形をしています。

私も友人からこの話を聞いて探しましたが、案内板が無く見つけるのは少々難儀しました。

休日に中島公園でゆっくりと過ごすのが楽しいと思えるのは、私も年を取ったという事なのでしょう。

皆さんも中島公園でなくても、ご自宅のそばで心休まる場所を探してみては如何でしょうか。


今月のお薦めワインです。

北海道からは余市のオチガビ・ワイナリーのケルナー14年。

創業2年目となり手慣れて来たのでしょうか。13年とは明らかに異なり、完熟感があります。

天候だけでなく、ワイナリー全体が良い形で運営できていると思わせる仕上がりです。

同じく赤のツバイゲルトも14年は良い仕上がり。

熟した風味と共に、短期間の樽熟成が、味わいにまとまりをもたらしたのでしょう。

三笠・タキザワ・ワイナリーからは、長沼町産コックス・オレンジ・ピピン種のリンゴを主体に造られたシードル。

葡萄よりも糖度が低いリンゴでは軽くシンプルな味わいになりがちですが、

このシードルは果実感と旨味が充分にあり、完成度の高いシードルです。

奥尻ワイナリーからは、ピノ・ノワール・ロゼ14年。

同じ葡萄で赤ワインを造り、樽熟成でもすればもっと高い商品になると思いますが、

あえてロゼに仕立てて価格も控えめの設定。

こればかり売れては会社も困るとは思いますが、これはお得なワインといえます。

千歳ワイナリーからはケルナー辛口14年。

作柄の良かった14年らしく、完熟感と爽やかな酸味が溌剌としたスタイルで、ケルナー種の典型のような味わいです。

札幌の藤野ワイナリーはキャンベル種からの辛口ロゼ・スパークリングワイン。

アルコール発酵後に二次発酵と熟成を約半年経て、フレッシュな果実感が落ち着いて熟成旨みが開いて来ました。

かつお出汁を使ったお惣菜に寄り添う、北海道の薄旨系ワインです。


今月もボルドー地方に良品が多く見つかりました。

サン・ジュリアン村からはシャトー・グリュオ・ラローズ08年。

9、000円近い高級品ですが、今の相場は楽に一万円を超えています。

評価の高いこのシャトーが3割程安いこの価格ですから、

10年以上先の記念日に向けて熟成させてみるのは如何でしょうか。

ムーリ村のシャトー・ムーラン・ナヴァン05年。

素晴らしい出来の05年が10年を経て、そろそろ飲み頃に入って来ました。

今ですと果実感と熟成感の両方が楽しめますが、

古酒好きの方にはもう数年待てば、枯れ始めた味わいになってくるでしょう。


さて食事の途中で、もう少し赤ワインを飲みたいと思う時がありませんか?

新たに750mlを開けるには気が引ける時に、このハーフサイズはいかがでしょうか。

オー・メドック地区のシャトー・ジロンヴィルのハーフ10年。

作柄の良かった年らしく完熟感とタンニンがたっぷりあり、一口目からボルドーの美味しさが楽しめます。

次はメドック地区の銘酒、シャトー・ポタンサックのセカンド・ワイン。

天候の良かった09年産だけに瑞々しい果実味がたっぷり。

熟成香は開いていなくても、この時期の溌剌とした味わいも大変魅力的です。

今月は2、000円以下でも良品が見つかりました。シャトー・ラ・マロティーヌ赤は最高の年10年産。

完熟葡萄を潰して瓶に詰めたようなリッチな味わい。

シャトー・ヴュー・ジョルジュはボルドーでは珍しい有機栽培で05年産。

暑かった05年らしい豊かなタンニンが果実味と調和してきました。

シャトー・デュ・ピュイ・フォール04年。

タンニンが強かったこの年も11年を経て、こなれ始めて味わいにまとまりが出て来ました。


ボルドーの最後は白。シャトー・ヴァランドローのオーナー・テュヌヴァン氏は、

サン・テミリオン村の自社畑にブルゴーニュ地方の葡萄シャルドネ種を少量植えました。

当然シャルドネ種はこの地方の認定品種ではない為、

産地名は名乗れず格下の「ヴァン・ド・フランス」規格になりました。

このテュヌヴァン氏のいたずらの様なワインは年産たったの480本。

ロマネ・コンティですら年産6,000本ですから、

マニアにとっては喉から手が出そうなほど貴重なワインです。もちろん、味わいも完成度の高い仕上がりでした。

そして、ブルゴーニュ地方からも良品が多く見つかりました。

ヴァンサン・ルグーのボーヌ赤12年。

ヴァンサン氏はDRC(ロマネ・コンティ社)の元栽培担当社員で、

今は自身の名前で葡萄を栽培しワインを造っています。

ボーヌ村で畑名も付かないですが、素直な果実味に酸とタンニンが調和した味わいは、正に良質なピノ・ノワール。

無名な生産者の5,000円の赤と思わずに、

ボーヌ村の葡萄が持っている味わいを100%出し切った様な赤ワインが、5000円強で入手出来ると思ってみませんか。

私にとっては今月一番の、衝撃的な1本でした。


ボーヌ村の名門ネゴシアン(ワイン商)・シャンソン社でマコン地区の白13年。

元々評判の良い造り手でしたが、新オーナーがシャンパーニュのボランジェ社となって更に品質を上げています。

南のマコン地区らしいふっくら感だけではなく、ミネラル感と爽やかな酸味が味わいに奥行きを与えています。

セリエ・ド・クロワ・ブランシュはネゴシアン物(ワイン商が仕立てたワイン)ですが、

ニュイ・サン・ジョルジュ村の畑名付で01年産。

14年を経た豊潤な熟成香が広がり、果実味は思ったほど枯れておらず、多くの方に楽しんで頂ける赤です。

ボージョレ村で高い評価を受ける自然派の生産者、ニコラ・テスタール氏の赤。

しかも7年経た08年産が少量入荷しました。

新酒で知られるガメイ種ですが、生真面目に造られた物は10年程は楽に熟成します。

「どうせボージョレでしょう!」と言っている方々に、飲ませてあげたい1本です。

そして、まずはマチュー・ルーが造るこの価格を見てください。

高騰しているブルゴーニュ産シャルドネの白と、ピノ・ノワールの赤がこの価格ですよ!

当然この価格ですから期待をせずに試飲しました。

すると想像以上に悪くない出来に驚きました。

自然な果実感と各品種の特徴が楽しめて、この価格は驚きますよ。

マコン地区のジャン・テヴネ氏が造るボングラン白10年。

過熟するまで収穫を遅らせ、醸造も半年近くかける事で、独自の豊潤で強烈な味わいが広がります。

この風味の豊かさはスタイルが違いますが、ムルソーの白以上かもしれません。

ある意味、マコンのイメージが変わる程のインパクトを持っています。

熟成ワインでは、ルー・デュモンのシャンボール村の赤95年と、

レーヌ・ペドーク社のプイィ・ロシェ村の白05年。

共に豊かな熟成香が楽しめながら、果実味が枯れた感じが少なくて良心的なお値段です。

ワイン好きが集まる会にこの様なワインを持参されると、皆の注目を集める事でしょう。

ロシニョル・フェヴリエと、ロブレ・モノは共にヴォルネ村でビオディナミ栽培を実践している生産者。

この二人のブルゴーニュ規格の赤が入荷しました。

ロシニョル氏は、寡黙な味わいの中に凛とした芯を持つスタイル。

ロブレ氏の方は完熟した果実味とタンニンがたっぷり詰まったグラマラスなタイプ。

同じ村で、同じ有機栽培を実践する自然派のワインでも、こうして味わいが異なるのがワインの面白さだと思います。

南仏からは、ギガル社の上級ワイン各種。

エルミタージュ村の白はマルサンヌ種主体。

濃厚で強烈な味わいは作柄の良かった10年産ならではの出来で、これから10年は熟成の楽しみが待っています。

ギガル社の本拠地コート・ロティ村の赤、ブリュヌ・エ・ブロンドも良年の09年産ですが、

エルミタージュ村の赤と違ってシラー種に少し白葡萄のヴィオニエ種をブレンドしている為、表情が開き始めています。

飲み頃の旨みが楽しめるのは、シャトーヌフ・デュ・パプの赤。

南仏にとって最高の07年産は、8年を経て強いアルコール感とスパイス感が果実味に溶け込み、まとまりと旨みが出て来ました。

お得な赤では、シャトー・フォルティアのシャトーヌフ・デュ・パプ。

暑かった09年らしく、ドライフルーツとスパイス香が華やかにグラスから広がります。

今は4~5,000円するシャトーヌフで、良年の09年産がこの価格は貴重でしょう。

ロワール地方からは、ソーヴィニヨン・ブラン種からの白2種。

一番人気サンセール村の定価が3,500円はする今、

限定とはいえアルフォンス・メロのこの価格は破格!華やかな香りと清らかな酸味が楽しめます。

一方シェニエ社のセラフ白は村名付きではありませんが、多分良好な区画の葡萄を使っているのでしょう。

この低価格でも立派なソーヴィニヨン・ブラン風味が楽しめます。

アルザス地方からは2種。

シュルンバジェ社のテール・ダルザスは自社畑だけのブレンド・タイプ。

コクと複雑さのあるピノ系3品種を使い、完熟感たっぷりの味わいに仕上げています。

トリンバック社のレゼルヴ規格リースリング種は切れ味の鋭い辛口。

ミネラル感たっぷりの味わいをシャープな酸がきりきりと引き締めています。

レモンを絞って食べる料理には最高のお共になるでしょう。


イタリアではピエモンテ州バルバレスコ村から2種。

バルバレスコ村で伝説とも言える生産者アルド・ビアンコの10年産は、

最高の年だけに完熟したタンニンがたっぷり感じられます。

大樽熟成の伝統的スタイルは今から楽しめますが、

更なる熟成は飲み手にとって素晴らしい喜びに変わる事でしょう。

ネッビオーロ種は10年以上熟成させてから、という方にはグラッソ・フラテッリのバルバレスコ00年。

15年を経てタンニンが和らぎ、こなれた味わいになって来ました。

同じ価格で強さをとるか、熟成感をとるか、楽しくも贅沢な悩みと言えるでしょう。

イタリアでも人気急上昇のピノ・ノワール種。

ヴェネト州のマルカート社は、2、000円以下で良質な赤を仕上げて来ました。

レベル的には評価の高いの生産者が造るブルゴーニュ・ルージュあたりでしょうか。

高騰しているブルゴーニュより、3~4割は安く感じられました。

濃くて強いタイプでは、共にモンテプルチアーノ種で造られた2種。

マルケ州のウマニ・ロンキ社のサン・ロレンツォは、果実味とタンニンと樽風味がバランス良く楽しめる赤。

カンティーナ・トロのカジオーロは、伊ガンベロロッソ誌で「赤丸付き2★」評価を受けた08年産。

今発売中の10年産より300円安く、2年分長く熟成していますので、お早めにどうぞ。


ドイツからはファルツ地方クロスターのピノ・ノワール種。

半分を6ヶ月木樽熟成させたピノが1,000円強と言うだけで驚きですが、

しかも良質なのです。今月、赤の旨安大賞はこれに決定!


ポルトガル微発泡ワイン、ヴィニョ・ヴェルデの大手ブランド「ガタオ」。

暑い時期に最適なこの白を2本買うと、ガタオのロゼが1本もらえます。

1本で1,000円が、3本で2,000円ですから、1本は約667円。こちらは今月、白の旨安大賞です。

バーベキューの時に、コップでグビグビ飲んでいただくには最適なワインでしょう。


今から約4000年前にワイン産地として知られていたイスラエルの赤が入荷しました。

しかし中東の砂漠地帯で葡萄は暑すぎる為、畑の標高は500~1200mの高地。

ここ30年で他国からの投資や、有名コンサルタントの先生も集まり、この国から良質なワインが生まれています。

一度試されると、この品質に驚く事でしょう。

今月はリキュールもお薦めです。

仏ブルゴーニュ地方・カルトロン社のカシス・リキュールは当社でも大人気ですが、

アンズと、イチゴのお酒が半額以下の値段で入荷しました。


そして、北海道・訓子府(クンネップ)町の、菅野養蜂(ヨウホウ)場が菩提樹(ボダイジュ)のハチミツで造ったミード。

昨年からメーカーで切れていましたが、やっと今年の分が入荷しました。


食品からは、伊トスカーナ州のオリーブ・オイル2種。

オリーブも果実ですから、温暖な南部では完熟したコクが楽しめ、

北部では爽やかで香り高いスタイルになります。

イタリア中部と言えるトスカーナは、そこそこのコクと香り高さの両方が楽しめる所が醍醐味です。

サルストリ家が有機栽培の単一品種で作った13年産オイル(定価3,000円)が、在庫処分価格で入荷しました。

そして今や20,000円以上もするイタリア赤ワインの逸品サッシカイア。

ここの畑の一角でオリーブも栽培され、極少量オイルも作られています。

こちらは3品種のブレンドで、複雑さと香り高さが楽しめます。

このランクのオイルは香りが命ですから、加熱時には安価なオイルを使って、

仕上げの香り付けにこういった上物を使うと、プロの味に一歩近づきます。

藤井 敏彦

 

2015年 5月

今月は車のお話。

7年間苦楽を共にしたフランス製でポンコツのルノー・キャトルを手放し、中古のニッサン・ノート初期型にして早3年。

オートマにも慣れ、ペットから家電製品の様に手のかからない車に週1回程乗っています。

そんな私の眠っていた欲望がむずむずと動き始めました。ホンダの新車S660です。

一生に一度でいいから、二人乗りのスポーツカーに乗りたい。

そんな気持ちが、軽自動車だったら可能かなと思えて、まずは昔愛読していた雑誌カーグラフィックを見に書店へ。

5月号の表紙は黄色のホンダS660、迷わず購入し、部屋で腹ばいになってページをめくり始めました。

5月号は二人乗りのスポーツカー特集。

ホンダS660、マツダ・ロードスター、アルファロメオの記事が並んでいます。

このアルファの新型4C(クワトロ・チ)の記事を読んで、私はこの編集部の企画力に驚きました。

通常、この手の雑誌は人気の車をメーカーから借りて、編集者が様々な場所を運転してその性能や、印象を記事にします。

ところが4C(クワトロ・チ)をテスト運転したのは、トヨタ、ニッサン、マツダ、各社のスポーツカー担当の設計主任でした。

私がトヨタの社長さんだったら、

自社の宝と言える設計主任を他社製品の宣伝に使われる事に許可出来るかなぁと思ってしまいます。

そして本文で、各社の設計者さんは「高額商品としては煮詰めが足りない」とか色々文句は言っていますが、

4Cの運転を終えた時の写真を見ると、皆さん顔の筋肉がゆるんで「ニマニマ」しているのです。

一番素直なのがマツダの方で、第一声は「ファンタスティックやねぇ~」でした。

三人ともスポーツカーが大好きで、好きだからこそマニアが喜ぶ車を設計できるのでしょう。


それと、さすがだなと思ったのは、トヨタ86(ハチロク)の設計者が

「実は会社が研究の為に4Cを購入したので、今回がお初ではない」と言っていました。

さて私はこの楽しいアルファの記事を読んで、少しS660に対する熱は冷めましたが、

4Cは900万円もするのでこちらに乗り換えることは無理。

そんなわけで今は若かった頃の様に「宝くじでも買ってみようかなぁ~」と考えながら時折ページをめくっています。


今月のお薦めワインです。

北海道からはグラン・ポレールの余市ピノ・ノワール12年。

近年、余市でもピノ・ノワール種の作付けは増えて来ました。

このワインは余市・登地区・弘津園の葡萄ですが、近年植えただけに苗木はピノの中で

最も人気の高い仏・ブルゴーニュ地方の葡萄を選抜したディジョン・クローンの苗木だそうです。

余市で約30年前から栽培され始めたピノですが、

当初は寒冷地向け用のドイツ系やスイス系の苗木だったと言われています。

気候風土の異なる余市で、ディジョン・クローンの栽培は難しいそうですが、

キュートで澄んだサクランボの風味はやはり本場ブルゴーニュのピノを思わせます。

山梨からはシャトー酒折の甲州・バレル13年。

甲州種を樽とタンクで別々に発酵を行い、熟成は全体の6割を樽で3ヶ月熟成させ、

残った4割はタンクで熟成させた後にブレンドした辛口白。味わいは果実味と酸味と旨味のバランスが良く、

ご家庭で食べる毎日の食事にも寄りそう日本の白ワインです。


仏ボルドー地方からは、飲み頃でお値打なワインが入荷しています。

メドック地区のシャトー・ヴュー・ロバン97年。

カベルネ種主体の97年産はキノコや革製品を思わせる熟成香が広がります。

18年を経た赤がこの価格!しかも練れた味わいですが果実味は今も楽しめ、枯れた味わいには至っておりません。

古酒の入門には最適なボルドー・ワインだと思います。

フロンサック地区のシャトー・クラーズ01年。

一般にジロンド川右岸はメルロ種主体で栽培されていますが、ここはカベルネ・フラン種が8割。

14年も経たのに果実味とタンニンが豊かで枯れた感じが無く、メドック地方のワインを思わせます。

高騰が続くボルドーで、熟成したワインがこの価格はちょっとあり得ません。

アントル・ドゥ・メールにあるシャトー・ラリイ。

ここは赤、白共に出来は良かったですが、特に赤は作柄の良かった10年産。

今この価格帯では12年か13年産しかなく、10年産は貴重品です。

凝縮した果実味とタンニンは、さすが10年産と納得できる味わいです。

ボルドーの白ではシャトー・ラグランジュの白でレ・ザルム11年。

限定ですが、少しこなれた11年産が入荷しました。4年を経て樽風味と果実感が調和し始めたころでしょう。

ラグランジュの白は毎年安定した品質なので、安心して仕入れられるワインの代表です。


ブルゴーニュ地方ではオリヴィエ・ルフレーヴのムルソー村の白1級スール・ダーヌ12年。

実はこの畑は最近まで本家のドメーヌ・ルフレーヴに貸し出されていたが、契約が切れてオリヴィエの元に戻ってきました。

ルフレーヴの時はビオディナミ栽培だったので、オリヴィエ氏もこの区画はそのままビオディナミを続けています。

さて値段ですが、本家ドメーヌ・ルフレーヴのムルソーが17,000円。そしてオリヴィエの価格を見て下さい!

2番目は、飲み頃の赤で、ゴワ・ヴァニエのボーヌ村03年。

この村で1.1ヘクタールの畑しか持っていない家族経営の生産者。

洗練されてはいませんが、何か芯があり、変に化粧をせず地酒っぽさを素直に出している所に共感を持ちました。

12年を経たボーヌの赤がこんな値段で買えて、「これが、おいらのピノだ!」とグラスから聞こえてきます。

3番目は、有機栽培を実践するプイィ・ヴァンゼル村の生産者、スフランディエールの白。

有機栽培のワインは軽いタイプが多いですが、ここはふくよかな果実味と樽発酵の風味が楽しめます。

この12年産もマコン地区産シャルドネ種の美味しさがたっぷり詰まっています。

4番目は、ムルソー村のピエール・モレ氏の赤。

ワインは魅力を振りまくようなタイプではなく、 ある意味で哲学的というか、

ゆっくり噛みしめて味わう事で少しずつ分かってくるようなスタイル。

ここの08年モンテリー村産ピノ・ノワールの赤はまさに素のままの味わい。

ブルゴーニュの皆が同じピノ・ノワール種で造っているのに、味わいがこうして異なるのは不思議ですが、

きっと栽培と醸造を通して葡萄に造り手の魂が乗り移ってくる為なのでしょう。

5番、ブルゴーニュ好きに「ボージョレは?」と聞くと嫌な顔をされます。

でも、ここボージョレ地区でも素晴らしい生産者が必死にワインを造っています。

その一つがこのラランドの白。食わず嫌いを克服出来る方にお薦めします。

この有機栽培で多分樽無しのシャルドネ種の08年産は、

7年を経てもボケたりヒネたりせず、 今も骨格のある味わいを持っています。

1本購入し、自宅でヨーグルトに漬け込んだ鳥胸肉を、カレー粉をまぶしてオーブンで焼いた料理と合わせましたが、

樽熟成無しでもスパイスを使った料理と良い調和を持って楽しめました。

6番、ヴォルネ村のロブレ・モノが造るブルゴーニュ規格の赤10年。

とにかく何度でも言いますが、素晴らしい天候だった10年産は色も香りも味も全てが格上です。

だから10年産で良い生産者のワインを値上がり前の価格で見つけたら即、買いです。

ワイン好きは皆、血眼になって10年産を探しているからです。


アルザスからは有機栽培を実践するマルク・クレイデンヴァイツのリースリング種。

この生産者も毎年安定して良質なワインを造っています。

またここでは画家にその年のワインを飲んでもらい、その印象を描いた絵をその年全てのワインにアートラベルとして使いますが、

12年産は私が思うに「フランケンシュタイン」の様な不気味なラベルで、販売量が急に落ちてしまいました。

その12年産が完売し、新たなラベルの13年産がやっと入荷しました。

この年は作柄もまずまずで、絵の仕上がりも良くて正直な所ほっとしています。


南仏からはルーション地方モーリー村のラ・ヴィスタの白。

赤も果実感が瑞々しく、赤、白共に丁寧な仕事を思わせる、澄んだ味わいが楽しめます。

シュド・ウエスト地方のカオール村からはシャトー・ピネレ11年。

向こうが透けない程の真黒な色調、味わいもフルボディですがタンニンがキメ細かで果実味は柔らかく今から楽しめます。

現地では豚肉と豆の煮込み調理と合わせていますので、やはりコクのある料理が恋しくなります。

フランスの最後はシャンパーニュ地方から、バロン・フェンテのグランド・ミレジム06年。

高騰を続けるシャンパーニュ地方で、06年の年号入りでこの価格は立派。

ここはムニエ種を得意とする生産者ですが、年号入りはシャルドネ種が45%と多い分、

ムニエ・トーンが弱まり、豊さと爽やかさがバランス良く楽しめます。


イタリアからは南部ラッツィオ州ファレスコ社の白、フェレンターノ11年。

きっと良質な樽で醗酵、熟成をさせているのでしょう。

地元のロシェット葡萄がエキゾチックな南国の果実味と、

ゴージャスな木樽の風味を身にまとい洗練された味わいになっています。

中身を知らされずに、大ぶりのブルゴーニュ・グラスでサービスされると、

私はなんて答えるだろうかと不安になる程の出来。

白の最後は最安値の1本、ブォン・ファットーレのビアンコ。

この価格とは思えない果実味とミネラル感は、

上級品DOC規格のトレビアーノ・ダブルッツォを格下げした物と聞いて納得します。ぜひ一度お試しを!


赤は少し熟成した08年産の2種。まずは大人気、アブルッツオ州ファルネーゼ社の上級品でリセルヴァのオピ08年。

ここの1番人気の赤カサーレヴェッキオが13年産ですから、

更に5年の熟成を経て濃さ強さは落ち着き始め、 複雑な熟成香が開いてきました。

カサーレヴェッキオのシロップの様な濃厚さもいいですが、たまにはこなれた赤も美味しいですよ。

そして、プーリア州のコンテ・ディ・カンピアノのスクインツァーノ08年。

まずは立派なヘビー・ボトル入りで、高級品オーラが出ています。

7年を経て味わいはこなれて外見ほど強さはありませんが、

果実味とスパイス感とアルコールが調和し始めた飲み頃の美味しさが楽しめます。

干した果実の風味もあるので、乾き物をつまみながらでも美味しいかも。


スペインからは旨安赤が2種。カンポ・デ・ボルハ地区のノストラーダから。

レゼルヴァ規格シルバー・ラベルは10年を経た05年産でこの低価格。

スペインの倉庫は保管料が掛からないのでしょうか?

とにかく熟成ワイン好きな方にとっては、とてもありがたい赤でしょう。

次は名産地リオハ地方の名門マルケス・デ・リスカル社の新製品プロキシモ。

リオハでは年功序列というか、樽熟成された古い物が上位という社会。

そこに出てきたこの赤は僅かに樽風味はありそうですが、瑞々しい果実感が売りの新顔。

良い生産者は熟成品だけではなく、新しいスタイルの赤でも美味しく造っています。


ニューワールドからはニュージランド・バビッチ家の赤シラー種。

もちろんここのソーヴィニヨン・ブラン種も良いのですが、全く期待しなかった赤、シラー種の出来に驚きました。

シラー種はもっと暖かいオーストラリア産でしょうと思っていたら、涼しいニュージーでも立派な味わいなのです。

でも、北海道でシラー種は無理だよなぁ~。


アルゼンチンからはミッシェル・トリノの赤マルベック種と、白トロンテス種。

赤、白、共にこの価格でしっかりと柔らかな果実感があって、

ぎゅーっと搾ったギスギス感がありません。本当にこの価格で頭が下がる出来です。


ブルガリアからは、ルブラのドミナント(カベルネ種+シラー種)と、ペンダー(ルビン種+メルロ種)。

共に仏ミッシェル・ロラン氏がコンサルタントしており、現代的な赤に仕上がっています。

この国の輸出はまだ少ないのでしょう。収穫年が10年と09年なので、少し熟成感も楽しめてお薦めです。


食品からはスペイン・エルポソ社のフエ(サラミ)の上級品。

こちらは豚肉の食感と、白カビの風味がより豊か。

当然、冷蔵保存ですが、食べる分を切って1時間前に冷蔵庫から出しておくと、舌の上で風味がひろがります。

最後は牡蠣の缶詰。韓国製ですが、何よりも味付けが丁度良く、しかも安い。

どれも美味しいですが、私はアヒージョ風味と、柚子胡椒味が気に入りました。

スモーク牡蠣のシリーズは全部で7種類ございます。

藤井 敏彦

 

