2016年 1月

私の毎朝の仕事の一つに、店先の歩道の清掃があります。

今はやっと街路樹の落ち葉が散り、これからは除雪が始まります。

以前にも書きましたが、私は休みの日に一条橋から豊平川の河川敷を走って中島公園まで行き、公園を一回りします。

その公園や川原では職員の方が落ち葉清掃や、木々の剪定、補修等をしています。

河原や公園、道路、そして様々な施設は多分、国か、札幌市か、あるいは企業が、 予算をかけて

維持・管理しているおかげで、私たちは気持ち良く安全に通行でき、観光の方にも喜ばれるのでしょう。


私が札幌で生まれ育って56年。若い頃は街がどんどん大きくなり、

新しいデパートや様々な施設などが出来る度にワクワクしていました。

ところが今では近くの公園や河原を散歩することで、札幌の良さをしみじみ感じています。

ですから私を育ててくれたこの街を、感謝の気持ちを持って今日も店先の歩道を清掃しています。


最後に私にとって札幌でなければ出来ない事と言えば、大晦日の夜に行う時計台前での年越しです。

毎年12月31日の夜11時過ぎ、私は一人でシャンパーニュとグラスを持って、

時計台の前で寒さに震えながら12時の鐘の音を聞いています。

この苦行のような新年のカウントダウンも今年で34回目。

屋外なので当然寒いですが、興味のある方はどなたでも参加できます。

その際は温かい恰好をして、自分の飲み物とグラスをご持参ください。

冷え切った中で聞く時計台の鐘の音は、札幌市民であることを再認識できますよ。


さて、今月のお薦めワインです。

栃木県のココファームが、山梨の甲州葡萄で造った特別な白が、

甲州F.O.S.(ファルメンテッド・オン・スキン、葡萄の皮の上で発酵させたの意)11年。

通常白ワインは白葡萄を搾って果汁だけを発酵させる為、爽やかでフルーティな味わいになります。

逆に赤ワインは黒葡萄の果汁に、黒い果皮と、種が混じった状態で発酵させるので、

皮の色が染み出て赤くなります。

赤の発酵中は色だけではなく、渋みや旨味も染み出ることで複雑な味わいになります。

さてこのワインは、白葡萄の甲州種を赤ワインと同様に皮と共に発酵させました。

普通の白ワインと違ってオレンジ色の色調に、苦みや渋みと旨味がたっぷり楽しめます。

長野県の小布施ワイナリーのシャルドネ。

ここの自社畑産のワインは4、000円前後しますが、こちらは同じ村で尊敬されるカクトウ農園産。

良質な葡萄でも自社畑で無いだけで、3割以上お安くなっています。

醸造も半分は新樽で発酵、熟成させた贅沢な造り。

タンク醗酵からのフレッシュな果実味と、樽からのナッツ風味がグラスから広がります。

今でも美味しく、更に1~2年熟成させたくなるようなポテンシャルを感じます。


北海道・千歳ワイナリーのピノ・ノワール14年。

北海道は13、14年と作柄が良く、色調もこの品種としては十分に濃く、風味も豊かに仕上がっています。

千歳ピノの14年と、13年のリザーヴは、葡萄農家の木村氏と、

醸造家の青木氏とのコンビが造った上出来の作品。

北海道産ピノ・ノワール種の品質が、ますます上がっているのが実感できるでしょう。

上富良野・多田農園で黒葡萄のピノ・ノワール種で造られた珍しい白14年。

少し果皮の漬け込みが長かったのでしょうか、僅かに朱の混じった色調だけでなく、

黒葡萄からの果実感と旨みがはっきりと楽しめます。

多田農園の新シリーズは、ラベル変更以上に味わいも豊かになって来ました。


フランス・ボルドー地方からは、お手頃価格でヴィンテージ違いの3種が入荷しました。

まずはフロンサック村そばのシャトー・モンローズ10年。

素晴らしい天候だった年だけに、この価格でもメルロ種からの凝縮した果実味と、

少し樽からのスモーク香が楽しめます。

1箱ぐらい買った事を忘れて取って置ければ、数年後から楽しい思いが出来る事でしょう。

次もACボルドーでシャトー・フルール・オー・ゴーサン07年。

こちらもメルロ種主体ですが、8年を経て少し熟成した風味が開いて来ました。

今ですと葡萄からの果実味と、熟成香、両方の美味しさが楽しめます。

そして最後はメドック地区のシャトー・デ・グランジュ・ドール04年。

この価格でメドック産ワインというだけでも驚きですが、

更に11年を経た04年産です。

少し果実味が枯れ始めて来ましたがタンニンが味を引き締め、

土やキノコを思わせる熟成香がグラスから広がります。

濃度よりは、こなれた味わいがお好きな方に!

そしてもう少しご予算がある方には、

クラレンス・ディロンのクラレンドル・ボルドー・ルージュ10年。

当然作柄の良かった10年産ですが、こちらは無理に濃度を追求せずにミディアムで品の良い仕上がり。

味わっていただければ、さすが1級シャトー・オーブリオンのスタッフが造った品の良さが感じられるでしょう。


そしてブルゴーニュです。アルマン・ジョフロワの本拠地ジュヴレ・シャンベルタン村で09年。

赤で有名なこの村ですが、最近は1万円近く出さないと豊かな味わいを持つ物には中々出会えません。

そんな中、最高だった09年産で、この価格は驚きと言えるでしょう。

サヴィニ村のシモン・ビーズ13年産の赤と白。

日本では、妻の千沙(チサ)さんのお陰もあって人気ですが、

現地では品質で日本以上の高評価を受けています。

ビーズ家にとって13年はピンポン玉大の雹が畑を直撃し、

生産量は平年の7割減(つまり1/3しか収穫できなかった)。

そして収穫日の初日に、夫パトリック氏が自動車事故で亡くなってしまいました。

そんな運命的とも言える13年産が入荷しました。

きっと千砂さんは歯を食いしばってワインを造り、育てたのだと思います。

ご冥福をお祈りしながら、味わいたいワインです。


次はブルゴーニュとは思えない価格、ジャン・ルイ・カンソンの赤、白。

この価格だけでも驚きなのに白は12年、赤は11年産なので、少しこなれた旨みも感じられます。

お安い上に、飲み頃の旨みも楽しめて、「もってけ泥棒!」状態。こりゃ~買わなきゃ損ですよ!

