2024年7月末、家内と共に函館に行って来ました。
ブルゴーニュ地方ヴォルネ村の名門、モンティーユ家が函館で始めたワイナリーの開所式に出席する為です。オーナーであるエティエンヌ・モンティーユ氏は2015年頃から毎年、地質学者や専門家を同行して北海道内をメインに様々な産地を回って理想の畑を探していました。そして2018年函館・桔梗(キキョウ)町に決定し、2019年に葡萄の植樹がスタート。当初は1~2ヘクタールの規模でしたが、今回観た畑は20ヘクタールほどに広がり、更に近隣の拡張をしていました。モンティーユ家はピノ・ノワール種の名門ですから、植えられた葡萄は当然ピノ・ノワール種でしたが、気候も、風土もヨーロッパとはまるで違う日本での栽培なので、いくつもの区画に分けられた畑には実験的な試みが感じられました。
開所式はモンティーユ氏のご挨拶から始まり、フランス大使館の農務参事官、道庁副知事、今話題の函館・大泉市長、国税庁、10Rワイナリー・ブルース氏の祝辞が続きます。次にワイナリー内部を見学し、外に出て広大な畑を回って行きます。畑のある桔梗町は内陸の斜面にあり、函館山や海を見下ろす風光明媚な場所。各区画では同じピノ・ノワール種でも苗木のクローン別だったり、挿し木する台木の種類、あるいは挿し木せずに自根栽培だったり、木の仕立て方だったり、様々な様式で葡萄が栽培されていました。フランス本場のやり方をそのまま持ってくるのではなく、この場所にとって最適な方法を見つける為に、研究を続けている最中といった感じでした。
夕方になり、街の明かりが灯りだした頃に会食が始まります。食事はブュッフェ・スタイルで、函館「メゾン・フジヤ」さんのフランス料理だけではなく、「清寿司」さんの寿司、「二代目・佐平治」さんの前菜、「ワインダンサー」さんの前菜、そして熟成した沢山のチーズが並んでいます。飲み物は当然、モンティーユさんのワインですが、本家のブルゴーニュ産と、モンティーユさんが函館と共にアメリカ・サンタバーバラ地区で始めたカリフォルニア産と、北海道産の3地区のモンティーユ・ワインが並び、他に上川大雪・五稜乃蔵の日本酒もありました。参加者は160名程で、その半分近くが多分フランスからの方々でした。
外人さんの奥様方の何人かは、映画俳優のような背中の大きく開いた原色のドレスを着ていて、まるで外国映画で観たパーティーの様。フランスでワインを飲むというのはこういう事なんだと思いながらも、僕は出ていた15種程のワインと日本酒を必死に試飲を続けます。一方、家内の興味は食事のようで、僕に飲んでばかりいないでこのお寿司美味しいよ、このお肉も食べてごらんと、時々おすすめ料理が僕に渡されます。函館は元々海の幸、山の幸に恵まれた食の街。更に近年はワイナリーも増えて、この地が余市、十勝、岩見沢・三笠に続いて北海道を代表するワイン産地になると実感した旅でした。最後に宿泊したビジネスホテル・グローバルビューの朝食が素晴らしく、特にイカのお刺身を食べた時、僕は仕事抜きで函館の美味しさをしみじみ味わいました。