2013年 9月

今月は二つの話題がございます。

まずは、7月末からワインショップフジヰ玄関横の軒先スペースで野菜の販売を始めました。

この軒先マルシェの開催は、毎週金曜(雨天は休業の予定)の13~16時頃まで。

私の知り合いの佐藤さん親子が、自身で育てた野菜を朝収穫し、その本人が当社の店頭で直売しています。

畑ではくすりの代わりに愛情を注いで栽培しているそうで、

葉っぱにはポツポツと虫食い穴が開いていますが、野菜本来の味わいがしっかり感じられます。

種類はオカヒジキ、ズッキーニ、にんにく、アイスプラント、小松菜、レタス、きゅうり、

ツルムラサキ、トマト、はつか大根など。 虫も食べたくなるような野菜たちです。

元気はつらつのお母さんと、生真面目そうな息子さんのコンビも良く、沢山の方が足を止めて、

食べ方の説明などを聞きながら野菜を購入していただきました。

金曜の午後、近所にお越しの際は、ぜひ一度金曜マルシェをのぞいて見てください!


次は8月に家内の実家に行ったお話。

昨年から多くの番組や、雑誌で取り上げられている話題のお店、

東京の立ち食いフレンチレストラン「おれのフレンチ・銀座店」に家内と二人で行ってきました。

当日、実家を出る前に息子へ「一緒にご馳走を食べに行く?」と聞きましたが、

「立ち食いは疲れるから行かない!」と言われ二人で出発。

まずは新しくなった東京駅とその付近を散策し、1時頃にビル地下の飲食街で軽めの昼食を取り

「ではディナーに行きましょうか」と言って、お腹を減らすために徒歩で銀座に向かいました。

「おれのフレンチ」は僅かな数しかない椅子席を除くと、予約は無く並んで順番を待つシステム。

開店は4時からで「夕食を2時から並ぶ人はいないよね!」と思って、

店に2時15分頃に着くと既に17人が並んでいました。

東京の強烈な湿度と30度以上の中で待つこと二時間弱。

サンダル履きの半ズボンとポロシャツ姿でも、汗でビッショリ。

開店の前に、お店の方が冷やしタオルを出してくれた時は、本当に生き返りました。


そしてこの店のシステムの説明が始まります。

まず来た順番に店内に案内され、飲み物の注文を取り、

次も来た順に前菜等の冷製料理の注文を取り、最後も来た順番で火を入れた料理の注文を取ります。

なぜ一度に注文を聞かないのかと言うと、お店の看板になるような名物料理は一日何皿分と決まっているためです。

エビが好きな家内のお目当ては、活オマール海老のロースト1280円。

肉好きの私は、牛ヒレとフォアグラのロッシーニ(トリュフ)ソース1280円狙い。

しかしお店の方は無情にも「本日の活オマールは6皿、ステーキ・ロッシーニは20皿です」と言われました。

当然、ステーキは頼めましたが、オマールは僕らより前で品切れ、

家内は代わりに甘エビのタルタル・キャビアのせ680円を頼みました。

ここは食べたい物があっても、よほど早い時間に並ばないと希望通りには食べられません。

外で2時間も待った後に、家内の落胆した顔を見た時は、なにか騙された気分になりました。


でも、折角来たのだから今日の食事を楽しもうと気持ちを切り替え、

注文を済ませグラスでシャンパーニュを味わうと気分も高まって来ます。

泡の後のワインは仏ブルゴーニュ地方のルモワスネ社サントネ村の赤1992年が4850円とこれまた破格。

皆さんが一番気になる味に関しては、量目も味付けも十分以上で美味しかったです。

2時間並んで、立って食べるというシステムには賛否両論があるでしょうが、

絨毯とシャンデリアの中で食べると一人2~3万円で、

立って食べて一人3~4000円というのは、人口の多い東京では共に共存出来るのでしょう。

最後に私が会計を済ますと、家内は「私が払うから、食後のコーヒーは、座って!飲みましょう」と言って、

銀座のドトール・コーヒーで倒れこむように座りました。

このお店は、本人と相方が忍耐強い方で、

待っている間に通行人から行列の写真を撮られても気にしない方にお勧めします。

多少のトラブルがあっても、待ち2時間、食事2時間を共に戦い抜いた後は、

たとえ希望の品が食べられなくても、とても清清しい達成感と、連帯感に包まれるでしょう。


さて、今月のオススメワインです。

まずは今年もヌーヴォーの季節が近づいてきました。

今年フランスでは春から夏にかけて天候が悪く、開花時期も2~3週間遅れたのですが、

夏からは好天に恵まれ今、遅れを取り戻しているそうです。

毎年特に好評な生産者と言えば、まずはボージョレ地区で

自然派(有機栽培、自然酵母で発酵、酸化防止剤無添加)の代表と言える7番マルセル・ラピエールのヌーヴォー。

2010年マルセル氏が亡くなった後も奥さんと息子さんが力を合わせ、

濃さではなく澄んだ果実味と旨味を持った味わいを引き継いでいます。

次は日本人の仲田晃司氏が醸造するルー・デュモン。

樹齢70~95年の古木が残った8区画からのワインは、 ボージョレとは思えない濃度と複雑さを持ったマッチョ・タイプ。

そこそこの価格で良質な物をお求めでしたらポール・ボーデ社。

華やかな香りと果実味がたっぷり楽しめ、毎年、当社の新酒販売のトップです。

そして円安の今年、最安値のヌーヴォーはペットボトル入りジャン・フルール。

フランスからの航空運賃は重さで決まるため、ガラス瓶では絶対にあり得ない価格です。


北海道からは奥尻ワイナリーのピノ・グリ12年。ふらのワインのミュラートゥルガウ12年。

山崎ワイナリーのシャルドネ12年。それと野生酵母発酵による香りが独特な藤野ワイナリーのナオミ・ブラン12年。

昨年の北海道はとても暑かっただけに、道内の各ワイナリーで造られた12年産の白は、完熟した果実味がたっぷり。

今年も良い収穫に恵まれることを願わずにはいられません。


今月のブルゴーニュからの一押しは、フレデリック・マニャンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュ赤10年。

