昨年、家内が帰省した際に奇妙な靴を買ってきました。
スニーカー風ですが、地下足袋(ジカタビ)の様につま先が親指と、残り4本指の二つに分かれていて、これで歩くと疲れないと言って履いています。この靴の直営店が東京の京橋にあるから、今度行って履いてみるといいよと言われ私も行ってみました。その日は試着に備えて、5本指ソックスを履いてお店に向かいます。「味の素」「清水建設」などの本社ビルが立ち並ぶ中で中通りに面したビルの1階にショップがありました。11:30頃でしたがお客さんは結構いて、半分が欧米の若い方、残りは私も含めて50代以上の年配の日本人。お客さんの足元を見ると、多くの方がナイキ、ニューバランス、オニツカ等のブランドスニーカーを履いていました。
売れ筋の布生地製でソールがスニーカー風の靴を履いてみると、確かに足指が地面をつかむ感じがして具合が良いのです。しかも価格は7700円と思ったより高くありません!赤、白、黒の3色の中から黒を選びましたが、黒はつま先割れが目立たず、この日着ていたジャケットとネクタイ姿でも違和感がありません。会計後に私が履いていた靴を袋に入れてもらい新しい靴で東京を歩いてみましたが、とにかく足取りが軽くなりスタスタ歩けます。調べてみるとブランドの「マルゴ」は倉敷で1919年創業の丸五足袋(マルゴタビ)株式会社がルーツで、足袋のメーカーが外履きも出来るように足袋に当時の人力車のゴムタイヤ部分を貼り付けた「縫い付け式地下足袋」を作り発展した会社でした。
しかしお祭りの足袋と、建築業の地下足袋では一般の方には馴染みがありません。そんな中2000年以降、欧米から「クールなニンジャ・シューズを作って欲しい」という声を受けてカラフル化とデザイン化が進み、先割れのスニーカーや靴が出来たそうです。100年以上続く足袋メーカーが新しいジャンルの商品を開発し続けた事で、デザイン先行ではなく足袋の良さを合わせ持った独自の靴が生まれたのでしょう。初めて先割れの靴を見た感じはちょっと野暮ったく感じるかもしれませんが、歩いていただくと靴の中で指が動いて地面をつかんでいる感じは他では得られない感覚です。また、メーカーのホームページを読むと、この靴は姿勢改善や外反母趾の予防にも効果があるようです。ちょっと革新的な考えと、勇気がある方にスニーカー風足袋靴をオススメします。