そして、大手でありながら良質さで知られるジョセフ・ドルーアン社の

サヴィニー村と、ボーヌ村の赤2種。

ラベル表記は無いですが、サヴィニ村のゴドー畑は自社畑で、少しこなれた11年産。

ボーヌ系のチャーミングなチェリー風味に、酸味とタンニンと旨みが綺麗に調和しています。

これ以上何を望むのですか?と言いたくなる出来です。

そしてボーヌの1級シャンピモン畑は09年産。

複雑でスケール感のある味わいは、2~3ランク上の風格を感じさせます。

果実味と木樽の風味は今からでも楽しめますが、

表情はまだ押し黙った状態で開き始めるのは数年後でしょうか。


次はメオ・カミュゼのサン・フィリベール畑の白で、熟成した08年産。

ヴォーヌ・ロマネ村1級ボーモン畑から約300m西にあるサン・フェリベール畑は、

ヴォーヌ・ロマネ村のシャルドネ種と言えるような区画。

7年を経て果実味と、木樽の風味が調和し始めて来た頃でしょう。

シャンボール村・ユドロ・バイエのパストゥグラン13年。

一般にピノ好きな方々はガメイ種が嫌いですが、

こうした優良な造り手の手にかかると、ガメイ種が入っていても飲み手の心を捉えてしまうのです。

それは多分、ガメイ種の味よりもユドロ・バイエの味わいの方が強いからなのでしょう。

想像力豊かな方にこそ、味わっていただきたい赤です。
  

南仏からはまたまたサンタ・デュック社。

同地区で他の生産者では14年産が入荷しているのに、ここの古木ローヌ赤は09年産。

素晴らしい作柄の09年産で、さらに6年間も熟成していたら、他の生産者では敵わないでしょう。

ちょっと反則技の様な味わいを持つ赤です。

そしてシャプティエ社がラングドック地方産有機栽培のシラー種で造った赤。

スパイス感と果実味がたっぷりな赤なのに、

メーカーで終売が決まり定価1,400円が処分価格で入荷しました。

文句なく、今月の旨安大賞。

アルザス地方からはトリンバック社のレゼルヴ・リースリング12年。

同じリースリング種でも、どんどん辛口に向かっているドイツに対して、

近年のアルザスの生産者は、完熟感を求めて確実に甘くなっています。

そんな流行り事はお構いなしに、

ひたすら切れの良い辛口を造り続けているトリンバック社のリースリング種で上級品。

目が覚めるようなシャープな酸味を、一度お試しください。


ラングドック地方のディモンシュが造る自然派の白。

品種は有機栽培のクレレット種で、表記はありませんが熟成した07年産。

紅茶やハーブを思わす香り、凝縮して僅かに甘みを感じる程の果実味と、

苦旨みや少し酸化のニュアンスを合わせ持った複雑な味わい。

元の葡萄のポテンシャルを充分感じさせる、独自の個性を持った白。

南仏からは自然派の生産者マタン・カルムのマーノ・ア・マーノ11年。

有機栽培のグルナッシュ種を主体に、古木のカリニャン種をブレンド。

ドライフルーツと、自然派特有のアニマル系の香。

4年を経て酸、タンニンと果実味が調和し、熟成旨みも開き始めています。

南仏の濃さ強さと、自然派の澄んだ味わいの両方が楽しめます。

シュド・ウエスト地方カオール村の自然派、マ・デル・ペリエの赤ル・ヴァン・キ・ラップ。

葡萄は有機栽培のマルベック種とタナ種ですから強烈なタンニンを予想しましたが、

品のあるきめ細かなタンニンと果実味に驚きます。

自然派に多い還元的な香りも強すぎず、

柔らかで目の詰まった味わいは初めての方でも楽しめるでしょう。


イタリアからは、ヴェネツィア・ジューリア州のヴェンキアレッツァ。

ここは2013年創業の若い生産者。有機栽培を実践し、

自然酵母による醗酵ですが自然派特有の還元香を上手く手なずけています。

ソーヴィニヨン・ブラン種の白は、まるでニュージーランド産の様な華やかなタイプ。

ここの赤は豊かなタンニンで知られるレフォスコ種。

醗酵中にタンクの移し替えを頻繁に行い、細かで軽やかなタンニンに仕上げています。


ヴェネト州からはルイジ・リゲッティのソル(太陽の意)。

今イタリアは、アパッシメント(陰干し)が大流行。

収穫した葡萄をすぐに醗酵させず、乾燥させることで

水分が抜け糖度が上がり、濃くて強いワインが出来ます。

この赤は地元のコルヴィーナ種を約90日間乾燥させてからに醗酵させ、

カベルネ種とメルロ種のワインとブレンドした事で、強さだけではなく複雑さも身に着けています。

トスカーナ州からはモンタキアーリの、熟成したサンジョベーゼ種の赤ブルネスコ05年。

大樽熟成させたのでしょうか、オレンジの色調を持ち、干した果実やなめし革の香りが開いています。

昔のキャンティ・クラシコで上物か、ブルネロを思わせる仕上がりです。


南部プーリア州からはマーレ・マンニュムのプリミティーヴォ種(米のジンファンデル種)からの赤2種。

「ゾウ」ラベルのチャンキーはアメリカン・オークの新樽で熟成後に、

また、別の新樽で再熟成させた複雑な味と香りの赤。

「マンモス」ラベルの方は、スモークのストレートな香りに、ブルーベリーとアルコール感がガツンと来ます。

二種共に、ブラインドで味わうと、カリフォルニア・ワインと答えてしまいそうな味わいでした。

最後はナターレ・ヴェルガのシチリア島グレカニコ種からの白。

南の白とは思えない爽やかでメリハリの利いた味わい。しかもこのお値段は驚きでしょう。

今月の白・旨安大賞です。


スペインからは、カリニェーナ地区のソルテオ赤。

テンプラニーリョ種、ガルナッチャ種、マスエラ種のブレンドは、

果実味に酸味とタンニンが調和したバランスの良いタイプ。牛のラベルなので、焼き肉にも最適でしょう。

ドイツからは、モーゼル地方ザール地区のワーグナーが造るトロッケン(辛口)。

私の勝手な印象ですが、仏アルザスのリースリング種より、

ドイツのリースリング種の方が安価で良質と思っています。

そして、この白もその通りで、果実味と酸味が溌剌とした上物の白です。

オーストラリア・マーガレット・リヴァー地区の名門アッシュブルックのシャルドネ種。

ニューワールドらしい凝縮した果実味と、樽熟成によるナッツやスモーキーさの両方が楽しめます。

ムニエルなどのバターを使った料理が食べたくなる、豪華で豊かな味わいを持つ白です。

そして、ジョージア(元グルジア)のワイン。

緯度的には伊・ローマあたりと同じですから、温暖で葡萄栽培に適した場所なのでしょう。

赤、白共に完熟した果実味を持ち、ふくよかでバランスの良いタイプ。

この国もロシアから独立して、ワイン等の輸出を必死に進めています。

今後、東ヨーロッパの国々は、要チェックすべきでしょう。


食品からは、瀬戸内海の小豆島から、 ヤマヒサのオリーブ新漬け。

瓶詰めオリーブのお酢っぽさがなく、浅漬けの様な爽やかな風味は大人気で、

当店の年末の風物詩となって来ました。マンザニロ種と、カラマタ種がございます。

2015年 9月~12月

今年の夏、家内の実家に里帰りした際に、栃木県のココファームまで行ってきました。

ご存知の方もいるとは思いますが、ココファームの生い立ちは

当時中学の特殊学級の教員だった故川田氏が、 特殊学級を卒業した生徒さんの職場を作る為に、

足利市郊外の山に葡萄畑を切り開き始めた「こころみ学園」がスタートです。

初めて見たココファームの葡萄畑(平均斜度38度)は余りに勾配が急で、

私は札幌大倉山のジャンプ台(平均斜度37度)を思わせました。

案内をしていただいた方に「なぜこんな場所に?」と聞くと、

一介の教師だった川田には平らな農地を得る事ができず、山奥の急斜面を開墾するしかなかったそうです。

しかし急斜面の畑だから、日当たりの良さと水はけが良く葡萄にとっては良い環境でした。

こころみ学園の園生は知的ハンディがあるから何もできないと家族からも思われ、

自宅では過保護に育てられた子供さんばかり。

自宅にいた時は夜に寝られず暴れる事も多かった子供さんも、

急斜面の畑で転びながら農作業をしてご飯をしっかり食べると、

夜もぐっすり睡眠が出来るようになり、心身共に健康になるそうです。


沖縄サミットの晩さん会で乾杯に使われたココファームのスパークリング・ワイン「NOVO(のぼ)」の話も伺いました。

代表の川田氏が発泡酒も造ってみたいと言い出し、

当時の醸造長だったブルース・ガットラヴ氏と シャンパーニュ地方へ視察に行きます。

アルコール発酵が終わったベースの白ワインをシャンパン瓶に詰め、

同時に砂糖と酵母を加えて栓をし、泡を得る為の二次発酵を1本、1本の瓶の中で行います。

発酵が終わると酵母は死に、瓶底にオリとして沈殿します。

数年の熟成後にオリを取り除くため、寝かせていた瓶を沢山穴のあいた作業台に1本、1本差し込みます。

そして約100日の間、朝と晩に瓶を手で45度づつ回しながら徐々に瓶を倒立させてオリを瓶の口に集めます。

この単純で気の遠くなる作業を見た川田氏は、

学園にいる自閉症の子供たちに最適な仕事が見つかったと喜んだそうです。


現在では、本場のシャンパーニュ地方でもこの動瓶作業は、

手ではなくジャイロ・パレットと呼ばれる専用の機械を使って省力化が進んでいます。

川田氏は、毎日手で動瓶をしていたら普通の企業ベースでは採算が取れない。

しかし、だからやろう。障害を持った子たちが採算づくでなく、手間暇かけて馬鹿正直に造ろうと言って、

何と!削岩機を入手して発泡酒用の涼しいセラー建設の為に、自ら裏山に穴を掘り始めたそうです。

このトンネルは間もなく岩盤に当たり途中からは専門の業者に依頼したそうですが、

今もワイナリーの隣にあり発泡酒の熟成庫として使っています。

ココファームのワインは、手間をかけ、正直に造っているだけではなく、

創業者の熱い思いが合わさる事で人の心を打つまでになるのでしょう。


今月のお薦めワインです。

北海道からは滝沢ワイナリーのミュラー・トゥルガウ種のスパークリング・ワイン。

ふくよかな果実感を、爽やかな酸味ときめ細かな泡が柔らかく包み込んでいます。

洞爺湖畔・月浦ワインのドルンフェルダー種・赤13年。

タンク熟成の為か、果実味がはつらつとして表情が開いています。

樽に入れなくても良質な赤となる典型のようなワインです。

余市の新生産者「三氣の辺(ミキノホトリ)」のシードル。

ワインの製造免許はまだなので、自社畑産リンゴを函館の「農楽蔵(ノラクラ)」で委託醸造しています。

農楽蔵らしい自然派の醸造で、味わいには果実味と共に、旨みもたっぷり感じられます。

三笠・山崎ワイナリーのケルナー種の白14年。

ここで定番人気のケルナー辛口ですが、作付して20年近くなり山崎さんは植え替えをするようです。

山崎ケルナーに思い入れのある方は、最後の収穫と言えるこの14年産を大切に取って置くべきでしょう。

北海道のパイオニア、十勝ワインのピノ・ノワール12年。

葡萄樹は-10度で、凍傷にかかり枯れてしまいます。

日本海側は雪が断熱材となり、気温が-10度以下でも雪の下に寝かせた木は越冬出来ますが、

太平洋側は降雪が少ない為にその手法が使えず、

寒さに耐性のある山葡萄と、ワイン用葡萄とで品種改良をして越冬が可能となります。

その為、十勝ワインではヨーロッパ系葡萄の開発が遅れ、

今回は余市の契約農家さんに欧州品種の栽培を依頼し、醸造が出来ました。

北海道12年産の赤は繊細な味わいですが、ワインの熟成には独自のノウハウを持つ池田町。

樽で1年、瓶で1年以上熟成させて旨みが開いて来ました。

「月を待つ」は栃木県ココファームが北海道・余市の藤澤農園と小西農園のケルナー種で造る白。

葡萄を栃木に送り、自然酵母を用い中低温で4か月間ゆっくりと醗酵させました。

道内のワイナリーにもケルナー・ワインは多数ございますが、

定評あるココファームが造るケルナーは一味違います。ぜひ一度お試しあれ。

余市・曽我貴彦氏の実家、長野県小布施ワイナリー。

こちらは貴彦氏の兄、彰彦氏が、渾身の思いで有機栽培を実践し、自然酵母でワインを造っています。

自然派醸造の特徴ともいえる還元香(アニマルや硫黄っぽい香)を彰彦氏は嫌い、

その香りが強く出た樽は除かれます。

各種のワインではじかれた樽をブレンドしたのがこのヴァルプチュー(官能的の意)です。

小布施の自社畑ワインは4、000円前後しますので、この価格はかなりお得。

しかもメルロ、カベルネ、バルベラ、フラン、タナ等がバランス良く調和しています。


次は仏ボルドー地方から。飲み頃になってきた08年産がお値打ち価格で2種類も入荷しました。

トラディション・デ・コロンビエはメドック地区のカベルネ・ソーヴィニヨン種主体でタンニン豊かな赤。

そしてサン・テミリオンの隣にあるリュサック村のシャトー・ド・リュサックは、メルロ種主体のふくよかタイプ。

共に7年を経たワインはハツラツとした果実味と、熟成による複雑な風味の、両方の美味しさが楽しめます。

グラーヴ村のクロ・フロリデーヌ・ルージュ04年。

グラーヴ(砂利の意)村の土壌は砂利が多い為に、ワインは「濃さ」ではなく香り高いスタイルになります。

大きめのグラスに注いでいただくと、土やキノコを思わす熟成香が豊かに広がり、

まるでピノ・ノワールの上物を味わっているかのような気持ちになるでしょう。

次はボルドーの白、シャトー・ラブリュス。

今受けする白は、爽やかなソーヴィニヨン・ブラン種でしょう。

でも、丁寧に作られたセミヨン種の辛口は、貴腐ワインに繋がる重厚で豊潤な風味を持っています。

少しへそ曲がりの私は、ちょっと野暮ったい程に複雑なこの白を、更に数年熟成させてから味わってみたくなりました。


ブルゴーニュ地方からはトルシュテ家の白09年。

地元で白と言えば普通シャルドネ種ですが、こちらはピノ・ブラン種、しかも6年を経た09年産。

少しすりリンゴの様な酸化のニュアンスはありますが、独自のコクとミネラル感が楽しめます。

同じ生産者のオート・コート・ド・ニュイ赤09年も野太い味わいです。

エルヴェ・シャルロパンのマルサネ村の赤。この赤は安定した品質で当社でも人気の1本。

今は13年産を販売していますが、作柄が更に良かった12年産が限定で入荷しました。

美味しい上に、更に1年こなれている12年物が同価格ですよ。

シャルロパンのファンでしたら、飲まずに取って置きたくなるでしょう。


そして、ルイ・ジャド社と共に、大手でありながら良質さで知られるジョセフ・ドルーアン社。

高騰しているブルゴーニュで、なんと、ここだけが値下げをしました。

入荷したどれもがお薦めですが、まずはアリゴテ種。

味わいはシャルドネ種かと思われそうな果実味の豊かさと、

爽やかな調和した酸味で、この価格は信じられません。

赤はショレ・レ・ボーヌ村。溌剌とした赤い果実の風味がたっぷり。

チャーミングで品のあるピノ・ノワール種のお手本のような出来です。

シャルドネ種ではリュリー村の白12年。

グラスからナッツやスモーク香が立ち上り、柔らかな果実味に酸味とミネラル感が調和しています。

「ドルーアン社が値下げをすると、周りの生産者は困っちゃうでしょう!」という声が他から聞こえて来そう。


フィサン村のベルトー家が造るブルゴーニュ規格の赤13年。

名門ベルトー家の赤は渋堅い味わいで、北のピノそのものでした。

そこへ13年から娘のアメリさんが実家に戻り、ワインは生まれ変わりました。

重いタンニンのベールを脱ぎ棄て、瑞々しいチェリーの果実味が広がります。

きれいな娘さんが造るワインを応援してみませんか。

モンテリー村の生産者組合会長を長年続けるポール・ガローデ氏のブルゴーニュ規格の赤。

こちらは4年を経た11年産なので、ベリー系の果実味にも少しだけこなれた表情が楽しめます。

白ではサン・トーバン村の重鎮マルク・コランのブルゴーニュ規格の白13年。

こちらは自社畑ではないですが、香りは梨にナッツとカスタードが混じり、

ふくよかな果実味に酸とミネラルが絡み合って、豊さとメリハリ感が楽しめます。

そして自社畑1級ルミリは、凝縮感とスケール感がばっちり出てきます。

この白を味わっていただければ、難しいと言われる13年産ですが、白は当たり年だとしか思えません。

ちょっと上物の赤ではルイ・ジャドが所有する生産者「デュック・ド・マジェンタ」で、

シャサーニュ村の1級クロ・ド・ラ・シャペル01年赤。

14年を経て果実味は少し落ち着いてきましたが、タンニンが味を引き締め今も豊かな味わいを持っています。

この味わいで産地が有名な村だったら、2倍以上の価格になるでしょう。


南仏からはシャトーヌフ・ド・ガダーニュ村のシャトー・グラン・ディニテル12年。

村の名前からも連想出来ますが、約千年前はシャトーヌフ・デュ・パプと同じ台地だった村。

当然、葡萄品種も味わいもヌフ・パプと同じスタイルで、値段は約1/3。

このワイン、あと1~2年待てば更に美味しくなるでしょう。

次は北部ロワール地方の中でも有名なサンセール村の白。

生産者はこの村で自然派の第一人者、セバスチャン・リフォー。

まずは、切れの良い辛口で知られるサンセール白の先入観を捨てて、

セバスチャン氏が完熟したソーヴィニヨン・ブラン種を、思い描く自然派の方法で醸造したら、

旨みと複雑さが増して独自な味わいになりました。

従来の淡麗辛口か、こちらのコク旨タイプかは、飲み手が選べば良いのです。

