2010年 10月

 9月の休業日にワインショップフジヰとフジヰ食料品店のスタッフで、余市の葡萄栽培農家さんを見学して来ました。一軒目は千歳のグレイスワイナリーとドメーヌ・タカヒコに葡萄を納入されている木村さん。二軒目は念願の余市で畑を購入し、今年から葡萄を植え、ワイン醸造所も完成したドメーヌ・タカヒコの曽我貴彦さん。

 二人の農家さんが力を入れるのはフランスの黒葡萄ピノノワール種です。 北海道でもワイン用の葡萄栽培は増えて来ていますがまだまだ少数派、水田や畑の中に時々垣根仕立ての葡萄畑が点在する感じです。ところが果物の町、余市では逆に水田や畑はなく、見渡すと周りは果樹園だらけ。特に蘭島寄りの登(ノボリ)地区は垣根仕立ての葡萄畑が連なっており、ちょっとフランスのコートドールのような風景です。

 二十数年前、㈱はこだてワインが数軒の契約農家さんに、当時は育つかどうかも解らないピノノワールの苗木を斡旋しました。この品種は栽培が難しく収量も低いため今は別の品種に植え替えた農家さんも多いそうですが、余市の木村さんはこの品種に将来性を感じて少しずつ栽培を増やして来ました。

 一方まだ30代の曽我さんは、今まで有名なココファーム(栃木県)で葡萄栽培と醸造を行ってきた方。原料葡萄が地元の畑では足りない為、醸造長だったアメリカ人ブルース・ガットラヴ氏と共に全国の産地を回って葡萄の買い付けを行って来たそうです。その彼が選んだ場所が北海道の余市だったのです。

 余市は果物とニッカのウィスキー工場で知られる町。ニッカの竹鶴氏が工場を余市にした理由の一つは、ウィスキーは製造後から出荷まで数年の熟成期間が必要で、その期間の売り上げ確保に地元名産のリンゴで100%ジュースを作り販売していたそうです。1934年設立時の会社名は「大日本果汁㈱」。これを略した「日果(ニッカ)」がウィスキー名の由来です。

 昔から果実の町として王道を行く余市。しかし近年、ワインに関しては空知地方が注目され、私が応援する三笠市の山崎ワイナリーだけではなく鶴沼ワイナリー、宝水ワイナリー、中澤ヴィンヤードと素晴らしいワインが出来はじめています。さらに前述したブルース・ガットラヴさんも、今、岩見沢市に暮らし葡萄を植え始めています。

 現在日本の葡萄畑の総面積は約2万ヘクタール。ただ生食用が多くワイン用は約一割の2千ヘクタールと言われています。そして北海道のワイン用葡萄畑の総面積は、先駆者の十勝ワインと、おたるワインで知られる㈱北海道ワインのおかげで、全国の約半分にあたる千ヘクタールにもなりました。特に余市では本州企業のワイン用葡萄の買い付けが急激に進み、地元ワイナリーが入手困難になって来たと言われる程です。

 ワインショップフジヰでも販売の多くは輸入ワインですが、私自身は地元のワインに特別な思い入れがあります。皆さんも地元の食材でごちそうを作った時、たまには北海道産のワインを合わせてみてはいかがでしょうか。

 さて、今月のおすすめワインです。
 今月は熟成したワインでいい物が多かったです。若いワインにはない豊かな熟成香と芳醇な味わいを是非お試し下さい。まずはジャイエ・ジルが造るオート・コート・ド・ニュイ地区の04年。木樽の風味と豊かな果実味がうまく調和し、シャルドネ種の理想の姿と言える味わいになってきました。

 赤では南仏でヌーヴォー・モンドが造るコトー・デュ・ラングドック00年。シラー種とムールヴェードル種からの強くスパイシーな味わいが10年を経てこなれ、アニマルっぽい熟成香が開いてきました。イタリアからは86番ロッカ・ディ・モリのコペルティーノ・ロッソ03年。暑かった03年らしく豊かな果実味が今もたっぷりで、更なる熟成も可能でしょう。

