2013年 7月

先月の独り言で、積丹の旅館の話をしました。

プールや遊具付きの大きなお風呂があるホテルが好きな息子が、こじんまりとした旅館に付き合ってくれたので、

6月の小学校の開校記念日に、息子の希望で定山渓のプール付き温泉「ラ・グーン」へ日帰り入浴の約束をしました。

ここだけの話、父親としての義務感から渋々決まった日程です。

当日の朝食中に、海水パンツはどこにあるかとか、浮輪は持っていくかと、話をしている時に息子の友達から電話がきました。

「・・いや、今日はラグーンに行くんだ。・・うん、・・・ふーん、○○君も△△君も来るの?じゃ僕も行く。

何時に何処?わかった。じゃあーね」と電話を切り、食卓に戻ると

「今日はラグーンは止めて、みんなで(子供は無料の)サンシャイン・スポーツクラブのプールに行くことにしたから」

と言って今日の予定が変更になりました。

私と家内は二人で顔を見合わせたまま、何も言えませんでした。

小学校6年生になった息子が、初めて自分で踏み出した一歩かもしれません。

これからはどんどん親離れが進み、友達との時間が増えてくるのでしょう。

驚きと嬉しさ、そしてチョッピリ寂しい気持ちになった6月の休日でした。

さて今月のオススメワインです。

まずは北海道・余市の曽我貴彦さんが酸化防止剤無添加(サン・スーフル)で造る微発泡のロゼ。

これ、旨味がたっぷりですごくおいしいです。

普通の爽やかで切れの良いロゼ・スパークリングではなく、

果実を搾り果肉が混じった状態でそのまま瓶に詰めたような感じです。

余市近隣の農家さんの葡萄を見て、一般的なワインではなく、

濁り酒の様な味わいに仕上げた貴彦さんのセンスを感じずにはいられません。

次は札幌・藤野ワイナリーのマヤ。

黒葡萄だけで仕込んだロゼ・スパークリングは、前述の曽我さんと同様にオリを残しているので旨味たっぷり。

でも果皮の漬け込み期間の違いなのか、曽我さんのが美味しい濁り酒とすれば、

こちらは少し洗練された美味しいロゼのスパークリングです。

目の前にある葡萄を見て、どんな味わいのワインにするかを考える。

2種の道産の泡は、共に限られた予算の中でも造り手のセンスを感じさせてくれました。

ボルドーからはサンテステフ・ド・モンローズと、マルゴー村のシャトー・シャンテリュン09年。

モンローズは複数年をブレンドしたワイン。ミディアムですが熟成香と熟成旨味が楽しめてこの価格は良いですね。

シャンテリュンは天候の良かった09年ですから、ここ1~2年は完熟した果実感で美味しく飲めます。

でも、ポテンシャルが高い年なので、5~10年買ったことを忘れて熟成させた方には大きな喜びが待っているでしょう。

同じボルドーで2000円以下のクラスでは、シャトー・ボレール08年と、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン10年。

ボレールは39%も使っているプティヴェルド種のタンニンと複雑さが楽しめ、

モントーランは90%のメルロ種からふくよかさと柔らかさが楽しめます。

ブルゴーニュからは飲み頃でお値打ち品な赤、白。

ヴァンサン&ソフィー・モレがサントネ村の08年産シャルドネ種で造る白。

コート・ドール地区で、樽風味とふくよかでたっぷりした果実味が楽しめて、この価格は普通あり得ません。

メーカーの在庫処分で可能になった特別価格です。

赤はジヴリ村の筆頭ジョブロ家が1級畑で造る07年。

6年を経た今の時期は、果実感と熟成感の両方が楽しめます。

若飲みのイメージがあるジヴリ村ですが、良い造り手の物は少しでも熟成させると複雑さと旨みが乗って来ます。

こちらも在庫処分特価になっていますので、お値打ちです。

同じブルゴーニュの赤で、フィリップ・ルクレールのブルゴーニュ赤ボン・バトン10年と、

ユベール・モレのシャサーニュ・モンラッシェ赤08年。

ルクレール氏はジュヴレ・シャンベルタン村の名門ですが、このボン・バトン畑は隣のシャンボール村にあり、

柔らかな果実味と上品な樽風味が飲み手をうっとりとさせる魅力を持っています。

一方モレ家の赤はシャサーニュ村。ここは白で有名な村だけに、赤が売れ残った時はチャンスなのです。

08年は作柄も悪くないうえに、5年を経て少し熟成感が開いてきました。

南仏からは超旨安ワイン2種。まずはトゥトゥ・イーヴル、ペイ・ドック12年。

かわいい犬のラベルは、正直、あまり期待せずに試飲しましたが、

トップにスパイスの香りが来て、口に含むとふくよかで果実味とタンニンのバランスが良いのです。

調べてみるとタイプの違う4品種の葡萄を上手くブレンドしていました。

実は同じ犬ラベルの白ワインも試飲をしましたがボチボチでした。赤の方を是非一度お試しください。

もう1点は当社の定番ワイン。マルキ・ド・ボーランのシャルドネ、ペイ・ドック11年。

南仏の大手生産者フォンカリユ協同組合が造るこのシリーズ・ワインは、赤、白各品種共に大好評ですが、

特にこのシャルドネ種はふくよかな果実味だけではなく、酸味とミネラルが感じられてかなりの出来だと思います。

イタリアからはボッター・カルロ社のブリンディジ・リゼルヴァ08年。

南のプーリア州らしいふくよかで骨太な味わいが、5年を経て美味しくなってきました。

どうしても私は練れたワインには評価が甘くなってしまいますが、この価格はお値打ちですよ。

同じイタリアからロンボ・ビアンコ11年、ロンボ・ロッソ12年。白、赤、共に2品種のブレンドタイプ。

白は華やかな香りとふくよかな果実味のぽっちゃりタイプ。赤はストロベリーの香り豊かなスレンダータイプ。

赤、白、共に、この価格としては大満足の味わいです。

さらにポルトガルからも驚きの旨安ワインが入荷しました。

アデガ・ド・モレイロのティント(赤)、アデガ・ド・モレイロのブランコ(白)。

こちらも赤は3品種、白は2品種のブレンドで、両方ともにふっくらタイプ。

しかも白は穏やかな酸味が、赤には細かなタンニンがあるため、少し奥行き感と複雑さすら感じさせます。

今月の旨安大賞は、フランス、イタリア、ポルトガルが三つどもえの争いとなりましたが、

私には僅差でこのポルトガルが勝ったように思われます。個人差や好みの違いもあるので、

ご興味のある方はご自宅でこの三カ国対抗旨安ワイン選手権を実施してみてはいかがでしょうか。

今月は食品でもオススメがございます。山形県でハム、ソーセージの風味堂が作るオツマミ、豚珍乾(トンチンカン)。

ここの特製ジャンボ・サラミを、縦ではなく横長にスライスしました。当然サラミですから塩分も油分も強いですが、

この価格でこの味わいと品質はなかなかの物だと思います。

オーストラリア・タスマニア島のレザーウッド・ハニー。

植樹しても、開花まで100年近くかかるレザーウッドの花のミツがこの価格は破格!

