今月はご近所のお話。当店は南3条西3丁目の東向きにあります。
毎年春に近所の資生館小学校の児童さんが花壇を作って、店舗前の歩道に設置してくれます。今年はその花壇の隅に家内がひまわりの種を植えました。
毎朝、私が店先の清掃と共に花壇に水をあげていると、ひまわりはすくすくと成長して高さは1メートルほどに。
ただこのあたりは繁華街でもあるので、朝来てみると花壇にタバコの箱やビールの缶が捨てられていたりもします。
ある朝、せっかくのひまわりの茎が折られてしまい、私は折れた所をギブス代わりに厚紙を巻き付けました。
しかし数日後、夜の大雨で厚紙が外れてしまい、再びひまわりは同じ所から折れて萎れていました。
根からの水や栄養分の通り道が折れてしまうと、その先には栄養分が行かず萎れてしまうのかと思って、2日ほどそのままにしていた所、折れて地面を向いていた先の部分が首をもたげたように再び上に向かって伸び始めました。
私は見捨ててしまってごめんなさいと何度もひまわりに謝り、また厚紙のギブスを巻いてあげました。
するとその翌朝には、ひまわりの横に添え木が立てられ紐で固定されていたのです。
お隣の中山ミシンさんのお母さんが、ひまわりの様子を見て、添え木をしてくれたそうです。
この日の朝の清掃はお隣さんの前も念入りに行いました。地下街からこちらに引越して4年。ここに根を張って今後も長く営業していこうと心に誓いました。
さて今月のオススメワイン。
ブルゴーニュからは2種。エルヴェ・ケルランが造るブルゴーニュ規格の赤で、樽熟成させた上級品のキュヴェ・アッシュ09年。この年らしいふくよかな果実味と木樽の複雑さがうまく調和した、現代的ピノ・ノワール種の良さがこの価格で楽しめるのは絶対お得です。
ジャン・ジャック・コンフュロンが造るコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ規格のヴィニョット畑で08年。
実はこの畑ニュイ・サン・ジョルジュ村の1級クロ・ド・ラ・マレシャル畑に接する斜面下の良好な区画で、ニュイ・サン・ジョルジュの村名を名乗れる畑。
規格を村名から格下げしたお値打ちな値付けになっていますが、中身はバリバリの村名付きワインです。現代風な果実味主体ではなく、味わいの中心に酸味とタンニンがしっかりある伝統的スタイルですので、煮込み料理が恋しくなるようなピノ・ノワールです。
人気の生産者フレデリック・マニャンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ09年。凝縮した果実味とタンニンを、木樽の風味が包み込めたスケール感のある味わい。人気の理由が分かるマニャンのワイン各種が本数限定で特別価格になりました。
ボルドーからは今注目されるカスティヨン地区のシャトー・ブリッソン09年。メルロ種85%を12カ月樽熟成させた味わいは現代的で、売れっ子コンサルタントのミッシェル・ロラン氏を思わせるスタイル。この価格でふくよかな果実味があり、だれもが納得するようなボルドーワインです。
ディリーワインに最適なお値段のレ・クルーズの赤、白。白は南西部、赤は南仏と産地は異なりますが、ミディアムな果実味と酸、タンニンが調和したバランスの良い味わいは、毎日の食卓にピッタリです。
さて、今月のイタリアは低価格で良い物が多かったです。まずはロンコ社のフリザンテ(微発泡)で白とロゼ。白はトレビアーノ種、ロゼはサンジョベーゼ種から造られ、味わいは共に爽やかな辛口タイプ。口に含むと穏やかな泡が心地よく舌を刺激して、今年の暑さを一時でも忘れさせてくれるでしょう。
さらにお安いのがアブルッツォ州ブォン・ファットーレ社の赤と白。赤はモンテプルチアーノ種、白はトレビアーノ種でこの価格ですから、DOC規格の格下げ品ではないかと思います。特に白は1000円以上するDOC規格のトレビアーノ・ダブルッツォとしか思えない出来でした。箱で買うべきワインだと思います。