2017年 5月、6月

5月の連休中に東京から友人家族が来て、一緒に美唄のアルテピアッツァ公園に行って来ました。始めは温泉を考えましたが、石山通りは渋滞するので逆方向からの選択でしたが大変喜ばれました。私が接待する際に心がけるのは地方から来た方は豪華な所、そして東京など都会から来た方は北海道らしい広大な風景が望める所。

昨年この家族が来た時は、広大な農場内にある月寒の「じんぎすかんクラブ」に行って来ました。ここのマトン肉は絶品ですが、あの過密な東京で生活している人にとって、広大な自然を目の前にしてのジンギスカンとワインは何よりも贅沢な事だと感じました。

そこで今年も北海道らしい場所に、プラス何か心をくすぐる所はないかと探したのが、安田 侃(カン)さんの彫刻公園。7ヘクタールの丘陵地帯に彫刻が点在し、敷地内にある廃校になった木造の小学校の教室にも作品が展示されています。教室の壁にはコートを掛けていたであろう釘の跡が均等に並び、生徒さんの名前もうっすらと読み取れます。目をつぶると子供の甲高い声がこだましそうな中で、柔らかな曲線の彫刻はその歓声を吸い取っている様な気にさせます。

ここで東京の友人が一番驚いたのが、掻き入れ時とも言える連休中で晴天の午後、7ヘクタールの中に人が100名程しかいなかった事です。東京で話題の展示会だと入場するのにも並び、鑑賞するのも数珠つなぎで立ち止まる事が出来ないのに、この素晴らしい施設をゆっくりと独り占め感覚で楽しめる贅沢さは信じられないと喜んでいました。

この後は、三笠の山崎ワイナリーに寄って直売所でワインを購入し札幌へ帰ります。夕食は二条市場の片岡精肉店で、厚さ約1センチにカットした超厚切り生ラムを購入して、今年は自宅でジンギスカン。ワインは、まずイタリア・メディチ家の微発泡・ランブルスコ赤でドルチェ(甘口)。ベル・ジンギスカンのたれには、少し甘味のあるランブルスコがピッタリでした。

2本目はピノ・ノワール好きな友人の為に、ジャイエ・ジルのパストゥグラン11年。繊細なピノに骨太なガメ種をブレンドする事で、味わいの強い羊肉との調和を試みましたが、少しワインの力負けでした。

3本目は羊とは定番のボルドー赤。オー・メドック地区のシャトー・ラローズ・トラントドン09年。完熟した果実味とタンニンが、羊の脂身をきれいに洗い流してくれます。それと厚切りの羊には、「たれ」よりも塩コショウが良かったです。

最後4本目は、友人が持参したジョルジュ・ルーミエのシャンボール・ミュジニで最高の2010年産! 友情をお金に置き換えるのは忍びないですが、時価25,000円は楽に超えるでしょう。1時間半ジンギスカンの煙にまみれ汚れた居間の中で、上品でけがれが無く、澄みきったサクランボ風味の花びらが静かに開きます。当然、グラスもリーデル社の物に変えてゆっくり味わいましたが、一番汚れていたのは室内では無く、自分の舌(ベロ)。脂の強い羊肉まみれだった私の舌に載せられたシャンボール村のピノは、まるで野獣と美女。真っ白い絹のシーツの上で鑑賞すべき物を、油で汚れたコンクリートの床に放り出された状態。しかしこんな状況でもワイン好きは、「少しずつ香りが開いて来た」、「こっちのグラスの方が酸味がきれいに延びる」とか言いながら夜は更けて往きました。

さて今月のお薦めワインは地元から。

札幌の藤野ワイナリーでキャンベル種のサン・スフル(酸化防止剤無添加)16年。昨年も好評だったこの赤は、アルコール発酵終了後に瓶詰して販売、購入後は皆さんが瓶内で始まる乳酸発酵を見守ります。今の状態では、葡萄を搾って瓶に詰めたような果実味たっぷりのワイン。冷暗所で保管頂くと、少しずつ乳酸発酵が始まることで酸味の鋭いリンゴ酸が減り 、微炭酸の発生と共に柔らかな乳酸が形成されます。

次は栃木県ココファームの赤・風のルージュ14年。葡萄は余市・藤沢農園産ツバイゲルトレーベ種約八割に、山形産メルロ種を二割ブレンド。ツバイ種のスパイシーさに、メルロ種のふくよかさが上手く調和しています。しかも、近年で最良の作柄だった14年産は今や貴重品です。

次は仏ボルドー地方から。2010年以降ブルゴーニュ地方が高騰する中、ボルドーは目立った値上がりが無く、為替の利点もあって今お値打ち感が出て来ました。オー・メドック地区のシャトー・ラネッサンと、シャトー・カントメルルのセカンド・ラベルは、共に9年を経て熟成旨みが開いて来た08年産。ここ1~2年程はふくよかな果実味と、熟成旨みの両方が楽しめる時期でしょう。

そして今も高騰の続くブルゴーニュですが、今月もお値打ちな物を見つけました。まずは赤から、ジャン・バティスト・ベジョのブルゴーニュ・ピノ14年。2,000円以下でも痩せた感じが無く、果実感が楽しめるのは驚きでした。次は毎年安定して良質なワインに仕上げてくるエルヴェ・シャルロパン氏。マルサネ村ロンジュロワ畑は、日当たりの良い東南向き斜面中腹の区画。豊かなタンニンで知られるこの村ですが、ここでは完熟した果実味がふくよかでタンニンと調和しています。

「パスカル・ラショー」はヴォーヌ・ロマネ村の名門ロベール・アルヌーが始めたネゴシアンのブランド名。ブルゴーニュ規格の赤は作柄が良く、少しこなれた12年産が入荷。買い葡萄でも、良質な小粒品種ピノ・ファンで造られた赤は品の良さを感じます。定価3,100円が特別価格で入荷しました。

ニュイ・サン・ジョルジュ村の名門ロベール・シュヴィヨンのパストゥグラン13年。少量のガメ種を加える事で、不思議ですがピノの風味が開いているのに、ガメ種の風味はあまり感じられません。同じシュヴィヨンで上級品のピノ100%・ブルゴーニュ赤よりも私は気に入りました。これはブレンドのマジックなのか?今の時期だけの短期的な風味かもしれませんが、ピノ好きでしたらこの味わいを是非一度味わって欲しいと思いました。

次はブルゴーニュ白、シャブリの名門ウィリアム・フェーヴル社のサン・ブリ村。ブルゴーニュでこの村だけが、例外的にソーヴィニヨン・ブラン種を栽培しています。なぜ、この村だけ?と思いますが、シャブリ地区はコート・ドール地区よりも、ソーヴィニヨン種で知られるロワール河サンセール村の方が近いのです。異端児のサン・ブリですが、味わいは正攻法の爽やかなソーヴィニヨン種。へそ曲がりと言われているが、自分は真っ直ぐだと自覚されている方にお勧めします。

こちらもシャブリ地区から、ジュヴレ・シャンベルタン村の雄、フィリップ・シャルロパンが造るシャブリの白。赤の味わいと同様に、この白も凝縮した強さを持っています。最高の作柄だった10年産が7年を経て少し熟成感も出て来ました。更にもう1~2年寝かせると、豊かなブーケ(熟成香)も開いてくるでしょう。

南仏からは、最高の出来だった10年産の赤が2種入荷しました。サンタ・デュックの古木からのローヌ赤。暑く乾燥した年だけに、ドライ・フルーツやスパイスの風味と7年を経た熟成感の両方が楽しめます。この価格では向かう所敵なしでしょう。

次はリラック村のシャトー・モンフォーコン。ここは南仏でも濃度勝負ではなく、上品さを持ったスタイル。しかし暑かった10年産は例年よりもエレガントさが弱く、強さがハッキリと感じられます。この凝縮し野性味まである果実味と、それを必死に手なずけようとする生産者の思い、この両方を思い感じながら味わってみて下さい。

南仏からの白ではマレノン協同組合のアムンタナージュ白。手間のかかる有機栽培ワインは一般に2~3千円以上しますが、ここの組合員は有機葡萄を安価で生産し、このような低価格で販売しています。4品種のブレンドも、バランス良く仕上がっています。また、有機ワインに多い還元(カンゲン)香や、アニマル香も無く、誰もが楽しめる白ワインです。

アルザス地方からの白はシュルンバジェ社のテール・ダルザス。ここは認証は取っていませんが、自社畑は有機栽培。この安価なブレンド・タイプも全て自社畑のワイン。品種もシルヴァネール種やシャスラ種を使わず、上級品種だけで造っています。格上の味わいでこの価格はお得です。

スペインからはヴァルフォルモサ社のカヴァ、クラシック・ブリュット・ナチュレ。スパークリング・ワインで「ブリュット(辛口)」規格の残糖は1リットル当たり15gまで認められていますが、ガス圧が高いと残糖10g程では、糖分は甘さとしてではなく「コク」として感じられます。そしてブリュット・ナチュレの規格では残糖は0~3g。通常この残糖では、線の細さを感じてしまいますが、ここでは長期熟成による旨味で味わいを調和させています。

そしてスペインの白では2点。まずはテルモ・ロドリゲス氏がルエダ地区で造るバサ。地元のヴェルデホ種は私のイメージでは、ソーヴィニヨン・ブラン種のメリハリ感と、シャルドネ種のバランスの良さが合わさった無敵の品種。旧価格の1,800円でも人気でしたが、円高から店頭1,300円にお安くなりました。

次はリオハの大手マルケス・デ・カセレス社が発売するリアス・バイシャス地区の白。前述したヴェルデホ種は爽やかなフルーティ・タイプで、リアス・バイシャス地区のアルバリーニョ種は、爽やかさに上品さと複雑さが少し出て来ます。ここはスペイン白で最高の産地ですから高額ですが、この特別価格は驚きです。ヴェルデホ種とは違った魅力を持っています。

オーストラリアからはヴィクトリア州ホッフキルシュのピノ・ノワール。南極に近くなる南部は冷涼な気候で、近年は良質なピノ・ノワール種の産地で注目されています。栽培、醸造共に自然派のこのワインは素直な果実味と特有の旨みを持ち、オーストラリア・ワインも様々なスタイルが出てきた事が実感できます。

ワインに香草、果実、糖分、ブランディ等を加えた物がフレーヴァード・ワイン。ヴェルモット類はワインに「ニガヨモギ」を始めとする香草やスパイスと甘味を漬け込んだお酒。スペイン・シェリーの大手ゴンザレス社が、満を持して発売したヴェルモット「ラ・コパ」は、ベースのワインを安価な物ではなく、同社のシェリーの中でも特別な古酒をベースにしています。上物の甘口ワインに、良質な香草とスパイスですから、仕上がりは格別な旨みを持っています。このままで素晴らしい食前酒ですが、コニャック産ブランディでも加えると食後酒でも通用する強さと複雑さを楽しめるでしょう。

食品からは、小豆島(ショウドシマ)・ヤマヒサ社のお醤油2種。まずは「こだわり醤油本生」、国内産で無農薬の大豆と小麦を杉の大樽で発酵、熟成させ、火入れをせず瓶詰めしました。始めは味が強く感じますが、逆に少量でも旨み十分なので、上からかけるのではなく、醤油皿に取って、極少量付けて食べて見て下さい。塩辛さではなく、複雑な旨みを味わう気持ちでどうぞ。

次はここの再仕込醤油の「豆しょう」。醤油は蒸した大豆と炒った小麦に、種麹(タネコウジ)を添加して全体を麹(コウジ)にし、塩水の中に入れて発酵、熟成させます。再度、大麦と小麦で出来た麹を、今度は塩水では無く、出来上がった醤油に入れて再び発酵、熟成させたのが再仕込。豆からの旨み成分は2倍、逆に塩分は少ない為に、濃いけど塩辛くない不思議な味わいです。赤身の刺身や、ステーキにお試しください。

2017年 3月、4月

前にも一度ここで取り上げましたが、 朝日新聞金曜の夕刊に「さっぽろレトロ建物グラフティ」という連載記事があります。出版社の和田由美さんによる、ほのぼのとした紹介文と、松本浦(ウラ)さんが描く建物は、写真よりも味わい深く記憶と重なります。

そして2月10日、私が時々伺う「ゆりや食堂」が掲載されました。当社の飲食店のお客様は、皆さん現代的なピカピカのお店ばかりですが、私が子供の頃にあった食堂がそのまま残っているのが、ここ「ゆりや」さんです。「食堂」好きな私は、月に一度はここの暖簾(のれん)をくぐります。

ここでいつも頼む物は、もりそばとラーメン。始めに蕎麦湯をもらい、湯をすすりながら待っていると、もりそばが来ます。蕎麦たれは甘辛く厚みのあるタイプ。のど越しのいい麺と共に味わうと、ふぅーと心の緊張が抜けてゆきます。半分ほど食べて少したれが薄まると、わさびは使わずに唐辛子を一振りかけて残りを頂きます。

そばを食べ終え蕎麦湯をすすっていると、ラーメンの登場です。澄んだスープにほんの少し縮れた麺、具はナルト、メンマ、チャーシュー、ねぎ。透明感のあるプレーンなしょうゆ味は、子供の頃食べたラーメンの記憶がよみがえります。こちらも何もかけずに食べますが、半分ほど食べると最後に白コショウを一振りかけてスープを味わいます。そして思うのです、この味には今時のラーメン店にある粗引き黒コショウではなく、粉の白コショウが合うなぁ~。

私がもう少し年老いたら、休日の昼下がりにぬる燗の清酒をちびちび頂き、その後に蕎麦かなぁ~なんて考えながら、食べ終えて帰ります。ちなみに東京っ子の家内は、この「食堂のラーメン」に入れ込む私の気持ちが分かってもらえません。多分、私にとってのソウル・フード(魂に染み付いた食べ物)なのでしょう。

さて、今月のお薦めワインです。今月は新入荷が多いので、お薦め品も沢山ございます。

まずは北海道。余市・リタファームからは十六夜(イザヨイ)の白2種。デラウェア種と、旅路種は共にアメリカ系の食用葡萄なので、グレープ・ジュースを思わせる香りがございます。デラはその香りが穏やかで、旅路はマスカット系の香りが華やかです。またこの2種の白は、共に葡萄の皮と種を一緒に発酵させているので、オレンジがかった色調と、複雑な「にが旨み」を持っています。スパイシーなアジア系の食事にいかがでしょうか。

