夏休みは家内の実家がある東京へ行きました。
毎年、話題の街や施設を見ながら、何か面白い物は無いかとキョロキョロしています。実は私、スーパーとデパートが大好きなのです。40年前に初めて青山のスーパー「紀ノ国屋」を見て品揃えの素晴らしさに魅了され、30年前、売り場に伝説のバイヤー、勝山さんがいた頃の広尾のスーパー「ナショナル麻布」では、飛ぶようにワインが売れて行くのを茫然と見ていました。
そしてデパートだと、新宿の「伊勢丹」です。本当に品揃えも売り方も素晴らしく、食品と酒売り場で半日は過ごせるのですが、一番好きなのは本館の隣にある「メンズ館」。ジャケットが5~10万円、靴は7~10万円以上と呆れてしまう価格。その時の私の姿は、安価なポロシャツと半ズボンにサンダル履きで、こんな人はここでは絶対に購入はしないと断言できるスタイル。普通はここで気おくれしてしまうのでしょうが、良く見ると値札の価格表記は裏側か、表側でも小さくしか表示されていません。だから値段を見ずに眺めるだけだと、「ビビ」らない事に私は気付きました。
自分が中学、高校の頃は、「VAN(ヴァンジャケット)」の服を着たら、カッコよくなれると思っていました。でも大人になって気付いた事は、ブランド品を着ても変身はできず、自分は自分以外にはなれないという事。とは言っても伊勢丹メンズ館でかっこいい服を眺めていると、いつかはここで似合う服を購入できる人になりたいと思います。メンズ館さんには申し訳ないですが、今の所は無益な客である私をお許しください。
それでは今月のおすすめワインです。
仏ボージョレからはマルセル・ラピエール レザン ゴーロワ、久々のご紹介です。自然派ボージョレの先駆者であった故マルセル・ラピエール氏。今は奥様のマリー女史と息子さんのマチュー氏が引き継ぎ、ピュアなボージョレを造っています。ガメラー(ガメイ種好きなお客様)必飲の1本。あまりの人気に輸入元で欠品していて、当社在庫が無くなると次回入荷は早くて11月以降になるそうです。
南仏からは、「ヴェルジェ・デュ・シュド」シリーズのオー・フィル・デュ・タン ルージュ。収穫年や熟成による差異を少なく、安定した品質を保つために毎年、新酒を継ぎ足してタンクで熟成させています。まるで鰻屋さんのタレのようにしているので、チョット練れた風味と若い果実味が融合しています。何時飲んでも飲みごろで美味しく楽しんでいただけます。デイリーワインにもってこいな逸品です。また、先月号でご紹介しましたブラン(白)もお薦めですのでお試しください。
ブルゴーニュに住む仲田晃司氏が、南仏の葡萄で造るルー・デュモン・紅の豚。ジブリのプロデューサー鈴木敏夫氏のラジオ番組「ジブリ汗まみれ」に仲田氏が出演した折、映画 『紅の豚』の大ファンである仲田氏のために、鈴木氏が書き下ろした書をラベルにしました。ラングドックのメルロ種主体の果実味の豊かさとシラー種からのスパイシーさが融合し、バランス良く仕上がっています。仲田氏は南仏の葡萄も上手に作ります。氏の新たな挑戦をお楽しみください。
イタリアからは、ボッター・カルロ社サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャ リゼルヴァ。1928年よりイタリア北部のヴェネト州、ピアーヴェ河流域にてワイナリーを営むボッター社。家族経営の伝統を守りながら良質でコスト・パフォーマンスの優れたワインを造り続けています。サンジョベーゼ・ディ・ロマーニャは、エミーリア・ロマーニャ州産のサンジョベーゼ種からの赤ワイン。この価格でもリゼルヴァ規格ですから、樽を含め2年以上の熟成を経たワイン。芳醇で豊かな果実味と、樽熟成による複雑さが楽しめる人気ワインです。
イタリアからの白では、モンカロ社レ・ヴェレ ヴェルディッキオ クラシコ。マルケ州北部にあるモンテカロットを中心に約800ヘクタールを所有する協同組合の白。安定した高品質のワインを生産することで国内外の人気も高く、ガンベロロッソ誌など国内の評価本では常に高い評価を受けている生産者です。レ・ヴェレは樽を使わずに造られたフレッシュな果実味を楽しむ爽やかな白ワインで、現地でもアドリア海の豊富な魚介類と合わせられており、魚介のパスタやオリーブオイルを使った料理との相性は抜群です。
南イタリア・プーリア州からはヴィニエティ・デル・サレント社イ・ムーリ ネグロアマーロ。日中は大変暑く、6月から収穫の時期までの約3ヶ月は40度にもなります。しかし夜は冷たい風が畑の中を吹き抜けるため、昼夜の寒暖差がもたらされ、畑が暑くなりすぎるのを防いでいます。ネグロアマーロ種はタンニンがしっかりしているため、樽熟成させることにより柔らかくなります。カシスやブラックベリーなど黒い皮の果実の強い香りが広がります。しっかりとしたタンニンがありますが、口当たりはベルベットのようにしなやかでとてもバランスがとれています。
