2014年 7月

今月は物欲のお話。

私が10代の頃は、流行りのレコード、コンバースのバスケットシューズ、

VANジャケットの洋服、とにかく何もかもが欲しいものばかりでした。

しかし、これが年老いた証拠なのでしょうが、ここ数年欲しいと思う物が無くなって来ました。

この前の休日、私は駅前の書店でワインの本を買い、大手電気店で話題の4Kテレビ、

スピーカー、カメラ等を見ましたが、ムラムラとした衝動までには至りません。

その後中島公園に行き、自転車を止めて一時間程ゆっくりと散歩をした事が買い物よりも楽しめました。

商店の店主はいくつになっても腕時計や外車を探し続ける気持ちがなければ、

そのお店に魅力的な商品も集まらないのではと感じつつも、本心に逆らってまでは買う気になれませんでした。

1970年代の街には商店が建ち並び、洋服だけではなく多くの物に沢山のメーカーや種類があった様な気がします。

街中の商店で売っているものと、カタログ雑誌に載っている様な舶来物とは、値段も見てくれも月とスッポンの様に別物。

親から買い与えられた物を卒業し、自分が買える範囲で色々なお店を回って、

少しでもカッコイイ物を探すのが当時の私にとって一番の楽しみでした。

40年後の今、商品の価格は昔より安くなり、安価な物でも格段に良質になりましたが、

種類は減り、大手量販店の商品か、高級ブランド品のどちらか両極端になっているようです。

ブランド品の存在すら知らなかった頃、小遣いの中で必死に物を探し、

欠点や良さを自分なりに発見した思いが、今、私のワイン探しに役だっています。

そして今年の春の「ウィンドウズXP」サポート終了の騒ぎは、

消費税率変更と共に、当社にとっても大きな出費と苦労が伴いました。

日本の一般家庭で、生活に必要な物はある程度揃ってしまった今、

食べ物の様に消費する物以外の商品を大量に販売する為には、

サポート終了の様な神風でも吹かないと難しいのでしょう。

今月のお薦めワインです。

北海道・長沼町のマオイ・ワイナリーから菜根(サイコン)13年。

2品種のブレンドによって、果実感、酸味、タンニンがバランス良く、今からでも、

また2~3年熟成をさせても伸びそうな資質を感じさせます。

後は少し高額ですが、山ブドウの「風雅」と、「豊潤」は、

パーカー氏が味わっても80代後半の点数が付きそうな濃度と強さを持っています。

一般に涼しい北海道では、どうしてもフルボディの赤ワインは出来ませんが、

これを味わった時は頭を殴られたような衝撃を感じました。

ボルドーからはグラーヴ地区のシャトー・クレール12年。

こんな安価な値段ですが、果実味とタンニンの感じはまさしくボルドー。

思わず「安くても、がんばってんなぁ」と感じてしまいました。お値打ちです。

同じボルドーでも少しこなれた07年産、グラーヴ地区のシャトー・ド・カラック。

こちらは濃さ強さが落ち着き、この地区特有のタバコを思わす熟成香が開いてきました。

こちらは少し大きめのグラスでいただくと、より香りが楽しめるでしょう。

白はアントル・ド・メール地区のシャトー・マルジョス白07年。

これも安価ですが、今月のボルドーでは1番輝いていた1本。

たっぷりとした果実味と、程良いスモーキーな樽香が混じり、誰もが喜ぶ美味しさを持っています。

これ以上熟成が進み果実味が枯れ始めると好き嫌いが出てくるでしょうが、

今の状態は若さと熟成香の両方が楽しめる最良の時だと思います。

残りが少ないので、ご希望の方はお早めに!