そして上級品のスケヴェルドラは、貴腐葡萄が半分混じっていた葡萄から造られました。

仏北部・ジュラ地方ジャック・ティソ氏のアルボワ村シャルドネ09年。

スイス国境近くの涼しいジュラ地方は、ポピュラーなシャルドネ種を使っても、

熟成が独特で複雑な味わいの白になります。

これからの時期クリーム系のシチューと合わせてみては如何でしょうか。


イタリアからはピエモンテ州トリンケーロのオレンジワイン。

ワインで色別の分類は、赤、白、ロゼでしたが、近年オレンジ色のワインが出て来ました。

赤は果皮と共に仕込む為に黒葡萄の皮の色が染み出て赤になり、

白は果皮を入れず果汁だけで仕込む為に淡い黄色になります。

近年、自然派の生産者が古代の製法を取り入れ始め、

白葡萄の果汁を搾らず、赤の様に白葡萄の果皮も共に醗酵させ、

酸化防止剤も無添加で造ると、酸化と果皮の色とで、ワインはオレンジ色になります。

味わいはフレッシュ&フルーティではなく、赤の様に渋みや複雑さのあるスタイルなので、

食事も鳥や豚の煮込みといった料理に合わせたくなります。

モンド・デル・ヴィーノのピノ・ピノは、高級品種ピノ・ノワール種を使って、

伝統的ブルゴーニュ・スタイルではなくフレッシュ&フルーティで微発泡の白に仕上げました。

難しい顔をしてではなく、コップでぐびぐびと愉快に楽しみましょう。

トスカーナ州の赤、モンテ・アンティコ10年。

地元のサンジョベーゼ種主体の赤を樽で1年、瓶で3年以上熟成させています。

濃さ強さは少し落ち着いて来ましたが、熟成香が開き始めており、

ドライエージング・ビーフのステーキと合わせてみたくなりました。

若いワインが多いこの価格帯で、作柄の良かった10年産は貴重です。
                                                                 
ピエールサンティ社が地元のヴェルディッキオ種で造った白。

この品種はコクと旨味が特徴で、この価格でも痩せた感じがなく風味豊か。

地元で魚の形と呼ばれる、独自の瓶に入っています。


スペインからはアルベアルがペドロ・ヒメネス種で造ったデザートワイン。

完熟まで待って収穫し、さらに天日干しした葡萄を伝統的な壺(約800L)で18ヶ月長期醗酵させています。

残糖は425g/Lもありますが、透明感のある果実甘味で、パーカー氏93点も納得します。

このワインがあると、食後の一時がとてもゴージャスになることでしょう。

辛口の白ではディット・セラーのカビロール。

有機栽培されたガルナッチャ・ブランカ種とマカベオ種の樹齢は30~65年と高く、果実味の凝縮は別格です。

赤で知られるスペインですが、最近は白も侮れません。

スペインの赤ではフラウタ・デ・バルトロの赤13年。

モナストレル種の瑞々しい果実味が少しこなれ、余韻に樽のニュアンスも感じられます。

安価ですが、バランスが良く、最適なデイリー・ワインだと思います。

もう1ランク上ですと、リオハ・アルタ地区のセニョーリオ・デ・ウヌエラのクリアンサ10年。

最新の設備から生まれたのでしょう、凝縮した赤い果実の風味とスモーキーな木樽の風味が豊かに広がります。


カリフォルニアからは黒いラベルのカーニヴォ。

この価格で樽濃いフルボディな赤は、やりすぎ感も少々ありますが、インパクトは十分。

安くて濃いワインがお好きな方には、お薦めします。


チリではヴィーニャ・パルグアのアンカ・パルグア09年。

このワインは有機栽培のカベルネ種、他5品種をブレンドした赤。

何よりも収穫後6年を経て果実のジャムっぽさが落ち着き、6品種が少しずつ調和してきました。

私はどうしても熟成したワインを選んでしまう傾向がありますね。


食品からはヴァンドーム社のノンアルコール・ドリンク。

発酵後のワインからアルコールを減圧蒸留で除去したようです。

今まで数々のノンアル・ワインを試しましたが、味に欠点があるか、

間抜けな感じがして扱う気にはなれませんでしたが、このクラシックは味、価格共に、納得できる商品です。


余市の三氣の辺(ミキノホトリ)農園の各種ストレート・ジュース。

将来的にはワイナリーまで考えていますが、その第一弾がストレート果汁です。

飲んでいただければ分かりますが、同じ100%ジュースでも濃縮還元タイプとは全く違います。

将来が楽しみな生産者の一人です。

スペイン・マラガ村の名産マスカット葡萄のレーズン。

完熟まで収穫を遅らせ、更に天日乾燥させたこのレーズンは種入り。

この種が完熟していてナッツのように香ばしく、実と共に美味しく味わえます。

長期熟成させたハード系チーズの付け合わせにも最適です。

2015年 6月~8月

奥手な私は(笑)、39歳でやっと結婚が出来、今56歳ですが息子はまだ中学2年。

そんな訳でまだまだ元気に働かなければなりません。

そこで昨年から週1回の休みに、豊平川の河川敷で始めたジョッギング。

自宅から河原に降りると一条大橋なので、そこから幌平(ホロヒラ)橋まで片道約2キロ半を走り、

中島公園に出て公園をゆっくり歩いて1周し、また幌平橋から市条大橋まで走っていました。

週1回の運動で汗を流すのは爽快なのですが、周りから膝に負担がかかるので走るよりは

「ウォーキング」が良いよと言われ、 今年からは腕をよく振りながら早足で歩いています。

ウォーキングで幌平橋に着くと、河原から中島公園に入り鴨々(カモカモ)川に沿って散歩をします。

公園をゆっくり1周すると、地下鉄幌平橋駅1番口の手前に公園管理事務所があります。

ここは昔STVが寄贈したという50メートルの競技用屋外プール(1996年閉鎖)がありました。

ここのプールの深さは端だと1.4メートル程あり子供は入場禁止。

子供の歓声が無い大人の社交場でした。

夏場2ヶ月程の営業でしたが、設備が古い事もあって料金は1日200円位だったと思います。

公園付近にはススキノで働く方も多く暮らしているので、

特に平日はホステスさんや怖いお兄さんが多く独自の雰囲気でした。

泳いでいる人は少なく、プールサイドで肌を焼いている人ばかり。

20年以上前、毎晩ススキノ交差点角の屋台で甘栗を炒っていた日焼けしたお兄さんも

ここのプールの常連で、プールサイドでコンガの練習をしていました。

友人の話では、中島スポーツセンター(2000年閉鎖)で相撲の札幌場所が開催されている時は、

おすもうさん達が中島プールで泳いでいたそうです。

さて、今はない施設の話だけではつまらないので、最近の中島公園のお話を一つ。

雪印乳業が寄贈した天文台が立つ岡田山と、キタラ・ホール北側との間にある切り株をご存じでしょうか。

直径が50センチ程あるその切り株は、よく見ると函館の方が欠けてはいますが北海道の形をしています。

私も友人からこの話を聞いて探しましたが、案内板が無く見つけるのは少々難儀しました。

休日に中島公園でゆっくりと過ごすのが楽しいと思えるのは、私も年を取ったという事なのでしょう。

皆さんも中島公園でなくても、ご自宅のそばで心休まる場所を探してみては如何でしょうか。


今月のお薦めワインです。

北海道からは余市のオチガビ・ワイナリーのケルナー14年。

創業2年目となり手慣れて来たのでしょうか。13年とは明らかに異なり、完熟感があります。

天候だけでなく、ワイナリー全体が良い形で運営できていると思わせる仕上がりです。

同じく赤のツバイゲルトも14年は良い仕上がり。

熟した風味と共に、短期間の樽熟成が、味わいにまとまりをもたらしたのでしょう。

三笠・タキザワ・ワイナリーからは、長沼町産コックス・オレンジ・ピピン種のリンゴを主体に造られたシードル。

葡萄よりも糖度が低いリンゴでは軽くシンプルな味わいになりがちですが、

このシードルは果実感と旨味が充分にあり、完成度の高いシードルです。

奥尻ワイナリーからは、ピノ・ノワール・ロゼ14年。

同じ葡萄で赤ワインを造り、樽熟成でもすればもっと高い商品になると思いますが、

あえてロゼに仕立てて価格も控えめの設定。

こればかり売れては会社も困るとは思いますが、これはお得なワインといえます。

千歳ワイナリーからはケルナー辛口14年。

作柄の良かった14年らしく、完熟感と爽やかな酸味が溌剌としたスタイルで、ケルナー種の典型のような味わいです。

札幌の藤野ワイナリーはキャンベル種からの辛口ロゼ・スパークリングワイン。

アルコール発酵後に二次発酵と熟成を約半年経て、フレッシュな果実感が落ち着いて熟成旨みが開いて来ました。

かつお出汁を使ったお惣菜に寄り添う、北海道の薄旨系ワインです。


今月もボルドー地方に良品が多く見つかりました。

サン・ジュリアン村からはシャトー・グリュオ・ラローズ08年。

9、000円近い高級品ですが、今の相場は楽に一万円を超えています。

評価の高いこのシャトーが3割程安いこの価格ですから、

10年以上先の記念日に向けて熟成させてみるのは如何でしょうか。

ムーリ村のシャトー・ムーラン・ナヴァン05年。

素晴らしい出来の05年が10年を経て、そろそろ飲み頃に入って来ました。

今ですと果実感と熟成感の両方が楽しめますが、

古酒好きの方にはもう数年待てば、枯れ始めた味わいになってくるでしょう。


さて食事の途中で、もう少し赤ワインを飲みたいと思う時がありませんか?

新たに750mlを開けるには気が引ける時に、このハーフサイズはいかがでしょうか。

オー・メドック地区のシャトー・ジロンヴィルのハーフ10年。

作柄の良かった年らしく完熟感とタンニンがたっぷりあり、一口目からボルドーの美味しさが楽しめます。

次はメドック地区の銘酒、シャトー・ポタンサックのセカンド・ワイン。

天候の良かった09年産だけに瑞々しい果実味がたっぷり。

熟成香は開いていなくても、この時期の溌剌とした味わいも大変魅力的です。

今月は2、000円以下でも良品が見つかりました。シャトー・ラ・マロティーヌ赤は最高の年10年産。

完熟葡萄を潰して瓶に詰めたようなリッチな味わい。

シャトー・ヴュー・ジョルジュはボルドーでは珍しい有機栽培で05年産。

暑かった05年らしい豊かなタンニンが果実味と調和してきました。

シャトー・デュ・ピュイ・フォール04年。

タンニンが強かったこの年も11年を経て、こなれ始めて味わいにまとまりが出て来ました。


ボルドーの最後は白。シャトー・ヴァランドローのオーナー・テュヌヴァン氏は、

サン・テミリオン村の自社畑にブルゴーニュ地方の葡萄シャルドネ種を少量植えました。

当然シャルドネ種はこの地方の認定品種ではない為、

産地名は名乗れず格下の「ヴァン・ド・フランス」規格になりました。

このテュヌヴァン氏のいたずらの様なワインは年産たったの480本。

ロマネ・コンティですら年産6,000本ですから、

マニアにとっては喉から手が出そうなほど貴重なワインです。もちろん、味わいも完成度の高い仕上がりでした。

そして、ブルゴーニュ地方からも良品が多く見つかりました。

ヴァンサン・ルグーのボーヌ赤12年。

ヴァンサン氏はDRC(ロマネ・コンティ社)の元栽培担当社員で、

今は自身の名前で葡萄を栽培しワインを造っています。

ボーヌ村で畑名も付かないですが、素直な果実味に酸とタンニンが調和した味わいは、正に良質なピノ・ノワール。

無名な生産者の5,000円の赤と思わずに、

ボーヌ村の葡萄が持っている味わいを100%出し切った様な赤ワインが、5000円強で入手出来ると思ってみませんか。

私にとっては今月一番の、衝撃的な1本でした。


ボーヌ村の名門ネゴシアン(ワイン商)・シャンソン社でマコン地区の白13年。

元々評判の良い造り手でしたが、新オーナーがシャンパーニュのボランジェ社となって更に品質を上げています。

南のマコン地区らしいふっくら感だけではなく、ミネラル感と爽やかな酸味が味わいに奥行きを与えています。

セリエ・ド・クロワ・ブランシュはネゴシアン物(ワイン商が仕立てたワイン)ですが、

ニュイ・サン・ジョルジュ村の畑名付で01年産。

14年を経た豊潤な熟成香が広がり、果実味は思ったほど枯れておらず、多くの方に楽しんで頂ける赤です。

ボージョレ村で高い評価を受ける自然派の生産者、ニコラ・テスタール氏の赤。

しかも7年経た08年産が少量入荷しました。

新酒で知られるガメイ種ですが、生真面目に造られた物は10年程は楽に熟成します。

「どうせボージョレでしょう!」と言っている方々に、飲ませてあげたい1本です。

そして、まずはマチュー・ルーが造るこの価格を見てください。

高騰しているブルゴーニュ産シャルドネの白と、ピノ・ノワールの赤がこの価格ですよ!

当然この価格ですから期待をせずに試飲しました。

すると想像以上に悪くない出来に驚きました。

自然な果実感と各品種の特徴が楽しめて、この価格は驚きますよ。

マコン地区のジャン・テヴネ氏が造るボングラン白10年。

過熟するまで収穫を遅らせ、醸造も半年近くかける事で、独自の豊潤で強烈な味わいが広がります。

この風味の豊かさはスタイルが違いますが、ムルソーの白以上かもしれません。

ある意味、マコンのイメージが変わる程のインパクトを持っています。

熟成ワインでは、ルー・デュモンのシャンボール村の赤95年と、

レーヌ・ペドーク社のプイィ・ロシェ村の白05年。

共に豊かな熟成香が楽しめながら、果実味が枯れた感じが少なくて良心的なお値段です。

ワイン好きが集まる会にこの様なワインを持参されると、皆の注目を集める事でしょう。

ロシニョル・フェヴリエと、ロブレ・モノは共にヴォルネ村でビオディナミ栽培を実践している生産者。

この二人のブルゴーニュ規格の赤が入荷しました。

ロシニョル氏は、寡黙な味わいの中に凛とした芯を持つスタイル。

ロブレ氏の方は完熟した果実味とタンニンがたっぷり詰まったグラマラスなタイプ。

同じ村で、同じ有機栽培を実践する自然派のワインでも、こうして味わいが異なるのがワインの面白さだと思います。

南仏からは、ギガル社の上級ワイン各種。

エルミタージュ村の白はマルサンヌ種主体。

濃厚で強烈な味わいは作柄の良かった10年産ならではの出来で、これから10年は熟成の楽しみが待っています。

ギガル社の本拠地コート・ロティ村の赤、ブリュヌ・エ・ブロンドも良年の09年産ですが、

エルミタージュ村の赤と違ってシラー種に少し白葡萄のヴィオニエ種をブレンドしている為、表情が開き始めています。

飲み頃の旨みが楽しめるのは、シャトーヌフ・デュ・パプの赤。

南仏にとって最高の07年産は、8年を経て強いアルコール感とスパイス感が果実味に溶け込み、まとまりと旨みが出て来ました。

お得な赤では、シャトー・フォルティアのシャトーヌフ・デュ・パプ。

暑かった09年らしく、ドライフルーツとスパイス香が華やかにグラスから広がります。

今は4~5,000円するシャトーヌフで、良年の09年産がこの価格は貴重でしょう。

ロワール地方からは、ソーヴィニヨン・ブラン種からの白2種。

一番人気サンセール村の定価が3,500円はする今、

限定とはいえアルフォンス・メロのこの価格は破格!華やかな香りと清らかな酸味が楽しめます。

一方シェニエ社のセラフ白は村名付きではありませんが、多分良好な区画の葡萄を使っているのでしょう。

この低価格でも立派なソーヴィニヨン・ブラン風味が楽しめます。

アルザス地方からは2種。

シュルンバジェ社のテール・ダルザスは自社畑だけのブレンド・タイプ。

コクと複雑さのあるピノ系3品種を使い、完熟感たっぷりの味わいに仕上げています。

トリンバック社のレゼルヴ規格リースリング種は切れ味の鋭い辛口。

ミネラル感たっぷりの味わいをシャープな酸がきりきりと引き締めています。

レモンを絞って食べる料理には最高のお共になるでしょう。


イタリアではピエモンテ州バルバレスコ村から2種。

バルバレスコ村で伝説とも言える生産者アルド・ビアンコの10年産は、

最高の年だけに完熟したタンニンがたっぷり感じられます。

大樽熟成の伝統的スタイルは今から楽しめますが、

更なる熟成は飲み手にとって素晴らしい喜びに変わる事でしょう。

ネッビオーロ種は10年以上熟成させてから、という方にはグラッソ・フラテッリのバルバレスコ00年。

15年を経てタンニンが和らぎ、こなれた味わいになって来ました。

同じ価格で強さをとるか、熟成感をとるか、楽しくも贅沢な悩みと言えるでしょう。

イタリアでも人気急上昇のピノ・ノワール種。

ヴェネト州のマルカート社は、2、000円以下で良質な赤を仕上げて来ました。

レベル的には評価の高いの生産者が造るブルゴーニュ・ルージュあたりでしょうか。

高騰しているブルゴーニュより、3~4割は安く感じられました。

濃くて強いタイプでは、共にモンテプルチアーノ種で造られた2種。

マルケ州のウマニ・ロンキ社のサン・ロレンツォは、果実味とタンニンと樽風味がバランス良く楽しめる赤。

カンティーナ・トロのカジオーロは、伊ガンベロロッソ誌で「赤丸付き2★」評価を受けた08年産。

今発売中の10年産より300円安く、2年分長く熟成していますので、お早めにどうぞ。


ドイツからはファルツ地方クロスターのピノ・ノワール種。

半分を6ヶ月木樽熟成させたピノが1,000円強と言うだけで驚きですが、

しかも良質なのです。今月、赤の旨安大賞はこれに決定!


