2006年 11月

晴天に恵まれた10月4日、私は三笠の山崎ワイナリーに収穫の手伝いに行って来ました。
この日私達家族は9時過ぎに到着しましたが、既に畑では近所の農家の方、研修に来ていた北大農学部の学生さん、そして山崎ワイナリー愛好家の方など10名以上が収穫をしていました。

早速作業に取りかかると、暑かった夏のおかげで葡萄はたわわに実り、生い茂る葉の中で房はきらきらと輝いています。普段売られている葡萄と違い、ワイン用の葡萄はずっと小ぶりで一房が10センチ強、粒も小さくて約1センチほどです。

今年は雨が少なかったので1房の中に腐敗した粒は少なく、多くの房はそのまま収穫かごに入れていきます。この一房の大部分は熟して甘いのですが、中には酸っぱい粒やはじき忘れた腐敗果(カビが付いて干し葡萄状になった粒)も少量混じってしまいます。仏ブルゴーニュ地方のシモン・ビーズ家では、黒葡萄は腐敗した粒を徹底して外し、白葡萄は複雑味を得る為に貴腐葡萄状の粒も少量残して仕込みを行うと言っていました。

広い畑から収穫された膨大な数の葡萄。その一つ一つの粒がモザイクのように合わさって1本のワインが造られる事を思うと、手に取った葡萄の選別作業も気が抜けません。こうして葡萄の木が約100メートル続く畝(うね)を家内と共同で2列終えた3時過ぎ、うちの家族は早上がりさせてもらいました。(この日の収穫は夕方5時頃まで続いたそうです)

私にとって週一回の休日、残された時間は家族サービスに向けられます。急いで札幌に帰り、向かう先は妻と約束した近代美術館の「パウル・クレー展」。4時に会場に着き、閉館まであと1時間、収穫で疲れた息子は「ダッコ!ダッコ!」と「もう帰る」を連発します。当然私が子供をあやして、妻にはゆっくりと作品を見てもらいました。

こうして5時に美術館を出て、近くの喫茶店でお茶を飲み、スーパーへ直行。タイムサービスで安くなったお寿司と、お総菜を買って家に帰り、お風呂に入ってご飯を食べて布団にはいると私はバタンキュー。チョット忙しかったけど収穫と芸術の秋を堪能した有意義な1日でした。

さて、お薦めワイン。今月はブルゴーニュワインが多数入荷しました。ただ、仕入れたワインが国内在庫でなく現地から届いた時は、約1ヶ月休ませてから味をみる為に大部分はまだ未試飲です。
試飲した中では  番のジャン・イヴ・ドゥヴヴェイ氏のサヴィニがとても良かったです。ピノにとって暑すぎた03年は難しい年ですが、このワインは濃度と樽香が濃すぎずアルコール辛さも目立ちません。飲んだ印象は02年の果実味と03年の凝縮感を合わせたような感じがしました。ピノ好きでしたら、定価6,000円の1級畑がこの特別価格ですから絶対にオススメです。

もう一本は  番02年産フェヴレ社の自社畑ボージョレです。4年の熟成を経てボージョレ特有のジャムっぽさが消え、ガメ種なのにピノを思わせるチェリーの果実味とタンニンが感じられます。ブラインドで出されたら、私は01年か02年のブルゴーニュ・ルージュと答えるでしょう。もうすぐ入荷する今年のヌーヴォーと一緒に飲むのも楽しいと思いますよ。