この独り言に何度か書いていますが、私の年越しは大晦日の夜11時過ぎから時計台の正門横で新年を待ち、12時の鐘の音を聞いて今回で37回になります。
大晦日の夜11時といえば、普通の家庭では「紅白」を見ながら、ご馳走を食べてゆっくりくつろいでいる時でしょう。氷点下の屋外で一人、やせ我慢で冷えたシャンパーニュとキャビアをつまみながら12時を待っていると、頭の中も真っ白に冷えて来ます。こんな時間でも時計台の前には沢山の人がいるのですが、多分私以外の殆どが観光客で、皆さん時計台をバックにスキーウエアー姿で記念撮影をしています。
一応、当社のお客様が来た時の為にシャンパン・グラス数個は毎年用意していますが、あまりに非常識な時間ですから、ここ数年は使わずに済んでいました。ところが今年は、お二人もお客さんが来てくれました。一人、屋外で良質なシャンパーニュを飲んでいても、寒さの為に香りは殆ど感じられません。でも、知っている方と共に味わうと、この寒さの中でも美味しく楽しめるのです。震える手でクラッカーにキャビアを載せてお渡しすると、皆さん手袋をポケットにしまい素手で受け取り、寒さの中で濃厚な魚卵の美味しさを共に味わいます。
そして11時50分を過ぎる頃から、ここに集まった方々は無口になり時計台の時計を見上げるようになります。さらに1分前ぐらいになると、皆が自分の携帯の時刻と時計台とを見比べ始め、30秒前からは何人かのカウントダウンの声が聞こえてきます。そして振り子時計の鐘の音が12回、澄みきった空気の中で鳴り響くと、あちこちから「明けましておめでとうございます」の挨拶と共に、時計台前がまた賑やかになります。毎年大晦日の夜、外で1時間弱立ちすくむ事で全ての煩悩が消えるわけではありませんが、この事が私にとって除夜の鐘の様なものになっています。
当然、今年2018年の大晦日も、38回目の年越しを一人で行っていますので、ご興味のある方は<暖かい格好をして>時計台の前に11時過ぎにお越しください。参加費は無料。そして飲み物、食べ物の持ち込みは大歓迎(当然、ゴミは持ち帰ります)です。ただ、アルコールを飲みますので、必ず地下鉄か、タクシーでお越しください。
さて今月のお薦めワインです。
北海道・最北端の果実の産地である増毛(マシケ)町産ポワール(洋梨)。春頃までの期間限定商品の洋梨で造ったスパークリングワインです。2017年度の洋梨は、色づきが早めでしたが、味、香りともに良い物となりました。昨年から粗濾過タイプになり、若干にごりがありますが、品質には問題ありません。細やかな泡立ちと豊かな香りが楽しめ、アルコール3.5%と低めなので幅広い方に楽しんでいただけます。
仏ボルドー地方からはカスティヨン地区のシャトー・カプ・ド・フォジェール。13年はバッド・ヴィンテージだからと敬遠されていらっしゃるお客様。難しい年だからこそ良い生産者を選べば、お手頃で若くから打ち解けてくれるワインに出会えます。コスパの高いお財布にやさしいワインです。
ブルゴーニュ地方からはウィリアム・フェーヴルが造る1級畑ヴァイヨン15年。ここの自社畑は15.2haがグラン・クリュ畑とシャブリ最大のグラン・クリュ所有ドメーヌです。跡継ぎのいないフェーブル氏はドメーヌを売却することにし、1998年、同じブルゴーニュにあるブシャールの復活に成功していたシャンパンハウスのアンリオ家が獲得しました。今シャブリでも95%は機械収穫ですが、フェーヴルは手摘みで行っています。シャブリ1級畑らしいフレッシュ感と、ミネラル豊かな味わいが楽しめます。
こちらもシャブリで、ジャン・マルク・ブロカール氏のシャブリ サント・クレール16年。やや酸が穏やかだった15年と比べると、酸味とミネラル感が増し、よりシャブリらしい味わいが楽しめます。寒いこの時期の牡蠣にピッタリの逸品です。
次もブルゴーニュで、シルヴァン・ロワシェで赤、白、2種類のワイン。ブルゴーニュで新進気鋭のドメーヌが造る上質でありながらコスパの高いシャルドネとピノ・ノワール。ビオロジック農法で栽培をし、発酵は野生酵母、洗練されたスタイルで 注目を集めている生産者です。コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ白は第一搾汁のみを使って樽発酵をし、ピュアでクリーンな果実味とオーク樽の上品な余韻が楽しめます。ニュイ・サン・ジョルジュ村の赤は1級畑に接するレ・グランド・ヴィーニュ畑のもので、コート・ド・ニュイの畑名のものでは破格のお値段です。しかも優良年の2012年産。無清澄、ノンフィルターで旨味がつまった果実味豊かなスタイルです。
