2011年 5月

 11年4月9日で営業を止めたフジヰ食料品店。翌4月10日は支店のスタッフと引っ越し作業を行いました。 店内は殆ど空っぽだと思いましたが、引っ越しを始めると荷物は山の様。午後からもうひと頑張りしてもらう為、皆でホテル東急インのランチバイキングに行きました。

 バイキングに大勢で行くと各自が美味しい物探しをして、見つかると皆に教えてもらえる利点があります。スタッフのYは実演中の大きなパルミジャーノチーズの凹みであえたパスタにずけずけとパルミジャーノの増量を頼み、その後は皆もチーズ増量で!とコックさんに頼んでいました。

 私も美味しい物を探さねばと物色していると、お味噌汁の鍋の横にカレーと書かれた寸胴鍋がありました。バイキングだと、おかずばかりに目が行きご飯物を食べる人はいないと思いましたが、鍋の蓋を開けてみると昔風の小麦粉を炒めたカレーに焦げた牛肉とスパイスの香り。早速、小皿に盛ってテーブルに戻り食べてみるととても美味しく皆も大絶賛でした。

 その後、お皿を下げに来たホールの方にカレーが美味しかった話をすると、実は厨房にカレーが大好きなコックさんがいて、一から丁寧に造っているのでリピーターの方は必ずカレーを食されますとうれしそうに話していました。東急インのランチバイキング、カレーは絶対にオススメです!


そして移転先が決まらないフジヰ食料品店ですが、4月11日からワインショップフジヰ入り口横の小さなスペースで臨時営業しています。本店ではかつおは削っていませんが、毎日削りたての花かつおが問屋さんから届きます。食品の商品数はまだ少ないですが、お客様のご希望を伺いながら少しずつ増やしていきたいと思っていますので、店の者に何なりとご相談下さい。

 また今までワインを買われていたお客様へも、この機会にカツオ節を始めとする厳選された食品類をお試しいただけましたら幸いです。支店の店長だった藤井智子も16時頃までは本店にいますので、声を掛けてみてください。


さて今月のオススメワイン。春から為替レートのおかげでお値下げになった物が増え、低価格から美味しいワインが揃いました。まずはボルドーからはシャトー・シカーヌ。とても暑かった03年産でありながらこの低価格。試飲前はもう少し練れた味わいを期待しましたが、8年を経ても今だ果実味が瑞々しく、もう数年の熟成にも耐えるポテンシャルをビシビシと感じさせます。シャトー・ラバディ07年は、完熟したメルロ種からのふくよかな果実味と樽からのスモーキーな香りが楽しめてこの価格は絶対にお得。07年産ですが魅力たっぷりで今から楽しめます。

 ブルゴーニュ地方の白でヴァンサン・デュレイユ・ジャンティアルのリュリー村マジエール08年。ブラインドで味わうとカリフォルニアのかなり良質なシャルドネか、フランスですとムルソー村の上物を思わせる味わい。この魅力たっぷりなワインがアメリカでベイビー・モンラッシェと呼ばれているのも頷けます。

 南仏からはサンタ・デュックが造るワイン。ヴァケラス村 レ・オーブ 05年は自社畑。良い年と良い畑の典型的な味わいで豊かさと力強さがたっぷり楽しめます。パーカー氏は89点評価ですが、90点以上付けても不思議は無い程の出来です。一方、ラストー村 レ・ブロウ゛ァックは自社畑ではありませんが、栽培中から栽培農家に指導を行い健全な葡萄のみを購入して造られたワイン。暑かった03年産が8年を経て豊かな熟成感が楽しめます。良い造り手は自社畑でも、購入葡萄からでも素晴らしいワインを造れることが納得できます。

 イタリアからはヴェネト州でアンナベルタが造るカナヤ08年。3年前の発売以来今や大人気となったカナヤは、ヴァルポリチェラの地区外でアマローネの製法をまねて収穫後干し葡萄にしてから発酵させたフルボディタイプの赤。カナヤとは地元の方言で「ずる賢い」の意味。名前も含めてあっぱれな出来です。

 スペインのイヌリエータ ナバエルスはイヌリエータ社がメルロ種とカベルネ種で造った現代的なスタイルの赤。十分な果実味の豊かさと熟成感を持ちながらこの価格はスペイン以外ではあり得ないでしょう。

 最後はチリのデル・スール社のワイン2種、赤がカルメネール種、白がソーヴィニヨンブラン種から造る新着のワインです。赤、白共にフルーティできれいな果実味を持ち、この価格とは思えない仕上がりの良さが楽しめます。