7月末に愛車ルノー・キャトルで函館へ家族旅行に行って来ました。
初めての長距離なので家内はレンタカーを薦めましたが、私は聞く耳を持たずに出発。すると札幌を出て間もなく、エンジンの方から時々「シュー」と音が出始めました。古い車に乗っていると異音には敏感になります。この音に家内も気付いた模様ですが、私は内心不安になりながらも口では「大丈夫」と言って走り続けました。
昼前にはシルクハットのベルボーイさんが出迎える洞爺湖ウインザーホテルに到着。有名なレストランへは入らずベーカリーでパンを買い、山を下ってレイクヒル牧場の搾りたて牛乳とともに芝生の上でランチです。この頃になると、エンジンは時々ではなく常時「ブー」と鳴り続けるようになりました。
車内のいつ止まるかという緊張感に、無邪気な息子も気付き「ママどうしたの?」を連発する中、車は高速で長万部まで走り、更に音が大きくなって来たので料金所の方に近くの修理工場を教えてもらいました。
「長万部モータース」の年輩のメカニックさんは、初めて見るキャトルのエンジンをじっと見た後、15センチほどのゴムホースを取り出しました。ブローバイガスのゴムホースが劣化をしてボロボロになり、ガスが漏れていたそうです。工場にあった国産メーカーのホースを代用して繋ぎ、作業は無事完了しました。
今回の行程は妻がガイドブック等で決めた、八雲の銀婚湯温泉、函館のペンション古和(こわ)、白老の民宿500マイルの3泊。3軒は規模も、料金も、雰囲気も全然違いましたが、3軒の女将さんの笑顔が今も同様に思い出す程に皆良い宿でした。
銀婚湯は広い敷地内を川が流れ、お風呂の鍵と共に渡される蚊取り線香を手に持ち、吊り橋を渡って行く露天の家族風呂の気持ち良さは別世界です。
ペンション古和では女将さんが自ら釣った魚料理と、まだ足が動いているイカのお刺身が絶品でした。
玄関に貼られた料金表に「道路工事の方は朝夕の二食にお弁当付き、7日以上は割引あり」と書かれている民宿500マイル。ここでおやつ代わりに出される毛カニも美味ですが、私は前菜のフキとタケノコの田舎風(失礼)が気に入りました。
最終日札幌に着き、掛かり付けの工場「ルノー札幌」に電話をしてゴムホースの件を伝えたところ、「実はルノー純正品のホースより日本のメーカーの方が頑丈なので、モレがなければそのままで結構です」と言われました。それを聞いた妻は「次の車検は長万部で取ったら?」と真顔で言っています。
最後に今月のお勧め。今月はハードリカー(度数の強いお酒)で、素晴らしい物が多数入荷しました。
まずはコンビエ社のホワイト・キュラソー。キュラソーと言えば銘酒コアントローですが、そのコアントローが可哀想になるほど、コンビエ社の物は上質で柑橘の皮の風味が口の中で広がります。
それと驚いたのがダニエル・ブージュ社のコニャック「ロワイヤル」。アルコール60%の強烈な味わいの後、余韻に残る風味はまさしくグランド・シャンパーニュ地区のエレガントさ。理性を持って飲まないと、ムチで打たれた後に優しくされた様な味わいの変化に、飲み手は皆このブランディの虜になってしまいます。
一方ワインはシャブリ村のブロカール氏が造るブルゴーニュ・ブランのキンメリジャン05年。元々この地域は海の底だった為に、地面が白く見える程貝殻が混じるキンメリジャン土壌。葡萄の根が吸い上げたそのミネラル分と、北国のシャルドネ種特有のリンゴ酸が果実の中で出会い、ワインとなって舌の上ではじける様をぜひ味わってみて下さい。