2017年 8月

今月は少し堅いお話し。

7月中旬、新聞記事で著作権協会(ジャスラック)が店内のBGM用に音楽を無断使用したとして札幌の理容店を提訴したとありました。実は当店にも2~3年前、著作権協会から同様の通達が届き、それまでレコード店で購入したCDを店内で聞く事に使用料が発生するとは知りませんでした。

詳しい方に聞くと個人で音楽を聞くのと違って、営業用で音楽を使うと使用料が発生すると言われました。そして著作権協会からの請求を払わずにいると提訴されてしまうと聞き、当店では著作権協会に加入していない安価な有線放送(月額690円)と契約をして、この事を著作権協会に伝えると使用料の請求は止まりました。その後は営業時間中にその有線放送を流し、閉店後に1人で音楽を聴きたい時は好きなCDを聴く形で、使い分けて音楽を楽しんでいます。

昔レコードを聴いていた頃は、今より面倒で、雑音も多く、同じ個所を何度も聞こうとすると、レコード針の上げ下げが大変でした。CDになってクリアな音で、音飛びも無く、リピートもボタン一つで何度でも出来て夢のようです。しかし完璧なコピー品が簡単に出来るようになり、新たなルールが必要になったのだと思います。良い音で、簡単に音楽が聴けるようなったのですから、新しいルールに沿って楽しむ事が必要なのでしょう。


それでは、今月のお薦めワインです。

栃木県のココファームの、こことある 余市ツヴァイゲルト 15年。こことあるシリーズは自然の味わいを生かした適地適品種のワインです。余市登地区の中川農園と小西農園の葡萄を、10R(トアール)ワイナリーの醸造家ブルース・ガットラヴ氏が、北海道岩見沢にて野生酵母で醗酵させました。エレガントさと奥深さのあるこの葡萄の実力が凝縮されています。後味に白ワインを思わせるニュアンスがあり、魚料理にも合わせられる赤ワインです。


次はフランス・ボルドー地方から、シャトー・ド・フランのセリジエール06年。サン・テミリオン村のトップシャトーであるシュヴァル・ブランとアンジェリュスのオーナー同士が、手を組んで生まれたシャトー・ド・フランのスペシャル・キュヴェがセリジエールです。通常では3,000円前後で販売されているものをお得な価格で見つけました。凝縮したメルロ種の深みがある果実味に、新樽比率の高いオーク樽からの品のある香ばしさが合わさり、スケール感のあるワインに仕上がっています。


ブルゴーニュ地方からは、アンリ・ボワイヨのブルゴーニュ・ブラン13年。ボワイヨ家は1630年からの記録に残るヴォルネイ村で最も古い家柄の一つで、ドメーヌの創業は1885年。現在の当主アンリ・ボワイヨ氏は5代目で、その息子も06年からドメーヌの仕事に参加しています。リュットレゾネ(減農薬農法)を実践し、出来るだけ化学物質の使用を抑えています。自社畑でなくても果実味の凝縮感、樽由来のバニラ香が合わさった素晴らしい白ワインです。


北のアルザス地方からは、シュルンバジェのリースリングでプランス・アベ14年。1810年創業の伝統あるドメーヌで、重たさのないリッチさがこのドメーヌのスタイル。現在は7代目アラン・ベイドン・シュルンバジェが当主。栽培べてビオロジック(一部はビオディナミ)です。130ヘクタールもある自社畑の約半分はグラン・クリュで、スタンダード・キュヴェにも15年未満のグラン・クリュの若木が3~4割も格下げして使用されています。凝縮感のある果実味とミネラル、柑橘類のような香りとキレのある酸が、暑い夏にぴったりです。


南仏からは自然派の生産者シャトー・ルジエールのグラン・ド・ニュヌ・ブラン14年。ミネラルと果実味があふれる白ワインで、骨格がしっかりとしているのでお魚系のお食事と相性が抜群です。また、フランスのワイン誌ベタンヌ・エ・ソーヴではこの蔵元を「今後、このドメーヌがこの地域の白ワインとして頂点に近づいていると思っています」と高評価。ルーサンヌ種他のブレンドで、完熟した果実味とバランス良さを持った、見逃せない逸品です。