 でも、今月のイチオシはアンヌ・ボエクラン(アルザスの協同組合のブランド)でアルザス・グランクリュの97年産リースリング種と、99年産ゲヴルツトラミネール種(完売)からのワイン。共に熟成香だけで酔ってしまう程の魅力がたっぷり。更に味わいは酸化や枯れた感じが微塵もなく、これこそ芳醇と言える味わいです。ぜひこのワインをお試し下さい。

2010年 9月

 先日メロンを箱でいただく機会があり、うちのスタッフと分けた所私の分が残りませんでした。何も考えず家に帰るとメロンの情報が息子にまで伝わっており、メロンが無いと大騒ぎ。仕方なく翌日私が買ってくることになりました。まずはメロンを何処で買うかです。スーパー?あるいは少し高くてもデパート?

 ふと思いついたのが、得意先のバーテンダーさん達がレモンやライムを買っている「サンフルーツ」011-221-6827。場所は「ドンキホーテ狸小路店」の1階・狸小路側で、40年以上前ここが「サンデパート」だった頃から続く老舗の果物屋さんです。メロンは安い物から高い物まで各種揃っていました。

 店のお兄さんに「今日食べたいので熟した物はどれですか?」と聞くと、1玉1,500円の中からオレンジ色っぽい玉を一つ選んでくれました。よく見ると同じ1,500円のメロンでも緑がかった色調で編み目模様がハッキリとある物から、オレンジが色目で編み目模様が薄れた物まで様々です。

 買ったメロンを家内に渡し、その日私は残業でした。翌朝、息子が満身の笑みで「メロンごちそうさま」と私を起こしてくれました。朝、私もそのメロンを食べましたが、果肉がジュクジュクしていて完熟した甘さで一杯です。後日、私は気になりスーパーのメロン売り場を見に行きました。確かに1,000円以下でメロンがたくさん並んでいますが、みんな同じ緑色なので新鮮なのはわかりますが今日食べるには適さない気がしました。

 これが専門店とスーパーマーケットの違いなのでしょう。業種は違えども同じ小売業として「サンフルーツ」さんの目利きと的確なアドバイスに感銘を受け、うちも更なる努力をしなければと感じました。

 さて、今月のおすすめワインです。

 まずはボルドー好きにはシャトー・ボーモン04年と、カマンサックのセカンドワイン。私の好みではもう数年待ちたいですが、今ですと瑞々しい果実味がたっぷりと楽しめます。それとお安くなったシャトー サント・コロンブ04年は6年を経て熟成感が開き始めてきたのでお値打ちです。

 でも、今年の暑さではやはり白。ピスルーのシャブリは熟成した04年産。樽に入れなくてもミネラル豊かな白は熟成することを身を以て体験出来ます。私の好みは07年特有の酸味が楽しめる、アンブロワーズのサンロマン村のシャルドネ。暑いときにはメリハリの利いた酸味が一番です。あと見逃せないのがマッソーネのガヴィ08年。2000円以上するガヴィがこの価格で、しかも果実味と酸味がうまく調和しています。

 もう少し涼しくなったら、リオハアルタの03年と、ベッカーさんが造るドイツのピノノワール種をゆっくりと味わいたいですね。

 そのベッカーさんが札幌に来て伺ったお話しは驚きました。代々所有する畑は家のまわりに3カ所あったのですが、第二次大戦後に国境線が変わり2カ所の畑がフランス領アルザス地方になってしまったそうです。目の前にありながら外国となった自社畑に入れたのは、長く交渉を続けて10年後だったそうです。

 1955年、雑木林となった自身の畑に入ったお父さんは、残っていた白のリースリング葡萄を断腸の思いで伐採し、新たにピノノワール種を植えました。本来ドイツワインとフランスワインを混ぜるとECターフェルワイン規格になりますが、元々は同一地区だったことが認められ、仏領の葡萄を使っていてもドイツ・ファルツ地区のワインとしてラベル表示が例外的に認められたそうです。

2010年3月~8月

 今月は久しぶりに車のお話しです。

90年生まれの愛車ルノー・キャトルは今年で二十歳。当然、色々なところにガタが来ています。電気関係では点火系統に問題があるようで時々ぐずり出すようになりました。

 さて、たまにはこぢんまりとした温泉にでも、、、と話していると、息子がプール付きの大きな温泉に行きたいと言い出したので登別温泉に行くことになりました。10時過ぎに出発し、問題なく昼前に高速を降り、登別の厚生年金病院を越えて目的の宿まであと数100メートル程の所、急にエンジンがせき込み出したと思ったらストンと止まってしまいました。