低収量だった10年らしいコクと、ロースト強めのスモーキーな樽香が合わさり、畑名付き以上の満足感が楽しめます。

逆に濃度ではなく、うす旨系好きにはムーラン・オー・モワーヌが

オーセイデュレス村の自社畑産ワインで熟成した96年、02年、04年はいかがでしょうか。

白の一押しはヴァンサン&ソフィー・モレのブルゴーニュ白08年。

5年を経て果実味と木樽の風味が調和し、飲み頃シャルドネの理想の姿が楽しめます。

ちなみに同じ造り手で、サントネ村の白08年は更に良いですよ。

フランスの赤では、ダンデゾンのコート・デュ・ローヌでヴィエイユ・ヴィーニュ11年。

濃くて強いシラー種を、搾ってそのまま瓶に詰めたような味わい。

一方ミネルヴォワ村のシャトー・ファバスは熟成した08年産。

シラー種、グルナッシュ種他が混じり合って、革製品や干した果実などの熟成香が楽しめる旨安ワインです。

白ではラングロワ・シャトーが、甘口で知られるコトー・デュ・レイヨン村の09年産。

涼しい産地の甘口は、爽やかな酸味がアクセントに効いてメリハリのある味わい。

辛口ではジュランソン村のカプドヴィエルが造る10年。

有名産地でなくても、造り手の情熱が伝わってくるような骨太な味わいです。


今月は泡で多くの良品が見つかりました。南仏ブランケット・ド・リムー地区でロジェが造る11年産。

完熟した果実の風味と、瓶内二次発酵によるきめ細かな泡がこの価格。スペインのカヴァから浮気したくなる出来です。

シャンパーニュ地方からは、ピノ・ムニエ種に命をかけるバロン・フェンテ社のグラン・ミレジム04年。

シャルドネ種がムニエ種の風味を包み込み、ゴージャスな味わいに仕上げています。

そしてアンドレ・クルエはピノ・ノワール種100%。

ふくよかな果実味と太い酸味は、食前酒ではなく食事と共に味わいたいタイプ。

イタリアの泡ではベルフィがグレラ(プロセッコ)種を自然派タイプに仕上げた辛口。

産地的には「プロセッコ」を名乗れますが、官能検査でこの産地のスタイルではない為に規格外となった泡。

瓶底にはたっぷりオリが溜まり、残糖が無い代わりにアミノ酸の旨味を感じます。この味わいはちょっと癖になりそう。

チリからの泡はバルディビエソ社のブラン・ド・ブラン。

葡萄はシャルドネ種だけですが、約3年も瓶内熟成を行うことで、豊かさと熟成旨味が楽しめます。


イタリアワインではファルネーゼ社の各種ワイン。この低価格でもたっぷりとした果実味を持ち、

味わいのバランスも良く、文句のつけようがない出来です。まだ未試飲の方は、ぜひ一度お試しください。

スペインからはアルマンサ地区のアタラヤが造るラ・アタラヤとアラヤ。

主体となるガルナッチャ・ティントレラ種は、果皮だけではなく果汁も果肉も血のように色があるため、

ワインに濃厚な果実味をもたらします。フルボディ好きの方は、絶対飲むべきワインでしょう。

スペインのリンゴで造られた157番マヤドールのシードラ。

リンゴは葡萄より糖度が低いため、アルコールも4%しかありません。

250mlのかわいい瓶なので、グラスに移さず瓶にストロー挿して飲むのもキュート。


最後は麦の泡・ビールです。ドイツ・クルンバッハ社のエック・ピルスと、173番英国ブレインズ社のSAゴールド。

特にゴールドは上面発酵のため、芳醇な香りが豊か。

二種類共に、白ワイングラスを用意し30センチほどの高さからビールを注ぎ、

1分程泡が落ち着くのを待ってから味わっていただくと、香りが広がります。

2013年 8月

今月は音楽のお話。

6月末に家内は一人でアン・サリーのコンサートに行ってきました。その後は、朝から音楽が流れているわが家。

私も中学生の頃は、当時流行りの洋楽とヴァン・ジャケットの服が大好きでした。

当時のレコードはとても高価でしたので、地下鉄大通駅改札前のなにわ書店に寄り、

音楽雑誌で新譜レコードの評価を立ち読みしてから、隣の玉光堂でレコードを購入。

しかし専門家の評価を読んでも、購入したレコード全てがお気に入りにはなりません。

その後、レコードはCDになり、価格も2000円ぐらいになってからは、前よりは気楽に買えるようになりましたが、

当たりか外れかは好みもあって、やはり勘に頼るしかないのでしょう。

その、なにわ書店と玉光堂が入っているビルに、3年ほど前レンタルの「ツタヤ」がオープンしました。

ここで時々映画のDVDを借りていましたが、ある時、音楽CDの品揃えが多いことに気付いたのです。

でも音楽家の方には申しわけないですが、製作費が百億円以上の映画「スターウォーズ」が100円で借りられるのに、

旧作でもCDのレンタルは1枚350円と聞き、その価格差にめげてしまいました。

さて今、狸小路4丁目のアルシュビル1階はパチンコ屋さんですが、

40年程前はエイトビルの名で1階は日本楽器(ヤマハ)のレコード店でした。

広い店内の中央には試聴用のレコードプレイヤーが20台ほど円形に並び、

プレイヤーの内側にいる店員さんに希望のレコードを渡すと試聴が出来る画期的な店でした。

ただ、CDと違い針を使ったプレイヤーの操作は店員さんに委ねられるため、

飛ばして次の曲を聞きたい等の希望はできません。

また音はヘッドフォンではなく、固定電話の受話器に似た形状の物がプレイヤーの左右にあり、

両手でそれを持ち続け音を聞きます。そして試聴後は、

向かいに店員さんがいるので、買わずに帰るのはちょっと度胸が必要でした。

さて、現代の「ツタヤ」にも、試聴用CDプレイヤーがヘッドフォンと共に数台設置されています。

CDですから、気に入らない曲を飛ばして次の曲にするのも簡単。

プレイヤーには 「混雑時は、長時間の試聴をご遠慮ください」 と書かれていますが、

言ってしまえば店内のCDは全部聞き放題です!

