2022年 2月 店主の独り言

 今月は今更ですが、大晦日のお話。

 ご存じの方も多いと思いますが、私の年越しはいつも時計台の前で、鐘の音を聞きながら新年を迎えています。人に言うと笑われますが、1980年の大晦日から40年間ほぼ一人で、夜の11時過ぎに時計台の前に行き、極寒の屋外でシャンパーニュを飲みながら12時の鐘の音を聞いていました。数えると、2020年の大晦日で40回になります。そして2021年の大晦日も、夕食を終えて8時前に2時間程の仮眠をして、41回目の年越しに向かう予定でした。

 しかし、今年の夏はコロナのまん延防止対策で、飲食店での酒類提供が禁止となり、当社は3ヵ月間休業している様な売上になってしまい、体がなまってしまいました。その禁止令が解けて10月過ぎから急に忙しくなり、11~12月は怒涛の勢いの様でした。準備運動無しで全力疾走した為か、31日の10時過ぎに仮眠から起きようとしても、腹も痛くなって全く起きる事が出来ません。今年の泡は、余市・木村農園の葡萄で造ったココファームのスパークリング・ワインを用意し、グラスもちゃんと洗っていたのにです。

 そんな訳で41回目で、初めて時計台の年越しを欠席しました。これを始めた理由は、うちの家族は私が中学生の頃まで北1条西3丁目にあった果物屋、フジヰ食料品店の4階に住み込みの従業員さんと共に暮らしていました。今、時計台の隣に建つ時計台ビルの場所には、50年以上前に清水建設札幌支店があり、東の仲通側にはその会社の寮があって、そこに暮らしていた娘さんと、時計台裏の芝生でママゴト遊びをしていました。こうして私は時計台と共に暮らした思い出があって、あるきっかけから年越しを時計台でするようになりました。雪もちらつく冬の真夜中、氷点下の屋外で冷えたシャンパーニュを飲むという無謀な事に参加する人は普通いませんが、時々ですが、当社のお客様が参加される事があるので、毎回、グラスは6個ぐらい持参しています。もし、2021年の大晦日に来た方がいたら、もう謝るしかありません、ごめんなさい。今年2022年の大晦日は、体調を整えて11時過ぎには時計台の前に居るつもりです。

 毎年の事ですがこれは営業活動ではないので、私に声を掛けてくれればどなたでも無料でワインをご馳走しています。ただ、40年かけて色々なシャンパーニュの銘柄を飲みましたが、氷点下の屋外では香りはほぼ分かりません。味わいは辛うじて感じられますが、本来の味わいの1/3程度しか感じ取れないと思っています。こんなやせ我慢のエーカッコシイを本当にやっているのか確かめたい方は、温かい格好をして31日の11時過ぎに時計台へお越しください。よーく冷えたシャンパーニュを飲みながら、12時の鐘の音を聞くと、足元は震えて来ますが頭の中は真っ白になりますよ。