2005年 10月

 私の愛車となって1年が過ぎた90年式ルノー・キャトル。この運転席のシートの下にはスニーカーが転がっていますが、この靴の使い道を知る人は多分いないでしょう。
 低血圧の女性の様に目覚めが悪いこの車。特に冬は外と同様の寒い車内で、エンジンを掛けた後もアクセルペダルに足を乗せた状態で10分以上暖めてやらないとエンジンが止まってしまいます。その辛さから思いついたのが、古いスニーカーに重りを入れ、アクセルを軽く踏んだ状態にする方法です。
 さらに古い車ですから運転をしていると、いろいろな部品が外れたり壊れます。ここで私が困った顔でもしようものなら、妻は「普通の車に換えましょう」と責めるため、冷や汗をかきながらもクールな顔が出来るようになりました。
 このような立場の弱い私にとって、8月にフランスからシモンビーズ一家が来てキャトルを褒めてくれた時は感激でした。ビーズ家の車は奥さんがメルセデスで、旦那さんは私と同じルノー社のカングー(後ろの荷台の天井が高く荷物が沢山積める車)だそうです。聞くとワイン農家では、お客様のお 迎え等があるので奥様は豪華なサルーンに乗り、旦那さんは畑作業があるので荷台のある車、という組み合わせが多いそうです。リアカーにエンジンとトタン屋根を付けた様な簡素な外観と、アクセルを床まで踏んでも110キロしか出ない性能ですが、フランスかぶれの私にとってキャトルは手の掛かるペットの様に可愛い存在です。