また試聴して気に入らなかったCDを返却するBOXまで用意されているのです。

そこで私は、今お気に入りの日本のジャズ「クオシモード」のCDを、3枚棚から選び試聴しました。

1枚は気に入らず棚に戻し、もう1枚は気に入ったのでレンタル。もう1枚は凄く気に入ったので2800円で購入しました。

こうして自分が納得してだと、レンタル350円も、購入2800円も全く気になりません。

ここ当分、我が家は音楽が鳴り響いているでしょう。

さて、今月のオススメ品。

ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ペイラボン04年。

カベルネ種のタンニンと、メルロ種のふくよかさが楽しめる典型的な味わいですが、

高騰が続いたボルドーでこの濃さと熟成感を望むと、今3000円はするでしょう。

「2000円で、そこそこの強さと、熟成感のあるボルドー」そんな今となっては夢のような赤です。

ブルゴーニュからはニュイ・サン・ジョルジュ村の生産者ダニエル・リオンが造るシャルドネ10年。

ブルゴーニュには赤が得意な人と、白が得意な人がいます。

ダニエルは赤で知られる為に、白はあまり人気が無く安めの価格で販売されています。

しかしこの白、複雑さはありませんが、バランスが良い出来で、お値打ちなのです。

ロワール地方からは定価3000円はするサンセール村の白で、

シャトー・フォンテーヌ・オードンの09年が信じられない価格で入荷しました。

この年フランスはとても暑かったため、シャープな酸味が特徴のこの村でも、酸味が穏やかでふくよかな味わいでした。

この年の味わいを理解して楽しめる方には、とてもお買い得な白です。

南仏では2000年以降、ラングドック地方の西側、ルーション地方が注目されています。

ここで注目の生産者ガルディエの白レ・グラシエール11年と、赤ラ・トル08年。

共にこの生産者でも上級品なのでそこそこの価格はしますが、ゆっくり味わって頂くと、

今この地区で何が起きているかが分かってくると思います。

造り手が安ワインだけではなく、自社畑で最高の区画からどこまで素晴らしいワインが生まれるか。

その挑戦している姿を白2400円、赤4800円(共に店頭価格)を払って、体験してみませんか。

イタリアの白では3種が良かったです。リグーリア州ルナエ社のヴェルメンティーノ種からの白。

北部らしい果実味に酸味とミネラルが複雑に絡み合っています。樽が無くても美味しい白が出来る典型のようなワインです。

次はエミリア・ロマーニャ州モンティチーノ・ロッソ社のコドロンキオ10年。

この州の宝ともいえるアルバーナ種を遅摘みし、一部貴腐化した葡萄を完全発酵させ辛口に仕上げた白。

ちょっと大げさに言うと、仏ソーテルヌ村のシャトー・ディケムが造る辛口白「イグレック」のニュアンスが感じられます。

香り、味、共に複雑で、フォアグラやレバー・パテあたりと相性が良さそうに思いました。

通の方に受けるワインではありますが、2倍の価格でも価値がある独特な味わいです。

お値打ち品ではプーリア州トッレヴェントが造るヴェント・ビアンコ12年。

2種の葡萄のブレンドで造られた白は、ジャスミンやライチの香りが華やかで、

豊かな味わいと共に満足感の高い旨安ワインです。

イタリアの赤ではマルケ州ヴェレノージが造るロッソ・ピチェーノ12年。

果実をつぶして瓶に詰めたようなフルーティな味わいは、

昼間、屋外でのバーベキューの時に、オン・ザ・ロックにしても美味しいでしょう。

新世界からはニュージーランド・シレーニ社のソーヴィニヨン・ブラン種12年。