ブルゴーニュからはエマニュエル・ジブロ11年産の赤と白。

世界中のワイン生産者が、ピノ・ノワール種の赤と、シャルドネ種の白を、

どうしたらもっと美味しくなるのか必死に取り組んでいます。

そんな中で本家ブルゴーニュ地方ボーヌ村のジブロ氏は、何かを加えるのではなく、

不要な物をどんどん削ぎ落とし、残された真髄の部分を味わってほしいと願っているのでしょう。

味わいは豪華絢爛なタイプではなく、精進料理を思わせる研ぎ澄まされたスタイルです。

一方ヴォーヌ・ロマネ村のベルナール・グロ(グロ・フレール&スール)氏と言えば、

果実味たっぷり、樽香たっぷりの豪華絢爛タイプでしたが、近年になって化粧を止めて素肌美人へ変貌しました。

ここのロゼも、素のまま7年を経て枯れ始めた果実味の代わりに、旨みがのって来ました。

まるで和食のお出汁か、上品なお吸い物を思わせます。

最後は薄旨系ピノ・ノワール種ではなく、味わいのはっきりした旨安ピノ。

マコン地区のロシュバンが造る古木のピノ・ノワール赤。

温暖なマコン地区らしいふくよかな果実味と、木樽の風味が楽しめてこの価格は普通あり得ません。

入門ピノにも最適な1本でしょう。

南仏からはマラヴィエイユが、シラー種、グルナッシュ種主体で造る赤ル・サンク11年。

一般に軽く繊細な味わいの物が多い有機栽培のワインですが、

こちらはタールを思わす香りと凝縮した果実味がたっぷり。

濃くて美味しくて、お得な有機ワインがお好みの方には、一押しのワインです。

ボルドーの隣、シュド・ウェスト地方カオール村のお薦めは、ピネレと、ラ・ポジャッド、 二つのシャトー。

この2生産者は同じ村で、作付けもオーセロワ(マルベック)種85%、メルロ種15%、樽熟期間も1 2~18か月とほぼ一緒。

違いは生産者と、収穫年が10年産と12年産ぐらい。 ご興味がある方には、ぜひ飲み 比べをお薦めします。

イタリアからはピエモンテ州テッレ・ダ・ヴィーノがアスティ村のバルベラ種で造るルナ・エ・イ・ファ ロで熟成した05年産。

天候の良かった05年だけに、品種特有の酸味が穏やかで私としてはちょっと寂しいです が、

凝縮感と木樽の風味は立派なもの。若いワインが多いイタリアでは、貴重な赤と言えるでしょう。

スペインからはバレンシア地方のカサ・ベナサルの白13年。

品種は華やかな香りを持つ通称ゲベ種と、マスカット種ですが、

香りは強すぎる事無くフルーティさと爽やかさが程良く楽しめます。

夏の太陽の下、ワイングラスではなく、コップで飲みたくなる白でしょう。

アメリカ・カリフォルニア州からはエイリアスのシークレット・エージェント赤11年。

一般に温暖なカリフォルニア産ワインはジャムっぽい味わいが多いですが、こちらはブレンドが上手なのでしょう。

ミディアム・ボディですが甘さが目立たず、果実味に酸味とタンニンがきれいに調和しています。

白では南アフリカ産パンゴリンのシャルドネ13年と、チリ産ヴェラモンテのソーヴィニヨン・ブ ランが印象に残りました。

共に格上の果実感と爽やかな酸味が、味わいに瑞々しさを感じさせてくれます。

忘れちゃいけないのが、北海道・訓子府(クンネップ)町産の蜂蜜から造られたお酒、ミード。

樹液を思わす香りと、程良い甘さを伴った豊かな味わいは、本場フランス産のミードよりも複雑さと旨みが感じられます。

養蜂家(ヨウホウカ)・菅野氏の熱い思いに、東京農大醸造学部と田中酒造の杜氏が共感し生まれた素晴らしいお酒です。

また、このミードの元である菅野氏の菩提樹の蜂蜜も入荷しました。

一般の蜂蜜とは異なるこの凝縮した味わいがあってこそ、こちらのミードが出来たのでしょう。

そして同じ菅野氏が作るサクラと、タンポポの蜂蜜もぜひお試しください。

マダガスカルから届いた、キャビアの様に貴重な野生のペッパー。

コショーに山椒と、干物を思わすオリエンタルな香り。さらに唐辛子の辛さが口の中で広がります。

想像力あふれる方にこそ使っていただきたい、興味をそそられる香辛料です。  

2014年 6月

今月は修繕のお話。

3年程前、私が店のトイレの掃除中にペーパー・ホルダーにぶつかり、

紙切り板の留め具にひびが入り斜めになってしまいました。

メーカーである「T社」のホームページに問い合わせたところ、

1センチ×2センチ程のプラスチック製留め具だけは販売しておらず、

厚さ3ミリ程ある立派な紙切り板とセットになっていると言われ、

小さな留め具の為に全交換は腑に落ちず、そのまま使っていました。

今年になってその留め具がついに折れてしまい、再度メーカーに聞いても留め具だけでは販売不可。

仕方なく板と留め具のパーツ約1400円、送料とで2000円弱を払い、

3年間斜めになっていたペーパー・ホルダーを直しました。

その際「T社」のパーツセンターの方に「3年前にも書きましたが、小さな留め具の為に、

厚手で立派な紙切り板を交換するのは納得が出来ず、当時の担当者の方に、『もったいない』と書きました。

今回は留め具が折れたので発注しますが、今もこのセットによる交換はもったいないと思います。

今後は留め具だけで買えるように願います」と一言メールしました。


そして先月、今度は我が家のガラス瓶で出来た浄水器の本体にひびが見つかりました。

購入して5年ほどになる浄水器(19,000円)は、「非電化工房」というメーカーのもので家内が見つけてきました。

以前の浄水器は交換するフィルターが高価なのと、水量が少なく蛇口からチョロチョロとしか出ないのが欠点でした。

現代社会を否定するかのような変わったメーカー名には驚きましたが、

現物は2リッター程のガラス瓶にヤシガラ活性炭を入れて、

瓶の下から水道水が入り活性炭を通って瓶の上に付いた蛇口から出てくるシンプルな構造。

水も美味しく感じられ、水量も多かったので、気に入って使っていました。


でも普通、浄水器本体にひびが入れば一式全部を買い替えでしょう。

しかしここのホームページを見ると、本体も交換可能と書いてあります。

ガラス瓶交換セット1550円、活性炭600g2000円、

ついでにパッキン類も交換して、送料1050円で、合計5350円を「非電化工房」へ振り込みました。

2週間ほど後に部品が届き、2時間ほどかけて交換作業をしました。

届いた箱には交換部品と共に、専用の工具類も5点ほど入っています。

まずは瓶の上蓋を外し、家のスプーンを使って中の活性炭を掻き出し後、

専用工具でひびの入った瓶を外し、新しい瓶を台に取り付けます。

後は新しい活性炭を入れ蓋をして出来上がりです。

「非電化工房」では使った工具はお返しするシステムで、

入っていたケースに工具を戻し返送先の住所が書かれた袋に入れて郵送しました。

少し手間はかかりますが、今回は無駄がなく清々しい気持ちで交換と返却を終えました。


今月のお薦めワインです。

北海道からは、タキザワ・ワイナリーの新シリーズで、デラウェア13年と、シードルのコックス・オレンジ・ピピン13年。

デラウェア種の白は従来のイメージを払拭するような、凝縮した果実味とミネラル感を持った本格的な辛口白。

葡萄に生食用品種(ナイヤガラ等)と、ワイン用品種(ケルナーやシャルドネ等)があるように、

シードル用のリンゴも同じ状況です。

生食用は大きくて甘いリンゴが好まれますが、コックス・オレンジ・ピピン種等のシードル用品種は糖度だけでなく、

皮と種の割合が増える小粒で、酸味豊かな品種が適しています。

貴重なシードル用品種からの豊かな味わいをお試しください。

千歳ワイナリーのケルナー辛口13年。 葡萄は余市でも定評のある木村農園産。

13年特有の完熟感と爽やかな酸味が、メリハリよく楽しめます。

この年は1~2年熟成させてから、再度味わってみたいと思わせる出来です。

藤野ワイナリーの上級スパークリングワイン、マヤ。

ツバイゲルト種とメルロ種からのロゼは、旨味と上品な酸味が調和して、

少しだけシャンパーニュ産を思わせるニュアンスを感じます。

将来、北海道の発泡酒が世界で認められる産地となる可能性を感じた1本です。

宝水ワイナリーのシャルドネ13年。

この白も13年らしい熟した果実感と、爽やかな酸味が特徴。

涼しい産地で造られた良質な白の典型のような仕上がりです。

三笠の山崎ワイナリーのケルナー・スイート13年。

山崎さんが久々に仕込んだケルナー種の甘口タイプはまだ未試飲なのですが、

一緒に発売したケルナー種ドライと、バッカスが5月の入荷と同時に完売しました。

ここの白をお探しの方は、早めにこの残り少ないケルナー・スイートを購入すべきでしょう。


仏ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・カマンサック96年。

5000円以上の高級ワインですが、作柄の良かった96年産の格付けシャトーでこの価格はお値打ち。

18年を経て開き始めた熟成香と、果実味と混じり始めたタンニン。

古酒好きも納得する飲み頃の美味しさが出てきました。

熟成香が広がり、果実味が枯れた味わいまで行くと好き嫌いが出てきますが、

若い果実味と、そこそこの熟成感の両方が楽しめる位がお好きな方には、今ですと03年産がお薦め。

とても暑かったこの年は凝縮した果実味がたっぷりあり、11年を経て、若さと熟成感の両方が楽しめます。

オー・メドック地区のシャトー・ラ・ローズ・ド・フランス03年と、サン・テミリオン村のシャトー・グラン・コルバン03年は、

お値打ちな価格でそんなピンポイントの美味しさが楽しめます。


最後は天候が良い年で完熟した果実味と、木樽の香りが豊かに広がるはつらつとしたワインがお好みの方へ、

メドック地区のシャトー・ピエール・ド・モンティニャック10年、

ブライ地区のシャトー・モンフォーレ・ヴィエイユ・ヴィーニュ09年、

ボルドー・スペリュール規格のシャトー・リコー08年。

この3種はお手頃価格以上の満足感が、グラスから広がります。


次は仏ブルゴーニュ地方。赤は大人気の生産者エルヴェ・シャルロパンのフィサン村12年と、マルサネ村12年。

村は隣同士ですがスタイルは大きく異なり、マルサネは濃度勝負で、フィサンは瑞々しい果実味タイプ。

共にこの価格とは思えない豊かな味わいを持っています。

白はマルシャン・フレールが造るコトー・ブルギニヨン規格の12年。

この規格の白の多くはアリゴテ種主体となりますが、こちらはシャルドネ種95%にピノ・グリ種5%。

豊かで肉厚な味わいはちょっと驚くほどです。

仲田晃司氏が造るルー・デュモンのブルゴーニュ・ブラン12年。

ムルソー村とピュリニー村の葡萄を六割使い、

この地で最高のフランソワ・フレール社の新樽を4割も使って熟成させた、反則技のような白。

ミディアムな果実味と酸味が調和した味わいは、品格を感じさせる仕上がりです。

ジャン・テヴネ氏が造るヴィレ・クレッセ村のシャルドネ種07年。

この村特有の貴腐葡萄が混じったワインは、7年を経て白ワインからハーブ系リキュールの風味になって来ました。

フレッシュ&フルーティな白もいいですが、たまにはこういった熟成した白も味わってみませんか。


南仏の一押しはサンタ・デュックのジゴンダス村08年。

この年だけ、同じ村でも2倍の価格が付く上級品の発売をやめて、その葡萄を全て並品にブレンドしました。

その為、08年の並品は強さと複雑さを身にまとっていますが価格はそのまま。

生産者の意地のおかげで、私たちは贅沢な思いが出来るのです。

次は良年に仕込まれた、上級品も仕入れなければ、、、と感じています。


ロワール地方からはギルボー・フレール社のトゥーレーヌ村産ソーヴィニヨン・ブラン種12年。

上級品のソーヴィニヨン種がミュスカデ種よりも安いって信じられます?