 その後、セルは回ってもエンジンはウンともスンともいいません。すると家内は「とうとうキャトルともお別れだねえ~」の一言。自動車保険のレッカーサービスに連絡をして、2時間弱で迎えが来ることになりました。電話を受けた方は、地方だと外国の車の修理は難しいので札幌まで運びますかと言われました。登別から札幌までは約130キロ。保険の契約では35キロまでは無料ですが、後は実費ですから5~6万円はかかります。

 キャトルを迎えに来たレッカー車は、長い荷台をスルスルと後方に下げながらスライドしてすべり台のスロープのようにセットします。愛車にロープをかけウインチで引っ張りスロープを登らせてから固定すると、荷台を定位置に戻して作業完了。途方に暮れているお父さんの横で、初めてのレッカー作業を見た息子は興奮状態。ところで札幌ではレッカー専門の業者さんが来ますが、今回は室蘭の「ボデーオート菅原」という修理工場の社長さんが来てくれました。荷台に乗せる前にエンジンの様子を見て、確約は出来ないが古い車を得意とする者もいるのでうちで治してみるよと言って車は室蘭に運ばれました。

 その後、徒歩10分でホテルに着き、息子は念願の温泉プールです。2時間以上プールと温泉で遊び、夕方になって菅原さんから電話が来ました。不具合は各点火プラグに高電圧を順番に飛ばすディストリビューター。これに付いているコンデンサーが中で断線しているようで、接点をさわるとエンジンが止まったり動いたりするそうなのです。ところが今の車はこのデスビが無く、コンピューター制御のダイレクト点火方式。工場にある車と従業員のも見たがどれにも付いていない。コンデンサーさえあれば直るのだがと言われました。

 温泉の夕食でお酒を飲まなかったのは初めてでした。翌朝、宿を出た私たちはバスで室蘭に向かいます。工場に着き整備担当の方に話を聞くと、部品が無いのでコンデンサーを分解してハンダで接点を直してくれたようです。ボンネットを開けると、デスビの横にある3センチ程の小さなコンデンサーが包帯のようにビニールテープで巻かれていました。

 こうして行きと同様に高速を通って札幌に無事着き、掛かり付けのルノー札幌に事情を話すと、出先で腕のいいメカニックさんがいる工場で本当に運が良かったですねと言われました。早速、お気に入りのワインを3本菅原さんの工場に送り、家内の思いとは裏腹に、まだキャトルとの生活は続いています。

 さて、今月のおすすめワインです。
やっぱり今は爽やかな白ですね。ルイ・モロー シャブリ 08年は果実味とミネラル感が イキイキと舌の上で弾けます。この価格でしたら絶対お得です。

 でも少し樽の風味が欲しいという方にはChボーモン・レ・ピエリエール 07年。有名なボルドー産なのにこの価格で樽のニュアンスが楽しめるのは驚きです。

 安旨白を毎日楽しみたいという方にはチリ産の白、コノスル リースリングとポルタ シャルドネとポルタ ソーヴィニヨンブラン。チリにありがちなモッタリ感が無く、豊かな果実味と爽やかな酸味が引き締め、スルスルと美味しく飲めてしまいます。暑い夏には最適なワインです。

2010年 1月、2月

年が明けて話題の映画「アバター」を見てきました。


とにかく、唖然としてしまうほど完成度が高い!!例えて言うなら和、洋、中の各三つ星シェフが一同に集まり、てんこ盛りで、飛び切り美味しいバイキングレストランに来ているような超!娯楽大作でした。


新境地を開いたと言われている「3D」映像も確かに自然で違和感無く、私はメガネの上から3Dメガネを掛けましたが、掛け心地も全然問題ありません。難癖をつけるとすれば、平日の2時の回でも凄い人で、恐らく200人ほどがチケット売り場に並んでおり、入場までの間、少しイライラした事ぐらいでしょうか。