きりっとしたメリハリのある味わいは、まさにニュージー・マルボロ地区の典型で、夏に最適の白と言えます。

次はメキシコからの泡2種。

この価格で瓶内2次発酵、葡萄はスペインとフランス品種のブレンドが上手く決まり、

私は本家である、スペインのフレシネより味わいが豊かでは、と思っています。

個人的にはブリュット・ナチュレの方が好きですが、コクと旨味はブリュットの方があるので、お好みでお選び下さい。

食品からはスペイン・フォルム社のワイン・ビネガー。

赤、白共に好評ですが、白に徳用瓶が入荷しました。

酸っぱさよりも果実感が豊かで、このお酢を生のまま少量味わっても、むせません。

ぜひ良いオイルと1:1で合わせたドレッシングをお試し下さい。

2013年 7月

先月の独り言で、積丹の旅館の話をしました。

プールや遊具付きの大きなお風呂があるホテルが好きな息子が、こじんまりとした旅館に付き合ってくれたので、

6月の小学校の開校記念日に、息子の希望で定山渓のプール付き温泉「ラ・グーン」へ日帰り入浴の約束をしました。

ここだけの話、父親としての義務感から渋々決まった日程です。

当日の朝食中に、海水パンツはどこにあるかとか、浮輪は持っていくかと、話をしている時に息子の友達から電話がきました。

「・・いや、今日はラグーンに行くんだ。・・うん、・・・ふーん、○○君も△△君も来るの?じゃ僕も行く。

何時に何処?わかった。じゃあーね」と電話を切り、食卓に戻ると

「今日はラグーンは止めて、みんなで(子供は無料の)サンシャイン・スポーツクラブのプールに行くことにしたから」

と言って今日の予定が変更になりました。

私と家内は二人で顔を見合わせたまま、何も言えませんでした。

小学校6年生になった息子が、初めて自分で踏み出した一歩かもしれません。

これからはどんどん親離れが進み、友達との時間が増えてくるのでしょう。

驚きと嬉しさ、そしてチョッピリ寂しい気持ちになった6月の休日でした。

さて今月のオススメワインです。

まずは北海道・余市の曽我貴彦さんが酸化防止剤無添加(サン・スーフル)で造る微発泡のロゼ。

これ、旨味がたっぷりですごくおいしいです。

普通の爽やかで切れの良いロゼ・スパークリングではなく、

果実を搾り果肉が混じった状態でそのまま瓶に詰めたような感じです。

余市近隣の農家さんの葡萄を見て、一般的なワインではなく、

濁り酒の様な味わいに仕上げた貴彦さんのセンスを感じずにはいられません。

次は札幌・藤野ワイナリーのマヤ。

黒葡萄だけで仕込んだロゼ・スパークリングは、前述の曽我さんと同様にオリを残しているので旨味たっぷり。

でも果皮の漬け込み期間の違いなのか、曽我さんのが美味しい濁り酒とすれば、

こちらは少し洗練された美味しいロゼのスパークリングです。

目の前にある葡萄を見て、どんな味わいのワインにするかを考える。

2種の道産の泡は、共に限られた予算の中でも造り手のセンスを感じさせてくれました。

ボルドーからはサンテステフ・ド・モンローズと、マルゴー村のシャトー・シャンテリュン09年。

モンローズは複数年をブレンドしたワイン。ミディアムですが熟成香と熟成旨味が楽しめてこの価格は良いですね。

シャンテリュンは天候の良かった09年ですから、ここ1~2年は完熟した果実感で美味しく飲めます。

でも、ポテンシャルが高い年なので、5~10年買ったことを忘れて熟成させた方には大きな喜びが待っているでしょう。

同じボルドーで2000円以下のクラスでは、シャトー・ボレール08年と、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン10年。