2015年 4月

今月はワイン好きな方でしたらよくご存じのヴィンテージ・チャートのお話。

特にヨーロッパのワイン産地では、毎年の天候によってワインの味わいは大きく異なります。

好天が続き葡萄が完熟した年には豊かで凝縮したワインが出来、

雨が多く涼しい夏の年は小粒で繊細なスタイルのワインに仕上がります。

そこで各産地ごとに毎年の作柄を数値化して、表にしたものがヴィンテージ・チャートと呼ばれます。


さて近年、北海道産ワインが注目されています。

私も毎年のように葡萄収穫のボランティアに行きますが、作柄は毎年大きく異なります。

思い出すのは、北海道が本州並に暑かった2012年の夏。

この年はとにかく暑くて、夏の初め頃の農家さんは揃って「今年は最高だった08年を超えるだろう」と喜んでいました。

しかしその後も好天は続きましたが気温の割に果汁糖度が上がらず、

農家さん達も「何故こんなに暑いのに糖度が上がらない!」と不思議がっていた年。

その後に聞いた話では、昼も夜も暑いと植物は今は夏と思って、

1センチでも余計に背を伸ばし、葉を一枚でも多くして太陽エネルギーを取り込みます。

そして朝夕の気温が下がってくると、植物は秋になったことを察知します。

すると植物は木の成長に使っていたエネルギーを止め、冬に備えて子孫を残す為に種や実にエネルギーを投入するそうです。

12年は9月まで暑い夏で、10月になると急に冷え込んだせいで秋を飛び越えて冬になりました。

実と種が熟する秋が無かったせいで、好天が続いたのに糖度が上がらず、黒葡萄の色づきも弱かったのです。

翌年13年は12年ほど暑くは無く、朝夕が涼しく昼は気温が上がる典型的な北国の夏でした。

その為に糖度もそこそこ上がり、甘さと北国特有の酸味が両立した葡萄からメリハリのあるワインが生まれました。

また、天候とは別に道内の生産者さんの多くが、ここ数年間で栽培や醸造の技術をぐんぐん上げています。

そうした中で14年の作柄は大変良かったそうです。


毎年、生産者さんから聞く作柄の話を何かに使えないかと考え、思いついたのがヴィンテージ・チャート。

丁度年明けで当社の住所と地図を載せた「ショップ・カード」が切れた為、

カードの裏側にフランス各地の産地と共に北海道の作柄も載せたヴィンテージ・チャートを作りました。

カードは当社の店舗でレジの前に置いてありますので、気になる方はお越しください。

もちろん無料で差し上げています。


最後に、私たちワイン屋がこのチャートを見て思うのは、涼しく難しい年に良質なワインを造る生産者です。

恵まれた年には誰もが太陽の恩恵を受けますが、厳しい年に目立つのが造り手の技量です。

毎年の天候が異なり、造り手の個性が合わさって、ワインの味わいに無限の多様性がうまれるのです。



さて今月のお薦めワインです。

まずは北海道から、タキザワ・ワイナリーのナイヤガラ・スパークリングで、野生酵母仕込14年。

華やかなマスカット香が特徴のこの品種ですが、この香りで合わせる料理が限定されるのもまた事実。

二次発酵も自然酵母で行ったこのワインは、

前述のマスカット香が穏やかでとてもバランス良くまとまった辛口タイプになりました。

次は、ふらのワインのミュラートゥルガウ14年と、羆(ヒグマ)の晩酌(バンシャク)13年。

ここの特徴は安定した良質さ。

赤、白共にイメージする品質と味わいを守りながら、更に美味しさと楽しさを合わせ持っています。

そして行政の富良野市が運営している為に良心的な値付けになっています。

余市からは田崎農園産ツバイゲルトレーベで造られた赤13年。

実はある席でこの12年と13年を比較試飲する機会がありました。

北海道の12年は暑すぎた為に黒葡萄にとっては難しい年で、色が淡く繊細な味わいになりました。

しかし田崎農園の12年産は、旨み成分が合わさり痩せた感じがありません。

そしてこの13年産は深い色調と豊かな風味を持っている為、熟成させてから楽しみたいと思わせる強さがあります。


そして山梨からシャトー酒折の甲州ドライ14年。

この低価格で甲州種からバランスの良い白を仕上げているのは驚きです。

フルーティな果実感と、余韻に品種特有の「にが旨み」が味わいを引き締めています。


次はフランス・ボルドーから、サン・テステフ村のシャトー・ファジェ09年。

ボルドーの名門リュルトン家のシャトーで村名付き、しかも最高の09年産ですと今時3000円以上はします。

もう数年の熟成を待てない時は、デキャンタか、エアレーションする事でタンニンがこなれて楽しむ事が出来るでしょう。

次は白、ペサック・レオニャン村シャトー・ド・フューザル03年。

実はまだ未試飲ですが、収穫年と価格でお薦めしちゃいます。

ここの品種はセミヨン種50%、ソーヴィニヨン種50%ですが、

熟成が10年を超えてくると、セミヨン種の味わいがムクムクと伸びてきます。

果実感ではなく、蜂蜜と脱脂していない羊毛の香りとスモークが混じり始めるのです。                                                                            

お手頃ボルドーでは、シャトー・ド・フランと、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン。

大人気のド・フランは最高の10年産で、凝縮した果実味とスモーキーな樽香で、誰もが大好きなスタイル。

一方、モントーランは08年の青さが7年を経てこなれ、

キノコや森の下草等の熟成香と共に飲み頃の旨みが開いてきました。


ブルゴーニュからはピエール・ブーズローの赤でヴォルネ・サントノ95年。

これには驚きました。造り手も畑も悪くは無いですが、20年の熟成によって大化けしたピノ・ノワール。

とにかくこの熟成香は、赤い果実と樽が混じり合っただけとは思えない程の複雑さと豊さがあり、

グラスから香りがどんどん広がります。

95年産ですから一瓶、一瓶の味の差はあるでしょうが、今月、驚きの1本です。


熟成した白では共に7年を経た08年産。

テヴネ家のボンクラン・マコンは、蜂蜜と柑橘の香りが広がり、

凝縮した果実味をアルコールが引き締めたスケール感のある味わい。

一方、カイヨのブルゴーニュ白は畑の良さが出ています。

畑はムルソー村にありますが、ワインのACムルソーを名乗れる境界線がこのレ・ゼルブー畑の手前で区切られました。

まさにムルソーに接した畑ですから、ラベルを見なければ味は正しくムルソー村の08年産です。

そして今ブルゴーニュで最も高騰しているのがシャブリ村。

この村で質、量、共に安定しているシャブリジェンヌが造る村名付きと、一級モン・ド・ミリュー畑。

共にしっかりとした果実感とミネラル感で、大変良く出来た白です。

特に1級畑は、相場よりかなりお値打ちな価格だと思います。


南仏からはサンタ・デュックのローヌ09年。

普通、今時期は12年、13年産が入荷しているのに、

作柄の良かった09年産というだけで嬉しいじゃないですか。

たっぷりとした果実味とアルコール感が6年を経て調和してきました。

当然、パーカー氏も90点評価で、更なる熟成にも十分の資質を持っています。

次はは自然派ワイン。南仏サンシニアン村のスーリエは

有機栽培を実践し、醸造も自然に任せて酸化防止剤もおまじない程度しか使いません。

その為に抜栓後はアニマル系の「還元香」を感じますが、

味わいは澄んだ果実味と細かなタンニンがきれいに調和しています。

手間のかかる有機栽培と自然派醸造の赤で、この価格は絶対にありえません。

自然派ワインの入門に最適な1本だと思います。


白ではサンセール村のブルジョワ家が造る白。

ここがサンセール村のソーヴィニヨン葡萄で造る白は3000円を楽に超えてしまいます。

でもソーヴィニヨン種の白葡萄は、この村の外側でも栽培されています。

土壌や諸条件が近い区画を探し造ったのがこのワイン。

お安くても味わいは限りなくサンセール村の白に近い、反則技のような白です。


今月はフルボディの赤で知られるマディラン地区で良い物が集まりました。

まずはシャトー・ラフィット・テストンの09年。

6年を経てタナ種のタンニンがこなれ始め、飲み頃の美味しさが素直に楽しめます。

次はこの地で最高の生産者アラン・ブリュモン氏が所有する2シャトーで、ブースカッセが08年、モンチュスは07年。

共に熟成はまだ始まったばかりですが、旨味も開き始めています。

今でも美味しく、更に数年の熟成も十分可能な濃さ強さを持っています。

最後は新進気鋭の生産者が造るマディランの赤。

まだ若く強烈ですが、キメ細かで緻密なタンニンが果実味に溶け込み、今でも楽しめる美味しさを持っています。

将来、ここが新しいマディランのスタイルになるかもしれないような、まばゆいほどの魅力をぜひ一度お試しください。


イタリアからはリヴァ・レオーネのバローロ10年。

素人が手を出しちゃいけない物の一つが、3000円以下の安バローロでしょう。

時々出物はありますが、味わいも価格通りで薄っぺらな物が多いです。

そんな期待を裏切ってくれたのがこの赤。

この産地らしい果実味とタンニンが楽しめ、中堅クラスの味わいに感じました。


イタリアの白といえばソアヴェ。

ソアヴェの価格は1000円以下から、4000円代まで色々あります。

このレ・オゼッレのソアヴェは1000円を大きく下回る価格ですが、

味わいは毎年安定してソアヴェらしい爽やかさと旨味が楽しめます。

多分このワインの買い付け担当者が試飲を重ね、よいタンクのワインを吟味しているのでしょう。

間違いなく、今月の旨安ワイン!


アメリカからはオレゴン州のピノ・ノワール種で、ソーコル・ブロッサーが造るデリニア300。

有機栽培のピノはアルコール感が果実味に溶け込み、上品でバランスの良い仕上がり。

ピノとしては入門用の価格ですが、濃度ではなく品のある可憐な味わいが楽しめます。

オーストラリアからはティズウェル社のシラーズ種で上級品。

普通オーストラリア・ワインで飲み頃を探すのは至難の業ですが、

ここでは熟成させてから出荷する為に現在08年産が発売されています。

7年を経て果汁っぽさが落ち着き、少しこなれた味わいが楽しめます。

ニュージーランドからはクロ・アンリのソーヴィニヨン13年。

このワイナリーは仏サンセール村のブルジョワ家がニュージーで始めた事業で、

創業の数年間、栽培担当者は北大出身の岡田氏でした。

今、岡田氏は独立しましたが、彼の作った畑から今も風味豊かなワインが生まれています。


藤井 敏彦

 

2015年3月

今年で56歳になる私。コンピューターでの仕事中に首や腰が痛くなることもしばしば。

年齢と共に体にガタがきているのは分かっていますが、騙しだましでも仕事を続けなければなりません。

そこで始めたのが朝のストレッチ。

初めは布団の上で伸びをするぐらいでしたが、テレビや人から聞いたエクササイズの種類が増え、

今ではコースを終えるのに10分程もかかるようになりました。

元々ずぼらな私が毎朝休みなく続けられるのは、まだ生きたい、あるいはまだ死にたくないという思いがベースにあるのでしょう。

話は変わってNHKの連続テレビ小説「マッサン」。

私は休み前日の夜に、録画したマッサン1週間分をまとめて観ています。

笑ったり、泣けたり毎回とても面白いのですが、1週間分が2時間近くかかり翌朝の起床は昼近くになってしまいます。

マッサンも開始から100話を超えたので、試しに番組の15分×100話と電卓をたたいてみると=1500分。

これを60分で割ると25時間! たった15分の番組でも、ちりも積もれば25時間には驚きました。

そして、次に思ったのが毎朝のストレッチ。

10分でも365日続けると3650分。

これも60分で割ると約61時間にもなるじゃないですか。

自己流のストレッチでも61時間もすれば、何か体に良いこともあるでしょう。

子供のころから聞かされていた「継続は力なり」の意味が55歳になって初めて分かったような気がします。


さて今月のお薦めですが、年末に入荷した分がとても多く、新入荷等も倍以上になってしまいました。

まず北海道から、タキザワ・ワイナリーのキャンベル・アーリー種で14年産のロゼ・ヌーヴォー。

自然酵母による発酵とノン・フィルター瓶詰された新酒の為、ワインは濁っており瓶の底には酒石酸がたっぷり。

この時期ワイナリーに行って、特別に醗酵直後のワインをタンクから試飲させていただいたような味わいです。

次は札幌の藤野ワイナリーから、ナイアガラ種のスパークリングと、山葡萄の赤。

ナイアガラ種の泡は華やかな香りと、とっても爽やかな辛口スタイルで大人気。

メーカーで品切れでしたが、やっと14年産が入荷しました。

そして驚きは山葡萄からの赤。野生で小粒の葡萄は、強烈な酸味とタンニンがたっぷり。

飲み頃はまだ先でしょうが、道産の赤でここまでインパクトのある味わいでこの価格は絶対ありえません。

最後は道南・乙部町の富岡ワイナリーの赤。

収穫年の記載はありませんが、多分2010年前後ではと思われます。

1000円を下回るこの低価格で、果実味と酸、タンニンが調和した熟成旨みが楽しめます。

これは絶対にお得ですから、あまり口外せずにひっそりと購入しましょう。

皆に知れ渡るとこの年のワインは完売し、すぐに若いワインになってしまいます。


山形県の名門、タケダワイナリーのサン・スフル(硫黄・無添加の意)の白、ロゼ。

このワインは少し長い説明が必要です。

通常のワイン醸造には不可欠な亜硫酸塩は「酸化防止剤」とラベルに記載されます。

亜硫酸は今から2000年以上前の古代ローマ時代に、アンフォラと呼ばれる壺でワインを醸造する際、

少量の硫黄を燃やして(亜硫酸ガスが発生)からワインを詰めると、変質せず長持ちしたと記録されています。

こうして人類は2000年以上の間、化学式や原理は分からずに硫黄のお陰で美味しくワインを飲んできました。

現在日本の亜硫酸の基準は350PPM以下ですから、ワイン1000g中に0.35gまで

認めています(一般のワインはこの基準の半分以下の数値です)。

近年では亜硫酸・無添加が話題になっています。通常の醸造で亜硫酸を使わないと、

皮をむいたリンゴが赤茶ける様に若い白ワインでも茶色の色調になり、

漬物やたくあんの様な香りが出てしまいます。

若い白ワインが透明に近い淡い黄色で、フルーティな果実の風味があるのは、

一つは亜硫酸で酸化をさせていない為なのです。

タケダワイナリーでは亜硫酸の代わりに、炭酸ガスを酸化防止に使いました。

通常ワインの発酵は蓋のないタンクで行う為、醗酵時にぶくぶくと出る炭酸ガスは空気中に逃げてしまいます。

発酵の途中でワインを瓶に詰めると、ワインは瓶の中で発酵を続けます。

瓶の中で発生した炭酸ガスは、逃げ場が無くワインに溶け込みスパークリング・ワインになります。

そして醗酵終了後、役目を終えた酵母菌はオリとなって底に溜まります。

一般のスパークリング・ワインは、一度栓を開けオリを取り除いてコルクを打ちますが、

タケダワイナリーではこのオリを残して出荷します。

その為にガス圧が強く、オリの還元作用もあって、亜硫酸・無添加でも酸化が進みません。

ただガス圧が高い事と、オリが残っているせいで泡の発生が一気に進む為、

仏シャンパーニュ地方の物よりも泡が吹き出ます。

抜栓時は吹きこぼれの為にボウルの中に瓶を立て、栓も一気に抜かず栓抜きを使って数回に分けて少しずつ抜いてください。

一度経験して頂ければ、私のアドバイスが誇張でないことが分かって頂けるでしょう。

こうして造られたサン・スフルは、きめ細かな泡と独自の豊かで複雑な味わいが楽しめます。

タケダワイナリーではこの無添加シリーズを赤、白、ロゼ、シードルの4種類を造っていますが、

特に白とロゼのガス圧が高く、泡が吹きやすくなっています。

抜栓時は、ボウルの準備をして、一度に栓を開けないようお願いします。                                                                            


次は仏ボルドー地方からシャトー・ブリエット、シャトー・ラリヴォー、共に作柄の良かった10年産。

値上がり前の10年産を見つけたら、即、買いです。

特にボルドーの左岸(メドック側)は09年が上品で澄んだ仕上がりで、10年の方はタンニン豊かで詰まった印象。

濃さ強さがお好みでしたら、絶対10年産です。

09年産ではメドック地区のシャトー・ラ・グランジュ・ド・ブッサン。

完熟した果実味と細かなタンニンがきれいに調和しています。メドック地区でこの価格は、絶対お得です。

熟成タイプがお好みでしたら、シャトー・シトランのセカンド、ムーラン・ド・シトラン05年と、

オー・メドック地区のシャトー・レスタージュ・シモン96年。

シトランの方は10年を経てカベルネのタンニンと果実味とがこなれ始めて来た頃。

レスタージュ・シモンは19年を経て果実味は少し枯れ始め、ドライフルーツ、キノコ、革製品といった熟成香が楽しめます。

ボルドーの右岸ファンには、フロンサック地区のシャトー・クラーズ03年と、カスティヨン地区のシャトー・ムーラン・ローズ98年。

クラーズはカベルネ・フラン種主体と暑かった03年産の為、右岸としてはタンニン豊かで逞しいスタイル。

一方ムーラン・ローズは素晴らしいメルロ種が収穫できた98年産。

樽ではなくタンクで長期熟成させた為に木樽の風味はありませんが、今も枯れた感じがなく果実味がしっかりあります。

ボルドーの白ではシャトー・ラリイ・ブラン。

ソーヴィニヨン・ブラン種としては酸味が穏やかで、果実味がたっぷりあり、この価格ではよく出来た白でしょう。


ブルゴーニュ地方からはシャトー・ド・サントネのブルゴーニュ規格の赤で10年産。

とにかく10年産は色を見ただけで濃く、香りも凝縮して別物です。

こんな価格で10年産を見つけたら、即買いをしなければすぐ無くなってしまいます。

そして、アンリ・ノーダン・フェランのパストゥグラン。

先月号でこのワインの11年産をお薦めしましたが、熟成した08年産が少量入荷しました。

ピノ・ノワール種が30%でガメイ種が70%入っていても、ワインからにじみ出るエネルギーを感じます。

ガメイ種という先入観を捨てて、ワインに向き合って味わってみてください。

次もジャイエ・ジルが造るガメイ種混じりの赤。

セメント・タンクで18カ月熟成の為に木樽の風味はありませんが、ピノとガメイとがいい感じで調和し始めてきました。

こちらも、10年産らしいインパクトのある味わいです。

そして次もガメイ種混じりの赤。

こちらは最高の年05年産のピノ・ノワール種70%、ガメイ種30%のワインを、ステンレス・タンクで8年熟成させて瓶詰しました。

こちらも木樽風味はありませんが、10年を経て果実味と酸、タンニンが良い具合に溶け込み、二つの品種が一つにまとまって来ました。

今月のガメイ種混じり3種類はそれぞれが違う表情を持っており、味わいの違いを皆様も楽しめる事でしょう。

ここ数年高騰の続くブルゴーニュで、このお値打ちな3本をぜひお試しください。


次は上級品で、フランソワ・カリヨンのブルゴーニュ規格の白。

さすがはピュリニー村の名門と思わせる凝縮感と、豊かな酸とミネラルがたっぷり。

格上の世界を感じさせてくれる、ブルゴーニュ・シャルドネです。

一方シャンドン・ブリアイユが造るサヴィニ村の1級07年は、濃度ではなくひたすらエレガントなスタイル。

8年を経てスミレやキノコ、スパイス等の熟成香が開き始めて来ました。

ピノはこの位の濃度でも十分美味しく仕上がる事を教えてくれた1本です。

そしてもう1本はロワールからムヌト・サロン村のシャトノワが造るピノ・ノワール種09年。

味わいは、よくある南ではなく涼しい北の産地のピノなのです。

繊細な果実味と清らかな酸があれば、木樽は目立たなくても十分美味しい。

ちょっと見つけて、嬉しくなったピノです。

ロワールと言えばやはり白。ルイイ村のクロード・ラフォンがソーヴィニヨン・ブラン種で造るフレッシュで爽やかな白13年。

人気のサンセール村だと3000円を超える今、半値以下で入手できるソーヴィニヨン・ブラン種はあり得ません。

見つけたら即買いをお薦めします。

そしてサンセール村のセバスチャン・リフォーはある意味サンセールらしくない白。

一般的にはフルーティで爽やかな辛口のサンセール白ですが、

こちらはビオディナミ栽培した上に、収穫を遅らせ半分は貴腐化した葡萄が入った状態で発酵させた辛口タイプ。

色も茶色がかった濃い黄色、泡盛やイモ焼酎を思わせる香りに、豊潤で複雑な味わい。

少し大げさに言うとソーテルヌ村のイグレッグ(価格は2万円前後)に似ています。


アルザス地方からはシュルンバジェのピノ・グリ種の白。

とにかく完熟感と凝縮感がたっぷりで、半分近くの葡萄は特級畑の物を格下げしているのが嘘じゃないと理解できます。

当社の試飲会でも「こんな美味しいピノ・グリは初めて!」と言われる方が多かったです。


南仏からはジャン・ルイ・ドゥノワが造る南のスパークリング白。

葡萄はなんと黒葡萄のシラー種を用い、瓶内二次発酵で極辛口に仕上げています。

黒い果皮は入れず果汁だけで醗酵させますが、やはり白葡萄とは違った太さや強さが感じられます。

ワイン好きの集まりに、ブラインドでこの泡を出されると受けると思いますよ。


次は豊かな風味で大人気、カオール村のシャトー・ピネレですがメーカーで品切れた為、

代替えで、ハーフサイズが特価で入荷しました。

安くてもリッチな味わいの赤を探している方には、最適な一本です。


イタリアからはチェッチのランブルスコ・セッコ。

泡のある赤といえば少し甘みのあるランブルスコですが、こちらは辛口タイプの赤。

辛口は甘みが無い分、薄っぺらに感じてしまいがちですが、

チェッチはこの価格でも果実味がそこそこ濃くて味わいのバランスが良く仕上がっています。


トスカーナからは久しぶりに日本に再入荷したピアッツァーノの赤。

サンジョベーゼ種主体でスタイルはキャンティですが、フランス系品種を使わず、野太くて、複雑な旨みが楽しめます。

評論家の点数は期待できなくても、イタリア・ワインの持つ美味しさと楽しさがあるような気がしました。


シチリアからはフィッリアート社のエンポリオ赤、白。

2種そろって今月の旨安大賞に決定です。

赤はネロ・ダヴォラ種とメルロ種、白はカタラット種とインソリア種のブレンド。

私は何度も言っていますが、特に安価なワインは複数の品種を混ぜる事で、バランスの良さと厚みが出やすくなります。

その典型とも言える仕上がりがこの赤、白、ワインです。


そしてカンパーニャ州のジャルディーノがグレコ種で造る強烈な白(?)がアダムです。

実は白ワインは白い葡萄で造るから白ワインではありません。

黒葡萄でも、白葡萄でも、葡萄を絞った透明な果汁だけを発酵させたのが白ワインです。

しかし近年、栽培の自然派志向と共に、醸造にも自然派志向が高まり、

赤ワインの様に白葡萄の果皮も一緒に醸造する白ワインが少しずつ出て来ました。

このアダムも色は茶色がかって濁っており、10年前だと不良品と言われた外見。

白葡萄の皮も共に仕込んだこの豊潤で複雑な味わいを口にすると、今までの白とは異なる味の方向性に驚くことでしょう。


スペインからはファン・ヒルがアルマンサ地区で造るアタラヤの赤3種。

それぞれの価格帯の中で、最強と思える濃度が楽しめます。

地元の黒葡萄ガルナッチャ・ティントレラ種は、果皮だけではなく果汁も血の様に色があり、

アタラヤはその品種の特徴をストレートに表現しています。

フルボディ・タイプが大好きな方には絶対のお薦めです。


ナヴァラ地区からはイヌリエータがフランス系品種で造るナバエルス。

この価格帯で4年を経た11年産は今や貴重です。

カベルネ種の果実味と木樽風味が混じり、アルコールが溶け込み始めた熟成旨みをお楽しみください。


スペインで白と言えばルエダ地区。

ヴェルデホ種主体の白はメリハリ感とバランスの良さを合わせ持ち、

私的にはソーヴィニヨン・ブラン種とシャルドネ種の「いいとこ」取りした感じです。この品種は侮れません。


次はドイツのリンゲンフェルダーが造る貴重な赤。

地元品種ドルンフェルダーの最良区画で、天候に恵まれた年だけ造られる特醸品がオニキスです。

小樽で12カ月熟成させた05年産は10年を経たとは思えない程に、今も黒々とした色調を持っています。

細かなタンニンがたっぷりとあり、ドイツの赤ワインのイメージを覆してくれる1本です。


アメリカからは、テエラ・ディヴィナが樹齢100年を超えるジンファンデル種主体で造られたダイナマイトのような赤。

強烈なアルコール感と、フルーツドロップの果実味と、木樽の風味が口の中で爆発します。

その風味はストレートに響くロックンロールの様な味わいです。


最後は、ファレルニア社のチリでは珍しいサンジョベーゼ種からの赤。

当然、イタリアのサンジョベーゼ種とは違うスタイルなのですが、同じ品種ですから共通のトーンも感じられます。

「ここの所はチリの味」とか、「この感じはイタリアにもある」なんて言いながら、

ワイン仲間と共に味わって頂くと、このワインは更に楽しく美味しくなるでしょう。


最後はワイングラスです。

当社でも試飲時に使用するのは数年前まで小振りな国際規格の試飲グラスでした。

しかし今はこのプロ・テイスティング・グラスを使っています。

理由はワインが入るボウル部分の面積が広いのと、内側の形状に角があり、試飲の際に色々な香りを取りやすい点です。

また足が短く個数を並べても邪魔になりません。

ただグラスも人それぞれ好みがあります。

私自身このグラスは、香りと味とが繋がらない印象で、評価するには適していますが、

楽しんで味わうにはリーデル社のボルドーやブルゴーニュ型の方が適しているのではと感じています。

ただ、こうして文句を言いながらも、私自身、自宅でも会社でもこのグラスを使って飲んでいます。

全ての面で完ぺきではないですが、試飲には良く出来たグラスだと思います。 藤井 敏彦

 

2015年1月

11月にワイン関係の昼食会が、京都・嵐山の料亭「K」であり私も参加してきました。

その会は30年ほど前、全国のワイン小売店が共同でフランスなどからワインの買い付けをする集まり。

その会に、当時私は最年少で参加させて頂きました。

毎年、皆でヨーロッパに仕入れに行くのが原則でしたが、当社は余裕がなく一度も現地には行かず、

その会も10年程で立ち消えてしまいました。

当初は現地に行く為に皆で会費の形で積み立てをしていましたが、

今回、事務局がその残金処理に昼食会を企画し、当時のメンバーが10名程集まりました。

集まった方々は皆60~70代ですが、今も元気に日本各地でワイン屋を続けていました。


この案内が来た時に真っ先に思ったことは、京都の老舗料亭で恥は掻きたくない!

その「K」のホームページの中に「食事の心得」というコーナーがありました。

先付け、煮物椀、造り、焼き物、等々11ページにわたって、食事の作法が細かく書かれています。

私が一通り読み終えて感じたことは、付け焼刃の作法はやめて、

最低限のマナーで滅多に行く事がない老舗料亭の食事を楽しむことにしました。

参加された方々もマナーに縛られるタイプではなく、昼食会は窮屈さを感じず和やかに楽しむ事が出来ました。

ただ私は55歳になってもメンバーの最年少でしたので、

本部が持ち込みをしたワインの内で古酒の75年、82年、86年の抜栓は私が担当。

3本の内2本のコルクがボロボロで1本は何とか抜きましたが、もう1本はコルクの底が5ミリ程ちぎれてしまい、

最後はその部分を瓶に押し込みデキャンタをしました。

それでも用意されたワインは皆良い状態で、皆さんも喜んでいました。


翌日の昼食は京都・南禅寺の傍で湯豆腐。

昨日の料亭は魯山人などの立派な器を使って食事を出し、着物を着た給仕の方もフルサービス。

翌日の湯豆腐のお店の庭には大きな池と立派な鯉。

美味しい料理だけではない京都の底力を充分見せつけられました。

安価な食器や内装、セルフサービス、立ち食い等によって価格を下げることは可能でしょう。

当然、京都に住む方だって料亭と安価なお店を使い分けています。

でも、京都にこうした高級店が残っているという事実は、

そのお店を利用される方が存在して経営が成り立っているという事です。

そう考えると、地元に良いお店が根付くということは、その街の住民の心意気が現れるという事なのでしょう。



さて、今月のお薦めワインです。

まずは北海道から千歳ワイナリーのピノ・ノワール種で、プライベート・リザーブ12年。

醸造は千歳ですが、葡萄は余市で最高のピノを造っている木村農園。

ここの畑でも、優良な区画のピノを特別に仕込みました。

今はイチゴやサクランボの風味と、樽からのヴァニラ香で十分美味しいですが、

数年後には果実味と樽とが混じりあうことで妖しい熟成香が開いて来るでしょう。

鶴沼ワイナリーからは、バッカス種の14年新酒です。

通常、鶴沼シリーズは2年間熟成させて発売しますが、早熟なバッカス種をヌーヴォーとして発売しました。

道内で多くの葡萄農家が絶賛する14年は、ふくよかな完熟感と爽やかな酸味が両立する期待の年。

残糖を減らし、果実味と酸味を生かした味わいが楽しめます。


今月はフランス・ボルドー地方で良い物が多く見つかりました。

ポイヤック村のレ・シュヴァリエ・ド・ドプラ08年。ポイヤック村で、7年を経た赤がこの価格は驚きです。

前回の07年産も骨太なカベルネ種の風味が好評でしたので、08年はもう一回り豊かな味わいが期待できるでしょう。

グラーヴ地区からはシャトー・ラムルー・サンマルタン06年。

グラーヴ(砂利の意)が多い土壌は、濃さよりも香り高いタイプのワインが生まれます。

この06年産も、9年を経てタバコ葉や土を思わせる熟成香が開いてきました。

少し大きめのグラスを使って頂くと、複雑な熟成香がさらに広がります。

メルロ種好きにはカスティヨン地区シャトー・コート・モンペザのコンポステレ04年。

メルロ種主体のワインを、ローストを強めの樽でしっかり熟成させています。

メルロ種からのチェリーシロップの風味と、樽からのスモーキーさが11年を経て混じり始め、芳醇な熟成香が楽しめます。

次は、暑い夏で凝縮した風味を持つ03年産のボルドーで、お手頃価格の赤が入荷しました。

シャトー・コンスタンタンの品種はメルロ種90%、カベルネ・ソーヴィニヨン種10%。

12年を経て二つの品種の果実味とタンニンが調和してきました。

通常、若いワインしかないこの価格帯で、作柄の良かった03年産は本当に貴重ですよ!

