毎年のことですが、寒がりの妻は正月を過ぎると子供を連れて1ヶ月程東京の実家に帰省します。
この時期、私は束の間の独身生活。知人から借りた「攻殻機動隊」(ロボットのアニメで内容は刑事アクション物)のDVD30枚程を、休日前夜は明け方近くまで鑑賞。昼に起きて食事と洗濯をし、夕方に新しく菊水に出来たスーパー・アークスへ買い出しに出かけます。
ここで見つけた私のお気に入りは、500円前後で売っている400グラム以上ある牛バラ肉の塊。赤身の肉は柔らかくはありませんが、良く噛んで食べると旨味が広がります。
そして何よりも、大きな塊を一人で食べ終わったときの達成感と豪華な気分はクセになります。ただ、厚さが4センチもある肉を初めて中華鍋で焼いた時は、中まで火が通らず焼いた肉を半分に切って再び焼き直しました。
その雪辱を果たすべく次の休日には、中華鍋で両面を強火で30秒ずつ焼いた後に、家庭用の引き出し式魚焼き器に入れて表裏を5分ずつ焼いてみました。すると今度は上手く火が通り、ナイフを入れると肉の切り口がきれいなロゼ色になっていました。
さらに魚焼き器で焼いている間に、肉を焼いていた中華鍋にぶつ切りのエリンギを1パックと白ワインを少し(油は入れません)入れて弱火で炒めると、肉の風味がたっぷり染み込んだキノコの付け合わせが出来上がります。キノコの味付けは、最後にベル・ジンギスカンのたれを少々入れるだけで、塩、コショウも入れません。
実を言うと、私は焼き鳥や薄く切った焼き肉は、肉の旨味が無くパサパサになるような気がしてあまり好きではありません。
大きな塊の肉を食べていると、美味しいだけではなく小心者の自分が少しは男らしくなった気分になるから不思議です。
しかも、この満足感が立派なオーブンではなく中華鍋と魚焼き器、材料費も肉とキノコで600円程でかなうのです。そう考えると、私のみみっちい性格は当分変わりませんね。
さて、今月のオススメワインは甘口デザートワインです。
まずはコアペが造るジュランソン・モワルー04年。ソーテルヌ村のような新樽と貴腐菌の複雑さの追求ではなく、遅摘みによる過熟した甘味とフレッシュな酸味のハーモニーが楽しいワイン。サツマイモと水飴をあえた後にレモンを搾ったような、濃厚さと爽やかさが弾けるような味わいです。
もう1本のデザートワインは、チリのアナケナ社レイトハーベスト05年。ヴィオニエ種主体の白はドイツのリープフラウミルヒぐらいの低価格ですが、果実味の凝縮感は立派な物。マーマレードジャムと紅茶にレモンスライスを浮かべたような味わいは、冷えた心まで暖めてくれそうです。暖冬とは言え札幌は未だ冬のまっただ中。食事の後に大
切な方とデザートワインはいかがでしょうか。
最後に赤ワインを一つ。35番のジャンテ・パンシオのグラン・オルディネール04年。このガメィ種のワインには驚きました。どんな手練手管を使ったのか分かりませんが、通常イチゴ風味のガメィ種が、獣(けもの)臭、栗、フランボワーズの風味に化けているのです。しかも価格はボージョレの様に安いままで!ピノノワール種は好きだけど、ガメィ種は、、、という方!一度ダマされてみませんか。