にが旨味と複雑さを持った味わいは、薬と思って味わった方が良いほどです。

マイオーネ社の種付きオリーブの各サイズ。

オリーブが嫌いな方は塩分とお酢の酸っぱさが苦手ですが、このオリーブは塩水への漬け込みが浅く酸っぱくありません。

ですから、新鮮なオリーブの果肉そのままの味わいが楽しめます。オリーブ嫌いな方にこそ、味わっていただければと思います。

2013年 6月

今月は5月に積丹の旅館で一泊した家族旅行のお話。

実はこの旅行中の二日間、小学6年生の息子と何度もケンカになりました。

原因はたわいもない事でしたが、後から家内が言うには、私の叱り方は息子の心を逆なでする言い方だったそうです。

考えてみると、私は通常木曜日がお休み。

木曜は息子の学校があるので、帰宅する4時ごろから就寝までの半日しか一緒に過ごさないのに、旅行中は朝から晩までずっと一緒。

すると、私の中で父親としての責任感がムクムクと顔を出し、息子の気になる態度に私の小言が出て、

売り言葉に買い言葉で険悪になってしまうのです。

ところが、家内は息子を叱っても引き際が上手く、私から見るといい親子関係なのです。

小さいころから問題児だった私。さらに父親が小学4年生の時に亡くなり、母親は仕事で手一杯。

学校から帰宅しても家に誰もいないので、私は宿題もせずに好き勝手に遊んでばかり。

そんなせいで私は怒られた経験がないまま父親になり、いざ自分が息子を叱ろうとしても上手く出来ません。

家内に「どうやって息子を叱ればいいの?」と聞くと、もっと息子と接する時間を増やして何度も喧嘩するしかないよと、つれない返事。

だんだんと大人に近づき、親の言うなりにならなくなってきた息子との関係を改善するには、当分時間がかかりそうです。

さて話は変わって、泊った積丹の小さな(失礼)旅館のお話。

有名なミシュランのガイドブック北海道版で2★評価を受けた「美国観光ハウス」の予約が偶然にも取れました。

評判通り、手作り感と暖かみのある料理はとても良かったです。

また、飲み物リストに数点載っていたワインの選択も、店主が料理と合わせて試飲をし、選別したと思える物が揃っていて好印象でした。

個人経営の飲食店でオーナーがワイン好きですと、ワインリストには

ムートンやマルゴーなどの超高級品が真っ先に鎮座していることが時々あります。

しかし、この宿のお薦めワインは4000円前後。

赤は値上がりの続くボルドーを避けてチリのモンテス・アルファのカベルネ。

白はやはり高いブルゴーニュ・シャルドネを外して、アー・エ・ペー・ヴィレーヌのブーズロン・アリゴテ。

種類は多くなくてもお客様の立場で厳選されたワインは、料理やサービスと同様にオーナーのお客様に対する思いが伝わりました。

決して広くはないお部屋(失礼)が9室のみ、お手洗いは共同、お風呂も温泉ではありません。

プールや遊具付きの大きなお風呂のあるホテルが好きな息子が、

ここで朝食を食べた後に「お母さん、ボクは今日もここに泊まってもいいよ」と言ったのには驚きました。

なかなか予約が取れなく、お値段もそこそこはしますが、苦労してでも行く価値がある宿でお薦めします。

さて、オススメワイン。

今月は白で良質な物が多く見つかりました。まずは地元北海道から。

千歳ワイナリーが造るレシラ・シリーズのミディ12年。暑かったこの年らしい完熟した果実感と、品種特有の酸味が調和しています。

500mlのサイズとこの価格も、かしこまらずに楽しめそう。

アスパラをはじめとする春野菜にも相性が良いので、屋外のジンギスカンと共にいかがでしょうか。

もちろん、スクリューキャップですから、コルク抜きも要りません。

岩見沢市の宝水ワイナリーからは上級品、雪の系譜シリーズのシャルドネ12年。

特に白が良かった12年らしく、香りに未熟さがありません。

辛口でミディアムな果実味と調和した酸味がバランス良く、まさに北国で完熟した清らかなシャルドネ種のイメージです。

仏ボルドーのブライ地区シャトー・ボーモン・レ・ピエリエールの白12年。

味わいは仏ロワール地方のソーヴィニヨン・ブラン種を思わせる爽やかさですが、

少し温度が上がってくると樽発酵による複雑さが開き始めます。

高騰を続けるボルドー赤ですが、白は良質でお値打ちな物が時々見つかります。

ブルゴーニュからはセクストンのサン・トーバン村で赤06年。

有機栽培で、野生酵母による発酵ですからアニマル系の還元香はありますが、7年を経た熟成旨味は私にとってはたまりません。

まだ試してはいませんが、マグロの握りにも合うのでは?と思っています。白で知られる村の赤は時々めっけもんが見つかります。

同じブルゴーニュの赤で、フィリップ・ルクレールのブルゴーニュ赤ボン・バトン10年と、

ユベール・モレのシャサーニュ・モンラッシェ赤08年。

ルクレール氏はジュヴレ・シャンベルタン村の名門ですが、このボン・バトン畑は隣のシャンボール村にあり、

柔らかな果実味と上品な樽風味が飲み手をうっとりとさせる魅力を持っています。

一方モレ家の赤はシャサーニュ村。ここは白で有名な村だけに、赤が売れ残った時はチャンスなのです。

08年は作柄も悪くないうえに、5年を経て少し熟成感が開いてきました。

南仏からはミネルヴォワ地区のシャトー・ドンジョンが、隣のカバルデ地区で造る赤08年。

5年を経て3品種が混じり始め、飲み頃の美味しさが楽しめます。しかもこの価格は間違いなくお値打ちです。

イタリアからはファルネーゼ社の大人気カサーレヴェッキオ・シリーズで、ペコリーノ種からの白11年。

南部の白はもったりした味になりやすく私は避けていましたが、この白はそんな思いを裏切ってくれました。

凝縮した果実味を持ちながら、爽やかな味わいに仕上げてくるのはさすがファルネーゼ社です。

