2017年 7月

今月は夫婦のお話。 

先日、家内と二人で遅めの昼食をとる事になりました。その日は車に乗っていたので、私は大好きな「ゆりや食堂」で、もりそばとラーメンの両方を食べたいと言った所、家内は円山西町にある眺めの良いカフェでランチをしたいと言います。結局、妥協案でまず食堂へ行って私がそばとラーメンを食べて、その後カフェに行き私はコーヒー、家内はキッシュ・セットを食べて帰りました。


改めて思いますが、男と女は好みが違うのです。これで思い出すのが、結婚当初お互いに映画が好きだったので、休日の前夜にDVDを借りて一緒に映画を観ていました。私はドカーン、バキューンの戦闘物やスポ根物を選び、 家内は文芸路線。観終えるとお互いに感想を言うのですが、家内は私の薦める映画のどれを見ても毎回、「人間が描けていない」の一言。私は、文芸物にも駄作と名画があり、戦闘物も同様で、それぞれのジャンルで良さを楽しもうと言うのですが、根本的に好みは平行線でした。

決定打となったのは、忘れもしないフェリーニ監督の「道」。貧乏でハチャメチャな夫と、弱く、けな気な娘との生活は、何も希望が無く、過ぎてゆく。ハッピーエンドが好きな私は、「道」を観終えると暗く落ち込むだけ。やり切れない思いを言葉にできない私は、映画の中で娘が何度も言っていた「ザンパーノが来たよ!」を茶化して言うと、「この映画の意味を何も感じないの?」と責められ、二人の映画鑑賞会は途切れました。


映画の好みだけではなく、食べ物の好みだって人それぞれ。お互いの好みを主張するだけではなく、相手の希望も取り入れながら、映画「道」のパターンには行かないようにと願っています。


さて、今月のお薦めワインです。

まずは地元から、小樽のアーバン・ワイナリー、オサ・ワイナリーからTabi(タビ)をご紹介します。小樽にゆかりのある葡萄、旅路種の収穫を時期をずらして行い、ブレンドする事で、フレッシュな酸味と完熟した風味を合わせ持つ複雑な味わいです。寿司とのマリアージュを一番に考えられた絶妙なブレンド。お寿司好きな方にオススメな逸品です。

三笠、山崎ワイナリーのピノ・ノワール15年。樹齢10年~18年のピノ・ノワール種から造られるワインは、深みのある赤い果実、針葉樹林を思わせる深く冷涼な香り。果実味と伸びやかなミネラルは、土地や気候の特徴を感じられるピノ・ノワールです。北海道の赤ワインを代表するピノ・ノワールです。

長野県にある小布施ワイナリーのソーヴィニヨン・ブラン16年。ハーブ香に爽やかな白桃、蜂蜜やパイナップルの香り、そしてマッタリしすぎない濃さと、グレープフルーツ系のアフターが心地よいです。日本のソーヴィニヨン・ブランでは珍しくphの低いワインなので、数年の熟成に耐えることができます。山の幸とあわせて飲みたいと思った1本です。


次はフランス、ボルドー地方シャトー・ラローズ・トラントドンで、最高の年09年産。シャトー・カマンサックのオーナーのエリゼ・フォルネ氏がディレクターを務めています。所有する、サン・ローラン村の142ヘクタールの畑は、メドック地区最大。上品でしっかりとしたボディを持っており、華やかな香りと木樽の風味もあります。熟成を経た複雑さも開き始め、飲み頃に入り始めたボルドー赤ワインです。

ボルドー右岸のフロンサック地区からは、シャトー・メイネイの2002年。新樽比率が8割と高く、始めはフレンチオーク樽の香ばしさが楽しめます。次にヨモギを感じさせるほんのりとしたメルロ種の青さが調和し、複雑なブケを楽しむことができる、今がまさに飲み頃のボルドーです。

同じくボルドーの右岸、カスティヨン地区で有機栽培を実践するシャトー・デュ・ロックの畑の中で、若木から造られるワインが、「アンフォラ(素焼きの壺の意)」です。樽を使わずにコンクリートタンクで発酵・熟成しているため、渋みは控えめで瑞々しいピュアな果実味が口中に広がります。まだ若い14年産ですから、今の状態ではアンフォラで醸造したような葡萄を搾って瓶に詰めたような果実味たっぷりのワインです。有機栽培葡萄の美味しさを、樽に入れずにそのまま味わって欲しいというオーナーの気持ちが伝わります。