そして白では、貴腐ワインで知られるソーテルヌ村で造られた辛口、リュヌ・ダルジャン12年。

大切に育てられた葡萄の実は、甘口、辛口に関係なく良いワインが出来るのでしょう。

完熟した果実味と、上品な木樽風味、最後に若くても旨みが感じられます。

新しいスタイルのボルドー・ブランは、試してみる価値は十分にあります。                                                                           


次はブルゴーニュ地方から。アンリ・ノーダン・フェランのパストゥグラン11年。

この生産者はヴォーヌ・ロマネ村で脚光を浴びるジャン・イヴ・ビゾの妻の実家。

当然夫のビゾが協力し、造られたワインは、ビゾと共通するトーンを持っています。

ビゾのブルゴーニュ規格の赤が10,500円、こちらはガメイ種が7割で2,400円ですから、

月とすっぽんぐらい違いますが、ハートに訴えかける何かがこのワインにはあります。

頭ごなしにガメイ種を否定せず、グラスに注がれたワインを素直に楽しむ事が出来る方に、お薦めしたいワインです。

白では有名なジャイエ・ジルが造るオート・コート・ド・ニュイ地区で作柄の良かった10年産。

この生産者は凝縮した果実味と派手な樽香で知られていましたが、

今は濃度勝負を止めてミディアムでバランスの良いスタイルになっています。

作柄の良かった10年産(定価4800円)が、この価格は注目です。


南仏からはカーヴ・ド・タンが造るクローズ・エルミタージュ赤12年。

ただでさえ高い北部ローヌですが、ここは評価が高い協同組合で価格と品質のバランスが優れています。

シラー種特有の強さが楽しめて、この価格はちょっと驚きでした。南仏好きでしたら、ぜひお試しください。

一方こちらはグルナッシュ種主体の赤で、サンタ・デュックが造るコート・デュ・ローヌ規格の熟成した07年産。

南仏の当たり年07年産は、8年を経た今では貴重な存在。

果実味と、スパイス感と、アルコールが調和し、熟成旨みが開いてきました。

ロワール地方からはサン・マルタンのミュスカデ。

13年産だけにフレッシュなのは当然ですが、

この味わいは日本で飲んだのではなく現地の蔵元で味わった様に酸味が生き生きしているのに驚きました。

改めて、ワインは元々の味わいだけではなく、輸送過程がいかに重要であるかを気づかしてくれた白です。

そしてアルザス地方からはシュルンバジェが造る安価な入門ワイン、テール・ダルザス12年。

この価格で完熟感と旨みが楽しめます。

この価格破壊的なワインは、自社畑を130ヘクタールも持っている為に、コスト等を考えず、

味わいを優先して造っているのでしょう。これも驚きの旨安ワインです。

次もアルザスで有機栽培を実践するマルク・クレイデンヴァイスが、リースリング種とピノ・グリ種からの白。

今までアルザスでは安価な物はブレンド・タイプで、上級品は単一品種で造られてきました。

ところが近年は、上級品でも品種をブレンドして造る所が増えて来ました。

特にこのワインは個性的な2品種を半分ずつ入れているので、調和というよりもお互いが競い合っているような緊張した味わい。

これは面白いブレンドだと思いました。


イタリアからはトリンケーロがバルベラ種で造る赤、ア・ユヅキ。

このワイン通常は畑名付きの上級バルベラとして発売されるのですが、

09年は好天で葡萄が過熟し発酵後に味わいが濃くなりすぎたと感じたオーナーは、ワインを規格申請に出しませんでした。

結果、テーブル・ワイン規格となったこの濃密な赤を試飲した日本の輸入業者ヴィナイオータの太田氏は、

即決で全量購入し、同じ09年生まれの娘さんの名前を付けました。

この強烈な味わいは、二倍の価格でも納得する程の満足感がたっぷりです。

できれば、ゆっくり熟成させてから味わいたい赤ワインです。


イタリアで旨安ワインの生産者と言えば必ず名の上がるウンブリア州のファレスコ社の

モンテリーヴァ・ウンブリア・カベルネ・ソーヴィニヨンは毎年安定してふくよかで良質なワインに仕上げています。

そして旨安ワインでもう一社を挙げるとすれば、アブルッツォ州のファルネーゼ社。

ここも旨安で有名ですが今月のお薦めは、1ランク上のカサーレヴェッキオ13年。

収量を下げたモンテプルチアーノ種からのワインは、この価格とは思えないコクが楽しめます。

現地でも大人気で、もう13年産が入荷。もう少しこなれた味わいがお好みでしたら、ご自宅で熟成させるしかない状態です。


スペインからはポンセのクロス・ロヘン。

今まで注目されていなかった地元のボバル種にこだわり、有機栽培とタイプの異なる4区画のブレンドによって、

澄んだ果実味とバランスの良さを身につけています。

スペインの低価格ワインにも自然派の兆しが感じられます。

次はお隣ポルトガルのダン地区から、キンタ・ダス・マイアスの自然派ワイン。

こちらも有機栽培らしい澄んだ果実味が楽しめます。

そして洗練された味わいは、醸造に関しても有名コンサルタントの先生等が関与しているのでしょう。

有機栽培でも特有の癖が無く、誰もが美味しく楽しめる自然派ワインです。

一方キンタ・ドス・アヴィダゴスが造る「ロテ 138」は目の詰まった味わいで、少し仏ボルドーの赤を感じさせるスタイル。

多分4品種のブレンドが功を奏しているのでしょう。

果実味、濃さ、タンニン、調和感といった各要素がバランス良く楽しめます。

最後は人気の産地チリでカサス・デル・ボスケが造るレゼルバ・カベルネ・ソーヴィニヨン。

安くて濃いワインの産地だったチリですが、近年は皆が濃度から上品さへ移行しています。

そんな中で樽と濃さがはっきりと楽しめるマッチョ系のチリ・ワインを久しぶりに見つけました。


ビールではベルギーの修道院で造られるシメイ・ゴールド。

ここの看板はアルコール9%のシメイ・ブルーラベルですが、このゴールドはアルコール4.6%。

実は造っている修道僧の方々が仕事の後に飲むのはこのゴールドだそうです。

初めての人を驚かすにはブルーラベルでしょうが、毎日飲むにはゴールドなのでしょう。


食品からはロハス・クラブのメルロ種100%果汁。

北海道にとって最高の作柄となった14年産のワインは多分、春以降の発売ですが、まずは葡萄果汁が入荷しました。

梗(茎)の有無よりも、14年の完熟感がたっぷり味わえます。

ここのメルロ葡萄は藤野ワイナリーに納入され、赤ワインとなって発売されるのは半年以上先でしょうから、

まずは果汁だけでも試してみてはいかがでしょうか。   藤井 敏彦

 

2014年10月

我が家はテレビをあまり見ないせいか、今年の春まで録画はビデオテープでした。

しかし今年の秋にスタートするNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」は、

ニッカウィスキーの創業者・竹鶴氏とスコットランド人の妻リタさんのドラマと知り

ハードディスク・レコーダーを購入、番組に備えました。


私が酒屋の仕事を始めた30年前でも、竹鶴氏の功績は「日本ウィスキーの父」として有名でした。

何度か余市工場に行き、石造りの重厚な正門をくぐると、お酒が好きな方は

タイムマシーンに乗って100年前のスコットランドに行った気分になります。

普通、工場といえば四角いコンクリートの建物ですが、

竹鶴氏は醸造設備だけではなく、建物も全て当時のスコットランド風にしたのでしょう。

例えて言うならば今から80年前、余市の駅から200m程の場所に、

ウィスキーのディズニーランドを造ったようなものです。


20~30年前は当店でも国産ウィスキーの販売量が多く、勉強の為に余市工場に行き話を聞くのが楽しみでした。

ある時、余市工場の次長さんが応対してくれた際に、興味深い話を聞きました。

その方は余市生まれで、ニッカに入社しました。

第二次大戦中はまだ子供で、金髪で青い目の外人のリタさんを見るだけで驚きでした。

また竹鶴氏はリタさんと外出する際は必ず手をつないで歩いていましたが、当時の日本の風習では驚きだったそうです。

しかも戦時中は日本と英国とが敵対関係だったので、お二人が外出する時は

必ず憲兵さんが前と後ろに一人ずつ銃を持って同行し、スパイ活動を監視していたそうです。

憲兵さん、竹鶴夫妻、憲兵さん、その後ろを少し離れて、余市の子供たちが

面白がって金魚のフンのようについて歩いていたと笑いながら話してくれました。


また、ウィスキーの本場スコットランドで蒸留釜の加熱は、今や殆どがボイラーに代わってしまいましたが、

余市工場では80年前と同じく、今も人がスコップを使って石炭をくべて(燃やす)います。

別の機会に余市工場の工場長さんからお話を伺った際、その方が応接室の窓から遠くを見ていて

「煙突の煙を見ただけで、今日の火番は誰かがわかるのですよ」と言っていました。

大量に石炭をくべて休憩する者と、コツコツとくべる者とは煙の出方がまるで違うそうです。

皆さまも機会がありましたら、今も現役で活躍しているニッカ余市工場を訪ねてみませんか。

運が良ければ、石炭の直火焚きによる蒸留作業と、煙突からの煙も見られるでしょう。



さて、今月のお薦めワインです。

今月の国産ワインは、北海道だけでなく本州からも入荷がございました。

まずは道内から鶴沼ワイナリーの12年産ピノ・ブラン種。11年産まではドイツ語の

ヴァイス・ブルグンダーでしたが、この年から一般的なフランス語表記になりました。

暑かった12年産らしく、例年より果実味がふくよかで完熟感が楽しめます。

山形県からはタケダ・ワイナリーの蔵王スター赤、白。

昔、日本酒の蔵元の実力を知るには、安価な二級酒の味を見るのが近道と言われていました。

低コストの中で、地元のお父さん達が喜ぶ味わいを造る難しさを評価する事です。

ここの蔵王スターは、最安価で最も販売量が多い商品。

県内からの購入葡萄で仕込んだ味わいは、クリーンな果実味と酸、タンニンのバランスが良いスタイル。

搬入された葡萄をしっかり選別し、その年の状態に合わせた醸造を行うことで、

地元、山形県民の日常酒になったのだと感じました。

長野県からはワイン通に評価の高い小布施ワイナリー。

今、北海道・余市でピノ・ノワール種の頂点に立つ曽我貴彦氏の実家です。

ここでは兄の曽我彰彦氏が、渾身の思いで過酷な農作業と醸造を実践しています。

今回選んだ3点のワインは、自社畑の葡萄によく知る2軒の農家さんの葡萄をブレンドした物ですが、

凝縮感と複雑さは彰彦氏の強烈な個性から滲み出た味わいだと思います。

今年の夏、長野に伺い炎天下の畑の中で、何時間でも栽培への思いを語る彰彦氏を見て、

ここのワインは「鶴の恩返し」と同様に自身の命を削ってワインを造っているように思えてきました。

私の勝手な思いですが、小布施ワイナリーは噛みしめる様に味わっていただきたいと願っています。

そして山梨県からは、グレイス・ワイナリーの甲州種の白。

前述した曽我氏のワインがビン、ビンと来るタイプだとすれば、

三澤家が造るこの甲州の白はとてもバランスが良くスーッと飲み込んでしまう味わい。

しかし再度舌の上にこの白をのせてゆっくり味わってみると、華やかに広がる果実味が純粋で雑味がなく、

これは涼しい顔をしているが厳しい選別と鍛錬によって出来上がった味わいであることが感じて頂けると思います。


仏ボルドー地方からはサン・ジュリアン村の名門シャトー・ラグランジュのセカンド・ワイン、レ・フィエフ・ド・ラグランジュ10年。

作柄の良かった10年産ですと相場は4000円ぐらいしますので、3割ほどはお得だと思います。

完熟した果実味と、きめ細かでたっぷりのタンニンは瑞々しく、今でも美味しく味わえます。

ボルドーの旨安赤はシャトー・ラ・ローズ・モントーラン12年。

この価格でそこそこの果実味と、木樽の風味が楽しめるのは驚きです。皆さんもぜひ一度お試しください。

今お薦めしたモントーランは12年産。

でもボルドーは少し熟成したほうが、、と思う方には、シャトー・ムーラン・デ・リシャール08年。

6年を経て少しインパクト感は落ち着き始めましたが、果実味とタンニンが調和してきています。

安価で熟成したボルドーなんて都合のいいワインは普通あり得ませんが、この赤はまさにそんな味わいです。


今月の仏ブルゴーニュ地方は、少し熟成した物が値上がり前の特別価格で数点入荷しました。

今発売している12年産よりは価格が3~4割お安く、

今でも十分美味しいですが、数年後は更なる喜びが期待できます。

まずは各種お試し頂き、気に入った物を1箱でも買われて取って置くと、抜栓が楽しみになることでしょう。

白で有名なアルベール・グリヴォーが造るポマール村クロ・ブラン畑の赤10年。

作柄の良かった年だけに、ポマール村らしい果実味とタンニンが詰まった味わいが楽しめて、この価格はあり得ません。

ポマール村の女性醸造家アレット・ジラルダンが造る、ボーヌ村の1級畑クロ・デ・ムーシュ08年。

この畑はポマール村に接する区画だけに、ボーヌ村のチャーミングさとポマール村の強さの両方の良さが楽しめます。

6年を経て少し熟成香が開き始めました。食事と共に時間をかけて、1本をゆっくりと味わいたいピノです。

ジヴリ村のジョブロの1級畑グラン・マロル10年。

干した果実の風味と木樽の風味がたっぷり楽しめます。

こなれた味わいがお好みの方には、同じ生産者の白でセルヴォワジーヌ畑の05年産もございます。

人気のジュヴレ・シャンベルタン村で、古木を大切に栽培しているドゥニ・バシュレの07年。

この村名ワインの平均樹齢は80年。

派手さはありませんが、ミディアムでも果実味と細かなタンニンとが詰まっている印象です。

ヴォルネ村の頂点にいるプスドールがサントネ村の1級クロ・タヴァンヌ畑の葡萄で造る赤09年。

サントネ村の力強さを、ヴォルネ村の上品さがきれいに包み込んでいます。

ヴォルネ村で古くからビオディナミ栽培(有機栽培)を実践しているミッシェル・ラファルジュのヴォルネ村で09年。

自然酵母とノンフィルターの醸造は、大きめのオリがたっぷり残っています。

味わいはインパクト系ではなく薄旨系ですが、時間と共に果実味の中から旨みとタンニンが湧き上がって来ます。

お値打ち品では、ティエリー・モルテが造るパストゥグラン10年。

ガメイ種60%ですからピノ以外の味わいもありますが、

ジュヴレ・シャンベルタン村を思わせる複雑なタンニンが心地良く広がります。


他の産地では南仏フローランのコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ12年。

有機栽培の南仏赤だけに薄旨系の澄んだ果実味と、スパイス感がきれいに調和しています。

濃度勝負のタイプではありませんが、食事と共にゆっくりと味わって頂くと、品の良さが感じられると思います。

これはお値打ちです。


サンセール村のリフォー家の白で11年産。

ここもビオディナミ栽培を実践。自然酵母で発酵後、乳酸発酵まで行います。

一般のサンセールは華やかな柑橘の香りと、爽やかな酸味が特色ですが、

ここの白は旨みと複雑さを持った独自の味わいで、飲み手を唸らせてくれます。

南仏ルーション地区ミラボーの赤12年。

チェリー・シロップの香り、シラー種からの果実味に酸、タンニンが合わさり、メリハリのあるキュートなスタイル。

お手頃価格ですが、丁寧な仕事を感じさせる良質な赤です。


イタリアからはアルト・アディジェ州ギルランのゲヴュルツ種とソーヴィニヨン種。

安いワインではありませんが、澄んだ果実味と、酸味、ミネラル感とが凝縮した液体が、

舌の上で幾重にも開き始め、飲み込むのをためらってしまいます。

オーストリアに接するチロル地方は、一般的なラテンの国イタリアとは違う感性を持っているのでしょう。


カリフォルニアからはパソ・ロブルス地区のキャッスル・ロックが造るカベルネ・ソーヴィニヨン種11年。

暑い産地にありがちな濃くて甘いシンプルな果実味ではなく、

完熟感と涼しい酸とタンニンが交互に現れ、飲み手を飽きさせません。この価格も良心的と思えました。


アルゼンチンから、ノートン社のマルベック種のレゼルヴァ11年。

樹齢80年以上の古木からのワインは凝縮した味わいと複雑さを持っています。

この価格でこの濃度は、新世界だからこそ出せる味わいでしょう。  藤井 敏彦

2014年 9月

8月の休日、彫刻家・安田侃(ヤスダ・カン)の公園で知られる美唄の「アルテピアッツァ」で行われた、

「アン・サリー」のコンサートに家内と二人で行ってきました。

夫婦で音楽の好みは異なりますが、女性シンガーのアン・サリーは

お互いに好きで、家でも、当店でもCDをよくかけている程。

コンサートの当日は少し早めに家を出発し、まず向かうは札幌の東屯田通りにあるサンドイッチ店「サンドリア」。

24時間営業のこのお店は、何時行っても、何人ものお客さんがいて、

お店の奥では5~6人の定員さんが、黙々とサンドイッチを作っています。

ここでサンドイッチを数個購入し、美唄へ向かいます。


コンサート会場はアルテピアッツァ公園内にある廃校になった小学校の体育館。

その前に公園の芝生に座ってサンドイッチをいただきます。

当日は晴天で日差しは強いですが、カラっとした北海道らしい夏の一日。

丘陵地帯で高低差のある公園を、時折、森からの涼しい風が流れて来ます。

体育館の横には浅い水辺もあり、地元の子供たちが楽しそうに水遊びをし、

体育館の開いた窓からはリハーサルの歌声が聞こえ、

ここはエデンの園か、天国かと思うほど心地良いランチタイムになりました。


そのゆったりした流れの中コンサートが始まります。

今日のメンバー、若くて少々太っちょなピアニスト小林創(ハジメ)、

思慮深いフレーズを奏でるスリムでナイスミドルなトランペッター、飯田玄彦(ハルヒコ)と、

アン・サリーの3人。声はマイクとアンプを通しますが、楽器はアンプを感じさせないアコースティックなトーン。

彼女は声量で歌うタイプではありませんが、

爽やかな歌声はドーム型木造体育館の響きと相まって、優しく会場を包み込んでいます。

若いピアニストの元気一杯で、溌剌としたフレーズを、

柔らかく包み込む歌声と、管楽器は、まるで親子で演奏しているかように感じました。

僕はもう少し日本語以外の歌が聞きたかったけれど、歌の詩を重視する家内は大喜び。

とても素晴らしい夏の一日を過ごす事が出来ました。

最後にアルテピアッツァ美唄はとても良い公園でしたので、

コンサートやイベントが無くても、安らぎを求める方にはお薦めします。


さて今月のお薦めワインです。

地元北海道からは奥尻島、奥尻ワイナリーの1番人気ピノ・グリ13年。

たっぷりした果実味とミネラル感、そして自然酵母からでしょうか、少し酸化したニュアンスも感じます。

道内の葡萄生産者が畑の植え替え時にはソーヴィニヨン・ブラン種を増やす話をよく聞きますが、

私は北海道にはピノ・グリ種も有望なのではと最近思っています。

そして、三笠市山崎ワイナリーからやっとワインが入荷しました。

タンク発酵シャルドネ種と、樽発酵シャルドネ種。

共に涼しい環境で育ったシャルドネ種らしく果実味と酸味がたっぷり。

樽の方でもヴァニラ香は穏やかで、ピュアで引き締まった味わいが楽しめます。

次は池田町の十勝ワインで、貴重な山幸種のアイス・ワイン。

200mlで4000円は安くはありません。

でも葡萄の木に鳥防止用のネットをかけて12月までじっと待ち、

一番冷え込んだ日(多分マイナス15度以下)に凍った葡萄を収穫し、

水分が融けないよう直ぐに搾るのは誰もやりたくはない仕事だと思います。

収穫した池田町職員さんの気持ちになって、じっくり味わってください。


次は仏ボルドー地方から、オーメドック地区シャトー・ラネッサン06年のハーフサイズ。

定価1600円が半値に近い価格で入荷しました。

8年を経て果実味とタンニンが調和した飲み頃ワイン。これは早い者勝ちです!

オーナーが革製品とスカーフで知られるエルメス社になって評価を上げている、シャトー・フルカ・オスタン04年。

ここの内陸部にある畑は、タンニン豊かなスタイルの赤を安定して造っています。

10年を経てタンニンと果実味が調和してきた04年は、まさしく熟成ボルドーの味わい。

この価格でしたら大変お買い得だと思いました。

自然派のワインが少ないボルドーで、400年以上化学肥料や農薬を使っていないシャトー・ルピュイ。

ここのセカンド・ワインが特別価格で入荷しました。

自然農法に多い薄さを感じさせず、詰まった味わいで、同時に自然農法特有の澄んだ味わいも楽しめます。

この11年産は、今からでもフレッシュな果実感で美味しくいただけます。

ポイヤック村のシャトー・ピション・バロンのスタッフが手掛けたボルドー規格の赤、キャップ・ロワイヤル。

作柄の良かった10年らしく濃さ強さと、樽からのスモーキーな風味を持っています。

多分、熟成にはピション・バロンで使った上質な樽を使っているのでしょう。


白ではシャトー・オー・ブリオンのスタッフが造るボルドー規格の白、クラレンドル・ブラン12年。

完熟したセミヨン種主体で、干しアンズの風味が楽しめます。

最近私は3000円以下の白でしたら、ブルゴーニュよりボルドーに当たりが多いと思っています。


そして、今「買うな!」と言った舌の根の乾かぬうちに、

お薦めするブルゴーニュの白はオーレリアン・ヴェルデのシャルドネ11年。

先代から有機栽培を実践し、息子は更に酸化防止剤の量を減らし、努力を続けている生産者。

ミディアムで澄んだ果実味と上品な樽の風味は、自然派のワインである前に、とても美味しいワインです。

次、ジュヴレ村のドニ・バシュレが造るアリゴテ種08年は、何と樽で発酵、熟成させた贅沢なアリゴテ。

この品種の白は、薄くて酸っぱいだけと思っている方にこそ、味わっていただきたい白。

樽風味だけではなく、低収量からの豊かな風味と骨太の酸味は、

生産者が品種の植え替えをせずに、アリゴテ種でワインを造り続けている理由でしょう。

ブルゴーニュ赤では、ドメーヌ・ルーのサン・トーバン村レ・ボーパン畑11年。

有名な村でもなく、偉大な年でもなく、凝縮した果実味やカカオ風味の樽もありませんが、

混じり気のない、澄んだサクランボの風味に私は一目ぼれしました。

現地で愛されるピノ・ノワールって、案外こんなタイプかもしれません。

モンテリー村ポール・ガローデの1級デュレス畑09年。

5年を経てチェリーの果実感と、芯のあるタンニンが混じり始め、もう少しで旨味と熟成香も開きそうな気配。

この時期、必死にグラスをスワリングしながら、まだか、まだかと飲むのも楽しいですし、

買って1~2年待つのも期待が出来そう。


南仏からはファーゲロールのシャトーヌフ・デュ・パプ10年。

立ち上るドライフルーツと、黒コショーの香り。

そして果実の甘みと、スパイスと、アルコール感が舌の上で広がります。

これはまさしく南仏の良く出来た赤。

食事を選ばず、誰もが美味しく飲めて、紋章入りの立派な瓶は、宴会の差し入れに最適だと思います。

次は自宅用にもう少しお安い、南仏の赤、ラングドック地方のシャトー・フォンドゥース06年。

シラー種とグルナッシュ種の赤は8年を経て、干し草やトリュフを思わす熟成香が広がります。

果実味とスパイスとアルコールが調和した味わいはまるで「ガラナ」。

煮込みやハーブを使った料理にピッタリです。しかも、この価格をご覧ください、驚きませんか?

そして、さらに安価で、美味しい赤。

マラール・ゴーランのグリニャン・レ・ザデマール地区(数年前まではコトー・デュ・トリカスタンと呼ばれた)の赤11年。

グルナッシュ種や南仏系品種がブレンドされた赤は、タールやスパイスの香りが立ち。

味わいは、果実とスパイスが入り混じった「ガラナ」の風味がこちらでも楽しめます。

もう間違いなく、今月の旨安大賞の赤です。


お値打ちシャンパーニュは、ジャマール社のカルト・ブランシュ。

私はシャンパーニュで、ピノ・ムニエ種が多い物は苦手なのですが、このジャマールはムニエが95%!

試飲する前から「多分嫌いだ」と思っていましたが、味わうと一般的なムニエの風味が無く、

完熟感と酸味が楽しめる、良く出来たシャンパーニュでした。これはお値打ちです!