ボレールは39%も使っているプティヴェルド種のタンニンと複雑さが楽しめ、

モントーランは90%のメルロ種からふくよかさと柔らかさが楽しめます。

ブルゴーニュからは飲み頃でお値打ち品な赤、白。

ヴァンサン&ソフィー・モレがサントネ村の08年産シャルドネ種で造る白。

コート・ドール地区で、樽風味とふくよかでたっぷりした果実味が楽しめて、この価格は普通あり得ません。

メーカーの在庫処分で可能になった特別価格です。

赤はジヴリ村の筆頭ジョブロ家が1級畑で造る07年。

6年を経た今の時期は、果実感と熟成感の両方が楽しめます。

若飲みのイメージがあるジヴリ村ですが、良い造り手の物は少しでも熟成させると複雑さと旨みが乗って来ます。

こちらも在庫処分特価になっていますので、お値打ちです。

同じブルゴーニュの赤で、フィリップ・ルクレールのブルゴーニュ赤ボン・バトン10年と、

ユベール・モレのシャサーニュ・モンラッシェ赤08年。

ルクレール氏はジュヴレ・シャンベルタン村の名門ですが、このボン・バトン畑は隣のシャンボール村にあり、

柔らかな果実味と上品な樽風味が飲み手をうっとりとさせる魅力を持っています。

一方モレ家の赤はシャサーニュ村。ここは白で有名な村だけに、赤が売れ残った時はチャンスなのです。

08年は作柄も悪くないうえに、5年を経て少し熟成感が開いてきました。

南仏からは超旨安ワイン2種。まずはトゥトゥ・イーヴル、ペイ・ドック12年。

かわいい犬のラベルは、正直、あまり期待せずに試飲しましたが、

トップにスパイスの香りが来て、口に含むとふくよかで果実味とタンニンのバランスが良いのです。

調べてみるとタイプの違う4品種の葡萄を上手くブレンドしていました。

実は同じ犬ラベルの白ワインも試飲をしましたがボチボチでした。赤の方を是非一度お試しください。

もう1点は当社の定番ワイン。マルキ・ド・ボーランのシャルドネ、ペイ・ドック11年。

南仏の大手生産者フォンカリユ協同組合が造るこのシリーズ・ワインは、赤、白各品種共に大好評ですが、

特にこのシャルドネ種はふくよかな果実味だけではなく、酸味とミネラルが感じられてかなりの出来だと思います。

イタリアからはボッター・カルロ社のブリンディジ・リゼルヴァ08年。

南のプーリア州らしいふくよかで骨太な味わいが、5年を経て美味しくなってきました。

どうしても私は練れたワインには評価が甘くなってしまいますが、この価格はお値打ちですよ。

同じイタリアからロンボ・ビアンコ11年、ロンボ・ロッソ12年。白、赤、共に2品種のブレンドタイプ。

白は華やかな香りとふくよかな果実味のぽっちゃりタイプ。赤はストロベリーの香り豊かなスレンダータイプ。

赤、白、共に、この価格としては大満足の味わいです。

さらにポルトガルからも驚きの旨安ワインが入荷しました。

アデガ・ド・モレイロのティント(赤)、アデガ・ド・モレイロのブランコ(白)。

こちらも赤は3品種、白は2品種のブレンドで、両方ともにふっくらタイプ。

しかも白は穏やかな酸味が、赤には細かなタンニンがあるため、少し奥行き感と複雑さすら感じさせます。

今月の旨安大賞は、フランス、イタリア、ポルトガルが三つどもえの争いとなりましたが、

私には僅差でこのポルトガルが勝ったように思われます。個人差や好みの違いもあるので、

ご興味のある方はご自宅でこの三カ国対抗旨安ワイン選手権を実施してみてはいかがでしょうか。

今月は食品でもオススメがございます。山形県でハム、ソーセージの風味堂が作るオツマミ、豚珍乾(トンチンカン)。

ここの特製ジャンボ・サラミを、縦ではなく横長にスライスしました。当然サラミですから塩分も油分も強いですが、

この価格でこの味わいと品質はなかなかの物だと思います。

オーストラリア・タスマニア島のレザーウッド・ハニー。

植樹しても、開花まで100年近くかかるレザーウッドの花のミツがこの価格は破格!

