2007年 5月

今月は靴のお話。

物持ちの良い私は、数年前まで高校の時買ったリーガルの靴を数足履いていました。長持ちの秘訣は同じ靴を2日続けて履かないことで、その為には数が必要です。

去年は安売りで有名な「ヒラキ」の靴をインターネットで注文しました。ここの人気商品は180円のスニーカーだそうですが、私は580円のかかとのない合皮靴と480円の茶の合皮スニーカーの二足を購入しました。

一緒に480円の合皮スニーカーを買った当社のスタッフは、連続10日目でスニーカーの靴底が剥がれ始め1ヶ月たたずに捨てたそうですが、私のは毎日履かないせいか半年以上経っても大丈夫です。


さて、昨年のオープンからよく買い物をする「スーパー・アークス」菊水店の駐車場の向かいに妻が小さな靴屋さんがあるみたいというので覗いてみると、60歳過ぎのお父さんが1人で金づちを手に靴を造っていました。古くて暗くて狭い(失礼)作業場はまるで童話に出てくる靴屋さんといった感じ。

聞くと私の好きな「プレーントゥ」と呼ばれる形の靴は3万円弱で作ってくれるというのです。その後私は、冬の間で貯めた3万円を持って4月に再び浦製靴店(011-811-3710・日曜休業)に行きました。


まず足の採寸はサイズが変わるので午後2時過ぎに来るように言われます。用意された厚紙の上に立たされ、ボールペンで紙に足形をなぞり、メジャーで採寸した数値を横に書き込みます。この大切な型紙は何とカレンダーの裏紙でした。ただ、どんな紙を使っても採寸は厳格で、私の足は甲高なのと親指の爪が出ているので靴の内側に余裕が必要と言われました。

採寸しながらお父さんは、アジアからの安い靴が輸入される前はこの狭い作業場に7人の職人さんが居て毎日たくさんの靴を作っていたとか、息子と娘にはこの仕事をさせたくないので、東京の大学に行かせて向こうで働いているとか、いろいろ話をしてくれました。

その3週間後に完成の電話が来ました。新しい靴はまだ数回しか履いていませんが、とても軽いのと足にピッタリのせいか少し小さく見えます。そして、よく見ると靴のつま先で親指の爪のあたりがほんの少し膨らんでいます。浦さんは1週間ほどは短時間だけ履くようにして、少しずつ自分の足に馴染ませると自分にピッタリの靴になると言っていました。

480円から3万弱の靴を交互に履いている私。ふと考えると、私はワインも600円から数万円まで試飲をしています。この雑食性というか、脈絡の無さがワインショップフジヰの特色なのでしょうか。

さて、温かくなった今月のオススメは白ワイン。
まずは山崎ワイナリーです。安定した品質で知られる白の中でもケルナー種06年は、例年よりミネラル感と凝縮感が豊かで熟成後の姿も見てみたいと思わせる力を持っています。

熟成した白ではジャン・ポール・トルシュテのオート・コート・ド・ニュイ 02年が、果実味と熟成感のバランスが良かったです。

もう一つはカリフォルニアのフランシスカン社シャルドネ01年。定価5,500円が1/3近い価格ですから美味しいのは当たり前ですが、ヴァニラとパインの風味がグラスから溢れるように出て来ます。ちなみに、ここの赤マグニフィカ(定価6,000円)も、先月に半値以下で入荷してますので合わせていかがでしょうか。

最後はイタリア、ガロフォリ社のヴェルディッキオ種の白3種。私のお気に入りはポディウム04年でしたが、同じ葡萄で収穫時期の違う3本を一度に味わっていただくと、微妙な味の違いが楽しく体感できるでしょう。