イタリアからはシチリア島、ザブ社の赤ワイン2種。

イル・パッソは普通に発酵させたワインに、干した葡萄を加えて再度、醗酵させた赤。

濃縮した果汁と二度の発酵で、ちょっと複雑な味わいが楽しめます。

そしてインパリはザブ社の最高区画の完熟葡萄だけで造られ、強烈な濃度と強さを持っています。

フルボディ・タイプがお好みの方には一押しの赤です。


スペインからは老舗のカヴァの生産者ボイーガスのレセルヴァ。

普通のカヴァは1000円台が多いですが、さすがにこの味わいは格の違いを感じました。

複雑で幾重にも感じられる味わいは、長期熟成だけではなく、ブレンドの妙味がなせる技でしょう。


アメリカからは、「ガガ」という名の白、とロゼ。

この名前に、レディー・ガガ本人が飛びつき、今はブランドごとガガさんに売却済み。

そこでワイナリーに残っていた最後の在庫が、日本にやって来ました。

共に4~5年を経ていますが、ひねた感じは無く、逆に各品種が調和をして、とても美味しくなっています。


カリフォルニアのピノ・ノワールは、生産者が名門ブエナ・ヴィスタ社。

イチゴとチェリーの果実味をアルコール感が引き締め、全体を木樽の風味が包み込んでいます。

当然、大柄でブルゴーニュとスタイルは違いますが、

ゴージャスなこの味わいでこの価格ですから私も大満足です。皆さんも一度お試しあれ。

最後はスペイン産ノンアルコール・ビールのアンバル・グリーン。

アルコールは0.04%でゼロではないそうですが、味は甘さが感じず殆どビール。

これは良く出来たノン・アルコール飲料だと思いました。        藤井 敏彦

2014年 8月

7月に札幌のばんけいスキー場で開催されたビア・フォレスト(個性派手造りビールのイベント)に行ってきました。

当社の専務・藤井雅裕が昨年の第一回目の、この催しに参加して良かったと聞いたので、今年は私も一緒に参加しました。

弟の話では昨年はフードコーナーに長蛇の列が出来て、随分待ったそうなので、

今年は昼食用にサンドイッチとおつまみ類を持参し準備万端で参加。


チケットは5000円券を購入。入り口で券と引き換えに250ml程のポリコップと、ドリンク券12枚を渡されます。

11時のスタートで、私と弟の一杯目は江別・ノースアイランドと、登別・鬼伝説ビールを選び、

スキー場の芝生に座り、昼前の11時から風味豊かなビールをグビッと味わう。

するとアルコールが体にしみわたり、顔が火照って来ます。

私もプロですから味わいのコメントをメモしようと思いましたが、屋外でビールを飲んでカツ・サンドを頬張ると、

一杯目から味のコメントは書けず、後はひたすらこのイベントを楽しむ事にしました。

兄弟で来ているのでお互いのビールを交換して味わうと、券12枚の倍で24種類も味わえます。

でも、250mlの12杯は合計3リットルのビールです。

3杯目ぐらいからは、自分でもハッキリと酔っていることが分かります。


お互いに感想を言いながら10分ぐらいかけて飲み終えると、まずはトイレへ。

そして次のブルワリーを選びます。

各ブルワリーは3~4種の樽ビールを用意しているので、白ビールや、黒ビール、ホップとアルコールがとても強いIPA、

フルーツや香辛料を漬け込んだ物など、説明を聞きながら次のビールの銘柄を決めます。

悩んで決めたビールを持ち、30~40メートル程歩いて屋外に設置されたテントの中で椅子に座ります。

すると私も弟も、さっき自分で決めたビールの名前をケロッと忘れているのです。

お互いにビール・リストを読み返し、必死に思い出して見つけた名前に丸印を付けてグビッと味わう。

弟とビールを交換してまたグビッと味わう。コップが空になる。トイレに行く。ビールを選ぶ。


この繰り返しを約3時間以上行い、やっと12杯を飲み干しました。

途中からはサーキット・トレーニングでもしているような気分でしたが、

青空の下、鳥のさえずりが聞こえる森の中で飲むクラフト・ビールは格別です。

お酒のイベントですが屋外ということもあって、お子さん連れの参加者も沢山いらっしゃいました。

来年も参加したい楽しいイベントでしたので、皆さまにもこのサッポロ・クラフトビア・フォレストをお薦めします。

最後に今年のチケットは、私の買った12杯分と、7杯分で3000円の券もございました。

ご自分の体力に合わせてお選びください。


さて、今月のお薦めワインです。

今月はボルドー地方で良い物が多く見つかりました。サン・テステフ村のカベルン・ガスクトン02年。

主人のガスクトン氏は、2012年までは同じ村のシャトー・カロン・セギュールも所有してた名手。

12年を経て青さがこなれ、果実味とタンニンが調和し、美味しい時期に入って来ました。

もう2~3年は伸びそうな予感をさせる、飲み頃ボルドーです。

逆に若くても、今から表情が開いていて美味しいボルドーは、グラーヴ村のクロ・フロリデーヌ11年と、

コート・ド・フラン地区のシャトー・ピュイグロー11年。

ピュイグローはメルロ種の凝縮した果実味がたっぷり楽しめます。

一方、フロリデーヌはカベルネ種主体ですが、瑞々しいチェリーの風味が華やかで、

上物のカリフォルニア産ピノ・ノワール種を思わせるスタイル。これはぜひ一度お試しいただきたいボルドーです。


そして熟成した飲み頃ボルドーでは、オー・メドック地区のシャトー・サント・ジェムと、

フロンサック村のシャトー・デ・ラ・ウスト。共に収穫年はボルドーにとって、最高の2000年産。

14年を経て果実味は少し落ち着き始めていますが、

キノコやなめし革を思わす熟成香がグラスから広がり、古酒の素晴らしさが楽しめます。

この芳醇な味わいでこの価格ですから、古酒の入門にも最適な1本です。


ボルドーの最後は、近年侮れない物が増えてきた白です。

有名なシャトー・ラグランジュがごく少量造っている白、レ・ザルム・ド・ラグランジュ11年と、

ドメーヌ・ド・シュヴァリエが貴腐ワインの産地、ソーテルヌ村で始めた辛口の白、クロ・デ・リュヌ12年。

今、2000~3000円で美味しい白をお探しでしたら、

私は有名なブルゴーニュ地方ではなく、ボルドーの白をお薦めしています。


そしてブルゴーニュ地方。毎年、毎年、高騰が続くこの地方で、

値上がり前の10年産を見つけたら、即!ゲットが鉄則です。

オリヴィエ・ルフレーヴのブルゴーニュ赤と、ヴォルネ村の赤は、まさにこの典型。

この年特有の完熟した果実味と酸味が調和した味わいは、素晴らしかった02年を超えるかもしれません。

少しこなれた赤では、ベルトラン・アンブロワーズが造る08年産ブルゴーニュ規格の上級品2種。

6年を経てはいますが、まだ凝縮した果実味がたっぷり残り、更なる熟成も楽しみな赤です。

白ではクロワ・ブランシュのムルソー村で熟成した01年産。

自社畑ではないですが、13年を経てもひねたニュアンスが無く、熟成香と果実味が楽しめます。

現在、値上がってしまった12年産の村名が付かないブルゴーニュ・ブランとほぼ同価格で、

飲み頃のムルソー村01年産ですから、ご希望の方はお早めに!



フランスの泡ではロワール地方ラングロワ・シャトー社のクレマン・ド・ロワールと、

元、3星レストランのソムリエだった、エリック・ボルドレ氏が造るシードル。

ロワールはフレッシュ&フルーティな上に、とても澄んだ果実感が楽しめます。

そしてシードルは爽やかさだけではなく、少し奥行き感のある味わいが楽しめます。

どちらも、従来の同地区の泡とは異なる方向性を目指しているようです。


イタリアからは南のプーリア州。カーサ・ヴィニロニアのアパッシメント12年。

こちらは遅摘みした葡萄を、更にアパッシメント(乾燥)させ、

糖度を上げてから発酵させたフルボディ・ワイン。

こうして人の知恵を使って風味を凝縮させ、この価格とは思えない強烈な味わいを持っています。


ポルトガルからはダン地区キンタ・ダ・ペラーダの白。

近年、当社の品揃えにニューワールドではなく、ポルトガルや、

ブルガリアなど欧州でも馴染みのない国のワインが増えてきました。

今まで気候的に似た環境であっても、こうした国々ではワイン造りのノウハウが少なかったのでしょう。

しかし仏や伊の有名コンサルタントの方々が活躍し、世界各地で良質のワインがどんどん生まれています。

この白もポルトガルという先入観を持たずに味わっていただくと、透明感のある果実味に驚かれると思います。


食品からは新着の牡蠣の缶詰2種。

当社の定番商品、広島のレインボー食品・牡蠣の缶詰は安定した人気商品ですが、

韓国からその半額で牡蠣の缶詰が入荷しました。

味も価格も異なる為、両方扱ってみる予定です。

ご興味ある方は、両方を食べ比べてみる事をお薦めします。

そしてイタリアからは珍しいオレンジと、レモンのハチミツ。

木に果実がなるということは、その前に花が咲き、

その花の蜜を取りに蜂が来て、めしべとおしべが受粉しなければなりません。

そして当然、オレンジの花の蜜は、オレンジの風味を持っています。

二種共にとても贅沢なデザートでも味わったような満足感が楽しめます。 

藤井 敏彦

2014年 7月

今月は物欲のお話。

私が10代の頃は、流行りのレコード、コンバースのバスケットシューズ、

VANジャケットの洋服、とにかく何もかもが欲しいものばかりでした。

しかし、これが年老いた証拠なのでしょうが、ここ数年欲しいと思う物が無くなって来ました。

この前の休日、私は駅前の書店でワインの本を買い、大手電気店で話題の4Kテレビ、

スピーカー、カメラ等を見ましたが、ムラムラとした衝動までには至りません。

その後中島公園に行き、自転車を止めて一時間程ゆっくりと散歩をした事が買い物よりも楽しめました。

商店の店主はいくつになっても腕時計や外車を探し続ける気持ちがなければ、

そのお店に魅力的な商品も集まらないのではと感じつつも、本心に逆らってまでは買う気になれませんでした。


1970年代の街には商店が建ち並び、洋服だけではなく多くの物に沢山のメーカーや種類があった様な気がします。

街中の商店で売っているものと、カタログ雑誌に載っている様な舶来物とは、値段も見てくれも月とスッポンの様に別物。

親から買い与えられた物を卒業し、自分が買える範囲で色々なお店を回って、

少しでもカッコイイ物を探すのが当時の私にとって一番の楽しみでした。

40年後の今、商品の価格は昔より安くなり、安価な物でも格段に良質になりましたが、

種類は減り、大手量販店の商品か、高級ブランド品のどちらか両極端になっているようです。

ブランド品の存在すら知らなかった頃、小遣いの中で必死に物を探し、

欠点や良さを自分なりに発見した思いが、今、私のワイン探しに役だっています。


そして今年の春の「ウィンドウズXP」サポート終了の騒ぎは、

消費税率変更と共に、当社にとっても大きな出費と苦労が伴いました。

日本の一般家庭で、生活に必要な物はある程度揃ってしまった今、

食べ物の様に消費する物以外の商品を大量に販売する為には、

サポート終了の様な神風でも吹かないと難しいのでしょう。



今月のお薦めワインです。

北海道・長沼町のマオイ・ワイナリーから菜根(サイコン)13年。

2品種のブレンドによって、果実感、酸味、タンニンがバランス良く、今からでも、

また2~3年熟成をさせても伸びそうな資質を感じさせます。

後は少し高額ですが、山ブドウの「風雅」と、「豊潤」は、

パーカー氏が味わっても80代後半の点数が付きそうな濃度と強さを持っています。

一般に涼しい北海道では、どうしてもフルボディの赤ワインは出来ませんが、

これを味わった時は頭を殴られたような衝撃を感じました。


ボルドーからはグラーヴ地区のシャトー・クレール12年。

こんな安価な値段ですが、果実味とタンニンの感じはまさしくボルドー。

思わず「安くても、がんばってんなぁ」と感じてしまいました。お値打ちです。

同じボルドーでも少しこなれた07年産、グラーヴ地区のシャトー・ド・カラック。

こちらは濃さ強さが落ち着き、この地区特有のタバコを思わす熟成香が開いてきました。

こちらは少し大きめのグラスでいただくと、より香りが楽しめるでしょう。

白はアントル・ド・メール地区のシャトー・マルジョス白07年。

これも安価ですが、今月のボルドーでは1番輝いていた1本。

たっぷりとした果実味と、程良いスモーキーな樽香が混じり、誰もが喜ぶ美味しさを持っています。

これ以上熟成が進み果実味が枯れ始めると好き嫌いが出てくるでしょうが、

今の状態は若さと熟成香の両方が楽しめる最良の時だと思います。

残りが少ないので、ご希望の方はお早めに!


ブルゴーニュからはエマニュエル・ジブロ11年産の赤と白。

世界中のワイン生産者が、ピノ・ノワール種の赤と、シャルドネ種の白を、

どうしたらもっと美味しくなるのか必死に取り組んでいます。

そんな中で本家ブルゴーニュ地方ボーヌ村のジブロ氏は、何かを加えるのではなく、

不要な物をどんどん削ぎ落とし、残された真髄の部分を味わってほしいと願っているのでしょう。

味わいは豪華絢爛なタイプではなく、精進料理を思わせる研ぎ澄まされたスタイルです。

一方ヴォーヌ・ロマネ村のベルナール・グロ(グロ・フレール&スール)氏と言えば、

果実味たっぷり、樽香たっぷりの豪華絢爛タイプでしたが、近年になって化粧を止めて素肌美人へ変貌しました。

ここのロゼも、素のまま7年を経て枯れ始めた果実味の代わりに、旨みがのって来ました。

まるで和食のお出汁か、上品なお吸い物を思わせます。

最後は薄旨系ピノ・ノワール種ではなく、味わいのはっきりした旨安ピノ。

マコン地区のロシュバンが造る古木のピノ・ノワール赤。

温暖なマコン地区らしいふくよかな果実味と、木樽の風味が楽しめてこの価格は普通あり得ません。

入門ピノにも最適な1本でしょう。


南仏からはマラヴィエイユが、シラー種、グルナッシュ種主体で造る赤ル・サンク11年。

一般に軽く繊細な味わいの物が多い有機栽培のワインですが、

こちらはタールを思わす香りと凝縮した果実味がたっぷり。

濃くて美味しくて、お得な有機ワインがお好みの方には、一押しのワインです。


ボルドーの隣、シュド・ウェスト地方カオール村のお薦めは、ピネレと、ラ・ポジャッド、 二つのシャトー。

この2生産者は同じ村で、作付けもオーセロワ(マルベック)種85%、メルロ種15%、樽熟期間も1 2~18か月とほぼ一緒。

違いは生産者と、収穫年が10年産と12年産ぐらい。 ご興味がある方には、ぜひ飲み 比べをお薦めします。


イタリアからはピエモンテ州テッレ・ダ・ヴィーノがアスティ村のバルベラ種で造るルナ・エ・イ・ファ ロで熟成した05年産。

天候の良かった05年だけに、品種特有の酸味が穏やかで私としてはちょっと寂しいです が、

凝縮感と木樽の風味は立派なもの。若いワインが多いイタリアでは、貴重な赤と言えるでしょう。


スペインからはバレンシア地方のカサ・ベナサルの白13年。

品種は華やかな香りを持つ通称ゲベ種と、マスカット種ですが、

香りは強すぎる事無くフルーティさと爽やかさが程良く楽しめます。

夏の太陽の下、ワイングラスではなく、コップで飲みたくなる白でしょう。

アメリカ・カリフォルニア州からはエイリアスのシークレット・エージェント赤11年。

一般に温暖なカリフォルニア産ワインはジャムっぽい味わいが多いですが、こちらはブレンドが上手なのでしょう。

ミディアム・ボディですが甘さが目立たず、果実味に酸味とタンニンがきれいに調和しています。


白では南アフリカ産パンゴリンのシャルドネ13年と、チリ産ヴェラモンテのソーヴィニヨン・ブ ランが印象に残りました。

共に格上の果実感と爽やかな酸味が、味わいに瑞々しさを感じさせてくれます。


忘れちゃいけないのが、北海道・訓子府(クンネップ)町産の蜂蜜から造られたお酒、ミード。

樹液を思わす香りと、程良い甘さを伴った豊かな味わいは、本場フランス産のミードよりも複雑さと旨みが感じられます。

養蜂家(ヨウホウカ)・菅野氏の熱い思いに、東京農大醸造学部と田中酒造の杜氏が共感し生まれた素晴らしいお酒です。

また、このミードの元である菅野氏の菩提樹の蜂蜜も入荷しました。

一般の蜂蜜とは異なるこの凝縮した味わいがあってこそ、こちらのミードが出来たのでしょう。

そして同じ菅野氏が作るサクラと、タンポポの蜂蜜もぜひお試しください。


マダガスカルから届いた、キャビアの様に貴重な野生のペッパー。

コショーに山椒と、干物を思わすオリエンタルな香り。さらに唐辛子の辛さが口の中で広がります。

想像力あふれる方にこそ使っていただきたい、興味をそそられる香辛料です。  

藤井 敏彦

2014年 6月

今月は修繕のお話。

3年程前、私が店のトイレの掃除中にペーパー・ホルダーにぶつかり、

紙切り板の留め具にひびが入り斜めになってしまいました。

メーカーである「T社」のホームページに問い合わせたところ、

1センチ×2センチ程のプラスチック製留め具だけは販売しておらず、

厚さ3ミリ程ある立派な紙切り板とセットになっていると言われ、

小さな留め具の為に全交換は腑に落ちず、そのまま使っていました。

今年になってその留め具がついに折れてしまい、再度メーカーに聞いても留め具だけでは販売不可。

仕方なく板と留め具のパーツ約1400円、送料とで2000円弱を払い、

3年間斜めになっていたペーパー・ホルダーを直しました。

その際「T社」のパーツセンターの方に「3年前にも書きましたが、小さな留め具の為に、

厚手で立派な紙切り板を交換するのは納得が出来ず、当時の担当者の方に、『もったいない』と書きました。

今回は留め具が折れたので発注しますが、今もこのセットによる交換はもったいないと思います。

今後は留め具だけで買えるように願います」と一言メールしました。


そして先月、今度は我が家のガラス瓶で出来た浄水器の本体にひびが見つかりました。

購入して5年ほどになる浄水器(19,000円)は、「非電化工房」というメーカーのもので家内が見つけてきました。

以前の浄水器は交換するフィルターが高価なのと、水量が少なく蛇口からチョロチョロとしか出ないのが欠点でした。

現代社会を否定するかのような変わったメーカー名には驚きましたが、

現物は2リッター程のガラス瓶にヤシガラ活性炭を入れて、

瓶の下から水道水が入り活性炭を通って瓶の上に付いた蛇口から出てくるシンプルな構造。

水も美味しく感じられ、水量も多かったので、気に入って使っていました。


でも普通、浄水器本体にひびが入れば一式全部を買い替えでしょう。

しかしここのホームページを見ると、本体も交換可能と書いてあります。

ガラス瓶交換セット1550円、活性炭600g2000円、

ついでにパッキン類も交換して、送料1050円で、合計5350円を「非電化工房」へ振り込みました。

2週間ほど後に部品が届き、2時間ほどかけて交換作業をしました。

届いた箱には交換部品と共に、専用の工具類も5点ほど入っています。

まずは瓶の上蓋を外し、家のスプーンを使って中の活性炭を掻き出し後、

専用工具でひびの入った瓶を外し、新しい瓶を台に取り付けます。

後は新しい活性炭を入れ蓋をして出来上がりです。

「非電化工房」では使った工具はお返しするシステムで、

入っていたケースに工具を戻し返送先の住所が書かれた袋に入れて郵送しました。

少し手間はかかりますが、今回は無駄がなく清々しい気持ちで交換と返却を終えました。


今月のお薦めワインです。

北海道からは、タキザワ・ワイナリーの新シリーズで、デラウェア13年と、シードルのコックス・オレンジ・ピピン13年。

デラウェア種の白は従来のイメージを払拭するような、凝縮した果実味とミネラル感を持った本格的な辛口白。

葡萄に生食用品種(ナイヤガラ等)と、ワイン用品種(ケルナーやシャルドネ等)があるように、

シードル用のリンゴも同じ状況です。

生食用は大きくて甘いリンゴが好まれますが、コックス・オレンジ・ピピン種等のシードル用品種は糖度だけでなく、

皮と種の割合が増える小粒で、酸味豊かな品種が適しています。

貴重なシードル用品種からの豊かな味わいをお試しください。

千歳ワイナリーのケルナー辛口13年。 葡萄は余市でも定評のある木村農園産。

13年特有の完熟感と爽やかな酸味が、メリハリよく楽しめます。

この年は1~2年熟成させてから、再度味わってみたいと思わせる出来です。

藤野ワイナリーの上級スパークリングワイン、マヤ。

ツバイゲルト種とメルロ種からのロゼは、旨味と上品な酸味が調和して、

少しだけシャンパーニュ産を思わせるニュアンスを感じます。

将来、北海道の発泡酒が世界で認められる産地となる可能性を感じた1本です。

宝水ワイナリーのシャルドネ13年。

この白も13年らしい熟した果実感と、爽やかな酸味が特徴。

涼しい産地で造られた良質な白の典型のような仕上がりです。

三笠の山崎ワイナリーのケルナー・スイート13年。

山崎さんが久々に仕込んだケルナー種の甘口タイプはまだ未試飲なのですが、

一緒に発売したケルナー種ドライと、バッカスが5月の入荷と同時に完売しました。

ここの白をお探しの方は、早めにこの残り少ないケルナー・スイートを購入すべきでしょう。


仏ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・カマンサック96年。

5000円以上の高級ワインですが、作柄の良かった96年産の格付けシャトーでこの価格はお値打ち。

18年を経て開き始めた熟成香と、果実味と混じり始めたタンニン。

古酒好きも納得する飲み頃の美味しさが出てきました。

熟成香が広がり、果実味が枯れた味わいまで行くと好き嫌いが出てきますが、

若い果実味と、そこそこの熟成感の両方が楽しめる位がお好きな方には、今ですと03年産がお薦め。

とても暑かったこの年は凝縮した果実味がたっぷりあり、11年を経て、若さと熟成感の両方が楽しめます。

オー・メドック地区のシャトー・ラ・ローズ・ド・フランス03年と、サン・テミリオン村のシャトー・グラン・コルバン03年は、

お値打ちな価格でそんなピンポイントの美味しさが楽しめます。


最後は天候が良い年で完熟した果実味と、木樽の香りが豊かに広がるはつらつとしたワインがお好みの方へ、

メドック地区のシャトー・ピエール・ド・モンティニャック10年、

ブライ地区のシャトー・モンフォーレ・ヴィエイユ・ヴィーニュ09年、

ボルドー・スペリュール規格のシャトー・リコー08年。

この3種はお手頃価格以上の満足感が、グラスから広がります。


次は仏ブルゴーニュ地方。赤は大人気の生産者エルヴェ・シャルロパンのフィサン村12年と、マルサネ村12年。

村は隣同士ですがスタイルは大きく異なり、マルサネは濃度勝負で、フィサンは瑞々しい果実味タイプ。

共にこの価格とは思えない豊かな味わいを持っています。

白はマルシャン・フレールが造るコトー・ブルギニヨン規格の12年。

この規格の白の多くはアリゴテ種主体となりますが、こちらはシャルドネ種95%にピノ・グリ種5%。

豊かで肉厚な味わいはちょっと驚くほどです。

仲田晃司氏が造るルー・デュモンのブルゴーニュ・ブラン12年。

ムルソー村とピュリニー村の葡萄を六割使い、

この地で最高のフランソワ・フレール社の新樽を4割も使って熟成させた、反則技のような白。

ミディアムな果実味と酸味が調和した味わいは、品格を感じさせる仕上がりです。

ジャン・テヴネ氏が造るヴィレ・クレッセ村のシャルドネ種07年。

この村特有の貴腐葡萄が混じったワインは、7年を経て白ワインからハーブ系リキュールの風味になって来ました。

フレッシュ&フルーティな白もいいですが、たまにはこういった熟成した白も味わってみませんか。


南仏の一押しはサンタ・デュックのジゴンダス村08年。

この年だけ、同じ村でも2倍の価格が付く上級品の発売をやめて、その葡萄を全て並品にブレンドしました。

その為、08年の並品は強さと複雑さを身にまとっていますが価格はそのまま。

生産者の意地のおかげで、私たちは贅沢な思いが出来るのです。

次は良年に仕込まれた、上級品も仕入れなければ、、、と感じています。


ロワール地方からはギルボー・フレール社のトゥーレーヌ村産ソーヴィニヨン・ブラン種12年。

上級品のソーヴィニヨン種がミュスカデ種よりも安いって信じられます?

