< 2024年 4月 店主の独り言 >

 今月は私のお話し。

 先日、今話題の手稲稲穂にあるレストラン、パルコフィエラさんに食事に伺いました。このお店は色々な意味で独特なレストランです。まずロケーショは郊外なので可愛いお庭があるような一戸建てのレストランではなく、JR稲穂駅から徒歩1分以内の建物の1階に入っています。私は初めてこの駅に降りましたが、一戸建てが並ぶ住宅街で駅前にはコンビニすらない無人駅でした。

 店内はL字カウンターで定員9名の小さなお店。ここではランチは12時、ディナーは18時に一斉スタートで、お客はこの時間に合わせて来店しなければならず、遅れると食べられないメニューがあるとか。料理のコースは1種のみで、昼、夜共に一人20,900円。肉や魚のメニューでチョイスは無く、(ある意味独裁者の)中條シェフに全てお任せです。

 私の知人で、イタリア在中の日本人の方が札幌に来る事となり、その人から是非ここで一緒に食事をしてみませんかとお誘いを受けて、家内と3名で伺いました。シェフはカウンターの前でほとんどの料理を一から作って行きます。シェフの信念は塩とオリーブオイル以外の調味料は自分で作るらしく、お酢各種、アユで作った魚醬、木の実で作る味噌、等々、そして真骨頂は10種類以上ある生ハムまでもが自家製です。ある一皿は柵の魚に金串を差し、薪火の上でレア状態に火を通し、和包丁で切り分けます。そしてお酢、マスタード、魚醬等で味付けをして、その日同席した3組8名の方々に提供されます。

 昔テレビで見た、「料理の鉄人」さながらの光景を目の前で見ながら、出来上がった料理を一品、一品味わってゆきます。数えてはいませんが、生ハム類を入れると10皿以上のメニューがどんどん続き、時間は3時間を超える長丁場。来店されるお客様は8割が本州から、1割が海外、最後の1割が道内の方。飛行機賃と宿代を考えても、このコース料理は一人3~4万円払ってでもシェフの独創的な料理を楽しみたいと思える価値があると思います。

 私は今、この瞬間、ここにしかない味わいの世界を体験できる唯一のレストランとして、札幌の宝物とも言えるお店だと思います。最後にここの生ハム類が、前に「独り言」でお話ししたココノ・ススキノ地下1階にある肉屋さん「エルムの山麓」で切り売りしています。気になる方は一度味わってみませんか。