千歳ワイナリーからはピノ・ノワール種で2種類。葡萄は余市産ピノで最も有名な木村農園産。少し冷夏だった15年産ですが、溌剌とした果実感が楽しめます。一方、リザーブは最良の14年産ですから、一回り豊かな果実感と樽香が楽しめます。

札幌の藤野ワイナリーはハセ・ロゼ。食用葡萄のワインですがキャンディ香も余り出しゃばらず、爽やかでフレッシュ&フルーティなスタイル。還元香等のネガティブな風味が無く、自然酵母を手なずける術を見つけたのでしょう。ただ、酸化防止剤・無添加なので、保管は冷暗所でお願いします。

次は長野県・小布施ワイナリーの白2種。まずはアメリカ台木を使わずに自根栽培している白葡萄をブレンドしたヴィーニュ・フランセーズ。栽培から渾身を込めた自社畑産ワインがこの価格はお値打ちです。

次はフランス南西部のプティ・マンサン種からの白。この品種は低収量ですが、果皮が厚く高温多湿な日本でもうまく育つ注目の品種。ここ小布施だけではなく、ココファームも山形で栽培しています。価格はそこそこしますが、一度味わっていただければ良質な白の可能性を感じていただけると思います。

次は仏ボルドー地方からの上級品2種。銘酒ピション・ラランドのセカンド・ワイン、レゼルヴ・ド・ラ・コンテスで最高の10年産がお値打ち価格で入荷しました。次は安定して高評価を受けているシャトー・ラグランジュの12年。共にこの2種は今の相場では1万円近くにはなるでしょう。今開けるとフレッシュな果実味で楽しめるでしょうし、熟成香を望むのでしたら、更に5年程待っていただければ、素晴らしい未来の贈り物になるでしょう。

もう少しお手頃な価格のボルドーは4種類。マルキ・ド・シャスのレゼルヴで、サン・ジュリアン村の葡萄で造った赤。作柄の良かった10年産だけに、完熟したカベルネ種からの杉を思わす香りが広がります。スモーキーなポイヤック村系ではなく、デュクリュ・ボーカイユ系の瑞々しい果実味はまさしくこの村の特徴でしょう。

そしてシャトー・シトランのセカンド・ワインで最良だった09年産。直近の収穫年でも2千円近いワインが、最高の09年産でこの価格は注目!

次は共にオー・メドック地区の人気シャトー、カントメルルと、ラネッサンの共にセカンド・ワイン。11年産のラネッサンは溌剌とした果実感、08年産のカントメルルは少し熟成した風味が楽しめます。

やっぱりボルドーは熟成していなければ、、と言う方には2種。まずはリストラック村のシャトー・フルカ・デュプレ96年。カベルネ種が完熟したこの年は、ふくよかな果実味と豊かなタンニンを持っており、21年を経て熟成香とタンニンが溶け込んできました。これから数年間が熟成のピークだと思われます。

リュサック・サン・テミリオン村のシャトー・フランス・ド・ロックは良年の05年産。12年を経てキノコやハーブ系の熟成香が開き始めました。果実味もふくよかで誰もが喜ぶボルドーでしょう。ボルドーの最後は有機栽培で有名なシャトー・ル・ピュイのセカンド・ワイン。濃度や、樽風味は無くても、透き通った果実感は味覚を充分満足させてくれます。特別価格で入荷しましたので、ボルドーの自然派ワインを体験してみるには最適の1本でしょう。

次はブルゴーニュ地方から。今月は白の良品が多く見つかりました。まずはシャブリ地区からで、名門ウィリアム・フェーヴルの1級ヴァイヨン畑のシャルドネ種。1級畑らしい凝縮したミネラル感と果実味が幾重にも重なっています。上級シャブリの理想と言える様な仕上がりです。

でも、やっぱりシャルドネ種はコートドール・ボーヌ地区が良いと思っている方には、3種類。ムルソー村のアルベール・グリヴォーのACブルゴーニュ規格のクロ・デュ・ミュルジュ畑で13年。一度メーカー欠品しましたが、作柄の良かった13年が再入荷しました。ラベルを見ずに味わうと、まさしくムルソー村の様なふくよかで厚みのある味わいが楽しめます。

ピュリニー村に多くの畑を持つアンリ・ボワイヨ家のACブル白13年は、ボーヌ近辺の村のシャルドネ種をブレンドした白。ブレンドによる厚みと調和したバランスの良さは、ちょっと驚くような仕上がりでした。

3番目はサヴィニー村のシモン・ビーズでペリエール畑のシャルドネ種14年。13年に夫が急死し、妻の千砂さんは家族とドメーヌを背負って行く事を決意した14年。NHKの番組で1年間取材を受けた、あの年の葡萄から生まれたワインです。涙もろい私はつい、ひいき目で見てしまうのをお許しください。

そして目下、絶好調のフレデリック・マニャン氏が造る白2種。マニャン家はモレ・サン・ドニ村ですから、当然ピノ・ノワール種を得意とする生産者。なのにサン・ロマン村とACブルのシャルドネが驚くほどの出来でした。自社畑では無いのに、この白の完成度はすごい!

ブルゴーニュの赤では、フェヴレ社が所有するポマール村の最上リュジアン畑からの赤で10年を経た07年産。しかもこの年にこの畑を購入したので、初めての収穫で当然、力の入った仕上がりとなっています。まだまだ熟成可能なポテンシャルを充分に感じさせます。

次は有名ドメーヌの少し熟成した入門ワイン2種。ポマール村の名門、ミッシェル・ゴヌーのACブル11年。この村特有の凝縮した果実味だけではなく、中心に骨格を感じさせる味わいはさすがです。

次はヴォーヌ・ロマネ村のミッシェル・グロで、こちらはお隣ニュイ・サン・ジョルジュ村の11年。6年を経ていますが、この村特有の果実味とタンニンが今もたっぷり。数年の我慢の後には、楽しい思い出が待っている事でしょう。

今からでも魅力たっぷりで楽しめるのが、 リュリー村の名門ラ・フォリーが造る特醸品キュヴェ・マリー。発酵中タンク上部に集まる果皮を混ぜる際に、ピジャージュ(棒や足で果皮を混ぜる)をせずに、ルモンタージュ(タンク下部から果汁を抜き、果皮の上に注いで混ぜる)だけで発酵させる為、タンニンが柔らかく果実味が際立っています。

ロワール地方からは赤と泡の2種。地元のラブレ組合が造るお値打ちシノン村の赤。未熟な青さの代名詞だった、ロワールのカベルネ・フラン種ですが、今では爽やかで溌剌とした味わいで、とてもバランスの良い仕上がりになっています。

ラングロワ・シャトーが造るクレマン(泡)は、4品種を使って複雑さと独自の味わいを持っています。地元のシュナン・ブラン種50%、カベルネ・フラン種10%に、シャルドネ種30%、ピノ・ノワール種10%を加えて、シャンパーニュ地方を超える泡を目指しています。

アルザス地方からは有機栽培を実践するクリスチャン・ビネール家のシルヴァネール種。この品種、一般的には格下に見られていますが、この生産者は上級品種を超える味わいに仕上げています。多分、先代か先々代が植えたシルヴァネール種を、今も大切に栽培し、細心の注意を払って醸造しているのでしょう。こういったやせ我慢に、私はつい応援したくなります。

南仏からはサンシニアン地区のスーリエが造るグルナッシュ・ブラン種主体の白。有機栽培を実践し、醸造も自然派のスタイルで行っています。一般に有機栽培は手作業が増え、収量も下がる為に価格が高くなってしまいます。そんな中で栽培、醸造共に自然派のワインでこの価格は驚きです。ぜひ一度お試しください。

フランス南西部からはマディラン地区のシャトー・サン・ベナジ01年。地元葡萄のタナ種は強烈なタンニン(渋味)が特徴で、飲み頃までは辛抱が必要。01年産は16年を経て、タンニンがこなれ果実味と調和し、今まさに飲み頃の美味しさが楽しめる状態です。

シャンパーニュ地方からはお手頃価格の2種。お値打ち感たっぷりのルノーブル・アンタンス・ブリュットは、シャルドネ種40%、ピノ・ノワール種30%、ピノ・ムニエ種30%。特にシャルドネ種は有名なシュイィ村産で、切れの良い酸味がスーッとのびて味わいを引き締めています。

一方ドゥ・カントナール・ブリュットも、シャルドネ種は有名なコート・デ・ブラン産60%に、ピノ・ノワール種30%、ピノ・ムニエ種10%。もう一回りふくよかで、バランスの良い味わいが楽しめます。

イタリア・ピエモンテ州からは赤2種。まずはフォンタナフレッダ社のバローロ村12年。北部にとってこの年は難しい年でしたが、ここではバローロらしい豊かさと、風格のあるタンニンが楽しめます。天候以上に、人の努力が成果を結んだ味わいです。

次はロベルト・サロットが造る、お隣バルバレスコ村の、リゼルヴァ規格で97年産。この年のイタリアは最高の作柄に恵まれ、各地で素晴らしいワインが造られました。味わいは完熟を超えて、干し葡萄からのワインを思わせる凝縮感が20年を経た今も感じられます。伝説の97年産が入手できる最後のチャンスでしょうか。

南イタリアからは赤、白の2種。南部ラッツィオ州のマチョッカが地元のパッセリーナ種主体で造る白。ここの大地の恵みを全て味わってほしいとの思いから、果皮と種も一緒に自然派の醸造を行い、瓶詰まで酸化防止剤を添加していません。葡萄の風味に畑の空気、日差し、土壌を一緒に煮込んだような豊潤な味わいを持った白。

赤はシチリア島モルガンテ社のネロ・ダヴォラ種13年。温暖な気候の中で完熟した葡萄は、凝縮した果実味と柔らかなタンニンが調和しています。低収量栽培を守り、丁寧な醸造によって生まれた、バランスの良い良質な赤ワインに仕上がっています。

今人気のスペインからは赤と、白の3種。温暖なテラ・アルタ地区の若い生産者アルタビン。入門編とも言えるプティット・レッド12年は、ガルナッチャ種主体に、シラー種、カリニャン種のブレンド。果実味とタンニン、スパイス感が5年を経て調和して来ました。この価格ではあり得ない程の満足感と、バランスの良さが楽しめます。

次の赤は最高の産地リベラ・デル・デュエロで高評価を受けているヴァルデリス。ここのファースト・ラベルは94点評価を受ける素晴らしい赤ですが、定価4,500円。そこで入門編として造られたのが、同じ自社畑の葡萄でも樽熟成無しで瓶詰したホーベンです。タンク熟成による瑞々しい果実味がたっぷりで、色調も縁まで真っ黒。複雑さは無くても、この低価格でこのフルボディ感は驚きです。

白はナヴァラ地区のソルサルがガルナッチャ・ブランカ種で造る辛口。温暖な産地とは思えない引き締まった青リンゴの味わいは、北部の冷涼な産地を思わせます。スペインといえば今も赤ワインのイメージですが、近年、白の出来には本当に驚かされます。

昨年あたりから、社内で旨安ワインと言えばポルトガル産です。スペインの隣で温暖な気候の中、葡萄は完熟し良質なワインが出来ますが、輸出はポートやマディラばかりで国外のワイン愛好家には知られていませんでした。ベーシックなエストリア赤、白は何と500円! この価格でもバランスが良く、毎日の食卓に最適なテーブル・ワインです。

この上級品といえるのがエンコスタ赤、白でこちらは900円! 一回り豊かな果実味と、数品種のブレンドによる調和した味わいが楽しめます。

ニューワールドからは白2種。オーストラリアのウェルウッドはピノ・グリージョ種からの白。この低価格でも豊かな果実味と、ナッツを思わせる香ばしさが豊かに広がります。

次はお隣ニュージーランドからヴァヴァサワーのソーヴィニヨン・ブラン種。グラスから立ち上る柑橘や夏野菜の香りと、爽やかな酸味のメリハリのある味わいは、この品種のお手本になりそうな出来栄えです。

ハード・リカーからはブランディとリキュールの2種。ガロティエ社のカルヴァドスは、有機栽培のリンゴを蒸留したブランデー。リンゴの皮を思わせる香りが、グラスから華やかに広がります。

次はフィリップ・ド・ブルゴーニュがオート・コート・ド・ボーヌ地区の桃から造ったリキュール。完熟を過ぎて、過熟したような桃の香りと、凝縮した風味はただ者じゃございません。食後に、このリキュールを一口頂くと幸せな気分になる事、間違えなしです。

次はノン・アルコールのドリンク。コニャック地方フェヴリエ家(仏・2月の意)のユニ・ブラン種100%果汁で、ガス無しと、ガス入りの2種。そのままでも美味しいですが、同じコニャック地方産ブランデーに少量加えても美味しく頂けます。

次は今話題のワイン用保存器プルテックスのアンチ・オックス。仕組みはよく解りませんが、柔らかなシリコン製で蓋状の物を瓶にはめると、ワインの酸化を抑えます。当社では、ボージョレ・ヌーヴォーにつけて数日ごとに時間経過を見ましたが、最後は1ヶ月を経ても、お酢にはなりませんでした。ただ酸化した風味にはなりませんが、味が何か違う方向へ向かっている感じがしたのも事実です。飲食店のグラス・ワイン用には、一度試してみる事をお勧めします。

食品では3種。タツヤの柿の種と燻製ピーナッツは、ちょっと癖になる程の良い組み合わせに驚きました。

次は品切れていましたカリフォルニア産の枝付きレーズンが、別のメーカーで入荷しました。

最後は新入荷、ベトゥルッツェッリ社の瓶入りグリーン・オリーブ。シチリア産でこの低価格。サイズは大950g、小290gがございます。

2017年 1月、2月

寒中お見舞い申し上げます。

本来であれば社長の藤井が、この「店主の独り言」を担当しておりますが、今回のみ私、藤井雅裕(専務取締役)がお詫びとご報告を兼ねて書かせていただきます。

昨年11月、12月に多くのお客様から「新しいワインショップフジヰ ニュースはまだ出ないのですか」とお問い合わせをいただきました。社員一丸となって繁忙期の前にフジヰ・ニュースをお届けするため作業をしておりました。しかし11月中旬、急に私は言葉をうまく喋ることが出来なくなり、検査を受けたところ6cmを越える髄膜腫(ずいまくしゅ)という大きな脳腫瘍が見つかり、摘出手術のため入院することになりました。