これは買わなきゃ絶対損!華やかな香りと、メリハリのある味わいは、思い描くソーヴィニヨン・ブランの味わい。

文句なく、今月の白ワイン旨安大賞です。

旨安の赤ワインは、南仏ペイ・ドック地区のフェノリア。

通常の二倍強のポリフェノールを含んだ味わいは、インクの様に濃いフルボディ・タイプ。

少し地酒っぽい味わいですが、安くて濃くて、しかも動脈硬化予防にもなるワインをお探しの方はぜひ一度お試しください。


イタリアからはウンブリア州アルナルド・カプライ社のモンテファルコ・ロッソ09年。

サンジョベーゼ種に、地元のサグランティーノ種他をブレンドしたワインは凝縮感とタンニンがたっぷり。

タールやスパイス香も感じられ、濃さ強さと複雑さが楽しめます。この価格としては大満足のフルボディ・タイプ。


人気のスペインからは、ナヴァラ地区のイヌリエータ社がソーヴィニヨン・ブラン種で造る辛口白オルキデア13年。

温暖な産地なのでシャキ、シャキした酸味はありませんが、熟した柑橘類の風味がたっぷり楽しめます。

赤はリオハ地区のドン・サンチョ・デ・ロンドーニョが造るアルテバン。

テーブル・ワイン規格ですが、何より欠点が無く、バランスが良くて飲み飽きせず、毎日の食卓に最適な赤でしょう。


ドイツからはモーゼル地区で最上の評価を受けているフリッツ・ハークのQbA規格のトロッケン(辛口)12年。

この価格とは思えない程に香りと味わいの完成度が高く仕上がっています。

「ドイツは甘いんでしょう」と言われる方にこそ、飲んでいただきたい辛口白です。


ブルガリアからはカストラ・ルブラのテリッシュ・ペンダー10年。

地元のルビン種とメルロ種の赤は、コンサルタントのミッシェル・ロラン氏のおかげで、

しっかりとした濃さだけではなく、洗練さも身につけています。この価格とは絶対に思えない仕上がりです。  

藤井 敏彦

2014年 5月

今月は50歳を過ぎて涙腺がますます弱くなった私が、思い出しただけでも「うるうる」来てしまう話。

この話は生協組織である「生活クラブ」が発行している会報の3月号に載っていた連載記事。

作者は大阪の小学校で、障害のある子も無い子も地域の普通学校で共に学ぶ教育を実践された先生です。

この先生にとって忘れられない生徒のカオルくんは、動けず、話せず、食事はカテーテルで栄養補給をしてたそうです。

就学前にこの先生がご家庭に伺うと、お父さんからいきなり

「義務教育で子供を学校へやらへんのが罪になるんやったら、

ワシは牢屋に入ってもええからこの子を家に置いておく」と言われました。


光や音の刺激にも反応せず、細い手足を伸ばしてベビーベッドに寝ていたカオルくん。

お母さんから渡され抱き上げた時に先生は何かを感じ、

入学に向けて頻繁に家庭訪問を続ける事でご両親も入学に前向きになって来ました。しかし困惑したのは学校です。

命の保証ができない、設備がない、勉強なんか出来ない、などと議論になり、困った学校は二人の医師に相談しました。

医師の1人は「とても無理だ」と言い、

もう一人は「子供たちの中にいられたら、カオルくんも喜びますよ」と意見が割れたことで、

最後は職員会議にカオルくんとご両親に来てもらいました。

たくさんの質問に答えた後、お父さんは「考えてみいや。音楽の時間、みんなが歌っている教室に、

カオルが母親の腕に抱かれているとしようや。この時カオルが学習していないと先生らは言えるんか」

この一言に先生たちは誰一人反論できず、

学校は入学に向けて教室に畳とベッドが持ち込まれ、カオルくんの登校が始まったそうです。

この時からこの先生は、「点数」の目盛りのついたモノサシだけで子供の学力を決めつけてはならないと肝に銘じたそうです。


予定日より3か月の早産で、保育器で3カ月入院したわが息子。

今は元気に育っていますが、保育器にいた時は何度も成長に向けたハードルを一段一段登って来ました。

それだけに、こうしたお話は真剣に感じてしまいます。

私も夜遅く帰宅し息子の寝顔を見た時は、宿題や通信簿の事など微塵も思い浮かびませんが、

休日に息子と一緒にいると、一向にすべき事を始めない姿にやきもきし、

「机の上を片付けて勉強を始めたらどうだ」という一言から、気が付くと喧嘩が始まってしまいます。



今月のおすすめワインです。

まずは北海道から、昨年11月開業した余市のオチガビ・ワイナリー。

白のバッカス種は通常甘口タイプが多いですが、ここではふくよかな辛口に仕上げています。

さらに興味深いのが赤のジャーマン・カベルネ。

オーナーの落氏が40年程前、修業先のドイツで地元の黒葡萄とフランスのカベルネ種を掛け合わせた品種を見つけ、

数種類を余市に持ち込み、その後も大切に栽培されていました。

この品種群をブレンドしてジャーマン・カベルネと名付け発売しました。

もちろん、温暖なカリフォルニアやチリで育ったカベルネと同じとは言いません。

でも寒い北海道で栽培でき、黒みがかった色調とふくよかな味わいは、やはりカベルネ種の血を感じさせる赤ワインです。


仏ボルドー地方からはオー・メドック地区のシャトー・ボーモン10年。

最高だった09年の後の10年もボルドー地方では素晴らしいワインが出来ました。

円安の影響で価格は少し上がりましたが、完熟したカベルネ種からの豊かな味わいは09年以上だと思います。

右岸からはリュサック・サン・テミリオン村の側にあるシャトー・ラ・ファヴィエールのファーストと、セカンドラベル。

新オーナーは最高のワインを造るために、最先端の醸造設備を設置しました。

通常赤ワインは、発酵後タンクから葡萄の皮と種をスコップでかき出すために、

蓋のない桶やタンクで発酵させ、樽に入れて熟成させます。

白ワインの様に搾った果汁ですと皮と種が無いため、樽で発酵と熟成が出来ます。

発酵から樽を使うと、木の風味が果実味に溶け込んだ味わいになるのですが、黒葡萄の皮と種がネックでした。

そこで考えられたのが、樽に潜水艦のハッチの様な蓋を付けて皮を取り出せるようにしました。

また発酵中の炭酸ガスによって葡萄の皮がタンク上部に集まると、

長い棒で皮の層を崩し混ぜ合わせて皮からの成分抽出を促しますが、密閉された樽では棒を入れる事ができません。

この問題は樽を設置する台にローラーを付け、樽全体をゆっくりと回転させて内部の果汁と果皮を撹拌出来るようにしました。

こうした最先端の設備で造られたワインをぜひお試しください。

ボルドー地区の白は、シャトー・オー・ムレール05年。

オーナーはボルドーで最も厳しい選別を行うと言われるマグレ氏。

天候も良かった05年ですが、凝縮したミツを思わす香はさすがです。

9年を経て少し酸化したニュアンスが混じり始めていますので、多少好き嫌いは出るでしょうが素晴らしい白ワインです。


ブルゴーニュ地方からはサヴィニ・レ・ボーヌ村シモン・ビーズの村名付き赤09年。

樹齢は35年から75年と古く、良質な実を無除梗のまま木桶に入れ今も足を使って優しく破砕し、自然酵母で発酵させます。

ボーヌ地区らしい赤い果実の風味を酸とタンニンが引き締めています。

作柄の良かった09年産は貴重です。


南仏からはジゴンダス村のシャトー・ド・サンコムがコート・デュ・ローヌ地区で造る上級品のレ・ドゥー・アルビオン11年。

濃さ強さに上品さが合わさった味わいを、毎年安定して造っています。

11年は入荷したばかりなので、デキャンタをされた方が表情が開いてくるでしょう。

ロワール地方からは自然派ワインの生産者「レ・ヴァン・コンテ」が造る

ポワーヴル・エ・セル(コショウと塩の意)と名付けられた赤12年。

地元でも少ないピノ・ドニス種の古木にガメイ種をブレンドした赤は、ミディアムな果実味にスパイス感と、旨味が楽しめます。

もう1本南仏からは、今月の旨安大賞受賞のトゥトゥ・イーヴル赤ペイ・ドック12年。

南仏で旨安ワインと言えば、真っ先に名の上がるジャン・クロード・マス氏が造った赤は、

4品種のブレンドが上手く調和し、少し複雑さのある香と、ミディアムでバランスの良い味わいのテーブル・ワインです。


イタリアからは薬物依存症患者の更生施設内にあるワイナリーが造った赤、ノイ10年。

本来は患者さんの更生が目的ですが、効率よりも手間のかかる手法を実践することで

一般のワイナリーより品質が上がり、今ここのワインが大注目されています。

品種は地元のサンジョベーゼ種に仏系のカベルネ種をブレンドしたリッチで分かりやすい味わい。

そしてこの年のイタリア・ワインは素晴らしい作柄に恵まれました。

イタリアの旨安大賞はモリーゼ州のロンボが造る赤と白。

赤はモンテプルチアーノ種とサンジョベーゼ種、白はトレビアーノ種とマルヴァジア種と2品種のブレンド。

特別濃いわけではないですがバランスが良く、ワイングラスではなくコップで気軽に味わってみてください。


スペインからは、ビエルソ地区のメンゴーバが造る赤と白。

有機栽培の畑は山の急斜面にあり、トラクターが使えず牛を使って耕しています。

生産者からの資料はありませんが、試飲の印象から醸造過程での酸化防止剤未使用等の自然派醸造でしょう。

地元品種にこだわり、赤はメンシア種、白はゴデーリョ種とドナ・ブランカ種。

味わいは澄んだ果実味とミネラル感、そして少しすりリンゴのニュアンスが混じります。

スペインでも自然派ワインの流れが着実に進んでいるのを実感できる良質なワインです。


カリフォルニアからはオー・ボン・クリマのオーナー、ジム・クレンデネン氏が始めた自社畑のワイン。

ピノ・ノワール種、シャルドネ種共に温暖な産地らしく、ブルゴーニュと比べると酸とタンニンが穏やかですが、

ブルゴーニュ好きが喜ぶツボをしっかり押さえています。

そしてこの価格、ブルゴーニュでは安めの村名付きクラスですが、

表情の豊かさはちょっとした1級畑以上!これは今月最も驚いた味わいでした。

ニュージーランドからはセレシン・エステイトのモモ・ソーヴィニヨン・ブラン12年。

現地では有機栽培のパイオニアと言われる生産者。

マールボロ地区のソーヴィニヨン・ブラン種と言えばメリハリのある酸ですが、

ここでは木の芽の香り、ふくよかな果実味、そしてミネラル感で、新しい味わいを表現しています。


食品からはチリ産のオリーブオイル、ソル・デル・リマリのエクストラ・ヴァージンタイプ。

チリで良質なワインが出来るように、オリーブだって良質な物が出来るのは当然と言えば当然。

良質なヴァージンオイルに共通する少し青みがかった香と、ふくよかなコクはかなりの物です。

大好評の小瓶に続いて、お得な大瓶が入荷。

国内からは大分県の近藤養蜂場が輸入したハチミツ。

オーストラリア・タスマニア島の大変貴重なレザーウッドの花の蜜は濃厚で気品のある風味。

また容器からスプーンを使わず出せるので、忙しい朝にも最適です。

もう1種は今流行りのナッツ入りハチミツ。

お休み前の読書のお供には最高のおつまみでしょう。

そして大手業者だけに、良質でありながらとても安価な値付けになっています。まずはご自分へのご褒美にお試しください。 

藤井 敏彦

2014年 3月

毎年2月下旬に余市・公民館で行われる「余市のワインを楽しむ会」に今年も行って来ました。

昨年の13年は、楽しむ会の前にワイン・セミナーが企画され、

日本のワインに詳しい石井もと子さんと、鹿取みゆきさんが講師を務めました。

鹿取さんは「農業の六次産業化の難しさ」を話され、

石井さんは「ここ20年でピノ・ノワール種の名産地となって来た米オレゴン州と、

余市が名産地となっていくための道」について話されました。

石井さんは、1社が美味しい物を作るのではなく、

産地として地元の生産者が力をあわせて良質な物を作ることと、 広報活動も必要という内容。

その具体例としてオレゴンで開催されている「オレゴン・ピノ・キャンプ」や、

「インターナショナル・ピノ・ノワール・セレブレーション」の話をされました。


このピノ・キャンプや、セレブレーションは、地元のワイナリーが皆で協力して開催するイベント。

参加者は参加費を払って現地に集まり、数日間かけてオレゴンのピノの魅力を知っていただく勉強会だそうです。

石井さんはこの企画に数回参加され、

その度に日本のピノ・ノワール・ワインを持参して、皆に試飲をしてもらいディスカッションしたそうです。

しかし、現地での評価は「日本でもピノを造っているの?」と言われたぐらいだったそうです。

それでも、めげずに2012年も日本のピノを持参し参加した所、 その年のゲスト生産者として招かれていた、

カリフォルニアでピノの第一人者であるオー・ボン・クリマのオーナー、

ジム・クレンデネン氏が、褒めてくれたと嬉しそうに話していました。

その時、余市公民館のスクリーンには、プロレスラーの様な (失礼!) ジムさんが大きく写っており、

その彼が持っていたのは、なんと、三笠の「山崎ワイナリー」ピノ・ノワールでした。

ただ、会場の場所も、講義の内容も、余市だったので、

私は心の中で「やったー、三笠の山崎さん、これは本当に凄い事だよ!」と

大騒ぎしたい気持ちを何とか抑えていました。


そして今年、14年2月1日オー・ボン・クリマのオーナー、ジムさんが、

札幌に来てセミナーを開催すると案内が来ました。

すぐ輸入業者さんに当社分と、山崎ワイナリーさん分の申し込みをして、昨年の石井もと子さんの話をしました。

そして、札幌に来た時に三笠の山崎ワイナリーに寄っては頂けないかと話をしました。

担当者の方は、今回は日程がタイトで三笠に行くことは出来ないが、

セミナーの前後でジムさんと個別に話をするぐらいは出来ると言ってくれました。

そして当日、セミナーの後でワインショップフジヰにジムさんと、

山崎ワイナリーの山崎亮一さんと、太地さんの兄弟が来て、

山崎ワイナリーを飲みながら、一時を過ごされました。

オー・ボン・クリマのあるサンタ・バーバラ地区は、カリフォルニアの中では涼しい所ですが、

北海道は涼しいではなく「寒い所」。

ジムさんのワインは完熟した果実味がたっぷりですが、

「山崎ワインは果実味と共に豊かな酸味が特徴です」と弟の山崎太地さんが話すと、

同行した通訳の女性は酸味の「アッシディティ」に、暴力的を意味する「バイオレント」を付けてジムさんに話されました。

この「バイオレント」という言葉を聞いて、北海道の生産者さん達は

厳しい自然の中で必死にワインを造っているのが、改めて分かります。

普通のワイン産地ですと3月は木が活動を始める時期ですが、北海道の葡萄畑はまだ雪の下。

雪が解ける4月までの1カ月の遅れが、そのまま開花の遅れに繋がり、

最終的には収穫時の熟度に影響します。

寒冷地での葡萄作りの特徴である「バイオレント」な酸味をいつか克服する日を目指して、

地元の生産者さんたちは頑張っています。



今月のお薦めワインです。

北海道からは、ふらのワインのツバイゲルトレーベ種。

この赤は5年以上熟成を経て発売される、ここの看板商品。

しかも近年では最高の作柄だった08年産。この年のワインがこの価格で入手出来るだけでも価値があります。

藤野ワイナリーのスパークリング・ナイアガラ13年。

暑すぎた12年より、平均的な夏だった13年は、完熟感と酸味が両立した、メリハリのある味わいが楽しめます。

栃木県のココファームの白、農民ドライ13年(3月下旬入荷予定)。

醸造地は栃木ですが、原料葡萄の約半分が北海道余市産。

フレッシュな果実感とバランスの取れた味わいは、

前醸造長だったブルース・ガットラブ氏の伝統をしっかり引き継いでいます。


仏ボルドーからは、ミラード社のポイヤック・セレクション94年。

この中身はポイヤック村の某有名シャトーの桶売り品で、20年間熟成させて出荷した秘蔵の品。

当然、果実味は枯れ始めていますが、豊かな熟成香と上品な味わいは、

これはひょっとしてスーパーセカンド以上か?と勘繰りたくなる程の出来。

古酒好きでしたら、2倍以上の価値がある事が分かって頂けるでしょう。

一方シャトー・モンペラ10年は皆様に喜ばれる赤。

天候に恵まれたこの年は、モンペラにとっても大成功でした。

仏アシェット誌でも最高の3★評価された10年産は、今飲むと完熟した果実味の豊かさで楽しめますが、

12本ご購入いただき数年後から毎年1本ずつ飲まれると、熟成による味わいの変化が楽しめる事でしょう。

ブルゴーニュからはエルヴェ・シャルロパンが造るフィサン村11年。

ブルゴーニュ・ピノで、村名が付いて、瑞々しい果実味と木樽の風味が楽しめて、この価格でしたら大満足。

同価格帯のパスカル・ラショーのブルゴーニュ赤ピノ・ファン11年。

ヴォーヌ・ロマネ村の名門が造るブルゴーニュ規格の赤。

こちらは村名が付きませんが、 ピノの良さが過不足なく楽しめる、味わいの基準となるような赤です。


ロワール地区の白ではサンセール村のアルフォンス・メロが造る上級品が特別価格で入荷しました。

このドモワゼルは樹齢52年の古木葡萄を木樽を使って醸造し 、

旨味成分の多いオリと共に熟成させています。

爽やかさだけではなく、複雑さと旨味を合わせ持った上級品のソーヴィニヨン・ブラン種をこの機会にお試しください。

南仏からラ・パッションのグルナッシュで、ヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)08年。

樹齢80年以上の葡萄からのワインは、豊かなコクとスパイス感が混じり、これからが飲み頃の赤。

煮込み料理と共に味わいたくなるような骨太の赤です。


イタリアからは今月の旨安大賞の2本、トレゼンダのカンノナウ種の赤と、ヴェルメンティーノ種の白。

白は果実味たっぷりの現代的なスタイル。

赤は大樽熟成でしょうか?タンニンが果実味に溶け込み、少しこなれた味わい。

多分選別された優良な葡萄だけで造ったのでしょう、赤、白共に澄んだ果実味が特徴です。


オーストラリアからは久々にダイナマイトのようなパンチのある赤、

ダーレンベルグ社のカベルネ・ソーヴィニヨン種でハイ・トレリス10年。

グラスの向こうが透けない真っ黒の赤で、インクとドライフルーツの香り。

凝縮した果実味がシロップの様に広がり、後からタンニンとアルコール感が引き締めます。

カベルネほどの濃度はありませんが、シラーズも凝縮感がありながらアフターに甘さが残らず、北ローヌを思わせます。


ブルガリアからはカストラ・ルブラ08年。

温暖なブルガリアに仏ボルドー系品種が適合し、醸造は仏で最高の醸造家ミッシェル・ロラン氏を起用。

凝縮した果実味とタンニンを、スモーク香が包み込んだ姿は、ボルドーでも格付け級の風格を感じさせます。


食品は共にスペイン産で、品切れていた人気の品が再入荷いたしました。

干しイチジクは枝からではなく、完熟して自然に落ちた実を乾燥させた逸品。

スペイン最高のデザートワイン、マラガ地区産マスカット種の葡萄を使った貴重なレーズン。

このレーズンは、なんと種入りタイプ。

急斜面の畑で完熟を待って収穫し、天日乾燥させた葡萄は種まで熟しており、

レーズンをかじって頂くと種が香ばしくナッツの様です。

この種ありレーズン、ちょっと癖になる味わいです。

2014年 2月

昨年の11月にオーディオ用真空管アンプのメンテナンス等をしている工房「ラヴ・ワークス」代表の伊藤さんより、

新しいスピーカーを一度聴いてほしいと言われ苗穂にある工房に伺いました。

ここの試聴室に鎮座していた自慢のスピーカーは、え!これが!と思ってしまう程小さな(26×16×24cm)箱。

当社店舗にあるモニター・オーディオ社のスピーカーも、そんなに大きくはありませんが(31×19×28cm)、

低音用と高音用で大、小、二つのスピーカー・ユニットが付いています。

伊藤さんの自信作は、うちの物より更に小さな箱に8センチほどの可愛らしいスピーカー・ユニットがポツンと一つだけ。

正直言ってあまり期待せずに試聴が始まりました。


ところが目を閉じて聞いていると、向こうで実際に楽器を演奏しているかのように臨場感があり、

左右の広がりと奥行きが感じられます。

設計者の伊藤さんが言うには、小さくても良いスピーカー・ユニットであれば、左、右、各一個で鳴らした方が、

低音、高音用とユニットが二個、三個付いた物よりも、音の左右の位置関係がクリアに表現できるとのこと。

試聴は伊藤さんと私が缶詰状態で4時間ほど続きました。

音源はレコードや、CD、PCオーディオと呼ばれるPCメモリー、アイフォンなどで、ジャンルはジャズが多かったです。

その音源を、真空管アンプ、通常のオーディオ・アンプ、後付けスピーカー等に付属される簡易アンプなど、

色々な環境での音の違いを体験させていただきました。


同じスピーカーを高価なシステムで鳴らすのと、携帯の音源と簡易アンプとでは明らかに違いました。

でもこれは例えるとラジカセの音と、100万円のスピーカーを比べるようなもの。

実際にラジカセを買う時は、誰も高級スピーカーは見ずに、ラジカセ・コーナーの中から好みの物を選ぶと思います。

この日、高級なシステムから安価タイプに切り替えた直後は、

カラー写真から白黒写真に変わったような寂しさを少し感じましたが、

その白黒写真でも見つめていると、水墨画のように奥行きや味わいを感じてきました。

こうして最良の環境だけではなく、安価な組み合わせの中でも、ノイズを感じず溌剌とした音色を出す姿に感銘を受けて、

伊藤さんの目論み通り、私は左右セットで7万円のスピーカーを発注しました。


それにしても真剣に微細な音を、長時間にわたって聞き比べた後はかなり疲れました。

この疲労感は、ワインの試飲会で一度に100種類以上の試飲をした時に近いものです。

そして今、このスピーカーは当社店舗で毎日BGMを鳴らしています。

ご興味のある方は、ぜひ一度音を聞きに来てください。



さて、今月のお薦めワインです。

北海道からは、増毛フルーツワイナリーのポワール(洋梨のスパークリング・ワイン)です。

猛暑で昼も夜も暑かった12年に比べ、13年は朝夕が涼しく昼はちゃんと暑かった年。

そのため13年産は果実味と酸味が両立して、メリハリのある味わいが楽しめます。

ここの本業はリンゴからの「シードル」ですが、冬期間だけ発売される「ポワール」は隠れた人気商品です。

また、地元農協で瓶詰めしている「増毛町・100%洋梨果汁」と、

「増毛町・100%りんご果汁」も(1リットル735円)お薦めです。

濃縮還元ではなくストレート果汁なので、瓶の底に1センチほど成分が沈殿していますが、

旨味成分と栄養価はたっぷりでしょう。朝の一杯が元気の元となりそうな果汁です。

山梨から、マンズワインの山梨甲州・樽熟成。

この価格ですから、甲州種の生産農家さんを思うと気の毒になりますが、味わいは辛口でバランス良く上出来。

どこかホットする味わいは、和食に最適な白でしょう。


仏ボルドー地方からは、久しぶりのメドック第二級格付け、サン・ジュリアン村のシャトー・グリュオ・ラローズ06年。

もちろんこの価格は、年に一度飲むにも勇気が必要な値段だと思います。

でも今、このシャトーを普通に仕入れると、販売価格は楽に一万円を超えてしまいます。

2006年が特別な年の方には、少し無理をしてでも、この機会に買っておくべきだと思います。

06年にそこまで思い入れのない方には、ムーリ村のシャトー・シャス・スプリン06年。

こちらも現在の相場は六千円前後しますので、この価格でしたら一寸奮発してと思えるぎりぎりのラインでしょう。

今月のボルドーはお値打ち品が多く出ました。リストラック村のシャトー・フルカ・デュプレ09年。

作柄の良かった年らしく完熟感がたっぷりで、今でも充分美味しいですが、

5~6年間買ったことを忘れて熟成させるのも将来の楽しみが増えることでしょう。

熟成した飲み頃ワインでしたら、サンテミリオンのシャトー・ベルルガール・フィジャック01年。

豊かな熟成香がグラスから広がり、メルロ種の果実味と13年を経た熟成旨味の両方が楽しめます。


仏ブルゴーニュ地方からは、ボーヌ村のはずれブリニィ村のマレシャル家が造るブルゴーニュ規格の赤11年と、

ジャイエ・ジルが造るオート・コート・ド・ボーヌ地区の赤09年。

好対照なこの二軒の生産者、マレシャル家は自然派を思わせる薄旨系スタイルで、

お食事と共に1本をゆっくりと味わっていただきたいタイプ。

一方、ジャイエ家は凝縮した果実味と、スモーキーな木樽の風味が華やかで、一杯目から魅力的な味わいが楽しめます。

そしてお値打ち品はブラン・ガニャールが造るシャサーニュ村の赤09年。

白で知られるこの村ですが、サントネ村に接する南側はピノ・ノワール種が多く栽培されています。

作柄が良く、更に5年を経て熟成感も出てきた09年産の村名付きワインがこの価格は要チェックでしょう。


ロワール地方サンセール村の名門アンリ・ブルジョワが造るプティ・ブルジョワ白。

サンセール村産のソーヴィニヨン・ブラン種だと3~4000円はするため、

村の境界線外側で栽培されたソーヴィニヨン・ブラン種で造られたお値打ち品。

商品名は「小さなブルジョワ家」ですが、味わいには「小さな」感じは全くありません。

シュド・ウェスト地区カオール村で有機栽培を実践しているコス・メゾヌーヴがガメイ種で造った赤。

ボージョレ地方で有名なガメイ種ですが、同じ葡萄でもこの赤はミディアム・ボディで骨格があり、

果実味とタンニンがバランス良く仕上がっています。


シャンパーニュ地方からはベルナール・レミィ社のロゼ・ブリュット。

ふくよかな味わいで、当社でも好評なここのシャンパーニュにロゼが仲間入りしました。

ピノ・ノワール種60%、シャルドネ種35%、ピノ・ムニエ種5%からの風味豊かなベースワインに、

赤ワイン(ブージー・ルージュ)を13%加えて鮮やかなロゼに仕上げました。


イタリアでは、プーリア州のラ・ルーナ・アルジェンタのネグロアマーロ・プリミティーヴォ・アパッシメント(乾燥させる)。

その名の通りネグロアマーロ種と、プリミティーヴォ種を陰干しして、

濃縮した葡萄を一部加えることで、 ワインに濃さと複雑さを持たせています。


今人気のスペインからは、スタイルの違う2種類。

まずは、アルマンサ地区のアタラヤが造るラヤは現代的な赤。

果皮だけでなく果肉も果汁も血のように赤いガルナッチャ・ティントレラ種主体のワインは、

果実味の濃さが普通の黒葡萄以上に強く出ます。

安価でもフルボディ・ワインをお探しの方にお薦めします。

一方、ヴァルデペーニャス地区のアルバリが造るグラン・レセルヴァ04年は、

伝統的な長期熟成させたスペイン・ワイン。

10年を経て濃さ強さは少し落ち着き始めましたが、

豊かな熟成香と練れた味わいが広がる様は若いワインには絶対に望めません。


スペインのお隣ポルトガルからの赤。

ブランデーを加えた甘口のポルト・ワインで知られるドウロ地区で、ポルトではなく通常のワインを造るカルム社。

ポルトと同じ風味豊かな葡萄品種を数種使い、タンクと木樽で熟成させた赤は、

果実味とタンニンがバランス良く、この価格としては最上のテーブル・ワインと言えるでしょう。


オーストラリアからはトレンサム・エステートのピノ・ノワール12年。

本場ブルゴーニュ地方だと、この価格でピノ・ノワールが買えるだけでも驚きですが、

味わってみると上品な木樽の風味まで楽しめます。普段飲みのピノとしては、言うこと無しの出来栄えでしょう。


人気のチリではボノスのソーヴィニヨン・ブラン種で3リットル・パック。

温暖なチリとは思えないメリハリのある味わいで、約1ヶ月は酸化しないバッグ・イン・ボック容器入り。

冷蔵庫に常備しておくと、急にお客様が来ても慌てません。

また、スプーン1杯でもフレッシュな状態で出せる為、調理用にも大変重宝しますよ。


そして初登場ブルガリアからは、カストロ・ルブラがメルロ種で造るテリッシュ09年。

醸造コンサルタントには、世界一有名な仏ミッシェル・ロラン氏を起用。

完熟したメルロ種特有のふくよかな果実味と、樽からのカカオ風味が楽しめます。

この価格ですから、仏・ボルドー・ポムロル村の赤とは言いませんが、

右岸リブルヌ地区で評判のシャトーを思わすぐらいの出来。メルロ種好きには、見逃せない赤でしょう。


ベルギーのトラピスト修道院で造られるアルコール9.5%のトリプル・ビール。

地元ではこの様な特別のビールは、数年熟成させてから飲まれ、 ワインと同様に賞味期限の記載は無かったそうです。

しかしベルギーがEU加盟する際、自国のビールに賞味期限の記載を受け入れました。

このビールは2012年2月に瓶詰めされ、14年2月が賞味期限の為、在庫処分価格で入荷致しました。

味わいは、賞味期限を過ぎても力強く、飲み頃はまだ後のような気がします。

熟成したベルギーの修道院ビールを、少しぬるめの10~14度にして、

白ワイン用グラスに半分ほど注ぎ、豊かな香りを楽しみながらゆっくりと味わってみませんか。


食品からはフランス・サコール社サラミソーセージのソシソン・セック。

豚肉の旨さと、白カビによる熟成風味が豊かに広がります。

当然、保管は冷蔵庫ですが、食べる分をカットし、白カビの付いた表面の紙をはがして、

30分ほど室温に戻していただくと、芳醇な味わいがたっぷり楽しめます。

藤井 敏彦

2013年 12月

10月に私の友人が亡くなった話をしましたが、不幸は重なるものなのでしょうか。

同じ10月にブルゴーニュ地方サヴィニ村のワイン生産者、シモン・ビーズ家の主パトリックさんが亡くなりました。

8年ほど前の夏にパトリックさんご夫婦と子供さんの一家で札幌に来られ、

試飲会を開催し、三笠の山崎ワイナリーにも寄っていただきました。

そんな縁もあって日本人の奥さんのビーズ千沙さんへお悔やみの手紙を(当然、日本語で!)送ったところ、

1ヶ月ほど後に近況報告の返事が届きました。


お悔やみの手紙は札幌からだけではなく、世代、国境、職業を超えた方々から、今も毎日届いているそうです。

千沙さんは子供さんが家業を継ぐかどうかは分からないが、

その時までドメーヌを守り続ける覚悟を決めたと書かれていました。

ビーズ家の2013年産ワインは、開花時期も含めて春からの天候不順と多くの雨、

更に7月23日の雹の襲撃で生産量は例年の1/5しかなかったそうです。

そして追い打ちをかけるかのようなパトリックさんの死去。

そんな辛い出来事に押しつぶされた中でも生き残った葡萄は、ビーズ家とスタッフの愛情を受けて

順調にワインとなり、派手な主張はしないけれど芯のある素晴らしい品質になったそうです。

そして手紙の最後には「子供たちと一緒に笑顔で(この年のワインが)飲める時が来るまで、

覚悟して私はドメーヌを守ります。それには、皆さんの応援が必須。よろしくお願いします。」とありました。


この話しを聞いた家内は、聖書を取り出し「患難は忍耐を生み出し、忍耐は錬達を生み出し、

錬達は希望を生み出すことを、知っているからである」の所を示してくれました。

シモン・ビーズ家は仏ベタンヌ&ドゥソーヴのワイン・ガイドで3★評価を受ける名門。

安くはありませんが、この村で模範となるワインを安定して造っています。

異国の地で一人残された千沙さんと子供さんたちの為にも、ビーズ家のワインをよろしくお願い致します。


では、今月のお薦めワインです。

北海道からは千歳ワイナリーが余市・木村農園産のピノ・ノワール種を仕込んだ12年。

とても暑かった12年産は、朝夕の温度差が少なく黒葡萄の色付きが弱かったですが、完熟感はたっぷり。

まだ収穫後1年しか経っていない為に荒削りですが、

もう少し熟成させるか、早めに栓を抜くことで表情が開いてきます。

しかし暑いだけではだめで、朝夕が涼しくて昼が暑くないと、風味豊かなワインにはならないそうです。


仏ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ラローズ・トラントドン09年。

本当に嫌になるほど高くなったボルドー・ワイン。

そんな中で、安定した品質と良心的な価格で知られるこのシャトーで、作柄の良かった09年産が入荷しました。

今、市場では09年産はどんどん減っており、この価格では早晩品切れると思います。

同じボルドーから、ブライ地区のシャトー・カレル01年と、リストラック村のシャトー・フルカ・オスタン05年。

カレルはメルロ種主体で、12年を経て少し枯れ始めた果実味と、豊かで複雑な熟成香が楽しめます。

一方フルカ・オスタンはカベルネ種主体。天候に恵まれた05年産は今も果実味がたっぷり。

この価格帯で久しぶりに完熟したカベルネの風味が楽しめます。


ブルゴーニュからはシモン・ビーズ家サヴィニ村のオー・グラン・リアール畑07年(定価6300円)。

亡くなったパトリック氏が仕込んだ遺作ともいえる赤が特別価格で入荷しました。

濃縮した果実味スタイルではなく、薄旨系の伝統的なピノ・ノワールに6年を経た熟成旨味が乗ってきました。

熟成したサヴィニ村の真髄とも言える味わいが、この価格は絶対にお得でしょう。

ダニエル・リオンがニュイ・サン・ジョルジュ村のグランド・ヴィーニュ畑で造る04年。

この村らしい太さと、タンニンが9年を経てこなれて来ました。

無骨とも言えるこの村の強い味わいが今も楽しめます。

白はジヴリ村のジョブロ氏が1級セルヴォワジーヌ畑で造る07年。

凝縮した果実味と、樽がしっかり効いた味わいが、6年を経てきれいに調和して来ました。

誰もが美味しいと思うシャルドネ種からの白です。

お買い得なブルゴーニュは、ロジェ・リュケが造るサン・ヴェラン村の白12年と、

ヴォルネ村のミシェル・ラファルジュがピノとガメ種で造るパストゥーグラン08年。

サン・ヴェランはフレッシュな果実味とミネラル感がたっぷりでこの価格ですから、当社の人気商品です。

一方ピノ・ノワール種は好きでも、ガメ種は嫌いという方が多いのも私は知っています。

そんな方に飲んでいただきたい赤がまさにこれ!