映画「スタートレック」のようにスポック氏だけが異星人だと違和感がありますが、全員が異星人だと1時間もしないうちにそれが普通に感じてしまいます。この映画は宇宙の果ての惑星を舞台に、アニメの世界のような環境の中で宇宙人が飛び回るのですが、監督の仕事が素晴らしく、僕は揺れ動く若者の心を描いた青春映画でも見ているような心境でした。糸井重里さんがHPでこの映画のことを”動物映画の良さがある”と書いていましたが、なるほどと思いました。


帰宅すると、文芸派路線の映画しか見ない家内はお金をもらっても見たくないと言うし、恐がりの息子は映画のポスターを見ただけで嫌がるので家族とは話が出来ません。だからこの思いを「独り言」で言わせてもらいます。とにかく2、100円と3時間あったら、ワインを飲むのを1回止めてでも「3D」で絶対見るべきだと思いました。


さて、今月のおすすめワインです。

今回はボルドーで良い物が見つかりました。シャトー・ラ・フォンテーヌ・ド・ロービエ95年、シャトー・ル・トレフォン86年、シャトー・レ・オード・ポンテ92年の3種はお手ごろ価格で熟成した旨味がたっぷり楽しめます。ただ長期熟成をして瓶底にオリもございます、購入後は数日でも休ませてオリを沈めてからお楽しみ下さい。


白はニュージーランドのシレーニ ソーヴィニヨンブラン09年と、ドイツのダインハルト ヘルゴッツアッカー・ハルプトロッケン01年。

普通ニュージーワインは2~3千円しますから、半値に近い価格でこの味わいは立派な物。一方ドイツは私の大好きなリースリング種。ファルツ地方でトップの生産者が造るやや辛口タイプは最高の作柄だった01年産。9年を経て果実味に酸とミネラル感が調和し始め、下手な赤ワインがかすむほど豊かで芳醇な味わいが楽しめます。ぜひ一度、熟成したリースリング種のワインを味わってみてください

2009年 11月、12月

 前回、厚切り肉をムシャムシャ食べる話をしていたら天罰が下ったらしく、検査で大腸にポリープが見つかり、9月に二泊三日の内視鏡手術を受けました。

 24時間以上の絶食。内視鏡を入れるのも大変でしたが、横たわる手術台のテレビに自分の腹の中が映っているのを見た時、これは現実か?あるいはSF映画か?と本気で思いました。この内視鏡が実に働き者で、お腹の中を縦横無尽に動き回り、患部を見つけると搭載した七つ道具を使って、注射を打ち、ポリープを切り取り、ホチキスのような物で傷口を閉じるのです。科学の進歩をまざまざと感じさせられました。

 手術はもう結構ですが、快適なベッドと優しい看護士さんがいると、いくらでも寝られるのですね。ワインの本を数冊持ち込みましたが、読んでは昼寝、読んでは昼寝を繰り返しても、夜もしっかり寝られました。本当に二泊三日の有意義な休息をいただいた、NT○病院のスタッフの方々に感謝いたします。

 更に良かったことは、ストレス解消のドカ食いが減った事でダイエットが出来ました。是非、リバウンド前に引き締まった私をワインショップフジヰに見に来てください。

 さて、今月のお勧めワインです。
 まずは、北海道の増毛(マシケ)産リンゴから造られた増毛シードルです。個人的にシードルはブリュットタイプ(辛口)だと風味が弱く、やや甘口タイプの方がリンゴの果実感が楽しめて好きでした。でも今回の8番タンクのブリュットは、辛口でもはっきりとリンゴの風味があります。本場フランス産よりも風味豊かな地元産シードルをお試し下さい。

 ボルドーからは、シャトー・カンボン・ラプルーズ04年とシャトー・スグ・ロング・モニエ05年。両方とも価格以上に果実味が豊かで、今からでも美味しく楽しめます。もちろん、更に2~3年熟成させると芳醇な熟成香が開いてくるでしょう。

 ブルゴーニュからは飲み頃の白2種。ミッシェル・カイヨのサントネ村02年は、豊かな果実味と木樽の熟成感が豊かに広がります。一方のシャブリジェンヌ(シャブリ農協)が造るシャブリ1級畑ヴァイヨン01年は、この村特有の酸味とミネラル感が果実味を引き締め、8年を経たとは思えないメリハリのある辛口です。