にが旨味と複雑さを持った味わいは、薬と思って味わった方が良いほどです。

マイオーネ社の種付きオリーブの各サイズ。

オリーブが嫌いな方は塩分とお酢の酸っぱさが苦手ですが、このオリーブは塩水への漬け込みが浅く酸っぱくありません。

ですから、新鮮なオリーブの果肉そのままの味わいが楽しめます。オリーブ嫌いな方にこそ、味わっていただければと思います。

2013年 6月

今月は5月に積丹の旅館で一泊した家族旅行のお話。

実はこの旅行中の二日間、小学6年生の息子と何度もケンカになりました。

原因はたわいもない事でしたが、後から家内が言うには、私の叱り方は息子の心を逆なでする言い方だったそうです。

考えてみると、私は通常木曜日がお休み。

木曜は息子の学校があるので、帰宅する4時ごろから就寝までの半日しか一緒に過ごさないのに、旅行中は朝から晩までずっと一緒。

すると、私の中で父親としての責任感がムクムクと顔を出し、息子の気になる態度に私の小言が出て、

売り言葉に買い言葉で険悪になってしまうのです。

ところが、家内は息子を叱っても引き際が上手く、私から見るといい親子関係なのです。

小さいころから問題児だった私。さらに父親が小学4年生の時に亡くなり、母親は仕事で手一杯。

学校から帰宅しても家に誰もいないので、私は宿題もせずに好き勝手に遊んでばかり。

そんなせいで私は怒られた経験がないまま父親になり、いざ自分が息子を叱ろうとしても上手く出来ません。

家内に「どうやって息子を叱ればいいの?」と聞くと、もっと息子と接する時間を増やして何度も喧嘩するしかないよと、つれない返事。

だんだんと大人に近づき、親の言うなりにならなくなってきた息子との関係を改善するには、当分時間がかかりそうです。

さて話は変わって、泊った積丹の小さな(失礼)旅館のお話。

有名なミシュランのガイドブック北海道版で2★評価を受けた「美国観光ハウス」の予約が偶然にも取れました。

評判通り、手作り感と暖かみのある料理はとても良かったです。

また、飲み物リストに数点載っていたワインの選択も、店主が料理と合わせて試飲をし、選別したと思える物が揃っていて好印象でした。

個人経営の飲食店でオーナーがワイン好きですと、ワインリストには

ムートンやマルゴーなどの超高級品が真っ先に鎮座していることが時々あります。

しかし、この宿のお薦めワインは4000円前後。

赤は値上がりの続くボルドーを避けてチリのモンテス・アルファのカベルネ。

白はやはり高いブルゴーニュ・シャルドネを外して、アー・エ・ペー・ヴィレーヌのブーズロン・アリゴテ。

種類は多くなくてもお客様の立場で厳選されたワインは、料理やサービスと同様にオーナーのお客様に対する思いが伝わりました。

決して広くはないお部屋(失礼)が9室のみ、お手洗いは共同、お風呂も温泉ではありません。

プールや遊具付きの大きなお風呂のあるホテルが好きな息子が、

ここで朝食を食べた後に「お母さん、ボクは今日もここに泊まってもいいよ」と言ったのには驚きました。

なかなか予約が取れなく、お値段もそこそこはしますが、苦労してでも行く価値がある宿でお薦めします。

さて、オススメワイン。

今月は白で良質な物が多く見つかりました。まずは地元北海道から。

千歳ワイナリーが造るレシラ・シリーズのミディ12年。暑かったこの年らしい完熟した果実感と、品種特有の酸味が調和しています。

500mlのサイズとこの価格も、かしこまらずに楽しめそう。

アスパラをはじめとする春野菜にも相性が良いので、屋外のジンギスカンと共にいかがでしょうか。

もちろん、スクリューキャップですから、コルク抜きも要りません。

岩見沢市の宝水ワイナリーからは上級品、雪の系譜シリーズのシャルドネ12年。

特に白が良かった12年らしく、香りに未熟さがありません。

辛口でミディアムな果実味と調和した酸味がバランス良く、まさに北国で完熟した清らかなシャルドネ種のイメージです。

仏ボルドーのブライ地区シャトー・ボーモン・レ・ピエリエールの白12年。

味わいは仏ロワール地方のソーヴィニヨン・ブラン種を思わせる爽やかさですが、

少し温度が上がってくると樽発酵による複雑さが開き始めます。

高騰を続けるボルドー赤ですが、白は良質でお値打ちな物が時々見つかります。

ブルゴーニュからはセクストンのサン・トーバン村で赤06年。

有機栽培で、野生酵母による発酵ですからアニマル系の還元香はありますが、7年を経た熟成旨味は私にとってはたまりません。

まだ試してはいませんが、マグロの握りにも合うのでは?と思っています。白で知られる村の赤は時々めっけもんが見つかります。

同じブルゴーニュの赤で、フィリップ・ルクレールのブルゴーニュ赤ボン・バトン10年と、

ユベール・モレのシャサーニュ・モンラッシェ赤08年。

ルクレール氏はジュヴレ・シャンベルタン村の名門ですが、このボン・バトン畑は隣のシャンボール村にあり、

柔らかな果実味と上品な樽風味が飲み手をうっとりとさせる魅力を持っています。

