< 2025年 8月 店主の独り言 >

 先月、叔母(母の妹)が亡くなりました。

 私の両親は随分前に亡くなっていたので、息子が幼稚園の頃は叔母が運動会も見にきてくれて、私の母親のような存在でもありました。私の父は祖父が経営する果物屋、フジヰ食料品店の息子として育ちました。母の伊藤家は青森の農家出身で、札幌に来てフジヰで働き父と出会い結婚したそうです。幼い私にも札幌で生まれ育った父と、地方出身の母は全然タイプが違うと思って育ちました。しかし父は私が小学校4年の時に事故で亡くなり、肝っ玉母さんタイプの母に育ててもらいました。父の藤井家は男の兄弟が3人いましたが皆、短命で、逆に母の伊藤家は女性が多く長命で、嫁いだ先で夫が先に亡くなると、うちの様に女手一つで家業を発展させる親戚がありました。

 今になって思うことは街っ子だった父はセンスは良かったが生命力が弱く、母は田舎者だけどエネルギーに満ち溢れていたので父は惹かれたのかもしれません。その子供である私と専務の弟は父のセンスと母のエネルギーを引き継ぎ、今も兄弟二人で力を合わせてワイン屋を経営しています。そしてうちの息子は調理師として飲食店で働き、専務の息子は現在フジヰの事務仕事を手伝ってもらっています。身内の死があった事で普段は考えもしない事に思いをはせ、親だけではなく先祖のおかげで今があり、今の努力の先にきっと将来があるのでしょう。

 不安定な社会情勢ですが、お越しいただくお客様に楽しんで買い物をしていただき、家族や仲間と楽しい食卓を過ごして頂ける事を願って毎日仕事を続けています。元は果物屋からこうしてワイン屋になり、将来は何屋さんになっているかは分かりませんが、次世代もお客様に喜んでいただける商売を続けて行きたいと願っています。