今月は温泉のお話。
時間が空いてしまいましたが、函館の親戚に会って来ました。ただコロナ禍と先方は高齢でもあるので、マスク越しで要件を話し、お宅には泊まらずに妻と二人で東大沼のキャンプ場で2泊と、感染対策をして旅館に2泊して来ました。そしてせっかく函館に行ったので、家内が好きな源泉かけ流しの温泉を数ヵ所回って来ました。
先に言っておきますが、家内は超豪華よりはひなびた秘湯的な温泉の方が好みです。最初は函館市の郊外、西ききょう温泉。ここはお湯の質重視で豪華さはありませんが(失礼)、確かに熱くて少し黒っぽいお湯に浸かっていると肌がツルツルして来ます。まずカーナビに住所を入れて、この場所に着くまで幹線道路から細い砂利道に入って少し走ります。周りは建築会社の資材置き場が続き、途中で道を間違えたのではと確かめた程。そして見つけた建物は古いバッティングセンターか、資材倉庫といったムード。正式名称は西ききょう健康グランドで、横には野球のグランドもありました。ここの湯船は直径2メートル程のコンクリート製で、水道用の土管を輪切りにした物。これが3つあり、温度がぬるめと、熱いのと、超熱い、になっています。ここに行ったのが15時頃だったので年配の方が多く、皆さん涼しい顔をして「超熱い」に入っていました。あの時、私も我慢して超熱いに入っていれば、函館の温泉仲間に入れたかもしれませんが、片足を入れただけで私には無理でした。
次は函館から車で海沿いを西に1時間強走った、恵山(エサン)温泉旅館。ここのお湯がまた凄く、PH2.1の強酸性でちょっと口に含むと明らかに酸っぱく、お湯を手にすくって顔を洗うと、目をつぶっていても瞼(マブタ)がチクチクします。脱衣所には「強酸性温泉の為に石鹸が使えません」と大きく書かれています。このお湯で、時計やアクセサリー類も黒ずんでしまうそうです。このお湯で体を殺菌した後はお食事。海に面した恵山は漁港が多く、魚づくしの料理でした。驚きは鱈(タラ)のお刺身で、厚さ1センチ程に切られた身は淡白でヒラメの様。ワサビ+醤油ではなく、持込させていただいた千歳ワイナリーのケルナーを、お醤油に少し垂らして鱈のお刺身をいただくと、とても相性が良くなりました。でも私の一番は、濃厚な味わいがしみ込んだ「いかめし」で、複雑な味わいはちょっとチーズを思わせます。建物も新しくはありませんが、お父さんの美味しい魚料理をお母さんと娘さんが部屋まで運んでくれるのを見ていると、ほのぼのとした気持ちになりました。こちらも秘湯好きの方にお薦めします。
そして最後は、八雲から内陸に入ったおぼこ荘。先の2ヵ所はちょっとマニア向けな温泉でしたが、こちらはどなたにもお薦めできる綺麗で設備の整った温泉宿。建物の横を清流が流れ川岸まで下りて散策すると、川横の岩盤の割れ目から2メートル程の滝を見つけました。先ずは温泉、茶色に濁ったお湯はしっとりと肌になじみ、鳥や虫の鳴き声と、渓流の音がこだまする露天風呂はまさに天国。更に内風呂は源泉が別で、色も違って二つのお湯が楽しめます。食事はいろりコースをお願いしました。こちらは炭火で魚介類を自分で焼きながら食事をします。実は魚料理でも焼くことで焦げ目が付くと、赤ワインと相性が良くなります。そこで持ち込んだのがカリフォルニアのピノ・ノワール種で、生産者はアルタ・マリア。涼しい海岸沿いのサンタ・マリア・ヴァレー地区で、8年を経た2013年産。タンニンの強いカベルネ・ソーヴィニヨン種は肉料理に合いますが、柔らかな果実味のピノ・ノワールだと炭火焼の魚やエビに寄り添ってくれました。こうして数日間、仕事をせずに温泉とご馳走を食べた代償は体重の2キロ増。これから溜まった仕事と、減量が私を待っています。