06年の大晦日も私は札幌時計台の前で、シャンパーニュを飲みながら年越しでした。年末の新聞にこの年越しの事が記事として載り、時計台界隈で永年働かれていたという年配の女性が記事を見たといって参加してくれました。時計台という共通点で、見知らぬ同士が集まり乾杯をしてまた去っていく。この不思議な出会いと寒さを耐え忍んでの語らいで、12時の鐘の音を聞く頃には参加者の中に心地良い連帯感が生まれます。
今回で26回目となるこの年越しは、私が子供の頃この界隈に暮らしていた事から思い付いた独りよがりの企画。多分、年輩の札幌の方でしたら知っている人もいるかと思いますが、昭和30~40年頃、藤井の本家は北1条西3丁目で果物屋と「パーラーフジイ」というレストランを営んでいました。当時私の家族は住み込みの従業員さんと共にその店の上に住んでいました。その後、店は隣にあった三和銀行の建て替えと共に壊され、新築された大きなビルの一角で本家はフジヰ食料品店を営んできました。
その店が諸事情から06年12月で営業を止めることを聞きました。私の従兄弟に当たる本家の藤井専務は、私のようなお調子者ではなく実直な3代目の経営者です。その本家が考え抜いた末の結論なのでしょう。私も実家が無くなるような気がして少し寂しいですが、今年は従兄弟を時計台に誘ってみようかなと思っています。
この年越しに興味がある方は、二十歳以上でしたら誰でも参加出来ます。暖かい格好をして大晦日の夜11時すぎに時計台の前にいらしてください。参加費は無料、持ち込みはお酒でも食べ物でも大歓迎です。
最後に今月私のオススメワインは南仏産。ミリエールが造るローヌ赤01年が特価になりました。南仏の01年は天候が良く、良質なワインが多く造られました。6年を経て果実味の濃さ強さは落ち着きましたが、アニマルやスパイスを思わせる熟成香が広がり、旨味も感じられてこの価格は大変お得です。
さて、ワインショップフジヰは私と弟の兄弟で営業していますが、藤井兄弟の学校の成績は、ずっと弟が優等生で兄の私は問題児でした。私の周りを見ても兄弟での学校の成績差は同様な例が多いと思いました。そしてワインの世界でも生産者が赤と白を出していると、大抵美味しいのは片方で残りはぼちぼちと言う事が多いのです。
そんな中、コルビエール地区のシャトー・テルサックが造る赤、白は両方共に美味しいのです。天候の良かった03年産もありますが、共にブレンドによる複雑さと4年を経た熟成感があってこれはめっけもんです。一般に南の白はもったりする物が多いのですが、この白は爽やかさもありパリのコンクールでも金賞受賞しています。ぜひ赤と白の両方をお試しください。