2021年 12月 店主の独り言

 今月は少しマニアックなお話。

 店内で鳴らしているオーディオ機材を、少し改良しました。今使っているスピーカーは札幌・苗穂にあるラヴ・ワークス・サウンド工房製(左右ペアで7万円)。直径8センチ程の小さなフルレンジ・スピーカーを、高さ26センチ×幅16センチ×奥行き24センチの箱に組んだ物。これ以前は英モニター・オーディオ社製のスピーカー(左右ペアで約10万円)でしたが、ラヴ・ワークスの音が気に入りこちらで数年間鳴らしています。私のイメージではノイズが少なく、クリアーな音が低音から高音までストレスなく再生する感じです。そしてモニター・オーディオの前は、30年以上前から米JBL社のコントロール1(左右ペアで約5万円)というこちらも小さなスピーカーでした。これも大変気に入り、途中からコントロール1用のサブ・ウーファー(低音専用のスピーカー・1台約5万円)を購入し、左・右+ウーファーの形で使っていました。

 さてある時、使っていないJBLのサブ・ウーファーを今のスピーカーに組み合わせてみてはどうだろうと思いついたのです。何だ、かんだ言っても、低音再生は大きな箱には勝てない気がした為です。そこで休みの前日、閉店後一人で脚立に登り、棚板に穴を開けて配線をセットし、作業を終えたのは朝の3時過ぎ。そして鳴らした音は、驚くほどに臨場感が出て来ました。アンプからの音声信号をまずウーファーのSB-1につなげ、SB-1の出力端子からラヴ・ワークスの左右スピーカーにつなげました。SB-1は入ってきた音の信号を周波数で二つに分け、50Hz(ヘルツ)~150Hzの低音域だけを鳴らします。残った150Hz以上の中、高音をメイン・スピーカーが受け持つ形です。

 音出し前は低音専用のスピーカーを加えたのですから、低音が増強されると思いましたが、聞いてみると中高音の方が綺麗に伸びた感じがしました。今まで小型のスピーカーが頑張って低音を鳴らしていたのでしょう。その低音部分を別のスピーカーが受け持ってくれた事で、メインスピーカーは中、高音に専念して、声高らかにソプラノを歌い始めた感じです。それと使っているアンプは今は無き「サンスイ」のAU9500という50年前の名機。電源用のトランスが特別大きく、重さはアンプだけで23キロ以上あります。このパワーが強いので、小型スピーカーは音量を上げると直ぐに音が歪んでしまいました。

 しかしウーファーを加えた事で負担が減ったのでしょう、音が歪む限界が上がり音量を上げてもクリアに聞こえるのです。もちろん営業中はそこまでボリュームを上げられませんが、閉店後に一人で音を聞いているとダイナミックレンジが広がり、管楽器などの大きな音の隣で鳴らした鈴の音の様な小さな音が聞こえるようになりました。38センチ・ウーファーを組み込んだ、畳一畳ぐらいある大きなスピーカーに憧れはありますが、26センチ×16センチの小さな箱とサブウーファーでも中々の音になったのではと、夜中に一人でほくそ笑んでいます。気になる方は、営業中でも他のお客様がいない時でしたら、私に「もう少し大きな音で聞けますか?」と聞いてみてください。