スペイン・ビエルソ地区からはアルヴァレス・ド・トレド社で、品種は今、注目のゴデーリョ種の白と、メンシア種の赤。

白は爽やかな柑橘と熟した桃の香り。ふくよかな果実味を酸味が引き締めた豊かでメリハリのある味わい。

赤は、スペインのピノ・ノワール種と称されるメンシア種。ブルーベリーシロップの濃そうな香り。

5年を経てふくよかな果実味と樽の風味が混じり始めています。

赤、白、共にパーカー90点評価を受けた味わいはインパクトがあり、料理が無くてもワインだけで満足させてくれます。

しかもこの低価格!今月の安旨大賞は、当然、赤、白、共にこちらに決定です。

食品からはニュージーランドの新着はちみつ三種。

カカラ(百花・数種の花のブレンド)、ラタ・フラワー、ホワイトクローバーの3タイプとも独自で、濃厚で、複雑です。

ここまで味わいが豊かですと、何かにかけたり、入れたりするのではなく、

そのままティースプーンで一舐めするのが一番美味しいような気がします。

そして長崎県小佐々(コサザ)の煮干し。昨年から品切れていましたが、やっと今年の漁が始まり入荷して来ました。

10センチほどの大きさも立派ですが、何よりもお出汁にした時の味わいです。

品切れ中は、同じ小佐々港産で少し小振りの物を扱っていましたが、やっと6月から入荷いたします。

煮干しファンの皆様、ご迷惑をおかけいたしました。 

2013年 5月

お気づきになったと思いますが、

フジヰニュース5月号からワインリストの順番を変えて、地元北海道のワインを先頭に持ってきました。

これは当店のお客様から伺った話が発端です。その話とは、今から30年近く前にオーストリアで何軒かのワイン生産者が、

生産する甘口ワインの味を良くするために、ジエチレン・グリコールという薬品を添加した事が発覚しました。

この問題はドイツにも飛び火して、当時、全国の酒小売店(もちろん当店も)や、

デパートの商品棚からドイツとオーストリアのワインが撤去されました。

当然、オーストリア・ワインの販売量は激減しました。

オーストリア政府はワイン法を厳格化し 品質向上を目指しますが、販売はすぐには増えません。

そんな時に立ちあがったのが地元のレストランとソムリエ達で、

ワイン・リストの先頭に地元のワインをもってきて販売を助けたそうです 。


これなら当社にも出来ると思い、5月から地元の北海道産ワインをフジヰニュースの先頭にしてみました。

もちろん、当社でも販売量はフランス・ワインが筆頭で、輸入物全体に対して北海道産の比率は1/10以下です。

でも、北海道を思う気持ちは1/10ではありません。

皆さんのお宅で親戚から毛ガニが送られて来た時、あるいは本州からのお客さんと共に食事をする時、

地元の食材に合わせて地元のワインを年に1~2回でも味わっていただける方が多くなると、

道産ワインの全体量が何割かは増えると思います。

小さな応援でも、人数が集まると大きな力になる事を願って、たまには地元の食材と地元のワインを合わせてみませんか。


さて今月のオススメ・ワイン

札幌ばんけい峠のワイナリーの白12年。ここは醸造過程でSO2(酸化防止剤)は使いません。

SO2を使わないと、すりおろしたリンゴが赤く変色するようにワインは酸化します。

皆さんが想像する若い白ワインは、クリアな淡い黄色でフレッシュ&フルーティな味わいだと思います。

でもSO2を使わない白ワインは、若くても酸化が進み数年以上熟成したような風味が出てきます。

色は黄色に茶のトーンが混じり、少し漬物の様な酸化した香りが出てきます。

このような風味は好き嫌いになりやすいのですが、この白はマスカット香の強い、

ナイヤガラ種やポートランド種をブレンドすることで、酸化香をマスカット香が包み込み、 バランスの良い味わいに仕立てています。

SO2無添加ワインを試してみるには最適の白だと思います。


今月はボルドーで熟成した飲み頃ワインが多く入荷しました。

オー・メドック地区のシャトー・マレスカス03年。

暑かった03年産は例年より一回り濃くて人気が高く、 10年を経て市場ではだんだん見かけなくなりました。

今のマレスカス03年は豊かな果実味と、熟成感の両方が楽しめ、今でも、更に数年の熟成も可能なポテンシャルがあります。

03年産を見つけたら迷わず、即買いです。

グラーブ地区のシャトー・オリヴィエ白01年。

ボルドーの2000年は誰もが知るグレート・ヴィンテージですが、同じボルドーでも収穫時期の異なる白は00年よりも01年の方が作柄良。

しかし一般の01年のイメージは「良くない年」なので、この年の白は、値上がりが少なくて良質なのです。

熟成した白がお好きな方には是非お奨めします。

サン・テミリオン地区のシャトー・オー・フォンラザード04年と、カスティヨン地区のシャトー・リュカ04年。

共に9年を経た04年で、ちょうどタンニンがこなれて美味しくなってきた頃です。

有名な05年の陰に隠れたこの年も、値上がりが少なく飲み頃でお買い得なワインが見つかる年です。

ボルドー規格の10年産、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン。

まだ3年しか経っていませんが、これが素直に美味しいのです。

この価格なのにふくよかさがあって、うっすら木樽の風味も感じます。

手間のかかる木樽熟成ではなく、タンクにオークチップを入れて熟成させたのかも知れませんが、

とにかくバランスの良い味わいです。普段のデイリー・ワインには最適の赤だと思います。


ブルゴーニュではクルティエ・セレクション・シリーズのコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ93年。