次はサンテミリオン村で超有名なシャトー・ヴァランドローではなく、 ここのオーナー、 テュヌヴァン氏の事を、評論家のパーカー氏が親しみをこめて、 バッド・ボーイ(ヤンチャ坊主)と名付けました。すると、チュヌヴァン氏はその「あだ名」を、お値打ちなワインの名前にして発売しました。数万円するヴァランドローとは違い、畑はサンテミリオン村ではありませんが、彼が選んだ区画は恵まれた畑で、良質でありながら、お手頃価格。このバッド・ボーイで10年を経た07年産が入荷しました。たっぷりとしたベリー系の果実味と、木樽の風味が調和した飲み頃ワインをお見逃しなく。


次は仏ブルゴーニュ地方から。シャンボール村のアンリ・フェレティグ家が造る、お手頃価格の赤。ピノ・ノワール種とガメイ種を半分ずつブレンドした「コトー・ブルギニヨン」の赤です。混醸(各葡萄品種を粒の状態で混ぜて、同時に発酵する)で造られているため、豊かな果実味と心地よい酸味が、若いうちからに溶け込んで調和しています。

次は中堅で評価の高いヴァンサン・ジラルダンが、サン・ロマン村のシャルドネ種で造る12年産。ビオディナミ栽培を行っていましたが、ブルゴーニュの天候の問題で、完全なビオディナミでは不便な点もあるため、2011年よりリュット・レゾネ(減農薬)へ移行しました。サン・ロマン村は標高が高く冷涼な為、酸味とミネラル感もあり、野菜のマリネや蒸し料理によく合います。

そしてシャサーニュ村からは、名門ギィ・アミオのアリゴテ種の白12年。遅摘みによるリッチな味わいがこのドメーヌの特徴で、それぞれの畑が本来持つミネラル感とともに荘厳な世界を提供してくれます。果実味は豊かですが、鋭い酸とミネラル感があり、アリゴテ種らしさと、バランスのとれた出来に仕上がっています。爽やかなだけではなく厚みも欲しい、という方におすすめです。


次はロワール地方から、サンセール村ダニエル・ショタールが造るソーヴィニヨン・ブラン種の白。土壌は全体の70%がキンメリジャンの粘土石灰質、30%がカイヨット(白亜)です。葡萄の平均樹齢は20年、最も古い葡萄は樹齢40年です。アロマを最大限に引き出すため、14度の低温で発酵させることで、青っぽいハーブのニュアンスや、タニックなフレイバーが出ないようにしています。スキンコンタクトなし、マロラクティック発酵をせず、 綺麗な澱と共にタンクで約8ヶ月熟成。還元香もなくミネラルの凝縮したソーヴィニヨン・ブランです。

次はジョセ夫妻がシュナン・ブラン種で仕込んだ自然派のペティヤン(微発泡性ワイン)で、リズ・エ・ベルトラン・ジュセ ラペティアン モンルイ・シュール・ロワール。2004年に設立の新しい生産者ながら、フランスの3つ星レストランでもオンリストされている実力派。化学肥料や農薬を使わない有機栽培で、野生酵母による自然発酵。泡を得るための二次発酵の際も、蔗糖と酵母は無添加。ノン・ドサージュでSO2も添加せずに造られており、自然派ワインの真骨頂が味わえます。


アルザス地方からは、自然派生産者の雄、ビネール氏が、気心の知れた友達のジャン・リュック・シェランジェ氏とコラボして造っている、 クザヴィエ・ヴァイマンの、ミノリ リボ・ミックス14年です。 葡萄はエーデルツヴィッカーと言われるブレンド・タイプ。ピノ・グリ種主体のふくよかな果実味に、ゲヴュルツ種の香り高さが調和しています。自然派アルザス・ワインのお試しに最適な逸品です。


イタリアからは、自然派第一人者であるアンジョリーノ・マウレの下で、ワイン造りを学んだ、ダニエーレ・ピッチニン氏がヴェネト州で造る、ビアンコ・ディ・ムーニ15年。シャルドネ種と土着品種のドゥレッラ種とのブレンドで造られるワインは、心地よい酸味と充実した旨味が楽しめる澄んだ味わいで、暑い季節にはぴったりの白ワインです。


次は南部プーリア州の濃厚赤ワイン、プロゲット・ヴィーノのパッソ・デル・スッドゥでアパッシメント15年。収穫した葡萄を乾燥させ、干し葡萄状にしてから発酵させた、アマローネ・スタイルのフルボディワイン。燻製のような香りと、ビターチョコレートのような渋みと甘味の強い味わいは、とてもインパクトがあり、飲みごたえがあります。グリルしたお肉料理、熟成チーズ等と相性が良いです。