5年を経て両品種と木樽とが混じり始め、アニマル系の熟成香が開いてきました。


ロワール地方からはソミュール村のシャトー・ド・モンゲレ12年。

シュナン・ブラン種に20%ブレンドしたシャルドネ種が、地酒を洗練されたスタイルに変えています。

そして同じソミュールでもラングロワ・シャトー社の05年。

こちらはオーナーが、ブルゴーニュ地方に負けない白を目標に造った贅沢なワイン。

自社畑でも樹齢が高く、最良区画のシュナン・ブラン種を、樽発酵、樽熟成させた造り。

8年を経て樽と果実味が交じり合い、豊かなコクと飲み頃の美味しさがたっぷり楽しめます。

アルザス地方からはシュルンバジェ社のリースリング種で、レ・プランス・アベ09年。

このワインは特級畑のリースリング種を47%も格下げしてブレンドしているため、

舌の上で奥行きと複雑さを持った風味が広がります。


イタリア・ピエモンテ州からは、アレッサンドリアがアルバ産バルベラ種で造る赤11年。

かなり収量を下げているのでしょう、凝縮した果実味でグラスの向こうが透けない程です。

まだ若く熟成香は持ち合わせてはいませんが、

濃度勝負の素直な味わいは飲み手をにこやかな表情にしてくれます。

トスカーナ州からはヴァルデッレコルティのキャンティ・クラシコ08年。

ここの畑は標高が高く、香り高さと繊細さが持ち味。

複雑さを持ちながら透明感のある味わいが楽しめます。09年産がガンベロロッソ誌3★評価。


スペインからはタラゴナ地区ヴィンス・パドロ社のイプシス・クリアンサ赤10年。

テンプラニーリョ種とメルロ種を樽熟成した味わいは、果実感と熟成感がバランス良く楽しめます。

エデタリアが造るエデタナ白11年。

これは、先月お薦めしたワインの上級品にあたります。

ガルナッチャ・ブランカ種に加えた3割のヴィオニエ種が香り高さを生み、

半分を樽で熟成させることで複雑さも身に付けています。

品質をぐんぐん上げているスペインワイン。これからは赤だけではなく、白も注目です。

リオハ地区のマエティエラ・ドミニュムが造るガバンサ06年。

新しいリオハと言える味わいは、瑞々しい果実味と、スモーキーな樽の風味が7年を経て調和しています。

テンプラニーリョ種のイメージを変える、澄んだ果実味にタンニンがきれいに溶け込んだ姿は、

個人的に今月のワインの中で一番驚いた1本でした。


ニュージーランドからはシレーニ社のソーヴィニヨン・ブラン13年。

華やかな柑橘系の香りと、メリハリのある味わいは、まさにマル・ボロ地区の典型的な味わいでしょう。

ハンガリーからはシャトー・デレスラのトカイ・フルミント ドライ。

トカイと言えば、甘口・貴腐ワインのイメージですが、近年はこうした爽やかな辛口タイプも出てきました。

クリーンでフルーティな味わいは、多分最新の設備から造られているのでしょう。


食品では瀬戸内海・小豆島で、ヤマヒサのオリーブ新漬け。

毎年11月頃に少量入荷するこのオリーブを楽しみにされている方が多く、

入荷後はすぐに品切れます。取れたてオリーブの味わいを、ぜひお試し下さい。

藤井 敏彦

2013年 11月

私は夜8時の閉店後、残業前に近所で夕食をいただきます。

その日は餃子の「 O 」で定食を食べて、会計でレジへ向かいました。

するとレジの女性が「前のお客様が出された、この一万円玉を知っていますか?」と、

透明なプラスチックケースに入ったコインを見せてくれました。

「日本国、昭和六十一年」と書かれたこのコインが一万円!

私はレジの女性に「これでお釣りも出すのですか?」と聞くと、はいと答えました。

会社に戻りネットで検索をすると、確かに昭和61年に昭和天皇60周年記念で

1万円玉と、さらに10万円玉が発行されたようです。

翌朝の朝礼でこのことを話しましたが、当社で受けた時どう対応するかを決められませんでした。

そこで「 H 」銀行に行き窓口で聞いた所、奥に居た男性行員さんが出て来ました。

原則論から言うと、日本国で発行したお金は額面の金額で通用します。

ただし、小銭で支払う時に20枚以上だと受け取る側が拒否できるように、

あまりに特殊な記念硬貨等に関しては、受け取る側がこの場で確かめることが出来ない事を

お客様に丁重に説明した上であれば、受け取りをお断りしても仕方がないと思われますと言われました。


そこで私は銀行で受けたときの対応を聞きました。

まずATMでは入金できないので営業時間中に窓口での対応となる。

1万円玉に関しては、発行時のプラスチックケース入りの状態だと現金として受け付けます。

でも1万円玉がケース入りでない時と、一緒に発行された10万円玉に関しては

ケースの有、無に関係なく入金ではなく預かりとなり、日本銀行で確認してからの入金となるそうです。

つまり、銀行ですら確認が出来ず、日銀に判断を委ねているのです。

これは商店レベルでは丁重にお断りしても失礼ではない事が分かりました。

私は毎日仕事で現金を扱っていますが、一万円玉の存在すら知らず発行後27年も経って初めて現物を見ました。

皆さんは一万円玉を見たことがありますか?



さて今月のオススメワインです。

北海道からはふらのワインで人気の赤、羆(ヒグマ)の晩酌(バンシャク)。

涼しい北海道で濃くて強い赤ワインは少ないですが、こちらはしっかりとした味わいを持ちジンギスカンにも最適な赤です。

次は札幌の藤野ワイナリーのナチュラルスパークリング・ナイアガラ。

野生酵母を用いた醸造過程では極力、酸化防止剤を使わず、熟成後ノンフィルターで瓶詰め。

底にオリが溜まり、フルーティな果実感と、にが旨味が調和した味わいは、化粧無しで素顔のままのような印象です。

そして栃木県ココファームの白。

今は岩見沢でワイナリーを始めた、ブルース・ガットラヴさんが20年働いていた職場です。

余市産の白葡萄を中心に、山梨や日本各地の葡萄をブレンドした白は、 野生酵母による発酵とは思えない程

クリーンで果実感が楽しめます。割高な国産葡萄だけで、この品質と価格は信じられません。


仏ボルドー地方からは、フロンサック村のシャトー・フォントニル09年と、 カスティヨン地区のシャトー・ロック・ル・メイン09年。

共にメルロ種主体で最良の年09年産だけに、ふくよかで柔らかなメルロ種の魅力がたっぷり楽しめます。


ブルゴーニュ地方からは、ジャン・ルイ・カンソンのシャルドネ種の白と、ピノ・ノワール種の赤。

最安値と言ってもいい程の価格ですが、味わいにはブルゴーニュの心意気が感じられます。

芳醇とまでは言いませんが果実味と酸味のバランスが良く、現地で味わう気取らないテーブルワインのようです。

もう少し上等なワインを望む方には、ボーヌ村のエマニュエル・ジブロが造る赤、白。

ここのボーヌの村名付きワインは楽に5000円を越えますが、

村名を名乗れない村の境界線外側の畑のワインが特別価格で入荷しました。

ビオディナミ栽培、天然酵母による発酵、古樽での熟成を経たワインは、

澄んだ果実味に酸味とタンニンが乗った薄旨系の自然派スタイル。

お食事と共にゆっくりと味わっていただきたいワインです。

少し枯れ始めた位の熟成ワインがお好きな方には、シャンボール村のモド家が造るブルゴーニュ・赤で04年。

濃さ強さよりも、キノコや腐葉土を思わせる熟成香がお好きな方にお勧めします。


南仏からはサンタ・デュックが造るコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ07年と、ヴァケラス村05年。

共に南仏にとって最高の天候だった07年と05年産が、熟成し飲み頃となって入荷しました。

凝縮した果実味とスパイス感に、アルコール辛さが溶け込み熟成旨味が開き始めています。

大きめのグラスで、芳醇な熟成香を楽しみながらゆっくりと味わいたい、そんなとっておきの赤ワインです。

さて、南仏といえば赤でした。ところが近年は白や泡と言った、涼しい北の産地が得意とするワインにもどんどん参入しています。

リムー村のロレンスが造るクレマン(泡)・ド・リムーと、ルーション地方のガルディエが造るコート・カタランヌ地区の白、マ・ラ・カーブ。

特にリムー村の泡の品質向上は現地でも有名で、シャンパーニュ地方は別としても

ロワール地方やブルゴーニュ地方でクレマンを造っている生産者にとっては、かなりの脅威になってきているようです。

そしてルーション地方で素晴らしい赤を造っているガルディエが造る白の入門ワインがマ・ラ・カーブ。

完熟した果実味は当然としても、味わいを引き締めるミネラル感と品のある澄んだ味わいは生産者の力量でしょう。

オリーブオイルやハーブを使った前菜に最適な白ですよ。


イタリアからはピエモンテ州セッラデナリのバルベラ・ダルバ07年。

作柄の良かった07年産が6年を経て熟成香が広がり、練れた味わいが楽しめます。

インパクト系ではなく、薄旨系がお好きな方にお薦めします。

イタリアの泡ではメディチ・エルメーテが造る微発泡のランブルスコで甘口と辛口。

私の泡の好みは辛口タイプですが、イタリアのランブルスコだけは甘口が好み。

でも、メディチ家のランブルスコは辛口でも風味豊かで、初めて甘口、辛口の両方が美味しいと思いました。


スペインからはテラ・アルタ地区のエデタリアが造るヴィア・テッラの白。

南仏でもガルナッチャ・ブランカ種は栽培されていますが、

このエデタリアが造ると豊かなミネラル感と品のある味わいで、飲んでいても背筋を伸ばしたくなる感じです。

スペインの有名産地でも、有名葡萄品種でも無いですが、一人で黙々とガルナッチャ・ブランカ種に命を懸けているのでしょう。


チリからはマイポ地区のケブラダ・デ・マクールが造るドムス・アウレア。

とにかくボルドーの赤がここまで高くなると、アラブの石油王でもなければ一級格付けのシャトーなんて飲めません。

でもたまには、歯が黒くなってもフルボディの赤を飲みたい方にお薦めする赤です。

ここまで高くなくても、と言う方には「アルバ・デ・ドムス」という名の、ここのセカンドワインがほぼ半額でなかなかの出来です。


ビールでは個性派ビールの国ベルギー・ストラフ社のトゥバック330ml。アルコールは9.5%もあります。

この国のビールは修道院や家族経営の小規模生産者が多い為、

個性豊かな味わいで価格も高めですが、今回はほぼ半額に近い特別価格で入荷しました。

麦の味わいが濃厚で、焼く前のパン生地をそのまま飲んでいるようです。

ワイングラスに注いで、香りと共にゆっくり味わいたいビールでしょう。


食品からはフランス・ラベリ社のテリーヌとリエット。

こういった肉の加工品は一般家庭ではなかなか作れないものでしょう。

これとパン・ド・カンパーニュやフランスパンがあれば、鼻血が出るほど食べたくなる美味しさです。

食べる分だけ瓶から出し、室温に戻して頂くと更に美味しくなります。ただ開封後は変質が早いので、

スプーン等で表面を均した上からオリーブ・オイル等をかけて、油で蓋をすると酸化の進行を防げます。


北海道栗山町にあるパン工房「栗の木」のスティック・ブランで、プレーンと、黒千石風味。

道産小麦の全粒粉に、小麦ふすま(ブラン)をたっぷり手で混ぜ合わせて生地を作り、カリカリに焼き上げた手作りの焼き菓子です。

香ばしい小麦ふすまの風味が引き立つ素直な味わいは、子供から大人まで誰もが好きなタイプで、

チーズやワインとも良く合います。そして当然、小麦ふすまは植物繊維やミネラル、ビタミンが豊富。

「ワークセンター栗の木」のホームページを検索していただくと、手で1本づつトレーに並べて焼き上げる様子が写っています。

藤井 敏彦

2013年 10月

9月の私は、ワインセミナーの講師依頼を受けたり、函館と余市に新しいワイン生産者さんを訪ねたり、多忙な毎日。

そんなある日、同じ高校だったN君が亡くなったというショッキングな連絡を受けました。

私は今でこそ少しは真面目に仕事をしていますが、中学、高校の頃はただ親に反抗をして、

頭の中は遊び仲間と、異性の事しか考えていませんでした。

しかし、相手の女性は私の空っぽな頭の中をすぐに察知し、振られてばかり。

そして高校卒業後は「浪人」の名目で、甘えと怠惰な生活を送っていた頃、

専門学校に通っていたN君とよく遊んでいました。

当時の自分の行動を思い出すと、穴があったら入りたい程。

N君はそんな僕を説教することもなく一緒に遊びながらも、自分自身に対しては努力を怠らない人でした。

その後、就職して彼はさらに努力を重ね、ある業界の第一人者となり、時々ギフト用にワインを買いに来てくれました。

多分彼の事だから、時間を考えずにひたすら仕事をして、無理がたたり病気になったのでしょう。

お通夜の場で、あの頃の僕を何度も泊めてご馳走してくれたN君のご両親、

そして奥さんと子供さんの姿を見ると、胸が一杯になりました。

二十歳ぐらいの息子さんは当時の僕とはまるで違い、素直でしっかりとした印象。

彼は仕事だけではなく、家族に対しても真剣に向き合っていたことを感じました。

私は帰りの地下鉄の中で「僕よりいつも先に進んでいて、その差を縮める事が出来ずに、

先にゴールするなんて反則だよ」と何度も独り言を言っていました。



さて、オススメ・ワインです。

まずは今年のボージョレの作柄。6月までの天候は雨ばかりでひどかったが、7月から好天に恵まれ随分と回復したようです。

そんなわけで収穫は例年より2週間以上の遅れとなりましたが、9月末から順調に始まり健全な実が収穫されているとの事。

パワフル・タイプではなく、瑞々しい澄んだ果実感を持ったワインになるようです。


北海道からは㈱北海道ワインの鶴沼自社農場産ゲヴュルツトラミネール11年。

国内でこの品種単独のワインは殆どない貴重な葡萄。栽培の手間や低収量を乗り越えて、ここでは造り続けています。


ブルゴーニュ赤では、トルシュテが造るブルゴーニュ赤ヴィエイユ・ヴィーニュ08年。

5年を経てなめし革やドライフルーツの熟成香、旨味と酸味、タンニンが調和して複雑さと飲み頃の美味しさが楽しめます。

ほっとするピノ・ノワールと言えば分って頂けるでしょうか。


一方ジヴリ村のジョブロが造る1級グラン・マロルは作柄の良かった09年。

過熟した果実感と凝縮感が楽しめるグラマラスなスタイル。

もう2~3年程我慢されると、旨みが乗ってご褒美になりそうなピノ・ノワールです。

白はミッシェル・カイヨのムルソー村テッソン畑のシャルドネ種07年。

近年のムルソーは、ふくよかタイプから引き締まったスタイルに移行していますが、

ここはふくよかで甘い香りの樽香がはっきりとあり、イメージ的にはコテコテのムルソー。

バターやクリームをたっぷり使った料理が恋しくなります。


南仏からの赤はジゴンダス村のビュルル家が造るヴァン・ド・ペイ・ド・ヴォークリューズ11年。

この年から葡萄はグルナッシュ種が主体となり、南仏らしいふくよかさにスパイシーさが加わりました。

白はグランジェットが造るピクプール・ド・ピネ12年。

ふくよかさをミネラル感が上手く引き締め、風味豊かでも、もったりした印象になりません。


爽やかタイプの白は、やはり北の産地から。ロワール地方のダヴィ・バイィ家のプイィ・フュメ11年。

完熟感のあるソーヴィニヨン・ブラン種はイメージよりは酸味が穏やかで、

グレープフルーツ、木の芽、石の香りが華やかに広がります。

しかも普通は3000円以上するこの村の白が、この価格は見逃せません。


アルザス地方からはマルク・クレイデンヴァイツのリースリング種11年。

ビオディナミ栽培からのワインは、この品種らしい鉱物的な香りが少なく完熟したリンゴの香りが広がります。

完熟した果実味に、豊かな酸味と土壌からのミネラル感が合わさり、フレッシュさと複雑さが楽しめる味わいです。


そしてシャンパーニュではアンドレ・ロジェのグランド・レゼルヴ・ブリュット。

私は何も言われずに試飲をして「まるでボランジェみたいな味だな!」と言ったら、

05年までここはボランジェの契約農家だったとの事。

ピノ・ノワール種でも骨太なボランジェ・スタイルが、この価格でしたらとてもお得に思えます。

イタリアからはファレスコ社のモンテリーヴァ・カベルネ・ソーヴィニヨン10年。

ミディアム・ボディの果実味と、柔らかなタンニンがバランスよく楽しめる赤がこの価格は絶対にお得!今月の旨安大賞です。


フル・ボディ好きにはシチリアのザブが造るインパリ10年。

カシスシロップとベーコンの香りに、味わいもビターチョコとベリー系のシロップ風味が広がります。

豊かなコクとバランスの良い味わいは、デザートワインの様に食事がなくてもこのワインだけで楽しめる程の満足感があります。


スペインからはサンタマリーナが造るエクウス。

地元のテンプラニーリョ種にカベルネ種、シラー種のブレンドが独自の華やかな香りとなり、

ミディアム・ボディですが複雑さが楽しめる赤ワインです。


濃いタイプがお好みでしたらアリカンテ地区のヴォルヴェールが造るタリマ・ヒル。

多分収量をかなり下げているのでしょう。

モナストレル種からの果実味の凝縮が凄く、樽の香りと共にゴージャスな味わいが楽しめます。


アルゼンチンからはモンテヴィエホ社のプティット・フルール。

4品種のブレンドが良く、瑞々しさと複雑さの両方が楽しめます。

有名なミッシェル・ロラン氏が絡んでいるのが納得できる味わいです。


今月はワインの造り手アラン・ヴェルデ氏が造るリキュールに驚きました。

ブルゴーニュ産のカシスとペシェ(桃)は、共に強烈な凝縮感がありながら澄んだ味わいでたいした物です。

試飲用に開けた瓶がございますので、当社店舗にお越しいただければお試しできます。


食品からはスペインのサラミ2種。

特に白カビ熟成をさせたフエは、容器の袋が穴だらけで呼吸が出来るのでしょう。

サラミ表面の白カビが生き生きとしています。


もう1点こちらも同じスペインから、品切れていたマラガ地区産マスカット種の干し葡萄。

このレーズンは珍しい種入りタイプ。でも収穫を遅らせ種まで熟しているので、種がナッツのように味わえます。

箱にはワインと同じ原産地呼称の「DOマラガ」と記載された本物です。        藤井 敏彦

 

2013年 9月


今月は二つの話題がございます。

まずは、7月末からワインショップフジヰ玄関横の軒先スペースで野菜の販売を始めました。

この軒先マルシェの開催は、毎週金曜(雨天は休業の予定)の13~16時頃まで。

私の知り合いの佐藤さん親子が、自身で育てた野菜を朝収穫し、その本人が当社の店頭で直売しています。

畑ではくすりの代わりに愛情を注いで栽培しているそうで、

葉っぱにはポツポツと虫食い穴が開いていますが、野菜本来の味わいがしっかり感じられます。

種類はオカヒジキ、ズッキーニ、にんにく、アイスプラント、小松菜、レタス、きゅうり、

ツルムラサキ、トマト、はつか大根など。 虫も食べたくなるような野菜たちです。

元気はつらつのお母さんと、生真面目そうな息子さんのコンビも良く、沢山の方が足を止めて、

食べ方の説明などを聞きながら野菜を購入していただきました。

金曜の午後、近所にお越しの際は、ぜひ一度金曜マルシェをのぞいて見てください!


次は8月に家内の実家に行ったお話。

昨年から多くの番組や、雑誌で取り上げられている話題のお店、

東京の立ち食いフレンチレストラン「おれのフレンチ・銀座店」に家内と二人で行ってきました。

当日、実家を出る前に息子へ「一緒にご馳走を食べに行く?」と聞きましたが、

「立ち食いは疲れるから行かない!」と言われ二人で出発。

まずは新しくなった東京駅とその付近を散策し、1時頃にビル地下の飲食街で軽めの昼食を取り

「ではディナーに行きましょうか」と言って、お腹を減らすために徒歩で銀座に向かいました。

「おれのフレンチ」は僅かな数しかない椅子席を除くと、予約は無く並んで順番を待つシステム。

開店は4時からで「夕食を2時から並ぶ人はいないよね!」と思って、

店に2時15分頃に着くと既に17人が並んでいました。

東京の強烈な湿度と30度以上の中で待つこと二時間弱。

サンダル履きの半ズボンとポロシャツ姿でも、汗でビッショリ。

開店の前に、お店の方が冷やしタオルを出してくれた時は、本当に生き返りました。


そしてこの店のシステムの説明が始まります。

まず来た順番に店内に案内され、飲み物の注文を取り、

次も来た順に前菜等の冷製料理の注文を取り、最後も来た順番で火を入れた料理の注文を取ります。

なぜ一度に注文を聞かないのかと言うと、お店の看板になるような名物料理は一日何皿分と決まっているためです。

エビが好きな家内のお目当ては、活オマール海老のロースト1280円。

肉好きの私は、牛ヒレとフォアグラのロッシーニ(トリュフ)ソース1280円狙い。

しかしお店の方は無情にも「本日の活オマールは6皿、ステーキ・ロッシーニは20皿です」と言われました。

当然、ステーキは頼めましたが、オマールは僕らより前で品切れ、

家内は代わりに甘エビのタルタル・キャビアのせ680円を頼みました。

ここは食べたい物があっても、よほど早い時間に並ばないと希望通りには食べられません。

外で2時間も待った後に、家内の落胆した顔を見た時は、なにか騙された気分になりました。


でも、折角来たのだから今日の食事を楽しもうと気持ちを切り替え、

注文を済ませグラスでシャンパーニュを味わうと気分も高まって来ます。

泡の後のワインは仏ブルゴーニュ地方のルモワスネ社サントネ村の赤1992年が4850円とこれまた破格。

皆さんが一番気になる味に関しては、量目も味付けも十分以上で美味しかったです。

2時間並んで、立って食べるというシステムには賛否両論があるでしょうが、

絨毯とシャンデリアの中で食べると一人2~3万円で、

立って食べて一人3~4000円というのは、人口の多い東京では共に共存出来るのでしょう。

最後に私が会計を済ますと、家内は「私が払うから、食後のコーヒーは、座って!飲みましょう」と言って、

銀座のドトール・コーヒーで倒れこむように座りました。

このお店は、本人と相方が忍耐強い方で、

待っている間に通行人から行列の写真を撮られても気にしない方にお勧めします。

多少のトラブルがあっても、待ち2時間、食事2時間を共に戦い抜いた後は、

たとえ希望の品が食べられなくても、とても清清しい達成感と、連帯感に包まれるでしょう。


さて、今月のオススメワインです。

まずは今年もヌーヴォーの季節が近づいてきました。

今年フランスでは春から夏にかけて天候が悪く、開花時期も2~3週間遅れたのですが、

夏からは好天に恵まれ今、遅れを取り戻しているそうです。

毎年特に好評な生産者と言えば、まずはボージョレ地区で

自然派(有機栽培、自然酵母で発酵、酸化防止剤無添加)の代表と言える7番マルセル・ラピエールのヌーヴォー。

2010年マルセル氏が亡くなった後も奥さんと息子さんが力を合わせ、

濃さではなく澄んだ果実味と旨味を持った味わいを引き継いでいます。

次は日本人の仲田晃司氏が醸造するルー・デュモン。

樹齢70~95年の古木が残った8区画からのワインは、 ボージョレとは思えない濃度と複雑さを持ったマッチョ・タイプ。

そこそこの価格で良質な物をお求めでしたらポール・ボーデ社。

華やかな香りと果実味がたっぷり楽しめ、毎年、当社の新酒販売のトップです。

そして円安の今年、最安値のヌーヴォーはペットボトル入りジャン・フルール。

フランスからの航空運賃は重さで決まるため、ガラス瓶では絶対にあり得ない価格です。


北海道からは奥尻ワイナリーのピノ・グリ12年。ふらのワインのミュラートゥルガウ12年。

山崎ワイナリーのシャルドネ12年。それと野生酵母発酵による香りが独特な藤野ワイナリーのナオミ・ブラン12年。

昨年の北海道はとても暑かっただけに、道内の各ワイナリーで造られた12年産の白は、完熟した果実味がたっぷり。

今年も良い収穫に恵まれることを願わずにはいられません。


今月のブルゴーニュからの一押しは、フレデリック・マニャンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ赤10年。

低収量だった10年らしいコクと、ロースト強めのスモーキーな樽香が合わさり、畑名付き以上の満足感が楽しめます。

逆に濃度ではなく、うす旨系好きにはムーラン・オー・モワーヌが

オーセイデュレス村の自社畑産ワインで熟成した96年、02年、04年はいかがでしょうか。

白の一押しはヴァンサン&ソフィー・モレのブルゴーニュ白08年。

5年を経て果実味と木樽の風味が調和し、飲み頃シャルドネの理想の姿が楽しめます。

ちなみに同じ造り手で、サントネ村の白08年は更に良いですよ。

フランスの赤では、ダンデゾンのコート・デュ・ローヌでヴィエイユ・ヴィーニュ11年。

濃くて強いシラー種を、搾ってそのまま瓶に詰めたような味わい。

一方ミネルヴォワ村のシャトー・ファバスは熟成した08年産。

シラー種、グルナッシュ種他が混じり合って、革製品や干した果実などの熟成香が楽しめる旨安ワインです。

白ではラングロワ・シャトーが、甘口で知られるコトー・デュ・レイヨン村の09年産。

涼しい産地の甘口は、爽やかな酸味がアクセントに効いてメリハリのある味わい。

辛口ではジュランソン村のカプドヴィエルが造る10年。

有名産地でなくても、造り手の情熱が伝わってくるような骨太な味わいです。


今月は泡で多くの良品が見つかりました。南仏ブランケット・ド・リムー地区でロジェが造る11年産。

完熟した果実の風味と、瓶内二次発酵によるきめ細かな泡がこの価格。スペインのカヴァから浮気したくなる出来です。

シャンパーニュ地方からは、ピノ・ムニエ種に命をかけるバロン・フェンテ社のグラン・ミレジム04年。

シャルドネ種がムニエ種の風味を包み込み、ゴージャスな味わいに仕上げています。

そしてアンドレ・クルエはピノ・ノワール種100%。

ふくよかな果実味と太い酸味は、食前酒ではなく食事と共に味わいたいタイプ。

イタリアの泡ではベルフィがグレラ(プロセッコ)種を自然派タイプに仕上げた辛口。

産地的には「プロセッコ」を名乗れますが、官能検査でこの産地のスタイルではない為に規格外となった泡。

瓶底にはたっぷりオリが溜まり、残糖が無い代わりにアミノ酸の旨味を感じます。この味わいはちょっと癖になりそう。

チリからの泡はバルディビエソ社のブラン・ド・ブラン。

葡萄はシャルドネ種だけですが、約3年も瓶内熟成を行うことで、豊かさと熟成旨味が楽しめます。


イタリアワインではファルネーゼ社の各種ワイン。この低価格でもたっぷりとした果実味を持ち、

味わいのバランスも良く、文句のつけようがない出来です。まだ未試飲の方は、ぜひ一度お試しください。

スペインからはアルマンサ地区のアタラヤが造るラ・アタラヤとアラヤ。

主体となるガルナッチャ・ティントレラ種は、果皮だけではなく果汁も果肉も血のように色があるため、

ワインに濃厚な果実味をもたらします。フルボディ好きの方は、絶対飲むべきワインでしょう。

スペインのリンゴで造られた157番マヤドールのシードラ。

リンゴは葡萄より糖度が低いため、アルコールも4%しかありません。

250mlのかわいい瓶なので、グラスに移さず瓶にストロー挿して飲むのもキュート。


最後は麦の泡・ビールです。ドイツ・クルンバッハ社のエック・ピルスと、173番英国ブレインズ社のSAゴールド。

特にゴールドは上面発酵のため、芳醇な香りが豊か。

二種類共に、白ワイングラスを用意し30センチほどの高さからビールを注ぎ、

1分程泡が落ち着くのを待ってから味わっていただくと、香りが広がります。       藤井 敏彦

 

2013年 8月


今月は音楽のお話。

6月末に家内は一人でアン・サリーのコンサートに行ってきました。その後は、朝から音楽が流れているわが家。

私も中学生の頃は、当時流行りの洋楽とヴァン・ジャケットの服が大好きでした。

当時のレコードはとても高価でしたので、地下鉄大通駅改札前のなにわ書店に寄り、

音楽雑誌で新譜レコードの評価を立ち読みしてから、隣の玉光堂でレコードを購入。

しかし専門家の評価を読んでも、購入したレコード全てがお気に入りにはなりません。

その後、レコードはCDになり、価格も2000円ぐらいになってからは、前よりは気楽に買えるようになりましたが、

当たりか外れかは好みもあって、やはり勘に頼るしかないのでしょう。


その、なにわ書店と玉光堂が入っているビルに、3年ほど前レンタルの「ツタヤ」がオープンしました。

ここで時々映画のDVDを借りていましたが、ある時、音楽CDの品揃えが多いことに気付いたのです。

でも音楽家の方には申しわけないですが、製作費が百億円以上の映画「スターウォーズ」が100円で借りられるのに、

旧作でもCDのレンタルは1枚350円と聞き、その価格差にめげてしまいました。


さて今、狸小路4丁目のアルシュビル1階はパチンコ屋さんですが、

40年程前はエイトビルの名で1階は日本楽器(ヤマハ)のレコード店でした。

広い店内の中央には試聴用のレコードプレイヤーが20台ほど円形に並び、

プレイヤーの内側にいる店員さんに希望のレコードを渡すと試聴が出来る画期的な店でした。

ただ、CDと違い針を使ったプレイヤーの操作は店員さんに委ねられるため、

飛ばして次の曲を聞きたい等の希望はできません。

また音はヘッドフォンではなく、固定電話の受話器に似た形状の物がプレイヤーの左右にあり、

両手でそれを持ち続け音を聞きます。そして試聴後は、

向かいに店員さんがいるので、買わずに帰るのはちょっと度胸が必要でした。


さて、現代の「ツタヤ」にも、試聴用CDプレイヤーがヘッドフォンと共に数台設置されています。

CDですから、気に入らない曲を飛ばして次の曲にするのも簡単。

プレイヤーには 「混雑時は、長時間の試聴をご遠慮ください」 と書かれていますが、

言ってしまえば店内のCDは全部聞き放題です!