20年前のブルゴーニュでこの価格ですよ!香りには古酒にありがちな紹興酒の風味が少しありましたが、

味わいには果実味が今もしっかり残り、ブラインドで出されたら99年あたりと答えそうな状態でした。

あとはセリエ・デ・ウルシュリーヌ社と、トプノ・ピエール家の飲み頃ワインが入荷しましたが、現時点では試飲がまだでコメントできません。

2軒の生産者は共に良い収穫年で、価格も控えめなので、私自身も大変期待しています。

白ではブレット・ブラザーズのマコン・クリュジーユ10年。

有機栽培の自然派ワインと言うと、味わいは薄旨系の繊細なタイプが多いですが、ここの白は濃さ強さがガツンとくるタイプ。

今風で言うと「肉食系男子」にお勧めの自然派ブルゴーニュの白です。


南仏からはシャトー・ラヤスがヴォークリューズ地区で造る赤。本家シャトーヌフ・デュ・パプにあるラヤスは定価20,000円以上ですから、

近隣の産地でこの価格はとてもお値打ち感があります。

味わいは大樽熟成された20年前のバローロを思わすような、果実味ではなく練れたタンニンと熟成旨味のスタイルです。

泡ではリムー村のロジェが造るブランケット・ド・リムー。

泡の産地と言えば、一般には北部の涼しいところですが、南仏リムー村はシャンパーニュ地方よりも先に泡を造っていた所。

この価格で最上の製法、瓶内二次発酵法を用いクリーミーできめ細かな泡を実現しています。

そして今月の安旨大賞はコンテ・トロザン地区のラヴィラ白11年。

この地区はアルマニャック・ブランディの産地ですが、

蒸留してブランディにせずに原料の白ワインをそのまま瓶詰めしたところ評判になりました。

ふくよかな果実味と、爽やかな酸味が調和した美味しいワインを蒸留すれば、更に美味しいブランディになると言うことでしょう。


さてイタリアからは、先月もオススメしたフリウリ州の生産者イル・カルピノがフリウラーノ種で造る白。

ジャスミンを思わす香りに、豊かなミネラル感が広がる様はかなり上質な味わいで、

料理無しでワインだけでも楽しめる豊かさを持っています。

ご予算に余裕があれば、上級品のピノ・グリージョ種も感動できます。

ボッター・カルロが造るロマーニャ州のサンジョベーゼ種08年。

この価格帯で赤のライバル、キャンティと比べても、豊かな果実味と少しこなれた熟成感が楽しめます。

もう少し熟成した方がお好きな方には、同じ生産者のコペルティーノ07年産をオススメします。

今月のイタリアで一押しはサン・パトリニャーノが造るロマーニャ州のサンジョベーゼ種06年。

生産者はなんと麻薬等の中毒患者の更生施設。ここはワイナリーだけではなく、

牛や豚を飼育する酪農業や、織物などの生産をしているそうです。

そして目的が利益ではなく更生ですから、現代の農業で見捨てられた手の掛かる作業をここでは行っているのでしょう。

教官はいますが、残りは素人の集団が造ったワインが、何代も続く名門生産者のワインを近年の品評会で打ち破っています。

その内、イタリア最高の工芸品は、更生施設で作られるようになるのかもしれません。今回の特別価格で是非一度お試し下さい。


スペインからはアタラヤが造るアラヤ10年と、カスターニョが造るロゼ10年。

ピンとキリのような組み合わせですが試飲の際、とても印象が良かった2点です。

ロゼはイチゴの風味が華やかで爽やかなタイプ。これからの時期に屋外で楽しむには最適のワインでしょう。

一方アタラヤの特醸品は強烈でした。あと少し凝縮したら、液体ではなくゲル状にでもなりそうな濃度。

これに難癖を付けるとすれば、上品さがないぐらいでしょうか。

私の予想ではパーカー氏から100点は取れなくても、95~98点評価はもらえそうな出来で、

この価格というのは世界中探してもライバルはいないと思います。

味が濃すぎて一人で1本は飲めないでしょうから、数人で味わって感動できる事を思うと、お値打ちワインの中に入ると思います。

最後は食品から。今ワインでも、オリーブ・オイルでも最高の評価を受けているオルネッライア。

輸入業者の変更に伴い、4、410円の品が特価で入荷しました。

ワインの最高級品の値段は天井がありませんが、最高のオイルの味わいをこの機会に試してみてはいかがでしょうか。

地元からは、余市ソガ・タカヒコのピノ・ノワール種で発酵が終わったワイン酵母に、

グラニュー糖と、山形産アカシアのはちみつを加えて作ったオリジナルのジャム。

口に含むと、チョコレートと赤ワインがマリアージュしたような初体験の味わいです。

店頭にサンプルがございますので、是非ご試食してみてください。

スペイン・マラガ地方ラ・ボルヘニャ社の枝付きレーズン。

完熟したマスカット葡萄を天日乾燥させたレーズンは種まで熟しているため、

丸ごと噛んでいただくと種が香ばしいナッツのように味わえます。

熟成したチーズとは最高の付け合わせになるでしょう。

2013年 4月

2月の下旬、余市へ行って来ました。

毎年この時期、余市の葡萄栽培農家さんがワイン生産者さんと共に開催している「余市のワインを楽しむ会」に参加するためです。

会場は余市町中央公民館2階の会議室と廊下を全部使い、立食形式で行われます。

今回の入場者は450名、地元では募集後すぐに完売となるプラチナ・チケットだそうです。

私は昨年から参加していますが、ワインをサービスする各メーカーのブース前はすし詰め状態。

その中でワイン・グラスと、試飲のコメントを書くノートを持っていると、初めての方に名刺を渡すことが出来ません。

そこで妻に、「札幌・ワインショップフジヰ・藤井敏彦」という名札を頼んだ所、出来上がった名札は、

横16センチ、縦11センチの特大サイズ。付けるのに勇気がいる大きさです。

今年は「ワインを楽しむ会」の前にセミナーが企画され、

共に日本のワインに詳しい石井もと子さんと、 鹿取みゆきさんによる講演がありました。

石井さんはここ10~20年で有名になった新しいワイン産地、米オレゴン州と、ニュージーランドの2地区が、

世界のワインマーケットにどんなプロモーションを行い、認知されるようになったかを説明。

鹿取さんは葡萄栽培農家がワイナリー設立に向けての注意点を、

九州の茶葉農家がお茶の自社ブランドを展開しカフェも併設して直売を行っている例を出して説明していました。

その後の質疑応答では、講師の方が提案した余市にワインのインフォメーション・センターの 設置案に関して

賛成意見が多く出され、出席していた余市町長は財政赤字を理由に苦しい答弁を繰り返していました。

さて当日、私はセミナーの会場に着き次第、胸に特製の大きな名札を付けました。

知り合いの方からは「その名札はどうしたの?」とか「藤井さんも今日の講師なのですか?」とひやかされました。

そしてセミナーの後で宴会が始まると、450名の中で名札を付けているのは私一人。

「札幌のワイン屋さんですか!私は○○と申します」とか、

「藤井さん!紹介したい人がいる」と声を掛けられ、私のポケットは名刺で一杯。

集まった名刺の中には、先程ステージで苦しい答弁をしていた町長さんとか、

前の町長さんとか、普段はお会いできないような方々ともお話しができました。

昨年、名札を付けずに参加した時は、こんなに名刺は集まりませんでしたから、

まさにこの名札のおかげです。次から大人数の会には名札を付けようと決めて、妻に礼を言いました。

さて今月のオススメ・ワイン。

ブルゴーニュ地方では低価格でも良質な物が見つかりました。

ジャン・ルイ・カンソンのシャブリ1級畑11年、ブルゴーニュ・シャルドネ11年、ブルゴーニュ・ピノ・ノワール11年の3種。

特にシャブリ1級畑は、樽なしシャルドネでは理想の姿と言える出来。

ブラインドで出されたら3000円以上の価値があると思いました。  

さらにブルゴーニュ規格の赤、白は、この価格ですから全く期待せずに試飲を開始。

一口味わった後、そつのない出来に当社スタッフ全員の目が丸くなりました。

この価格のブルゴーニュがあるだけでも驚きなのに、薄っぺらでなく、ちゃんと楽しめる味わいを持っています。

多分、買い付け担当者は、随分苦労をしたのだと思いました。

そして共に2000円以下、ロジェ・リュケのサン・ヴェラン村10年と、

同じマコン地区の生産者ロシュバンのブルゴーニュ・ピノ・ノワールでもヴィエイユ・ヴィーニュ10年。

白は樽熟成をしていませんが、少し凝縮感のある果実味をミネラル感が引き締め、良く出来たマコン地区の上物。

赤も樹齢50年が納得できる凝縮感と木樽の風味があり、間違いなく2000円以上はするだろうという味わいです。

ボルドー地方からは、プルミエ・コート・ド・ボルドーのシャトー・スオウで上級品のフ・ド・シェーヌ(樫樽熟成)00年。

凝縮した果実味と豊かなタンニンが、13年を経てもまだまだたっぷり味わえます。

やっぱりボルドーは熟成感と共に、そこそこの濃さ強さがあった方が好きと言う方には理想と思える出来でしょう。

この価格で久しぶりに00年らしいワインに出会えた気がします。

イタリアからは北部の白でとても良質な物が見つかりました。

北部リグーリア州ルナエ社のヴェルメンティーノ種からの白。キンカンの砂糖煮の香り、

遅摘みを思わせるふくよかな果実味を引き締めるアルコール感。

凝縮感と奥行きのある味わいは、なかなかの物だと思います。

私の一押しは、フリウリ州のイル・カルピノがルンク畑で造る白3種。

ソーヴィニヨン種の白は、果実味の凝縮感がちょっと信じられないレベル。

しかも樽無しのタンク熟成で、これほど複雑な味わいは初体験でした。

マルヴァジア種は果実味よりも、溢れるミネラル感。柑橘の皮とアルコール感が、舌の上をギシギシと刺激します。

さらに上級品のセレツィオーネ・マルヴァジアになると、私は仏ローヌ北部のエルミタージュ・ブランを思い浮かべました。

そしてヴィーニャ・ルンクのビアンコはブレンド・タイプ。果実味お化けのソーヴィニヨン種と、

ミネラルお化けのマルヴァジア種が上手く合わさると、ふくよかでバランスの良い白に生まれ変わります。

改めて生産者イル・カルピノの実力をまざまざと見せつけられた気がします。

そしてジェラルド・チェザーリがピノ・グリージョ種で造る白は07年産。

輸入業者が長期在庫品の為に特別価格になって入荷しました。

6年を経た黄金色の色調、麦わらを思わす華やかな香り、

ふくよかさとミネラル感に熟成旨味が合わさり、これ以上はあり得ないような味わいでこの価格!