当社は社長を含め7人で運営している零細企業のため、毎日の業務をこなすことで精いっぱいとなり、このニュースが年を越してしまいました。また、私が欠けた事でお客様への接客や飲食店様への対応でご迷惑をおかけしたことが多々あったかと思います。本来であればお会いして申し上げなければいけませんが、ひとまずこのフジヰ・ニュース上でお詫びさせていただきます。大変に申し訳ございませんでした。

幸い、理解あるお客様のおかげで、会社は何とか新年を迎えることができました。本当にありがとうございました。私は12月中旬に10時間を超える大手術が成功し、合併症もなく、いくつかのリハビリをこなし、昨年末に退院することができました。開頭手術というリスクの高い治療でしたが、トップレベルの技術を持った医師、粘り強く、親身になってくださる看護師、有数の技術を持った技士や療法士の方々のおかげで無事克服できたと思います。中村記念病院の皆さま、ありがとうございました。退院後は順調に回復し、少しずつですが仕事に復帰しております。今後は健康管理に努め、皆様にご迷惑のかからないようにしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

最後に私を支えてくれた妻と二人の息子にこの場を借りて感謝の気持ちを表したいと思います。貴方たちが居てくれたおかげで病気に打ち勝つことができました。本当にありがとう。これからも末永く、共に笑い、共に泣き、時にはケンカし、楽しい人生にしていきましょう。

次のおすすめワインは入院明けの私ではなく、店主の藤井よりさせていただきます。

ではここからは、いつもの店主の藤井による今月のお薦めワインです。

まずは北海道から、千歳ワイナリーで新発売になったケルナー種の上級品、プライベート・リザーブ。優良な区画のケルナーを遅摘みした白は、非常に凝縮した果実味を持ちながら甘くなっていません。豊かなミネラル感が味わいを引き締めているからでしょう。こうして今までとは違った新しいタイプのケルナー種が出てくる事で、道産ワインの品質がまた一段階上がりました。

次は道産ワイン大手、㈱北海道ワインからの自社農場の鶴沼産ゲヴュルツトラミネール種14年。ここでは新型の選果機を導入して更なる品質向上を図り、その上13年産より600円も価格を下げて14年産を発売しました。今、道産ワインの各生産者は、品質と価格の両面で努力を重ねているのがわかります。


山形県からは、タケダ・ワイナリーのブラン・ド・ノワール(黒葡萄で造った白ワインの意)樽熟成14年。黒葡萄のベーリーAを優しく絞り、その透明な果汁を樽に入れて発酵、熟成させました。香りよりも味わいに、厚みとにが旨味等の複雑さを感じることでしょう。フルーティーで果実味たっぷりタイプよりも、この白は和食も含めてお食事との相性が良いと思いました。ぜひお試しください。

長野県の名門、小布施ワイナリーからは、お値打ちな品2種。白は近隣にあるカクトウ農園のシャルドネ種で上級品レゼルヴ・プリヴェ15年。小布施の曽我社長自身は過剰な新樽香を嫌う方ですが、 カクトウ農園の優良区画のシャルドネ葡萄を見た時に、これは新樽100%で醸造しなければならないと感じたそうです。ナッツやバニラの香りと凝縮した果実味は、分かりやすく言うと良く出来た「ムルソー村」のスタイルです。

赤ではオーディネール・メルロ&カベルネ14年。ミディアムな果実味にタンニンと酸味が調和した赤。柔らかで澄んだ果実味に、もう少しで熟成旨みも開きそうな気配です。


次は仏ボルドー地方から2種。果実味とタンニンがたっぷりのボルドーがお好きな方にはムーリ村のシャトー・モーヴザン・バルトン11年。この年から新オーナーとなったバルトン家が、高価な光学式選別機を使って厳格な選別をしているのでしょう、11年産ですがグレート・ヴィンテージの様な凝縮感が楽しめます。今後も楽しみな新シャトーが又一つ見つかりました。

次も同じムーリ村で名門、シャトー・プジョーのセカンド、ラ・サル・ド・プジョーで熟成した07年産。ボルドーに濃さ強さを望む方にはお薦めしませんが、枯れ始めた果実味に溶け込んできたタンニンの感じがお好きな方には、たまらない1本だと思います。しかし、少し前までセカンド・ワインは早飲み用で熟成はしないと言われていましたが、こういったワインを飲むと考えを直さなければなりませんね。


ブルゴーニュ地方からはトリコン家のシャブリ14年。ここ5年ほど毎年、高騰を続けるブルゴーニュ。特に人気の高いシャブリ地区は値上がり幅も大きい中で、お買い得シャブリが見つかりました。安価なだけではなく、味わいにメリハリがありシャブリらしさが楽しめます。安いだけで、薄っぺらで酸っぱいだけの白だろうと思っている方!そんな貴方にこそ飲んで頂きたい1本です。

赤では古酒に強いセリエ・デ・ウルシュリーヌ社で、ラドワ村のレ・ブリコット畑赤08年。ブルゴーニュでお値打ち品を見つけるコツは、まず信頼できる生産者、そして超有名ではない村の良い区画のワインを探す事です。少しマイナーなラドワ村ですが、1級畑に接する東向き斜面(日当たりの良い)のブリコット畑はまさにその好例です。今も表情が開いてとても美味しいですが、古酒好きの私にはもう2~3年熟成させたいと思ってしまう程のポテンシャルを感じさせます。


ロワール地区では有名なサンセール村の名門アンリ・ブルジョワ家が造るお値打ちな白のプティ・ブルジョワ。サンセール村のソーヴィニヨン・ブラン種は3,000円を楽に超えますが、サンセール村の付近で栽培されたソーヴィニヨン種は、村の物と近い味わいを持ちながらも価格は約半分になります。

次はモンムソー社が造るアンジュ地区のフレッシュなロゼ。完熟した果実甘みと、澄んだ酸味が調和してとても爽やかです。女子だけでなく、男子でも美味しく飲める甘さ加減だと思います。


人気のスペインからは2種。まずはカラタユド地区のNKホワイト。標高1000mの高地で栽培されたマカベオ種からの白は、野暮ったさが無くクリーンで引き締まった味わいです。

赤では45番ロス・フレイレスのシネルジア・バリカ07年。地元のモナストレル種80%にカベルネ種20%を樽熟成させた赤は07年産。10年を経てモナストレル種の果実味と、カベルネ種のタンニンが、木樽風味と共に調和してきました。やっぱり力のある赤は、10年前後経ることで美味しくなってくるのが分かります。


アメリカからは安価ですが、クエイル・クリークのワインが良かったです。個人的にはシャルドネ種白と、メルロ種赤が、素直な果実味で甘さが気にならず、バランスの良い仕上がりで気に入りました。飲食店のグラス・ワインや、毎日の食卓に合わせるデイリー・ワインには最適の赤、白だと思います。


今注目のニュージーランドは、良質ですが小規模生産者が多い為、安価なワインが殆どありません。そんな中でバードのピノ・グリ種(定価2,200円)が、在庫処分の形でお安くなって入荷しました。完熟した果実味がたっぷりのピノ・グリ種に、6年を経た熟成旨みも開き始めて来ました。


食品ではスペイン産ホセ・ロウ社のオリーブ3種。一番人気はアンチョビの旨みとオリーブの塩味が楽しめるアンチョア。面白いのは熟成した梅干しを思わせるシットリ感のブラック・オリーブのネグラ・デ・アラゴンでしょう。

2016年 10月~12月

今月は寝室のお話し。

もう季節は冬ですが、今年の夏も暑く寝苦しい日がありました。夏休みのキャンプから帰って来た息子は、自分の部屋が暑いと言ってベランダにマットを敷いて寝袋で寝始めました。翌朝体が痛くなっても知らないよと言っても聞かないのでそのままにした所、風が気持ち良くて熟睡できたと言い、その後は毎晩ベランダ寝。

その数日後、家内が私も寝てみると言い出し実行。すると家内と息子は毎晩、一つしかない寝袋をジャンケンで争うようになりました。今まで家内は布団がフカフカしてないと寝られないと言っていたのに、コンクリートの床に敷いた厚さ1センチ程のマットで寝ているのです。

1週間程して、家内は私にもベランダ寝を体験してみたらと言い出し、私もトライしました。幅1.5メートル程の狭いベランダの床に寝てみるとコンクリートの床は確かに硬いのですが、薄いマットでも十分快適。その日はベランダに出ても風を感じませんでしたが、横になってみると床のあたりは心地良い微風が頬を撫でるように流れ、見上げるとベランダの壁にさえぎられ細く切り取られた空でも星はキラキラ輝いています。気が付くと寝返りもせずにぐっすりと寝いり、翌朝は日を浴びて気持ち良く目覚めました。翌晩から私は部屋の寝床に戻りましたが、ベランダ寝は意外に楽しい体験でした。

更にベランダが気に行った家内は、夕食も折りたたみのテーブルと椅子を出して外で食べるようになりました。北国にとって長くはない夏のひと時、キャンプに行かなくてもベランダへ一歩踏み出せば、手軽に屋外の空気を楽しむ事が出来ますよ。


さて、今月のお薦めワインです。

まずは、ヌーヴォーのお知らせ。今年もフランスから11種類、イタリアから2種類、そしてカシス・リキュールの新酒が入荷します。今年初登場のユドロ・ノエラ以外は、当社で毎年安定した品質で人気の高い新酒ばかりです。私はいつも熟成したワインばかりを探していますが、この時期だけは私も出来たての新酒が恋しくなります。皆さんも、年に一回ぐらいは初物を味わってみませんか。


次は北海道の奥尻島から、シャルドネ種の白15年。島の畑は海に近く、潮風は微量の塩分を葡萄の実に付着させます。その実を発酵させると、塩分がミネラル感となって独自の味わいになります。天つゆではなく、塩で食べる天ぷらに合わせてみては如何でしょうか。

そして、余市で15年に創業した平川ワイナリーのポワレ(洋梨の発泡酒)。元洞爺湖ウインザーホテルのソムリエ平川氏が転身し、始めたワイナリーです。通常のスパークリングワインは2~3気圧以上の発泡性がありますが、 こちらは約1気圧と僅かな微発泡。ガス圧を楽しむのではなく、少し高めの温度で熟した果実の風味を味わって欲しいと平川氏は話していました。


仏ボルドー地方からはシャトー・カロン・セギュールのオーナーが所有する別シャトーのカベルン・ガスクトン02年。この年はグレイトではなく平均的な作柄でしたが、収穫を遅らせたカベルネ種は良質な仕上がりになりました。14年を経て青さもこなれて、熟成香と熟成旨味が楽しめる飲み頃ワインです。

次はサン・ジュリアン村のシャトー・タルボ11年。この年パーカー90点評価の格付けシャトーで、この価格はかなりのお値打ち。あと10~15年後の楽しみに取って置きたい方には、丁度良いボルドーだと思います。


お値打ちボルドーでは、大人気のオー・メドック・ジスクール12年。柔らかでふくよかな果実味にタンニンが調和し、今から楽しめるバランスの良い赤です。そしてこの価格は今の相場より2割ほどお得だと思います。

でも、やっぱりボルドーは10年以上熟成させなければ、、、という方にはオー・メドック・ド・ラベゴルス05年か、プルミエ・コート・ド・ボルドー地区のシャトー・レスコンブ93年。ラベゴルス05年産は優良年らしい完熟した果実味と、11年を経た熟成香の両方が楽しめます。レスコンブ93年産は23年を経た複雑な熟成香と、少し枯れ始めた果実味にタンニンが溶け込んだ古酒の世界が感じられます。


そして今注目のボルドー・白では、シャトー・ラグランジュが造る新しい白、フルール・デュ・ラック13年。このシャトーではソーヴィニヨン・ブラン種主体のレ・ザルム・ド・ラグランジュを造っていますが、こちらは逆にセミヨン種主体で造られた白ワインです。品種特有のふくよかな果実味と、樽発酵による木樽の風味は、かなり上級な白の満足感に近い物です。


ブルゴーニュ地方からは有名生産者が造る、ベーシックなピノ・ノワールの赤2種が入荷しました。フィリップ・シャルロパン・パリゾのブルゴーニュ赤13年と、モンジャール・ミュニュレのオート・コート・ド・ニュイ地区の赤12年。共に瑞々しい果実味と、良質な樽からのバニラ風味が、グラスの中からじわじわと開いて来ます。

少しこなれたピノ・ノワールでしたら、クロワ・ブランシュの06年産ヴォルネ村の赤がお薦め。10年を経た香りは、果実でもドライフルーツを思わせます。味わいは香りよりも若い印象で、果実味に酸味とタンニンが混じり始めたぐらいでまだまだふくよかです。価格は近年のACブルゴーニュ程で、人気の高いヴォルネ村の06年がこの価格は注目です!


