今月は旅行のお話し。
10月の末に家内と瀬棚(セタナ)へ一泊旅行に出かけました。二人はどちらかと言うと、豪華絢爛な宿よりも情緒あるひなびた所で美味しい物をいただくと嬉しくなるタイプ。今回は友人の紹介で、瀬棚の三本杉岩前にある「民宿海の家」。民宿なのでお客さんは風力発電等の工事関係の方が多かったですが、料理はおいしく品数も多くてとても良かったです。さて、宿の予約時に酒屋であることを伝え、ワインを持ち込ませていただきました。ご迷惑をおかけするので、宿の方へ持ち込み料でイタリアの赤を1本差し上げ、ワイングラスとコルク抜きは持参して、白は三笠・山﨑ワイナリーのピノ・グリ、赤はドイツ・バーデン地方マルティン・ヴァスマーのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール種)を選びました。
食事の時間に食堂に行くと、隣のテーブルのご夫婦もワインを持参されていました。そのワインが栃木県・ココファームの「こことある・ぴのろぜ」。ココファーム・ワイナリーは栃木県にありますが、このワインは北海道余市・木村農園産のピノ・ノワール種100%で造った特別のロゼをご持参。結局、ワイン好き同士で話が弾み、お互いのワインを飲んでいると、お隣さんは次に藤野ワイナリーのナカイ・ケルナーを持って来ました。東京から来たという隣の旦那さんに話を聞くと、ワインが大好きで一時は個人でワインの輸入業をしていたが、現在はワインの仕事は止めて趣味に留めているそうです。道理で、ワインのチョイスが普通じゃない理由が分かりました。
さて話は前後しますが、宿には温泉が無かったので途中のモッタ海岸温泉に寄ってから来ました。お湯は北海道では貴重な天然ラジウム温泉で、肌に刺激があるというか何か効能がありそうな感じがします。露天風呂からは日本海を一望できてロケーションも素晴らしい温泉でした。そして瀬棚の宿での食事の後に部屋でガイドブックを見ていると、瀬棚に日本一危険な神社があるとの事。翌日の予定は無かったので、二人で参拝する事にしました。
宿から海岸線を江差に向かって車でずっと走ると、海沿いに太田山神社の鳥居が見つかります。ジョキングシューズの紐を締め直して荷物は車に置き、家内と参道の階段を上ります。この階段は斜度が50度らしく、階段に上から太いロープが2本垂れています。本気でロープをつかみながら登らないと落ちてしまいそうな階段の後もかなりの急勾配の斜面が延々続き、全ての道にロープや鎖が用意されています。こうして休み休みしながら約1時間登り切った所に、先に登っていた年配のご夫婦が立ち止まっていました。「私たちはここで諦めます」と言った先は、垂直に5~6メートルある岩の壁。壁には鎖とロープが垂れ下がっています。下を見ると200メートルはある絶壁、家内と相談して折角ここまで来たのだからと挑戦しました。
岩壁はホントに怖かったですが、数メートル上にある小さな洞窟の中に小さな本殿がありました。ここで手を合わせて参拝し「フジヰが世界一のワインショップになりますように導いてください」と願いました。その後、壁をゆっくりと降りたところに、山のガイドさんと、お父さん、7~8歳の息子さんの3人が、子供さんに命綱を付けて壁登山の準備をしていました。ここの参拝は誰にでもお薦めはしませんが、達成感の素晴らしさと絶景は例えようがありません。
壁の後の下りも慎重に歩き、最後の階段を下りて、出発点の鳥居横の湧水を飲んでやっと安心しました。汗をかいたのでこの後は温泉、湯(ユー)とぴあ臼別温泉に向かいます。ここは無人温泉で、ログハウスの様な脱衣所に募金箱があって、一人100円の協力金を払って入浴します。山の奥にあり、動物も勝手に入りそうな露天風呂は当然かけ流し、澄んだお湯は湯疲れせずに登山で疲れた筋肉をほぐしてくれました。この後は八雲に出て高速で札幌に夕方着き、かなりハードで充実感のある旅行になりました。