今注目の、シュド・ウエスト地方からはジュランソン村のクロ・ラペールで上級品ヴィタージュ・ヴィエイユ08年。有機栽培で、古木のグロ・マンサン種他からの白は、完熟したふくよかさのある果実味に、味わいを引き締める心地よい酸味とミネラル感が伸びていく、奥行と広がりを持った熟成白ワイン。9年の熟成期間で複雑さが生まれ、ゆっくりと時間をかけて楽しむことができます。希望小売3,200円が売り切りの特価で大変お買い得となりました。


イタリア・ヴェネト州からはカ・ルガーテが造るソアヴェ・クラシコのサン・ミケーレ15年。2000年から化学肥料の使用を止め、牛糞、オーガニック・コンポストによる土、植物由来のミネラルの肥料を使用しています。最初はレモンのような柑橘系の爽やかな香りがありますが、次第に熟した果実や蜜のような凝縮感ある香りへと変化していきます。一般的ながぶ飲み用ワインのイメージとは対照的に、味わいの凝縮度が高く、さわやかなソアヴェの特徴が感じられつつも、しっかりと味わえるスタイルとなっています。


アブルッツオ州で大人気、ファルネーゼ社が造るドン・カミッロ15年。サンジョベーゼ種85%、カベルネ・ソーヴィニヨン種15%からのワインを、贅沢に小樽で3~4ヶ月だけ熟成させ赤は、完熟した果実感とスパイスを感じさせるアロマに、バランスのとれた適度な樽香が調和して、複雑な風味を出しています。凝縮された上品なタンニンがあり、サンジョベーゼ種のもたらすふくよかな果実味と、カベルネ種の骨格を引き出した、パワフルで魅力のあるモダンスタイルのワインです。


スペイン・ナヴァラ地区で、新潮流として注目されているビーニャ・ソルサルが造るシャルドネ16年。有機栽培を実践し、畑を区画ごとに細分化するなど、テロワールも大事にしており、醸造においても近代醸造技術を思慮深く利用し、新樽や参加防止剤の使用を極力避けています。フレッシュかつ上品なバランスの良い味わいなので、アペリティフから前菜、魚料理まで、幅広く合わせられます。優しい味わいがお好きな方に飲んでもらいたい逸品です。


スペイン中央部ラ・マンチャ地区からオチョ・イ・メディオのマルベック16年。濃い赤のイメージを持つマルベック種ですが、良い意味で期待を裏切ってくれるバランスの良いスペイン・ワイン。長野のワイン名産地、桔梗ヶ原と同じくらいの標高(850m)で育まれた葡萄は、酸と果実味の調和に優れ、旨みのある飲み飽きのしないタイプ。マルベック種の新たな名産地となる可能性を感じさせるワインでした。


オーストリアからはハイサン・ノイマンが造る白ゲミシュター・ザッツのヌースベアク15年。今、世界中ではカベルネ種、シャルドネ種等の単一葡萄品種のワインが主流ですが、ゲミシュター・ザッツはオーストリアで造られる混植・混醸のワインです。つまり、畑で複数の品種を栽培し、醸造も複数の葡萄を同時に行う昔ながらの製法です。グリューナー・フェルトリーナー種、他7品種からの複雑で百花繚乱の様な味わいは、きっとワインに新たな楽しみをもたらしてくれること間違いなしです。


ドイツからはトップ生産者の仲間入りを果たしたシュロス・リーザーの白。モーゼル地方で最上の畑であるヴェレン村のゾンネンウーア(日時計)畑からのワイン。リースリング種からのペトロール香、ビッグヴィンテージである15年の豊かな酸味とミネラルが凝縮したワインは、10年、20年と熟成が可能なワインです。

ポルトガルのアレンテージョ地区からは日常飲むのにおすすめの赤ワイン。生産者はアレクシャンドレ・レウヴァスで、アトランティコ・レセルヴァ14年。安定した品質の高い造りで、世界各国のコンクールで金賞を受賞しています。地元葡萄にカベルネ種をブレンドした赤をフレンチとアメリカンオーク樽で熟成させることで、オーク樽由来の複雑なアロマが生まれ、味わいにも厚みをもたらし、トップのインパクトから余韻まで楽しむことができます。