一方モレ家の赤はシャサーニュ村。ここは白で有名な村だけに、赤が売れ残った時はチャンスなのです。

08年は作柄も悪くないうえに、5年を経て少し熟成感が開いてきました。

南仏からはミネルヴォワ地区のシャトー・ドンジョンが、隣のカバルデ地区で造る赤08年。

5年を経て3品種が混じり始め、飲み頃の美味しさが楽しめます。しかもこの価格は間違いなくお値打ちです。

イタリアからはファルネーゼ社の大人気カサーレヴェッキオ・シリーズで、ペコリーノ種からの白11年。

南部の白はもったりした味になりやすく私は避けていましたが、この白はそんな思いを裏切ってくれました。

凝縮した果実味を持ちながら、爽やかな味わいに仕上げてくるのはさすがファルネーゼ社です。

スペイン・ビエルソ地区からはアルヴァレス・ド・トレド社で、品種は今、注目のゴデーリョ種の白と、メンシア種の赤。

白は爽やかな柑橘と熟した桃の香り。ふくよかな果実味を酸味が引き締めた豊かでメリハリのある味わい。

赤は、スペインのピノ・ノワール種と称されるメンシア種。ブルーベリーシロップの濃そうな香り。

5年を経てふくよかな果実味と樽の風味が混じり始めています。

赤、白、共にパーカー90点評価を受けた味わいはインパクトがあり、料理が無くてもワインだけで満足させてくれます。

しかもこの低価格!今月の安旨大賞は、当然、赤、白、共にこちらに決定です。

食品からはニュージーランドの新着はちみつ三種。

カカラ(百花・数種の花のブレンド)、ラタ・フラワー、ホワイトクローバーの3タイプとも独自で、濃厚で、複雑です。

ここまで味わいが豊かですと、何かにかけたり、入れたりするのではなく、

そのままティースプーンで一舐めするのが一番美味しいような気がします。

そして長崎県小佐々(コサザ)の煮干し。昨年から品切れていましたが、やっと今年の漁が始まり入荷して来ました。

10センチほどの大きさも立派ですが、何よりもお出汁にした時の味わいです。

品切れ中は、同じ小佐々港産で少し小振りの物を扱っていましたが、やっと6月から入荷いたします。

煮干しファンの皆様、ご迷惑をおかけいたしました。 

2013年 5月

お気づきになったと思いますが、

フジヰニュース5月号からワインリストの順番を変えて、地元北海道のワインを先頭に持ってきました。

これは当店のお客様から伺った話が発端です。その話とは、今から30年近く前にオーストリアで何軒かのワイン生産者が、

生産する甘口ワインの味を良くするために、ジエチレン・グリコールという薬品を添加した事が発覚しました。

この問題はドイツにも飛び火して、当時、全国の酒小売店(もちろん当店も)や、

デパートの商品棚からドイツとオーストリアのワインが撤去されました。

当然、オーストリア・ワインの販売量は激減しました。

オーストリア政府はワイン法を厳格化し 品質向上を目指しますが、販売はすぐには増えません。

そんな時に立ちあがったのが地元のレストランとソムリエ達で、

ワイン・リストの先頭に地元のワインをもってきて販売を助けたそうです 。


これなら当社にも出来ると思い、5月から地元の北海道産ワインをフジヰニュースの先頭にしてみました。

もちろん、当社でも販売量はフランス・ワインが筆頭で、輸入物全体に対して北海道産の比率は1/10以下です。

でも、北海道を思う気持ちは1/10ではありません。

皆さんのお宅で親戚から毛ガニが送られて来た時、あるいは本州からのお客さんと共に食事をする時、

地元の食材に合わせて地元のワインを年に1~2回でも味わっていただける方が多くなると、

道産ワインの全体量が何割かは増えると思います。

小さな応援でも、人数が集まると大きな力になる事を願って、たまには地元の食材と地元のワインを合わせてみませんか。


さて今月のオススメ・ワイン

札幌ばんけい峠のワイナリーの白12年。ここは醸造過程でSO2(酸化防止剤)は使いません。

SO2を使わないと、すりおろしたリンゴが赤く変色するようにワインは酸化します。

皆さんが想像する若い白ワインは、クリアな淡い黄色でフレッシュ&フルーティな味わいだと思います。

でもSO2を使わない白ワインは、若くても酸化が進み数年以上熟成したような風味が出てきます。

色は黄色に茶のトーンが混じり、少し漬物の様な酸化した香りが出てきます。

このような風味は好き嫌いになりやすいのですが、この白はマスカット香の強い、

ナイヤガラ種やポートランド種をブレンドすることで、酸化香をマスカット香が包み込み、 バランスの良い味わいに仕立てています。

SO2無添加ワインを試してみるには最適の白だと思います。


今月はボルドーで熟成した飲み頃ワインが多く入荷しました。

オー・メドック地区のシャトー・マレスカス03年。

暑かった03年産は例年より一回り濃くて人気が高く、 10年を経て市場ではだんだん見かけなくなりました。