これは買わなきゃ絶対損!華やかな香りと、メリハリのある味わいは、思い描くソーヴィニヨン・ブランの味わい。

文句なく、今月の白ワイン旨安大賞です。

旨安の赤ワインは、南仏ペイ・ドック地区のフェノリア。

通常の二倍強のポリフェノールを含んだ味わいは、インクの様に濃いフルボディ・タイプ。

少し地酒っぽい味わいですが、安くて濃くて、しかも動脈硬化予防にもなるワインをお探しの方はぜひ一度お試しください。


イタリアからはウンブリア州アルナルド・カプライ社のモンテファルコ・ロッソ09年。

サンジョベーゼ種に、地元のサグランティーノ種他をブレンドしたワインは凝縮感とタンニンがたっぷり。

タールやスパイス香も感じられ、濃さ強さと複雑さが楽しめます。この価格としては大満足のフルボディ・タイプ。


人気のスペインからは、ナヴァラ地区のイヌリエータ社がソーヴィニヨン・ブラン種で造る辛口白オルキデア13年。

温暖な産地なのでシャキ、シャキした酸味はありませんが、熟した柑橘類の風味がたっぷり楽しめます。

赤はリオハ地区のドン・サンチョ・デ・ロンドーニョが造るアルテバン。

テーブル・ワイン規格ですが、何より欠点が無く、バランスが良くて飲み飽きせず、毎日の食卓に最適な赤でしょう。


ドイツからはモーゼル地区で最上の評価を受けているフリッツ・ハークのQbA規格のトロッケン(辛口)12年。

この価格とは思えない程に香りと味わいの完成度が高く仕上がっています。

「ドイツは甘いんでしょう」と言われる方にこそ、飲んでいただきたい辛口白です。


ブルガリアからはカストラ・ルブラのテリッシュ・ペンダー10年。

地元のルビン種とメルロ種の赤は、コンサルタントのミッシェル・ロラン氏のおかげで、

しっかりとした濃さだけではなく、洗練さも身につけています。この価格とは絶対に思えない仕上がりです。 

2014年 4月、5月

今月は50歳を過ぎて涙腺がますます弱くなった私が、思い出しただけでも「うるうる」来てしまう話。

この話は生協組織である「生活クラブ」が発行している会報の3月号に載っていた連載記事。

作者は大阪の小学校で、障害のある子も無い子も地域の普通学校で共に学ぶ教育を実践された先生です。

この先生にとって忘れられない生徒のカオルくんは、動けず、話せず、食事はカテーテルで栄養補給をしてたそうです。

就学前にこの先生がご家庭に伺うと、お父さんからいきなり

「義務教育で子供を学校へやらへんのが罪になるんやったら、

ワシは牢屋に入ってもええからこの子を家に置いておく」と言われました。


光や音の刺激にも反応せず、細い手足を伸ばしてベビーベッドに寝ていたカオルくん。

お母さんから渡され抱き上げた時に先生は何かを感じ、

入学に向けて頻繁に家庭訪問を続ける事でご両親も入学に前向きになって来ました。しかし困惑したのは学校です。

命の保証ができない、設備がない、勉強なんか出来ない、などと議論になり、困った学校は二人の医師に相談しました。

医師の1人は「とても無理だ」と言い、

もう一人は「子供たちの中にいられたら、カオルくんも喜びますよ」と意見が割れたことで、

最後は職員会議にカオルくんとご両親に来てもらいました。

たくさんの質問に答えた後、お父さんは「考えてみいや。音楽の時間、みんなが歌っている教室に、

カオルが母親の腕に抱かれているとしようや。この時カオルが学習していないと先生らは言えるんか」

この一言に先生たちは誰一人反論できず、

学校は入学に向けて教室に畳とベッドが持ち込まれ、カオルくんの登校が始まったそうです。

この時からこの先生は、「点数」の目盛りのついたモノサシだけで子供の学力を決めつけてはならないと肝に銘じたそうです。


予定日より3か月の早産で、保育器で3カ月入院したわが息子。

今は元気に育っていますが、保育器にいた時は何度も成長に向けたハードルを一段一段登って来ました。

それだけに、こうしたお話は真剣に感じてしまいます。

私も夜遅く帰宅し息子の寝顔を見た時は、宿題や通信簿の事など微塵も思い浮かびませんが、

休日に息子と一緒にいると、一向にすべき事を始めない姿にやきもきし、

「机の上を片付けて勉強を始めたらどうだ」という一言から、気が付くと喧嘩が始まってしまいます。



今月のおすすめワインです。

まずは北海道から、昨年11月開業した余市のオチガビ・ワイナリー。

白のバッカス種は通常甘口タイプが多いですが、ここではふくよかな辛口に仕上げています。

さらに興味深いのが赤のジャーマン・カベルネ。

オーナーの落氏が40年程前、修業先のドイツで地元の黒葡萄とフランスのカベルネ種を掛け合わせた品種を見つけ、

数種類を余市に持ち込み、その後も大切に栽培されていました。

この品種群をブレンドしてジャーマン・カベルネと名付け発売しました。

もちろん、温暖なカリフォルニアやチリで育ったカベルネと同じとは言いません。

でも寒い北海道で栽培でき、黒みがかった色調とふくよかな味わいは、やはりカベルネ種の血を感じさせる赤ワインです。


仏ボルドー地方からはオー・メドック地区のシャトー・ボーモン10年。

最高だった09年の後の10年もボルドー地方では素晴らしいワインが出来ました。

円安の影響で価格は少し上がりましたが、完熟したカベルネ種からの豊かな味わいは09年以上だと思います。

右岸からはリュサック・サン・テミリオン村の側にあるシャトー・ラ・ファヴィエールのファーストと、セカンドラベル。

新オーナーは最高のワインを造るために、最先端の醸造設備を設置しました。

通常赤ワインは、発酵後タンクから葡萄の皮と種をスコップでかき出すために、

蓋のない桶やタンクで発酵させ、樽に入れて熟成させます。

白ワインの様に搾った果汁ですと皮と種が無いため、樽で発酵と熟成が出来ます。

発酵から樽を使うと、木の風味が果実味に溶け込んだ味わいになるのですが、黒葡萄の皮と種がネックでした。

そこで考えられたのが、樽に潜水艦のハッチの様な蓋を付けて皮を取り出せるようにしました。

また発酵中の炭酸ガスによって葡萄の皮がタンク上部に集まると、

長い棒で皮の層を崩し混ぜ合わせて皮からの成分抽出を促しますが、密閉された樽では棒を入れる事ができません。

この問題は樽を設置する台にローラーを付け、樽全体をゆっくりと回転させて内部の果汁と果皮を撹拌出来るようにしました。

こうした最先端の設備で造られたワインをぜひお試しください。

ボルドー地区の白は、シャトー・オー・ムレール05年。

オーナーはボルドーで最も厳しい選別を行うと言われるマグレ氏。

天候も良かった05年ですが、凝縮したミツを思わす香はさすがです。

9年を経て少し酸化したニュアンスが混じり始めていますので、多少好き嫌いは出るでしょうが素晴らしい白ワインです。


ブルゴーニュ地方からはサヴィニ・レ・ボーヌ村シモン・ビーズの村名付き赤09年。

樹齢は35年から75年と古く、良質な実を無除梗のまま木桶に入れ今も足を使って優しく破砕し、自然酵母で発酵させます。

ボーヌ地区らしい赤い果実の風味を酸とタンニンが引き締めています。

作柄の良かった09年産は貴重です。


南仏からはジゴンダス村のシャトー・ド・サンコムがコート・デュ・ローヌ地区で造る上級品のレ・ドゥー・アルビオン11年。

濃さ強さに上品さが合わさった味わいを、毎年安定して造っています。

11年は入荷したばかりなので、デキャンタをされた方が表情が開いてくるでしょう。

ロワール地方からは自然派ワインの生産者「レ・ヴァン・コンテ」が造る

ポワーヴル・エ・セル(コショウと塩の意)と名付けられた赤12年。

地元でも少ないピノ・ドニス種の古木にガメイ種をブレンドした赤は、ミディアムな果実味にスパイス感と、旨味が楽しめます。

もう1本南仏からは、今月の旨安大賞受賞のトゥトゥ・イーヴル赤ペイ・ドック12年。

南仏で旨安ワインと言えば、真っ先に名の上がるジャン・クロード・マス氏が造った赤は、

4品種のブレンドが上手く調和し、少し複雑さのある香と、ミディアムでバランスの良い味わいのテーブル・ワインです。


イタリアからは薬物依存症患者の更生施設内にあるワイナリーが造った赤、ノイ10年。

本来は患者さんの更生が目的ですが、効率よりも手間のかかる手法を実践することで

一般のワイナリーより品質が上がり、今ここのワインが大注目されています。

品種は地元のサンジョベーゼ種に仏系のカベルネ種をブレンドしたリッチで分かりやすい味わい。

そしてこの年のイタリア・ワインは素晴らしい作柄に恵まれました。

イタリアの旨安大賞はモリーゼ州のロンボが造る赤と白。

赤はモンテプルチアーノ種とサンジョベーゼ種、白はトレビアーノ種とマルヴァジア種と2品種のブレンド。

特別濃いわけではないですがバランスが良く、ワイングラスではなくコップで気軽に味わってみてください。


スペインからは、ビエルソ地区のメンゴーバが造る赤と白。

有機栽培の畑は山の急斜面にあり、トラクターが使えず牛を使って耕しています。

生産者からの資料はありませんが、試飲の印象から醸造過程での酸化防止剤未使用等の自然派醸造でしょう。

地元品種にこだわり、赤はメンシア種、白はゴデーリョ種とドナ・ブランカ種。

味わいは澄んだ果実味とミネラル感、そして少しすりリンゴのニュアンスが混じります。

スペインでも自然派ワインの流れが着実に進んでいるのを実感できる良質なワインです。


カリフォルニアからはオー・ボン・クリマのオーナー、ジム・クレンデネン氏が始めた自社畑のワイン。

ピノ・ノワール種、シャルドネ種共に温暖な産地らしく、ブルゴーニュと比べると酸とタンニンが穏やかですが、

ブルゴーニュ好きが喜ぶツボをしっかり押さえています。

そしてこの価格、ブルゴーニュでは安めの村名付きクラスですが、

表情の豊かさはちょっとした1級畑以上!これは今月最も驚いた味わいでした。

ニュージーランドからはセレシン・エステイトのモモ・ソーヴィニヨン・ブラン12年。

現地では有機栽培のパイオニアと言われる生産者。

マールボロ地区のソーヴィニヨン・ブラン種と言えばメリハリのある酸ですが、

ここでは木の芽の香り、ふくよかな果実味、そしてミネラル感で、新しい味わいを表現しています。


食品からはチリ産のオリーブオイル、ソル・デル・リマリのエクストラ・ヴァージンタイプ。

チリで良質なワインが出来るように、オリーブだって良質な物が出来るのは当然と言えば当然。

良質なヴァージンオイルに共通する少し青みがかった香と、ふくよかなコクはかなりの物です。

大好評の小瓶に続いて、お得な大瓶が入荷。

国内からは大分県の近藤養蜂場が輸入したハチミツ。

オーストラリア・タスマニア島の大変貴重なレザーウッドの花の蜜は濃厚で気品のある風味。

また容器からスプーンを使わず出せるので、忙しい朝にも最適です。

もう1種は今流行りのナッツ入りハチミツ。

お休み前の読書のお供には最高のおつまみでしょう。

そして大手業者だけに、良質でありながらとても安価な値付けになっています。まずはご自分へのご褒美にお試しください。 

2014年 3月

毎年2月下旬に余市・公民館で行われる「余市のワインを楽しむ会」に今年も行って来ました。

昨年の13年は、楽しむ会の前にワイン・セミナーが企画され、

日本のワインに詳しい石井もと子さんと、鹿取みゆきさんが講師を務めました。

鹿取さんは「農業の六次産業化の難しさ」を話され、

石井さんは「ここ20年でピノ・ノワール種の名産地となって来た米オレゴン州と、

余市が名産地となっていくための道」について話されました。

石井さんは、1社が美味しい物を作るのではなく、

産地として地元の生産者が力をあわせて良質な物を作ることと、 広報活動も必要という内容。

その具体例としてオレゴンで開催されている「オレゴン・ピノ・キャンプ」や、

「インターナショナル・ピノ・ノワール・セレブレーション」の話をされました。


このピノ・キャンプや、セレブレーションは、地元のワイナリーが皆で協力して開催するイベント。

参加者は参加費を払って現地に集まり、数日間かけてオレゴンのピノの魅力を知っていただく勉強会だそうです。

石井さんはこの企画に数回参加され、

その度に日本のピノ・ノワール・ワインを持参して、皆に試飲をしてもらいディスカッションしたそうです。

しかし、現地での評価は「日本でもピノを造っているの?」と言われたぐらいだったそうです。

それでも、めげずに2012年も日本のピノを持参し参加した所、 その年のゲスト生産者として招かれていた、