シチリア島からはカステラーニ社「ボッサート」シリーズのグリッロと、ネロ・ダヴォラ。イタリア各地でコスパの高いワインを生産するカステラーニ家のシチリア産白と赤。太陽の恵みを存分に受けたワインは、暖かさを感じるアロマに完熟した豊かな果実味を持ち、魚料理から肉料理まで幅広く料理にも合わせられ、食卓を楽しませてくれます。
スペインからは、イヌリエータ社ナバエルス ナヴァラ。日本限定で造られた特別のワインで、名前はナヴァラ地区からの造語です。緑豊かで、風が強く風力発電が盛んな地域で、あちこちに強大な風力発電機があるようです。イヌリエータ・ラベルのワインを造る全ての段階で選別し、基準に僅かに満たないものをブレンドして、このナバエルスになります。また、全てがナバエルスになるわけではなく、劣るものは地元の農協へ一部バルクで売っています。「飲みやすいをリーズナブルで」が、モットーのコスパワインです。
ファン・ヒル社ペドレラ。1916年設立のファン・ヒルは、4世代に渡ってワインを造り続ける南のフミーリャ州を代表するボデガです。ブレンド用とされていた品種モナストレルにこだわり、品質を求めて収量を制限しています。モナストレル種の肉厚な果実を、シラー種のがっしりとした骨格と緊張感が絶妙のバランスで支えるパワフルな赤ワインです。このワインをタンクで輸入し、日本で瓶詰した為、美味しさはそのままでお安くなりました。
ドイツ・モーゼル地方からはフリッツ・ハーク リースリング QbA トロッケン。ミシュラン三ッ星レストランのワインメニューに、ドイツワインを代表してオンリストされることが多いハーク家の辛口ワイン。このワインも、そうしたレストランのために造られています。温暖化の影響で、以前よりも尖りのある酸の取れたモーゼルの繊細な味わいは、まさに和食にもぴったりです。
アメリカ・カリフォルニアからはダックホーン社メルロ ナパ・ヴァレー。ダックホーンはナパヴァレー地区セントヘレナの北に、ダンとマーガレットのダックホーン夫妻により1976年に設立。当時ブレンド用品種として見られていたメルロ種を、主体にしたワインで大成功を収めました。メルロ種は今日に至ってもダックホーンを代表するワインとして評価を受けています。滑らかな口当たりに柔らかなタンニンが心地良く、長い余韻にはしっかりとした濃さも楽しめます。仏サン・テリオン村の赤ワインを思わせる上品な味わいです。
ニュージーランドからはオーバーストーン社ソーヴィニヨン・ブラン。ニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランでは、おそらく最安値でしょう。しかも品質が良いと、いいとこづくめの白ワインです。木の芽や草原を思わせる爽やか系。冷蔵庫に常備しておきたい逸品です。
また同じニュージーから、フライング・キウィ社のシャルドネ。コストパフォーマンスが高く、当社では大好評のフライング・キウイ社の白が再入荷しました。この価格でも、樽で発酵・熟成をしている贅沢な造りで、樽の香ばしさにも負けない豊かな果実味と、心地よい酸味が絶妙に合わさっています。少しこなれた2014年というのも魅力的です。
ハードリカーでは、辰巳蒸留所のアルケミエ・ジン。岐阜県郡上(グジョウ)市の八幡(ハチマン)町で造るクラフトジン。取り扱いをしたくて随分待ちましたが、やっと入荷しました。18年の春の蒸留から、夕張で使われていたポットスチル(単式蒸留機)を移設して蒸留した物をブレンドしているとのこと。何か里帰りした娘のようで身近に感じます。数量限定で入荷ですので、お早めに!
佐渡島北雪酒造の北雪 金星 生貯蔵原酒。創業時から造られている北雪を代表する金星の生貯蔵原酒。冷酒からお燗まで幅広く楽しめるお酒で、料理にも合わせ易いので用途に合わせて一年中楽しむことができます。原酒のためアルコール度数が高いので、オンザロックや、炭酸割で飲むのもおすすめです。残暑にひんやりとしてお楽しみいただけます。
素焼きカシューナッツ500g。生産地が高温・干ばつによる天候不順で生産が減少し、ナッツ類の高騰が続いています。更に健康志向ブームによりナッツの需要が増えているようです。今回入荷したカシューナッツは、ナッツの老舗専門店のもので、炒りも程良く品質も高い物です。500gとかなりの量ですが、業務店様、ヘビーユーザーの方にオススメです。