 イタリアからの一押しは、95番アルベルタの「ずるがしこい」と名付けられた赤。銘酒アマローネ(定価五千円~1万円)はヴァルポリチェラ地区の葡萄を収穫後に陰干しして、干し葡萄から造った強烈な赤。こちらは同じ葡萄でもヴァルポリチェラ地区外の葡萄を陰干しし、同じ製法で仕込んだフルボディタイプ。

 法の盲点をずる賢く突いたこのワインは、本家に近い味わいを持ちながらも価格は約1/3という安さ。一口飲めばオーナーの心意気に乾杯したくなる出来です。

2009年 8月、9月

 今月は食べ物のお話です。

 私は厚切りのお肉が好きなので、時々スーパーマーケットで特価のオーストラリアビーフを3~4センチの厚さにカットしてもらい、中心をレアの火加減で焼いて、かぶりつくのが密かな楽しみです。こうして厚切りを食べていると、薄切りの焼き肉や出来合いの焼き鳥は、なんかぱさついた感じがしてしまいます。

 先月の休日、家族で近所の銭湯に行った帰りに、やはり近所にある焼肉店「ミウラバーベキュー」(中央区南1条東3丁目マルヤマビル1階)に行って来ました。二年ほど前に開店したこのお店は帰宅時に前を通ると結構繁盛しており、一年前からは横のスペースで日中は格安の焼き鳥弁当の販売も始めると、こちらも人気で気になっていました。

 予約もせずに行くと、偶然ひとテーブル開いていたので助かりましたが大変な混みよう。早速メニューを見て生ラムと塩ジンギスカンに野菜とライスが食べ放題で一人¥1,630のコースを頼み、ビール1本と息子にジュース、後からイタリアのキャンティ・クラシコを1本頼みました。

 鍋はよくあるジンギスカン鍋ではなく、網のようなタイプ。火床に大きな炭が3本ほど入れられると気分は高まります。しばらくして登場した生ラムは1キロほどの塊で、カットされた一切れの厚さは7~8ミリもあります。もうその厚切りを見たとたん私の理性は吹っ飛びました。

 噛むと肉汁が出るジンギスカン、まさに肉の旨味と醍醐味が味わえる厚さなのです。タレも有名な「だる○」を思わせるキレのいい辛口タイプ。また野菜も、焼くと3割は焦げて食べられない「もやし」を使わず、キャベツのざく切りを採用した英断も気に入りました。家内と子供はご飯と共にお肉を食べていましたが、私は肉、ワイン、肉、ワイン、時々野菜、の繰り返しで、会話も出来ない状態でした。

 厚切り好きの私は言わずもがなですが、後で聞くと家内も美味しいと言っていました。お店の方には怒られますが、店内は割り切った考え方で内装にはあまりお金をかけず、その分を全て食材の肉につぎ込んだ姿勢にすがすがしさを感じます。肉好きな方は是非一度、この厚切りジンギスカンを味わっていただければ、私の感動が判っていただけるでしょう。

 さて、今月のおすすめワインです。
 ボルドーからはシャトー・トゥール・サンボネ メドック地区05年。作柄の良かった05年らしく、一回り豊かな濃さ強さが楽しめてこの価格は絶対にお得でしょう。ブルゴーニュ地方からはジャン・マルク・モレが造るサントネ村のシエネ畑06年の赤。白の造り手として知られるだけに赤でも澄んだ果実味を持ち、濃度ではなくピュアで品のあるピノノワール種の旨味が楽しめます。

 一方南仏からは78番キュイエラ氏がローヌ地方ヴィサン村で造るヴァンドペイ規格コント・ド・グリニャン赤07年。グルナッシュ種とシラー種を半分ずつ使い、グルナッシュからの骨格とシラーからのふくよかさが上手く調和したローヌの理想の姿がこの価格で楽しめます。

 もし濃度勝負のワインがご希望でしたら、カリフォルニア スターレーン・ヴィンヤードのカベルネソーヴィニヨン05年は横綱級です。安くはありませんがこの凝縮感と緻密さは、世界中何処の産地の10,000円クラスのワインでもかなわないような気がします。