フランスで今月の旨安大賞は、セクレ・ド・シェでトゥーレーヌ村のソーヴィニヨン・ブラン種。この品種は柑橘系スタイルのタイプが多いですが、こちらは野菜系の香りがグラスから広がります。当然ラタトゥユ等の野菜料理には最適の白でしょう。


イタリアではソアヴェの名門タメリーニ家の白。この上に畑名付きの上級品もございますが、私にはこちらの並品でも十分美味しく楽しめました。しっかりと味がありながら、濃すぎずに爽やかさもあって丁度良いバランス感が素敵です。

同じヴェネト州で有機栽培を実践するエンピリアのビアンコ・ディ・クストーザ白。トレビアーノ種、ガルガネガ種に数品種をブレンドした白はフルーティ系ではなく、 野菜やハーブ系の風味が主体。食事と共にゆっくりと味わいたくなります。


今月は熟成ワインでお値打ちな物が見つかりました。カリフォルニアからはヴァレンタインのカベルネ02年。昨年亡くなったここの創業者が、自分用に売らずに残して置いたワインを、輸入業者が残された家族に頼みこんで限定入荷しました。14年を経てもまだ果実味とアルコール感がたっぷりで、収穫時の果汁の力を感じずにはいられません。更なる熟成にも十分耐えうる赤でしょう。

そしてドイツからはモーゼルシルトのヴュルツガルテン畑の遅摘みリースリング種で、約20年を経た97年と、94年の白2種。2種共に遅摘みし、完熟したたリースリング種の甘みと、豊かな酸味が今も溌剌とした印象。カリフォルニアの赤は創業者の遺品でしたが、こちらは蔵元のモーゼル・シルト社の廃業によって放出された、共にいわく付きのお宝ワインです。通常、長期熟成を経たワインは、保管料や金利負担等によりどんどん高くなりますが、今回の赤、白は、今発売されている若いワインと変わらない価格で入荷しました。ですからこの商品が完売後は代品がありませんので、気になる方はお早めのご注文をお薦めします。


スペインからはシェリーの逸品です。名門ヴァルデスピノ社が年に一回だけ発売する特別のマンサニージャ。海沿いの場所で造られたこのフィノ・タイプは、別格の新鮮さと、塩味がはっきりと感じられます。これ程に澄んだ味わいは、スペイン・ヘレス地方のシェリーの蔵元に行って、特別に瓶詰前の樽から試飲をさせてもらったレベルではないかと思います。シェリーをよくご存じの方にこそ、味わっていただきたいシェリーです。


ハードリカーでは、北海道・十勝ワインのブランデー原酒。1985年に蒸留し、30年以上樽熟成させていた原酒を、加水せずに小瓶に詰めました。59%のブランデーを生のまま極少量、舌の上に乗せると強烈な辛さと刺激が突き刺さります。その刺激をこらえて、5秒、10秒待つと、今度は少しずつ甘味と果実感が感じて来ます。ほんの数滴で舌の上では、地獄と天国の両方が体験できる貴重な液体と言えるでしょう。


今年も蜂蜜のお酒ミードが、元の蜂蜜と共に訓子府(クンネップ)から届きました。菅野さんが蜂から採取した菩提樹の花の蜜。この蜂蜜を発酵させたのがミードです。特に菩提樹の蜜は複雑な風味と濃さを持ち、イメージする蜂蜜とは全く別の物です。


食品からはサバティーノ・タルトゥーフィ社のトリュフ・ソルト。一般には「塩」単体にトリュフの香りを付けますが、ここでは豆のさやにトリュフ香を付けて、それに塩を加えた為に、塩分はあまり強くはありません。ですから味付けされたポテト・チップス等に振りかけても塩辛さは目立ちません。ちょっと良質なオリーブ・オイルにかけると、即席のトリュフ・オイルになり、このオイルを魚や肉料理にかけていただくと、高級レストランの味になったように思えます。

まずは2グラム入りの小袋でお試しください。

2016年 8月、9月

今月は本のお話しです。

今、当社でも扱っているマンガ仕立てのワイン・ガイドブック、小久保 尊(タケル)著「図解 ワイン一年生」。私は仕事柄、ワインの本を見つけると購入するようにしていますが、この本は今まで見た事が無い衝撃的なワインの本でした。著者・小久保 尊は33歳で、千葉県でワインバーのオーナー・ソムリエとか。


ワインは中世以降ヨーロッパでの飲み物だったので当然ですが、国内のワインの本は現地の書物を翻訳するか、見本にする物が殆どです。欧州では2000年以上の年を経て葡萄品種や産地が淘汰され、各葡萄産地内では区画による品質の上下が認知されています。しかし日本でワインが飲まれるようになったのは近代から。そして今では世界各地でワインが造られるようになり、物流の整備も進み札幌にいても世界各地の物が入手できるようになりました。伝統的な産地では歴史を超えたワインが残り、新興産地では今までワインを飲まなかった消費者に向けた新しいワインがどんどん生まれています。

しかし今までのワイン・ガイドブックは、欧州の伝説的なワインしか取り上げていませんでした。この筆者は今、日本で買える様々なワイン(伝統的な物と、新興産地の物)を同列に並べて、その時の気分や好みに合わせて選びましょうという切り口で本は書かれています。この新しいワイン選びに使われるのが、産地ではなく葡萄品種による分類。そして沢山ある葡萄品種を覚える為に、各品種をアニメのキャラクター化しました。このキャラクターが良く考えられており、カベルネ・ソーヴィニヨン種は優等生の男の子、シャルドネ種は誰からも好かれる可愛い女の子、ピノノワール種は人を寄せ付けない気品と美しさをを持った女性といった具合。まずはこの性格分けがとても的を得ていて感心します。

でも、いろいろワインを飲んで来ると、同じ品種でも違うスタイルの物がある事が分かってきます。出身はフランス・ボルドー地方のカベルネ種だって、アメリカや、チリで栽培されるとその産地の味わいが加味されて、少しずつ変わってきます。そういった違いをこの本では、ボルドー地方では優等生タイプのカベルネ君が、アメリカに行ったカベルネ君だとサングラスをかけていたり、ブルゴーニュの地方のピノ・ノワールちゃんは黒毛で影のある暗さを持っていましたが、アメリカのピノちゃんは金髪でガムをクシャクシャ噛んだ姿で違いを表現しています。


もう一点は品種や産地でワインを分類していますが、銘柄を明記せずに目安となるアバウトな小売価格を伝えています。たとえば「日本のビールは350缶で230円ぐらいで、とても美味しいですよ」と書いてある感じです。当然ビールメーカーはキリン、アサヒ、サッポロ、サントリーがあり、各社とも何種類か出していますが、どれを飲んでも美味しいですよと言う事でしょう。

この手の本は筆者の好みが当然あり、普通は好みのメーカーの商品が推奨されています。この推奨銘柄が無いという事は、勘ぐって言うとメーカーのお抱えになっていない事です。ガイド本を見て各名産地の推奨品の輸入元が1社に集中していると、多分この筆者はその会社と関係があり、味ではなく自分の都合で銘柄を選んでいると思われます。このデリケートな部分をこの本はバッサリと捨てました。ブルゴーニュの説明で、「千円、二千円台でブルゴーニュを買えば、まずひどい目にあうと思っておいた方がいいです」と言って、ピノ好きな筆者は安物買いでガッカリするぐらいなら、五千円以上の物を買ってピノの良さを堪能してほしいそうです。


このあたりの割り切りの良さは、私も業界関係者だけに「アッパレ」と言いたい気分です。内容の約1/3はマンガ仕立てで読みやすく、文章の所も重要な所は始めからアンダーラインが引いてあります。誰もが読みやすい「おちゃらけた本」に見えますが、筆者のワインに対する思いは公正で、厳格で、何より純粋なのでしょう。ワイン好きでしたら、1本買うのを我慢してでもこの本をジックリ読んでみてください。結構、ワインの本質を突いているような言葉に出会える事でしょう。



さて今月のお薦めワイン、まずは北海道から。

余市のオチガビ・ワイナリーのバッカス種15年。創業から3年を迎え、栽培、醸造、共に安定してきました。そして今までケルナー種より高額の設定だったバッカス種の価格が、15年からお安くなりました。お得な価格でふくよかな果実味と、熟した風味が楽しめます。

次はタキザワ・ワイナリーのミュラー・トゥルガウ種15年。この年からミュラーは醸造法を変えて、3種類の醸造法でワインを造りブレンド。フルーティな果実味はそのままに4割ほどを果皮と種と共に醗酵させた事で、果皮からのタンニンや旨みが味わいに厚みと輪郭を与えています。地元の葡萄を醸造によって更に磨きあげる試みがなされています。

そして十勝ワインのピノ・ノワール13年。地元ワインのパイオニア、十勝ワインが造るピノは熟成させ飲み頃になってから発売しています。今、道産ワインの多くは15年の中で、13年産を発売するのはメーカーの心意気でしょう。3年を経て熟成旨みが少し開いて来ました。

長野県・小布施ワイナリーのメルロで、葡萄は佐藤明夫氏のキャトル・サンク農園の14年。やはり長野産メルロは完熟感があり、ボルドー右岸の物に近い風味を持っています。涼しい北海道にはない、熟したチェリーの果実味とスモーク風味が楽しめます。


フランス・ボルドーからは、シャトー・レオヴィル・ラス・カーズが造るクロ・デュ・マルキ10年。何度も言いますが、値上がり前の10年産を見つけたら即、買です。完熟感と凝縮感がたっぷりで、二周りは豊かな風味が楽しめます。将来の楽しみに取って置きたいワインでしょう。

さて、ボルドーの09、10年産は当然美味しいですが、今、狙い目はその前後の年です。オー・メドック地区の大規模シャトー、ボーモン11年。この年は思いのほか出来が良く、めっけもんが見つかる年。

そして次は高額で知られるポムロル村から、クロ・ブラン・マゼイル11年。熟したメルロ種からの豊かな味わいの赤は限定の入荷です。ラベルではなく、中身と価格を優先する方にお薦めします。

日本で大人気シャトー・モンペラと同一オーナーで、トゥール・ド・ミランボーのレゼルヴ赤。完熟したメルロ種からのチェリー・シロップ風味に、上質な木樽の風味が混じってこの価格ですから、お隣、英国での人気もうなずけます。作柄の良かった09年と、06年産マグナム瓶が限定入荷。

ボルドー地方シャトー・ル・ノーブル11年は大変お得なオーガニック・ワイン。自然派ワインに多い癖などはなく、素直な果実味ときめ細かなタンニンが楽しめます。今月入荷のフランス赤で、旨安大賞決定!


ブルゴーニュ地方からは、良質な白2種が入荷。白の名門アンリ・ボワイヨのブルゴーニュ規格の白12年と、シャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェが、シャサーニュ村のシャルドネ種で造る白11年。共に数年を経て若さが落ち着き始めた頃で、そろそろ飲み頃になって来ました。こういった名門生産者の物でこなれた物は滅多に見かけません。

今、シャンボール村でグングン評価を上げているエルヴェ・シゴーのシャンボール13年。有機栽培からの澄んだ果実味と、清らかな酸味がとってもチャーミング。現在7,000円以上しているこの村の赤が、この価格は見逃せません。


ピノ・ノワール種の赤のお値打ち品では次の3種がお薦め。まずは大人気ジャエ・ジルが造るパストゥグラン11年。セメントタンク熟成ですが一部を樽熟させたのでしょう、うっすらスモークが香ります。ピノの香り高さと、ガメイ種のコクが、5年を経て混じり始めています。

二番、セリエ・デ・ウルシュリーヌは自社畑ではなく、ネゴシアン(ワイン商)のワインですが、ここのブルゴーニュ規格のピノ・ノワールは素晴らしい作柄だった02年産。14年を経た熟成香と共に、素直な果実味が今も十分楽しめます。

三番目はニュイサンジョルジュ村のはずれに暮らすショーヴネ・ショパンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ12年。4年を経てニュイ地区特有のタンニンと、果実味が調和してきました。旨安の中でも私が一押しするのはショーヴネ・ショパン。正にこれからが飲み頃の、お値打ちで良質なピノ・ノワールです。

今月はヴォルネ村でビオディナミ栽培を実践するフェヴリエ家の飲み頃赤が限定入荷しました。まずは本拠地ヴォルネ村の98年産。18年経た豊かな熟成香と、熟成旨みがきれいに楽しめます。


そして隣のボーヌ村に所有するシャルドヌロー畑の赤で98年と96年。こちらは共にもう少し熟成が進み、香りに紹興酒や麹のニュアンスがありますが、味わいは果実味とタンニンが調和した感じで香りよりは若い印象でした。約20年を経た名醸地のワインとしては破格にお安く、味わいもまだしっかりしています。誕生年の方だけではなく、古酒入門にも最適なワインでしょう。


南仏からは白、赤2種のワインです。白ではラ・クロワ・グラシオがピクプール種からの辛口。長女が醸造を担当し、フレッシュな果実味とミネラル感が調和した白に仕上げています。地中海沿岸で採れる生カキだけでなく、魚介類にピッタリのワインです。

赤ではラストー村のコンブ・デューが造る赤で2000年産。作柄の素晴らしかったこの年ですが、16年を経て今ではほとんど見かけない貴重なワインです。味わいはグルナッシュ種と他の品種が調和してきましたが、今も強さを持っています。


ロワール地方からはサン・マルタンのミュスカデが、少しお安くなりました。瓶詰め後2年を経てフレッシュさが落ち着き、少し味わいが調和して旨味がのって来ました。この価格は注目です!

山のふもとサヴォワ地方からはリュパンがルーセット種で造る白。アルプスからの澄んだ空気を味わうような爽やかな味わいです。


イタリアからはエミリア・ロマーニャ州で有機栽培を実践し、バリバリの自然派の醸造を行うイル・ヴェイの赤、白が入荷しました。若干、自然酵母由来の酸化風味がございますが、澄んだ果実感と、旨味を感じさせる味わいはここ独自の物です。


赤ではボッター・カルロ社のサリーチェ・サレンティーノで、樽熟せさせたリゼルヴァ規格。この価格で強さと、複雑さを持った赤は中々見つかりません。そして更に2~3年熟成させる事も十分可能でしょう。


カリフォルニアからはメーカーで品切れていた旨安ワイン、エイリアスのシークレット・エージェント赤がやっと再入荷しました。今までこの地では単一品種の濃くて強い味わいのイメージでしたが、少しずつ調和のとれたタイプが出て来ています。この赤も数品種のブレンドで、ミディアムな果実味とバランスの良い味わいが楽しめます。


スペインからのお薦めは白1種と、赤2種。白はアラゴン地区ランガのパイ・ブランコ。ここの畑が3.14ヘクタールだったことから畑名を「パイ(円周率)」と名付けました。古木のガルナッチャ・ブランカ種を樽熟成した白は、筋肉隆々の引き締まったスタイルでほれぼれするほどです。シャルドネ種を使わずに、2,000円以下で、パーカー氏が90点は付けそうな出来に「あっぱれ!」と言ってあげたい出来。

赤ではメルム・プリオラーティのアルディレス07年。プリオラート地区の急斜面畑で栽培された、ガルナッチャ種、カリニェナ種、他が9年を経て少し調和してきました。この地区の赤は通常3,000円以上するのに、半値に近い価格でパーカー91点の出来。こちらも又「あっぱれ!」の出来です。

後はスペインの天才的サッカー選手、イニエスタ氏のワイナリーの上級品でプレミウム。シラー種、カベルネ種、等3品種のブレンドを18ヶ月樽熟成させた赤は、凝縮した果実味と木樽風味が充分楽しめます。サッカーファンでなくても納得できる上級ワインです。


次はウィーンのあるオーストリアからの白。この国の白グリュナー・フェルトリーナー種は良質な事で知られますが、小規模生産者が多い為に価格も、3000円前後します。フーグル家の白は半値以下の価格で、品種特性がしっかり楽しめます。ちなみにこの白品種、岩見沢の10Rワイナリーさんが少量栽培しています。


