お待たせしてすみません。今回のリストも9月~10月合弁号となってしまいました。
さて今年の夏、我が家は初のアウトドアに挑戦しました。
テントも何も持っていない私たちですが、妻が雑誌「クウネル」で南富良野のネイチャーガイド、リトルトリーの大野さん一家の記事を読んだ事がこの計画の始まりでした。妻はこの記事にあった木登りとカヌーを希望し、後は移動も用具も全てお任せの、贅沢なプライベート・キャンプツアーです。
午前中はトマムリゾートの森で木登り体験をして、昼食後に然別湖(シカリベツコ)のキャンプ場に向かいます。駐車場からリヤカーを使って、テント2家族分、台所と食卓用の大きなテント、あとは食料と寝具を運びます。5人が2食食べて、寝るだけでリヤカー6回往復分もの荷物がありました。
午後に少しカヌーに乗り、夕食の準備です。大野さんがダッチオーブンという鉄鍋でローストポークを作り、奥さんはサラダやデザートを担当。だんだんと暗くなってくると、たき火の明るさと暖かさが何よりも心を和ませます。大きな火を見たことのない息子は大騒ぎで、率先して燃やす枝を捜してはずっと火の番をしていました。真っ暗な森の中で食べた野外料理のフルコースと、食後に枝に刺したマシュマロをたき火であぶった、焼きマシュマロの美味しさは忘れられません。
翌朝5時、霧が晴れ、湖面の風が止み、水面が鏡のようになった湖にカヌーを出します。水が澄み湖底がハッキリと見えるこの広い湖にカヌーがたった二艘。パドルを置き、カヌーの中で仰向けになり空を見ていると、浮かんでいる僕らを森の主が見守っているような気がしてきます。
陸に戻ると朝食です。奥さんはパン生地をお手玉大に丸めて10個程ダッチオーブンに入れて蓋をします。凹んだ蓋の上にも火のついた炭をのせて、上と下からの熱で焼き上げたパンは表面がカリッと香ばしく中はもちもちで、バターも何も付けずにそのままで味わいたい美味しさでした。
優しさと厳しさを合わせ持つガイドの大野さんに頼もしさを感じたのか、息子はずっと後を付いてお手伝いをしています。然別湖が今も豊かな自然を保っているのは、この森を守っている大野さんのようなネイチャーガイドさん達のおかげなのでしょう。
夕方札幌に戻り、翌日は妻の希望で札幌駅北側にあるアウトドア用品の専門店「○岳荘」へ直行です。店には昨日使ったほとんど全ての物が、高い値札と共に至る所に並んでいました。本命のダッチオーブンはさすがに高く、15,000~20,000円で私はすぐに却下。
お金を貯めてから再びここに来ようと妻を諦めさせました。そして別の買い物でホームセンターのに寄ったところ、中国製ではありますがダッチオーブンと鉄蓋用の棒、専用火床、耐熱革手袋、クッキングブックの一式がなんと4,980円で売っていました。5千円で家族の平和が買えるのなら、私も男気を見せます。こうして今年の夏、妻はダッチオーブンでベーコン作りに熱中しています。
さて、今月のおすすめワインは、飲み頃の赤で良い物が多かったです。
ボルドー地方からは「シャトー・プジョー 96年」と「シャトー・ベレール 01年」。2種のワインのランクは違いますが、共にカベルネ種が熟成した風味が楽しめます。しかも値上がりが激しいボルドーで、熟成ワインがこの価格はかなりお買い得と言えるでしょう。
ブルゴーニュ地方からは「フィリップ・ルクレールのジュヴレ・シャンベルタン村プラティエール 03年」と「マイヤールのショレ・レ・ボーヌ村 01年」。
樽香が強いルクレールですが、暑かった03年は果実味が例年より濃い為に樽がうまく調和しています。
一方マイヤールは6年を経てピノノワール種が熟成し、妖しい魅力が開き始めてきました。大きめのワイングラスで味わっていただくと、葡萄からどうしてこんな複雑で官能的な風味が生まれるのかと驚く事でしょう。
そして最後は私事ですが自分の生まれた59年産のワインです。ポートワインと同様の製法で造られたこの甘口の赤ワイン。さすがに果実味は枯れ始めてはいますが、私の体だって48歳でガタが来始めているのですから仕方がありません。50年近く経ったワインがこの価格ですから、この年生まれでなくても、飲んでみる価値は十分あると思いますよ。