今月は修繕のお話。
3年程前、私が店のトイレの掃除中にペーパー・ホルダーにぶつかり、
紙切り板の留め具にひびが入り斜めになってしまいました。
メーカーである「T社」のホームページに問い合わせたところ、
1センチ×2センチ程のプラスチック製留め具だけは販売しておらず、
厚さ3ミリ程ある立派な紙切り板とセットになっていると言われ、
小さな留め具の為に全交換は腑に落ちず、そのまま使っていました。
今年になってその留め具がついに折れてしまい、再度メーカーに聞いても留め具だけでは販売不可。
仕方なく板と留め具のパーツ約1400円、送料とで2000円弱を払い、
3年間斜めになっていたペーパー・ホルダーを直しました。
その際「T社」のパーツセンターの方に「3年前にも書きましたが、小さな留め具の為に、
厚手で立派な紙切り板を交換するのは納得が出来ず、当時の担当者の方に、『もったいない』と書きました。
今回は留め具が折れたので発注しますが、今もこのセットによる交換はもったいないと思います。
今後は留め具だけで買えるように願います」と一言メールしました。
そして先月、今度は我が家のガラス瓶で出来た浄水器の本体にひびが見つかりました。
購入して5年ほどになる浄水器(19,000円)は、「非電化工房」というメーカーのもので家内が見つけてきました。
以前の浄水器は交換するフィルターが高価なのと、水量が少なく蛇口からチョロチョロとしか出ないのが欠点でした。
現代社会を否定するかのような変わったメーカー名には驚きましたが、
現物は2リッター程のガラス瓶にヤシガラ活性炭を入れて、
瓶の下から水道水が入り活性炭を通って瓶の上に付いた蛇口から出てくるシンプルな構造。
水も美味しく感じられ、水量も多かったので、気に入って使っていました。
でも普通、浄水器本体にひびが入れば一式全部を買い替えでしょう。
しかしここのホームページを見ると、本体も交換可能と書いてあります。
ガラス瓶交換セット1550円、活性炭600g2000円、
ついでにパッキン類も交換して、送料1050円で、合計5350円を「非電化工房」へ振り込みました。
2週間ほど後に部品が届き、2時間ほどかけて交換作業をしました。
届いた箱には交換部品と共に、専用の工具類も5点ほど入っています。
まずは瓶の上蓋を外し、家のスプーンを使って中の活性炭を掻き出し後、
専用工具でひびの入った瓶を外し、新しい瓶を台に取り付けます。
後は新しい活性炭を入れ蓋をして出来上がりです。
「非電化工房」では使った工具はお返しするシステムで、
入っていたケースに工具を戻し返送先の住所が書かれた袋に入れて郵送しました。
少し手間はかかりますが、今回は無駄がなく清々しい気持ちで交換と返却を終えました。
今月のお薦めワインです。
北海道からは、タキザワ・ワイナリーの新シリーズで、デラウェア13年と、シードルのコックス・オレンジ・ピピン13年。
デラウェア種の白は従来のイメージを払拭するような、凝縮した果実味とミネラル感を持った本格的な辛口白。
葡萄に生食用品種(ナイヤガラ等)と、ワイン用品種(ケルナーやシャルドネ等)があるように、
シードル用のリンゴも同じ状況です。
生食用は大きくて甘いリンゴが好まれますが、コックス・オレンジ・ピピン種等のシードル用品種は糖度だけでなく、
皮と種の割合が増える小粒で、酸味豊かな品種が適しています。
貴重なシードル用品種からの豊かな味わいをお試しください。
千歳ワイナリーのケルナー辛口13年。 葡萄は余市でも定評のある木村農園産。
13年特有の完熟感と爽やかな酸味が、メリハリよく楽しめます。
この年は1~2年熟成させてから、再度味わってみたいと思わせる出来です。
藤野ワイナリーの上級スパークリングワイン、マヤ。
ツバイゲルト種とメルロ種からのロゼは、旨味と上品な酸味が調和して、
少しだけシャンパーニュ産を思わせるニュアンスを感じます。
将来、北海道の発泡酒が世界で認められる産地となる可能性を感じた1本です。
宝水ワイナリーのシャルドネ13年。
この白も13年らしい熟した果実感と、爽やかな酸味が特徴。
涼しい産地で造られた良質な白の典型のような仕上がりです。
三笠の山崎ワイナリーのケルナー・スイート13年。
山崎さんが久々に仕込んだケルナー種の甘口タイプはまだ未試飲なのですが、
一緒に発売したケルナー種ドライと、バッカスが5月の入荷と同時に完売しました。
ここの白をお探しの方は、早めにこの残り少ないケルナー・スイートを購入すべきでしょう。
仏ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・カマンサック96年。
5000円以上の高級ワインですが、作柄の良かった96年産の格付けシャトーでこの価格はお値打ち。