イタリア・シチリア島からは有機栽培で造られたワインのご紹介です。チェビコ社、ピプント・イオの赤(ネロ・ダヴォラ種+カベルネ種)と、白(カタラット種+シャルドネ種)の2種。どちらも地元品種と国際品種をブレンドしてバランス良く仕上げられています。白は華やかな香りとフルーティでクリーンな味わい。赤は複雑でやや重厚なタイプ。どちらもきれいな果実味が料理を引き立ててくれます。


スペインからはマルケス・デ・グリニョンがラ・マンチャ州の高地で栽培されたカベルネ・ソーヴィニヨン種から造る赤。気候は大陸性気候のため、夏は暑く乾燥しており、冬は寒い日が続きます。また昼夜の寒暖差も激しいため、成熟した高品質の葡萄を得ることが出来ます。ここの素晴らしい葡萄を更に高めるため、コンサルタントに仏ミッシェル・ロラン氏を起用しました。発酵は天然酵母と人工酵母を使い、アリエ産のオーク樽で18ヶ月熟成。フルボディなワインをお探しの方に満足していただけるワインです。


ドイツからは、貴重なリースリング種の古酒。当社で扱いのある生産者カール・エルベス氏が、かつて醸造責任者を務めていた蔵元がモーゼル・シルト。そのワイナリーが廃業した為、蔵元に残しておいた取って置きの古酒が限定入荷しました。リースリング特有のペトロール香と、熟成感が見事に合わさった甘口。リースリングが熟成に耐えうる事を証明してくれるようなワインです。年によってラベルが違いますが、当時ホテルも営業しており、ホテルのラベルと一般販売用のラベルの違いです。


カリフォルニア州からはブレッド&バターのシャルドネ15年。冷涼なソノマ地方カーネロス地区と、温暖なモントレー地方アロヨセコ地区の二つの畑の葡萄を合わせています。タイプの違う畑の葡萄を合わせる事によって、複雑味溢れる優雅なスタイルに仕上がっています。ナッツやバターの香り、ふくよかでミネラル感のある凝縮した味わいは、ムルソーの白ワインのようです。少し完熟した甘味があるのが特徴で、バター・ソースの魚介料理、クリーム系のパスタやスープと良く合います。


食品ではマルカワみその自然栽培の玄米甘酒(すり)。ここまで素材にこだわった甘酒は他にないでしょう。こだわり抜いたこの甘酒は、一流のスポーツ選手にも支持されています。大リーグで活躍中の前田健太選手は、広島時代から試合前と、試合中にこの玄米甘酒を同量の水で割り、少々のレモン汁をいれて飲まれているそうです。米と麹を発酵させた“米麹”から作る甘酒には、ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、ビオチンなどの必須ビタミン群を含み、病院で受ける栄養補給用の点滴と同じような成分であることから「飲む点滴」といわれており、古くから夏バテ対策のドリンクとして愛飲されてきました。これからの季節ぜひオススメです!

そして本業のマルカワさんが作る有機みそ。素材にこだわり続け、全国でも珍しく昔ながらの蔵に住みついている麹菌を使用し、麹を造っています。素材は有機大豆と有機米、すべて国産の物を使用し、塩はモンゴル地方で採取された天日湖塩を使用。自然の醗酵速度に任せて、一年間木桶でゆっくりと熟成しております。


次は小豆島の醤油屋、ヤマヒサのぽんず。日本の伝統的な技で製造されている材料で作っているので、ぽん酢だけで美味しいです!
レシピ1、旬のカブやきゅうりをジップロックの袋に入れ、ぽん酢を軽く入れ一晩、美味しい浅漬けになります。
レシピ2、豚肉のソテーにせん切り青しそと共にポン酢ひとかけ。夏らしい味わいです。もちろん冷しゃぶにもおすすめです!

毎年秋に、当店に入荷する小豆島・ヤマヒサのオリーブ新漬け.。そのオリーブの花の酵母を採取し、その酵母により仕込んだ醤油です。自然の神秘と人のたゆまぬ追求心から造られた芸術品のような醤油ははなやか香りの、やさしい味わい。白身のお刺身や冷ややっこなどのかけ醤油に。また花醤とオリーブオイルやレモン汁と合わせ和風ドレッシングもおすすめです。

最後はヤマヒサの、のりの佃煮。小豆島の醤油がのりを引き立たせ、とにかくご飯がすすみます! 炊きたてのあったかいごはんに合わせていただくと、日本人に生まれて良かった~と思わせるご飯の最高の友です!