アメリカからは抜群のコストパフォーマンスを誇る人気ブランド、キャッスル・ロックのピノ・ノワール12年。あえて自社畑や醸造設備を持たず、優れた畑および高い醸造技術を持つワイナリー等と契約することにより、効率的に生産拠点を広げています。カーネロス地区の豊かな陽光に、霧と冷たい海風が加わるこの地区は、カリフォルニアらしい豊かな果実味と樽の風味に、エレガントな酸味、適度に熟したタンニンが調和して、絶妙のバランス。ほんのりとしたスパイシーさが味わいを引き締め、食欲をそそります。5年を経て少し熟成感も開いて来た、コスパの優れたワインです。


現在、コストパフォーマンスで最も注目度の高い東ヨーロッパのルーマニアから、ドメーニレ・サハティーニのピノ・ノワール14年。ワイナリーと畑のあるムンテニア地方はブルゴーニュ地方と同じような気候であることから良質なピノ・ノワール種が産出され、果実味と酸味のバランスも良く、少し渋みと土っぽさを感じさせるコート・ド・ボーヌ地区のピノを彷彿とさせる味わいです。タンクで発酵、熟成させ、木樽無しでこのバランスの良さですから驚きます。ここで樽熟成させたものを味わってみたいと思うのは、私だけではないでしょう。


ハードリカーからは、シボーナ社のマディラ・フィニッシュのグラッパ。暑い夏にこそ度数の強いグラッパで暑気払いをしましょう。樽に残ったマディラ酒のふくよかな甘みと、マスカット種のグラッパ特有の華やかな香りの融合が気持ちを落ち着かせ、ゆったりとした気分で食後のひと時を楽しませてくれると思います。


アメリカ・パタゴニア社のポリシーのひとつが自然保護。近年、アウトドア向け衣料の販売だけでは限界を感じ、食物連鎖の修復を目指し、食品を手掛けることになりました。衣料同様、「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える」ことを土台に造られた独自のビールです。通常の大麦だけでは無く、「カーンザ」という土壌改良に役立つ穀物も使って、ビールを醸造。この「カーンザ」は無農薬で、年に複数回収穫ができる多年性の植物。15%程加えられたカーンザの辛みがアクセントになって、多くの人が素直に美味しいと感じる味わいです。飲むことによって、自然保護に貢献しているようで、ちょっと良い気分になれるビールです。


食品ではフランス・マーカル社のポレンタ粉(トウモロコシの粉)を混ぜたマフィンがうちの家族にとても好評です! 卵1個に、だいたい同量(70g)の菜種油、砂糖、ポレンタ粉、小麦粉、牛乳または豆乳にベーキングパウダーをまぜて焼くだけ。黄金色のマフィンはなんとも食欲をそそり、つぶつぶ食感が心地よく、我が家の定番おやつになりました。レシピのもとになったのは、ブラジルのポピュラーなおやつ「ボーロ・デ・フバ 」です。そのレシピが店頭にございますので、どうぞチャレンジしてみてください! また甘さを控えて、チーズなどを加えたらワインのおつまみになりそうです。


「風土火水」は北海道産の有機栽培に特化した食品のブランド。まずは十勝産有機小麦のふすま(小麦の外皮)。有機栽培だからこそ、安心していただける小麦ふすまです。パンやクッキーに混ぜて焼くと香ばしい風味で、ヘルシー志向のおやつが出来上がります。某レシピサイトに載っていたふすま100%のクッキーを作りましたら、スタッフに大変好評でした。そのレシピは店頭にございますので、どうぞお試しください。


最後は「風土火水」の大豆ミート。これを茹でて粉をまぶし、お肉料理(豚の生姜焼きや回鍋肉など)にまぜて作ると、肉と区別がつかない位、肉もどきの食感です。因みに家族もお肉と信じて食べていました。健康に気使うヘルシー志向の方におすすめです!