2018年 3月

今月は買い物の話。

休日に書店でワイン関係の本を見た後、入口付近に「黒沢明コレクション」と書かれて、名作映画「用心棒」が1,000円で売っていました。黒沢明が監督し、名優「三船敏郎」と「仲代達矢」が戦う有名な作品です。旧作ですからレンタルしても100円ですが、黒沢監督の名作が1,000円なら絶対買いでしょう。しかもこの黒沢映画はシリーズ物で隔週ごとに発売され、第二弾は最高傑作と言われる、「七人の侍」が1,800円で隣に並んでいます。思わず私は、衝動的な大人買いで二作を購入しました。

実は私、封切りで黒沢映画を見たのは「影武者」以降で、真の黒沢ファンとは恥ずかしくて言えません。しかし、こんな値段で少しでもその仲間に入れるのでは?と、思わず買ってしまいました。黒沢映画に興味のある方は、騙されたと思って1、000円の用心棒だけでも買ってみてください。気が乗らずに買う気になれない方は、100円のレンタルでも結構です。この時期の黒沢映画は世界中の映画関係者から絶賛され、世界の最前線にいた事が分かると思います。でも、もし観て面白くなかったら、私に文句を言って下さい。私は真摯に謝るつもりです。

そして、私が一番好きな黒沢映画は「天国と地獄」と、「影武者」。少なくてもこの映画が出るまでは、書店で黒沢映画全集を買い続けます。私にとって美味しい食事やワイン、楽しい映画、こういった休息が毎日の仕事の情熱に繋がっている様な気がします。

さて今月のお薦めワインです。

レ・フィエフ・ド・ラグランジュ14年1/2サイズ。メドック格付け3級シャトー・ラグランジュのセカンドワインです。サンジュリアン村で115ヘクタールの広さを持ち、収穫は手摘みで行い、ステンレスタンクで15~25日間発酵後、新樽を25%使用して樽熟成を行います。深みのある赤色で、ブラックカラント、スパイス、タバコ、チョコレートの香りを感じ、肉厚で長い余韻が楽しめるワインです。メーカー希望小売¥2.640が特別価格で限定入荷しました。ハーフサイズなので気楽に開けられます。

ムーリ村のトップ・シャトーのひとつであるシャトー・モーカイユ14年。その実力はメドックの格付けシャトーに比肩する高い評価を得ています。2014年のボルドーは偉大な年の2015年に隠れてしまっていますが、良質な葡萄が収穫され評論家からも高い評価。2015年産の価格の高騰が著しい中、2014年は価格が抑えられ、消費者にとっては喜ばしいヴィンテージとなっています。

サン・テミリオンのシャトー・ラセグ07年。パーカー・ポイント100点を13回獲得したカリフォルニア、ソノマ地区の「ヴェリテ」。ここのオーナー、ケンダール・ジャクソン社と、ヴェリテのフランス人醸造家ピエール・セイヤンが、サンテミリオン村のシャトーを購入し、共同で手掛けるボルドーワインです。ボルドーで厳しい年となった2007年をよくぞここまで凝縮させて、熟した果実の旨みとオーク樽の上品な風味の調和が楽しめるワインに仕上げたものだと驚きと感動があります。ゆくゆくは、ヴェリテと同様に、ラセグでも100点獲得を目指しているのでしょうか?

次はブルゴーニュ地方から、元DRC(ロマネコンティ社)の社員で、担当はロマネコンティ畑と、ラ・ターシュ畑の栽培だった、オーディフレッド氏。独立した彼が、ニュイ・サン・ジョルジュ村に所有する区画と、賃貸契約できた区画を合わせた0.14ヘクタールから造られた1樽(300本)だけの赤ワイン。オーディフレッドのワインはピュアという言葉を体現したような味わいで、ブルゴーニュの真骨頂といったところ。収穫から5年を経て、少し開き始めた頃でしょうか。

同じブルゴーニュから、ドゥフェ・ラヴノー家のシャブリ1級レ・リス畑で03年産。ここはシャブリでも歴史のある造り手で、有名なフランソワ・ラヴノーとは親戚になります。果実味とミネラル感、15年を経た熟成による複雑な味わいを楽しめます。古酒のお好きな方におすすめです。

こちらもブルゴーニュから、フレデリック・マニャンのモレ・サン・ドニ村クール・ダルジル14年。ジュヴレ村寄りの畑で粘土を意味するアルジルの名の通り、粘土が多い土壌から力強い葡萄を産みます。収量は45hL/haとまるで特級畑並みの少量生産。ブルゴーニュ本来の旨味、果実味、酸味のバランスの取れた味わいをお楽しみください。