18年を経て開き始めた熟成香と、果実味と混じり始めたタンニン。
古酒好きも納得する飲み頃の美味しさが出てきました。
熟成香が広がり、果実味が枯れた味わいまで行くと好き嫌いが出てきますが、
若い果実味と、そこそこの熟成感の両方が楽しめる位がお好きな方には、今ですと03年産がお薦め。
とても暑かったこの年は凝縮した果実味がたっぷりあり、11年を経て、若さと熟成感の両方が楽しめます。
オー・メドック地区のシャトー・ラ・ローズ・ド・フランス03年と、サン・テミリオン村のシャトー・グラン・コルバン03年は、
お値打ちな価格でそんなピンポイントの美味しさが楽しめます。
最後は天候が良い年で完熟した果実味と、木樽の香りが豊かに広がるはつらつとしたワインがお好みの方へ、
メドック地区のシャトー・ピエール・ド・モンティニャック10年、
ブライ地区のシャトー・モンフォーレ・ヴィエイユ・ヴィーニュ09年、
ボルドー・スペリュール規格のシャトー・リコー08年。
この3種はお手頃価格以上の満足感が、グラスから広がります。
次は仏ブルゴーニュ地方。赤は大人気の生産者エルヴェ・シャルロパンのフィサン村12年と、マルサネ村12年。
村は隣同士ですがスタイルは大きく異なり、マルサネは濃度勝負で、フィサンは瑞々しい果実味タイプ。
共にこの価格とは思えない豊かな味わいを持っています。
白はマルシャン・フレールが造るコトー・ブルギニヨン規格の12年。
この規格の白の多くはアリゴテ種主体となりますが、こちらはシャルドネ種95%にピノ・グリ種5%。
豊かで肉厚な味わいはちょっと驚くほどです。
仲田晃司氏が造るルー・デュモンのブルゴーニュ・ブラン12年。
ムルソー村とピュリニー村の葡萄を六割使い、
この地で最高のフランソワ・フレール社の新樽を4割も使って熟成させた、反則技のような白。
ミディアムな果実味と酸味が調和した味わいは、品格を感じさせる仕上がりです。
ジャン・テヴネ氏が造るヴィレ・クレッセ村のシャルドネ種07年。
この村特有の貴腐葡萄が混じったワインは、7年を経て白ワインからハーブ系リキュールの風味になって来ました。
フレッシュ&フルーティな白もいいですが、たまにはこういった熟成した白も味わってみませんか。
南仏の一押しはサンタ・デュックのジゴンダス村08年。
この年だけ、同じ村でも2倍の価格が付く上級品の発売をやめて、その葡萄を全て並品にブレンドしました。
その為、08年の並品は強さと複雑さを身にまとっていますが価格はそのまま。
生産者の意地のおかげで、私たちは贅沢な思いが出来るのです。
次は良年に仕込まれた、上級品も仕入れなければ、、、と感じています。
ロワール地方からはギルボー・フレール社のトゥーレーヌ村産ソーヴィニヨン・ブラン種12年。
上級品のソーヴィニヨン種がミュスカデ種よりも安いって信じられます?
これは買わなきゃ絶対損!華やかな香りと、メリハリのある味わいは、思い描くソーヴィニヨン・ブランの味わい。
文句なく、今月の白ワイン旨安大賞です。
旨安の赤ワインは、南仏ペイ・ドック地区のフェノリア。
通常の二倍強のポリフェノールを含んだ味わいは、インクの様に濃いフルボディ・タイプ。
少し地酒っぽい味わいですが、安くて濃くて、しかも動脈硬化予防にもなるワインをお探しの方はぜひ一度お試しください。
イタリアからはウンブリア州アルナルド・カプライ社のモンテファルコ・ロッソ09年。
サンジョベーゼ種に、地元のサグランティーノ種他をブレンドしたワインは凝縮感とタンニンがたっぷり。
タールやスパイス香も感じられ、濃さ強さと複雑さが楽しめます。この価格としては大満足のフルボディ・タイプ。
人気のスペインからは、ナヴァラ地区のイヌリエータ社がソーヴィニヨン・ブラン種で造る辛口白オルキデア13年。
温暖な産地なのでシャキ、シャキした酸味はありませんが、熟した柑橘類の風味がたっぷり楽しめます。
赤はリオハ地区のドン・サンチョ・デ・ロンドーニョが造るアルテバン。
テーブル・ワイン規格ですが、何より欠点が無く、バランスが良くて飲み飽きせず、毎日の食卓に最適な赤でしょう。
ドイツからはモーゼル地区で最上の評価を受けているフリッツ・ハークのQbA規格のトロッケン(辛口)12年。
この価格とは思えない程に香りと味わいの完成度が高く仕上がっています。
「ドイツは甘いんでしょう」と言われる方にこそ、飲んでいただきたい辛口白です。
ブルガリアからはカストラ・ルブラのテリッシュ・ペンダー10年。
地元のルビン種とメルロ種の赤は、コンサルタントのミッシェル・ロラン氏のおかげで、
しっかりとした濃さだけではなく、洗練さも身につけています。この価格とは絶対に思えない仕上がりです。