私は2倍でも安いと思います。間違いなく今月の旨安大賞はこのワインです。

最後に地元からは(株)北海道ワインの北海道・ケルナー11年。

この価格でこの品質は、さすが大手生産者と納得しました。

今まで同社には甘口ワインのイメージが強かったですが、このメリハリのある豊かな酸味は

同社が新しいステップに進んだ事を感じました。道内のワインは、今後ますます目が離せません。

2013年 3月

今月はワインのお話。

年が明けて1月中旬、昨年秋に創業して初仕込みを終えたブルース・ガットラブさんの10R(トアール)ワイナリーさんと、

三笠の山崎ワイナリーさん、千歳の中央葡萄酒さんに伺い、12年産のワインを試飲して来ました。

昨年の北海道の夏はとにかく暑かった。特に夜の寝苦しさは、北海道でもクーラーが欲しくなる程。

昨年の8月頃は、余市でも、空知でも葡萄生産者さんは皆笑顔で「今年はいいべ!」という声がどこでも聞かれました。

その後お盆を過ぎて、9月になっても暑さは続きました。しかしその頃から、

こんなに暑いのに葡萄の糖度が上がらないと言う声が、 生産者さんから少しずつ聞こえてきました。


好天の中で植物の葉がどんどん光合成をして栄養を作ると、

その栄養は葡萄の実に集まり甘く熟すだろうと普通は思います。

さて、植物は気温の変化で今の季節を感じているそうです。

暑い夏の時期は1センチでも高く背を伸ばし、1枚でも多く葉を増やして、

太陽のエネルギーをいっぱい受け止めようとするそうです。

そして朝夕が涼しくなってくると、植物は秋の到来を感じて木の生長を止め、冬に向けて木の生存のために身繕いを始めます。

そして自身の木が枯れてしまうことも想定して、子孫を残すために種を準備します。

しかし植物は足が無く自分で移動が出来ないので、種を別な場所にまくことができません。

そこで木は甘い実を成らせ、その実の中に種を入れたのです。甘い実は種を運んでくれる動物たちへのお駄賃。

実と共に食べられても種は消化されないため、動物と共に移動した後に糞と共に種がまかれます。

そこで条件が整えば、違う場所で芽が出るのです。


そこで昨年の天候を考えてみると、9月までは昼も夜も暑さが続き、植物は夏と思って木の生長を続けました。

10月になると雨が続き急に寒くなったので、季節は秋を飛ばして冬になりました。

種と実に栄養が蓄積される秋の期間が短かったため、あれほど暑かったのに思ったほど糖度が上がらなかったらしいのです。

しかし9月までは恵まれた気候で葡萄は生長したため、特に白はふくよかな味わいで全般に出来が良かったです。

赤は全体に淡い色調ですが、やはり中盤まで天候が良かったおかげで未熟な青さがなく、

あと2~3年も経てば熟成旨味が広がりそうな予感を持ちました。


子供の頃はてるてる坊主を作ったり、「明日天気になぁれ!」と靴を飛ばして天気を占いました。

あの頃より予報の精度は上がりましたが、葡萄の出来はやはりお天気次第なのですね。



さて今月のオススメワインは白で良い物が多く見つかりました。

ブルゴーニュの2010年は果実味に酸味とミネラル感が調和した素晴らしい白が造られた年。

サヴィニ村のシモン・ビーズがシャンプラン畑で造るブルゴーニュ規格の白と、

ベレーヌ(ニコラ・ポテル氏のブランド名)がサヴィニ・レ・ボーヌ村の自社畑で造った白は、価格以上の味わいでお薦めします。

でも、驚いたのは、赤で知られるフィリップ・シャルロパン・パリゾが07年産のシャブリ村で造った4種類の白。

正直言って今、一番の飲み頃はプティ・シャブリ07年でしょう。

昨年末から各生産者の並シャブリは11年産が日本に入荷しているのに、

シャルロパンが初めて造ったシャブリ07年産は6年以上熟成させて、

プティ・シャブリがやっと開き始めて来たというのです。

安旨とは良い辛い価格ですが、今月の一押し白です。


ボルドー地方からはオーメドック地区のシャトー・シャルマイユ02年。

この年は暑かった03年の陰に隠れて過小評価されていますが、小粒でも健全なカベルネ種のワインが造られました。

シャルマイユはまさにこの例で、完熟した果実味と熟成感が両方楽しめました。

シャトー・ヴァランドローのオーナー、テュヌヴァン氏が

「サンテミリオン地区じゃないけど、とても美味しいよ!」と言って造ったボルドー産赤、バッド・ボーイ08年。

5年を経た08年産は、そろそろ飲み頃に入り始めて来ました。


仏ロワール地方ではジョルジュ・ブリュネのヴーヴレ村01年と、デ・ゾービュイジエールのヴーヴレ村シレックス11年。

造り手は違っていても、同じヴーヴレ村、同じ品種のワインで、10年の時の流れを体験してみるチャンスです。

南仏からはミネルヴォワ村のシャトー・ベルヴィスでとても暑かった03年。

私はスパイス感とアルコール感が落ち着き、 アニマル系の熟成香が出てきた南仏の赤は大好きです。

10年熟成してこの低価格ですから、今月の赤の安旨大賞を受賞です。


今月のイタリアは赤が良かったです。

まずはピエモンテ州ピオ・マッカリオのシャルドネ種の白と、バルベラ種の赤。

共に北国らしい爽やかな酸味と果実味が楽しめて、この価格はとてもお買い得です。

北海道でもこのような赤ワインが安価で出来るようになれば、、、なんて思ってしまいました。

赤、白共に、安旨大賞の第二位受賞です。

あとは少し高くはなりますが、同じピエモンテ州でエンツォ・ボリエッティの

アルバ村産バルベラ種10年は、さすがと思わせる厚みと複雑さが出て、この価格でしたら充分お得だと思います。

飲み頃ワインではトスカーナ州ベリーニ社のコメディア08年。

イタリア品種とフランス品種が5年を経て上手く調和しています。

イタリアでもなく、フランスでもない、混血の複雑な味わいが楽しめます。


スペインの白ではリアス・バイシャス地区のグラン・バザンが造るアンバル06年。

爽やかさと熟成感の両方が楽しめる不思議な味。

少しワイン通の方に受けそうな、味わい深い白です。

私が大好きなリースリング種ではチリでビーニャ・レイダ社のリースリング11年。

爽やかな酸味の美味しさは、本場ドイツも驚くような出来の白でした。


北海道からは、暑かった12年産の白が入荷してきました。 宝水ワイナリーのケルナー種とシャルドネ種は、

共に完熟した果実味と爽やかな酸味の調和がとてもバランス良く仕上がっています。

改めて、道内の白の品質は、どんどん上がっているのが分かるような出来でした。


最後は食品から、スペイン・フォルム社のワイン・ヴィネガーで赤、白。

私もこのお酢をそのまま飲んで、むせませんでした。

果実感があって、ワインとお酢の中間と言った感じ。

これは是非一度味わっていただきたい初体験のお酢です。

店舗にサンプルがございますので、ご興味がある方は試飲が出来ます。

2013年 2月

夏と共に冬休みの間も、家内と息子は東京の実家に帰省します。

正月明け、ジージ、バーバの元で好き放題をしている息子から珍しく電話が来ました。「お父さん、マグロが一匹いくらになったか知ってる?」

そう、東京築地市場の初セリで大手寿司チェーン店が、マグロ一匹を一億五千万円で競り落としたニュースの事です。

電話で私がそのニュースは知っているよ、と答えると「ワインショップフジヰは、そのマグロ買えるの?」。ちょっと想定外の息子の質問にドキマキしました。

「お父さんだけでなく、会社のみんなで必死に1年間働いたお店の売上の合計だったらそのマグロは買えるけど、

そうしたら残りのお金は殆どなくなっちゃって、会社のみんなのお給料も払えないよ」と答えました。

息子は「でもすごい!買えるんだ!」と言って喜んでいました。

数年前まで、お年玉は大きい500円玉がお気に入りでしたが、 小学5年生にもなればお札の魅力も解っています。

しかし大人であっても、1億円の実際のイメージは銀行勤務でもなければ分からないのが事実かも知れません。

そんな時、息子も大好きなマグロのお寿司。その魚が一匹、一億五千万円というニュースは、

随分昔あった「三億円強奪」のニュースと同様に、良い意味で社会勉強になるものだと思いました。そして、今年のフジヰはもっと頑張らないと、年明けマグロの初セリ価格に追い越されてしまうでしょう。


さて今月のオススメワイン。

まずは仏ブルゴーニュ地方の赤から、クリストフ・ブリチェックが造るモレサンドニ村クロ・ソロン畑の赤10年。

香りのトップはスモークで、直ぐにチェリー・シロップ。舌の上でも瑞々しいチェリーの果実味が広がります。

今は魅力的な赤系果実の風味だけでも美味しく飲めちゃいますが、酸味とタンニン、そして上質な樽の風味がたっぷり溶け込んでいます。

でも真の飲み頃はあと7~8年熟成させてからでしょうか。もちろん予算に余裕のある方は、5番同じ造り手の1級畑の方を絶対お奨めします。

お安めの物ではパトリック・ユドロのブルゴーニュ・ピノ・ノワール10年。

この低価格で有機栽培をおこない、十分以上に薄旨系の美味しいワインに仕上げています。

ところで、09年が最高の年と言われていますが、ブルゴーニュに関しては赤、白ともに10年の方が上なのでは、、、と最近思っています。
さて白では、シャンドン・ブリアイユが造るペルナン村の宝とも言える1級畑イル・デ・ヴェルジュレス09年。