今月はカリフォルニアから良質な物が多数入荷しました。白はヴィラ・マウント・エデンがビエン・ナシード畑のシャルドネ種で08年産。8年を経てグラマラスな完熟感と、カスタード・クリームを思わせる木樽風味が混じり始めた「コテコテ」の白。バターをたっぷり使った料理が恋しくなります。

アメリカの赤で名産地と言えばナパ・ヴァレー地区ですが、値段もハイクラス。コン・クリークは地元農家とのネットワークを生かして、お値打価格で良質なワインを造っています。カベルネ種のタンニンと、シラー種の果実味を生かしたこの赤は、価格以上の濃さと豊かさを持っています。一度ナパ・ヴァレーを飲んでみたいと言う方には最適の入門ワインでしょう。ナパのカベルネ種で有名銘柄を追いかけると値段は数万円以上になりますが、地元で多く栽培されるジンファンデル種では頂点の物でも1万円ほど。カリフォルニアでコスパを求める方は、この品種抜きには考えられません。

サイクルズ・グラディエーターは、日当たりの良い事で知られるパソ・ロブレス地区のジンファンデル種を中心にブレンドし、フレンチオーク樽でしっかりと熟成させる事で、フルーティさと複雑さの両方が楽しめます。


そしてオーク・リッジのエイシェント・ヴァイン。ジンファンデルの銘醸地ロダイ地区の自社畑の中でも、最高齢120年~80年木の実を使って醸造した逸品は、ネクターやシロップの様な果実味と骨太なアルコール感が口の中で爆発します。アメリカン・スピリッツの真髄とも言える強烈なワイン。


ハードリカーからは、モルト・ウイスキーの最高峰ザ・マッカランの18年。日本でもNHKテレビ「マッサン」の放映後、ニッカ、サントリーの熟成年数入りの物は完売したままです。今から20年以上前、世界のハードリカー市場はウィスキーからラムやテキーラ等を使ったカクテルに需要が移り、当時ウィスキー原酒の生産は激減しました。そして近年になって、モルト・ウィスキーがブームになると、飲み頃の原酒が少なく18年等の長期熟成品が今、生産出来ない状態になっています。何せ、今から原酒を増産しても発売できるのは18年以上先なのですから。


今月の食品からは2種のジュースです。ヴァンドームのクラシックは、ワインからアルコールを抜いて、炭酸を加えたスパークリング・タイプ。今まで数多くのノン・アルコール・ワインを試飲しましたが、我慢できる物がありませんでした。しかしドイツ製のヴァンドームは、きれいにアルコールだけを抜き取った印象で、味わいはかなりワインに近いものに感じました。

日本からはは倉敷味工房で作られた夏みかんジュース。ネクターの様な濃さは無くても、素直な果実感と柑橘の皮を思わせる爽やかな苦旨味が、大人でもお代りをしたくなります。

2016年 6月、7月

私は朝日新聞の金曜夕刊に載っている「さっぽろレトロ建物グラフティ」の記事は欠かさず見ています。この記事は札幌のレトロな建物を写真ではなく(ここが重要!)松本浦さんのイラストと、札幌の出版社を経営されている和田由美さんの温かみのある文で楽しく紹介しています。そして16年5月27日のこの欄に、お付き合いのある平岸の酒屋「加島屋」さんが紹介されました。

昔、加島屋さんが北3条西2丁目の角で営業をされていた頃、私は北2条西2丁目に住んでいたのでよく伺っていました。今年1月に亡くなった加島屋の主(あるじ)、廣岡さんは私より年上で、私にとってお兄さんの様な方でした。私が若い頃、加島屋さんに自宅用のウィスキーを買いに行くと、「学生のうちは安い物でいい、残ったお金で乾き物を買え」と指導されました。

その後廣岡さんは結婚され、ワインの試飲会ではいつも奥さんと二人というか、奥さんのまさ子さんが子供をおんぶして3人で参加され、まさ子さんは口直しのフランスパンやチーズを器用に背中の子供に食べさせていました。


廣岡さんのファッションは札幌南高のバンカラさと、アイビー・スタイルが融合した黒いエプロンと、いなせなねじり鉢巻き。何時お会いしてもこのスタイルで、これを棺おけの中まで貫き通した、真のダンディな方でした。お酒と缶ピースをこよなく愛し「灰皿にタバコを吸わせなくていい」が信条で、数回吸うと爪で火種を落として火を消し、 又吸いたくなるとシケモクに火を付けて美味しそうに吹かしていました。


この連載は3年ほど続いており、家内と私は気になった建物を見に行ったり、営業中のお店ですと中に入ってみたり、街歩きを楽しんでいます。小樽と比べると古い建物が少ない札幌ですが、和田さんは築50~60年でもいい味を出している建物をセンス良く見つけてくるなあと毎回感心して読んでいます。

そしてこの「さっぽろレトロ建物グラフティ」は、朝日新聞・北海道版のホームページ
www.asahi.com/area/hokkaido/articles/list0100133.htmlでも見ることが出来ます。


今月のお薦めワインです。

タキザワ・ワイナリーから今の北海道に最適なロゼ・ワイン2種。余市産の黒葡萄キャンベル種のロゼは、醗酵前に葡萄を潰さず低温管理して果皮の風味を果汁に浸透させ、果汁を発酵させたフレッシュで風味豊かな辛口。

もう一つのロゼは、茶色い旅路葡萄からのスパークリング。こちらは醗酵初期の数日間は果汁に果皮と種も漬け込み、 オレンジの色調に旨みと複雑さを持ったスタイル。食前酒だけではなく、食事と共に楽しめる太さを持っています。

奥尻ワイナリーで、一番人気の白ピノ・グリ種15年が入荷しました。この島特有のコクとミネラル感は、特に白ワインで魅力を発揮します。これからが時期のアスパラや、サラダ仕立ての前菜には最適の白です。ただ、この15年産も生産者では完売でしたので当社在庫のみ。ご希望の方はお早めに!

三笠・山崎ワイナリーのバッカス種白15年は、ふくよかなこの品種の特性を生かし、 少し甘みを残した中口に仕上げています。


次は道外の国内産ワイン。山形タケダワイナリーのお徳用ワイン、蔵王スター1.8L。山梨など本州の葡萄産地では、今も一升瓶ワインの需要があります。生産農家ではコップや茶碗で気取らずに楽しんでいるのでしょう。ジンギスカンなど人数が集まる時には最適な1本。


曽我 彰彦さんごめんなさい、今回もお薦めは佐藤家親子が栽培し、彰彦さんが醸造したワインです。彰彦さんが炎天下で一匹、一匹、油虫を潰して有機栽培を行っているのはすごい事です。でも曽我家自社畑物の半額に近い値段で佐藤家産シャルドネ種とソーヴィニヨン種も大変上質なのです。長野の本家を守る兄・曽我彰彦さんと、余市の弟・曽我貴彦さんは、共に自社畑だけではなく近隣の畑の葡萄からも安価で良質なワインを造っています。


次はフランスから、安価でも良質なボルドー2種。シャトー・カスティロンヌ11年。こんなに安くても、ミディアムな果実味とボルドーらしいタンニンがちゃんと楽しめます。この価格でこの味わいは驚きです。

次はマルキ・ド・シャスのグランド・キュヴェ07年。9年を経てメルロ種とカベルネ種が調和をし始め、今もたっぷりとした果実味と熟成した風味の両方が楽しめます。多分、優良な区画の葡萄だけから造られたのでしょう、上級品の味わいを持っています。


続いてブルゴーニュ地方からは、シャブリ村の頂点に立つ生産者ヴァンサン・ドーヴィサの14年が入荷しました。正直言って1級畑でもないシャブリがこの価格は驚きですが、ここの特級畑は14,000円で当社の割り当ては数本しかもらえません。約6,000円はしますが、一度シャブリの真髄を味わってみませんか。


この4~5年、毎年高騰を続けるブルゴーニュ地方コート・ドール地区。お値打ちなブルゴーニュを探すのが困難な中で、見つけたのがソヴェストル家のサントネ村の白。ふくよかな果実味と木樽の風味が5年を経て調和してきた味わいは、上級シャルドネの典型とも言えるスタイルです。


南仏からはシャトーヌフ・デュ・パプの赤でシャトー・フォルティアのキュヴェ・バロン。ここの通常のパプはグルナッシュ種70%ですが、このバロンは60%で代わりにシラー種が10%多く使われます。これにより味わいは黒コショウのスパイス感が幾分穏やかで、果実感が豊かな赤になります。


次はロワール地方でソーヴィニヨン種最良の産地サンセール村から、対照的な白2種が入荷しました。ポール・ドウチェ家のサンセール14年。この村産だと3、000円以上する中で、3割以上お安いこの価格はぜったいお得。柑橘の香りが広がり、爽やかな酸味と果実味が溌剌とした典型的なソーヴィニヨン・ブラン種の白です。

一方セバスチャン・リフォー家のサンセールはカルトロン13年。リフォー家はビオディナミ栽培を実践し、醸造も自然酵母を使って、乳酸発酵も行うバリバリの自然派スタイル。同じソーヴィニヨン種を使っていながらドウチェ家とは対照的で、収穫も遅らせ貴腐葡萄混じりで複雑さと旨味がたっぷりな白に仕上げています。


イタリア・ピエモンテ州からはニコレッロが造るネッビオーロ種で99年。ここはワインを樽熟成した後にステンレスタンクに入れて、 タンク上部の空いた所は不活性ガスで満たして長期熟成させます。こうすると酸化が殆ど起こらず、果実味は豊かなままで熟成できます。17年前のワインでも個体差が少なく、安心して飲む事が出来ます。

ビアンカーラのイ・マシエリはイタリア自然派の白で最も知られるワイン。有機栽培を実践し、ガルガーネガ種主体で自然酵母、亜硫酸無添加等の自然派の醸造法で造られた白は、通常のソアヴェとは大きく異なり、複雑でミネラル感と酸味が前面に出てきています。自然派の入門には最適の1本だと思います。


イタリアで旨安ワインをお探しでしたら、まずはアブルッツォ州産モンテプルチアーノ種の赤でしょう。この州で最大級の生産者トロ協同組合は、大手でありながら品質を両立している貴重な造り手。ここの上級品リゼルヴァ11年が現地で有名なワイン専門誌で最高の3★評価を受けました。最高評価を受けながら、この価格は驚くべき事です。そして、更に数年熟成させる余力も十分です。


スペインからは、南部イエクラ地区のカスターニョが造るソラネラ12年が特別価格になって再入荷。地元のモナストレル種主体にカベルネ種他をブレンドし、樽熟成させた赤はパーカー氏94点評価。この12年産の評価は2年ほど前にされ、当時ジャムっぽかった果実味も今では落ち着き始め、各品種と木樽が調和した味わいになって来ました。この価格で94点のワインはあり得ないと思います。


スペインの白では2種類が良かったです。ラ・ビエンは地元のアイレン種からの爽やかな白。この低価格で温暖な産地ですと、アルコールが目立ったり、 苦みが目立つ事が多いのですが、この白は綺麗でバランスが良く仕上がっています。間違いなく、今月の旨安白に決定!

もう一つはリオハ地区の大手カセレス社がアルバリーニョ種で造る白。このリアス・バイシャス地区はスペインとしては涼しく、酸とミネラル感が引き締まった味わいで、価格も2,500~3,000円はする白で最良の産地。この特別価格をお見逃しなく!


カリフォルニアからはメーカーで品切れていた旨安ワイン、エイリアスのシークレット・エージェント赤がやっと再入荷しました。今までこの地では単一品種の濃くて強い味わいのイメージでしたが、少しずつ調和のとれたタイプが出て来ています。この赤も数品種のブレンドで、ミディアムな果実味とバランスの良い味わいが楽しめます。


こちらもカリフォルニア産の、ウーマン・オブ・ザ・ヴァイン。このワインは収穫年を見てわかるように、数年熟成した物。メーカーの在庫処分価格で入荷しましたが、味わいは6~7年を経て美味しくなって来た頃。フランスだけではなくカリフォルニアでもチリでも、丁寧に造ったワインは熟成して美味しくなります。この価格ですから偉大なワインではありませんが、この価格で熟成旨みと複雑さがチョッピリ楽しめます。


実は当社の酒類販売免許は全種類なので日本酒や焼酎も扱えますが、知っての通り店内に並んでいるのはワインか洋酒類です。そんな中、あるワインの輸入業者の試飲会で清酒の出展もあり、担当者が試飲して良かったと言うので、当社でも扱いを始めました。新潟県越つかの酒造の飛来、私は清酒の味わいの表現は未熟な為に言うのも恥ずかしいのですが、一升瓶で1,560円とそんなに高くない価格としては純米酒らしいコクと旨みを持っていると思いました。


食品からは、オリーブの種を抜き、そこにイワシ(アンチョビ)の身を入れたおつまみの缶詰。当社ではアンチョビ風味のオリーブは、900g(業務用の大瓶)しか扱いがありませんでしたが、小ぶりな350gの缶入りが入荷しました。通常の瓶入りオリーブはお酢の酸味で嫌いな方も、アンチョビの旨み成分が合わさる事で日本人が好きな味になります。


フランスからはドゥルイ社オーガニックのリンゴ酢とマスタード。共に澄んだ味わいは、有機栽培から来ているのでしょう。調味料は調理中に使ってもいいですが、小皿に少量取って食卓に置き、お醤油の様に付けて食べるのもいいですよ。絵具のパレットの様に、マスタードや、ビネガー、柚子こしょう、わさび等を並べるだけで、食卓が華やかに彩られます。

2016年 5月

まずは先月の話の続きで、転落した方のお義母さんから電話があり 、経過も良くご本人は退院されたと連絡がありました。


さて今月はワインでも少し専門的なお話。内容はマロ・ラクティック発酵(Malo-Lactic Fermentation 以後MLFと略す)についてです。

北海道のような涼しい産地のワインは、香り高くフルーティで豊かな酸味が特徴です。寒冷地のワインに多く含まれる酸味がリンゴ酸で、味はレモンの様なシャープな酸味が特徴。このリンゴ酸(マロ)を、乳酸菌(ラクテック)が醗酵(ファーメンテーション)して、乳酸に変わる事をMLF(マロ・ラクティック発酵)と呼びます。一般にドイツやシャブリなどの爽やかな白は、「MLF」を行わずにリンゴ酸を味わいの特徴に生かしています。しかし、シャブリ村と同様にシャルドネ種で白を造るムルソー村では、アルコール発酵後に「MLF」を行って、リンゴ酸を乳酸(ヨーグルトの酸味)に変え、更に樽熟成させることで穏やかな酸と複雑さを持ったスタイルになります。