カリフォルニアでピノの第一人者であるオー・ボン・クリマのオーナー、

ジム・クレンデネン氏が、褒めてくれたと嬉しそうに話していました。

その時、余市公民館のスクリーンには、プロレスラーの様な (失礼!) ジムさんが大きく写っており、

その彼が持っていたのは、なんと、三笠の「山崎ワイナリー」ピノ・ノワールでした。

ただ、会場の場所も、講義の内容も、余市だったので、

私は心の中で「やったー、三笠の山崎さん、これは本当に凄い事だよ!」と

大騒ぎしたい気持ちを何とか抑えていました。


そして今年、14年2月1日オー・ボン・クリマのオーナー、ジムさんが、

札幌に来てセミナーを開催すると案内が来ました。

すぐ輸入業者さんに当社分と、山崎ワイナリーさん分の申し込みをして、昨年の石井もと子さんの話をしました。

そして、札幌に来た時に三笠の山崎ワイナリーに寄っては頂けないかと話をしました。

担当者の方は、今回は日程がタイトで三笠に行くことは出来ないが、

セミナーの前後でジムさんと個別に話をするぐらいは出来ると言ってくれました。

そして当日、セミナーの後でワインショップフジヰにジムさんと、

山崎ワイナリーの山崎亮一さんと、太地さんの兄弟が来て、

山崎ワイナリーを飲みながら、一時を過ごされました。

オー・ボン・クリマのあるサンタ・バーバラ地区は、カリフォルニアの中では涼しい所ですが、

北海道は涼しいではなく「寒い所」。

ジムさんのワインは完熟した果実味がたっぷりですが、

「山崎ワインは果実味と共に豊かな酸味が特徴です」と弟の山崎太地さんが話すと、

同行した通訳の女性は酸味の「アッシディティ」に、暴力的を意味する「バイオレント」を付けてジムさんに話されました。

この「バイオレント」という言葉を聞いて、北海道の生産者さん達は

厳しい自然の中で必死にワインを造っているのが、改めて分かります。

普通のワイン産地ですと3月は木が活動を始める時期ですが、北海道の葡萄畑はまだ雪の下。

雪が解ける4月までの1カ月の遅れが、そのまま開花の遅れに繋がり、

最終的には収穫時の熟度に影響します。

寒冷地での葡萄作りの特徴である「バイオレント」な酸味をいつか克服する日を目指して、

地元の生産者さんたちは頑張っています。



今月のお薦めワインです。

北海道からは、ふらのワインのツバイゲルトレーベ種。

この赤は5年以上熟成を経て発売される、ここの看板商品。

しかも近年では最高の作柄だった08年産。この年のワインがこの価格で入手出来るだけでも価値があります。

藤野ワイナリーのスパークリング・ナイアガラ13年。

暑すぎた12年より、平均的な夏だった13年は、完熟感と酸味が両立した、メリハリのある味わいが楽しめます。

栃木県のココファームの白、農民ドライ13年(3月下旬入荷予定)。

醸造地は栃木ですが、原料葡萄の約半分が北海道余市産。

フレッシュな果実感とバランスの取れた味わいは、

前醸造長だったブルース・ガットラブ氏の伝統をしっかり引き継いでいます。


仏ボルドーからは、ミラード社のポイヤック・セレクション94年。

この中身はポイヤック村の某有名シャトーの桶売り品で、20年間熟成させて出荷した秘蔵の品。

当然、果実味は枯れ始めていますが、豊かな熟成香と上品な味わいは、

これはひょっとしてスーパーセカンド以上か?と勘繰りたくなる程の出来。

古酒好きでしたら、2倍以上の価値がある事が分かって頂けるでしょう。

一方シャトー・モンペラ10年は皆様に喜ばれる赤。

天候に恵まれたこの年は、モンペラにとっても大成功でした。

仏アシェット誌でも最高の3★評価された10年産は、今飲むと完熟した果実味の豊かさで楽しめますが、

12本ご購入いただき数年後から毎年1本ずつ飲まれると、熟成による味わいの変化が楽しめる事でしょう。

ブルゴーニュからはエルヴェ・シャルロパンが造るフィサン村11年。

ブルゴーニュ・ピノで、村名が付いて、瑞々しい果実味と木樽の風味が楽しめて、この価格でしたら大満足。

同価格帯のパスカル・ラショーのブルゴーニュ赤ピノ・ファン11年。

ヴォーヌ・ロマネ村の名門が造るブルゴーニュ規格の赤。

こちらは村名が付きませんが、 ピノの良さが過不足なく楽しめる、味わいの基準となるような赤です。


ロワール地区の白ではサンセール村のアルフォンス・メロが造る上級品が特別価格で入荷しました。

このドモワゼルは樹齢52年の古木葡萄を木樽を使って醸造し 、

旨味成分の多いオリと共に熟成させています。

爽やかさだけではなく、複雑さと旨味を合わせ持った上級品のソーヴィニヨン・ブラン種をこの機会にお試しください。

南仏からラ・パッションのグルナッシュで、ヴィエイユ・ヴィーニュ(古木)08年。

樹齢80年以上の葡萄からのワインは、豊かなコクとスパイス感が混じり、これからが飲み頃の赤。

煮込み料理と共に味わいたくなるような骨太の赤です。


イタリアからは今月の旨安大賞の2本、トレゼンダのカンノナウ種の赤と、ヴェルメンティーノ種の白。

白は果実味たっぷりの現代的なスタイル。

赤は大樽熟成でしょうか?タンニンが果実味に溶け込み、少しこなれた味わい。

多分選別された優良な葡萄だけで造ったのでしょう、赤、白共に澄んだ果実味が特徴です。


オーストラリアからは久々にダイナマイトのようなパンチのある赤、

ダーレンベルグ社のカベルネ・ソーヴィニヨン種でハイ・トレリス10年。

グラスの向こうが透けない真っ黒の赤で、インクとドライフルーツの香り。

凝縮した果実味がシロップの様に広がり、後からタンニンとアルコール感が引き締めます。

カベルネほどの濃度はありませんが、シラーズも凝縮感がありながらアフターに甘さが残らず、北ローヌを思わせます。


ブルガリアからはカストラ・ルブラ08年。

温暖なブルガリアに仏ボルドー系品種が適合し、醸造は仏で最高の醸造家ミッシェル・ロラン氏を起用。

凝縮した果実味とタンニンを、スモーク香が包み込んだ姿は、ボルドーでも格付け級の風格を感じさせます。


食品は共にスペイン産で、品切れていた人気の品が再入荷いたしました。

干しイチジクは枝からではなく、完熟して自然に落ちた実を乾燥させた逸品。

スペイン最高のデザートワイン、マラガ地区産マスカット種の葡萄を使った貴重なレーズン。

このレーズンは、なんと種入りタイプ。

急斜面の畑で完熟を待って収穫し、天日乾燥させた葡萄は種まで熟しており、

レーズンをかじって頂くと種が香ばしくナッツの様です。

この種ありレーズン、ちょっと癖になる味わいです。

2014年 1月、2月

昨年の11月にオーディオ用真空管アンプのメンテナンス等をしている工房「ラヴ・ワークス」代表の伊藤さんより、

新しいスピーカーを一度聴いてほしいと言われ苗穂にある工房に伺いました。

ここの試聴室に鎮座していた自慢のスピーカーは、え!これが!と思ってしまう程小さな(26×16×24cm)箱。

当社店舗にあるモニター・オーディオ社のスピーカーも、そんなに大きくはありませんが(31×19×28cm)、

低音用と高音用で大、小、二つのスピーカー・ユニットが付いています。

伊藤さんの自信作は、うちの物より更に小さな箱に8センチほどの可愛らしいスピーカー・ユニットがポツンと一つだけ。

正直言ってあまり期待せずに試聴が始まりました。


ところが目を閉じて聞いていると、向こうで実際に楽器を演奏しているかのように臨場感があり、

左右の広がりと奥行きが感じられます。

設計者の伊藤さんが言うには、小さくても良いスピーカー・ユニットであれば、左、右、各一個で鳴らした方が、

低音、高音用とユニットが二個、三個付いた物よりも、音の左右の位置関係がクリアに表現できるとのこと。

試聴は伊藤さんと私が缶詰状態で4時間ほど続きました。

音源はレコードや、CD、PCオーディオと呼ばれるPCメモリー、アイフォンなどで、ジャンルはジャズが多かったです。

その音源を、真空管アンプ、通常のオーディオ・アンプ、後付けスピーカー等に付属される簡易アンプなど、

色々な環境での音の違いを体験させていただきました。


同じスピーカーを高価なシステムで鳴らすのと、携帯の音源と簡易アンプとでは明らかに違いました。

でもこれは例えるとラジカセの音と、100万円のスピーカーを比べるようなもの。

実際にラジカセを買う時は、誰も高級スピーカーは見ずに、ラジカセ・コーナーの中から好みの物を選ぶと思います。

この日、高級なシステムから安価タイプに切り替えた直後は、

カラー写真から白黒写真に変わったような寂しさを少し感じましたが、

その白黒写真でも見つめていると、水墨画のように奥行きや味わいを感じてきました。

こうして最良の環境だけではなく、安価な組み合わせの中でも、ノイズを感じず溌剌とした音色を出す姿に感銘を受けて、

伊藤さんの目論み通り、私は左右セットで7万円のスピーカーを発注しました。


それにしても真剣に微細な音を、長時間にわたって聞き比べた後はかなり疲れました。

この疲労感は、ワインの試飲会で一度に100種類以上の試飲をした時に近いものです。

そして今、このスピーカーは当社店舗で毎日BGMを鳴らしています。

ご興味のある方は、ぜひ一度音を聞きに来てください。



さて、今月のお薦めワインです。

北海道からは、増毛フルーツワイナリーのポワール(洋梨のスパークリング・ワイン)です。

猛暑で昼も夜も暑かった12年に比べ、13年は朝夕が涼しく昼はちゃんと暑かった年。

そのため13年産は果実味と酸味が両立して、メリハリのある味わいが楽しめます。

ここの本業はリンゴからの「シードル」ですが、冬期間だけ発売される「ポワール」は隠れた人気商品です。

また、地元農協で瓶詰めしている「増毛町・100%洋梨果汁」と、

「増毛町・100%りんご果汁」も(1リットル735円)お薦めです。

濃縮還元ではなくストレート果汁なので、瓶の底に1センチほど成分が沈殿していますが、

旨味成分と栄養価はたっぷりでしょう。朝の一杯が元気の元となりそうな果汁です。

山梨から、マンズワインの山梨甲州・樽熟成。

この価格ですから、甲州種の生産農家さんを思うと気の毒になりますが、味わいは辛口でバランス良く上出来。

どこかホットする味わいは、和食に最適な白でしょう。


仏ボルドー地方からは、久しぶりのメドック第二級格付け、サン・ジュリアン村のシャトー・グリュオ・ラローズ06年。

もちろんこの価格は、年に一度飲むにも勇気が必要な値段だと思います。

でも今、このシャトーを普通に仕入れると、販売価格は楽に一万円を超えてしまいます。

2006年が特別な年の方には、少し無理をしてでも、この機会に買っておくべきだと思います。

06年にそこまで思い入れのない方には、ムーリ村のシャトー・シャス・スプリン06年。

こちらも現在の相場は六千円前後しますので、この価格でしたら一寸奮発してと思えるぎりぎりのラインでしょう。

今月のボルドーはお値打ち品が多く出ました。リストラック村のシャトー・フルカ・デュプレ09年。

作柄の良かった年らしく完熟感がたっぷりで、今でも充分美味しいですが、

5~6年間買ったことを忘れて熟成させるのも将来の楽しみが増えることでしょう。

熟成した飲み頃ワインでしたら、サンテミリオンのシャトー・ベルルガール・フィジャック01年。

豊かな熟成香がグラスから広がり、メルロ種の果実味と13年を経た熟成旨味の両方が楽しめます。


仏ブルゴーニュ地方からは、ボーヌ村のはずれブリニィ村のマレシャル家が造るブルゴーニュ規格の赤11年と、

ジャイエ・ジルが造るオート・コート・ド・ボーヌ地区の赤09年。

好対照なこの二軒の生産者、マレシャル家は自然派を思わせる薄旨系スタイルで、

お食事と共に1本をゆっくりと味わっていただきたいタイプ。

一方、ジャイエ家は凝縮した果実味と、スモーキーな木樽の風味が華やかで、一杯目から魅力的な味わいが楽しめます。

そしてお値打ち品はブラン・ガニャールが造るシャサーニュ村の赤09年。

白で知られるこの村ですが、サントネ村に接する南側はピノ・ノワール種が多く栽培されています。

作柄が良く、更に5年を経て熟成感も出てきた09年産の村名付きワインがこの価格は要チェックでしょう。


ロワール地方サンセール村の名門アンリ・ブルジョワが造るプティ・ブルジョワ白。

サンセール村産のソーヴィニヨン・ブラン種だと3~4000円はするため、

村の境界線外側で栽培されたソーヴィニヨン・ブラン種で造られたお値打ち品。

