2013年 7月

先月の独り言で、積丹の旅館の話をしました。

プールや遊具付きの大きなお風呂があるホテルが好きな息子が、こじんまりとした旅館に付き合ってくれたので、

6月の小学校の開校記念日に、息子の希望で定山渓のプール付き温泉「ラ・グーン」へ日帰り入浴の約束をしました。

ここだけの話、父親としての義務感から渋々決まった日程です。

当日の朝食中に、海水パンツはどこにあるかとか、浮輪は持っていくかと、話をしている時に息子の友達から電話がきました。

「・・いや、今日はラグーンに行くんだ。・・うん、・・・ふーん、○○君も△△君も来るの?じゃ僕も行く。

何時に何処?わかった。じゃあーね」と電話を切り、食卓に戻ると

「今日はラグーンは止めて、みんなで(子供は無料の)サンシャイン・スポーツクラブのプールに行くことにしたから」

と言って今日の予定が変更になりました。

私と家内は二人で顔を見合わせたまま、何も言えませんでした。

小学校6年生になった息子が、初めて自分で踏み出した一歩かもしれません。

これからはどんどん親離れが進み、友達との時間が増えてくるのでしょう。

驚きと嬉しさ、そしてチョッピリ寂しい気持ちになった6月の休日でした。

さて今月のオススメワインです。

まずは北海道・余市の曽我貴彦さんが酸化防止剤無添加(サン・スーフル)で造る微発泡のロゼ。

これ、旨味がたっぷりですごくおいしいです。

普通の爽やかで切れの良いロゼ・スパークリングではなく、

果実を搾り果肉が混じった状態でそのまま瓶に詰めたような感じです。

余市近隣の農家さんの葡萄を見て、一般的なワインではなく、

濁り酒の様な味わいに仕上げた貴彦さんのセンスを感じずにはいられません。

次は札幌・藤野ワイナリーのマヤ。

黒葡萄だけで仕込んだロゼ・スパークリングは、前述の曽我さんと同様にオリを残しているので旨味たっぷり。

でも果皮の漬け込み期間の違いなのか、曽我さんのが美味しい濁り酒とすれば、

こちらは少し洗練された美味しいロゼのスパークリングです。

目の前にある葡萄を見て、どんな味わいのワインにするかを考える。

2種の道産の泡は、共に限られた予算の中でも造り手のセンスを感じさせてくれました。

ボルドーからはサンテステフ・ド・モンローズと、マルゴー村のシャトー・シャンテリュン09年。

モンローズは複数年をブレンドしたワイン。ミディアムですが熟成香と熟成旨味が楽しめてこの価格は良いですね。

シャンテリュンは天候の良かった09年ですから、ここ1~2年は完熟した果実感で美味しく飲めます。

でも、ポテンシャルが高い年なので、5~10年買ったことを忘れて熟成させた方には大きな喜びが待っているでしょう。

同じボルドーで2000円以下のクラスでは、シャトー・ボレール08年と、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン10年。

ボレールは39%も使っているプティヴェルド種のタンニンと複雑さが楽しめ、

モントーランは90%のメルロ種からふくよかさと柔らかさが楽しめます。

ブルゴーニュからは飲み頃でお値打ち品な赤、白。

ヴァンサン&ソフィー・モレがサントネ村の08年産シャルドネ種で造る白。

コート・ドール地区で、樽風味とふくよかでたっぷりした果実味が楽しめて、この価格は普通あり得ません。

メーカーの在庫処分で可能になった特別価格です。

赤はジヴリ村の筆頭ジョブロ家が1級畑で造る07年。

6年を経た今の時期は、果実感と熟成感の両方が楽しめます。

若飲みのイメージがあるジヴリ村ですが、良い造り手の物は少しでも熟成させると複雑さと旨みが乗って来ます。

こちらも在庫処分特価になっていますので、お値打ちです。

同じブルゴーニュの赤で、フィリップ・ルクレールのブルゴーニュ赤ボン・バトン10年と、

ユベール・モレのシャサーニュ・モンラッシェ赤08年。

ルクレール氏はジュヴレ・シャンベルタン村の名門ですが、このボン・バトン畑は隣のシャンボール村にあり、

柔らかな果実味と上品な樽風味が飲み手をうっとりとさせる魅力を持っています。

一方モレ家の赤はシャサーニュ村。ここは白で有名な村だけに、赤が売れ残った時はチャンスなのです。

08年は作柄も悪くないうえに、5年を経て少し熟成感が開いてきました。

南仏からは超旨安ワイン2種。まずはトゥトゥ・イーヴル、ペイ・ドック12年。

かわいい犬のラベルは、正直、あまり期待せずに試飲しましたが、

トップにスパイスの香りが来て、口に含むとふくよかで果実味とタンニンのバランスが良いのです。

調べてみるとタイプの違う4品種の葡萄を上手くブレンドしていました。

実は同じ犬ラベルの白ワインも試飲をしましたがボチボチでした。赤の方を是非一度お試しください。

もう1点は当社の定番ワイン。マルキ・ド・ボーランのシャルドネ、ペイ・ドック11年。

南仏の大手生産者フォンカリユ協同組合が造るこのシリーズ・ワインは、赤、白各品種共に大好評ですが、

特にこのシャルドネ種はふくよかな果実味だけではなく、酸味とミネラルが感じられてかなりの出来だと思います。

イタリアからはボッター・カルロ社のブリンディジ・リゼルヴァ08年。

南のプーリア州らしいふくよかで骨太な味わいが、5年を経て美味しくなってきました。

どうしても私は練れたワインには評価が甘くなってしまいますが、この価格はお値打ちですよ。

同じイタリアからロンボ・ビアンコ11年、ロンボ・ロッソ12年。白、赤、共に2品種のブレンドタイプ。

白は華やかな香りとふくよかな果実味のぽっちゃりタイプ。赤はストロベリーの香り豊かなスレンダータイプ。

赤、白、共に、この価格としては大満足の味わいです。

さらにポルトガルからも驚きの旨安ワインが入荷しました。

アデガ・ド・モレイロのティント(赤)、アデガ・ド・モレイロのブランコ(白)。

こちらも赤は3品種、白は2品種のブレンドで、両方ともにふっくらタイプ。

しかも白は穏やかな酸味が、赤には細かなタンニンがあるため、少し奥行き感と複雑さすら感じさせます。

今月の旨安大賞は、フランス、イタリア、ポルトガルが三つどもえの争いとなりましたが、

私には僅差でこのポルトガルが勝ったように思われます。個人差や好みの違いもあるので、

ご興味のある方はご自宅でこの三カ国対抗旨安ワイン選手権を実施してみてはいかがでしょうか。

今月は食品でもオススメがございます。山形県でハム、ソーセージの風味堂が作るオツマミ、豚珍乾(トンチンカン)。

ここの特製ジャンボ・サラミを、縦ではなく横長にスライスしました。当然サラミですから塩分も油分も強いですが、

この価格でこの味わいと品質はなかなかの物だと思います。

オーストラリア・タスマニア島のレザーウッド・ハニー。

植樹しても、開花まで100年近くかかるレザーウッドの花のミツがこの価格は破格!

にが旨味と複雑さを持った味わいは、薬と思って味わった方が良いほどです。

マイオーネ社の種付きオリーブの各サイズ。

オリーブが嫌いな方は塩分とお酢の酸っぱさが苦手ですが、このオリーブは塩水への漬け込みが浅く酸っぱくありません。

ですから、新鮮なオリーブの果肉そのままの味わいが楽しめます。オリーブ嫌いな方にこそ、味わっていただければと思います。