次もブルゴーニュからドミニク・ローランの自社畑でモンテリー村の赤12年。パティシエ(菓子職人)から転身し、ブルゴーニュ屈指のネゴシアンとなったドミニク・ローラン。豊かな果実味と芳香のワインは、ドミニクマジックと呼ばれ、世界中のワイン愛好家を魅了しています。上品なスモーク香、澄んだ果実味と旨味のある、上品なピノ・ノワールです。
モレ・サン・ドニ村の生産者、ユベール・リニエのアリゴテ15年。かつてはリッチで凝縮感が高く、新樽の香りも強かったユベール・リニエのワインですが、故ロマン氏がスタイルを変え、バランスのよいものに仕上げてから、昔の濃さを支持していたアメリカ市場だけでなく、世界的に高い評価を受けるようになりました。こちらのアリゴテは、生き生きとした酸味とふくよかな果実味が調和した飲み心地です。
南仏からはシャトー・ペスキエの赤で桜のラベル15年。パーカー・ポイント92点を獲得したコート・デュ・ローヌ地方の赤です。優良年の2015年は凝縮感のある綺麗な果実味と柔らかなタンニンがあり、パーカー高得点のイメージとは反して、洗練されたワインに仕上がっています。ラベルに描かれた桜も、心地よい旨味と余韻が楽しめるワインのイメージによく合っています。
アルザスのマルク・クライデンヴァイツでクリット畑のピノ・ブラン16年。クライデンヴァイツ氏は早い時期からビオディナミ農法を実践し、1989年よりビオディナミの称号であるデメテールが認定されています。この区画のピノ・ブラン種は樹齢が50~60年と高く、鉄分と小石の多い花崗岩質土壌と共にリッチな味わいを醸し出しています。一般のピノ・ブランより複雑でバランス良く、お食事に合わせやすい白ワインです。
南仏・ルーション地方の名手ガルディエのマ・ラ・カーヴ14年。米「ワインスペクテーター」誌でもルーションの新しい生産者の一人として紹介されています。馬を使って土を掘り返し、肥料も基本的には使用せず、必要な時は家畜の糞と食物をまぜたものを使用します。病気の時は、イオウとオレンジの皮を松脂と混ぜて使用。必要最小限にする為、松脂と混ぜて用います。シラー種主体に、グルナッシュ種、ムールヴェードル種、他をブレンドした赤は、南仏特有のスパイス、ふくよかさがありながら、澄んだ果実味が楽しめます。
シャンパーニュ地方からはドラピエ社のブリュット・ナチュール。このドラピエ社の白眉ともいうべきシャンパーニュは、有機栽培のピノ・ノワール種100%と、ドサージュ(糖分添加)無しの自然な味わいで、自然派生産者のパカレ氏や故ラピエール氏が愛飲していたのも頷けます。ピノ・ノワール種本来の太い酸味と、厚みのある味わいをお楽しみください。今回は希望小売価格7,200円のところ特別価格でのご提供です。
次はスペインのお値打ち白ワイン、アルタビンのプティット・ホワイト16年。2001年創業とまだ新しいワイナリーですが、当主のジョアン氏は代々ワイン造りの家系出身ということもあり、 安定して品質の高いワインを生産しています。ガルナッチャ・ブランカ種主体のワインは、豊かな果実味が酸味とミネラルにより引き締められ、食事が進む親しみやすい味わいが魅力です。
食品からはサンセホのホットチョコレート。ホットチョコートといえば、日本の甘いココアをイメージしますが、これはカカオの風味を楽しめる大人のチョコドリンクです。この商品はスペインの有名デパート『エル・コルテ・イングレス』や、グルメ・ショップで販売されているそうです。これからの季節、バレンタインの義理チョコとしても最適です!
<おいしい作り方>①本格的な作り方は鍋にホットチョコレート粉末と牛乳(150ml)を鍋に入れ火にかけ、ゆっくりと混ぜながら温めます。②お手軽な作り方はカップに粉末を入れ、上から熱い牛乳を注ぎ入れてよく混ぜて溶かします。(少しダマになりやすいです)
サンティアゴのペドラス社のチョコレート。このチョコの名前でもあるサンティアゴの街はキリスト教カトリックの巡礼地として世界遺産にも指定され、世界中から癒しや奇跡を求めてこの地に巡礼にくるそうです。人生を立ち止まり、変わらない存在との出会いを求める旅、幾日間も歩き求めて最終地で味わうチョコレートの味わいは格別でしょう。歩いた人しかわからない領域でしょうが、それを思い巡らしながら食す想像力も神から与えられていることを感謝します!
地元、北海道産のメグデュカ。デュカはエジプトの調味料で、ハーブやスパイスたっぷりのお塩。料理にかけるだけで、お気軽にエスニック風味が楽しめます。地元産の昆布や、スパイスも調合されているので、普段エスニックな味付けに慣れていない方でも十分に楽しめます。パラリとかけるだけで、味わいが変化し、料理のアクセントになり、会話もはずむこと間違いありません!このスパイシーな味わいに合うワインは、南仏のシラー種というのが、フジヰスタッフの意見でした。