商品名は「小さなブルジョワ家」ですが、味わいには「小さな」感じは全くありません。

シュド・ウェスト地区カオール村で有機栽培を実践しているコス・メゾヌーヴがガメイ種で造った赤。

ボージョレ地方で有名なガメイ種ですが、同じ葡萄でもこの赤はミディアム・ボディで骨格があり、

果実味とタンニンがバランス良く仕上がっています。


シャンパーニュ地方からはベルナール・レミィ社のロゼ・ブリュット。

ふくよかな味わいで、当社でも好評なここのシャンパーニュにロゼが仲間入りしました。

ピノ・ノワール種60%、シャルドネ種35%、ピノ・ムニエ種5%からの風味豊かなベースワインに、

赤ワイン(ブージー・ルージュ)を13%加えて鮮やかなロゼに仕上げました。


イタリアでは、プーリア州のラ・ルーナ・アルジェンタのネグロアマーロ・プリミティーヴォ・アパッシメント(乾燥させる)。

その名の通りネグロアマーロ種と、プリミティーヴォ種を陰干しして、

濃縮した葡萄を一部加えることで、 ワインに濃さと複雑さを持たせています。


今人気のスペインからは、スタイルの違う2種類。

まずは、アルマンサ地区のアタラヤが造るラヤは現代的な赤。

果皮だけでなく果肉も果汁も血のように赤いガルナッチャ・ティントレラ種主体のワインは、

果実味の濃さが普通の黒葡萄以上に強く出ます。

安価でもフルボディ・ワインをお探しの方にお薦めします。

一方、ヴァルデペーニャス地区のアルバリが造るグラン・レセルヴァ04年は、

伝統的な長期熟成させたスペイン・ワイン。

10年を経て濃さ強さは少し落ち着き始めましたが、

豊かな熟成香と練れた味わいが広がる様は若いワインには絶対に望めません。


スペインのお隣ポルトガルからの赤。

ブランデーを加えた甘口のポルト・ワインで知られるドウロ地区で、ポルトではなく通常のワインを造るカルム社。

ポルトと同じ風味豊かな葡萄品種を数種使い、タンクと木樽で熟成させた赤は、

果実味とタンニンがバランス良く、この価格としては最上のテーブル・ワインと言えるでしょう。


オーストラリアからはトレンサム・エステートのピノ・ノワール12年。

本場ブルゴーニュ地方だと、この価格でピノ・ノワールが買えるだけでも驚きですが、

味わってみると上品な木樽の風味まで楽しめます。普段飲みのピノとしては、言うこと無しの出来栄えでしょう。


人気のチリではボノスのソーヴィニヨン・ブラン種で3リットル・パック。

温暖なチリとは思えないメリハリのある味わいで、約1ヶ月は酸化しないバッグ・イン・ボック容器入り。

冷蔵庫に常備しておくと、急にお客様が来ても慌てません。

また、スプーン1杯でもフレッシュな状態で出せる為、調理用にも大変重宝しますよ。


そして初登場ブルガリアからは、カストロ・ルブラがメルロ種で造るテリッシュ09年。

醸造コンサルタントには、世界一有名な仏ミッシェル・ロラン氏を起用。

完熟したメルロ種特有のふくよかな果実味と、樽からのカカオ風味が楽しめます。

この価格ですから、仏・ボルドー・ポムロル村の赤とは言いませんが、

右岸リブルヌ地区で評判のシャトーを思わすぐらいの出来。メルロ種好きには、見逃せない赤でしょう。


ベルギーのトラピスト修道院で造られるアルコール9.5%のトリプル・ビール。

地元ではこの様な特別のビールは、数年熟成させてから飲まれ、 ワインと同様に賞味期限の記載は無かったそうです。

しかしベルギーがEU加盟する際、自国のビールに賞味期限の記載を受け入れました。

このビールは2012年2月に瓶詰めされ、14年2月が賞味期限の為、在庫処分価格で入荷致しました。

味わいは、賞味期限を過ぎても力強く、飲み頃はまだ後のような気がします。

熟成したベルギーの修道院ビールを、少しぬるめの10~14度にして、

白ワイン用グラスに半分ほど注ぎ、豊かな香りを楽しみながらゆっくりと味わってみませんか。


食品からはフランス・サコール社サラミソーセージのソシソン・セック。

豚肉の旨さと、白カビによる熟成風味が豊かに広がります。

当然、保管は冷蔵庫ですが、食べる分をカットし、白カビの付いた表面の紙をはがして、

30分ほど室温に戻していただくと、芳醇な味わいがたっぷり楽しめます。

2013年 12月

10月に私の友人が亡くなった話をしましたが、不幸は重なるものなのでしょうか。

同じ10月にブルゴーニュ地方サヴィニ村のワイン生産者、シモン・ビーズ家の主パトリックさんが亡くなりました。

8年ほど前の夏にパトリックさんご夫婦と子供さんの一家で札幌に来られ、

試飲会を開催し、三笠の山崎ワイナリーにも寄っていただきました。

そんな縁もあって日本人の奥さんのビーズ千沙さんへお悔やみの手紙を(当然、日本語で!)送ったところ、

1ヶ月ほど後に近況報告の返事が届きました。


お悔やみの手紙は札幌からだけではなく、世代、国境、職業を超えた方々から、今も毎日届いているそうです。

千沙さんは子供さんが家業を継ぐかどうかは分からないが、

その時までドメーヌを守り続ける覚悟を決めたと書かれていました。

ビーズ家の2013年産ワインは、開花時期も含めて春からの天候不順と多くの雨、

更に7月23日の雹の襲撃で生産量は例年の1/5しかなかったそうです。

そして追い打ちをかけるかのようなパトリックさんの死去。

そんな辛い出来事に押しつぶされた中でも生き残った葡萄は、ビーズ家とスタッフの愛情を受けて

順調にワインとなり、派手な主張はしないけれど芯のある素晴らしい品質になったそうです。

そして手紙の最後には「子供たちと一緒に笑顔で(この年のワインが)飲める時が来るまで、

覚悟して私はドメーヌを守ります。それには、皆さんの応援が必須。よろしくお願いします。」とありました。


この話しを聞いた家内は、聖書を取り出し「患難は忍耐を生み出し、忍耐は錬達を生み出し、

錬達は希望を生み出すことを、知っているからである」の所を示してくれました。

シモン・ビーズ家は仏ベタンヌ&ドゥソーヴのワイン・ガイドで3★評価を受ける名門。

安くはありませんが、この村で模範となるワインを安定して造っています。

異国の地で一人残された千沙さんと子供さんたちの為にも、ビーズ家のワインをよろしくお願い致します。


では、今月のお薦めワインです。

北海道からは千歳ワイナリーが余市・木村農園産のピノ・ノワール種を仕込んだ12年。

とても暑かった12年産は、朝夕の温度差が少なく黒葡萄の色付きが弱かったですが、完熟感はたっぷり。

まだ収穫後1年しか経っていない為に荒削りですが、

もう少し熟成させるか、早めに栓を抜くことで表情が開いてきます。

しかし暑いだけではだめで、朝夕が涼しくて昼が暑くないと、風味豊かなワインにはならないそうです。


仏ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ラローズ・トラントドン09年。

本当に嫌になるほど高くなったボルドー・ワイン。

そんな中で、安定した品質と良心的な価格で知られるこのシャトーで、作柄の良かった09年産が入荷しました。

今、市場では09年産はどんどん減っており、この価格では早晩品切れると思います。

同じボルドーから、ブライ地区のシャトー・カレル01年と、リストラック村のシャトー・フルカ・オスタン05年。

カレルはメルロ種主体で、12年を経て少し枯れ始めた果実味と、豊かで複雑な熟成香が楽しめます。

一方フルカ・オスタンはカベルネ種主体。天候に恵まれた05年産は今も果実味がたっぷり。

この価格帯で久しぶりに完熟したカベルネの風味が楽しめます。


ブルゴーニュからはシモン・ビーズ家サヴィニ村のオー・グラン・リアール畑07年(定価6300円)。

亡くなったパトリック氏が仕込んだ遺作ともいえる赤が特別価格で入荷しました。

濃縮した果実味スタイルではなく、薄旨系の伝統的なピノ・ノワールに6年を経た熟成旨味が乗ってきました。

熟成したサヴィニ村の真髄とも言える味わいが、この価格は絶対にお得でしょう。

ダニエル・リオンがニュイ・サン・ジョルジュ村のグランド・ヴィーニュ畑で造る04年。

この村らしい太さと、タンニンが9年を経てこなれて来ました。

無骨とも言えるこの村の強い味わいが今も楽しめます。

白はジヴリ村のジョブロ氏が1級セルヴォワジーヌ畑で造る07年。

凝縮した果実味と、樽がしっかり効いた味わいが、6年を経てきれいに調和して来ました。

誰もが美味しいと思うシャルドネ種からの白です。

お買い得なブルゴーニュは、ロジェ・リュケが造るサン・ヴェラン村の白12年と、

ヴォルネ村のミシェル・ラファルジュがピノとガメ種で造るパストゥーグラン08年。

サン・ヴェランはフレッシュな果実味とミネラル感がたっぷりでこの価格ですから、当社の人気商品です。

一方ピノ・ノワール種は好きでも、ガメ種は嫌いという方が多いのも私は知っています。

そんな方に飲んでいただきたい赤がまさにこれ!

5年を経て両品種と木樽とが混じり始め、アニマル系の熟成香が開いてきました。


ロワール地方からはソミュール村のシャトー・ド・モンゲレ12年。

シュナン・ブラン種に20%ブレンドしたシャルドネ種が、地酒を洗練されたスタイルに変えています。

そして同じソミュールでもラングロワ・シャトー社の05年。

こちらはオーナーが、ブルゴーニュ地方に負けない白を目標に造った贅沢なワイン。

自社畑でも樹齢が高く、最良区画のシュナン・ブラン種を、樽発酵、樽熟成させた造り。

8年を経て樽と果実味が交じり合い、豊かなコクと飲み頃の美味しさがたっぷり楽しめます。

アルザス地方からはシュルンバジェ社のリースリング種で、レ・プランス・アベ09年。

このワインは特級畑のリースリング種を47%も格下げしてブレンドしているため、

舌の上で奥行きと複雑さを持った風味が広がります。


イタリア・ピエモンテ州からは、アレッサンドリアがアルバ産バルベラ種で造る赤11年。

かなり収量を下げているのでしょう、凝縮した果実味でグラスの向こうが透けない程です。

まだ若く熟成香は持ち合わせてはいませんが、

濃度勝負の素直な味わいは飲み手をにこやかな表情にしてくれます。

トスカーナ州からはヴァルデッレコルティのキャンティ・クラシコ08年。

ここの畑は標高が高く、香り高さと繊細さが持ち味。

複雑さを持ちながら透明感のある味わいが楽しめます。09年産がガンベロロッソ誌3★評価。


スペインからはタラゴナ地区ヴィンス・パドロ社のイプシス・クリアンサ赤10年。

テンプラニーリョ種とメルロ種を樽熟成した味わいは、果実感と熟成感がバランス良く楽しめます。

エデタリアが造るエデタナ白11年。

これは、先月お薦めしたワインの上級品にあたります。

ガルナッチャ・ブランカ種に加えた3割のヴィオニエ種が香り高さを生み、

半分を樽で熟成させることで複雑さも身に付けています。

品質をぐんぐん上げているスペインワイン。これからは赤だけではなく、白も注目です。

リオハ地区のマエティエラ・ドミニュムが造るガバンサ06年。

新しいリオハと言える味わいは、瑞々しい果実味と、スモーキーな樽の風味が7年を経て調和しています。

テンプラニーリョ種のイメージを変える、澄んだ果実味にタンニンがきれいに溶け込んだ姿は、

個人的に今月のワインの中で一番驚いた1本でした。


ニュージーランドからはシレーニ社のソーヴィニヨン・ブラン13年。

華やかな柑橘系の香りと、メリハリのある味わいは、まさにマル・ボロ地区の典型的な味わいでしょう。

ハンガリーからはシャトー・デレスラのトカイ・フルミント ドライ。

トカイと言えば、甘口・貴腐ワインのイメージですが、近年はこうした爽やかな辛口タイプも出てきました。

クリーンでフルーティな味わいは、多分最新の設備から造られているのでしょう。


食品では瀬戸内海・小豆島で、ヤマヒサのオリーブ新漬け。

毎年11月頃に少量入荷するこのオリーブを楽しみにされている方が多く、

入荷後はすぐに品切れます。取れたてオリーブの味わいを、ぜひお試し下さい。

2013年 11月

私は夜8時の閉店後、残業前に近所で夕食をいただきます。

その日は餃子の「 O 」で定食を食べて、会計でレジへ向かいました。

するとレジの女性が「前のお客様が出された、この一万円玉を知っていますか?」と、

透明なプラスチックケースに入ったコインを見せてくれました。

「日本国、昭和六十一年」と書かれたこのコインが一万円!

