2005年 11月

 今月はワインのお話しです。
 フジヰでは毎週、産地別に20種前後のワインを試飲しています。中でも10月末に行ったフランス・ブルゴーニュ地方産白ワインは興味深い味わいの物が多く、印象に残りました。
 まずは、ブルゴーニュで最高の作り手といわれるルロワが、自社畑でビオディナミ(無農薬有機農法)のアリゴテ種から造ったワインです。この地方ではシャルドネ種が上等で、アリゴテ種は下位の品種と見なされています。そんなことはお構いなしに意地で造ったようなこのワインは、凝縮が強烈すぎて液体ではなくゲル状の物を口に含んだような濃さです。試飲の印象も抜栓翌日の方が風味が広がっていたので、白ですが飲まれる際はボルドー産の赤ワインと同様にデキャンタに移し替えた方が風味が開いてくれると思いました。
 次はシャルドネ種からのワイン。ワイン好きにとってシャルドネは樽とセットで語られます。ですから新樽の比率と樽熟期間、樽も何処産の材木を使うか、どの程度木の内側を焦がすか、といったことが一番の関心事です。シモンビーズ家でも当然シャルドネ種は木樽で熟成をさせていますが、04年産ブルゴーニュ・シャルドネは自然派ワインを意識して葡萄本来の味わいを追求し、タンクで発酵、熟成を行った新しいスタイルの白です。
 テースティング時の香りは果実の風味よりもヘチマや石灰などを感じました。味わいは素っ気ないほどするっと飲めちゃいますが、余韻にきめ細かな酸味とミネラル感がすーっと伸びてきます。再度口に含むとキュウリや野菜の風味を感じますが嫌な青さが無く、余韻の澄んだ印象はアルザス地方のリースリング種をイメージさせる、まか不思議なシャルドネワインでした。
 ルロワの「これでもか!」というアリゴテと、シモンビーズの化粧をせずにすっぴんで勝負するシャルドネ。ワインは赤というイメージが強いですが、私のマイブームは最近白ワインです。