さて北海道に根付いたワイン用葡萄と言えば、ドイツ系品種の白・ケルナー。この品種はフルーティな果実感と、爽やかな酸味が特徴なので、今まで道内の生産者はMLFをせずに、リンゴ酸を生かした爽やかなタイプに仕上げていました。そこに元ココファーム醸造長ブルース氏の10R(トアール)ワイナリーが、ケルナー種でMLFを行ったのです。10Rのケルナーが発売したての頃は、MLFの風味はそんなに目立ちませんでしたが、半年を過ぎた頃から酸味が穏やかになり「旨味」を感じさせる味わいが開いて来ました。

その旨み成分が、和食や日本のお惣菜にとても相性がいいのです。多分、味噌やしょうゆなど発酵調味料を使った料理に、旨味を持ったこのワインが寄り添ってくれるのでしょう。今も多くの道産ケルナー・ワインはMLFを行わずに爽やかなスタイルに仕上げていますが、最近試飲をした藤野ワイナリーのケルナー14年はのっけからMLF風味。一般的な北海道産ケルナーの味わいとは全く異なりますが、このワインを味わった時に従来の壁を打ち破った新しいワインのスタイルを見つけた感じがしました。

MLFによる穏やかな酸味と、旨味、そして味わいを引き締めるミネラル感は、日本の食事に寄り添ってくれます。酸と果実味でメリハリのあるスタイルか、旨味とミネラル感のタイプを選ぶかは? 飲み手のお好みや、合わせるお食事で選ばれるのがよいと思います。そして間違いなく言える事は、北海道産ワインはどんどん進化をしています。


さて、今月のお薦めワインです。

まずは余市のオチガビ・ワイナリーと、千歳ワイナリーで、共に15年産ケルナー種からの白。この2種のケルナーは、MLFを行わずにフレッシュ&フルーティに仕上げた白。これからが時期のアスパラや、サラダ仕立ての前菜には最適の白です。

奥尻ワイナリーからは、ピノ・ノワール種からのロゼ。ベリー系の華やかな風味主体ですが、アフターに潮風からのミネラル感と言うか、複雑さが味わいを引き締めています。


栃木県ココファームからの白は、やっと入荷した農民ドライ15年。ここは自社畑が狭い為、日本各地の優良な農家さんから葡萄を購入して、良質な日本ワインを造っています。このワインのうち約半分は余市産ドイツ系白葡萄が使われており、フルーティで香り高い味わいの中心を担っています。

山梨県名産の甲州種からの白は、中央葡萄酒が造るグレイス・甲州15年。中央葡萄酒は甲州種の品質向上の為に、有名なボルドー大のデュブルデュー教授にコンサルタントを依頼し、そこで得たノウハウを県内の同業他社に公開して、甲州ワイン全体の品質向上に力を注いでいます。そして、この山梨県・中央葡萄酒の子会社にあたるのが、北海道の千歳ワイナリーです。


次は仏ボルドー地方から。 私は何度も言っていますが、「素晴らしい作柄だった09年、10年を値上がり前の価格で見つけたら、迷わずに即、購入です!」メドック地区で評価を上げているシャトー・スグ・ロング・モニエで09年産を見つけました。完熟した葡萄からの旨みと、凝縮したコクが楽しめるでしょう。

次は今では貴重な存在になってきた05年産を、ペサック・レオニャン村のシャトー・ルーヴィエールで見つけました。粘土質が少なく砂利質のグラーヴ地区は、濃度はミディアムですが香り高いスタイルに仕上がります。収穫から11年を経て、この村特有のタバコの葉や葉巻を思わす熟成香と、木樽の風味が混じり始めた頃でしょう。

シャトー・デギュイユ・ケレは今注目されるカスティヨン地区で評価を上げている小さな(2.4ヘクタール)シャトー。この価格ですが、ふくよかな果実味とローストした木樽の風味(新樽率6割)がしっかり楽しめます。そしてこの11年産は仏アシェット誌で1★評価を受けています。


私の近年の持論は「安物ブルゴーニュ白を買うなら、丁寧に造られたボルドー白の中堅クラスを!」。大人気シャトー・モンペラのオーナーが造る、シャトー・トゥール・ド・ミランボー白はまさにこのパターン。トゥール・ド・ミランボー白12年の並品「パッション」でも十分美味しいですが、同じシャトーの上級品「グラン・ヴァン」白は8年を経ただけあって木樽と果実味が混じり始めた熟成香が楽しめます。バターを使った魚料理や、鳥や豚肉のシンプルなグリルが食べたくなりました。


さて、ブルゴーニュ地方からはボーヌ村の名門シャンソン社の古酒で、93年産ボーヌ1級マルコネ畑。実はこの赤はまだ未試飲ですが、良い生産者と良い畑で23年を経たピノ・ノワール種が、この価格でしたら、93年生まれで無くても買うべきでしょう。この年の作柄も平均よりは少し良好でしたので、官能的な熟成香を期待しております。


さて、皆さんはワインの栓がコルクじゃないとダメでしょうか? ボーヌ村の超名門!ジョセフ・ドルーアン社のサン・ヴェラン村(定価3,300円)の白で、スクリュー・キャップ仕様が限定・特別価格で入荷しました。瓶の中身は一緒で、栓が異なるだけで約3割も安いんです。外見よりも中身を優先される方に、ぜひお薦めします。

次はデュボワ・ドルジュヴァルのサヴィニ・レ・ボーヌ村のピノ。しかも素晴らしい作柄だった02年産で、タストヴィナージュ・ラベル。このラベルは特級畑の中にあるクロ・ド・ヴージョ城で、この地の利き酒騎士団がブラインド試飲を行い、各産地の特徴が味わいに認められたワインにだけに与えられます。14年を経た今も、02年産らしい豊かな果実感が楽しめます。

そして、定評ある造り手ドミニク・ローラン氏のショレ・レ・ボーヌ村で作柄の良かった12年。古木葡萄が多く残った畑を見つけ出し、風味豊かなワインをマジック・カスクと呼ばれる独自の樽で熟成させ、果実味だけでなく旨みと複雑さを持った味わいに仕上げます。味わった後の満足感は、ボーヌ村でも1級畑クラスを思わせます。

ジュヴレ村フィリップ・ルクレールが造るブルゴーニュ規格の赤13年。ボン・バトン畑はシャンボール村で国道の東側の区画。完熟を待って収穫した葡萄を自然酵母で長時間醗酵させ、しっかりと樽熟成させます。このボン・バトンは造り手特有の凝縮感と、シャンボール村の上品さが毎年安定して楽しめます。

サヴィニ村の名門モーリス・エカールの赤。お家騒動から本家と息子夫婦が分かれ、本家は畑を売却しましたが、今もモーリス氏本人が醸造して昔の名前で販売しています。さてこのワイン、酸とタンニンが味の中心に位置しており、素直で飾り気が無く、食事と共に味わいたいタイプ。しかも赤は1級畑で、近年ではあり得ない価格。現代的なワインが無くしてしまった、何か、年老いた親父の背中を感じさせる様な味わいでした。


南仏からはミシェル・ガシェ氏がローヌ地区の古木葡萄で造った赤(グルナッシュ種85%、シラー種15%)は、 アルコール15.5%! パーカー氏も93点評価したこの12年産は、4年の熟成を経て濃さ強さは落ち着いて来ました。少しこなれた味わいの南仏・赤でこの価格は充分お値打ちだと思います。


ボルドーの隣、南西部マディラン村からはアラン・ブリュモン氏が持つ2つのシャトー。シャトー・ブースカッセはオーナー自身が住み、愛着のあるワイン。地元のタナ種からの濃さ強さと共に、繊細さを合わせ持つバランスの良い赤。


一方、斜面の畑を有するシャトー・モンテュスは、タナ種の可能性を追求し凝縮と緻密さを極めた赤。強烈な濃度を持ちながら、きめ細かで上品さすら感じる不思議なワイン。この2つは常に90点以上の評価を受けて、マディラン村の頂点に君臨しています。

プレミアム・シャンパーニュ2種が、特別価格で入荷しました。89年より無農薬栽培を実践するドラピエ社の大人気銘柄カルト・ブランシュ。ピノ・ノワール種主体(75%)、ドサージュは通常の約半分の6~7g。亜硫酸は約1/3に留めていますが、味わいは骨太で強さがあり、お食事と合わせたいタイプです。

一方、複雑さとスケール感のある味わいで知られるゴッセ社の代表銘柄がグランド・レゼルヴ。ピノ・ノワール種42%、シャルドネ種43%、ピノ・ムニエ種15%のベース・ワインはMLFを行わず、長期熟成(平均60ヶ月)によって酸味との調和と、豊潤な味わいを身につけています。


イタリアからはバローロ村の協同組合テッレ・デル・バローロが造るリゼルヴァ規格のバローロ。人気のこの村で、有名生産者の物は1~2万は超えてしまいますが、組合が手掛けたこの赤は良心的な値付け。しかも収穫は作柄の良かった07年。 頂点の生産者ではありませんが、9年を経た飲み頃の07年産がこの価格は、ネビオロ種好きには気になる事でしょう。

さて、白ワインとは、葡萄の皮を入れずに搾った果汁だけを発酵させます。赤ワインと同様に白葡萄を潰し果皮や種と共に発酵させると、酸化が進む事で赤茶けた色と、皮や種からのタンニンで複雑な味わいになり、近年こういったワインを色調から「オレンジ・ワイン」と呼んでいます。伊のオレンジ・タイプで有名なピエモンテ州のトリンケーロが入荷しました。

スペイン・ワインからは、大人気の生産者ファン・ヒルがカラタユド地区で造る赤オノロ・ベラ。スペインのガルナッチャ種は、同じ品種である仏グルナッシュ種より果実味と骨格が豊かになり、このワインでもその特徴がうまく生かされています。ガルナッチャ単体でも風味豊かで、バランスの良いワインに仕上がっています。


オーストラリアからは冷涼地ヤラ・ヴァレー産ウィッカムズ・ロードのシャルドネ。この国特有の果実味は程々に抑えられ、代わって酸味とミネラル感が色どりを感じさせます。濃すぎず、奥行きある味わいは、お食事と調和し共に楽しめるスタイルです。

次もオーストラリアで冷涼なジーロング地区から、ビトウィーン・ファイブ・ベルズが日本向けに造った「ジャパン」と言う名の赤。シラーズ種にネロ・ダヴォラ種、ネビオロ種、ピノ・ムニエ種、リースリング種、シャルドネ種の不思議なブレンド。オーストラリアに多い甘い果実感が無く、柔らかで繊細な味わいは、北国の赤を思わせる仕上がりです。


蒸留酒では有名なオスピス・ド・ボーヌ競売会のワイン用葡萄で造られたマール(ブランディ)。近年マール、グラッパは、日本のアルコールの品質基準が厳しく、事前検査で引っ掛かり輸入が困難になって来ました。13年を経たマールと言うだけでも、この価格はお値打ちだと思います。


食品では岡山県の倉敷味工房から丁寧に作られた各種ソースが入荷しました。全体に濃い味わいではないので一口目は物足りないのですが、試食の為に豆腐にかけてゆっくり味わうと、自然な旨味がじわじわと広がります。特に私はデミグラス・ソースと、ウースター・ソースが気に入りました。

2016年 4月

ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思いますが、

3月中旬の深夜に当店の隣にある飲食店が入ったビルで転落事故がありました。


9階のお店で歓談されていた方が、非常階段から転落して当店の屋根に落ちたのです!