 そして今回のリストで最も感銘を受けたのは151番ダイン・ハルトが造るダイデスハイム村のリースリング種キャビネット規格のトロッケン(辛口)01年。もちろん皆さんがドイツワインを選ばれないのは知っています。でも、このワインを飲んだ時の満足感を、品種は違いますがシャルドネ種やソーヴィニヨンブラン種で得ようとしたら多分5,000円でも無理だと思います。年に一度でも素晴らしいリースリング種を味わってみませんか?

2009年 7月

  休みの前の晩は、缶ビール片手に家で映画を見ることが多い私。このところ新着で借りたい物が無く、家にあったお気に入りの2本伊丹監督の「スーパーの女」(1996年)と、宮崎監督の「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)を2週に分けて見ました。

 「スーパーの女」を見た訳は、前の週に話題となったモックンの「おくりびと」を見て、題材は全く別ですが綿密な下調べと話のもって行き方が伊丹監督のスタイルを思い出したからです。私が思うに伊丹さんは題材を見つけると猛烈に調査をし、その題材で起こりうる起承転結の話を映画にしたのでしょう。彼の初期の映画「タンポポ」で、銀座のフランス料理店の残飯をあさるホームレスが、空瓶に僅かに残っていたオフ・ヴィンテージのシャトー・ピション・ラランドをひとなめしたシーンは、今も鮮明に思い出します。
  私はここでロマネコンティでもシャトー・ラトゥールでもなく、ピション・ラランドでしかもオフ・ヴィンテージを選んだ事に伊丹監督のセンスの良さを感じました。 それに比べ宮崎監督は、まず自分の思い描く時代や場所の世界観がしっかりあり、その中に今回の主人公が解き放されて話が始まると言ったところでしょうか。ルパンが宮崎ワールドの中で飲むワインはボルドーの有名シャトーではなく、昔のワラに包まれたキャンティの徳用瓶の様な安酒を飲んでいました。

 二つの日本映画を見て随分違うなぁと思っていたら、よく見ている糸井重里さんのホームページでちょうど伊丹十三特集のコーナーが始まり、当時伊丹さんは宮崎アニメを観てずーっと悔しがっていたと書いてありました。そして仲のいい友人に「オレ、宮崎アニメはもう洋画だと思うことにした」とまで言ったそうです。私はこの二つの映画が大好きで、特に「スーパーの女」に出てくるおにぎりメーカーの若社長さんが改心するシーンでは、何度観ても目頭が熱くなります。そして見終わった後は、もっとお客様に喜ばれる仕事をしなければと思うのです。ちょっと古い映画ですが、特に食品業界関係の方でなくても借りて見る価値があると私は思います。

 さて、今月のおすすめワインです。
 まずは地元三笠・山崎ワイナリーのケルナー種、バッカス種、ツバイゲルトレーベ種、メルロ種。道内では新ワイナリーの設立が今ブームになっていますが、今年の山崎の各ワインは一回り大きくなり一人で横綱相撲を取っている感じがしました。追われる立場となった山崎ワイナリーですが、私には皆の挑戦を受けて立つ姿に感じられました。

 ブルゴーニュからはブリュノー・クレール ジュヴレ・シャンベルタン1級フォントニ03年。立派なお値段ですが価格以上のスケール感と力強さに、熟成感が混じり始めて来た素晴らしいワインです。

 南仏からはサンタデュック ジゴンダス02年と、ラ・セール ピエール・ルヴェ02年。サンタデュックは今が熟成のピークで、少し枯れ始めた果実味と熟成旨味が楽しめます。一方ラ・セールはまだ若さがあり、熟成感と力強さの両方が味わえ、更なる熟成も可能なポテンシャルを持っています。

 イタリアからはフォンタナフレッダ バルベラ・ダルバ パパゲーナ 04年。凝縮した果実味と樽熟成による複雑さが楽しめる風味豊かな赤です。

 安旨で熟成したワインは、スペインのコンデサ・デ・レガンサ クリアンサ03年と、チリのボタルクラ セレクション カルムネール05年。共に豊かな果実味と熟成感が楽しめてこの価格は絶対お得です。