果実味とミネラルがたっぷりの骨太な味わいは、化粧無しのすっぴんの旨さがあるような気がしました。

皆さんにも味わっていただき、印象を伺ってみたい気がします。

白のお安めの物ではシャルル・ルノワール社のシャブリ11年。

定価的には2000円はするシャブリですが、まずはこの低価格でありながら薄っぺらくないのです。

そこそこの果実味とこの村特有の石灰質土壌のニュアンスがあるので、当社で高いシャブリを買われている方々が、

全部これに代わったらどうしようと思ったほどです。


ボルドーからはポイヤック村のシャトー・クロワゼ・バージュで約50年前の1964年。

40年を過ぎたコルクの抜栓は、コルクがボロボロになっている事が多く、ちぎれたり、折れたりで緊張します。

でも今回入荷分は、同シャトーで近年コルクの打ち直しがされているので安心して抜栓出来ると思います。

状態の良い50年前のワインが、この価格では普通見つかりません。誕生年じゃなくても買うべきワインでしょう。


お安めの中では、オー・メドック地区マコー村のシャトー・ド・ジロンヴィル08年。オーナーは元銀行家で、ワインに魅せられた方。

特にプティ・ヴェルド種に愛着があるようで、通常1~2%しか使われないこの品種を10%も栽培しブレンドしています。

更に同じ村に所有する上位シャトーのベル・ヴューでは、プティ・ヴェルド種を20%も使っています。

この品種は晩熟で作付け場所を選びますが、完熟するとカベルネ種よりも豊かなタンニンを持つそうです。

ジロンヴィルも豊かな果実味とタンニンで、価格以上の満足感が楽しめます。

更にお買い得なのは、ボルドー・スペリュール規格のシャトー・デュ・ボワ・シャンタン10年。

この価格のボルドーと言えば、多くは未熟な青さがあったり、薄っぺらだったりで、なかなかお薦め出来る物は無いのが実状。

ただ、同じシャトーの09年を販売していて好評でしたので、09年完売後に10年産を1本取り寄せ試飲しました。

多分10年は薄いだろうと思って試飲をしたら、当社スタッフの皆が目を丸くしました。

「10年も美味しいじゃない!」今月の安旨・赤ワイン大賞受賞です。


南仏の赤ではギガル社のジゴンダス村と、サンタ・デュック社のラストー村で、共に07年産。

この年、南仏でまずいワインは出来ようがない天候だったそうです。

それだけに6年を経ても、まだまだダイナマイトのように強くてスパイシーな味わいがたっぷり。

箱で買ってあと数年間でも冷暗所に保管しておけば、同一ワインの熟成度を年ごとに楽しむ事も出来るでしょう。

南仏の白ではファンカリユ社が造るペイ・ドック地区のシャルドネ種11年。

温暖な産地のシャルドネ種を、タンクと樽とで発酵させた後に樽熟成させました。樽のさじ加減が上手で、誰もが「ちょっと上物の白」と思う味わい。

この価格ですから文句無く、今月の安旨・白ワイン大賞受賞です。


イタリアではコリーノが所有するバローロで筆頭の畑ジャッキーニの07年。

現代的な製法を用いたワインは、パーカー94点バローロと思って味わうと拍子抜けするほど柔らかくて今から美味しいです。

強烈なタンニンの伝統的タイプの物を20年熟成させてから飲むのもいいでしょうが、

コリーノのバローロは収穫後6年ほどでうっとりさせるだけの魅力を十分持っています。

もう1点トスカーナ州バロンチーニ社が造るサン・コロンバーノ・キャンティ・リセルヴァ09年。この価格で樽熟成24ヶ月はたいしたもんです。

私は安くても熟成したワインが好きなので、この価格でこの味わいだと二重丸を付けてしまいます。


今月、イタリアの一押しは、トスカーナ州の名門フレスコバルディ社の輸入業者が変更になるため、元の業者が在庫処分で4割近く安くなって入荷しました。

カステル・ジョコンドのロッソ・ディ・モンタルチーノ10年と、トレント地区のスパークリングワイン・ブリュット(泡・辛口)です。

赤は濃度勝負ではなく、上品で生まれも育ちも毛並みの良さを感じさせるタイプ。

一方、泡の方は凝縮した果実味ときめ細かな泡で、魅力的な表情を惜しみなく振りまいています。

共に、4割安の今がチャンスですので、お見逃しなく!


白ではサルディーニャ島のムラがヴェルメンティーノ種で造る11年産。

日焼けした石を思わせる香りと、白桃や梨の香り。味わいは凝縮した果実味がパインの様です。

同じムラの赤は、逆に北国の赤の様なチャーミングなタイプ。そして赤、白共に醸造は若い女性が行っているそうです。

南でも澄んだ印象があり、清掃や収穫後の選別などを厳格に行っている証なのでしょう。

2013年 1月

11年夏に出版された鹿取みゆき著「日本ワインガイド」のその膨大な情報量と正確さに驚きました。

さらに読んでいくと、文章全体から日本の葡萄から造った日本ワインと、生産者さんに対する作者の熱い思いが伝わってきます。

仕事柄、ワイン関係の本は多数読んでいますが、今までに類を見ないガイドブックに、私は感動し昨年は毎日のように多くのお客様にこの本をご紹介していました。
その著者、鹿取さんが12月の中旬に北斗市のワイン生産者・佐々木夫妻と共に当店にお越しになりました。

初めてお会いした鹿取さんは、気さくで、飾らず、すぅーと溶け込む自然派ワインの様な方。

当社の北道道産ワインのコーナーを見て、増毛(マシケ)のポワール(洋梨のスパークリングワイン)を手に取り「これが飲みたかった!」とすかさずチョイス。

更に店内をおもちゃ売り場に放たれた子供のように(失礼)見て回り、九州産のネオ・ジンジャエールと、英国製のキニーネ入りトニックウォーター「フィーバー・ツリー」を見つけ、バーカウンターで試飲されました。

この本の取材で回ったワイナリーは、全国で多分100軒以上でしょう。

今では、国内のワイン生産者でこの本を知らない人はいないと思いますが、出版前は初対面に近い形で現地に伺い、原料葡萄の入手先等のデリケートな問題をどうやって調べ上げたのかが不思議でした。

本の最後にある作者のプロフィールには、「東京大学教育学部卒業のフード&ワインジャーナリスト」と書かれています。

自分の通信簿には苦い思い出しかなく、回りに東大出の方はいなかったので、私は勝手に鹿取さんを高級官僚の様な方と思っていました。

でも、お会いして話をしていると、二人の男の子さんを育てながら、仕事をされている気さくなお母さんと言った感じです。

そして何か興味があると素直に質問されます。無垢な心を持った方からの質問は、答える側も誠実にお答えしたいと思ってしまうのでしょう。

鹿取さんの人柄によって引き出された回答が、たくさんの正確な情報となりこの本になったのだと思いました。

さて今月のオススメワイン。

まずはアレック・ガンバル氏が造ったブルゴーニュ規格の白10年は、村名規格のワインをブレンドした為に村名は名乗れませんが、

品質は村名規格に近いもので、ちょうど中田さんが造るルー・デュモンと近いスタンスを持つと思います。定価は3000円ですからこの価格はかなりお得です。

赤はカレのボージョレで、蔵元で10年以上忘れられていた01年産。ギャンブラー気質を持つ私ですら、発注には勇気が必要でした。

グラスに注いだオレンジ色の色調を見た時はもうダメかなぁと思いましたが、キノコや油粘土といった熟成したピノ・ノワール種の香りが広がり、

味わいには意外な程枯れた感じが少なく、もう少しはこのピークの味わいを保っていられそうな気がしました。

古酒でこの価格はあり得ませんから、古酒入門ワインとしても最適かと思います。私個人としては、これが今月1番のお気に入りです。

ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ベル・ヴュー06年。近年評判のシャトーらしく、凝縮した果実味とタンニンがたっぷり。

飲まれる1時間ほど前に抜栓されるか、もう1~2年ほど熟成させると、香りも開き始めることでしょう。

南仏からはアティチュードがコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの葡萄で造るグランド・オディアンス08年。

