2012年 12月

今月は別れのお話。

今年はまず3月に愛車ルノー・キャトルとの突然の別れがありました。直ぐにご機嫌が悪くなるフランス人女性のような車でしたが、今も私の心の中には少し寂しさが残っています。

そして10月末になって、7年近く当社で働いてくれた「T」君が退社する事になりました。

その後は新人の三浦君が当社に加わり、今は仕事の手順を教える方も、教わる方も手一杯の感じです。

さらに11月に入って、家内が通っている教会の「N」牧師さんが急に病気で亡くなってしまいました。

牧師さんは素晴らしい情熱と希望を持った方だったので、私も病院にお見舞いに伺い回復を願っていました。しかし11月に入って様態が急変したそうで、今も信じられませんが天に召されてしまいました。

もちろん別れがあれば、当社にとって三浦君の様な新たな出会いもあります。

なにか私にとって今年は古い殻を破る時期で、来年は新しい事に挑戦する時になるように思えて来ました。そんなわけで、来年も当社をよろしくお願いいたします。


さて今月のオススメワイン。

ベルトラン・アンブロワーズが造るオート・コート・ド・ニュイ地区の白10年。

09年のフランスは、素晴らしい天候で果実味は凝縮したのですが、ブルゴーニュ地方の白に関しては過熟となり酸味が乏しく、ぼそっとした味わいの物が多いのです。

しかし10年の白は、丁度良い気候と開花時期の天候で収量低下が起こったため、ふくよかでバランスの良いワインが多いのです。このワインはまさに10年産の良さを体感できるお手本のような味わいでした。

ダニエル・リオンが本拠地プレモー村の葡萄で造った赤は、蔵元で飲み頃まで熟成させてから出荷した04年産。

8年を経たワインは大きめのグラスに注いでいただくと、マシュルームと腐葉土の熟成香で幸せな気持ちに浸れます。味わいは04年特有の豊かなタンニンがこなれ始め、熟成したピノ・ノワール種の入門としては最適の一本だと思います。

ツィント・フンブレヒトがゲベルシュヴィール村のリースリング種で造る10年産の白。

アルザス地区でトップ評価を受ける造り手は、安価な村名付きリースリング種でも驚きの出来です。

この品種特有の鉱物っぽさは少なく、蜂蜜、桃、白ゴマを思わせる香り。果実味の凝縮が凄いのに、それ以上にミネラルと酸が豊かな為に引き締まった辛口に感じられます。アルザス好きは、強烈なこの味わいをぜひお試しください。

ダンデゾンがシラー種の古木葡萄から造る赤11年。真黒な色調、たっぷりとした果実味とスパイス感はまるで南仏の太陽を味わっているようです。安価でフルボディ・タイプがお好きな方にお勧めします。

ペットボトルに入ったグリーナー・プラネットの赤、白。南仏の有機栽培葡萄を使って、ふくよかでとてもバランスの良い味わいを持っています。

それと、このハーフサイズの瓶を取っておくと、別の飲み残したワインを移し替える際に大変重宝しますので、一度お試しあれ。


イタリアからはトッレヴェントの赤、白。葡萄品種は赤がプリミティーヴォ種、白はピノ・ビアンコ種とソーヴィニヨン・ブラン種。

赤は少し干した果実等の練れたニュアンスが感じられる、ふくよかでバランスの良いタイプ。

白は1年若いせいか香り高く、ライチやドライフラワーを感じさせます。香り付けにゲヴェルツトラミネール種を少しブレンドしているのでは?と思うほどです。

オーストラリアからはワラビークリークのシャルドネ種からの白。世界中にシャルドネ種からの白はございますが、まずはこの価格にご注目ください。

フレッシュ&フルーティでバランスの良い味わいの白がこの価格、しかも少し練れたニュアンスの感じられる09年産です。09年の次は11年産になって価格も上がってしまうので、ご興味のある方はお早めにお買い求めください。

最後は食品からです。サブロネットが造るグレープジュース。ここはアンジュ村でビオディナミ(有機栽培)を実践するワイン生産者なので、本来は赤ワイン、アンジュ・ルージュ用のカベルネ・フラン種を絞って発酵させずに少量だけ瓶詰めしました。

この品種のワインはさわやかな青さが特徴ですが、果汁の段階ではひたすら濃く甘いだけで、ミント香も、ビオディナミに多い還元香もありませんでした。