夜の2時頃で当店は無人でしたが、そのビルの飲食店の方が大きな音に気付き、

非常階段から下を見ると屋根の上に人が倒れており、119番通報したそうです。

すぐに救急車だけでなく、消防車やパトカーが何台も来て、

店前の一方通行の道路は黄色のテープで閉鎖され、まるで映画のような状況だったそうです。


何も知らない私たちは当日も朝から普通に仕事をしていたら、

隣のビルの本社の方が来て事故の状況を知らせてくれました。

一緒に3階の非常階段に行くと、屋根のビル側の所が少し凹んでいて、

その先に血の跡と半分に割れた眼鏡が落ちていました。


屋根の修理等については中央警察署に行って担当の方と話をして欲しいと言われ、

中央署へ行くと担当の刑事さんが来て上の階に移動。

そこは小さな部屋が並んでいて、中に入ると小さな机と椅子だけで、どう見ても取調室。

話を聞くと落ちた方は意識不明の重体で、屋根の修理等はその方の意識が戻ってからと言われました。

二日後、「社長さんはいらっしゃいますか」と年配の女性が来店。

聞くと転落した方の奥さんのお義母さんで、大阪から札幌に着いて、事故現場を見に来たそうです。

お義母さんによると落ちた方の意識は回復されたそうで、

何度も謝り「いやぁ~、落ちた先がいい社長さんで良かったわぁ~」と大阪弁でおっしゃっていました。

さらに次の日は病院に付きっきりだった転落した方のお母さんも来店。

息子さんは話が出来るようになったと聞き私も一安心。


当日の夜、息子さんは9階の飲食店にいましたが、

トイレに行くと言ってなぜか非常階段を下りて行き、6階でバランスを崩して落ちたようです。

うちは2階建てですが、屋根は3階の高さなので6階から3階分だけ落ちたのと、

落下場所がコンクリートではなく、傾斜のあるトタン屋根でバウンドした為に最悪の事態にならなかったようです。

後日、大阪のお義母さんから上等な昆布の佃煮が届き、

電話で佃煮のお礼を言うと、息子さんのスマホが無いとの事。

私も両方の親から菓子折り等を頂き恐縮していたので、後で建物の間の通路を探してみますと伝えました。

閉店後に懐中電灯と脚立を持って柵を乗り越え、隣り合う3軒のビルとの隙間を探すと、アイフォンが見つかりました。

6階から落ちたのにガラス面が割れてもなく無事なアイフォンを見て、

これもお母さん方の思いのお陰と感じました。

スマホを見つけた事を伝えると大変喜び、翌日にまた菓子折を持って来て下さいました。

親にとって子供は、幾つになっても大切で守ってあげるべき存在なのでしょう。

最後に、当店はお酒を販売しています。

「酒は百薬の長」とも言われますが、量を過ぎれば悪い事しか起きません。

私自身も含め、適量で楽しくお酒と接して行かなければと改めて思いました。


さて、今月のお薦めワインです。

北海道からは増毛のシードル(辛口)。

ここのシードルは、本場フランス・ノルマンディ地方の物より果実感がしっかりあります。

リンゴの収穫は秋ですが、増毛では蔵でリンゴを越冬させ春になってから仕込みを行います。

このひと冬の熟成が、味わいに豊かさをもたらしているのでしょう。


仏ボルドーからはメドック地区のシャトー・カルカニュー10年。

まずは素晴らしい天候だった10年産。

品種はカベルネ種が主体でメルロ種が25%しかなく、ボリューム感はミディアム・ボディですが、

カベルネ種特有の杉を思わせる香りが楽しめます。

ふくよかな赤がお好みでしたら、同価格帯で同じメドック地区の

シャトー・ピエール・ド・モンティニャック10年が、メルロ種40%でよりグラマラスな味わいが楽しめます。

ボルドー右岸ブライ地区のシャトー・グラン・マレショー10年。

こちらは完熟したメルロ種が75%で、さらに完熟した果実感がふくよかです。

内側を強く焦がした樽からのスモーキーな香りと共に、ゴージャスな味わいが楽しめます。


仏ブルゴーニュ地方からは、クリストフ・ブリチェック氏の本拠地モレ・サン・ドニ村のクロ・ソロン畑12年。

高騰するブルゴーニュで、人気のモレ・サン・ドニ村の赤がこの価格は注目。

さらに味わいも果実味とタンニンが詰まっており、

ピノ・ノワール種としては骨太なタイプ。ジビエ(獣肉)と合わせたくなる赤です。


南仏からは今絶好調の生産者サンタ・デュックの自社畑2種。

ロエ村のクロット畑は、グルナッシュ種とシラー種のブレンドで、作柄の良かった09年産。

7年を経て少し熟成感も楽しめるお値打ちの赤。

一方本拠地ジゴンダス村に所有する畑、8区画のブレンドした赤がオー・リュー・ディ11年。

濃さ、強さ、スパイス感だけではなく、スミレやピノ・ノワール種を思わせる凛としたニュアンスがあります。

時間と共に開き始める風味をゆっくりとお楽しみください。


次はロワール地方で一番人気、サンセール村の白。

メロ家はこの村の名門で、有機栽培を実践しています。

華やかな柑橘とハーブの香りに、溌剌とした酸味と果実味が織りなす

爽やかな味わいはサンセール村の理想とも言える仕上がり。

定価4、000円の品が驚きの価格で入荷いたしました。

この価格でしたら箱で買うべき!


アルザス地方からはシュルンバジェ家の特級ケスラー畑産ゲヴュルツトラミネール種の白。

華やかなライチやドライフラワーの香りがグラスからどんどん広がります。

凝縮した果実味とアルコール感が9年を経て調和し、飲み頃の美味しさが開いて来ました。

素晴らしい天候だった07年産は、今や貴重な存在でしょう。


グリニャン・レ・ザデマール地区は元「トリカスタン」と呼ばれていたワイン産地。

以前1,500円程していたワインですが、馴染みの無い新名称で販売が苦戦したのでしょう。

マラール・ゴーラン社でこの地区の赤が、安価な価格で入荷しました。

グルナッシュ種、他南仏系5品種程のブレンドで、ミディアムでスパイス感が調和した味わいが楽しめます。


イタリアからは北部フリウリ州産ボルゴ・マグレード社のワインが特価で入荷しました。

特にカベルネ種の赤と、シャルドネ種の白は遅摘みしたのでしょうか、ふくよかで完熟した果実味が楽しめます。

オリジナルの瓶とラベルも斬新で、かなり気合の入ったワインだった事が分かります。

次はイタリアで大人気の白、ソアヴェのお値打ち品。

ラ・ソガーラのソアヴェはふくよかな果実感と爽やかな酸味が楽しめる味わいで、

この価格でしたら2~3割は安い感じがします。

14年の天候が良かったか、良い区画の葡萄を使っているのか、

明らかにこの価格以上の風味を持っている感じがしました。

トスカーナ州はヴェラザーノのキャンティ・クラシコ・リゼルヴァ11年。

クラシコ地区の中でも有名なグレーベ地区の生産者。

通常5、000円の品が特別価格で入荷しました。

抜栓当日よりも、翌日の方がタンニンが豊かに広がりましたので、デキャンタされた方が楽しめると思います。

久しぶりに驚いたキャンティ・クラシコです。

お値打ち品では、レッチャイアが造る現代的なトスカーナ州の赤。

サンジョベーゼ種に、カベルネ種とメルロ種をブレンドで、最高の年10年産。

今も果実味たっぷりですが、6年を経て少し熟成感も開き始めています。


有機栽培、自然酵母による醗酵といった自然派ワインの流れは、スペインにも飛び火しています。

仏ブルゴーニュのシャソルネで修業したフランス人オリヴィエ氏は、スペインへ行き独自のワインを造りました。

安価な方の、ライヨス・ウヴァは自然派特有のアニマルや硫黄を思わす還元香はありますが、

澄んだ味わいでダシ系の旨味をハッキリ感じます。

上級品のヴァリャーダは、明らかに複雑さが出てきます。

粘土や羊の生肉の香りに、果実味と細かなタンニンが重なり厚みがあります。

柔らかさと硬さが両立した味わいは、もう少し熟成をさせるべきなのでしょう。

価格や産地、品種を超えて、ここまで真剣に試飲をしたワインは久しぶりでした。

自然派の波長に合う方には大絶賛されるでしょう。


次はオーストラリアの自然派ワイン。

温暖なこの国で一番冷涼なヴィクトリア州ヘンティ地区で90年に開墾、現在はビオディナミ栽培を実践。

手摘み収穫後に自然酵母で発酵、ノンフィルター、

瓶詰め時に極僅かな(35ppm)SO2添加と、バリバリの自然派醸造を行っています。

この国らしい果実甘さが無く、旨味と風味が詰まった味わいは他に類を見ないスタイルです。


次は人気のチリ。仏シャブリ村の生産者がチリで始めたワイナリー。

あえて古樽で熟成させたシャルドネ種の白は、一般のフルーティーなチリ産ワインとは異なり、

酸、ミネラル、樽が、味わいに複雑さと奥行き感を与えています。


最後は新入荷のシェリーですが、古い方には懐かしい 往年の名門「ドン・ソイロ」が再発売されました。

従来のイメージ以上の品質を目指し、アモンティリャードは12年、

フィノでも8年以上熟成させたプレミアム・シャリーです。

昔の味を知る方だけではなく、初めての方にもお薦めします。

2016年 3月

先日家内と真駒内の六花文庫に行って来ました。

ここは元、六花亭の真駒内店だった建物を、「六花文庫」という名の図書館(利用料金は無料です)にして運営しています。

この建物は趣のある一軒家で、中は間仕切りのない吹き抜け。

この中に、お菓子の六花亭らしく食に関する本だけが壁一面に何千冊と並んでいます。

フランス料理、和食、そば、ラーメン、はてはジンギスカン等々。

さらに食べ物だけではなくワインや、お酒、コーヒー、日本茶、とにかく口に入る物の本がすべて網羅されている感じ。

室内には読書をしながら、うたた寝したくなる様なソファーや椅子が20脚ほど置かれ、座り手を待っています。

私は前から読みたかったセレナ・サトクリフ女史(世界で最も有名な女性ワイン評論家)の本を見つけ、

ソファーで3時間ほどゆっくり活字を追いながらくつろぐ事が出来ました。


さて、社長さんの仕事は会社をどう運営するかを決めること。

これを現実的に言い換えると、売上のお金を何に使うか決めることです。

前に私は余裕ができたら二人乗りのスポーツカーが欲しいとここに書きました。

会社の規模は全然違いますが、六花亭の社長さんは市民が利用できる図書館を建てて、

フジヰの社長はスポーツカーを買っていたら、我が社の社会貢献は無きに等しい事になります。

そう思うと、私は六花亭の社長さんの爪の垢でも煎じて飲まなければという気持ちになって来ました。


さて、今月のお薦めワインです。

北海道からは余市リタファームの十六夜(イザヨイ)シリーズで、ナイヤガラ15年。

ライチやマスカットの甘そうな香りですが、味は爽やかな酸味が心地良い辛口。

食前酒や、前菜の盛り合わせに最適な白でしょう。

        
仏ボルドー地方からはミラード社のポイヤック村94年。

この年の作柄は正直言って難しい年でした。

でも22年間の熟成香と、果実味とタンニンが調和する事で生まれたこの複雑な味わいは 5年や10年では絶対に出来ません。

果実味は少し枯れ始めてはいますが、22年という歳月をこの価格で入手できる事はないでしょう。

次はシャトー・オー・バージュ・リベラルが、オー・メドック地区の畑で造った赤。

作柄の良かった09年産ですから、ボルドーは濃さと豊かさが無いと寂しいという方にも楽しんで頂ける赤です。


ブルゴーニュ地方ではヴァンサン・ルグー氏の白。

ロマネコンティ社を退社して始めた自身のドメーヌは、風味豊かな味わいの赤で地元では今、大注目。

そこで出てきたのがこの白。どんな物かなと試飲をしたら、赤と同様に風味豊かでバランス良。

ルグー氏のワインは、赤、白、共に要チェックです。

今月もサヴィニ村のシモン・ビーズ家のワインが数種入荷しました。

中でも1級マルコネ畑の03年産は、一押しの赤。

上品な味わいが売りの生産者ですが、暑かった03年産は高い糖度から一回り豊かな骨格と味わいを持っています。

13年を経て高かったアルコール感も味わいに溶け込み、複雑で奥行きのある味わいが期待されます。


ルイ・ジャド社が所有するデュック・ド・マジェンタ社の赤。

白で知られるシャサーニュ村ですが、サントネ村側はピノ・ノワール種に適した土壌。

中でも1級モルジョ畑はこの村の赤でも最上の畑で知られています。

15年を経た今でもタンニンが主張し、更なる熟成のポテンシャルを感じさせます。

ルモワスネ社の10年産ブルゴーニュ規格の赤、白。

とにかく10年産を見つけたら即買いが鉄則。

完熟した果実味と豊かな風味は、他の年ではあり得ません。

今でも美味しく、5年後は豊かな熟成香が楽しみです。

ロベール・マチスのコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュで、熟成した08年。

8年を経て、なめし革や木桶を思わせる熟成香が広がります。

僅かに枯れ始めた果実味に、酸味とタンニンが調和した昔風なピノ・ノワール。

華やかな樽香は無いですが、少し野暮ったい感じが可愛らしく感じたのは私だけでしょうか?

