今月は家族揃っての休日の過ごし方。
この日我が家のメニューはジンギスカンに決定していたので、お肉は二条市場横の片岡精肉店で生ラムを購入し、その後スーパーへ野菜を買いに出かけました。
ジンギスカンと言えば普通はモヤシですが、鍋の縁で焦がしてしまい結局食べられない事が多いと思いませんか。その歩留まりの悪さから、わが家ではキャベツを大きめに手でちぎって、モヤシの代わりに大量に入れています。
あとはキノコ、タマネギ、軽く茹でたジャガイモとニンジンあたりでしょうか。これらの野菜を買い物カゴに入れて、後は明日のお弁当用のおかずは何にしようかと家内が売り場を回っている時、私は酒売り場を物色。
会計後に買い物カゴの中に見えたのはうなぎの蒲焼き。新聞等で今年のうなぎはとても高いと書いてあったので、気張って買ったんだなぁと勝手に思っていました。
久しぶりのジンギスカンで沢山食べた翌朝、食卓にはお弁当の残りと思われる小さくて貧相なうなぎが二切れ並んでいました。私が今年のうなぎは高いだけではなく、こんなに貧相なのか?と聞くと、家内は大爆笑。
実は家内が昨日買ったのはうなぎではなく、「うなぎ屋さんが作った特製サンマ!」だったのです。息子はレンジで温め湯気の出たサンマを頬張りながら、これは絶対うなぎの味だ!と力説していました。
今年はうなぎの稚魚があまりに高騰し、うなぎに絡む様々な業種の苦労をたった一行で表現した、「うなぎ屋さんが作った特製サンマ!」を考えたコピーライターをまずは誉めてあげたい。
そして実際に息子を騙すほどの味わいにした加工所も頑張って作り、それを私たち庶民が購入することで経済が活性化する。
このようにうなぎが高騰していると庶民は我慢をして買わない。その硬く閉じた財布を何とか開かせようと、うなぎ屋さんやスーパーの総菜売り場の方々が知恵を絞る。
これこそが自由経済の美点だと思いました。
さて今月のオススメワイン。
今月は特にブルゴーニュ地方で良質な物が数多く入荷しました。まずは白から、アントワーヌ・ジョバールのブルゴーニュ・ブラン08年とフィリップ・コランのモンタニー村スー・レ・フィユ08年。
ブルゴーニュ好きはもう気づいていると思いますが、誰もが認める09年産は実は赤の年で、白にとっては暑すぎた様で酸味が乏しいワインが多く生まれました。そこで私がお薦めするのは08年産です。
ムルソー村に暮らすジョバール氏が造るブルゴーニュ規格の白は、ふくよかな果実味とヴァニラが合わさったまさしくムルソー村の味わい。
一方フィリップ・コランのモンタニー村の白は、カスタードクリームを思わせる上質な樽香と南らしい凝縮した果実味がたっぷり。グラマラスなフィリップ氏と、少し引き締まったアントワーヌ氏、共に甲乙付けがたい出来です。
またブルゴーニュの赤では、ヴォルネ村でビオ・ディナミ(有機栽培)を実践するミッシェル・ラファルジュのブルゴーニュ規格08年と、ニュダンが本拠地ラドワ村の葡萄で造る赤08年産の2種。
ラファルジュは干した果実の風味にタンニンと熟成旨味が合わさった伝統的ピノ・ノワールの味筋。 ニュダンはボーヌ地区らしい柔らかな果実味とラドワ村の土壌を思わせるミネラル感が上手く調和しています。
ボルドーからは、シャトー・ラグランジュが造る白10年と、赤はペサック・レオニャン村のシャトー・ル・ティル・コント・クラリ08年の2種。
ブルゴーニュの白が高騰している中で、狙い目はグラーブ地区ではなくメドック地区の有名シャトーが造る白。そして赤は、逆にメドック地区ではなくグラーブ地区の赤に掘り出し物が見つかります。今回の2本はまさにそのパターン。
豊かな果実味と良質な樽の風味で評価の高いラグランジュの白で10年産。
赤も豊かな果実味と樽の風味、更にグラーブ地区特有のタバコや土のニュアンスがハッキリ楽しめます。ボルドー地区でパーカー氏90~92点評価を受けて、この価格はメドック地区では絶対にあり得ないと思います。
南仏からは、シャトーヌフ・デュ・パプの生産者ユッセグリオのコート・デュ・ローヌで作柄の良かった09年産と、ギガル社のコート・デュ・ローヌ赤は少し熟成した07年産。
09年、07年と共に天候に恵まれ年で、完熟した果実味とスパイシーな強さが楽しめます。
イタリアからは北部ピエモンテ州、マルグラ社のバルベラ種で熟成した05年産。7年を経てこなれてきた果実味と複雑な熟成香がこの低価格で楽しめます。
最後はトリフェット・ド・フランス社のミルキーなトリュフチョコ。滑らかな口溶けのトリュフが1キロも入ってこの価格!おやすみ前にこのチョコを一粒いただくと私は幸せな気分にひたれます。