2009年 5月、6月

  5月に奥尻(おくしり)島に行って来ました。
 目的は今年4月に発売したばかりの奥尻ワイナリーの見学です。


 札幌を朝5時に出発して、瀬棚(せたな)発のフェリーに乗って昼には奥尻島に着きます。どこの醸造所でも収穫期以外はだいたい静かで、伺った時は商品の瓶詰めと出荷を行っていました。畑は当初、海に近い所にあったそうですが、塩害で木がダメージを受けた為、内陸部に新たな畑を作って栽培していました。こちらの畑はまだ木が若く幹も細かったですが、潮風の中で必死に育っている木の姿を見ると、「がんばれよ」と声を掛けたくなります。


 畑やワイナリーのある島の西側は、民家が少なく食肉牛の牧場が点在しています。ちょうど新しい牧草地へ10頭程の牛が道路を走って引っ越しするところを見ましたが、茶色くて何百キロもある牛がまとまって走っていると結構な迫力でした。この様子を見ていた私は、東京のレストランで買い占められ地元では入手しづらい焼尻(やぎしり)島のサフォーク種羊を思い出しました。同様に潮風を浴びた牧草で育てることで独自の肉質を持つブランド牛を狙っているのかも、そうなれば奥尻牛と奥尻ワインの組み合わせも人気になるのかもと一人で勝手に考えていました。


 夕食は民宿でアワビのお刺身と活アワビの地獄焼きを堪能したので、翌日の昼食は軽くと思いフェリー乗り場2階の食堂でラーメンにしました。私たちの後に地元40代の男性3名が来て、メニューを見ながら食堂の年輩の女性に話しかけていました。「この奥尻ワインってどうなのよ!」この言葉を聞いて、私はラーメンをすすりながらこのワインが地元でどう評価されているのかが気になり、つい聞き耳を立ててしまいました。


 食堂の女性は「私はワインがよく判らないが、ワイン好きな人に言わせるとまだちょっと若いと言っていた」と言うと、男性は「1本2千円以上もするから、スナックで飲んだら4~5千円は取られるのでちょっと高いなあ」と言い、別な男性は「町として推薦するならもう少し安くすべきだ」と言っていました。島のワインが発売され普段ワインを飲まない方々にも、こうして話題になっているのを聞いて私は少し嬉しくなりました。


 近い将来、奥尻ワインと奥尻牛もこの島のウニやアワビのように名産品になることを願っています。

  今月のおすすめワイン。
 濃さ強さが少し枯れ初めても、こなれたワインが好きな私。シャトー・ヴァランタン04年は、練れた味わいで安いのですから言うことなしです。ブルゴーニュからはフィリップ・ロティのマルサネ村シャン・サン・エティエンヌ畑の04年。5年を経てこの村特有のタンニンがやっとこなれて来ました。本拠地ジュヴレ村のワインも素晴らしいですが、良質なマルサネ村産のワインがジュヴレ村の半値となるとつい肩入れしたくなります。さらなる熟成も十分可能なポテンシャルを感じさせる、一押しピノノワールです。

 それとこちらは若いですが、アルゼンチンから ミッシェル・トリノのマルベック種(赤)、カベルネソーヴィニヨン種(赤)、トロンテス種(白)。この価格でここまでの濃度と味わいがあったら、誰も文句は言わないでしょう。是非一度おためし下さい。

2009年 4月

 今月は年齢のお話。

 とうとう私も3月で50歳になってしまいました。
 誰もが思うのでしょうが、私も自分は10歳は若い気でいました。ところが先日、家でスチール棚を動かしてから腰に痛みが走るようになり、1週間後に近所の整形外科に行って受けた診断は、一番下の背骨の隙間が1/3程狭くそこが軽いヘルニアになっているのでしょうとの診断。しかも棚の移動はきっかけに過ぎず、骨の隙間の狭さは随分前から少しずつ進んだようですと言われました。担当の先生は優しい眼差しで、私の年齢でこの状態は特別悪いわけではないので、後は上手く自分の体と付き合っていくことですと言われました。

 病院からの帰り道は頭の中で「50歳かぁ~」が回っていましたが、その後はいつもと同様の生活に戻りワインを持って店の地下と1階と2階を駆けずり回っていました。当たり前ですが、若い格好をしていても骨は年老いて行くのですね。これで私のおっちょこちょいな性格に落ち着きが出てきたらめっけものなのですが無理でしょう。19年落ちの私の愛車と同様に、50年落ちの私の体くんにもまだまだ頑張ってもらいますよ!