私はレジの女性に「これでお釣りも出すのですか?」と聞くと、はいと答えました。

会社に戻りネットで検索をすると、確かに昭和61年に昭和天皇60周年記念で

1万円玉と、さらに10万円玉が発行されたようです。

翌朝の朝礼でこのことを話しましたが、当社で受けた時どう対応するかを決められませんでした。

そこで「 H 」銀行に行き窓口で聞いた所、奥に居た男性行員さんが出て来ました。

原則論から言うと、日本国で発行したお金は額面の金額で通用します。

ただし、小銭で支払う時に20枚以上だと受け取る側が拒否できるように、

あまりに特殊な記念硬貨等に関しては、受け取る側がこの場で確かめることが出来ない事を

お客様に丁重に説明した上であれば、受け取りをお断りしても仕方がないと思われますと言われました。

そこで私は銀行で受けたときの対応を聞きました。

まずATMでは入金できないので営業時間中に窓口での対応となる。

1万円玉に関しては、発行時のプラスチックケース入りの状態だと現金として受け付けます。

でも1万円玉がケース入りでない時と、一緒に発行された10万円玉に関しては

ケースの有、無に関係なく入金ではなく預かりとなり、日本銀行で確認してからの入金となるそうです。

つまり、銀行ですら確認が出来ず、日銀に判断を委ねているのです。

これは商店レベルでは丁重にお断りしても失礼ではない事が分かりました。

私は毎日仕事で現金を扱っていますが、一万円玉の存在すら知らず発行後27年も経って初めて現物を見ました。

皆さんは一万円玉を見たことがありますか?

さて今月のオススメワインです。

北海道からはふらのワインで人気の赤、羆(ヒグマ)の晩酌(バンシャク)。

涼しい北海道で濃くて強い赤ワインは少ないですが、こちらはしっかりとした味わいを持ちジンギスカンにも最適な赤です。

次は札幌の藤野ワイナリーのナチュラルスパークリング・ナイアガラ。

野生酵母を用いた醸造過程では極力、酸化防止剤を使わず、熟成後ノンフィルターで瓶詰め。

底にオリが溜まり、フルーティな果実感と、にが旨味が調和した味わいは、化粧無しで素顔のままのような印象です。

そして栃木県ココファームの白。

今は岩見沢でワイナリーを始めた、ブルース・ガットラヴさんが20年働いていた職場です。

余市産の白葡萄を中心に、山梨や日本各地の葡萄をブレンドした白は、 野生酵母による発酵とは思えない程

クリーンで果実感が楽しめます。割高な国産葡萄だけで、この品質と価格は信じられません。

仏ボルドー地方からは、フロンサック村のシャトー・フォントニル09年と、 カスティヨン地区のシャトー・ロック・ル・メイン09年。

共にメルロ種主体で最良の年09年産だけに、ふくよかで柔らかなメルロ種の魅力がたっぷり楽しめます。

ブルゴーニュ地方からは、ジャン・ルイ・カンソンのシャルドネ種の白と、ピノ・ノワール種の赤。

最安値と言ってもいい程の価格ですが、味わいにはブルゴーニュの心意気が感じられます。

芳醇とまでは言いませんが果実味と酸味のバランスが良く、現地で味わう気取らないテーブルワインのようです。

もう少し上等なワインを望む方には、ボーヌ村のエマニュエル・ジブロが造る赤、白。

ここのボーヌの村名付きワインは楽に5000円を越えますが、

村名を名乗れない村の境界線外側の畑のワインが特別価格で入荷しました。

ビオディナミ栽培、天然酵母による発酵、古樽での熟成を経たワインは、

澄んだ果実味に酸味とタンニンが乗った薄旨系の自然派スタイル。

お食事と共にゆっくりと味わっていただきたいワインです。

少し枯れ始めた位の熟成ワインがお好きな方には、シャンボール村のモド家が造るブルゴーニュ・赤で04年。

濃さ強さよりも、キノコや腐葉土を思わせる熟成香がお好きな方にお勧めします。

南仏からはサンタ・デュックが造るコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ07年と、ヴァケラス村05年。

