今月はワインの試飲のお話。
毎土曜の午後に行っていた試飲会は、コロナ禍で昨年の2月から中止のまま。実は毎金曜日の閉店後に当社スタッフで試飲を行い、その残りを翌日の午後からお客様にご試飲いただいておりました。そして2月以降も、毎金曜閉店後の社内試飲は続けています。その本数は金曜夜で18種類、更に多い時は土曜にも数種試飲をしています。
土曜の試飲会が無い今、開けた18本のワインで見込みがありそうな物は、保存容器に入れて得意先の飲食店の方が来店されると、店内で試飲をお薦めしています。でも保存容器も10個程しかなく、残ったものはスタッフで分けています。この状態が1年以上続いているので、新着ワインの試飲を目的にお寄りいただくソムリエさんも増えて来ました。さて、皆で分けたワインは各自、家に持ち帰って飲むのですが、試飲と違ってその時々の食事と共に飲むわけです。試飲はワイン単体で味をみますが、食事と共に味わうと印象が異なることが多いのです。
例えば、ワインに苦みや酸味が目立つと、試飲のメモには欠点として記載しますが、油っぽい料理と酸味豊かなワインは調和しますし、山菜や根菜類と苦味のあるワインを合わせると旨味を感じさせます。こうして食事と共に味わうと印象が変わり、世の中に不味いワインは無いんじゃないか?と思ってしまいます。そんな訳で、最近の私は料理との相性を考えるようになり、ソムリエさんの気持ちが少し分かって来ました。
そんな時、お客様に勧められて観たのがNHKの番組「あてなよる」です。今までのテレビ番組は、食べたことが無いような素晴らしい料理と、最高のワインを有名ソムリエがサービスする形が多かったと思います。しかしこの番組は、日頃食べている様な何気ない食材を使った創作料理に、実力派で知られる若林ソムリエが多分2~3、000円位までの普通のワインを中心に、日本酒、ビール、焼酎、ウイスキー等をちょっと変わった方法で合わせて行くという内容。お酒単体での味わいと、食事と合わせた時の印象、更に提供する容器や、ストレートに味わうか、水で割ったり、お湯や氷を入れたり、様々な方法を用いて、より楽しく味わう方法を提案しています。
ワイン評論家が100点評価した様な偉大なワインではなく、普通のワインを家にある容器や、食材を使ってお値段以上に楽しむ方法。これは正に家飲みの最適な楽しみ方ではないでしょうか。民放ではないので、具体的なお酒の銘柄名は出ませんが、「あてなよる」は、久々に多くの方にお薦めしたいと思ったテレビ番組です。