グルナッシュ種やシラー種からのスパイス感と、熟成香が上手く調和し始めたこの味わいでこの価格は驚きです。今月1番の安旨ワインでしょう。

そこそこの価格にはなりますが、さすがに別格だなぁと思わせたのがアルザス地方のトップ、ツィント・フンブレヒトが

ヴィンツェンハイム村のゲヴュルツトラミネール種で造る白08年と、ロワール地方サンセール村のアルフォンス・メロのサンセール村で10年産。

飲んだ印象からはアルザスが6000円、サンセールが3000円はするでしょう。共に収量を下げて得られた、凝縮感と華やかな香りが楽しめます。

シュド・ウエスト地方からはプレモンがVDQS規格サン・モン地区で造った99年産。

馴染みがないタナ種主体でカベルネ種の上品さはありませんが、力強く骨太な味わいが楽しめます。

安くてフルボディタイプがお好みの方には、ぜひお薦めします。

私の近年の好みはドイツ。モーゼル地方ボリッヒがトリッテンハイム村アポテーケ(薬局の意)畑のアウスレーゼ規格で造った何と93年産の白。

一部にコルク片が浮いている為に、半額になって入荷しました。20年近く熟成した伝統的甘口ドイツワインをこんな価格で楽しめるとは信じられません。

一方、同じドイツでもケスター・ヴォルフが造るクラシックは現代的な辛口スタイルの白。

温暖なラインヘッセン地区が得意とするシルヴァーナ種は、ふくよかな桃の果実味と穏やかな酸味をミネラル感が包み込みます。

同じドイツでも味わいのスタイルが新、旧と違いますが、共に完成度は高いお薦め品です。

食品では地元、北海道・増毛町農産加工組合が作る洋梨果汁。

果汁100%でも、濃縮還元ではなくストレート果汁は違います。瓶の底には1センチ以上沈殿物がございますが、これこそが旨みの元なのでしょう。

飲む際は瓶を振って旨みの元を混ぜてから、グラスにお注ぎください。生の果実を頬張ったような風味が口中で広がります。

フランスからはボベッティ社のショコラ各種。特にピンクペッパー・ショコラは、甘さとコショウ辛さが舌の上で対立しながら溶け合います。

マスタードやローズマリーも同様の大人のためのショコラです。

コーヒーもいいですが、ブランディと共にいただくと、おやすみ前の一時が恋しくなるでしょう。

2012年 12月

今月は別れのお話。

今年はまず3月に愛車ルノー・キャトルとの突然の別れがありました。直ぐにご機嫌が悪くなるフランス人女性のような車でしたが、今も私の心の中には少し寂しさが残っています。

そして10月末になって、7年近く当社で働いてくれた「T」君が退社する事になりました。

その後は新人の三浦君が当社に加わり、今は仕事の手順を教える方も、教わる方も手一杯の感じです。

さらに11月に入って、家内が通っている教会の「N」牧師さんが急に病気で亡くなってしまいました。

牧師さんは素晴らしい情熱と希望を持った方だったので、私も病院にお見舞いに伺い回復を願っていました。しかし11月に入って様態が急変したそうで、今も信じられませんが天に召されてしまいました。

もちろん別れがあれば、当社にとって三浦君の様な新たな出会いもあります。

なにか私にとって今年は古い殻を破る時期で、来年は新しい事に挑戦する時になるように思えて来ました。そんなわけで、来年も当社をよろしくお願いいたします。


さて今月のオススメワイン。

ベルトラン・アンブロワーズが造るオート・コート・ド・ニュイ地区の白10年。

09年のフランスは、素晴らしい天候で果実味は凝縮したのですが、ブルゴーニュ地方の白に関しては過熟となり酸味が乏しく、ぼそっとした味わいの物が多いのです。

しかし10年の白は、丁度良い気候と開花時期の天候で収量低下が起こったため、ふくよかでバランスの良いワインが多いのです。このワインはまさに10年産の良さを体感できるお手本のような味わいでした。

ダニエル・リオンが本拠地プレモー村の葡萄で造った赤は、蔵元で飲み頃まで熟成させてから出荷した04年産。

8年を経たワインは大きめのグラスに注いでいただくと、マシュルームと腐葉土の熟成香で幸せな気持ちに浸れます。味わいは04年特有の豊かなタンニンがこなれ始め、熟成したピノ・ノワール種の入門としては最適の一本だと思います。

ツィント・フンブレヒトがゲベルシュヴィール村のリースリング種で造る10年産の白。

アルザス地区でトップ評価を受ける造り手は、安価な村名付きリースリング種でも驚きの出来です。

この品種特有の鉱物っぽさは少なく、蜂蜜、桃、白ゴマを思わせる香り。果実味の凝縮が凄いのに、それ以上にミネラルと酸が豊かな為に引き締まった辛口に感じられます。アルザス好きは、強烈なこの味わいをぜひお試しください。

ダンデゾンがシラー種の古木葡萄から造る赤11年。真黒な色調、たっぷりとした果実味とスパイス感はまるで南仏の太陽を味わっているようです。安価でフルボディ・タイプがお好きな方にお勧めします。

ペットボトルに入ったグリーナー・プラネットの赤、白。南仏の有機栽培葡萄を使って、ふくよかでとてもバランスの良い味わいを持っています。

それと、このハーフサイズの瓶を取っておくと、別の飲み残したワインを移し替える際に大変重宝しますので、一度お試しあれ。


イタリアからはトッレヴェントの赤、白。葡萄品種は赤がプリミティーヴォ種、白はピノ・ビアンコ種とソーヴィニヨン・ブラン種。

赤は少し干した果実等の練れたニュアンスが感じられる、ふくよかでバランスの良いタイプ。

白は1年若いせいか香り高く、ライチやドライフラワーを感じさせます。香り付けにゲヴェルツトラミネール種を少しブレンドしているのでは?と思うほどです。

オーストラリアからはワラビークリークのシャルドネ種からの白。世界中にシャルドネ種からの白はございますが、まずはこの価格にご注目ください。

フレッシュ&フルーティでバランスの良い味わいの白がこの価格、しかも少し練れたニュアンスの感じられる09年産です。09年の次は11年産になって価格も上がってしまうので、ご興味のある方はお早めにお買い求めください。

最後は食品からです。サブロネットが造るグレープジュース。ここはアンジュ村でビオディナミ(有機栽培)を実践するワイン生産者なので、本来は赤ワイン、アンジュ・ルージュ用のカベルネ・フラン種を絞って発酵させずに少量だけ瓶詰めしました。

この品種のワインはさわやかな青さが特徴ですが、果汁の段階ではひたすら濃く甘いだけで、ミント香も、ビオディナミに多い還元香もありませんでした。

2012年 11月

私は書店で三遊亭(さんゆうてい)圓生(えんしょう)の落語のCDを見つけると、つい買ってしまいます。

家内がそんな私のために、林家たい平独演会のチケットプレゼントに応募してくれました。その懸賞の結果ははずれたのですが、残念賞として半額で鑑賞できる割引券が郵送されたので、息子と二人で観に行って来ました。

夕方6時に入り口で券を買い、開演の7時までに食事を済ませます。今夜は落語ですから洋食はいけません。

私はテレビ塔の地下にある手打ちのソバ屋さんに入り、息子は冷やし狸そば、私は日本酒ともりそばを注文。

そばが来る前にちびちびと増毛の国稀を味わっていると、私の頭の中ではお囃子(はやし)がチントンシャンと鳴り始めています。

実は今日の独演会に少々不安がありました。私が聞いていたのは「昭和の落語界を代表する名人の一人」なだけに、伸び盛りとはいえ若手の噺家さんの落語は楽しめるのだろうかという気持ちです。

開演後、まず前座に出た女性のお弟子さんの噺で、そんな心配は直ぐに吹き飛びました。

そして林家たい平さんが登場、幽霊になりすまして友人を驚かす噺と、古道具屋さんの人情噺の二つを充分堪能させていただきました。

この日、実はさらにもう一点の心配事がありました。小学5年の息子が落語を楽しめるかどうかです。

二人でそばを食べながら、「落語はすごく古くから続く芸で、話し言葉も今とは違うので解らない言葉が出てくるかもしれない。でも解らない言葉は無視してもいいから、がんばって聞いていくと最後はちゃんと解ると思うよ。」と伝えました。

開演中の私は、時々横目で息子の様子をうかがっていました。息子は前座の時は、きょろきょろして余り楽しんではいませんでしたが、たい平さんが話し始めると前のめりになって食い入るように聞き入っています。