ポルトガル微発泡ワイン、ヴィニョ・ヴェルデの大手ブランド「ガタオ」。

暑い時期に最適なこの白を2本買うと、ガタオのロゼが1本もらえます。

1本で1,000円が、3本で2,000円ですから、1本は約667円。こちらは今月、白の旨安大賞です。

バーベキューの時に、コップでグビグビ飲んでいただくには最適なワインでしょう。


今から約4000年前にワイン産地として知られていたイスラエルの赤が入荷しました。

しかし中東の砂漠地帯で葡萄は暑すぎる為、畑の標高は500~1200mの高地。

ここ30年で他国からの投資や、有名コンサルタントの先生も集まり、この国から良質なワインが生まれています。

一度試されると、この品質に驚く事でしょう。

今月はリキュールもお薦めです。

仏ブルゴーニュ地方・カルトロン社のカシス・リキュールは当社でも大人気ですが、

アンズと、イチゴのお酒が半額以下の値段で入荷しました。


そして、北海道・訓子府(クンネップ)町の、菅野養蜂(ヨウホウ)場が菩提樹(ボダイジュ)のハチミツで造ったミード。

昨年からメーカーで切れていましたが、やっと今年の分が入荷しました。


食品からは、伊トスカーナ州のオリーブ・オイル2種。

オリーブも果実ですから、温暖な南部では完熟したコクが楽しめ、

北部では爽やかで香り高いスタイルになります。

イタリア中部と言えるトスカーナは、そこそこのコクと香り高さの両方が楽しめる所が醍醐味です。

サルストリ家が有機栽培の単一品種で作った13年産オイル(定価3,000円)が、在庫処分価格で入荷しました。

そして今や20,000円以上もするイタリア赤ワインの逸品サッシカイア。

ここの畑の一角でオリーブも栽培され、極少量オイルも作られています。

こちらは3品種のブレンドで、複雑さと香り高さが楽しめます。

このランクのオイルは香りが命ですから、加熱時には安価なオイルを使って、

仕上げの香り付けにこういった上物を使うと、プロの味に一歩近づきます。

2015年 5月

今月は車のお話。

7年間苦楽を共にしたフランス製でポンコツのルノー・キャトルを手放し、中古のニッサン・ノート初期型にして早3年。

オートマにも慣れ、ペットから家電製品の様に手のかからない車に週1回程乗っています。

そんな私の眠っていた欲望がむずむずと動き始めました。ホンダの新車S660です。

一生に一度でいいから、二人乗りのスポーツカーに乗りたい。

そんな気持ちが、軽自動車だったら可能かなと思えて、まずは昔愛読していた雑誌カーグラフィックを見に書店へ。

5月号の表紙は黄色のホンダS660、迷わず購入し、部屋で腹ばいになってページをめくり始めました。

5月号は二人乗りのスポーツカー特集。

ホンダS660、マツダ・ロードスター、アルファロメオの記事が並んでいます。

このアルファの新型4C(クワトロ・チ)の記事を読んで、私はこの編集部の企画力に驚きました。

通常、この手の雑誌は人気の車をメーカーから借りて、編集者が様々な場所を運転してその性能や、印象を記事にします。

ところが4C(クワトロ・チ)をテスト運転したのは、トヨタ、ニッサン、マツダ、各社のスポーツカー担当の設計主任でした。

私がトヨタの社長さんだったら、

自社の宝と言える設計主任を他社製品の宣伝に使われる事に許可出来るかなぁと思ってしまいます。

そして本文で、各社の設計者さんは「高額商品としては煮詰めが足りない」とか色々文句は言っていますが、

4Cの運転を終えた時の写真を見ると、皆さん顔の筋肉がゆるんで「ニマニマ」しているのです。

一番素直なのがマツダの方で、第一声は「ファンタスティックやねぇ~」でした。

三人ともスポーツカーが大好きで、好きだからこそマニアが喜ぶ車を設計できるのでしょう。


それと、さすがだなと思ったのは、トヨタ86(ハチロク)の設計者が

「実は会社が研究の為に4Cを購入したので、今回がお初ではない」と言っていました。

さて私はこの楽しいアルファの記事を読んで、少しS660に対する熱は冷めましたが、

4Cは900万円もするのでこちらに乗り換えることは無理。

そんなわけで今は若かった頃の様に「宝くじでも買ってみようかなぁ~」と考えながら時折ページをめくっています。


今月のお薦めワインです。

北海道からはグラン・ポレールの余市ピノ・ノワール12年。

近年、余市でもピノ・ノワール種の作付けは増えて来ました。

このワインは余市・登地区・弘津園の葡萄ですが、近年植えただけに苗木はピノの中で

最も人気の高い仏・ブルゴーニュ地方の葡萄を選抜したディジョン・クローンの苗木だそうです。

余市で約30年前から栽培され始めたピノですが、

当初は寒冷地向け用のドイツ系やスイス系の苗木だったと言われています。

気候風土の異なる余市で、ディジョン・クローンの栽培は難しいそうですが、

キュートで澄んだサクランボの風味はやはり本場ブルゴーニュのピノを思わせます。

山梨からはシャトー酒折の甲州・バレル13年。

甲州種を樽とタンクで別々に発酵を行い、熟成は全体の6割を樽で3ヶ月熟成させ、

残った4割はタンクで熟成させた後にブレンドした辛口白。味わいは果実味と酸味と旨味のバランスが良く、

ご家庭で食べる毎日の食事にも寄りそう日本の白ワインです。


仏ボルドー地方からは、飲み頃でお値打なワインが入荷しています。

メドック地区のシャトー・ヴュー・ロバン97年。

カベルネ種主体の97年産はキノコや革製品を思わせる熟成香が広がります。

18年を経た赤がこの価格!しかも練れた味わいですが果実味は今も楽しめ、枯れた味わいには至っておりません。

古酒の入門には最適なボルドー・ワインだと思います。

フロンサック地区のシャトー・クラーズ01年。

一般にジロンド川右岸はメルロ種主体で栽培されていますが、ここはカベルネ・フラン種が8割。

14年も経たのに果実味とタンニンが豊かで枯れた感じが無く、メドック地方のワインを思わせます。

高騰が続くボルドーで、熟成したワインがこの価格はちょっとあり得ません。

アントル・ドゥ・メールにあるシャトー・ラリイ。

ここは赤、白共に出来は良かったですが、特に赤は作柄の良かった10年産。

今この価格帯では12年か13年産しかなく、10年産は貴重品です。

凝縮した果実味とタンニンは、さすが10年産と納得できる味わいです。

ボルドーの白ではシャトー・ラグランジュの白でレ・ザルム11年。

限定ですが、少しこなれた11年産が入荷しました。4年を経て樽風味と果実感が調和し始めたころでしょう。

ラグランジュの白は毎年安定した品質なので、安心して仕入れられるワインの代表です。


ブルゴーニュ地方ではオリヴィエ・ルフレーヴのムルソー村の白1級スール・ダーヌ12年。

実はこの畑は最近まで本家のドメーヌ・ルフレーヴに貸し出されていたが、契約が切れてオリヴィエの元に戻ってきました。

ルフレーヴの時はビオディナミ栽培だったので、オリヴィエ氏もこの区画はそのままビオディナミを続けています。

さて値段ですが、本家ドメーヌ・ルフレーヴのムルソーが17,000円。そしてオリヴィエの価格を見て下さい!

2番目は、飲み頃の赤で、ゴワ・ヴァニエのボーヌ村03年。

この村で1.1ヘクタールの畑しか持っていない家族経営の生産者。

洗練されてはいませんが、何か芯があり、変に化粧をせず地酒っぽさを素直に出している所に共感を持ちました。

12年を経たボーヌの赤がこんな値段で買えて、「これが、おいらのピノだ!」とグラスから聞こえてきます。

3番目は、有機栽培を実践するプイィ・ヴァンゼル村の生産者、スフランディエールの白。

有機栽培のワインは軽いタイプが多いですが、ここはふくよかな果実味と樽発酵の風味が楽しめます。

この12年産もマコン地区産シャルドネ種の美味しさがたっぷり詰まっています。

4番目は、ムルソー村のピエール・モレ氏の赤。

ワインは魅力を振りまくようなタイプではなく、 ある意味で哲学的というか、

ゆっくり噛みしめて味わう事で少しずつ分かってくるようなスタイル。

ここの08年モンテリー村産ピノ・ノワールの赤はまさに素のままの味わい。

ブルゴーニュの皆が同じピノ・ノワール種で造っているのに、味わいがこうして異なるのは不思議ですが、

きっと栽培と醸造を通して葡萄に造り手の魂が乗り移ってくる為なのでしょう。

5番、ブルゴーニュ好きに「ボージョレは?」と聞くと嫌な顔をされます。

でも、ここボージョレ地区でも素晴らしい生産者が必死にワインを造っています。

その一つがこのラランドの白。食わず嫌いを克服出来る方にお薦めします。

この有機栽培で多分樽無しのシャルドネ種の08年産は、

7年を経てもボケたりヒネたりせず、 今も骨格のある味わいを持っています。

1本購入し、自宅でヨーグルトに漬け込んだ鳥胸肉を、カレー粉をまぶしてオーブンで焼いた料理と合わせましたが、

樽熟成無しでもスパイスを使った料理と良い調和を持って楽しめました。

6番、ヴォルネ村のロブレ・モノが造るブルゴーニュ規格の赤10年。

とにかく何度でも言いますが、素晴らしい天候だった10年産は色も香りも味も全てが格上です。

だから10年産で良い生産者のワインを値上がり前の価格で見つけたら即、買いです。

ワイン好きは皆、血眼になって10年産を探しているからです。


アルザスからは有機栽培を実践するマルク・クレイデンヴァイツのリースリング種。

この生産者も毎年安定して良質なワインを造っています。

またここでは画家にその年のワインを飲んでもらい、その印象を描いた絵をその年全てのワインにアートラベルとして使いますが、

12年産は私が思うに「フランケンシュタイン」の様な不気味なラベルで、販売量が急に落ちてしまいました。

その12年産が完売し、新たなラベルの13年産がやっと入荷しました。

この年は作柄もまずまずで、絵の仕上がりも良くて正直な所ほっとしています。


南仏からはルーション地方モーリー村のラ・ヴィスタの白。

赤も果実感が瑞々しく、赤、白共に丁寧な仕事を思わせる、澄んだ味わいが楽しめます。

シュド・ウエスト地方のカオール村からはシャトー・ピネレ11年。

向こうが透けない程の真黒な色調、味わいもフルボディですがタンニンがキメ細かで果実味は柔らかく今から楽しめます。

現地では豚肉と豆の煮込み調理と合わせていますので、やはりコクのある料理が恋しくなります。

フランスの最後はシャンパーニュ地方から、バロン・フェンテのグランド・ミレジム06年。

高騰を続けるシャンパーニュ地方で、06年の年号入りでこの価格は立派。

ここはムニエ種を得意とする生産者ですが、年号入りはシャルドネ種が45%と多い分、

ムニエ・トーンが弱まり、豊さと爽やかさがバランス良く楽しめます。


イタリアからは南部ラッツィオ州ファレスコ社の白、フェレンターノ11年。

きっと良質な樽で醗酵、熟成をさせているのでしょう。

地元のロシェット葡萄がエキゾチックな南国の果実味と、

ゴージャスな木樽の風味を身にまとい洗練された味わいになっています。

中身を知らされずに、大ぶりのブルゴーニュ・グラスでサービスされると、

私はなんて答えるだろうかと不安になる程の出来。

白の最後は最安値の1本、ブォン・ファットーレのビアンコ。

この価格とは思えない果実味とミネラル感は、

上級品DOC規格のトレビアーノ・ダブルッツォを格下げした物と聞いて納得します。ぜひ一度お試しを!


赤は少し熟成した08年産の2種。まずは大人気、アブルッツオ州ファルネーゼ社の上級品でリセルヴァのオピ08年。

ここの1番人気の赤カサーレヴェッキオが13年産ですから、

更に5年の熟成を経て濃さ強さは落ち着き始め、 複雑な熟成香が開いてきました。

カサーレヴェッキオのシロップの様な濃厚さもいいですが、たまにはこなれた赤も美味しいですよ。

そして、プーリア州のコンテ・ディ・カンピアノのスクインツァーノ08年。

まずは立派なヘビー・ボトル入りで、高級品オーラが出ています。

7年を経て味わいはこなれて外見ほど強さはありませんが、

果実味とスパイス感とアルコールが調和し始めた飲み頃の美味しさが楽しめます。

干した果実の風味もあるので、乾き物をつまみながらでも美味しいかも。


スペインからは旨安赤が2種。カンポ・デ・ボルハ地区のノストラーダから。

レゼルヴァ規格シルバー・ラベルは10年を経た05年産でこの低価格。

スペインの倉庫は保管料が掛からないのでしょうか?

