2月は葡萄畑が雪の中なので、この時期に各ワイナリーさんは普段は出来ない営業活動を行います。
この月札幌では、北海道ワイナリー協会主催のワイン会「北を拓く道産ワインの夕べ」が旧ロイトンホテルで開催され、京王プラザホテル札幌ではワインライターの鹿取みゆきさんと、道内の自然派系ワイナリーとナチュラルチーズの生産者が30軒近く参加されるワイン会「ワインヘリテージ」が開催されました。翌週は余市町のワイン生産者が主催で、余市中央公民館で行う「ワインを楽しむ会」。仁木町でもワイン生産者が主催し、仁木町民センターで行う「仮面舞踏会」と、大きなイベントが4回あり、私とスタッフの三浦で、今年は3件に参加しました。
各イベントでは、多くのワイナリーが今年の春以降発売予定のワイン等を出しているので、私も真剣にメモを取りながら試飲します。特に2023年は暑かったので果実味が豊かですが、収穫後も暑さが続いた為に野生酵母で発酵させている所は微生物管理が難しく、揮発性の香りが出やすい環境でした。しかし多くのワイナリーは難しい環境下でも、澄んだ果実味を目指して良質なワインに仕上げていました。さて、余市のイベントは17時開始で、終了後にJRで札幌駅に着いたのは22時近く。ワインを沢山試飲した後、体はお出汁のきいた汁を欲して、二人で駅から歩いて札幌の「みよしの餃子」が運営する蕎麦屋「信州庵・札幌JR病院前店」に入りました。お蕎麦の前におつまみでも頂こうかと、メニューを見ていたらドイツのワインが3種もあり、その中にシュペートブルグンダー(ドイツ語でピノ・ノワール種)1980円を見つけ頼まずにはいられませんでした。小売りでもシュペートブルグンダーは2000円以上はするので、ハーフサイズが来ると思ったらお店の方が750mlの瓶とコルク抜きを持ってテーブルに置いて行きました。この値段だから、自分で抜いてくださいとのことなのでしょう。
ラベルを見ると収穫年は2012年だったので、この低価格で13年前だと果実味が枯れ始めているかなぁと思いながらコルクを抜き、グラスに注ぐと熟成していますがまだ果実味も楽しめました。ただ、赤ワインも冷蔵庫保管らしく冷え冷えの状態、グラスを手で温めても木樽由来のキノコやバニラ系の熟成香は無かったので、木樽を使わずにタンクで発酵、熟成させたワインだと思います。枝豆、さつま揚げ、天ぷら、他を食べながら熟成した赤をこんな値段で飲めるなんて信じられません!最後に二人でカレー蕎麦とかき揚げ蕎麦をいただき、会計は5360円。ワインは他にリースリング種とピノ・グリ種が同価格でありました。多分、白も良い熟成をして美味しいのではと思います。
信州庵のオーナーさんは蕎麦屋さんでもワインが美味しく飲めるお店を目指したのでしょう。基本的にはチェーン店の飲食店ですから、手打ちの十割蕎麦等の個性的な方向性ではなく、安価で多くの方が望む蕎麦を広くて明るい店内でゆったりと楽しめるお店です。でもワイン好きの方が駅近辺でもう少し飲みたい時には、750ml1本が2000円以下ですから、穴場の一つだと思います。そして結局、この日も80種程の試飲をして、更にまたワインを飲んでしまい、寝る前に少し反省した一日でした。