また試聴して気に入らなかったCDを返却するBOXまで用意されているのです。

そこで私は、今お気に入りの日本のジャズ「クオシモード」のCDを、3枚棚から選び試聴しました。

1枚は気に入らず棚に戻し、もう1枚は気に入ったのでレンタル。もう1枚は凄く気に入ったので2800円で購入しました。

こうして自分が納得してだと、レンタル350円も、購入2800円も全く気になりません。

ここ当分、我が家は音楽が鳴り響いているでしょう。


さて、今月のオススメ品。

ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ペイラボン04年。

カベルネ種のタンニンと、メルロ種のふくよかさが楽しめる典型的な味わいですが、

高騰が続いたボルドーでこの濃さと熟成感を望むと、今3000円はするでしょう。

「2000円で、そこそこの強さと、熟成感のあるボルドー」そんな今となっては夢のような赤です。

ブルゴーニュからはニュイ・サン・ジョルジュ村の生産者ダニエル・リオンが造るシャルドネ10年。

ブルゴーニュには赤が得意な人と、白が得意な人がいます。

ダニエルは赤で知られる為に、白はあまり人気が無く安めの価格で販売されています。

しかしこの白、複雑さはありませんが、バランスが良い出来で、お値打ちなのです。


ロワール地方からは定価3000円はするサンセール村の白で、

シャトー・フォンテーヌ・オードンの09年が信じられない価格で入荷しました。

この年フランスはとても暑かったため、シャープな酸味が特徴のこの村でも、酸味が穏やかでふくよかな味わいでした。

この年の味わいを理解して楽しめる方には、とてもお買い得な白です。

南仏では2000年以降、ラングドック地方の西側、ルーション地方が注目されています。

ここで注目の生産者ガルディエの白レ・グラシエール11年と、赤ラ・トル08年。

共にこの生産者でも上級品なのでそこそこの価格はしますが、ゆっくり味わって頂くと、

今この地区で何が起きているかが分かってくると思います。

造り手が安ワインだけではなく、自社畑で最高の区画からどこまで素晴らしいワインが生まれるか。

その挑戦している姿を白2400円、赤4800円(共に店頭価格)を払って、体験してみませんか。


イタリアの白では3種が良かったです。リグーリア州ルナエ社のヴェルメンティーノ種からの白。

北部らしい果実味に酸味とミネラルが複雑に絡み合っています。樽が無くても美味しい白が出来る典型のようなワインです。

次はエミリア・ロマーニャ州モンティチーノ・ロッソ社のコドロンキオ10年。

この州の宝ともいえるアルバーナ種を遅摘みし、一部貴腐化した葡萄を完全発酵させ辛口に仕上げた白。

ちょっと大げさに言うと、仏ソーテルヌ村のシャトー・ディケムが造る辛口白「イグレック」のニュアンスが感じられます。

香り、味、共に複雑で、フォアグラやレバー・パテあたりと相性が良さそうに思いました。

通の方に受けるワインではありますが、2倍の価格でも価値がある独特な味わいです。


お値打ち品ではプーリア州トッレヴェントが造るヴェント・ビアンコ12年。

2種の葡萄のブレンドで造られた白は、ジャスミンやライチの香りが華やかで、

豊かな味わいと共に満足感の高い旨安ワインです。

イタリアの赤ではマルケ州ヴェレノージが造るロッソ・ピチェーノ12年。

果実をつぶして瓶に詰めたようなフルーティな味わいは、

昼間、屋外でのバーベキューの時に、オン・ザ・ロックにしても美味しいでしょう。


新世界からはニュージーランド・シレーニ社のソーヴィニヨン・ブラン種12年。

きりっとしたメリハリのある味わいは、まさにニュージー・マルボロ地区の典型で、夏に最適の白と言えます。


次はメキシコからの泡2種。

この価格で瓶内2次発酵、葡萄はスペインとフランス品種のブレンドが上手く決まり、

私は本家である、スペインのフレシネより味わいが豊かでは、と思っています。

個人的にはブリュット・ナチュレの方が好きですが、コクと旨味はブリュットの方があるので、お好みでお選び下さい。


食品からはスペイン・フォルム社のワイン・ビネガー。

赤、白共に好評ですが、白に徳用瓶が入荷しました。

酸っぱさよりも果実感が豊かで、このお酢を生のまま少量味わっても、むせません。

ぜひ良いオイルと1:1で合わせたドレッシングをお試し下さい。         藤井 敏彦

 

2013年 7月


先月の独り言で、積丹の旅館の話をしました。

プールや遊具付きの大きなお風呂があるホテルが好きな息子が、こじんまりとした旅館に付き合ってくれたので、

6月の小学校の開校記念日に、息子の希望で定山渓のプール付き温泉「ラ・グーン」へ日帰り入浴の約束をしました。

ここだけの話、父親としての義務感から渋々決まった日程です。

当日の朝食中に、海水パンツはどこにあるかとか、浮輪は持っていくかと、話をしている時に息子の友達から電話がきました。

「・・いや、今日はラグーンに行くんだ。・・うん、・・・ふーん、○○君も△△君も来るの?じゃ僕も行く。

何時に何処?わかった。じゃあーね」と電話を切り、食卓に戻ると

「今日はラグーンは止めて、みんなで(子供は無料の)サンシャイン・スポーツクラブのプールに行くことにしたから」

と言って今日の予定が変更になりました。

私と家内は二人で顔を見合わせたまま、何も言えませんでした。

小学校6年生になった息子が、初めて自分で踏み出した一歩かもしれません。

これからはどんどん親離れが進み、友達との時間が増えてくるのでしょう。

驚きと嬉しさ、そしてチョッピリ寂しい気持ちになった6月の休日でした。


さて今月のオススメワインです。

まずは北海道・余市の曽我貴彦さんが酸化防止剤無添加(サン・スーフル)で造る微発泡のロゼ。

これ、旨味がたっぷりですごくおいしいです。

普通の爽やかで切れの良いロゼ・スパークリングではなく、

果実を搾り果肉が混じった状態でそのまま瓶に詰めたような感じです。

余市近隣の農家さんの葡萄を見て、一般的なワインではなく、

濁り酒の様な味わいに仕上げた貴彦さんのセンスを感じずにはいられません。

次は札幌・藤野ワイナリーのマヤ。

黒葡萄だけで仕込んだロゼ・スパークリングは、前述の曽我さんと同様にオリを残しているので旨味たっぷり。

でも果皮の漬け込み期間の違いなのか、曽我さんのが美味しい濁り酒とすれば、

こちらは少し洗練された美味しいロゼのスパークリングです。

目の前にある葡萄を見て、どんな味わいのワインにするかを考える。

2種の道産の泡は、共に限られた予算の中でも造り手のセンスを感じさせてくれました。


ボルドーからはサンテステフ・ド・モンローズと、マルゴー村のシャトー・シャンテリュン09年。

モンローズは複数年をブレンドしたワイン。ミディアムですが熟成香と熟成旨味が楽しめてこの価格は良いですね。

シャンテリュンは天候の良かった09年ですから、ここ1~2年は完熟した果実感で美味しく飲めます。

でも、ポテンシャルが高い年なので、5~10年買ったことを忘れて熟成させた方には大きな喜びが待っているでしょう。

同じボルドーで2000円以下のクラスでは、シャトー・ボレール08年と、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン10年。

ボレールは39%も使っているプティヴェルド種のタンニンと複雑さが楽しめ、

モントーランは90%のメルロ種からふくよかさと柔らかさが楽しめます。


ブルゴーニュからは飲み頃でお値打ち品な赤、白。

ヴァンサン&ソフィー・モレがサントネ村の08年産シャルドネ種で造る白。

コート・ドール地区で、樽風味とふくよかでたっぷりした果実味が楽しめて、この価格は普通あり得ません。

メーカーの在庫処分で可能になった特別価格です。

赤はジヴリ村の筆頭ジョブロ家が1級畑で造る07年。

6年を経た今の時期は、果実感と熟成感の両方が楽しめます。

若飲みのイメージがあるジヴリ村ですが、良い造り手の物は少しでも熟成させると複雑さと旨みが乗って来ます。

こちらも在庫処分特価になっていますので、お値打ちです。

同じブルゴーニュの赤で、フィリップ・ルクレールのブルゴーニュ赤ボン・バトン10年と、

ユベール・モレのシャサーニュ・モンラッシェ赤08年。

ルクレール氏はジュヴレ・シャンベルタン村の名門ですが、このボン・バトン畑は隣のシャンボール村にあり、

柔らかな果実味と上品な樽風味が飲み手をうっとりとさせる魅力を持っています。

一方モレ家の赤はシャサーニュ村。ここは白で有名な村だけに、赤が売れ残った時はチャンスなのです。

08年は作柄も悪くないうえに、5年を経て少し熟成感が開いてきました。


南仏からは超旨安ワイン2種。まずはトゥトゥ・イーヴル、ペイ・ドック12年。

かわいい犬のラベルは、正直、あまり期待せずに試飲しましたが、

トップにスパイスの香りが来て、口に含むとふくよかで果実味とタンニンのバランスが良いのです。

調べてみるとタイプの違う4品種の葡萄を上手くブレンドしていました。

実は同じ犬ラベルの白ワインも試飲をしましたがボチボチでした。赤の方を是非一度お試しください。

もう1点は当社の定番ワイン。マルキ・ド・ボーランのシャルドネ、ペイ・ドック11年。

南仏の大手生産者フォンカリユ協同組合が造るこのシリーズ・ワインは、赤、白各品種共に大好評ですが、

特にこのシャルドネ種はふくよかな果実味だけではなく、酸味とミネラルが感じられてかなりの出来だと思います。


イタリアからはボッター・カルロ社のブリンディジ・リゼルヴァ08年。

南のプーリア州らしいふくよかで骨太な味わいが、5年を経て美味しくなってきました。

どうしても私は練れたワインには評価が甘くなってしまいますが、この価格はお値打ちですよ。

同じイタリアからロンボ・ビアンコ11年、ロンボ・ロッソ12年。白、赤、共に2品種のブレンドタイプ。

白は華やかな香りとふくよかな果実味のぽっちゃりタイプ。赤はストロベリーの香り豊かなスレンダータイプ。

赤、白、共に、この価格としては大満足の味わいです。


さらにポルトガルからも驚きの旨安ワインが入荷しました。

アデガ・ド・モレイロのティント(赤)、アデガ・ド・モレイロのブランコ(白)。

こちらも赤は3品種、白は2品種のブレンドで、両方ともにふっくらタイプ。

しかも白は穏やかな酸味が、赤には細かなタンニンがあるため、少し奥行き感と複雑さすら感じさせます。

今月の旨安大賞は、フランス、イタリア、ポルトガルが三つどもえの争いとなりましたが、

私には僅差でこのポルトガルが勝ったように思われます。個人差や好みの違いもあるので、

ご興味のある方はご自宅でこの三カ国対抗旨安ワイン選手権を実施してみてはいかがでしょうか。


今月は食品でもオススメがございます。山形県でハム、ソーセージの風味堂が作るオツマミ、豚珍乾(トンチンカン)。

ここの特製ジャンボ・サラミを、縦ではなく横長にスライスしました。当然サラミですから塩分も油分も強いですが、

この価格でこの味わいと品質はなかなかの物だと思います。

オーストラリア・タスマニア島のレザーウッド・ハニー。

植樹しても、開花まで100年近くかかるレザーウッドの花のミツがこの価格は破格!

にが旨味と複雑さを持った味わいは、薬と思って味わった方が良いほどです。

マイオーネ社の種付きオリーブの各サイズ。

オリーブが嫌いな方は塩分とお酢の酸っぱさが苦手ですが、このオリーブは塩水への漬け込みが浅く酸っぱくありません。

ですから、新鮮なオリーブの果肉そのままの味わいが楽しめます。オリーブ嫌いな方にこそ、味わっていただければと思います。


藤井 敏彦

2013年 6月

今月は5月に積丹の旅館で一泊した家族旅行のお話。

実はこの旅行中の二日間、小学6年生の息子と何度もケンカになりました。

原因はたわいもない事でしたが、後から家内が言うには、私の叱り方は息子の心を逆なでする言い方だったそうです。

考えてみると、私は通常木曜日がお休み。

木曜は息子の学校があるので、帰宅する4時ごろから就寝までの半日しか一緒に過ごさないのに、旅行中は朝から晩までずっと一緒。

すると、私の中で父親としての責任感がムクムクと顔を出し、息子の気になる態度に私の小言が出て、

売り言葉に買い言葉で険悪になってしまうのです。

ところが、家内は息子を叱っても引き際が上手く、私から見るといい親子関係なのです。


小さいころから問題児だった私。さらに父親が小学4年生の時に亡くなり、母親は仕事で手一杯。

学校から帰宅しても家に誰もいないので、私は宿題もせずに好き勝手に遊んでばかり。

そんなせいで私は怒られた経験がないまま父親になり、いざ自分が息子を叱ろうとしても上手く出来ません。

家内に「どうやって息子を叱ればいいの?」と聞くと、もっと息子と接する時間を増やして何度も喧嘩するしかないよと、つれない返事。

だんだんと大人に近づき、親の言うなりにならなくなってきた息子との関係を改善するには、当分時間がかかりそうです。


さて話は変わって、泊った積丹の小さな(失礼)旅館のお話。

有名なミシュランのガイドブック北海道版で2★評価を受けた「美国観光ハウス」の予約が偶然にも取れました。

評判通り、手作り感と暖かみのある料理はとても良かったです。

また、飲み物リストに数点載っていたワインの選択も、店主が料理と合わせて試飲をし、選別したと思える物が揃っていて好印象でした。


個人経営の飲食店でオーナーがワイン好きですと、ワインリストには

ムートンやマルゴーなどの超高級品が真っ先に鎮座していることが時々あります。

しかし、この宿のお薦めワインは4000円前後。

赤は値上がりの続くボルドーを避けてチリのモンテス・アルファのカベルネ。

白はやはり高いブルゴーニュ・シャルドネを外して、アー・エ・ペー・ヴィレーヌのブーズロン・アリゴテ。

種類は多くなくてもお客様の立場で厳選されたワインは、料理やサービスと同様にオーナーのお客様に対する思いが伝わりました。


決して広くはないお部屋(失礼)が9室のみ、お手洗いは共同、お風呂も温泉ではありません。

プールや遊具付きの大きなお風呂のあるホテルが好きな息子が、

ここで朝食を食べた後に「お母さん、ボクは今日もここに泊まってもいいよ」と言ったのには驚きました。

なかなか予約が取れなく、お値段もそこそこはしますが、苦労してでも行く価値がある宿でお薦めします。


さて、オススメワイン。

今月は白で良質な物が多く見つかりました。まずは地元北海道から。

千歳ワイナリーが造るレシラ・シリーズのミディ12年。暑かったこの年らしい完熟した果実感と、品種特有の酸味が調和しています。

500mlのサイズとこの価格も、かしこまらずに楽しめそう。

アスパラをはじめとする春野菜にも相性が良いので、屋外のジンギスカンと共にいかがでしょうか。

もちろん、スクリューキャップですから、コルク抜きも要りません。

岩見沢市の宝水ワイナリーからは上級品、雪の系譜シリーズのシャルドネ12年。

特に白が良かった12年らしく、香りに未熟さがありません。

辛口でミディアムな果実味と調和した酸味がバランス良く、まさに北国で完熟した清らかなシャルドネ種のイメージです。


仏ボルドーのブライ地区シャトー・ボーモン・レ・ピエリエールの白12年。

味わいは仏ロワール地方のソーヴィニヨン・ブラン種を思わせる爽やかさですが、

少し温度が上がってくると樽発酵による複雑さが開き始めます。

高騰を続けるボルドー赤ですが、白は良質でお値打ちな物が時々見つかります。


ブルゴーニュからはセクストンのサン・トーバン村で赤06年。

有機栽培で、野生酵母による発酵ですからアニマル系の還元香はありますが、7年を経た熟成旨味は私にとってはたまりません。

まだ試してはいませんが、マグロの握りにも合うのでは?と思っています。白で知られる村の赤は時々めっけもんが見つかります。

同じブルゴーニュの赤で、フィリップ・ルクレールのブルゴーニュ赤ボン・バトン10年と、

ユベール・モレのシャサーニュ・モンラッシェ赤08年。

ルクレール氏はジュヴレ・シャンベルタン村の名門ですが、このボン・バトン畑は隣のシャンボール村にあり、

柔らかな果実味と上品な樽風味が飲み手をうっとりとさせる魅力を持っています。

一方モレ家の赤はシャサーニュ村。ここは白で有名な村だけに、赤が売れ残った時はチャンスなのです。

08年は作柄も悪くないうえに、5年を経て少し熟成感が開いてきました。


南仏からはミネルヴォワ地区のシャトー・ドンジョンが、隣のカバルデ地区で造る赤08年。

5年を経て3品種が混じり始め、飲み頃の美味しさが楽しめます。しかもこの価格は間違いなくお値打ちです。


イタリアからはファルネーゼ社の大人気カサーレヴェッキオ・シリーズで、ペコリーノ種からの白11年。

南部の白はもったりした味になりやすく私は避けていましたが、この白はそんな思いを裏切ってくれました。

凝縮した果実味を持ちながら、爽やかな味わいに仕上げてくるのはさすがファルネーゼ社です。


スペイン・ビエルソ地区からはアルヴァレス・ド・トレド社で、品種は今、注目のゴデーリョ種の白と、メンシア種の赤。

白は爽やかな柑橘と熟した桃の香り。ふくよかな果実味を酸味が引き締めた豊かでメリハリのある味わい。

赤は、スペインのピノ・ノワール種と称されるメンシア種。ブルーベリーシロップの濃そうな香り。

5年を経てふくよかな果実味と樽の風味が混じり始めています。

赤、白、共にパーカー90点評価を受けた味わいはインパクトがあり、料理が無くてもワインだけで満足させてくれます。

しかもこの低価格!今月の安旨大賞は、当然、赤、白、共にこちらに決定です。


食品からはニュージーランドの新着はちみつ三種。

カカラ(百花・数種の花のブレンド)、ラタ・フラワー、ホワイトクローバーの3タイプとも独自で、濃厚で、複雑です。

ここまで味わいが豊かですと、何かにかけたり、入れたりするのではなく、

そのままティースプーンで一舐めするのが一番美味しいような気がします。


そして長崎県小佐々(コサザ)の煮干し。昨年から品切れていましたが、やっと今年の漁が始まり入荷して来ました。

10センチほどの大きさも立派ですが、何よりもお出汁にした時の味わいです。

品切れ中は、同じ小佐々港産で少し小振りの物を扱っていましたが、やっと6月から入荷いたします。

煮干しファンの皆様、ご迷惑をおかけいたしました。                        藤井 敏彦

2013年 5月

お気づきになったと思いますが、

フジヰニュース5月号からワインリストの順番を変えて、地元北海道のワインを先頭に持ってきました。

これは当店のお客様から伺った話が発端です。その話とは、今から30年近く前にオーストリアで何軒かのワイン生産者が、

生産する甘口ワインの味を良くするために、ジエチレン・グリコールという薬品を添加した事が発覚しました。

この問題はドイツにも飛び火して、当時、全国の酒小売店(もちろん当店も)や、

デパートの商品棚からドイツとオーストリアのワインが撤去されました。

当然、オーストリア・ワインの販売量は激減しました。

オーストリア政府はワイン法を厳格化し 品質向上を目指しますが、販売はすぐには増えません。

そんな時に立ちあがったのが地元のレストランとソムリエ達で、

ワイン・リストの先頭に地元のワインをもってきて販売を助けたそうです 。


これなら当社にも出来ると思い、5月から地元の北海道産ワインをフジヰニュースの先頭にしてみました。

もちろん、当社でも販売量はフランス・ワインが筆頭で、輸入物全体に対して北海道産の比率は1/10以下です。

でも、北海道を思う気持ちは1/10ではありません。

皆さんのお宅で親戚から毛ガニが送られて来た時、あるいは本州からのお客さんと共に食事をする時、

地元の食材に合わせて地元のワインを年に1~2回でも味わっていただける方が多くなると、

道産ワインの全体量が何割かは増えると思います。

小さな応援でも、人数が集まると大きな力になる事を願って、たまには地元の食材と地元のワインを合わせてみませんか。


さて今月のオススメ・ワイン

札幌ばんけい峠のワイナリーの白12年。ここは醸造過程でSO2(酸化防止剤)は使いません。

SO2を使わないと、すりおろしたリンゴが赤く変色するようにワインは酸化します。

皆さんが想像する若い白ワインは、クリアな淡い黄色でフレッシュ&フルーティな味わいだと思います。

でもSO2を使わない白ワインは、若くても酸化が進み数年以上熟成したような風味が出てきます。

色は黄色に茶のトーンが混じり、少し漬物の様な酸化した香りが出てきます。

このような風味は好き嫌いになりやすいのですが、この白はマスカット香の強い、

ナイヤガラ種やポートランド種をブレンドすることで、酸化香をマスカット香が包み込み、 バランスの良い味わいに仕立てています。

SO2無添加ワインを試してみるには最適の白だと思います。


今月はボルドーで熟成した飲み頃ワインが多く入荷しました。

オー・メドック地区のシャトー・マレスカス03年。

暑かった03年産は例年より一回り濃くて人気が高く、 10年を経て市場ではだんだん見かけなくなりました。

今のマレスカス03年は豊かな果実味と、熟成感の両方が楽しめ、今でも、更に数年の熟成も可能なポテンシャルがあります。

03年産を見つけたら迷わず、即買いです。

グラーブ地区のシャトー・オリヴィエ白01年。

ボルドーの2000年は誰もが知るグレート・ヴィンテージですが、同じボルドーでも収穫時期の異なる白は00年よりも01年の方が作柄良。

しかし一般の01年のイメージは「良くない年」なので、この年の白は、値上がりが少なくて良質なのです。

熟成した白がお好きな方には是非お奨めします。

サン・テミリオン地区のシャトー・オー・フォンラザード04年と、カスティヨン地区のシャトー・リュカ04年。

共に9年を経た04年で、ちょうどタンニンがこなれて美味しくなってきた頃です。

有名な05年の陰に隠れたこの年も、値上がりが少なく飲み頃でお買い得なワインが見つかる年です。

ボルドー規格の10年産、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン。

まだ3年しか経っていませんが、これが素直に美味しいのです。

この価格なのにふくよかさがあって、うっすら木樽の風味も感じます。

手間のかかる木樽熟成ではなく、タンクにオークチップを入れて熟成させたのかも知れませんが、

とにかくバランスの良い味わいです。普段のデイリー・ワインには最適の赤だと思います。


ブルゴーニュではクルティエ・セレクション・シリーズのコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ93年。