とにかく熟成ワイン好きな方にとっては、とてもありがたい赤でしょう。

次は名産地リオハ地方の名門マルケス・デ・リスカル社の新製品プロキシモ。

リオハでは年功序列というか、樽熟成された古い物が上位という社会。

そこに出てきたこの赤は僅かに樽風味はありそうですが、瑞々しい果実感が売りの新顔。

良い生産者は熟成品だけではなく、新しいスタイルの赤でも美味しく造っています。


ニューワールドからはニュージランド・バビッチ家の赤シラー種。

もちろんここのソーヴィニヨン・ブラン種も良いのですが、全く期待しなかった赤、シラー種の出来に驚きました。

シラー種はもっと暖かいオーストラリア産でしょうと思っていたら、涼しいニュージーでも立派な味わいなのです。

でも、北海道でシラー種は無理だよなぁ~。


アルゼンチンからはミッシェル・トリノの赤マルベック種と、白トロンテス種。

赤、白、共にこの価格でしっかりと柔らかな果実感があって、

ぎゅーっと搾ったギスギス感がありません。本当にこの価格で頭が下がる出来です。


ブルガリアからは、ルブラのドミナント(カベルネ種+シラー種)と、ペンダー(ルビン種+メルロ種)。

共に仏ミッシェル・ロラン氏がコンサルタントしており、現代的な赤に仕上がっています。

この国の輸出はまだ少ないのでしょう。収穫年が10年と09年なので、少し熟成感も楽しめてお薦めです。


食品からはスペイン・エルポソ社のフエ(サラミ)の上級品。

こちらは豚肉の食感と、白カビの風味がより豊か。

当然、冷蔵保存ですが、食べる分を切って1時間前に冷蔵庫から出しておくと、舌の上で風味がひろがります。

最後は牡蠣の缶詰。韓国製ですが、何よりも味付けが丁度良く、しかも安い。

どれも美味しいですが、私はアヒージョ風味と、柚子胡椒味が気に入りました。

スモーク牡蠣のシリーズは全部で7種類ございます。

2015年 4月

今月はワイン好きな方でしたらよくご存じのヴィンテージ・チャートのお話。

特にヨーロッパのワイン産地では、毎年の天候によってワインの味わいは大きく異なります。

好天が続き葡萄が完熟した年には豊かで凝縮したワインが出来、

雨が多く涼しい夏の年は小粒で繊細なスタイルのワインに仕上がります。

そこで各産地ごとに毎年の作柄を数値化して、表にしたものがヴィンテージ・チャートと呼ばれます。


さて近年、北海道産ワインが注目されています。

私も毎年のように葡萄収穫のボランティアに行きますが、作柄は毎年大きく異なります。

思い出すのは、北海道が本州並に暑かった2012年の夏。

この年はとにかく暑くて、夏の初め頃の農家さんは揃って「今年は最高だった08年を超えるだろう」と喜んでいました。

しかしその後も好天は続きましたが気温の割に果汁糖度が上がらず、

農家さん達も「何故こんなに暑いのに糖度が上がらない!」と不思議がっていた年。

その後に聞いた話では、昼も夜も暑いと植物は今は夏と思って、

1センチでも余計に背を伸ばし、葉を一枚でも多くして太陽エネルギーを取り込みます。

そして朝夕の気温が下がってくると、植物は秋になったことを察知します。

すると植物は木の成長に使っていたエネルギーを止め、冬に備えて子孫を残す為に種や実にエネルギーを投入するそうです。

12年は9月まで暑い夏で、10月になると急に冷え込んだせいで秋を飛び越えて冬になりました。

実と種が熟する秋が無かったせいで、好天が続いたのに糖度が上がらず、黒葡萄の色づきも弱かったのです。

翌年13年は12年ほど暑くは無く、朝夕が涼しく昼は気温が上がる典型的な北国の夏でした。

その為に糖度もそこそこ上がり、甘さと北国特有の酸味が両立した葡萄からメリハリのあるワインが生まれました。

また、天候とは別に道内の生産者さんの多くが、ここ数年間で栽培や醸造の技術をぐんぐん上げています。

そうした中で14年の作柄は大変良かったそうです。


毎年、生産者さんから聞く作柄の話を何かに使えないかと考え、思いついたのがヴィンテージ・チャート。

丁度年明けで当社の住所と地図を載せた「ショップ・カード」が切れた為、

カードの裏側にフランス各地の産地と共に北海道の作柄も載せたヴィンテージ・チャートを作りました。

カードは当社の店舗でレジの前に置いてありますので、気になる方はお越しください。

もちろん無料で差し上げています。


最後に、私たちワイン屋がこのチャートを見て思うのは、涼しく難しい年に良質なワインを造る生産者です。

恵まれた年には誰もが太陽の恩恵を受けますが、厳しい年に目立つのが造り手の技量です。

毎年の天候が異なり、造り手の個性が合わさって、ワインの味わいに無限の多様性がうまれるのです。



さて今月のお薦めワインです。

まずは北海道から、タキザワ・ワイナリーのナイヤガラ・スパークリングで、野生酵母仕込14年。

華やかなマスカット香が特徴のこの品種ですが、この香りで合わせる料理が限定されるのもまた事実。

二次発酵も自然酵母で行ったこのワインは、

前述のマスカット香が穏やかでとてもバランス良くまとまった辛口タイプになりました。

次は、ふらのワインのミュラートゥルガウ14年と、羆(ヒグマ)の晩酌(バンシャク)13年。

ここの特徴は安定した良質さ。

赤、白共にイメージする品質と味わいを守りながら、更に美味しさと楽しさを合わせ持っています。

そして行政の富良野市が運営している為に良心的な値付けになっています。

余市からは田崎農園産ツバイゲルトレーベで造られた赤13年。

実はある席でこの12年と13年を比較試飲する機会がありました。

北海道の12年は暑すぎた為に黒葡萄にとっては難しい年で、色が淡く繊細な味わいになりました。

しかし田崎農園の12年産は、旨み成分が合わさり痩せた感じがありません。

そしてこの13年産は深い色調と豊かな風味を持っている為、熟成させてから楽しみたいと思わせる強さがあります。


そして山梨からシャトー酒折の甲州ドライ14年。

この低価格で甲州種からバランスの良い白を仕上げているのは驚きです。

フルーティな果実感と、余韻に品種特有の「にが旨み」が味わいを引き締めています。


次はフランス・ボルドーから、サン・テステフ村のシャトー・ファジェ09年。

ボルドーの名門リュルトン家のシャトーで村名付き、しかも最高の09年産ですと今時3000円以上はします。

もう数年の熟成を待てない時は、デキャンタか、エアレーションする事でタンニンがこなれて楽しむ事が出来るでしょう。

次は白、ペサック・レオニャン村シャトー・ド・フューザル03年。

実はまだ未試飲ですが、収穫年と価格でお薦めしちゃいます。

ここの品種はセミヨン種50%、ソーヴィニヨン種50%ですが、

熟成が10年を超えてくると、セミヨン種の味わいがムクムクと伸びてきます。

果実感ではなく、蜂蜜と脱脂していない羊毛の香りとスモークが混じり始めるのです。 

お手頃ボルドーでは、シャトー・ド・フランと、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン。

大人気のド・フランは最高の10年産で、凝縮した果実味とスモーキーな樽香で、誰もが大好きなスタイル。

一方、モントーランは08年の青さが7年を経てこなれ、

キノコや森の下草等の熟成香と共に飲み頃の旨みが開いてきました。


ブルゴーニュからはピエール・ブーズローの赤でヴォルネ・サントノ95年。

これには驚きました。造り手も畑も悪くは無いですが、20年の熟成によって大化けしたピノ・ノワール。

とにかくこの熟成香は、赤い果実と樽が混じり合っただけとは思えない程の複雑さと豊さがあり、

グラスから香りがどんどん広がります。

95年産ですから一瓶、一瓶の味の差はあるでしょうが、今月、驚きの1本です。


熟成した白では共に7年を経た08年産。

テヴネ家のボンクラン・マコンは、蜂蜜と柑橘の香りが広がり、

凝縮した果実味をアルコールが引き締めたスケール感のある味わい。

一方、カイヨのブルゴーニュ白は畑の良さが出ています。

畑はムルソー村にありますが、ワインのACムルソーを名乗れる境界線がこのレ・ゼルブー畑の手前で区切られました。

まさにムルソーに接した畑ですから、ラベルを見なければ味は正しくムルソー村の08年産です。

そして今ブルゴーニュで最も高騰しているのがシャブリ村。

この村で質、量、共に安定しているシャブリジェンヌが造る村名付きと、一級モン・ド・ミリュー畑。

共にしっかりとした果実感とミネラル感で、大変良く出来た白です。

特に1級畑は、相場よりかなりお値打ちな価格だと思います。


南仏からはサンタ・デュックのローヌ09年。

普通、今時期は12年、13年産が入荷しているのに、

作柄の良かった09年産というだけで嬉しいじゃないですか。

たっぷりとした果実味とアルコール感が6年を経て調和してきました。

当然、パーカー氏も90点評価で、更なる熟成にも十分の資質を持っています。

次はは自然派ワイン。南仏サンシニアン村のスーリエは

有機栽培を実践し、醸造も自然に任せて酸化防止剤もおまじない程度しか使いません。

その為に抜栓後はアニマル系の「還元香」を感じますが、

味わいは澄んだ果実味と細かなタンニンがきれいに調和しています。

手間のかかる有機栽培と自然派醸造の赤で、この価格は絶対にありえません。

自然派ワインの入門に最適な1本だと思います。


白ではサンセール村のブルジョワ家が造る白。

ここがサンセール村のソーヴィニヨン葡萄で造る白は3000円を楽に超えてしまいます。

でもソーヴィニヨン種の白葡萄は、この村の外側でも栽培されています。

土壌や諸条件が近い区画を探し造ったのがこのワイン。

お安くても味わいは限りなくサンセール村の白に近い、反則技のような白です。


今月はフルボディの赤で知られるマディラン地区で良い物が集まりました。

まずはシャトー・ラフィット・テストンの09年。

6年を経てタナ種のタンニンがこなれ始め、飲み頃の美味しさが素直に楽しめます。

次はこの地で最高の生産者アラン・ブリュモン氏が所有する2シャトーで、ブースカッセが08年、モンチュスは07年。

共に熟成はまだ始まったばかりですが、旨味も開き始めています。

今でも美味しく、更に数年の熟成も十分可能な濃さ強さを持っています。

最後は新進気鋭の生産者が造るマディランの赤。

まだ若く強烈ですが、キメ細かで緻密なタンニンが果実味に溶け込み、今でも楽しめる美味しさを持っています。

将来、ここが新しいマディランのスタイルになるかもしれないような、まばゆいほどの魅力をぜひ一度お試しください。


イタリアからはリヴァ・レオーネのバローロ10年。

素人が手を出しちゃいけない物の一つが、3000円以下の安バローロでしょう。

時々出物はありますが、味わいも価格通りで薄っぺらな物が多いです。

そんな期待を裏切ってくれたのがこの赤。

この産地らしい果実味とタンニンが楽しめ、中堅クラスの味わいに感じました。


イタリアの白といえばソアヴェ。

ソアヴェの価格は1000円以下から、4000円代まで色々あります。

このレ・オゼッレのソアヴェは1000円を大きく下回る価格ですが、

味わいは毎年安定してソアヴェらしい爽やかさと旨味が楽しめます。

多分このワインの買い付け担当者が試飲を重ね、よいタンクのワインを吟味しているのでしょう。

間違いなく、今月の旨安ワイン!