共に南仏にとって最高の天候だった07年と05年産が、熟成し飲み頃となって入荷しました。

凝縮した果実味とスパイス感に、アルコール辛さが溶け込み熟成旨味が開き始めています。

大きめのグラスで、芳醇な熟成香を楽しみながらゆっくりと味わいたい、そんなとっておきの赤ワインです。

さて、南仏といえば赤でした。ところが近年は白や泡と言った、涼しい北の産地が得意とするワインにもどんどん参入しています。

リムー村のロレンスが造るクレマン(泡)・ド・リムーと、ルーション地方のガルディエが造るコート・カタランヌ地区の白、マ・ラ・カーブ。

特にリムー村の泡の品質向上は現地でも有名で、シャンパーニュ地方は別としても

ロワール地方やブルゴーニュ地方でクレマンを造っている生産者にとっては、かなりの脅威になってきているようです。

そしてルーション地方で素晴らしい赤を造っているガルディエが造る白の入門ワインがマ・ラ・カーブ。

完熟した果実味は当然としても、味わいを引き締めるミネラル感と品のある澄んだ味わいは生産者の力量でしょう。

オリーブオイルやハーブを使った前菜に最適な白ですよ。

イタリアからはピエモンテ州セッラデナリのバルベラ・ダルバ07年。

作柄の良かった07年産が6年を経て熟成香が広がり、練れた味わいが楽しめます。

インパクト系ではなく、薄旨系がお好きな方にお薦めします。

イタリアの泡ではメディチ・エルメーテが造る微発泡のランブルスコで甘口と辛口。

私の泡の好みは辛口タイプですが、イタリアのランブルスコだけは甘口が好み。

でも、メディチ家のランブルスコは辛口でも風味豊かで、初めて甘口、辛口の両方が美味しいと思いました。

スペインからはテラ・アルタ地区のエデタリアが造るヴィア・テッラの白。

南仏でもガルナッチャ・ブランカ種は栽培されていますが、

このエデタリアが造ると豊かなミネラル感と品のある味わいで、飲んでいても背筋を伸ばしたくなる感じです。

スペインの有名産地でも、有名葡萄品種でも無いですが、一人で黙々とガルナッチャ・ブランカ種に命を懸けているのでしょう。

チリからはマイポ地区のケブラダ・デ・マクールが造るドムス・アウレア。

とにかくボルドーの赤がここまで高くなると、アラブの石油王でもなければ一級格付けのシャトーなんて飲めません。

でもたまには、歯が黒くなってもフルボディの赤を飲みたい方にお薦めする赤です。

ここまで高くなくても、と言う方には「アルバ・デ・ドムス」という名の、ここのセカンドワインがほぼ半額でなかなかの出来です。

ビールでは個性派ビールの国ベルギー・ストラフ社のトゥバック330ml。アルコールは9.5%もあります。

この国のビールは修道院や家族経営の小規模生産者が多い為、

個性豊かな味わいで価格も高めですが、今回はほぼ半額に近い特別価格で入荷しました。

麦の味わいが濃厚で、焼く前のパン生地をそのまま飲んでいるようです。

ワイングラスに注いで、香りと共にゆっくり味わいたいビールでしょう。

食品からはフランス・ラベリ社のテリーヌとリエット。

こういった肉の加工品は一般家庭ではなかなか作れないものでしょう。

これとパン・ド・カンパーニュやフランスパンがあれば、鼻血が出るほど食べたくなる美味しさです。

食べる分だけ瓶から出し、室温に戻して頂くと更に美味しくなります。ただ開封後は変質が早いので、

スプーン等で表面を均した上からオリーブ・オイル等をかけて、油で蓋をすると酸化の進行を防げます。

北海道栗山町にあるパン工房「栗の木」のスティック・ブランで、プレーンと、黒千石風味。

道産小麦の全粒粉に、小麦ふすま(ブラン)をたっぷり手で混ぜ合わせて生地を作り、カリカリに焼き上げた手作りの焼き菓子です。

香ばしい小麦ふすまの風味が引き立つ素直な味わいは、子供から大人まで誰もが好きなタイプで、

チーズやワインとも良く合います。そして当然、小麦ふすまは植物繊維やミネラル、ビタミンが豊富。

「ワークセンター栗の木」のホームページを検索していただくと、手で1本づつトレーに並べて焼き上げる様子が写っています。

2013年 10月

9月の私は、ワインセミナーの講師依頼を受けたり、函館と余市に新しいワイン生産者さんを訪ねたり、多忙な毎日。

そんなある日、同じ高校だったN君が亡くなったというショッキングな連絡を受けました。

私は今でこそ少しは真面目に仕事をしていますが、中学、高校の頃はただ親に反抗をして、

頭の中は遊び仲間と、異性の事しか考えていませんでした。

しかし、相手の女性は私の空っぽな頭の中をすぐに察知し、振られてばかり。

そして高校卒業後は「浪人」の名目で、甘えと怠惰な生活を送っていた頃、

専門学校に通っていたN君とよく遊んでいました。

当時の自分の行動を思い出すと、穴があったら入りたい程。

N君はそんな僕を説教することもなく一緒に遊びながらも、自分自身に対しては努力を怠らない人でした。

その後、就職して彼はさらに努力を重ね、ある業界の第一人者となり、時々ギフト用にワインを買いに来てくれました。

多分彼の事だから、時間を考えずにひたすら仕事をして、無理がたたり病気になったのでしょう。

お通夜の場で、あの頃の僕を何度も泊めてご馳走してくれたN君のご両親、

そして奥さんと子供さんの姿を見ると、胸が一杯になりました。

二十歳ぐらいの息子さんは当時の僕とはまるで違い、素直でしっかりとした印象。

彼は仕事だけではなく、家族に対しても真剣に向き合っていたことを感じました。

私は帰りの地下鉄の中で「僕よりいつも先に進んでいて、その差を縮める事が出来ずに、

先にゴールするなんて反則だよ」と何度も独り言を言っていました。



さて、オススメ・ワインです。

まずは今年のボージョレの作柄。6月までの天候は雨ばかりでひどかったが、7月から好天に恵まれ随分と回復したようです。

そんなわけで収穫は例年より2週間以上の遅れとなりましたが、9月末から順調に始まり健全な実が収穫されているとの事。

パワフル・タイプではなく、瑞々しい澄んだ果実感を持ったワインになるようです。


北海道からは㈱北海道ワインの鶴沼自社農場産ゲヴュルツトラミネール11年。

国内でこの品種単独のワインは殆どない貴重な葡萄。栽培の手間や低収量を乗り越えて、ここでは造り続けています。


ブルゴーニュ赤では、トルシュテが造るブルゴーニュ赤ヴィエイユ・ヴィーニュ08年。

5年を経てなめし革やドライフルーツの熟成香、旨味と酸味、タンニンが調和して複雑さと飲み頃の美味しさが楽しめます。

ほっとするピノ・ノワールと言えば分って頂けるでしょうか。


一方ジヴリ村のジョブロが造る1級グラン・マロルは作柄の良かった09年。

過熟した果実感と凝縮感が楽しめるグラマラスなスタイル。

もう2~3年程我慢されると、旨みが乗ってご褒美になりそうなピノ・ノワールです。

白はミッシェル・カイヨのムルソー村テッソン畑のシャルドネ種07年。

近年のムルソーは、ふくよかタイプから引き締まったスタイルに移行していますが、

ここはふくよかで甘い香りの樽香がはっきりとあり、イメージ的にはコテコテのムルソー。

バターやクリームをたっぷり使った料理が恋しくなります。


南仏からの赤はジゴンダス村のビュルル家が造るヴァン・ド・ペイ・ド・ヴォークリューズ11年。

この年から葡萄はグルナッシュ種が主体となり、南仏らしいふくよかさにスパイシーさが加わりました。

白はグランジェットが造るピクプール・ド・ピネ12年。

ふくよかさをミネラル感が上手く引き締め、風味豊かでも、もったりした印象になりません。


爽やかタイプの白は、やはり北の産地から。ロワール地方のダヴィ・バイィ家のプイィ・フュメ11年。

完熟感のあるソーヴィニヨン・ブラン種はイメージよりは酸味が穏やかで、

グレープフルーツ、木の芽、石の香りが華やかに広がります。

しかも普通は3000円以上するこの村の白が、この価格は見逃せません。


アルザス地方からはマルク・クレイデンヴァイツのリースリング種11年。

ビオディナミ栽培からのワインは、この品種らしい鉱物的な香りが少なく完熟したリンゴの香りが広がります。

完熟した果実味に、豊かな酸味と土壌からのミネラル感が合わさり、フレッシュさと複雑さが楽しめる味わいです。


そしてシャンパーニュではアンドレ・ロジェのグランド・レゼルヴ・ブリュット。

私は何も言われずに試飲をして「まるでボランジェみたいな味だな!」と言ったら、

05年までここはボランジェの契約農家だったとの事。

ピノ・ノワール種でも骨太なボランジェ・スタイルが、この価格でしたらとてもお得に思えます。

イタリアからはファレスコ社のモンテリーヴァ・カベルネ・ソーヴィニヨン10年。

ミディアム・ボディの果実味と、柔らかなタンニンがバランスよく楽しめる赤がこの価格は絶対にお得!今月の旨安大賞です。


フル・ボディ好きにはシチリアのザブが造るインパリ10年。

カシスシロップとベーコンの香りに、味わいもビターチョコとベリー系のシロップ風味が広がります。

豊かなコクとバランスの良い味わいは、デザートワインの様に食事がなくてもこのワインだけで楽しめる程の満足感があります。


スペインからはサンタマリーナが造るエクウス。

地元のテンプラニーリョ種にカベルネ種、シラー種のブレンドが独自の華やかな香りとなり、

ミディアム・ボディですが複雑さが楽しめる赤ワインです。


濃いタイプがお好みでしたらアリカンテ地区のヴォルヴェールが造るタリマ・ヒル。

多分収量をかなり下げているのでしょう。

モナストレル種からの果実味の凝縮が凄く、樽の香りと共にゴージャスな味わいが楽しめます。


アルゼンチンからはモンテヴィエホ社のプティット・フルール。

4品種のブレンドが良く、瑞々しさと複雑さの両方が楽しめます。

有名なミッシェル・ロラン氏が絡んでいるのが納得できる味わいです。


今月はワインの造り手アラン・ヴェルデ氏が造るリキュールに驚きました。

ブルゴーニュ産のカシスとペシェ(桃)は、共に強烈な凝縮感がありながら澄んだ味わいでたいした物です。

試飲用に開けた瓶がございますので、当社店舗にお越しいただければお試しできます。


食品からはスペインのサラミ2種。

特に白カビ熟成をさせたフエは、容器の袋が穴だらけで呼吸が出来るのでしょう。

サラミ表面の白カビが生き生きとしています。


もう1点こちらも同じスペインから、品切れていたマラガ地区産マスカット種の干し葡萄。

このレーズンは珍しい種入りタイプ。でも収穫を遅らせ種まで熟しているので、種がナッツのように味わえます。

箱にはワインと同じ原産地呼称の「DOマラガ」と記載された本物です。

2013年 9月

今月は二つの話題がございます。

まずは、7月末からワインショップフジヰ玄関横の軒先スペースで野菜の販売を始めました。

この軒先マルシェの開催は、毎週金曜(雨天は休業の予定)の13~16時頃まで。

私の知り合いの佐藤さん親子が、自身で育てた野菜を朝収穫し、その本人が当社の店頭で直売しています。

畑ではくすりの代わりに愛情を注いで栽培しているそうで、

葉っぱにはポツポツと虫食い穴が開いていますが、野菜本来の味わいがしっかり感じられます。

種類はオカヒジキ、ズッキーニ、にんにく、アイスプラント、小松菜、レタス、きゅうり、

ツルムラサキ、トマト、はつか大根など。 虫も食べたくなるような野菜たちです。

元気はつらつのお母さんと、生真面目そうな息子さんのコンビも良く、沢山の方が足を止めて、

食べ方の説明などを聞きながら野菜を購入していただきました。

金曜の午後、近所にお越しの際は、ぜひ一度金曜マルシェをのぞいて見てください!


次は8月に家内の実家に行ったお話。

昨年から多くの番組や、雑誌で取り上げられている話題のお店、

東京の立ち食いフレンチレストラン「おれのフレンチ・銀座店」に家内と二人で行ってきました。

当日、実家を出る前に息子へ「一緒にご馳走を食べに行く?」と聞きましたが、

「立ち食いは疲れるから行かない!」と言われ二人で出発。

まずは新しくなった東京駅とその付近を散策し、1時頃にビル地下の飲食街で軽めの昼食を取り

「ではディナーに行きましょうか」と言って、お腹を減らすために徒歩で銀座に向かいました。

「おれのフレンチ」は僅かな数しかない椅子席を除くと、予約は無く並んで順番を待つシステム。

開店は4時からで「夕食を2時から並ぶ人はいないよね!」と思って、

店に2時15分頃に着くと既に17人が並んでいました。

東京の強烈な湿度と30度以上の中で待つこと二時間弱。

サンダル履きの半ズボンとポロシャツ姿でも、汗でビッショリ。

開店の前に、お店の方が冷やしタオルを出してくれた時は、本当に生き返りました。


そしてこの店のシステムの説明が始まります。

まず来た順番に店内に案内され、飲み物の注文を取り、

次も来た順に前菜等の冷製料理の注文を取り、最後も来た順番で火を入れた料理の注文を取ります。

なぜ一度に注文を聞かないのかと言うと、お店の看板になるような名物料理は一日何皿分と決まっているためです。

エビが好きな家内のお目当ては、活オマール海老のロースト1280円。

肉好きの私は、牛ヒレとフォアグラのロッシーニ(トリュフ)ソース1280円狙い。

しかしお店の方は無情にも「本日の活オマールは6皿、ステーキ・ロッシーニは20皿です」と言われました。

当然、ステーキは頼めましたが、オマールは僕らより前で品切れ、

家内は代わりに甘エビのタルタル・キャビアのせ680円を頼みました。

ここは食べたい物があっても、よほど早い時間に並ばないと希望通りには食べられません。

外で2時間も待った後に、家内の落胆した顔を見た時は、なにか騙された気分になりました。


でも、折角来たのだから今日の食事を楽しもうと気持ちを切り替え、

注文を済ませグラスでシャンパーニュを味わうと気分も高まって来ます。

泡の後のワインは仏ブルゴーニュ地方のルモワスネ社サントネ村の赤1992年が4850円とこれまた破格。

皆さんが一番気になる味に関しては、量目も味付けも十分以上で美味しかったです。

2時間並んで、立って食べるというシステムには賛否両論があるでしょうが、

絨毯とシャンデリアの中で食べると一人2~3万円で、

立って食べて一人3~4000円というのは、人口の多い東京では共に共存出来るのでしょう。

最後に私が会計を済ますと、家内は「私が払うから、食後のコーヒーは、座って!飲みましょう」と言って、

銀座のドトール・コーヒーで倒れこむように座りました。

このお店は、本人と相方が忍耐強い方で、

待っている間に通行人から行列の写真を撮られても気にしない方にお勧めします。

多少のトラブルがあっても、待ち2時間、食事2時間を共に戦い抜いた後は、

たとえ希望の品が食べられなくても、とても清清しい達成感と、連帯感に包まれるでしょう。


さて、今月のオススメワインです。

まずは今年もヌーヴォーの季節が近づいてきました。

今年フランスでは春から夏にかけて天候が悪く、開花時期も2~3週間遅れたのですが、

夏からは好天に恵まれ今、遅れを取り戻しているそうです。

毎年特に好評な生産者と言えば、まずはボージョレ地区で

自然派(有機栽培、自然酵母で発酵、酸化防止剤無添加)の代表と言える7番マルセル・ラピエールのヌーヴォー。

2010年マルセル氏が亡くなった後も奥さんと息子さんが力を合わせ、

濃さではなく澄んだ果実味と旨味を持った味わいを引き継いでいます。

次は日本人の仲田晃司氏が醸造するルー・デュモン。

樹齢70~95年の古木が残った8区画からのワインは、 ボージョレとは思えない濃度と複雑さを持ったマッチョ・タイプ。

そこそこの価格で良質な物をお求めでしたらポール・ボーデ社。

華やかな香りと果実味がたっぷり楽しめ、毎年、当社の新酒販売のトップです。

そして円安の今年、最安値のヌーヴォーはペットボトル入りジャン・フルール。

フランスからの航空運賃は重さで決まるため、ガラス瓶では絶対にあり得ない価格です。


北海道からは奥尻ワイナリーのピノ・グリ12年。ふらのワインのミュラートゥルガウ12年。

山崎ワイナリーのシャルドネ12年。それと野生酵母発酵による香りが独特な藤野ワイナリーのナオミ・ブラン12年。

昨年の北海道はとても暑かっただけに、道内の各ワイナリーで造られた12年産の白は、完熟した果実味がたっぷり。

今年も良い収穫に恵まれることを願わずにはいられません。


今月のブルゴーニュからの一押しは、フレデリック・マニャンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ赤10年。

