2022年12月 店主の独り言

2022年で私は63歳ですが、札幌が市になって今年で100年だそうです。

この市制100周年の記念講演会が札幌市中央図書館で11月に行われ、札幌の出版社・亜璃西(アリス)社の和田由美さんが札幌駅前通りの街並みの変化や文化の歴史について話をされました。この講演で多くの時間を掛けたのは、1951年黒澤明監督が札幌を舞台にした映画「白痴」。私も昔に一度見ましたが、まだ白黒映画でアクションシーンもなく、娯楽映画好きな私にとっては暗く重たい印象が残っています。和田さんは街は破壊と、創造を繰り返し発展する、無くなった風景や建物は人の記憶の中にしか残らないが、こうして映画になることで、昔の札幌を今も見ることが出来るとおっしゃっていました。

また亜璃西(アリス)社が今年出版した本「さっぽろ燐寸(マッチ)ラベル グラフィティ」の中から、札幌にあるお店のマッチ箱の写真もたくさん紹介されました。このマッチは札幌の上ヶ島オサム氏が収集したもので、飲食店だけではなく旅館、商店、銀行、メーカーなど多岐にわたります。上ヶ島氏はマッチラベルだけで何と数十万枚所有し、札幌関連だけでも数千枚、今回の本には厳選した約1200枚が掲載されています。上ヶ島氏は小学校の頃からマッチを集め始めたそうですが、未成年だった自身は当然ですが両親や家族もタバコを吸っていなかったそうです、不思議ですね。

先月は、札幌の南3条通りのカレンダーのお話しで、今月もこうして地元ネタとなりましたが、皆さんにも書店で「さっぽろ燐寸(マッチ)ラベル グラフィティ」を是非見ていただきたいと思います。たった数センチ角のスペースに「店名」「住所」「電話番号」と共に描かれたイラストが皆センスが良く、和風あり、洋風あり、アールデコっぽかったり、独自の味わいが感じられます。

話は戻って映画のお話。札幌が舞台の映画で私のおすすめは、1996年の怪獣映画「ガメラ2レギオン襲来」。ススキノ十字路の角にあったデパート「札幌松坂屋」が怪獣の巣となり、ガメラと共に怪獣が札幌で暴れまくります。しかしこの建物の実際の運命は紆余曲折を経て何度も名前が変わり、最後は「ラフィラ」の名称で廃業し怪獣ではなく解体業者によって2020年に取り壊されました。もう1本はちょっとマニアックですが、1989年吉本ばなな原作の映画「キッチン」。この映画は函館で撮影されましたが、一瞬ですが札幌・地崎バラ園前にある美しい夜景で知られるBAR、「N43」さんの白い屋外通路が登場します。近年の映画では、やはり2011年からの3部作・大泉洋主演の「探偵はBARにいる」になるでしょう。