 さて、今月の新入荷ワインはボルドー大集合です。
 シャトー・スーサン03年と、シャトー・ロバン01年は熟成し飲み頃のおいしさが期待され、入荷が待ち遠しいワインです。あとはオーストラリア フォックスクリークのシラーズ・カベルネフラン05年が、豊かな果実味とタンニンが調和して芳醇な熟成香が楽しめました。本当に良く出来た赤ワインだと思います。

 最後に白ワイン好きには、アンセルミのカピテルクローチェ06年。黄金色に輝く色調、低収量によるコクと木樽の複雑さがたっぷりで、バターを使ったコクのある料理に合わせたくなります。

2009年 1月~3月

 リストが遅れてしまい誠に申し訳ございませんでした。

 今回は子供のお話です。今まで子供へのクリスマスプレゼントは親の好みで絵本を買っていたのですが、小学校1年にもなると親の言うなりにはならず「びゅんびゅんサーキット」が欲しいと言い出しました。これは手持ちのミニカーがサーキットのコースを走るおもちゃで、男の子で1番人気の商品だそうです。
昨年の10月地下街に「フジヰ食料品店」を開店し、息子にも時々店の手伝いをしてもらっている弱味もあって、その「びゅんびゅん」を買いました。

 このおもちゃ、まず電源を入れるとファンファーレと共に場内放送が始まり、車を走らせる為のローラーをミニカーが通過すると「ビューン」とエンジン音が鳴ります。走っているのを見ていると実車を遠くから見ているような気にさせるほどの出来映えです。

 でもこんなにすごいおもちゃなのに、正月を過ぎると「びゅんびゅん」の出番は友達が来た時だけになってしまいました。私も子供の頃、あれが欲しいこれが欲しいとわがままを言っていましたが、両親も当時はこんな気持ちで私を見ていたのでしょう。後日妻は息子に「こうして出来上がったおもちゃは、積み木やブロックと違ってすぐに飽きてしまうのよ」と言っていましたが、次のクリスマスはどうなることやら・・・

 もう一つは嬉しかったお話。息子は冬休みの間、「ワインショップフジヰ」でも時々手伝いをしていました。ある朝、私が店先を掃除中に横の中通りで車が雪道にはまってして動けなくなっていました。私はすぐに車を押しに行きましたが一人ではびくともしません。横のトラックと後ろのタクシーから運転手さんが降りて一緒に押してくれたのと、歩行者の方が交差点に置いてある滑り止めの砂を持って来て、タイヤの前後にまいてくれたので何とか車は動きました。

 スリップした運転手さんが何度も頭を下げて走り去った後、気が付くと歩道で息子がじっと私を見ていることに気が付きました。冬休みの最終日、家に帰ると宿題の絵日記にはみんなで車を押している絵が描かれていました。雪国では当たり前のこんなことが息子には大きな出来事だったようです。

さて、今月のオススメワイン。
 有名なポイヤック村の小さなシャトー、クルタンの02年。素直なカシスと杉の香りが良質なカベルネ種を連想させ、7年を経た熟成感と共に典型的なメドック地区の味わいが楽しめます。

パスカル・ランベール氏が造る仏ロワール地方シノン村の赤。カベルネフラン種と言えば青野菜の風味を連想しますが、社内の試飲で当社のスタッフのコメントは「香りはヴォーヌロマネ村みたい」。このワインは産地を越えた素晴らしい赤だと思います。

お手頃価格ではイタリア エリザベッタのアウロ・ロッソ。この05年産からかなりイメージが変わり、濃さと複雑さを感じます。この年からサンジョベーゼ種にブレンドしたシラー種が良かった様で、私は赤身で厚切りのステーキを食べたくなりました。