今回は半額割引券という策略にまんまと踊らされた形ですが、林家たい平さんのお陰で楽しい休日を息子と過ごすことが出来ました。

そして今度はたい平さんに、私が大好きな人情噺「文七元結(ぶんしちもっとい)」を演じてもらいたいと思いました。

さて今月のオススメワイン。

今月は熟成したワインで良いものが多く見つかりました。

まずは、ジュヴレ村の名門カミュ家の特級畑マゾワイエールで98年。現代的な濃縮果実味のタイプではありませんが、ミディアムで奥行と複雑さが楽しめてこの価格はちょっとあり得ません。

ボーヌ村で古酒の在庫を多く持つコヴァール家。ここが得意とするボーヌ村の1級サン・ヴィーニュ畑で、最高のブドウが収穫された02年産が入荷しました。10年を経てもこの村特有のふくよかな果実味がたっぷり残り、さらなる熟成にも十分のポテンシャルを感じさせます。

変わってボルドー地方からは07年ですが、ポイヤック村のシュヴァリエ・ド・ドプラ。

このワインはポイヤック村で数ヘクタールの広さしかないシャトー・ベルグラーヴのセカンド的ワイン。名前にシャトー名は付きませんが、この村らしい力強さを持った味わいと5年を経た熟成感の両方が楽しめます。

一般に4,000~5,000円はするポイヤック村のワインがこの価格なのはここのシャトーの知名度が低いため。名前よりは中身を重視する方にお勧めします。

メドック地区の頂点にいるシャトー・ポタンサック93年。雨が多かったこの年ですから、19年も経つと枯れ果てた味わいだろうと先入観をもって試飲しました。

すると色調、味わい共に驚くほど強さがあり、改めてオーナー、ドゥロン家の努力を見せつけられた気がします。

カスティヨン地区の名門シャトー・サント・コロンブの03年。有名なミッシャル・ロラン氏がコンサルタントした人気シャトーで、暑かった03年産が特別価格で入荷しました。

完熟したメルロ種からのふくよかな果実味が9年を経て木樽の風味と調和し、豊かな熟成香がグラスから立ち上るでしょう。ボルドーの03年産は絶対買いです!

そしてボルドー規格のシャトー・カンサック99年。1500円以下のボルドーといえばメルロ種主体がほとんどですが、こちらはアントル・ドゥ・メール地区では珍しくカベルネ・ソーヴィニヨン種主体。

そのせいか13年を経てもタンニンが味わいを支えており、果実味の枯れた部分を熟成旨みがうまく調和しています。特に古酒好きの方には箱買いしたくなる価格でしょう。

イタリアからはバロンチーニのキャンティ・リセルヴァ08年。この価格で樽熟成24カ月は造り手の意地でしょう。ディリーワインでも少し練れた味わいがお好みの方には最適の赤ではないでしょうか。

白はカヴァリエリ社のコッリ・ラヌヴィーニ スペリオーレ09年。ワイン単体で飲まれるとマルヴァジア種からの苦みが目立ちますが、オリーブオイルを使った料理と共に味わうと苦みが消えて旨みが出てきます。ぜひ一度、この味わいの変化を体験してみてください。

チリからはケブラダ・デ・マクール社のアルバ・デ・ドムス09年。低価格のイメージが強いチリのカベルネ・ソーヴィニヨン種ですが、こういった上級品になると持ち前の濃さに加え、複雑さと上品さを感じさせてくれます。特に高騰が続くボルドー地方の赤の代替え品として、じわじわと人気が出てきました。

最後は食品です。去年大人気だったフランスのマセズ社のトリュフ・チョコの500g缶が再入荷しました。このトリュフ一粒で、食後のひと時がとても豊かな時間に感じられることでしょう。

「ボンジュール!サバ缶」と名付けられた、フランス産サバの缶詰各種。日本でもお馴染みのサバ缶が、おフランス産になると何故こうもオシャレになるのでしょうか?

真っ白なお皿にこの缶詰とフランスパンのスライスを並べただけで絵になりそう。ちなみにフランス語で「サヴァ」は「よ!元気?」といった意味のくだけた挨拶で、日本の鯖(サバ)をフランス語ではmaquereau(マクロ)と言うそうです。

2012年 10月

今月はご近所のお話。当店は南3条西3丁目の東向きにあります。

毎年春に近所の資生館小学校の児童さんが花壇を作って、店舗前の歩道に設置してくれます。今年はその花壇の隅に家内がひまわりの種を植えました。

毎朝、私が店先の清掃と共に花壇に水をあげていると、ひまわりはすくすくと成長して高さは1メートルほどに。

ただこのあたりは繁華街でもあるので、朝来てみると花壇にタバコの箱やビールの缶が捨てられていたりもします。

ある朝、せっかくのひまわりの茎が折られてしまい、私は折れた所をギブス代わりに厚紙を巻き付けました。

しかし数日後、夜の大雨で厚紙が外れてしまい、再びひまわりは同じ所から折れて萎れていました。

根からの水や栄養分の通り道が折れてしまうと、その先には栄養分が行かず萎れてしまうのかと思って、2日ほどそのままにしていた所、折れて地面を向いていた先の部分が首をもたげたように再び上に向かって伸び始めました。

私は見捨ててしまってごめんなさいと何度もひまわりに謝り、また厚紙のギブスを巻いてあげました。

するとその翌朝には、ひまわりの横に添え木が立てられ紐で固定されていたのです。

お隣の中山ミシンさんのお母さんが、ひまわりの様子を見て、添え木をしてくれたそうです。

この日の朝の清掃はお隣さんの前も念入りに行いました。地下街からこちらに引越して4年。ここに根を張って今後も長く営業していこうと心に誓いました。

さて今月のオススメワイン。

ブルゴーニュからは2種。エルヴェ・ケルランが造るブルゴーニュ規格の赤で、樽熟成させた上級品のキュヴェ・アッシュ09年。この年らしいふくよかな果実味と木樽の複雑さがうまく調和した、現代的ピノ・ノワール種の良さがこの価格で楽しめるのは絶対お得です。

ジャン・ジャック・コンフュロンが造るコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ規格のヴィニョット畑で08年。

実はこの畑ニュイ・サン・ジョルジュ村の1級クロ・ド・ラ・マレシャル畑に接する斜面下の良好な区画で、ニュイ・サン・ジョルジュの村名を名乗れる畑。

規格を村名から格下げしたお値打ちな値付けになっていますが、中身はバリバリの村名付きワインです。現代風な果実味主体ではなく、味わいの中心に酸味とタンニンがしっかりある伝統的スタイルですので、煮込み料理が恋しくなるようなピノ・ノワールです。

人気の生産者フレデリック・マニャンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ09年。凝縮した果実味とタンニンを、木樽の風味が包み込めたスケール感のある味わい。人気の理由が分かるマニャンのワイン各種が本数限定で特別価格になりました。

ボルドーからは今注目されるカスティヨン地区のシャトー・ブリッソン09年。メルロ種85%を12カ月樽熟成させた味わいは現代的で、売れっ子コンサルタントのミッシェル・ロラン氏を思わせるスタイル。この価格でふくよかな果実味があり、だれもが納得するようなボルドーワインです。

ディリーワインに最適なお値段のレ・クルーズの赤、白。白は南西部、赤は南仏と産地は異なりますが、ミディアムな果実味と酸、タンニンが調和したバランスの良い味わいは、毎日の食卓にピッタリです。

さて、今月のイタリアは低価格で良い物が多かったです。まずはロンコ社のフリザンテ(微発泡)で白とロゼ。白はトレビアーノ種、ロゼはサンジョベーゼ種から造られ、味わいは共に爽やかな辛口タイプ。口に含むと穏やかな泡が心地よく舌を刺激して、今年の暑さを一時でも忘れさせてくれるでしょう。

さらにお安いのがアブルッツォ州ブォン・ファットーレ社の赤と白。赤はモンテプルチアーノ種、白はトレビアーノ種でこの価格ですから、DOC規格の格下げ品ではないかと思います。特に白は1000円以上するDOC規格のトレビアーノ・ダブルッツォとしか思えない出来でした。箱で買うべきワインだと思います。