今月は音楽のお話。
6月末に家内は一人でアン・サリーのコンサートに行ってきました。その後は、朝から音楽が流れているわが家。
私も中学生の頃は、当時流行りの洋楽とヴァン・ジャケットの服が大好きでした。
当時のレコードはとても高価でしたので、地下鉄大通駅改札前のなにわ書店に寄り、
音楽雑誌で新譜レコードの評価を立ち読みしてから、隣の玉光堂でレコードを購入。
しかし専門家の評価を読んでも、購入したレコード全てがお気に入りにはなりません。
その後、レコードはCDになり、価格も2000円ぐらいになってからは、前よりは気楽に買えるようになりましたが、
当たりか外れかは好みもあって、やはり勘に頼るしかないのでしょう。
その、なにわ書店と玉光堂が入っているビルに、3年ほど前レンタルの「ツタヤ」がオープンしました。
ここで時々映画のDVDを借りていましたが、ある時、音楽CDの品揃えが多いことに気付いたのです。
でも音楽家の方には申しわけないですが、製作費が百億円以上の映画「スターウォーズ」が100円で借りられるのに、
旧作でもCDのレンタルは1枚350円と聞き、その価格差にめげてしまいました。
さて今、狸小路4丁目のアルシュビル1階はパチンコ屋さんですが、
40年程前はエイトビルの名で1階は日本楽器(ヤマハ)のレコード店でした。
広い店内の中央には試聴用のレコードプレイヤーが20台ほど円形に並び、
プレイヤーの内側にいる店員さんに希望のレコードを渡すと試聴が出来る画期的な店でした。
ただ、CDと違い針を使ったプレイヤーの操作は店員さんに委ねられるため、
飛ばして次の曲を聞きたい等の希望はできません。
また音はヘッドフォンではなく、固定電話の受話器に似た形状の物がプレイヤーの左右にあり、
両手でそれを持ち続け音を聞きます。そして試聴後は、
向かいに店員さんがいるので、買わずに帰るのはちょっと度胸が必要でした。
さて、現代の「ツタヤ」にも、試聴用CDプレイヤーがヘッドフォンと共に数台設置されています。
CDですから、気に入らない曲を飛ばして次の曲にするのも簡単。
プレイヤーには 「混雑時は、長時間の試聴をご遠慮ください」 と書かれていますが、
言ってしまえば店内のCDは全部聞き放題です!
また試聴して気に入らなかったCDを返却するBOXまで用意されているのです。
そこで私は、今お気に入りの日本のジャズ「クオシモード」のCDを、3枚棚から選び試聴しました。
1枚は気に入らず棚に戻し、もう1枚は気に入ったのでレンタル。もう1枚は凄く気に入ったので2800円で購入しました。
こうして自分が納得してだと、レンタル350円も、購入2800円も全く気になりません。
ここ当分、我が家は音楽が鳴り響いているでしょう。
さて、今月のオススメ品。
ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ペイラボン04年。
カベルネ種のタンニンと、メルロ種のふくよかさが楽しめる典型的な味わいですが、
高騰が続いたボルドーでこの濃さと熟成感を望むと、今3000円はするでしょう。
「2000円で、そこそこの強さと、熟成感のあるボルドー」そんな今となっては夢のような赤です。
ブルゴーニュからはニュイ・サン・ジョルジュ村の生産者ダニエル・リオンが造るシャルドネ10年。
ブルゴーニュには赤が得意な人と、白が得意な人がいます。
ダニエルは赤で知られる為に、白はあまり人気が無く安めの価格で販売されています。
しかしこの白、複雑さはありませんが、バランスが良い出来で、お値打ちなのです。
ロワール地方からは定価3000円はするサンセール村の白で、
シャトー・フォンテーヌ・オードンの09年が信じられない価格で入荷しました。
この年フランスはとても暑かったため、シャープな酸味が特徴のこの村でも、酸味が穏やかでふくよかな味わいでした。
この年の味わいを理解して楽しめる方には、とてもお買い得な白です。
南仏では2000年以降、ラングドック地方の西側、ルーション地方が注目されています。
ここで注目の生産者ガルディエの白レ・グラシエール11年と、赤ラ・トル08年。
共にこの生産者でも上級品なのでそこそこの価格はしますが、ゆっくり味わって頂くと、
今この地区で何が起きているかが分かってくると思います。
造り手が安ワインだけではなく、自社畑で最高の区画からどこまで素晴らしいワインが生まれるか。
その挑戦している姿を白2400円、赤4800円(共に店頭価格)を払って、体験してみませんか。
イタリアの白では3種が良かったです。リグーリア州ルナエ社のヴェルメンティーノ種からの白。
北部らしい果実味に酸味とミネラルが複雑に絡み合っています。樽が無くても美味しい白が出来る典型のようなワインです。
次はエミリア・ロマーニャ州モンティチーノ・ロッソ社のコドロンキオ10年。
この州の宝ともいえるアルバーナ種を遅摘みし、一部貴腐化した葡萄を完全発酵させ辛口に仕上げた白。
ちょっと大げさに言うと、仏ソーテルヌ村のシャトー・ディケムが造る辛口白「イグレック」のニュアンスが感じられます。
香り、味、共に複雑で、フォアグラやレバー・パテあたりと相性が良さそうに思いました。
通の方に受けるワインではありますが、2倍の価格でも価値がある独特な味わいです。
お値打ち品ではプーリア州トッレヴェントが造るヴェント・ビアンコ12年。
2種の葡萄のブレンドで造られた白は、ジャスミンやライチの香りが華やかで、
豊かな味わいと共に満足感の高い旨安ワインです。
イタリアの赤ではマルケ州ヴェレノージが造るロッソ・ピチェーノ12年。
果実をつぶして瓶に詰めたようなフルーティな味わいは、
昼間、屋外でのバーベキューの時に、オン・ザ・ロックにしても美味しいでしょう。
新世界からはニュージーランド・シレーニ社のソーヴィニヨン・ブラン種12年。
きりっとしたメリハリのある味わいは、まさにニュージー・マルボロ地区の典型で、夏に最適の白と言えます。
次はメキシコからの泡2種。
この価格で瓶内2次発酵、葡萄はスペインとフランス品種のブレンドが上手く決まり、
私は本家である、スペインのフレシネより味わいが豊かでは、と思っています。
個人的にはブリュット・ナチュレの方が好きですが、コクと旨味はブリュットの方があるので、お好みでお選び下さい。
食品からはスペイン・フォルム社のワイン・ビネガー。
赤、白共に好評ですが、白に徳用瓶が入荷しました。
酸っぱさよりも果実感が豊かで、このお酢を生のまま少量味わっても、むせません。
ぜひ良いオイルと1:1で合わせたドレッシングをお試し下さい。