ロワール河プイィ・ヒュメ地区のブノワ・ショヴォーのコトー・デュ・ジェノワ白。

火打石土壌のソーヴィニヨン・ブラン種は、華やかなハーブ香、オレンジやミカンを思わす果実味と豊かな酸味がたっぷり。

口に含むと、舌の上で風味がどんどん広がります。

この味わいで、この価格は驚きの出来!今月一番感動した白です。

バスク地方エリ・ミナのイルレギー白。

地元のグロ・マンサン種、他を使って濃さと複雑さを持った独自の味わいの白。

果実味よりもミネラル感が主体で、エビ、カニの濃厚さに負けない強さを持っています。

イタリアからはカ・デ・マンドルリのガヴィ。

地元コルテーゼ種の白ですが、リースリング種を思わせるミント系の香りと、小気味良い酸味が爽やかに広がります。

もっと北の産地の白を思わせる仕上がりです。

スペインからはカリニェーナ地区の赤ソルテオ。

このワイン、わざわざオーストラリアの醸造家にコンサルタントを依頼し造られました。

地元の葡萄3品種をブレンドし、フレッシュな果実味にタンニンが溶け込んだ柔らかなスタイル。

スペインらしさよりも、バランスのいい味わいを優先したのでしょう。


ドイツからはセント・チャールズのアウスレーゼ。

実はこのワインはアイス・ワイン用の葡萄でしたが、

温暖化で収穫日の気温が-7度しか下がらず、アイス・ワインを諦めアウスレーゼに格下げした白です。

-10度以下になれば2倍の価格で売れたのでしょうが、仕方なくこの特売価格になりました。

そんな訳で完全なアイス・ワインではありませんが、

このお値段でネクターの様な凝縮感と、清らかな酸味が楽しめるお値打ちな逸品です。

アメリカからオレゴン州ピノ・ノワール種の赤2種。

仏ジョセフ・ドルーアン社の故ロベール・ドルーアン氏が米オレゴン州を訪れ、

ピノに最適な地である事を確信して畑を購入、最愛の娘ヴェロニク・ドルーアン女史を派遣します。

その後、彼女の努力がオレゴン州全体の品質向上に貢献したのは有名な話。

そのヴェロニクさんの自社畑ドメーヌ・ドルーアンと、

ネゴシアン物に当たるクラウドラインのピノ・ノワール種が特別価格で入荷しました。

彼女の理想のピノはシャンボール・ミュジニ村だそうです。

二種共にニューワールドに多い樽香や濃度ではなく、

上品で凛としたシャンボール・スタイルのピノ・ノワールです。

チリからはラポストール社のアレクサンドル・メルロ。

コンサルタントに仏ミッシェル・ロラン氏を起用し、

ふくよかで柔らかな果実味とスモーキーな樽香が楽しめる、理想的なメルロ種の味わいが楽しめます。


最後は食品から。帯広・あいざわ農園産山幸種の葡萄果汁。

北海道でワインのパイオニアと言えば十勝ワイン。そしてこの地区でも新たな葡萄生産者が、活動を始めています。

先月当社に、甘味と酸味がはつらつとした9月収穫の果汁が入荷しましたが、

今月は少量ですが糖度の高い10月収穫の果汁も入荷しました。

タイからキングス・アイランドのココナッツ・チップス。

ジャンキーフード的ではなくナチュラルな味付けで、このお値段ですからどなたにでもお薦めできます。

マレキアーロ社製アンチョビ(カタクチイワシ)のオイル漬け。

地中海産のイワシをアルバニアで加工して、この価格が実現しました。

塩分控えめで素直な味は、ライ麦パン等にのせてそのままお召し上がりください。

2016年 2月

12月30日の仕事納めの後は、31日に時計台で年越し。

翌1日、家内と息子が実家へ里帰りで千歳空港へ向かい、

一人になった私は話題の映画「スターウォーズ」を見に行きました。

映画は息つく暇も無い程に凄い出来で、私は大満足。

昨年の正月は戦車の映画「フューリー」を見て、一昨年は「ゼロ・グラビティ」ですから、

文芸路線好きの家内とは全く趣味が合いません。

家内は正月を実家でゆっくり過ごし、私は「ドカーン、バキューン」系の映画と、

つかの間の独身生活でエネルギー充填。

まずは布団を和室から居間のストーブの前に移動し、万年床体制にします。

後は本を読みながら昼寝をしたり、テレビや映画を見て、腹が減るとお雑煮とお餅を食べる生活。

習慣で毎朝一回は体重を記録しますが、こちらも何とか65キロ未満をキープ。

今年、唯一の汚点は、赤ワインを飲んでいる時にくしゃみをしてしまい、

布団のシーツに赤い水玉模様を付けてしまったことでしょうか。

職場であるワインショップフジヰも1月4日からは通常営業となり、

1月9日は今年最初の土曜試飲会。

僅か数日間の怠惰な生活でしたが、自分一人の生活は青春時代に戻ったような気分でした。


さて、今月のお薦めワイン。

はこだて・わいんのドルンフェルダー種からの赤。

この珍しい葡萄は、定評ある農家・余市の中井農園産。

この黒葡萄は果皮だけではなく、果肉も果汁も血の様に赤い為にふくよかな赤ワインとなります。

北国の赤の中では風味に青さや未熟さを感じず、バランスの良い味わいを持っています。

次は余市の新しい生産者・三氣の辺(ミキノホトリ)産、旅路葡萄の泡。

醸造は札幌の藤野ワイナリーで、自然酵母による醗酵とオリ引きをせずに瓶詰。

しかし、こうした自然派の醸造に多い還元香や、変なくせが目立たず瑞々しい果実感のきれいな仕上り。

食用葡萄だった旅路種ですが、ワインの可能性をはっきりと感じました。

上富良野の多田農園産メルロ種の赤。

特に黒葡萄の作柄が良かった14年らしく、13年より一回り豊かな果実味と、

自然酵母による醗酵からの柔らかな旨みを感じました。

そして、㈱北海道ワイン(おたるワイン)の自社農場・鶴沼の新製品で、ブランとルージュです。

従来ここでは単一品種のワインでしたが、 ブランはゲヴュルツトラミネール種とミュスカ種を、

ルージュはレンベルガー種に数種の黒葡萄をブレンドしています。

このブレンドが功を奏し、味わいに厚みと複雑さが楽しめます。

広大な自社畑を持つ同社だけに、このお値打な価格も大きな魅力と言えるでしょう。

更に同社が満身の力を込めたのが、定価5,000円でピノ・ノワール種と、ツバイゲルト種の上級品。

特にツバイゲルト種は新酵母による醗酵で、酸味と果実味が調和し、若くてもバランスの良い味わいが楽しめます。

長野からは小布施ワイナリーの泡。

北海道民にとって嬉しい事は、このワイン余市産ミュラー・トゥルガウ種と、ケルナー種が主体。

さらに長野産シャルドネ種をブレンド後、瓶内二次発酵できめ細かな泡を得ています。

このドイツ系品種とシャルドネ種のブレンドがいいのか、この価格とは思えない複雑な味わいが楽しめます。

次は余市の新しい生産者オーバーシーズのロゼです。

余市でも有名な藤本農園を引き継ぎましたが、醸造は山梨で行い山梨産葡萄を1割加えています。

伊の醸造家コタレッラ氏の協力もあって、初めてとは思えないバランスの良い仕上がり。

フレッシュなロゼですが、赤に通じるタンニンと旨みが楽しめます。


仏ボルドー地方からはサン・ジュリアン村シャトー・ラグランジュのセカンドワインで10年。

ここは毎年、安定して高品質を保っていますが、2010年はさすがに一回り濃さ強さを持っています。

その10年産がこの価格でしたら、相場より3割ほどは安いと思います。

ボルドーはせめて10年は寝かさないと飲みたくないと言う方には

オー・メドック地区のシャトー・トゥール・デュ・オー・ムーラン04年。

タンニン豊かな伝統的スタイルのボルドー・ワインが、12年を経て飲み頃となって入荷しました。

サン・テミリオン村のシャトー・ピュイ・バルベは最高の年2000年産。

メルロ種主体のワインが16年を経て豊かな熟成香と、少し枯れ始めた柔らかな味わいが楽しめます。

次はフロンサック村シャトー・ムーランのキュヴェ・ピヴェール11年。

このワイン、ボルドーでは少ない自然派のワインで、有機栽培されたメルロ種を

タンクで醗酵、熟成(12カ月)後、酸化防止剤のSO2を無添加で瓶詰めしました。

ラベルは人の頭を小鳥が突いている絵にバツが付いています。

多分このワインを飲んでも、二日酔いの頭痛が起こらない事を表現しているのでしょう。

ご興味ある方は、ご自身でお試ししてみませんか?

グラーヴ・ド・ヴェイル地区のシャトー・ベル・エール07年。

約5割のメルロ種にカベルネ・ソーヴィニヨン種とフラン種をブレンドした赤は、

9年を経て果実感とタンニンが調和し始めた頃。

革製品を思わせる熟成香も開き始め、正にこれからが飲み頃の美味しさが楽しめます。

さてボルドーと言えばイメージはシャトー元詰ですが、

探すと大手ネゴシアン(ワイン商)のワインにも安価で良質な物がございます。

大手のジネステ社が造るボルドー規格の赤、白がとてもよかったです。

赤のマスカロンは最高の年10年産で、完熟した果実味と木樽の風味が6年を経て調和してきました。

このワイン、仏アシェット誌での2★評価が納得できる味わいです。

白のマルキ・ド・シャス13年は、ふくよかな果実感がたっぷり。

品種はソーヴィニヨン種とセミヨン種が5割ずつですが、

現時点ではソーヴィニヨン種からの柑橘風味が華やかに開いています。


仏ブルゴーニュ地方からはシャトー・ド・サントネのブルゴーニュ規格の赤と、メルキュレ村の赤で、

共に作柄の良かった12年産ですから、熟した果実味が楽しめます。

高騰が続くブルゴーニュで、メルキュレの村名付きがこの価格は注目です。

次、アントワーヌ・シャトレは大手ネゴシアン(ワイン商)のブランドですが、収穫年と価格を見て下さい。

今や7~8,000円以上するシャンボール村の赤で、少しこなれた08年産が驚きの価格です。

濃度勝負ではなく凛とした果実感に、品のある酸とタンニンが調和した姿はまさにシャンボール村の味わい。

そして抜栓後、小一時間程経つと、少し妖艶なピノの魅力が開き始めます。

想像力豊かな方には、たまらなく魅力的なピノでしょう。

次もボーヌ村で評価の高いネゴシアン(ワイン商)のワイン3種。

まずはシャンソン社の白。モンタニー村のシャルドネ種で作柄の良かった12年産。

南部シャロネーズ地方らしい柔らかな果実味を、爽やかな酸と上品な木樽風味が調和しています。

そして名門ジョセフ・ドルーアン社のワインは、

ボーヌ村の葡萄だけで造られた、コート・ド・ボーヌ13年の赤、白。

特に白はドルーアン社を代表する1級クロ・デ・ムーシュ畑の若木も加えられています。

ミディアムで上品なスタイルは、お食事と共に時間を掛けて味わっていただくと、うっとりする表情を見せ始めます。

そして、注目のカナダ人パトリック・ピウズ氏が造るシャブリ。

果実味よりも酸味とミネラル感を優先した味わいは、骨太な酸と石を舐めたような硬質感の余韻が続きます。

この独特のスタイルは、シャブリの地でしか生み出すことが出来ない味わいなのでしょう。

お値打な物では、ベルトラン・アンブロワーズのコトー・ブルギニヨン赤、白。

白はタンク熟成とは思いますが、この価格とは思えない程ふくよかな果実感。

一方この赤は通常ガメイ種とブレンドしていますが、

13年は雹の為かガメイ種の収穫が無かった為にピノ・ノワール種単体で仕込まれました。

こちらも、低価格のピノとは思えない濃さと複雑さが楽しめます。ぜひ、煮込み料理と共にお楽しみください。

そして、ブルゴーニュで一番のお薦めが、ベルナール・ドラグランジュのブルゴーニュ赤。

ここは飲み頃まで熟成させてから出荷するため、今販売中のブルゴーニュ規格の赤が04年産!

この年特有の豊かなタンニンが、12年を経て果実味と調和し始め、熟成旨味と共に飲み頃の美味しさが楽しめます。

そして、この驚くようなこの低価格、古酒の入門には最適な1本です。

ヴォーヌ・ロマネ村の名門、グロ家の本家であるミッシェル・グロのニュイ・サン・ジョルジュ10年。

何度でも言いますが、値上がり前の価格で10年産を見つけたら即買いです。

10年の素晴らしい天候から完熟した葡萄が収穫された為、この年に不良ワインを造るのは大変困難な程。

10年産ブルゴーニュは見逃すな!です。


アルザス地方からは、自然派の生産者クリスチャン・ビネールのカッツェンタール畑リースリング種13年。

柑橘、樹脂、紅茶を思わす香りと、凝縮し、複雑な風味は強烈な印象。

美味しいというよりは「スゲー」とか「ヤバい」と言いたくなる味わいです。

従来の殻を打ち破り、新たな領域に踏み出した味を体験してみてください。

同じアルザスのポール・ブランクが古木のシルヴァネール種で造った白09年。

かなりの低収量なのでしょう、凝縮した果実感と共に、酸、ミネラル、更に塩味まで感じられます。

7年を経た09年産ですが、更に熟成しそうなポテンシャルを持った上質な白が特別価格で入荷しました。


地元のタナ種を使い、タンニン豊かなフルボディの赤で知られるマディラン村。

この村を世に知らしめた生産者アラン・ブリュモン氏のワインが特価で入荷しました。

マディラン村のシャトー・モンテュス10年と、同じ村のシャトー・ブースカッセ09年。

共に豊かで力強いタナ種の味わいがたっぷり楽しめます。

次はルイ・レオナール社のお買い得なフランスの泡。

僅かに残糖を感じますが、活気のある泡とバランスの良い味わいで、この価格はお値打ちでしょう。

カヴァではなく、フランスの泡をお探しの方にお薦めします。


イタリアからはレヴェルサンティ社のお買い得バローロ11年。

バローロ村の赤は上を見たら1万でも、2万円でもあります。

そんな中で最安値に近いこのバローロですが、

果実感とタンニンにこの村らしさがあり、これは十分楽しめるバローロだと感じました。

そして、ヴェネト州モンテ・デル・フラ社の赤バルドリーノ。

ここの赤はフランスで言うとボジョレ村の様な軽くて爽やかなスタイルなので、

フルボディ好きには受けませんが、 この赤が良かったです。

濃いわけではありませんが、すみれの香りと瑞々しい果実感がとてもチャーミングです。


そしてイタリアの自然派白ワイン2種。

エミリア・ロマーニャ州イル・ヴェイの白は有機栽培された3品種のブレンドで、2本分のマグネム・ボトル入り。

酸化防止剤のSO2は、葡萄を搾る際にのみ極少量使用。

自然派らしい還元香と果実の風味が楽しめる手作り感たっぷりの白。

トスカーナ州カルロ・タンガネッリのアナトリーノは、今流行りのオレンジワイン。

白葡萄トレビアーノ種を赤ワインの様に果皮と種も一緒に発酵させる事で、

皮からの複雑さと、種からのにが旨み、そしてオレンジ色の色調と太い酸味をまとっています。

鳥や豚肉料理、根菜類と合わせたくなる芳醇な白(オレンジ)ワインです。


そしてサン・ルチアーノが造るお手頃価格のトスカーナ州の赤。

品種はサンジョベーゼ種主体で、キャンティのスタイル。

イチゴやチェリーの香りに、瑞々しい果実味と酸、タンニンが綺麗に調和しています。

特別なご馳走ではなく、いつも通りの食卓に寄り添うような赤ワインです。

トスカーナ州でも海寄りのマレンマ村で有機栽培を実践する生産者ラ・ピエーヴェの赤、白。

両方とも澄んだ果実の風味が楽しめ、自然派ワインにありがちな還元香や、酸化のニュアンスはありません。

強く自己主張をせずに、自然体で有機ワインを造っている感じが伝わるでしょう。


スペインからアバニコ社のシンフォニア白でヴェルデホ種。

ルエダ地区で知られるこの葡萄ですが、このワインには産地名が付かない事で、

メリハリのある味わいはそのままで、お値段は半額程にお安くなりました。

これは文句なく、今月の白で旨安大賞に決定です。


こちらは、僅かな差で大賞を取れなかったトーレス社のサングレ・デ・トロ白。

こちらは地元のパレリャーダ種主体で、果実味とハーブ系の風味が特徴。

魚介類の鍋料理にはピッタリです。


カリフォルニアからはコースタル・リッジで赤、白。

温暖な気候から完熟した果実味と、程良い樽風味が香るふくよかなワイン。

カリフォルニア・ワインらしさがたっぷり楽しめる味わいで、私はジンギスカンが食べたくなりました。

皆さんは何と合わせますか?

同じカリフォルニアでスミス&フックのカベルネ・ソーヴィニヨン。

今カリフォルニアで濃い赤を探すと1万円の時代に、5000円以下でこの味わいは貴重です。

まだタンニンもアルコールも強いですが、凝縮した果実味がたっぷりで、1口目から飲み手を魅了してくれます。


チリからはファレルニア社のドンナ・マリア。

シラー種の赤ですが6割を通常収穫し、4割は遅摘みした葡萄をブレンドする事で、

ミディアム・ボディでも強さと複雑さが楽しめる味わいになっています。

最後は北海道とフランスの葡萄果汁2種。

帯広のあいざわ農園は、山葡萄を品種改良した黒葡萄・山幸(ヤマサチ)種の果汁。

ポール・ジローは、コニャック・ブランディ用の白葡萄ユニ・ブラン種の果汁。

山幸は濃縮した果実味に、野性味ある酸味とタンニンが加わり複雑で奥行きのある味わい。

ユニ・ブラン種も青タタミを思わす香りに、蜂蜜と豊かな酸味が合わさりメリハリのきいた果汁になっています。

そして、あいざわ農園では近い将来ワイナリーを目指して準備を進めています。

地元・北海道にワイナリーは益々増える事でしょう。