アメリカからはオレゴン州のピノ・ノワール種で、ソーコル・ブロッサーが造るデリニア300。

有機栽培のピノはアルコール感が果実味に溶け込み、上品でバランスの良い仕上がり。

ピノとしては入門用の価格ですが、濃度ではなく品のある可憐な味わいが楽しめます。

オーストラリアからはティズウェル社のシラーズ種で上級品。

普通オーストラリア・ワインで飲み頃を探すのは至難の業ですが、

ここでは熟成させてから出荷する為に現在08年産が発売されています。

7年を経て果汁っぽさが落ち着き、少しこなれた味わいが楽しめます。

ニュージーランドからはクロ・アンリのソーヴィニヨン13年。

このワイナリーは仏サンセール村のブルジョワ家がニュージーで始めた事業で、

創業の数年間、栽培担当者は北大出身の岡田氏でした。

今、岡田氏は独立しましたが、彼の作った畑から今も風味豊かなワインが生まれています。

2015年 2月、3月

今年で56歳になる私。コンピューターでの仕事中に首や腰が痛くなることもしばしば。

年齢と共に体にガタがきているのは分かっていますが、騙しだましでも仕事を続けなければなりません。

そこで始めたのが朝のストレッチ。

初めは布団の上で伸びをするぐらいでしたが、テレビや人から聞いたエクササイズの種類が増え、

今ではコースを終えるのに10分程もかかるようになりました。

元々ずぼらな私が毎朝休みなく続けられるのは、まだ生きたい、あるいはまだ死にたくないという思いがベースにあるのでしょう。

話は変わってNHKの連続テレビ小説「マッサン」。

私は休み前日の夜に、録画したマッサン1週間分をまとめて観ています。

笑ったり、泣けたり毎回とても面白いのですが、1週間分が2時間近くかかり翌朝の起床は昼近くになってしまいます。

マッサンも開始から100話を超えたので、試しに番組の15分×100話と電卓をたたいてみると=1500分。

これを60分で割ると25時間! たった15分の番組でも、ちりも積もれば25時間には驚きました。

そして、次に思ったのが毎朝のストレッチ。

10分でも365日続けると3650分。

これも60分で割ると約61時間にもなるじゃないですか。

自己流のストレッチでも61時間もすれば、何か体に良いこともあるでしょう。

子供のころから聞かされていた「継続は力なり」の意味が55歳になって初めて分かったような気がします。


さて今月のお薦めですが、年末に入荷した分がとても多く、新入荷等も倍以上になってしまいました。

まず北海道から、タキザワ・ワイナリーのキャンベル・アーリー種で14年産のロゼ・ヌーヴォー。

自然酵母による発酵とノン・フィルター瓶詰された新酒の為、ワインは濁っており瓶の底には酒石酸がたっぷり。

この時期ワイナリーに行って、特別に醗酵直後のワインをタンクから試飲させていただいたような味わいです。

次は札幌の藤野ワイナリーから、ナイアガラ種のスパークリングと、山葡萄の赤。

ナイアガラ種の泡は華やかな香りと、とっても爽やかな辛口スタイルで大人気。

メーカーで品切れでしたが、やっと14年産が入荷しました。

そして驚きは山葡萄からの赤。野生で小粒の葡萄は、強烈な酸味とタンニンがたっぷり。

飲み頃はまだ先でしょうが、道産の赤でここまでインパクトのある味わいでこの価格は絶対ありえません。

最後は道南・乙部町の富岡ワイナリーの赤。

収穫年の記載はありませんが、多分2010年前後ではと思われます。

1000円を下回るこの低価格で、果実味と酸、タンニンが調和した熟成旨みが楽しめます。

これは絶対にお得ですから、あまり口外せずにひっそりと購入しましょう。

皆に知れ渡るとこの年のワインは完売し、すぐに若いワインになってしまいます。


山形県の名門、タケダワイナリーのサン・スフル(硫黄・無添加の意)の白、ロゼ。

このワインは少し長い説明が必要です。

通常のワイン醸造には不可欠な亜硫酸塩は「酸化防止剤」とラベルに記載されます。

亜硫酸は今から2000年以上前の古代ローマ時代に、アンフォラと呼ばれる壺でワインを醸造する際、

少量の硫黄を燃やして(亜硫酸ガスが発生)からワインを詰めると、変質せず長持ちしたと記録されています。

こうして人類は2000年以上の間、化学式や原理は分からずに硫黄のお陰で美味しくワインを飲んできました。

現在日本の亜硫酸の基準は350PPM以下ですから、ワイン1000g中に0.35gまで

認めています(一般のワインはこの基準の半分以下の数値です)。

近年では亜硫酸・無添加が話題になっています。通常の醸造で亜硫酸を使わないと、

皮をむいたリンゴが赤茶ける様に若い白ワインでも茶色の色調になり、

漬物やたくあんの様な香りが出てしまいます。

若い白ワインが透明に近い淡い黄色で、フルーティな果実の風味があるのは、

一つは亜硫酸で酸化をさせていない為なのです。

タケダワイナリーでは亜硫酸の代わりに、炭酸ガスを酸化防止に使いました。

通常ワインの発酵は蓋のないタンクで行う為、醗酵時にぶくぶくと出る炭酸ガスは空気中に逃げてしまいます。

発酵の途中でワインを瓶に詰めると、ワインは瓶の中で発酵を続けます。

瓶の中で発生した炭酸ガスは、逃げ場が無くワインに溶け込みスパークリング・ワインになります。

そして醗酵終了後、役目を終えた酵母菌はオリとなって底に溜まります。

一般のスパークリング・ワインは、一度栓を開けオリを取り除いてコルクを打ちますが、

タケダワイナリーではこのオリを残して出荷します。

その為にガス圧が強く、オリの還元作用もあって、亜硫酸・無添加でも酸化が進みません。

ただガス圧が高い事と、オリが残っているせいで泡の発生が一気に進む為、

仏シャンパーニュ地方の物よりも泡が吹き出ます。

抜栓時は吹きこぼれの為にボウルの中に瓶を立て、栓も一気に抜かず栓抜きを使って数回に分けて少しずつ抜いてください。

一度経験して頂ければ、私のアドバイスが誇張でないことが分かって頂けるでしょう。

こうして造られたサン・スフルは、きめ細かな泡と独自の豊かで複雑な味わいが楽しめます。

タケダワイナリーではこの無添加シリーズを赤、白、ロゼ、シードルの4種類を造っていますが、

特に白とロゼのガス圧が高く、泡が吹きやすくなっています。

抜栓時は、ボウルの準備をして、一度に栓を開けないようお願いします。 


次は仏ボルドー地方からシャトー・ブリエット、シャトー・ラリヴォー、共に作柄の良かった10年産。

値上がり前の10年産を見つけたら、即、買いです。

特にボルドーの左岸(メドック側)は09年が上品で澄んだ仕上がりで、10年の方はタンニン豊かで詰まった印象。

濃さ強さがお好みでしたら、絶対10年産です。

09年産ではメドック地区のシャトー・ラ・グランジュ・ド・ブッサン。

完熟した果実味と細かなタンニンがきれいに調和しています。メドック地区でこの価格は、絶対お得です。

熟成タイプがお好みでしたら、シャトー・シトランのセカンド、ムーラン・ド・シトラン05年と、

オー・メドック地区のシャトー・レスタージュ・シモン96年。

シトランの方は10年を経てカベルネのタンニンと果実味とがこなれ始めて来た頃。

レスタージュ・シモンは19年を経て果実味は少し枯れ始め、ドライフルーツ、キノコ、革製品といった熟成香が楽しめます。

ボルドーの右岸ファンには、フロンサック地区のシャトー・クラーズ03年と、カスティヨン地区のシャトー・ムーラン・ローズ98年。

クラーズはカベルネ・フラン種主体と暑かった03年産の為、右岸としてはタンニン豊かで逞しいスタイル。

一方ムーラン・ローズは素晴らしいメルロ種が収穫できた98年産。

樽ではなくタンクで長期熟成させた為に木樽の風味はありませんが、今も枯れた感じがなく果実味がしっかりあります。

ボルドーの白ではシャトー・ラリイ・ブラン。

ソーヴィニヨン・ブラン種としては酸味が穏やかで、果実味がたっぷりあり、この価格ではよく出来た白でしょう。


ブルゴーニュ地方からはシャトー・ド・サントネのブルゴーニュ規格の赤で10年産。

とにかく10年産は色を見ただけで濃く、香りも凝縮して別物です。

こんな価格で10年産を見つけたら、即買いをしなければすぐ無くなってしまいます。

そして、アンリ・ノーダン・フェランのパストゥグラン。

先月号でこのワインの11年産をお薦めしましたが、熟成した08年産が少量入荷しました。

ピノ・ノワール種が30%でガメイ種が70%入っていても、ワインからにじみ出るエネルギーを感じます。

ガメイ種という先入観を捨てて、ワインに向き合って味わってみてください。

次もジャイエ・ジルが造るガメイ種混じりの赤。

セメント・タンクで18カ月熟成の為に木樽の風味はありませんが、ピノとガメイとがいい感じで調和し始めてきました。

こちらも、10年産らしいインパクトのある味わいです。

そして次もガメイ種混じりの赤。

こちらは最高の年05年産のピノ・ノワール種70%、ガメイ種30%のワインを、ステンレス・タンクで8年熟成させて瓶詰しました。

こちらも木樽風味はありませんが、10年を経て果実味と酸、タンニンが良い具合に溶け込み、二つの品種が一つにまとまって来ました。

今月のガメイ種混じり3種類はそれぞれが違う表情を持っており、味わいの違いを皆様も楽しめる事でしょう。

ここ数年高騰の続くブルゴーニュで、このお値打ちな3本をぜひお試しください。


次は上級品で、フランソワ・カリヨンのブルゴーニュ規格の白。

さすがはピュリニー村の名門と思わせる凝縮感と、豊かな酸とミネラルがたっぷり。

格上の世界を感じさせてくれる、ブルゴーニュ・シャルドネです。

一方シャンドン・ブリアイユが造るサヴィニ村の1級07年は、濃度ではなくひたすらエレガントなスタイル。

8年を経てスミレやキノコ、スパイス等の熟成香が開き始めて来ました。

ピノはこの位の濃度でも十分美味しく仕上がる事を教えてくれた1本です。

そしてもう1本はロワールからムヌト・サロン村のシャトノワが造るピノ・ノワール種09年。

味わいは、よくある南ではなく涼しい北の産地のピノなのです。

繊細な果実味と清らかな酸があれば、木樽は目立たなくても十分美味しい。

ちょっと見つけて、嬉しくなったピノです。

ロワールと言えばやはり白。ルイイ村のクロード・ラフォンがソーヴィニヨン・ブラン種で造るフレッシュで爽やかな白13年。

人気のサンセール村だと3000円を超える今、半値以下で入手できるソーヴィニヨン・ブラン種はあり得ません。

見つけたら即買いをお薦めします。

そしてサンセール村のセバスチャン・リフォーはある意味サンセールらしくない白。

一般的にはフルーティで爽やかな辛口のサンセール白ですが、

こちらはビオディナミ栽培した上に、収穫を遅らせ半分は貴腐化した葡萄が入った状態で発酵させた辛口タイプ。

色も茶色がかった濃い黄色、泡盛やイモ焼酎を思わせる香りに、豊潤で複雑な味わい。

少し大げさに言うとソーテルヌ村のイグレッグ(価格は2万円前後)に似ています。


アルザス地方からはシュルンバジェのピノ・グリ種の白。

とにかく完熟感と凝縮感がたっぷりで、半分近くの葡萄は特級畑の物を格下げしているのが嘘じゃないと理解できます。

当社の試飲会でも「こんな美味しいピノ・グリは初めて!」と言われる方が多かったです。


南仏からはジャン・ルイ・ドゥノワが造る南のスパークリング白。

葡萄はなんと黒葡萄のシラー種を用い、瓶内二次発酵で極辛口に仕上げています。

黒い果皮は入れず果汁だけで醗酵させますが、やはり白葡萄とは違った太さや強さが感じられます。

ワイン好きの集まりに、ブラインドでこの泡を出されると受けると思いますよ。


次は豊かな風味で大人気、カオール村のシャトー・ピネレですがメーカーで品切れた為、

代替えで、ハーフサイズが特価で入荷しました。

安くてもリッチな味わいの赤を探している方には、最適な一本です。


イタリアからはチェッチのランブルスコ・セッコ。

泡のある赤といえば少し甘みのあるランブルスコですが、こちらは辛口タイプの赤。

辛口は甘みが無い分、薄っぺらに感じてしまいがちですが、

チェッチはこの価格でも果実味がそこそこ濃くて味わいのバランスが良く仕上がっています。


トスカーナからは久しぶりに日本に再入荷したピアッツァーノの赤。

サンジョベーゼ種主体でスタイルはキャンティですが、フランス系品種を使わず、野太くて、複雑な旨みが楽しめます。

評論家の点数は期待できなくても、イタリア・ワインの持つ美味しさと楽しさがあるような気がしました。


シチリアからはフィッリアート社のエンポリオ赤、白。

2種そろって今月の旨安大賞に決定です。

赤はネロ・ダヴォラ種とメルロ種、白はカタラット種とインソリア種のブレンド。

私は何度も言っていますが、特に安価なワインは複数の品種を混ぜる事で、バランスの良さと厚みが出やすくなります。

その典型とも言える仕上がりがこの赤、白、ワインです。


そしてカンパーニャ州のジャルディーノがグレコ種で造る強烈な白(?)がアダムです。

実は白ワインは白い葡萄で造るから白ワインではありません。

黒葡萄でも、白葡萄でも、葡萄を絞った透明な果汁だけを発酵させたのが白ワインです。

しかし近年、栽培の自然派志向と共に、醸造にも自然派志向が高まり、

赤ワインの様に白葡萄の果皮も一緒に醸造する白ワインが少しずつ出て来ました。

このアダムも色は茶色がかって濁っており、10年前だと不良品と言われた外見。

白葡萄の皮も共に仕込んだこの豊潤で複雑な味わいを口にすると、今までの白とは異なる味の方向性に驚くことでしょう。


スペインからはファン・ヒルがアルマンサ地区で造るアタラヤの赤3種。

それぞれの価格帯の中で、最強と思える濃度が楽しめます。

地元の黒葡萄ガルナッチャ・ティントレラ種は、果皮だけではなく果汁も血の様に色があり、

アタラヤはその品種の特徴をストレートに表現しています。

フルボディ・タイプが大好きな方には絶対のお薦めです。


ナヴァラ地区からはイヌリエータがフランス系品種で造るナバエルス。

この価格帯で4年を経た11年産は今や貴重です。

カベルネ種の果実味と木樽風味が混じり、アルコールが溶け込み始めた熟成旨みをお楽しみください。


スペインで白と言えばルエダ地区。

ヴェルデホ種主体の白はメリハリ感とバランスの良さを合わせ持ち、

私的にはソーヴィニヨン・ブラン種とシャルドネ種の「いいとこ」取りした感じです。この品種は侮れません。


次はドイツのリンゲンフェルダーが造る貴重な赤。

地元品種ドルンフェルダーの最良区画で、天候に恵まれた年だけ造られる特醸品がオニキスです。

小樽で12カ月熟成させた05年産は10年を経たとは思えない程に、今も黒々とした色調を持っています。

細かなタンニンがたっぷりとあり、ドイツの赤ワインのイメージを覆してくれる1本です。


アメリカからは、テエラ・ディヴィナが樹齢100年を超えるジンファンデル種主体で造られたダイナマイトのような赤。

強烈なアルコール感と、フルーツドロップの果実味と、木樽の風味が口の中で爆発します。

その風味はストレートに響くロックンロールの様な味わいです。


最後は、ファレルニア社のチリでは珍しいサンジョベーゼ種からの赤。

当然、イタリアのサンジョベーゼ種とは違うスタイルなのですが、同じ品種ですから共通のトーンも感じられます。

「ここの所はチリの味」とか、「この感じはイタリアにもある」なんて言いながら、

ワイン仲間と共に味わって頂くと、このワインは更に楽しく美味しくなるでしょう。


最後はワイングラスです。

当社でも試飲時に使用するのは数年前まで小振りな国際規格の試飲グラスでした。

しかし今はこのプロ・テイスティング・グラスを使っています。

理由はワインが入るボウル部分の面積が広いのと、内側の形状に角があり、試飲の際に色々な香りを取りやすい点です。

また足が短く個数を並べても邪魔になりません。

ただグラスも人それぞれ好みがあります。

私自身このグラスは、香りと味とが繋がらない印象で、評価するには適していますが、

楽しんで味わうにはリーデル社のボルドーやブルゴーニュ型の方が適しているのではと感じています。

ただ、こうして文句を言いながらも、私自身、自宅でも会社でもこのグラスを使って飲んでいます。

全ての面で完ぺきではないですが、試飲には良く出来たグラスだと思います。

2015年 1月

11月にワイン関係の昼食会が、京都・嵐山の料亭「K」であり私も参加してきました。

その会は30年ほど前、全国のワイン小売店が共同でフランスなどからワインの買い付けをする集まり。

その会に、当時私は最年少で参加させて頂きました。

毎年、皆でヨーロッパに仕入れに行くのが原則でしたが、当社は余裕がなく一度も現地には行かず、

その会も10年程で立ち消えてしまいました。

当初は現地に行く為に皆で会費の形で積み立てをしていましたが、

今回、事務局がその残金処理に昼食会を企画し、当時のメンバーが10名程集まりました。

集まった方々は皆60~70代ですが、今も元気に日本各地でワイン屋を続けていました。


この案内が来た時に真っ先に思ったことは、京都の老舗料亭で恥は掻きたくない!

その「K」のホームページの中に「食事の心得」というコーナーがありました。

先付け、煮物椀、造り、焼き物、等々11ページにわたって、食事の作法が細かく書かれています。

私が一通り読み終えて感じたことは、付け焼刃の作法はやめて、

最低限のマナーで滅多に行く事がない老舗料亭の食事を楽しむことにしました。

参加された方々もマナーに縛られるタイプではなく、昼食会は窮屈さを感じず和やかに楽しむ事が出来ました。

ただ私は55歳になってもメンバーの最年少でしたので、

本部が持ち込みをしたワインの内で古酒の75年、82年、86年の抜栓は私が担当。

3本の内2本のコルクがボロボロで1本は何とか抜きましたが、もう1本はコルクの底が5ミリ程ちぎれてしまい、

最後はその部分を瓶に押し込みデキャンタをしました。

それでも用意されたワインは皆良い状態で、皆さんも喜んでいました。


翌日の昼食は京都・南禅寺の傍で湯豆腐。

昨日の料亭は魯山人などの立派な器を使って食事を出し、着物を着た給仕の方もフルサービス。

翌日の湯豆腐のお店の庭には大きな池と立派な鯉。

美味しい料理だけではない京都の底力を充分見せつけられました。

安価な食器や内装、セルフサービス、立ち食い等によって価格を下げることは可能でしょう。

当然、京都に住む方だって料亭と安価なお店を使い分けています。

でも、京都にこうした高級店が残っているという事実は、

そのお店を利用される方が存在して経営が成り立っているという事です。

そう考えると、地元に良いお店が根付くということは、その街の住民の心意気が現れるという事なのでしょう。



さて、今月のお薦めワインです。

まずは北海道から千歳ワイナリーのピノ・ノワール種で、プライベート・リザーブ12年。

醸造は千歳ですが、葡萄は余市で最高のピノを造っている木村農園。

ここの畑でも、優良な区画のピノを特別に仕込みました。

今はイチゴやサクランボの風味と、樽からのヴァニラ香で十分美味しいですが、

数年後には果実味と樽とが混じりあうことで妖しい熟成香が開いて来るでしょう。

鶴沼ワイナリーからは、バッカス種の14年新酒です。

通常、鶴沼シリーズは2年間熟成させて発売しますが、早熟なバッカス種をヌーヴォーとして発売しました。

道内で多くの葡萄農家が絶賛する14年は、ふくよかな完熟感と爽やかな酸味が両立する期待の年。

残糖を減らし、果実味と酸味を生かした味わいが楽しめます。


今月はフランス・ボルドー地方で良い物が多く見つかりました。

ポイヤック村のレ・シュヴァリエ・ド・ドプラ08年。ポイヤック村で、7年を経た赤がこの価格は驚きです。

前回の07年産も骨太なカベルネ種の風味が好評でしたので、08年はもう一回り豊かな味わいが期待できるでしょう。

グラーヴ地区からはシャトー・ラムルー・サンマルタン06年。

グラーヴ(砂利の意)が多い土壌は、濃さよりも香り高いタイプのワインが生まれます。

この06年産も、9年を経てタバコ葉や土を思わせる熟成香が開いてきました。

少し大きめのグラスを使って頂くと、複雑な熟成香がさらに広がります。

メルロ種好きにはカスティヨン地区シャトー・コート・モンペザのコンポステレ04年。

メルロ種主体のワインを、ローストを強めの樽でしっかり熟成させています。

メルロ種からのチェリーシロップの風味と、樽からのスモーキーさが11年を経て混じり始め、芳醇な熟成香が楽しめます。

次は、暑い夏で凝縮した風味を持つ03年産のボルドーで、お手頃価格の赤が入荷しました。

シャトー・コンスタンタンの品種はメルロ種90%、カベルネ・ソーヴィニヨン種10%。

12年を経て二つの品種の果実味とタンニンが調和してきました。

通常、若いワインしかないこの価格帯で、作柄の良かった03年産は本当に貴重ですよ!