20年前のブルゴーニュでこの価格ですよ!香りには古酒にありがちな紹興酒の風味が少しありましたが、

味わいには果実味が今もしっかり残り、ブラインドで出されたら99年あたりと答えそうな状態でした。

あとはセリエ・デ・ウルシュリーヌ社と、トプノ・ピエール家の飲み頃ワインが入荷しましたが、現時点では試飲がまだでコメントできません。

2軒の生産者は共に良い収穫年で、価格も控えめなので、私自身も大変期待しています。

白ではブレット・ブラザーズのマコン・クリュジーユ10年。

有機栽培の自然派ワインと言うと、味わいは薄旨系の繊細なタイプが多いですが、ここの白は濃さ強さがガツンとくるタイプ。

今風で言うと「肉食系男子」にお勧めの自然派ブルゴーニュの白です。


南仏からはシャトー・ラヤスがヴォークリューズ地区で造る赤。本家シャトーヌフ・デュ・パプにあるラヤスは定価20,000円以上ですから、

近隣の産地でこの価格はとてもお値打ち感があります。

味わいは大樽熟成された20年前のバローロを思わすような、果実味ではなく練れたタンニンと熟成旨味のスタイルです。

泡ではリムー村のロジェが造るブランケット・ド・リムー。

泡の産地と言えば、一般には北部の涼しいところですが、南仏リムー村はシャンパーニュ地方よりも先に泡を造っていた所。

この価格で最上の製法、瓶内二次発酵法を用いクリーミーできめ細かな泡を実現しています。

そして今月の安旨大賞はコンテ・トロザン地区のラヴィラ白11年。

この地区はアルマニャック・ブランディの産地ですが、

蒸留してブランディにせずに原料の白ワインをそのまま瓶詰めしたところ評判になりました。

ふくよかな果実味と、爽やかな酸味が調和した美味しいワインを蒸留すれば、更に美味しいブランディになると言うことでしょう。


さてイタリアからは、先月もオススメしたフリウリ州の生産者イル・カルピノがフリウラーノ種で造る白。

ジャスミンを思わす香りに、豊かなミネラル感が広がる様はかなり上質な味わいで、

料理無しでワインだけでも楽しめる豊かさを持っています。

ご予算に余裕があれば、上級品のピノ・グリージョ種も感動できます。

ボッター・カルロが造るロマーニャ州のサンジョベーゼ種08年。

この価格帯で赤のライバル、キャンティと比べても、豊かな果実味と少しこなれた熟成感が楽しめます。

もう少し熟成した方がお好きな方には、同じ生産者のコペルティーノ07年産をオススメします。

今月のイタリアで一押しはサン・パトリニャーノが造るロマーニャ州のサンジョベーゼ種06年。

生産者はなんと麻薬等の中毒患者の更生施設。ここはワイナリーだけではなく、

牛や豚を飼育する酪農業や、織物などの生産をしているそうです。

そして目的が利益ではなく更生ですから、現代の農業で見捨てられた手の掛かる作業をここでは行っているのでしょう。

教官はいますが、残りは素人の集団が造ったワインが、何代も続く名門生産者のワインを近年の品評会で打ち破っています。

その内、イタリア最高の工芸品は、更生施設で作られるようになるのかもしれません。今回の特別価格で是非一度お試し下さい。


スペインからはアタラヤが造るアラヤ10年と、カスターニョが造るロゼ10年。

ピンとキリのような組み合わせですが試飲の際、とても印象が良かった2点です。

ロゼはイチゴの風味が華やかで爽やかなタイプ。これからの時期に屋外で楽しむには最適のワインでしょう。

一方アタラヤの特醸品は強烈でした。あと少し凝縮したら、液体ではなくゲル状にでもなりそうな濃度。

これに難癖を付けるとすれば、上品さがないぐらいでしょうか。

私の予想ではパーカー氏から100点は取れなくても、95~98点評価はもらえそうな出来で、

この価格というのは世界中探してもライバルはいないと思います。

味が濃すぎて一人で1本は飲めないでしょうから、数人で味わって感動できる事を思うと、お値打ちワインの中に入ると思います。

最後は食品から。今ワインでも、オリーブ・オイルでも最高の評価を受けているオルネッライア。

輸入業者の変更に伴い、4、410円の品が特価で入荷しました。

ワインの最高級品の値段は天井がありませんが、最高のオイルの味わいをこの機会に試してみてはいかがでしょうか。

地元からは、余市ソガ・タカヒコのピノ・ノワール種で発酵が終わったワイン酵母に、

グラニュー糖と、山形産アカシアのはちみつを加えて作ったオリジナルのジャム。

口に含むと、チョコレートと赤ワインがマリアージュしたような初体験の味わいです。

店頭にサンプルがございますので、是非ご試食してみてください。

スペイン・マラガ地方ラ・ボルヘニャ社の枝付きレーズン。

完熟したマスカット葡萄を天日乾燥させたレーズンは種まで熟しているため、

丸ごと噛んでいただくと種が香ばしいナッツのように味わえます。

熟成したチーズとは最高の付け合わせになるでしょう。               藤井敏彦

 

2013年 4月

2月の下旬、余市へ行って来ました。

毎年この時期、余市の葡萄栽培農家さんがワイン生産者さんと共に開催している「余市のワインを楽しむ会」に参加するためです。

会場は余市町中央公民館2階の会議室と廊下を全部使い、立食形式で行われます。

今回の入場者は450名、地元では募集後すぐに完売となるプラチナ・チケットだそうです。

私は昨年から参加していますが、ワインをサービスする各メーカーのブース前はすし詰め状態。

その中でワイン・グラスと、試飲のコメントを書くノートを持っていると、初めての方に名刺を渡すことが出来ません。

そこで妻に、「札幌・ワインショップフジヰ・藤井敏彦」という名札を頼んだ所、出来上がった名札は、

横16センチ、縦11センチの特大サイズ。付けるのに勇気がいる大きさです。


今年は「ワインを楽しむ会」の前にセミナーが企画され、

共に日本のワインに詳しい石井もと子さんと、 鹿取みゆきさんによる講演がありました。

石井さんはここ10~20年で有名になった新しいワイン産地、米オレゴン州と、ニュージーランドの2地区が、

世界のワインマーケットにどんなプロモーションを行い、認知されるようになったかを説明。

鹿取さんは葡萄栽培農家がワイナリー設立に向けての注意点を、

九州の茶葉農家がお茶の自社ブランドを展開しカフェも併設して直売を行っている例を出して説明していました。

その後の質疑応答では、講師の方が提案した余市にワインのインフォメーション・センターの 設置案に関して

賛成意見が多く出され、出席していた余市町長は財政赤字を理由に苦しい答弁を繰り返していました。


さて当日、私はセミナーの会場に着き次第、胸に特製の大きな名札を付けました。

知り合いの方からは「その名札はどうしたの?」とか「藤井さんも今日の講師なのですか?」とひやかされました。

そしてセミナーの後で宴会が始まると、450名の中で名札を付けているのは私一人。

「札幌のワイン屋さんですか!私は○○と申します」とか、

「藤井さん!紹介したい人がいる」と声を掛けられ、私のポケットは名刺で一杯。

集まった名刺の中には、先程ステージで苦しい答弁をしていた町長さんとか、

前の町長さんとか、普段はお会いできないような方々ともお話しができました。

昨年、名札を付けずに参加した時は、こんなに名刺は集まりませんでしたから、

まさにこの名札のおかげです。次から大人数の会には名札を付けようと決めて、妻に礼を言いました。



さて今月のオススメ・ワイン。

ブルゴーニュ地方では低価格でも良質な物が見つかりました。

ジャン・ルイ・カンソンのシャブリ1級畑11年、ブルゴーニュ・シャルドネ11年、ブルゴーニュ・ピノ・ノワール11年の3種。

特にシャブリ1級畑は、樽なしシャルドネでは理想の姿と言える出来。

ブラインドで出されたら3000円以上の価値があると思いました。  

さらにブルゴーニュ規格の赤、白は、この価格ですから全く期待せずに試飲を開始。

一口味わった後、そつのない出来に当社スタッフ全員の目が丸くなりました。

この価格のブルゴーニュがあるだけでも驚きなのに、薄っぺらでなく、ちゃんと楽しめる味わいを持っています。

多分、買い付け担当者は、随分苦労をしたのだと思いました。

そして共に2000円以下、ロジェ・リュケのサン・ヴェラン村10年と、

同じマコン地区の生産者ロシュバンのブルゴーニュ・ピノ・ノワールでもヴィエイユ・ヴィーニュ10年。

白は樽熟成をしていませんが、少し凝縮感のある果実味をミネラル感が引き締め、良く出来たマコン地区の上物。

赤も樹齢50年が納得できる凝縮感と木樽の風味があり、間違いなく2000円以上はするだろうという味わいです。


ボルドー地方からは、プルミエ・コート・ド・ボルドーのシャトー・スオウで上級品のフ・ド・シェーヌ(樫樽熟成)00年。

凝縮した果実味と豊かなタンニンが、13年を経てもまだまだたっぷり味わえます。

やっぱりボルドーは熟成感と共に、そこそこの濃さ強さがあった方が好きと言う方には理想と思える出来でしょう。

この価格で久しぶりに00年らしいワインに出会えた気がします。


イタリアからは北部の白でとても良質な物が見つかりました。

北部リグーリア州ルナエ社のヴェルメンティーノ種からの白。キンカンの砂糖煮の香り、

遅摘みを思わせるふくよかな果実味を引き締めるアルコール感。

凝縮感と奥行きのある味わいは、なかなかの物だと思います。


私の一押しは、フリウリ州のイル・カルピノがルンク畑で造る白3種。

ソーヴィニヨン種の白は、果実味の凝縮感がちょっと信じられないレベル。

しかも樽無しのタンク熟成で、これほど複雑な味わいは初体験でした。

マルヴァジア種は果実味よりも、溢れるミネラル感。柑橘の皮とアルコール感が、舌の上をギシギシと刺激します。

さらに上級品のセレツィオーネ・マルヴァジアになると、私は仏ローヌ北部のエルミタージュ・ブランを思い浮かべました。

そしてヴィーニャ・ルンクのビアンコはブレンド・タイプ。果実味お化けのソーヴィニヨン種と、

ミネラルお化けのマルヴァジア種が上手く合わさると、ふくよかでバランスの良い白に生まれ変わります。

改めて生産者イル・カルピノの実力をまざまざと見せつけられた気がします。


そしてジェラルド・チェザーリがピノ・グリージョ種で造る白は07年産。

輸入業者が長期在庫品の為に特別価格になって入荷しました。

6年を経た黄金色の色調、麦わらを思わす華やかな香り、

ふくよかさとミネラル感に熟成旨味が合わさり、これ以上はあり得ないような味わいでこの価格!

私は2倍でも安いと思います。間違いなく今月の旨安大賞はこのワインです。

最後に地元からは(株)北海道ワインの北海道・ケルナー11年。

この価格でこの品質は、さすが大手生産者と納得しました。

今まで同社には甘口ワインのイメージが強かったですが、このメリハリのある豊かな酸味は

同社が新しいステップに進んだ事を感じました。道内のワインは、今後ますます目が離せません。          藤井 敏彦

 

2013年 3月

今月はワインのお話。

年が明けて1月中旬、昨年秋に創業して初仕込みを終えたブルース・ガットラブさんの10R(トアール)ワイナリーさんと、

三笠の山崎ワイナリーさん、千歳の中央葡萄酒さんに伺い、12年産のワインを試飲して来ました。

昨年の北海道の夏はとにかく暑かった。特に夜の寝苦しさは、北海道でもクーラーが欲しくなる程。

昨年の8月頃は、余市でも、空知でも葡萄生産者さんは皆笑顔で「今年はいいべ!」という声がどこでも聞かれました。

その後お盆を過ぎて、9月になっても暑さは続きました。しかしその頃から、

こんなに暑いのに葡萄の糖度が上がらないと言う声が、 生産者さんから少しずつ聞こえてきました。


好天の中で植物の葉がどんどん光合成をして栄養を作ると、

その栄養は葡萄の実に集まり甘く熟すだろうと普通は思います。

さて、植物は気温の変化で今の季節を感じているそうです。

暑い夏の時期は1センチでも高く背を伸ばし、1枚でも多く葉を増やして、

太陽のエネルギーをいっぱい受け止めようとするそうです。

そして朝夕が涼しくなってくると、植物は秋の到来を感じて木の生長を止め、冬に向けて木の生存のために身繕いを始めます。

そして自身の木が枯れてしまうことも想定して、子孫を残すために種を準備します。

しかし植物は足が無く自分で移動が出来ないので、種を別な場所にまくことができません。

そこで木は甘い実を成らせ、その実の中に種を入れたのです。甘い実は種を運んでくれる動物たちへのお駄賃。

実と共に食べられても種は消化されないため、動物と共に移動した後に糞と共に種がまかれます。

そこで条件が整えば、違う場所で芽が出るのです。


そこで昨年の天候を考えてみると、9月までは昼も夜も暑さが続き、植物は夏と思って木の生長を続けました。

10月になると雨が続き急に寒くなったので、季節は秋を飛ばして冬になりました。

種と実に栄養が蓄積される秋の期間が短かったため、あれほど暑かったのに思ったほど糖度が上がらなかったらしいのです。

しかし9月までは恵まれた気候で葡萄は生長したため、特に白はふくよかな味わいで全般に出来が良かったです。

赤は全体に淡い色調ですが、やはり中盤まで天候が良かったおかげで未熟な青さがなく、

あと2~3年も経てば熟成旨味が広がりそうな予感を持ちました。


子供の頃はてるてる坊主を作ったり、「明日天気になぁれ!」と靴を飛ばして天気を占いました。

あの頃より予報の精度は上がりましたが、葡萄の出来はやはりお天気次第なのですね。



さて今月のオススメワインは白で良い物が多く見つかりました。

ブルゴーニュの2010年は果実味に酸味とミネラル感が調和した素晴らしい白が造られた年。

サヴィニ村のシモン・ビーズがシャンプラン畑で造るブルゴーニュ規格の白と、

ベレーヌ(ニコラ・ポテル氏のブランド名)がサヴィニ・レ・ボーヌ村の自社畑で造った白は、価格以上の味わいでお薦めします。

でも、驚いたのは、赤で知られるフィリップ・シャルロパン・パリゾが07年産のシャブリ村で造った4種類の白。

正直言って今、一番の飲み頃はプティ・シャブリ07年でしょう。

昨年末から各生産者の並シャブリは11年産が日本に入荷しているのに、

シャルロパンが初めて造ったシャブリ07年産は6年以上熟成させて、

プティ・シャブリがやっと開き始めて来たというのです。

安旨とは良い辛い価格ですが、今月の一押し白です。


ボルドー地方からはオーメドック地区のシャトー・シャルマイユ02年。

この年は暑かった03年の陰に隠れて過小評価されていますが、小粒でも健全なカベルネ種のワインが造られました。

シャルマイユはまさにこの例で、完熟した果実味と熟成感が両方楽しめました。

シャトー・ヴァランドローのオーナー、テュヌヴァン氏が

「サンテミリオン地区じゃないけど、とても美味しいよ!」と言って造ったボルドー産赤、バッド・ボーイ08年。

5年を経た08年産は、そろそろ飲み頃に入り始めて来ました。


仏ロワール地方ではジョルジュ・ブリュネのヴーヴレ村01年と、デ・ゾービュイジエールのヴーヴレ村シレックス11年。

造り手は違っていても、同じヴーヴレ村、同じ品種のワインで、10年の時の流れを体験してみるチャンスです。

南仏からはミネルヴォワ村のシャトー・ベルヴィスでとても暑かった03年。

私はスパイス感とアルコール感が落ち着き、 アニマル系の熟成香が出てきた南仏の赤は大好きです。

10年熟成してこの低価格ですから、今月の赤の安旨大賞を受賞です。


今月のイタリアは赤が良かったです。

まずはピエモンテ州ピオ・マッカリオのシャルドネ種の白と、バルベラ種の赤。

共に北国らしい爽やかな酸味と果実味が楽しめて、この価格はとてもお買い得です。

北海道でもこのような赤ワインが安価で出来るようになれば、、、なんて思ってしまいました。

赤、白共に、安旨大賞の第二位受賞です。

あとは少し高くはなりますが、同じピエモンテ州でエンツォ・ボリエッティの

アルバ村産バルベラ種10年は、さすがと思わせる厚みと複雑さが出て、この価格でしたら充分お得だと思います。

飲み頃ワインではトスカーナ州ベリーニ社のコメディア08年。

イタリア品種とフランス品種が5年を経て上手く調和しています。

イタリアでもなく、フランスでもない、混血の複雑な味わいが楽しめます。


スペインの白ではリアス・バイシャス地区のグラン・バザンが造るアンバル06年。

爽やかさと熟成感の両方が楽しめる不思議な味。

少しワイン通の方に受けそうな、味わい深い白です。

私が大好きなリースリング種ではチリでビーニャ・レイダ社のリースリング11年。

爽やかな酸味の美味しさは、本場ドイツも驚くような出来の白でした。


北海道からは、暑かった12年産の白が入荷してきました。 宝水ワイナリーのケルナー種とシャルドネ種は、

共に完熟した果実味と爽やかな酸味の調和がとてもバランス良く仕上がっています。

改めて、道内の白の品質は、どんどん上がっているのが分かるような出来でした。


最後は食品から、スペイン・フォルム社のワイン・ヴィネガーで赤、白。

私もこのお酢をそのまま飲んで、むせませんでした。

果実感があって、ワインとお酢の中間と言った感じ。

これは是非一度味わっていただきたい初体験のお酢です。

店舗にサンプルがございますので、ご興味がある方は試飲が出来ます。
                                                                       藤井 敏彦

 

2013年 2月

夏と共に冬休みの間も、家内と息子は東京の実家に帰省します。

正月明け、ジージ、バーバの元で好き放題をしている息子から珍しく電話が来ました。「お父さん、マグロが一匹いくらになったか知ってる?」

そう、東京築地市場の初セリで大手寿司チェーン店が、マグロ一匹を一億五千万円で競り落としたニュースの事です。

電話で私がそのニュースは知っているよ、と答えると「ワインショップフジヰは、そのマグロ買えるの?」。ちょっと想定外の息子の質問にドキマキしました。

「お父さんだけでなく、会社のみんなで必死に1年間働いたお店の売上の合計だったらそのマグロは買えるけど、

そうしたら残りのお金は殆どなくなっちゃって、会社のみんなのお給料も払えないよ」と答えました。

息子は「でもすごい!買えるんだ!」と言って喜んでいました。

数年前まで、お年玉は大きい500円玉がお気に入りでしたが、 小学5年生にもなればお札の魅力も解っています。

しかし大人であっても、1億円の実際のイメージは銀行勤務でもなければ分からないのが事実かも知れません。

そんな時、息子も大好きなマグロのお寿司。その魚が一匹、一億五千万円というニュースは、

随分昔あった「三億円強奪」のニュースと同様に、良い意味で社会勉強になるものだと思いました。

そして、今年のフジヰはもっと頑張らないと、年明けマグロの初セリ価格に追い越されてしまうでしょう。


さて今月のオススメワイン。

まずは仏ブルゴーニュ地方の赤から、クリストフ・ブリチェックが造るモレサンドニ村クロ・ソロン畑の赤10年。

香りのトップはスモークで、直ぐにチェリー・シロップ。舌の上でも瑞々しいチェリーの果実味が広がります。

今は魅力的な赤系果実の風味だけでも美味しく飲めちゃいますが、酸味とタンニン、そして上質な樽の風味がたっぷり溶け込んでいます。

でも真の飲み頃はあと7~8年熟成させてからでしょうか。もちろん予算に余裕のある方は、5番同じ造り手の1級畑の方を絶対お奨めします。

お安めの物ではパトリック・ユドロのブルゴーニュ・ピノ・ノワール10年。

この低価格で有機栽培をおこない、十分以上に薄旨系の美味しいワインに仕上げています。

ところで、09年が最高の年と言われていますが、ブルゴーニュに関しては赤、白ともに10年の方が上なのでは、、、と最近思っています。


さて白では、シャンドン・ブリアイユが造るペルナン村の宝とも言える1級畑イル・デ・ヴェルジュレス09年。

果実味とミネラルがたっぷりの骨太な味わいは、化粧無しのすっぴんの旨さがあるような気がしました。

皆さんにも味わっていただき、印象を伺ってみたい気がします。

白のお安めの物ではシャルル・ルノワール社のシャブリ11年。

定価的には2000円はするシャブリですが、まずはこの低価格でありながら薄っぺらくないのです。

そこそこの果実味とこの村特有の石灰質土壌のニュアンスがあるので、当社で高いシャブリを買われている方々が、

全部これに代わったらどうしようと思ったほどです。


ボルドーからはポイヤック村のシャトー・クロワゼ・バージュで約50年前の1964年。

40年を過ぎたコルクの抜栓は、コルクがボロボロになっている事が多く、ちぎれたり、折れたりで緊張します。

でも今回入荷分は、同シャトーで近年コルクの打ち直しがされているので安心して抜栓出来ると思います。

状態の良い50年前のワインが、この価格では普通見つかりません。誕生年じゃなくても買うべきワインでしょう。


お安めの中では、オー・メドック地区マコー村のシャトー・ド・ジロンヴィル08年。オーナーは元銀行家で、ワインに魅せられた方。

特にプティ・ヴェルド種に愛着があるようで、通常1~2%しか使われないこの品種を10%も栽培しブレンドしています。

更に同じ村に所有する上位シャトーのベル・ヴューでは、プティ・ヴェルド種を20%も使っています。

この品種は晩熟で作付け場所を選びますが、完熟するとカベルネ種よりも豊かなタンニンを持つそうです。

ジロンヴィルも豊かな果実味とタンニンで、価格以上の満足感が楽しめます。

更にお買い得なのは、ボルドー・スペリュール規格のシャトー・デュ・ボワ・シャンタン10年。

この価格のボルドーと言えば、多くは未熟な青さがあったり、薄っぺらだったりで、なかなかお薦め出来る物は無いのが実状。

ただ、同じシャトーの09年を販売していて好評でしたので、09年完売後に10年産を1本取り寄せ試飲しました。

多分10年は薄いだろうと思って試飲をしたら、当社スタッフの皆が目を丸くしました。

「10年も美味しいじゃない!」今月の安旨・赤ワイン大賞受賞です。


南仏の赤ではギガル社のジゴンダス村と、サンタ・デュック社のラストー村で、共に07年産。

この年、南仏でまずいワインは出来ようがない天候だったそうです。

それだけに6年を経ても、まだまだダイナマイトのように強くてスパイシーな味わいがたっぷり。

箱で買ってあと数年間でも冷暗所に保管しておけば、同一ワインの熟成度を年ごとに楽しむ事も出来るでしょう。

南仏の白ではファンカリユ社が造るペイ・ドック地区のシャルドネ種11年。

温暖な産地のシャルドネ種を、タンクと樽とで発酵させた後に樽熟成させました。樽のさじ加減が上手で、誰もが「ちょっと上物の白」と思う味わい。

この価格ですから文句無く、今月の安旨・白ワイン大賞受賞です。


イタリアではコリーノが所有するバローロで筆頭の畑ジャッキーニの07年。

現代的な製法を用いたワインは、パーカー94点バローロと思って味わうと拍子抜けするほど柔らかくて今から美味しいです。

強烈なタンニンの伝統的タイプの物を20年熟成させてから飲むのもいいでしょうが、

コリーノのバローロは収穫後6年ほどでうっとりさせるだけの魅力を十分持っています。

もう1点トスカーナ州バロンチーニ社が造るサン・コロンバーノ・キャンティ・リセルヴァ09年。この価格で樽熟成24ヶ月はたいしたもんです。

私は安くても熟成したワインが好きなので、この価格でこの味わいだと二重丸を付けてしまいます。


今月、イタリアの一押しは、トスカーナ州の名門フレスコバルディ社の輸入業者が変更になるため、元の業者が在庫処分で4割近く安くなって入荷しました。

カステル・ジョコンドのロッソ・ディ・モンタルチーノ10年と、トレント地区のスパークリングワイン・ブリュット(泡・辛口)です。

赤は濃度勝負ではなく、上品で生まれも育ちも毛並みの良さを感じさせるタイプ。

一方、泡の方は凝縮した果実味ときめ細かな泡で、魅力的な表情を惜しみなく振りまいています。

共に、4割安の今がチャンスですので、お見逃しなく!


白ではサルディーニャ島のムラがヴェルメンティーノ種で造る11年産。

日焼けした石を思わせる香りと、白桃や梨の香り。味わいは凝縮した果実味がパインの様です。

同じムラの赤は、逆に北国の赤の様なチャーミングなタイプ。そして赤、白共に醸造は若い女性が行っているそうです。

南でも澄んだ印象があり、清掃や収穫後の選別などを厳格に行っている証なのでしょう。

藤井 敏彦

 

2013年 1月

11年夏に出版された鹿取みゆき著「日本ワインガイド」のその膨大な情報量と正確さに驚きました。

さらに読んでいくと、文章全体から日本の葡萄から造った日本ワインと、生産者さんに対する作者の熱い思いが伝わってきます。

仕事柄、ワイン関係の本は多数読んでいますが、今までに類を見ないガイドブックに、私は感動し昨年は毎日のように多くのお客様にこの本をご紹介していました。
その著者、鹿取さんが12月の中旬に北斗市のワイン生産者・佐々木夫妻と共に当店にお越しになりました。

初めてお会いした鹿取さんは、気さくで、飾らず、すぅーと溶け込む自然派ワインの様な方。

当社の北道道産ワインのコーナーを見て、増毛(マシケ)のポワール(洋梨のスパークリングワイン)を手に取り「これが飲みたかった!」とすかさずチョイス。

更に店内をおもちゃ売り場に放たれた子供のように(失礼)見て回り、九州産のネオ・ジンジャエールと、英国製のキニーネ入りトニックウォーター「フィーバー・ツリー」を見つけ、バーカウンターで試飲されました。

この本の取材で回ったワイナリーは、全国で多分100軒以上でしょう。

今では、国内のワイン生産者でこの本を知らない人はいないと思いますが、出版前は初対面に近い形で現地に伺い、原料葡萄の入手先等のデリケートな問題をどうやって調べ上げたのかが不思議でした。

本の最後にある作者のプロフィールには、「東京大学教育学部卒業のフード&ワインジャーナリスト」と書かれています。

自分の通信簿には苦い思い出しかなく、回りに東大出の方はいなかったので、私は勝手に鹿取さんを高級官僚の様な方と思っていました。

でも、お会いして話をしていると、二人の男の子さんを育てながら、仕事をされている気さくなお母さんと言った感じです。

そして何か興味があると素直に質問されます。無垢な心を持った方からの質問は、答える側も誠実にお答えしたいと思ってしまうのでしょう。

鹿取さんの人柄によって引き出された回答が、たくさんの正確な情報となりこの本になったのだと思いました。


さて今月のオススメワイン。

まずはアレック・ガンバル氏が造ったブルゴーニュ規格の白10年は、村名規格のワインをブレンドした為に村名は名乗れませんが、

品質は村名規格に近いもので、ちょうど中田さんが造るルー・デュモンと近いスタンスを持つと思います。定価は3000円ですからこの価格はかなりお得です。

赤はカレのボージョレで、蔵元で10年以上忘れられていた01年産。ギャンブラー気質を持つ私ですら、発注には勇気が必要でした。

グラスに注いだオレンジ色の色調を見た時はもうダメかなぁと思いましたが、キノコや油粘土といった熟成したピノ・ノワール種の香りが広がり、

味わいには意外な程枯れた感じが少なく、もう少しはこのピークの味わいを保っていられそうな気がしました。

古酒でこの価格はあり得ませんから、古酒入門ワインとしても最適かと思います。私個人としては、これが今月1番のお気に入りです。


ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ベル・ヴュー06年。近年評判のシャトーらしく、凝縮した果実味とタンニンがたっぷり。

飲まれる1時間ほど前に抜栓されるか、もう1~2年ほど熟成させると、香りも開き始めることでしょう。

南仏からはアティチュードがコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの葡萄で造るグランド・オディアンス08年。

グルナッシュ種やシラー種からのスパイス感と、熟成香が上手く調和し始めたこの味わいでこの価格は驚きです。今月1番の安旨ワインでしょう。


そこそこの価格にはなりますが、さすがに別格だなぁと思わせたのがアルザス地方のトップ、ツィント・フンブレヒトが

ヴィンツェンハイム村のゲヴュルツトラミネール種で造る白08年と、ロワール地方サンセール村のアルフォンス・メロのサンセール村で10年産。

飲んだ印象からはアルザスが6000円、サンセールが3000円はするでしょう。共に収量を下げて得られた、凝縮感と華やかな香りが楽しめます。

シュド・ウエスト地方からはプレモンがVDQS規格サン・モン地区で造った99年産。

馴染みがないタナ種主体でカベルネ種の上品さはありませんが、力強く骨太な味わいが楽しめます。

安くてフルボディタイプがお好みの方には、ぜひお薦めします。


私の近年の好みはドイツ。モーゼル地方ボリッヒがトリッテンハイム村アポテーケ(薬局の意)畑のアウスレーゼ規格で造った何と93年産の白。

一部にコルク片が浮いている為に、半額になって入荷しました。20年近く熟成した伝統的甘口ドイツワインをこんな価格で楽しめるとは信じられません。

一方、同じドイツでもケスター・ヴォルフが造るクラシックは現代的な辛口スタイルの白。

温暖なラインヘッセン地区が得意とするシルヴァーナ種は、ふくよかな桃の果実味と穏やかな酸味をミネラル感が包み込みます。

同じドイツでも味わいのスタイルが新、旧と違いますが、共に完成度は高いお薦め品です。


食品では地元、北海道・増毛町農産加工組合が作る洋梨果汁。

果汁100%でも、濃縮還元ではなくストレート果汁は違います。瓶の底には1センチ以上沈殿物がございますが、これこそが旨みの元なのでしょう。

飲む際は瓶を振って旨みの元を混ぜてから、グラスにお注ぎください。生の果実を頬張ったような風味が口中で広がります。

フランスからはボベッティ社のショコラ各種。特にピンクペッパー・ショコラは、甘さとコショウ辛さが舌の上で対立しながら溶け合います。

マスタードやローズマリーも同様の大人のためのショコラです。

コーヒーもいいですが、ブランディと共にいただくと、おやすみ前の一時が恋しくなるでしょう。               藤井 敏彦

 


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