低収量だった10年らしいコクと、ロースト強めのスモーキーな樽香が合わさり、畑名付き以上の満足感が楽しめます。

逆に濃度ではなく、うす旨系好きにはムーラン・オー・モワーヌが

オーセイデュレス村の自社畑産ワインで熟成した96年、02年、04年はいかがでしょうか。

白の一押しはヴァンサン&ソフィー・モレのブルゴーニュ白08年。

5年を経て果実味と木樽の風味が調和し、飲み頃シャルドネの理想の姿が楽しめます。

ちなみに同じ造り手で、サントネ村の白08年は更に良いですよ。

フランスの赤では、ダンデゾンのコート・デュ・ローヌでヴィエイユ・ヴィーニュ11年。

濃くて強いシラー種を、搾ってそのまま瓶に詰めたような味わい。

一方ミネルヴォワ村のシャトー・ファバスは熟成した08年産。

シラー種、グルナッシュ種他が混じり合って、革製品や干した果実などの熟成香が楽しめる旨安ワインです。

白ではラングロワ・シャトーが、甘口で知られるコトー・デュ・レイヨン村の09年産。

涼しい産地の甘口は、爽やかな酸味がアクセントに効いてメリハリのある味わい。

辛口ではジュランソン村のカプドヴィエルが造る10年。

有名産地でなくても、造り手の情熱が伝わってくるような骨太な味わいです。


今月は泡で多くの良品が見つかりました。南仏ブランケット・ド・リムー地区でロジェが造る11年産。

完熟した果実の風味と、瓶内二次発酵によるきめ細かな泡がこの価格。スペインのカヴァから浮気したくなる出来です。

シャンパーニュ地方からは、ピノ・ムニエ種に命をかけるバロン・フェンテ社のグラン・ミレジム04年。

シャルドネ種がムニエ種の風味を包み込み、ゴージャスな味わいに仕上げています。

そしてアンドレ・クルエはピノ・ノワール種100%。

ふくよかな果実味と太い酸味は、食前酒ではなく食事と共に味わいたいタイプ。

イタリアの泡ではベルフィがグレラ(プロセッコ)種を自然派タイプに仕上げた辛口。

産地的には「プロセッコ」を名乗れますが、官能検査でこの産地のスタイルではない為に規格外となった泡。

瓶底にはたっぷりオリが溜まり、残糖が無い代わりにアミノ酸の旨味を感じます。この味わいはちょっと癖になりそう。

チリからの泡はバルディビエソ社のブラン・ド・ブラン。

葡萄はシャルドネ種だけですが、約3年も瓶内熟成を行うことで、豊かさと熟成旨味が楽しめます。


イタリアワインではファルネーゼ社の各種ワイン。この低価格でもたっぷりとした果実味を持ち、

味わいのバランスも良く、文句のつけようがない出来です。まだ未試飲の方は、ぜひ一度お試しください。

スペインからはアルマンサ地区のアタラヤが造るラ・アタラヤとアラヤ。

主体となるガルナッチャ・ティントレラ種は、果皮だけではなく果汁も果肉も血のように色があるため、

ワインに濃厚な果実味をもたらします。フルボディ好きの方は、絶対飲むべきワインでしょう。

スペインのリンゴで造られた157番マヤドールのシードラ。

リンゴは葡萄より糖度が低いため、アルコールも4%しかありません。

250mlのかわいい瓶なので、グラスに移さず瓶にストロー挿して飲むのもキュート。


最後は麦の泡・ビールです。ドイツ・クルンバッハ社のエック・ピルスと、173番英国ブレインズ社のSAゴールド。

特にゴールドは上面発酵のため、芳醇な香りが豊か。

二種類共に、白ワイングラスを用意し30センチほどの高さからビールを注ぎ、

1分程泡が落ち着くのを待ってから味わっていただくと、香りが広がります。

2013年 8月

今月は音楽のお話。

6月末に家内は一人でアン・サリーのコンサートに行ってきました。その後は、朝から音楽が流れているわが家。

私も中学生の頃は、当時流行りの洋楽とヴァン・ジャケットの服が大好きでした。

当時のレコードはとても高価でしたので、地下鉄大通駅改札前のなにわ書店に寄り、

音楽雑誌で新譜レコードの評価を立ち読みしてから、隣の玉光堂でレコードを購入。

しかし専門家の評価を読んでも、購入したレコード全てがお気に入りにはなりません。

その後、レコードはCDになり、価格も2000円ぐらいになってからは、前よりは気楽に買えるようになりましたが、

当たりか外れかは好みもあって、やはり勘に頼るしかないのでしょう。

その、なにわ書店と玉光堂が入っているビルに、3年ほど前レンタルの「ツタヤ」がオープンしました。

ここで時々映画のDVDを借りていましたが、ある時、音楽CDの品揃えが多いことに気付いたのです。

でも音楽家の方には申しわけないですが、製作費が百億円以上の映画「スターウォーズ」が100円で借りられるのに、

旧作でもCDのレンタルは1枚350円と聞き、その価格差にめげてしまいました。

さて今、狸小路4丁目のアルシュビル1階はパチンコ屋さんですが、

40年程前はエイトビルの名で1階は日本楽器(ヤマハ)のレコード店でした。

広い店内の中央には試聴用のレコードプレイヤーが20台ほど円形に並び、

プレイヤーの内側にいる店員さんに希望のレコードを渡すと試聴が出来る画期的な店でした。

ただ、CDと違い針を使ったプレイヤーの操作は店員さんに委ねられるため、

飛ばして次の曲を聞きたい等の希望はできません。

また音はヘッドフォンではなく、固定電話の受話器に似た形状の物がプレイヤーの左右にあり、

両手でそれを持ち続け音を聞きます。そして試聴後は、

向かいに店員さんがいるので、買わずに帰るのはちょっと度胸が必要でした。

さて、現代の「ツタヤ」にも、試聴用CDプレイヤーがヘッドフォンと共に数台設置されています。

CDですから、気に入らない曲を飛ばして次の曲にするのも簡単。

プレイヤーには 「混雑時は、長時間の試聴をご遠慮ください」 と書かれていますが、

言ってしまえば店内のCDは全部聞き放題です!

また試聴して気に入らなかったCDを返却するBOXまで用意されているのです。

そこで私は、今お気に入りの日本のジャズ「クオシモード」のCDを、3枚棚から選び試聴しました。

1枚は気に入らず棚に戻し、もう1枚は気に入ったのでレンタル。もう1枚は凄く気に入ったので2800円で購入しました。

こうして自分が納得してだと、レンタル350円も、購入2800円も全く気になりません。

ここ当分、我が家は音楽が鳴り響いているでしょう。

さて、今月のオススメ品。

ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ペイラボン04年。

カベルネ種のタンニンと、メルロ種のふくよかさが楽しめる典型的な味わいですが、

高騰が続いたボルドーでこの濃さと熟成感を望むと、今3000円はするでしょう。

「2000円で、そこそこの強さと、熟成感のあるボルドー」そんな今となっては夢のような赤です。

ブルゴーニュからはニュイ・サン・ジョルジュ村の生産者ダニエル・リオンが造るシャルドネ10年。

ブルゴーニュには赤が得意な人と、白が得意な人がいます。

ダニエルは赤で知られる為に、白はあまり人気が無く安めの価格で販売されています。

しかしこの白、複雑さはありませんが、バランスが良い出来で、お値打ちなのです。

ロワール地方からは定価3000円はするサンセール村の白で、

シャトー・フォンテーヌ・オードンの09年が信じられない価格で入荷しました。

この年フランスはとても暑かったため、シャープな酸味が特徴のこの村でも、酸味が穏やかでふくよかな味わいでした。

この年の味わいを理解して楽しめる方には、とてもお買い得な白です。

南仏では2000年以降、ラングドック地方の西側、ルーション地方が注目されています。

ここで注目の生産者ガルディエの白レ・グラシエール11年と、赤ラ・トル08年。

共にこの生産者でも上級品なのでそこそこの価格はしますが、ゆっくり味わって頂くと、

今この地区で何が起きているかが分かってくると思います。

造り手が安ワインだけではなく、自社畑で最高の区画からどこまで素晴らしいワインが生まれるか。

その挑戦している姿を白2400円、赤4800円(共に店頭価格)を払って、体験してみませんか。

イタリアの白では3種が良かったです。リグーリア州ルナエ社のヴェルメンティーノ種からの白。

北部らしい果実味に酸味とミネラルが複雑に絡み合っています。樽が無くても美味しい白が出来る典型のようなワインです。

次はエミリア・ロマーニャ州モンティチーノ・ロッソ社のコドロンキオ10年。

この州の宝ともいえるアルバーナ種を遅摘みし、一部貴腐化した葡萄を完全発酵させ辛口に仕上げた白。

ちょっと大げさに言うと、仏ソーテルヌ村のシャトー・ディケムが造る辛口白「イグレック」のニュアンスが感じられます。

香り、味、共に複雑で、フォアグラやレバー・パテあたりと相性が良さそうに思いました。

通の方に受けるワインではありますが、2倍の価格でも価値がある独特な味わいです。

お値打ち品ではプーリア州トッレヴェントが造るヴェント・ビアンコ12年。

2種の葡萄のブレンドで造られた白は、ジャスミンやライチの香りが華やかで、

豊かな味わいと共に満足感の高い旨安ワインです。

イタリアの赤ではマルケ州ヴェレノージが造るロッソ・ピチェーノ12年。

果実をつぶして瓶に詰めたようなフルーティな味わいは、

昼間、屋外でのバーベキューの時に、オン・ザ・ロックにしても美味しいでしょう。

新世界からはニュージーランド・シレーニ社のソーヴィニヨン・ブラン種12年。

きりっとしたメリハリのある味わいは、まさにニュージー・マルボロ地区の典型で、夏に最適の白と言えます。

次はメキシコからの泡2種。

この価格で瓶内2次発酵、葡萄はスペインとフランス品種のブレンドが上手く決まり、

私は本家である、スペインのフレシネより味わいが豊かでは、と思っています。

個人的にはブリュット・ナチュレの方が好きですが、コクと旨味はブリュットの方があるので、お好みでお選び下さい。

食品からはスペイン・フォルム社のワイン・ビネガー。

赤、白共に好評ですが、白に徳用瓶が入荷しました。

酸っぱさよりも果実感が豊かで、このお酢を生のまま少量味わっても、むせません。

ぜひ良いオイルと1:1で合わせたドレッシングをお試し下さい。