そして白では、貴腐ワインで知られるソーテルヌ村で造られた辛口、リュヌ・ダルジャン12年。

大切に育てられた葡萄の実は、甘口、辛口に関係なく良いワインが出来るのでしょう。

完熟した果実味と、上品な木樽風味、最後に若くても旨みが感じられます。

新しいスタイルのボルドー・ブランは、試してみる価値は十分にあります。


次はブルゴーニュ地方から。アンリ・ノーダン・フェランのパストゥグラン11年。

この生産者はヴォーヌ・ロマネ村で脚光を浴びるジャン・イヴ・ビゾの妻の実家。

当然夫のビゾが協力し、造られたワインは、ビゾと共通するトーンを持っています。

ビゾのブルゴーニュ規格の赤が10,500円、こちらはガメイ種が7割で2,400円ですから、

月とすっぽんぐらい違いますが、ハートに訴えかける何かがこのワインにはあります。

頭ごなしにガメイ種を否定せず、グラスに注がれたワインを素直に楽しむ事が出来る方に、お薦めしたいワインです。

白では有名なジャイエ・ジルが造るオート・コート・ド・ニュイ地区で作柄の良かった10年産。

この生産者は凝縮した果実味と派手な樽香で知られていましたが、

今は濃度勝負を止めてミディアムでバランスの良いスタイルになっています。

作柄の良かった10年産(定価4800円)が、この価格は注目です。


南仏からはカーヴ・ド・タンが造るクローズ・エルミタージュ赤12年。

ただでさえ高い北部ローヌですが、ここは評価が高い協同組合で価格と品質のバランスが優れています。

シラー種特有の強さが楽しめて、この価格はちょっと驚きでした。南仏好きでしたら、ぜひお試しください。

一方こちらはグルナッシュ種主体の赤で、サンタ・デュックが造るコート・デュ・ローヌ規格の熟成した07年産。

南仏の当たり年07年産は、8年を経た今では貴重な存在。

果実味と、スパイス感と、アルコールが調和し、熟成旨みが開いてきました。

ロワール地方からはサン・マルタンのミュスカデ。

13年産だけにフレッシュなのは当然ですが、

この味わいは日本で飲んだのではなく現地の蔵元で味わった様に酸味が生き生きしているのに驚きました。

改めて、ワインは元々の味わいだけではなく、輸送過程がいかに重要であるかを気づかしてくれた白です。

そしてアルザス地方からはシュルンバジェが造る安価な入門ワイン、テール・ダルザス12年。

この価格で完熟感と旨みが楽しめます。

この価格破壊的なワインは、自社畑を130ヘクタールも持っている為に、コスト等を考えず、

味わいを優先して造っているのでしょう。これも驚きの旨安ワインです。

次もアルザスで有機栽培を実践するマルク・クレイデンヴァイスが、リースリング種とピノ・グリ種からの白。

今までアルザスでは安価な物はブレンド・タイプで、上級品は単一品種で造られてきました。

ところが近年は、上級品でも品種をブレンドして造る所が増えて来ました。

特にこのワインは個性的な2品種を半分ずつ入れているので、調和というよりもお互いが競い合っているような緊張した味わい。

これは面白いブレンドだと思いました。


イタリアからはトリンケーロがバルベラ種で造る赤、ア・ユヅキ。

このワイン通常は畑名付きの上級バルベラとして発売されるのですが、

09年は好天で葡萄が過熟し発酵後に味わいが濃くなりすぎたと感じたオーナーは、ワインを規格申請に出しませんでした。

結果、テーブル・ワイン規格となったこの濃密な赤を試飲した日本の輸入業者ヴィナイオータの太田氏は、

即決で全量購入し、同じ09年生まれの娘さんの名前を付けました。

この強烈な味わいは、二倍の価格でも納得する程の満足感がたっぷりです。

できれば、ゆっくり熟成させてから味わいたい赤ワインです。


イタリアで旨安ワインの生産者と言えば必ず名の上がるウンブリア州のファレスコ社の

モンテリーヴァ・ウンブリア・カベルネ・ソーヴィニヨンは毎年安定してふくよかで良質なワインに仕上げています。

そして旨安ワインでもう一社を挙げるとすれば、アブルッツォ州のファルネーゼ社。

ここも旨安で有名ですが今月のお薦めは、1ランク上のカサーレヴェッキオ13年。

収量を下げたモンテプルチアーノ種からのワインは、この価格とは思えないコクが楽しめます。

現地でも大人気で、もう13年産が入荷。もう少しこなれた味わいがお好みでしたら、ご自宅で熟成させるしかない状態です。


スペインからはポンセのクロス・ロヘン。

今まで注目されていなかった地元のボバル種にこだわり、有機栽培とタイプの異なる4区画のブレンドによって、

澄んだ果実味とバランスの良さを身につけています。

スペインの低価格ワインにも自然派の兆しが感じられます。

次はお隣ポルトガルのダン地区から、キンタ・ダス・マイアスの自然派ワイン。

こちらも有機栽培らしい澄んだ果実味が楽しめます。

そして洗練された味わいは、醸造に関しても有名コンサルタントの先生等が関与しているのでしょう。

有機栽培でも特有の癖が無く、誰もが美味しく楽しめる自然派ワインです。

一方キンタ・ドス・アヴィダゴスが造る「ロテ 138」は目の詰まった味わいで、少し仏ボルドーの赤を感じさせるスタイル。

多分4品種のブレンドが功を奏しているのでしょう。

果実味、濃さ、タンニン、調和感といった各要素がバランス良く楽しめます。

最後は人気の産地チリでカサス・デル・ボスケが造るレゼルバ・カベルネ・ソーヴィニヨン。

安くて濃いワインの産地だったチリですが、近年は皆が濃度から上品さへ移行しています。

そんな中で樽と濃さがはっきりと楽しめるマッチョ系のチリ・ワインを久しぶりに見つけました。


ビールではベルギーの修道院で造られるシメイ・ゴールド。

ここの看板はアルコール9%のシメイ・ブルーラベルですが、このゴールドはアルコール4.6%。

実は造っている修道僧の方々が仕事の後に飲むのはこのゴールドだそうです。

初めての人を驚かすにはブルーラベルでしょうが、毎日飲むにはゴールドなのでしょう。


食品からはロハス・クラブのメルロ種100%果汁。

北海道にとって最高の作柄となった14年産のワインは多分、春以降の発売ですが、まずは葡萄果汁が入荷しました。

梗(茎)の有無よりも、14年の完熟感がたっぷり味わえます。

ここのメルロ葡萄は藤野ワイナリーに納入され、赤ワインとなって発売されるのは半年以上先でしょうから、

まずは果汁だけでも試してみてはいかがでしょうか。

2014年 10月~12月

我が家はテレビをあまり見ないせいか、今年の春まで録画はビデオテープでした。

しかし今年の秋にスタートするNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」は、

ニッカウィスキーの創業者・竹鶴氏とスコットランド人の妻リタさんのドラマと知り

ハードディスク・レコーダーを購入、番組に備えました。


私が酒屋の仕事を始めた30年前でも、竹鶴氏の功績は「日本ウィスキーの父」として有名でした。

何度か余市工場に行き、石造りの重厚な正門をくぐると、お酒が好きな方は

タイムマシーンに乗って100年前のスコットランドに行った気分になります。

普通、工場といえば四角いコンクリートの建物ですが、

竹鶴氏は醸造設備だけではなく、建物も全て当時のスコットランド風にしたのでしょう。

例えて言うならば今から80年前、余市の駅から200m程の場所に、

ウィスキーのディズニーランドを造ったようなものです。


20~30年前は当店でも国産ウィスキーの販売量が多く、勉強の為に余市工場に行き話を聞くのが楽しみでした。

ある時、余市工場の次長さんが応対してくれた際に、興味深い話を聞きました。

その方は余市生まれで、ニッカに入社しました。

第二次大戦中はまだ子供で、金髪で青い目の外人のリタさんを見るだけで驚きでした。

また竹鶴氏はリタさんと外出する際は必ず手をつないで歩いていましたが、当時の日本の風習では驚きだったそうです。

しかも戦時中は日本と英国とが敵対関係だったので、お二人が外出する時は

必ず憲兵さんが前と後ろに一人ずつ銃を持って同行し、スパイ活動を監視していたそうです。

憲兵さん、竹鶴夫妻、憲兵さん、その後ろを少し離れて、余市の子供たちが

面白がって金魚のフンのようについて歩いていたと笑いながら話してくれました。


また、ウィスキーの本場スコットランドで蒸留釜の加熱は、今や殆どがボイラーに代わってしまいましたが、

余市工場では80年前と同じく、今も人がスコップを使って石炭をくべて(燃やす)います。

別の機会に余市工場の工場長さんからお話を伺った際、その方が応接室の窓から遠くを見ていて

「煙突の煙を見ただけで、今日の火番は誰かがわかるのですよ」と言っていました。

大量に石炭をくべて休憩する者と、コツコツとくべる者とは煙の出方がまるで違うそうです。

皆さまも機会がありましたら、今も現役で活躍しているニッカ余市工場を訪ねてみませんか。

運が良ければ、石炭の直火焚きによる蒸留作業と、煙突からの煙も見られるでしょう。



さて、今月のお薦めワインです。

今月の国産ワインは、北海道だけでなく本州からも入荷がございました。

まずは道内から鶴沼ワイナリーの12年産ピノ・ブラン種。11年産まではドイツ語の

ヴァイス・ブルグンダーでしたが、この年から一般的なフランス語表記になりました。

暑かった12年産らしく、例年より果実味がふくよかで完熟感が楽しめます。

山形県からはタケダ・ワイナリーの蔵王スター赤、白。

昔、日本酒の蔵元の実力を知るには、安価な二級酒の味を見るのが近道と言われていました。

低コストの中で、地元のお父さん達が喜ぶ味わいを造る難しさを評価する事です。

ここの蔵王スターは、最安価で最も販売量が多い商品。

県内からの購入葡萄で仕込んだ味わいは、クリーンな果実味と酸、タンニンのバランスが良いスタイル。

搬入された葡萄をしっかり選別し、その年の状態に合わせた醸造を行うことで、

地元、山形県民の日常酒になったのだと感じました。

長野県からはワイン通に評価の高い小布施ワイナリー。

今、北海道・余市でピノ・ノワール種の頂点に立つ曽我貴彦氏の実家です。

ここでは兄の曽我彰彦氏が、渾身の思いで過酷な農作業と醸造を実践しています。

今回選んだ3点のワインは、自社畑の葡萄によく知る2軒の農家さんの葡萄をブレンドした物ですが、

凝縮感と複雑さは彰彦氏の強烈な個性から滲み出た味わいだと思います。

今年の夏、長野に伺い炎天下の畑の中で、何時間でも栽培への思いを語る彰彦氏を見て、

ここのワインは「鶴の恩返し」と同様に自身の命を削ってワインを造っているように思えてきました。

私の勝手な思いですが、小布施ワイナリーは噛みしめる様に味わっていただきたいと願っています。

そして山梨県からは、グレイス・ワイナリーの甲州種の白。

前述した曽我氏のワインがビン、ビンと来るタイプだとすれば、

三澤家が造るこの甲州の白はとてもバランスが良くスーッと飲み込んでしまう味わい。

しかし再度舌の上にこの白をのせてゆっくり味わってみると、華やかに広がる果実味が純粋で雑味がなく、

これは涼しい顔をしているが厳しい選別と鍛錬によって出来上がった味わいであることが感じて頂けると思います。


仏ボルドー地方からはサン・ジュリアン村の名門シャトー・ラグランジュのセカンド・ワイン、レ・フィエフ・ド・ラグランジュ10年。

作柄の良かった10年産ですと相場は4000円ぐらいしますので、3割ほどはお得だと思います。

完熟した果実味と、きめ細かでたっぷりのタンニンは瑞々しく、今でも美味しく味わえます。

ボルドーの旨安赤はシャトー・ラ・ローズ・モントーラン12年。

この価格でそこそこの果実味と、木樽の風味が楽しめるのは驚きです。皆さんもぜひ一度お試しください。

今お薦めしたモントーランは12年産。

でもボルドーは少し熟成したほうが、、と思う方には、シャトー・ムーラン・デ・リシャール08年。

6年を経て少しインパクト感は落ち着き始めましたが、果実味とタンニンが調和してきています。

安価で熟成したボルドーなんて都合のいいワインは普通あり得ませんが、この赤はまさにそんな味わいです。


今月の仏ブルゴーニュ地方は、少し熟成した物が値上がり前の特別価格で数点入荷しました。

今発売している12年産よりは価格が3~4割お安く、

今でも十分美味しいですが、数年後は更なる喜びが期待できます。

まずは各種お試し頂き、気に入った物を1箱でも買われて取って置くと、抜栓が楽しみになることでしょう。

白で有名なアルベール・グリヴォーが造るポマール村クロ・ブラン畑の赤10年。

作柄の良かった年だけに、ポマール村らしい果実味とタンニンが詰まった味わいが楽しめて、この価格はあり得ません。

ポマール村の女性醸造家アレット・ジラルダンが造る、ボーヌ村の1級畑クロ・デ・ムーシュ08年。

この畑はポマール村に接する区画だけに、ボーヌ村のチャーミングさとポマール村の強さの両方の良さが楽しめます。

6年を経て少し熟成香が開き始めました。食事と共に時間をかけて、1本をゆっくりと味わいたいピノです。

ジヴリ村のジョブロの1級畑グラン・マロル10年。

干した果実の風味と木樽の風味がたっぷり楽しめます。

こなれた味わいがお好みの方には、同じ生産者の白でセルヴォワジーヌ畑の05年産もございます。

人気のジュヴレ・シャンベルタン村で、古木を大切に栽培しているドゥニ・バシュレの07年。

この村名ワインの平均樹齢は80年。

派手さはありませんが、ミディアムでも果実味と細かなタンニンとが詰まっている印象です。

ヴォルネ村の頂点にいるプスドールがサントネ村の1級クロ・タヴァンヌ畑の葡萄で造る赤09年。

サントネ村の力強さを、ヴォルネ村の上品さがきれいに包み込んでいます。

ヴォルネ村で古くからビオディナミ栽培(有機栽培)を実践しているミッシェル・ラファルジュのヴォルネ村で09年。

自然酵母とノンフィルターの醸造は、大きめのオリがたっぷり残っています。

味わいはインパクト系ではなく薄旨系ですが、時間と共に果実味の中から旨みとタンニンが湧き上がって来ます。

お値打ち品では、ティエリー・モルテが造るパストゥグラン10年。

ガメイ種60%ですからピノ以外の味わいもありますが、

ジュヴレ・シャンベルタン村を思わせる複雑なタンニンが心地良く広がります。


他の産地では南仏フローランのコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ12年。

有機栽培の南仏赤だけに薄旨系の澄んだ果実味と、スパイス感がきれいに調和しています。

濃度勝負のタイプではありませんが、食事と共にゆっくりと味わって頂くと、品の良さが感じられると思います。

これはお値打ちです。


サンセール村のリフォー家の白で11年産。

ここもビオディナミ栽培を実践。自然酵母で発酵後、乳酸発酵まで行います。

一般のサンセールは華やかな柑橘の香りと、爽やかな酸味が特色ですが、

ここの白は旨みと複雑さを持った独自の味わいで、飲み手を唸らせてくれます。

南仏ルーション地区ミラボーの赤12年。

チェリー・シロップの香り、シラー種からの果実味に酸、タンニンが合わさり、メリハリのあるキュートなスタイル。

お手頃価格ですが、丁寧な仕事を感じさせる良質な赤です。


イタリアからはアルト・アディジェ州ギルランのゲヴュルツ種とソーヴィニヨン種。

安いワインではありませんが、澄んだ果実味と、酸味、ミネラル感とが凝縮した液体が、

舌の上で幾重にも開き始め、飲み込むのをためらってしまいます。

オーストリアに接するチロル地方は、一般的なラテンの国イタリアとは違う感性を持っているのでしょう。


カリフォルニアからはパソ・ロブルス地区のキャッスル・ロックが造るカベルネ・ソーヴィニヨン種11年。

暑い産地にありがちな濃くて甘いシンプルな果実味ではなく、

完熟感と涼しい酸とタンニンが交互に現れ、飲み手を飽きさせません。この価格も良心的と思えました。


アルゼンチンから、ノートン社のマルベック種のレゼルヴァ11年。

樹齢80年以上の古木からのワインは凝縮した味わいと複雑さを持っています。

この価格でこの濃度は、新世界だからこそ出せる味わいでしょう。

2014年 9月

8月の休日、彫刻家・安田侃(ヤスダ・カン)の公園で知られる美唄の「アルテピアッツァ」で行われた、

「アン・サリー」のコンサートに家内と二人で行ってきました。

夫婦で音楽の好みは異なりますが、女性シンガーのアン・サリーは

お互いに好きで、家でも、当店でもCDをよくかけている程。

コンサートの当日は少し早めに家を出発し、まず向かうは札幌の東屯田通りにあるサンドイッチ店「サンドリア」。

24時間営業のこのお店は、何時行っても、何人ものお客さんがいて、

お店の奥では5~6人の定員さんが、黙々とサンドイッチを作っています。

ここでサンドイッチを数個購入し、美唄へ向かいます。


コンサート会場はアルテピアッツァ公園内にある廃校になった小学校の体育館。

その前に公園の芝生に座ってサンドイッチをいただきます。

当日は晴天で日差しは強いですが、カラっとした北海道らしい夏の一日。

丘陵地帯で高低差のある公園を、時折、森からの涼しい風が流れて来ます。

体育館の横には浅い水辺もあり、地元の子供たちが楽しそうに水遊びをし、

体育館の開いた窓からはリハーサルの歌声が聞こえ、

ここはエデンの園か、天国かと思うほど心地良いランチタイムになりました。


そのゆったりした流れの中コンサートが始まります。

今日のメンバー、若くて少々太っちょなピアニスト小林創(ハジメ)、

思慮深いフレーズを奏でるスリムでナイスミドルなトランペッター、飯田玄彦(ハルヒコ)と、

アン・サリーの3人。声はマイクとアンプを通しますが、楽器はアンプを感じさせないアコースティックなトーン。

彼女は声量で歌うタイプではありませんが、

爽やかな歌声はドーム型木造体育館の響きと相まって、優しく会場を包み込んでいます。

若いピアニストの元気一杯で、溌剌としたフレーズを、

柔らかく包み込む歌声と、管楽器は、まるで親子で演奏しているかように感じました。

僕はもう少し日本語以外の歌が聞きたかったけれど、歌の詩を重視する家内は大喜び。

とても素晴らしい夏の一日を過ごす事が出来ました。

最後にアルテピアッツァ美唄はとても良い公園でしたので、

コンサートやイベントが無くても、安らぎを求める方にはお薦めします。


さて今月のお薦めワインです。

地元北海道からは奥尻島、奥尻ワイナリーの1番人気ピノ・グリ13年。

たっぷりした果実味とミネラル感、そして自然酵母からでしょうか、少し酸化したニュアンスも感じます。

道内の葡萄生産者が畑の植え替え時にはソーヴィニヨン・ブラン種を増やす話をよく聞きますが、

私は北海道にはピノ・グリ種も有望なのではと最近思っています。

そして、三笠市山崎ワイナリーからやっとワインが入荷しました。

タンク発酵シャルドネ種と、樽発酵シャルドネ種。

共に涼しい環境で育ったシャルドネ種らしく果実味と酸味がたっぷり。

樽の方でもヴァニラ香は穏やかで、ピュアで引き締まった味わいが楽しめます。

次は池田町の十勝ワインで、貴重な山幸種のアイス・ワイン。

200mlで4000円は安くはありません。

でも葡萄の木に鳥防止用のネットをかけて12月までじっと待ち、

一番冷え込んだ日(多分マイナス15度以下)に凍った葡萄を収穫し、

水分が融けないよう直ぐに搾るのは誰もやりたくはない仕事だと思います。

収穫した池田町職員さんの気持ちになって、じっくり味わってください。


次は仏ボルドー地方から、オーメドック地区シャトー・ラネッサン06年のハーフサイズ。

定価1600円が半値に近い価格で入荷しました。

8年を経て果実味とタンニンが調和した飲み頃ワイン。これは早い者勝ちです!

