2004年 11月

 秋は収穫の季節です。10月には当社で応援している山崎ワイナリーの収穫もあり、私はお手伝いに三笠へ行って来ました。そして10月はもう一軒、浦臼町鶴沼にある北海道ワインの農場にも行き農場長の今村さんにお話しを伺うことが出来ました。
 畑の広さは山崎ワイナリーが4ヘクタール、鶴沼はなんと400ヘクタール以上もあるそうです。これほど規模が違うのに、不思議ですが今村さんと山﨑さんはある意味とても似ているのです。
 それは、「自分の畑で取れた美味しい葡萄からのワインを味わって欲しい」という気持ちに規模は関係ないからでしょう。山﨑さんが何千本もある葡萄の木でもその1本1本に愛着があるように、今村さんは数え切れない量の苗木の中に居ながら、それぞれの区画で1本1本の木に対して愛情を注いでいるのがわかるのです。
 ワインのテースティングではありませんが私が畑の葡萄をつまみ、その風味をコメントするとお二人共とても嬉しそうな表情になります。でも今年の台風によるダメージや、夏が異常なほど暑かった為に果実の酸の減りが早く収穫時期の決定が難しいといった話になると、これまたお二人は同様に暗い表情をされるのです。
 現実的には、山﨑さんは家族経営の手造り感をアピールし、今村さんはその規模を生かして毎日の食卓で楽しめる安価で良質なワインを北海道で造りたいと考えています。
 私が大好きなフランス・ブルゴーニュ地方は小さくても個性豊かな家族経営のドメーヌ(栽培兼醸造者)と、ルイ・ジャド社やジョセフ・ドルーアン社のように大手で、買い入れた葡萄からでも良質なワインを造っているネゴシアン(ワイン商)が共存しています。北海道でもさらに良質なワインが各地で造られ、ドメーヌとネゴシアンが共存出来る日は遠くないように思えました。