バスク地方イルレギーの白。 44年間シャトー・ペトリュスの醸造長だったジャン・クロード・ベルエ氏が生まれ故郷で造る白ワインで、希少な14年産が入荷しました。木樽を使わずにステンレスタンクによる発酵、熟成で、テロワールとグロ・マンサン種の個性を表現したワインになります。凝縮した果実味に、酸、ミネラルが混じり合った、複雑な味わいが楽しめます。

次もブルゴーニュで、シルヴァン・ロワシェで赤、白、2種類のワイン。ブルゴーニュで新進気鋭のドメーヌが造る上質でありながらコスパの高いシャルドネとピノ・ノワール。ビオロジック農法で栽培をし、発酵は野生酵母、洗練されたスタイルで 注目を集めている生産者です。コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ白は第一搾汁のみを使って樽発酵をし、ピュアでクリーンな果実味とオーク樽の上品な余韻が楽しめます。ニュイ・サン・ジョルジュ村の赤は1級畑に接するレ・グランド・ヴィーニュ畑のもので、コート・ド・ニュイの畑名のものでは破格のお値段です。しかも優良年の2012年産。無清澄、ノンフィルターで旨味がつまった果実味豊かなスタイルです。

シャンパーニュ地方からは、ラミアブル社のブリュット。品種はピノ・ノワール種主体で、果実味豊かなスタイル。ここが生産するシャンパーニュは殆どが国内で販売され、輸出されるものは全体の10%ほど。日本での知名度は低いですが、フランス国内での評価は高く、上質なシャンパンとして知られています。小売価格5000円が特別価格で入荷しました。

イタリアからはサン・パトリニャーノを代表する「アヴィ」サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャ14年。サン・パトリニャーノはイタリアの麻薬等の薬物中毒の更生施設で、若者らが技術習得と社会復帰を目的として、葡萄栽培、酪農、織物製作等で働いています。そのワイン部門のトップ・キュヴェがアヴィで、凝縮した果実味とタンニンがたっぷりの赤。希望小売¥6000のところ特別価格でのご提供です。

伊ウンブリア州のスポルトレッティ社ヴィラ・フィデリアの白13年。スポルトレッティは何代も続く農家でしたが、ワインを主力になったのは1970年代から。ウンブリア州ペルージャ郊外アッシジの丘陵地に26haの畑を所有する、家族経営のワイナリー。ヴィラ・フィデリアの白は、グレケット種とシャルドネ種を樽発酵、樽熟成させた、果実味と樽香が調和した、高コスト・パフォーマンス・ワインです。

アブルッツオ州からはファルネーゼ社のジロで3Lのビッグ・ボトル。パーティーに持参すれば、スターになる事間違えなしの瓶です。モンテプルチアーノ種の赤は、4~7ヶ月新樽で熟成させているので、熟した赤い果実の複雑なアロマに、 チョコレートや樽からのスパイシーな風味が感じられます。今でも楽しめますが、しっかりした骨格があるため、この先、長期熟成させることが出来ます。

スペインからはK5ワイナリーのピロタ15年。スペイン北部で、フランス国境に近いバスク地方出身の有名シェフ、カルロス・アルギニャーノ氏がプロデュースした微発泡白ワインのチャコリです。チャコリ独特の飲み方として、瓶を高く持ってテーブルの平たいグラスに勢いよく注ぎ入れ、発泡させてから飲むのが流儀といわれていますが、これはカジュアルなチャコリの話。このピロタは、白ワイングラスであくまでも白ワインとして飲んでいただきたい、とのことです。オンダラビ・ズリ種をオリと共に5ヶ月間熟成させた極上のチャコリは、シーフードと共にお楽しみください。

こちらもスペインで、フミーリャ地方アテカ村のオノロ・ベラ16年。ジャケ買いしたくなる、白黒の大胆な女性の顔のラベルです。オノロは創業者の曾祖母の名前、ベラは祖母の名前で、祖父の名前は「ファン・ヒル」として残っているので、母方の名前も残したいと願ってワイン名にしました。ガルナッチャ種からの熟したブラック・チェリーの色で、赤い果実(ラズベリー、スグリ)、ミネラルやバルサムを思わせる強い香りがあります。少し甘い風味の果実とタンニンがパワフルで、インパクトのあるスペイン・ワインです。

カリフォルニアからはデリカート社のウッドヘーヴン・カベルネ・ソーヴィニヨン13年が特価で入荷しました。デリカート・ファミリーは、アメリカン・オブ・ザ・イヤーに3度受賞するなどアメリカを代表する大手優良生産者で、ウッドヘーヴンはハイコストパフォーマンスのワインとして人気の高いシリーズです。カシスなどの豊かな果実味に、フレンチとアメリカンオーク・チップによる香ばしいオーク香が合わさり、味わいに広がりを見せる飲み応えのあるワインです。輸入元の終売による特別価格です。