オーナーが革製品とスカーフで知られるエルメス社になって評価を上げている、シャトー・フルカ・オスタン04年。

ここの内陸部にある畑は、タンニン豊かなスタイルの赤を安定して造っています。

10年を経てタンニンと果実味が調和してきた04年は、まさしく熟成ボルドーの味わい。

この価格でしたら大変お買い得だと思いました。

自然派のワインが少ないボルドーで、400年以上化学肥料や農薬を使っていないシャトー・ルピュイ。

ここのセカンド・ワインが特別価格で入荷しました。

自然農法に多い薄さを感じさせず、詰まった味わいで、同時に自然農法特有の澄んだ味わいも楽しめます。

この11年産は、今からでもフレッシュな果実感で美味しくいただけます。

ポイヤック村のシャトー・ピション・バロンのスタッフが手掛けたボルドー規格の赤、キャップ・ロワイヤル。

作柄の良かった10年らしく濃さ強さと、樽からのスモーキーな風味を持っています。

多分、熟成にはピション・バロンで使った上質な樽を使っているのでしょう。


白ではシャトー・オー・ブリオンのスタッフが造るボルドー規格の白、クラレンドル・ブラン12年。

完熟したセミヨン種主体で、干しアンズの風味が楽しめます。

最近私は3000円以下の白でしたら、ブルゴーニュよりボルドーに当たりが多いと思っています。


そして、今「買うな!」と言った舌の根の乾かぬうちに、

お薦めするブルゴーニュの白はオーレリアン・ヴェルデのシャルドネ11年。

先代から有機栽培を実践し、息子は更に酸化防止剤の量を減らし、努力を続けている生産者。

ミディアムで澄んだ果実味と上品な樽の風味は、自然派のワインである前に、とても美味しいワインです。

次、ジュヴレ村のドニ・バシュレが造るアリゴテ種08年は、何と樽で発酵、熟成させた贅沢なアリゴテ。

この品種の白は、薄くて酸っぱいだけと思っている方にこそ、味わっていただきたい白。

樽風味だけではなく、低収量からの豊かな風味と骨太の酸味は、

生産者が品種の植え替えをせずに、アリゴテ種でワインを造り続けている理由でしょう。

ブルゴーニュ赤では、ドメーヌ・ルーのサン・トーバン村レ・ボーパン畑11年。

有名な村でもなく、偉大な年でもなく、凝縮した果実味やカカオ風味の樽もありませんが、

混じり気のない、澄んだサクランボの風味に私は一目ぼれしました。

現地で愛されるピノ・ノワールって、案外こんなタイプかもしれません。

モンテリー村ポール・ガローデの1級デュレス畑09年。

5年を経てチェリーの果実感と、芯のあるタンニンが混じり始め、もう少しで旨味と熟成香も開きそうな気配。

この時期、必死にグラスをスワリングしながら、まだか、まだかと飲むのも楽しいですし、

買って1~2年待つのも期待が出来そう。


南仏からはファーゲロールのシャトーヌフ・デュ・パプ10年。

立ち上るドライフルーツと、黒コショーの香り。

そして果実の甘みと、スパイスと、アルコール感が舌の上で広がります。

これはまさしく南仏の良く出来た赤。

食事を選ばず、誰もが美味しく飲めて、紋章入りの立派な瓶は、宴会の差し入れに最適だと思います。

次は自宅用にもう少しお安い、南仏の赤、ラングドック地方のシャトー・フォンドゥース06年。

シラー種とグルナッシュ種の赤は8年を経て、干し草やトリュフを思わす熟成香が広がります。

果実味とスパイスとアルコールが調和した味わいはまるで「ガラナ」。

煮込みやハーブを使った料理にピッタリです。しかも、この価格をご覧ください、驚きませんか?

そして、さらに安価で、美味しい赤。

マラール・ゴーランのグリニャン・レ・ザデマール地区(数年前まではコトー・デュ・トリカスタンと呼ばれた)の赤11年。

グルナッシュ種や南仏系品種がブレンドされた赤は、タールやスパイスの香りが立ち。

味わいは、果実とスパイスが入り混じった「ガラナ」の風味がこちらでも楽しめます。

もう間違いなく、今月の旨安大賞の赤です。


お値打ちシャンパーニュは、ジャマール社のカルト・ブランシュ。

私はシャンパーニュで、ピノ・ムニエ種が多い物は苦手なのですが、このジャマールはムニエが95%!

試飲する前から「多分嫌いだ」と思っていましたが、味わうと一般的なムニエの風味が無く、

完熟感と酸味が楽しめる、良く出来たシャンパーニュでした。これはお値打ちです!


イタリアからはシチリア島、ザブ社の赤ワイン2種。

イル・パッソは普通に発酵させたワインに、干した葡萄を加えて再度、醗酵させた赤。

濃縮した果汁と二度の発酵で、ちょっと複雑な味わいが楽しめます。

そしてインパリはザブ社の最高区画の完熟葡萄だけで造られ、強烈な濃度と強さを持っています。

フルボディ・タイプがお好みの方には一押しの赤です。


スペインからは老舗のカヴァの生産者ボイーガスのレセルヴァ。

普通のカヴァは1000円台が多いですが、さすがにこの味わいは格の違いを感じました。

複雑で幾重にも感じられる味わいは、長期熟成だけではなく、ブレンドの妙味がなせる技でしょう。


アメリカからは、「ガガ」という名の白、とロゼ。

この名前に、レディー・ガガ本人が飛びつき、今はブランドごとガガさんに売却済み。

そこでワイナリーに残っていた最後の在庫が、日本にやって来ました。

共に4~5年を経ていますが、ひねた感じは無く、逆に各品種が調和をして、とても美味しくなっています。


カリフォルニアのピノ・ノワールは、生産者が名門ブエナ・ヴィスタ社。

イチゴとチェリーの果実味をアルコール感が引き締め、全体を木樽の風味が包み込んでいます。

当然、大柄でブルゴーニュとスタイルは違いますが、

ゴージャスなこの味わいでこの価格ですから私も大満足です。皆さんも一度お試しあれ。最後はスペイン産ノンアルコール・ビールのアンバル・グリーン。

アルコールは0.04%でゼロではないそうですが、味は甘さが感じず殆どビール。

これは良く出来たノン・アルコール飲料だと思いました。

2014年 8月

7月に札幌のばんけいスキー場で開催されたビア・フォレスト(個性派手造りビールのイベント)に行ってきました。

当社の専務・藤井雅裕が昨年の第一回目の、この催しに参加して良かったと聞いたので、今年は私も一緒に参加しました。

弟の話では昨年はフードコーナーに長蛇の列が出来て、随分待ったそうなので、

今年は昼食用にサンドイッチとおつまみ類を持参し準備万端で参加。


チケットは5000円券を購入。入り口で券と引き換えに250ml程のポリコップと、ドリンク券12枚を渡されます。

11時のスタートで、私と弟の一杯目は江別・ノースアイランドと、登別・鬼伝説ビールを選び、

スキー場の芝生に座り、昼前の11時から風味豊かなビールをグビッと味わう。

するとアルコールが体にしみわたり、顔が火照って来ます。

私もプロですから味わいのコメントをメモしようと思いましたが、屋外でビールを飲んでカツ・サンドを頬張ると、

一杯目から味のコメントは書けず、後はひたすらこのイベントを楽しむ事にしました。

兄弟で来ているのでお互いのビールを交換して味わうと、券12枚の倍で24種類も味わえます。

でも、250mlの12杯は合計3リットルのビールです。

3杯目ぐらいからは、自分でもハッキリと酔っていることが分かります。


お互いに感想を言いながら10分ぐらいかけて飲み終えると、まずはトイレへ。

そして次のブルワリーを選びます。

各ブルワリーは3~4種の樽ビールを用意しているので、白ビールや、黒ビール、ホップとアルコールがとても強いIPA、

フルーツや香辛料を漬け込んだ物など、説明を聞きながら次のビールの銘柄を決めます。

悩んで決めたビールを持ち、30~40メートル程歩いて屋外に設置されたテントの中で椅子に座ります。

すると私も弟も、さっき自分で決めたビールの名前をケロッと忘れているのです。

お互いにビール・リストを読み返し、必死に思い出して見つけた名前に丸印を付けてグビッと味わう。

弟とビールを交換してまたグビッと味わう。コップが空になる。トイレに行く。ビールを選ぶ。


この繰り返しを約3時間以上行い、やっと12杯を飲み干しました。

途中からはサーキット・トレーニングでもしているような気分でしたが、

青空の下、鳥のさえずりが聞こえる森の中で飲むクラフト・ビールは格別です。

お酒のイベントですが屋外ということもあって、お子さん連れの参加者も沢山いらっしゃいました。

来年も参加したい楽しいイベントでしたので、皆さまにもこのサッポロ・クラフトビア・フォレストをお薦めします。

最後に今年のチケットは、私の買った12杯分と、7杯分で3000円の券もございました。

ご自分の体力に合わせてお選びください。


さて、今月のお薦めワインです。

今月はボルドー地方で良い物が多く見つかりました。サン・テステフ村のカベルン・ガスクトン02年。

主人のガスクトン氏は、2012年までは同じ村のシャトー・カロン・セギュールも所有してた名手。

12年を経て青さがこなれ、果実味とタンニンが調和し、美味しい時期に入って来ました。

もう2~3年は伸びそうな予感をさせる、飲み頃ボルドーです。

逆に若くても、今から表情が開いていて美味しいボルドーは、グラーヴ村のクロ・フロリデーヌ11年と、

コート・ド・フラン地区のシャトー・ピュイグロー11年。

ピュイグローはメルロ種の凝縮した果実味がたっぷり楽しめます。

一方、フロリデーヌはカベルネ種主体ですが、瑞々しいチェリーの風味が華やかで、

上物のカリフォルニア産ピノ・ノワール種を思わせるスタイル。これはぜひ一度お試しいただきたいボルドーです。


そして熟成した飲み頃ボルドーでは、オー・メドック地区のシャトー・サント・ジェムと、

フロンサック村のシャトー・デ・ラ・ウスト。共に収穫年はボルドーにとって、最高の2000年産。

14年を経て果実味は少し落ち着き始めていますが、

キノコやなめし革を思わす熟成香がグラスから広がり、古酒の素晴らしさが楽しめます。

この芳醇な味わいでこの価格ですから、古酒の入門にも最適な1本です。


ボルドーの最後は、近年侮れない物が増えてきた白です。

有名なシャトー・ラグランジュがごく少量造っている白、レ・ザルム・ド・ラグランジュ11年と、

ドメーヌ・ド・シュヴァリエが貴腐ワインの産地、ソーテルヌ村で始めた辛口の白、クロ・デ・リュヌ12年。

今、2000~3000円で美味しい白をお探しでしたら、

私は有名なブルゴーニュ地方ではなく、ボルドーの白をお薦めしています。


そしてブルゴーニュ地方。毎年、毎年、高騰が続くこの地方で、

値上がり前の10年産を見つけたら、即!ゲットが鉄則です。

オリヴィエ・ルフレーヴのブルゴーニュ赤と、ヴォルネ村の赤は、まさにこの典型。

この年特有の完熟した果実味と酸味が調和した味わいは、素晴らしかった02年を超えるかもしれません。

少しこなれた赤では、ベルトラン・アンブロワーズが造る08年産ブルゴーニュ規格の上級品2種。

6年を経てはいますが、まだ凝縮した果実味がたっぷり残り、更なる熟成も楽しみな赤です。

白ではクロワ・ブランシュのムルソー村で熟成した01年産。

自社畑ではないですが、13年を経てもひねたニュアンスが無く、熟成香と果実味が楽しめます。

現在、値上がってしまった12年産の村名が付かないブルゴーニュ・ブランとほぼ同価格で、

飲み頃のムルソー村01年産ですから、ご希望の方はお早めに!



フランスの泡ではロワール地方ラングロワ・シャトー社のクレマン・ド・ロワールと、

元、3星レストランのソムリエだった、エリック・ボルドレ氏が造るシードル。

ロワールはフレッシュ&フルーティな上に、とても澄んだ果実感が楽しめます。

そしてシードルは爽やかさだけではなく、少し奥行き感のある味わいが楽しめます。

どちらも、従来の同地区の泡とは異なる方向性を目指しているようです。


イタリアからは南のプーリア州。カーサ・ヴィニロニアのアパッシメント12年。

こちらは遅摘みした葡萄を、更にアパッシメント(乾燥)させ、

糖度を上げてから発酵させたフルボディ・ワイン。

こうして人の知恵を使って風味を凝縮させ、この価格とは思えない強烈な味わいを持っています。


ポルトガルからはダン地区キンタ・ダ・ペラーダの白。

近年、当社の品揃えにニューワールドではなく、ポルトガルや、

ブルガリアなど欧州でも馴染みのない国のワインが増えてきました。

今まで気候的に似た環境であっても、こうした国々ではワイン造りのノウハウが少なかったのでしょう。

しかし仏や伊の有名コンサルタントの方々が活躍し、世界各地で良質のワインがどんどん生まれています。

この白もポルトガルという先入観を持たずに味わっていただくと、透明感のある果実味に驚かれると思います。


食品からは新着の牡蠣の缶詰2種。

当社の定番商品、広島のレインボー食品・牡蠣の缶詰は安定した人気商品ですが、

韓国からその半額で牡蠣の缶詰が入荷しました。

味も価格も異なる為、両方扱ってみる予定です。

ご興味ある方は、両方を食べ比べてみる事をお薦めします。

そしてイタリアからは珍しいオレンジと、レモンのハチミツ。

木に果実がなるということは、その前に花が咲き、

その花の蜜を取りに蜂が来て、めしべとおしべが受粉しなければなりません。

そして当然、オレンジの花の蜜は、オレンジの風味を持っています。

二種共にとても贅沢なデザートでも味わったような満足感が楽しめます。