2012年 4月

(先月号からの続き)

さて、私の愛車1990年製のルノー・キャトルは壊れ、修理費用は50万。しかし、これまでの度重なる修理のお陰で私の貯金は無く、家内の預金を切り崩すしか資金はありませんでした。この事は車種の決定権は私には無いことを意味します。

家内の希望は、第一に国産、次はオートマ、四駆、そして(床に穴が無く)ヒーターが効いて暖かい車です。

そして家内は情報収集の為に、生まれて初めて自動車雑誌を買って来ました。昼食後は毎日インターネットで車を探し、休日はリアサスが曲がったキャトルを私がいたわりながら運転して中古車屋さん巡りです。

こうして私が気づいたのは、家内は車種よりも車体の色にこだわりがあるようで、グレーは絶対イヤ、マットで鮮やかな色がいいようです。

また立体駐車場の天井高が低い為、セダンタイプしか選べません。するときれいなブルーで7年落ちのニッサン・ノートのオートマ、四駆が68万で見つかりました。

予算は50万でしたが、家内はこの色が気に入ったようで購入を決定。私はこの車が2005年製で、前のルノーが90年と、共にフランスワインの当たり年だからいいんじゃないと思った程度(笑)。

こうしてノートが我が家にやって来ました。キャトルは乗る時も降りる時も5枚あるドアを1つずつ鍵穴にキーを差して開閉しましたが、ノートはリモコンで全てのドアロックが開閉できます。

また、キャトルのエンジン始動は夏でもチョークを引き、冬は悪戦苦闘してエンジンを掛けていましたが、ノートはリモコンのボタンを押すだけでエンジンまでも掛かるのです。

運転もオートマなので、私は何もせずに、ただアクセルに足を載せているだけ。

帰宅後、駐車場に車を入れ、心の中で「ご苦労さん」と言ってリモコンでドアロックをすると、ロック確認の為にウインカーランプが一瞬光ります。このウインクが私には「いいえ、どういたしまして」と言われたように感じる程、ノートは従順でしっかりとした娘さんに思えてきました。

僕にとってキャトルは自由奔放で魅力的でしたが、7年間僕を困らせてもくれたフランス女性といった感じでした。

一方新しい生活が始まったノートは、現代的であっても不平を言わずに働く日本人女性でしょうか。これから僕の気持ちに変化(浮気心)が起こりましたら、また皆さんにお伝えさせていただきます。

そして今月のオススメワイン。

今ブルゴーニュで狙い目は、天候が良く完熟感が楽しめる09年産か、少し熟成感が楽しめてお値打ち品が見つかる07年産でしょう。

09年産はクリストフ・ブリチェックが造る地元モレ・サン・ドニ村のワイン。凝縮感のある果実味と良質な木樽の風味は、どなたが飲まれてもウットリする味わいでしょう。

一方の07年産のお薦めは、豊かな味わいで定評のあるJ・コンフュロン・コトティドのニュイ・サン・ジョルジュ村。

ふくよかな果実味とタンニンとが調和し始めたこの味わいを、辛口評価で知られる仏ベタンヌ&デソーヴ氏は20点法で17点評価しています。この定価7500円のワインが約4割も安くなって入荷しました。
同じ造り手で、特級畑エシェゾーとヴォーヌ・ロマネ村の1級畑スショの07年も狙い目ですよ。

白ではピュリニー村で知られるジャン・マルク・ボワイヨの大変珍しいブルゴーニュ・ブラン10年。村名付きクラスの果実味とミネラル感は、かなり良い区画の葡萄を使っていること間違いなしと思いました。

同じシャルドネでも樽の風味がお好きな方には、マルク・モレのサン・トーバン村1級シャルモワ畑09年。甘さを感じる09年産白が多い中、完熟感と酸味とが共存し全体をヴァニラの風味が包み込んでいます。

ボルドーではマルゴー村のシュヴァリエ・ド・ラスコンブ05年と、オー・メドック地区のシャトー・ラネッサン03年。共に作柄の良かった05年と03年らしく、ふくよかな果実味と完熟感のあるタンニンが調和をし始めています。

南仏ではコスティエール・ド・ニーム地区、シャトー・ボーボワのコンフィデンスで熟成した06年と、ラングドック地区モントペイルー村のドピヤックの赤10年の2点がお買い得です。

イタリアからはトスカーナ州のエリザベッタが造るアウロ・ロッソ08年。サンジョベーゼ種に25%ブレンドされたシラー種が、味わいにコクと複雑さを与えています。また収穫から4年を経て熟成感も出てきました。