今のマレスカス03年は豊かな果実味と、熟成感の両方が楽しめ、今でも、更に数年の熟成も可能なポテンシャルがあります。

03年産を見つけたら迷わず、即買いです。

グラーブ地区のシャトー・オリヴィエ白01年。

ボルドーの2000年は誰もが知るグレート・ヴィンテージですが、同じボルドーでも収穫時期の異なる白は00年よりも01年の方が作柄良。

しかし一般の01年のイメージは「良くない年」なので、この年の白は、値上がりが少なくて良質なのです。

熟成した白がお好きな方には是非お奨めします。

サン・テミリオン地区のシャトー・オー・フォンラザード04年と、カスティヨン地区のシャトー・リュカ04年。

共に9年を経た04年で、ちょうどタンニンがこなれて美味しくなってきた頃です。

有名な05年の陰に隠れたこの年も、値上がりが少なく飲み頃でお買い得なワインが見つかる年です。

ボルドー規格の10年産、シャトー・ラ・ローズ・モントーラン。

まだ3年しか経っていませんが、これが素直に美味しいのです。

この価格なのにふくよかさがあって、うっすら木樽の風味も感じます。

手間のかかる木樽熟成ではなく、タンクにオークチップを入れて熟成させたのかも知れませんが、

とにかくバランスの良い味わいです。普段のデイリー・ワインには最適の赤だと思います。


ブルゴーニュではクルティエ・セレクション・シリーズのコート・ド・ボーヌ・ヴィラージュ93年。

20年前のブルゴーニュでこの価格ですよ!香りには古酒にありがちな紹興酒の風味が少しありましたが、

味わいには果実味が今もしっかり残り、ブラインドで出されたら99年あたりと答えそうな状態でした。

あとはセリエ・デ・ウルシュリーヌ社と、トプノ・ピエール家の飲み頃ワインが入荷しましたが、現時点では試飲がまだでコメントできません。

2軒の生産者は共に良い収穫年で、価格も控えめなので、私自身も大変期待しています。

白ではブレット・ブラザーズのマコン・クリュジーユ10年。

有機栽培の自然派ワインと言うと、味わいは薄旨系の繊細なタイプが多いですが、ここの白は濃さ強さがガツンとくるタイプ。

今風で言うと「肉食系男子」にお勧めの自然派ブルゴーニュの白です。


南仏からはシャトー・ラヤスがヴォークリューズ地区で造る赤。本家シャトーヌフ・デュ・パプにあるラヤスは定価20,000円以上ですから、

近隣の産地でこの価格はとてもお値打ち感があります。

味わいは大樽熟成された20年前のバローロを思わすような、果実味ではなく練れたタンニンと熟成旨味のスタイルです。

泡ではリムー村のロジェが造るブランケット・ド・リムー。

泡の産地と言えば、一般には北部の涼しいところですが、南仏リムー村はシャンパーニュ地方よりも先に泡を造っていた所。

この価格で最上の製法、瓶内二次発酵法を用いクリーミーできめ細かな泡を実現しています。

そして今月の安旨大賞はコンテ・トロザン地区のラヴィラ白11年。

この地区はアルマニャック・ブランディの産地ですが、

蒸留してブランディにせずに原料の白ワインをそのまま瓶詰めしたところ評判になりました。

ふくよかな果実味と、爽やかな酸味が調和した美味しいワインを蒸留すれば、更に美味しいブランディになると言うことでしょう。


さてイタリアからは、先月もオススメしたフリウリ州の生産者イル・カルピノがフリウラーノ種で造る白。

ジャスミンを思わす香りに、豊かなミネラル感が広がる様はかなり上質な味わいで、

料理無しでワインだけでも楽しめる豊かさを持っています。

ご予算に余裕があれば、上級品のピノ・グリージョ種も感動できます。

ボッター・カルロが造るロマーニャ州のサンジョベーゼ種08年。

この価格帯で赤のライバル、キャンティと比べても、豊かな果実味と少しこなれた熟成感が楽しめます。

もう少し熟成した方がお好きな方には、同じ生産者のコペルティーノ07年産をオススメします。

今月のイタリアで一押しはサン・パトリニャーノが造るロマーニャ州のサンジョベーゼ種06年。

生産者はなんと麻薬等の中毒患者の更生施設。ここはワイナリーだけではなく、

牛や豚を飼育する酪農業や、織物などの生産をしているそうです。

そして目的が利益ではなく更生ですから、現代の農業で見捨てられた手の掛かる作業をここでは行っているのでしょう。

教官はいますが、残りは素人の集団が造ったワインが、何代も続く名門生産者のワインを近年の品評会で打ち破っています。

その内、イタリア最高の工芸品は、更生施設で作られるようになるのかもしれません。今回の特別価格で是非一度お試し下さい。


スペインからはアタラヤが造るアラヤ10年と、カスターニョが造るロゼ10年。

ピンとキリのような組み合わせですが試飲の際、とても印象が良かった2点です。

ロゼはイチゴの風味が華やかで爽やかなタイプ。これからの時期に屋外で楽しむには最適のワインでしょう。

一方アタラヤの特醸品は強烈でした。あと少し凝縮したら、液体ではなくゲル状にでもなりそうな濃度。

これに難癖を付けるとすれば、上品さがないぐらいでしょうか。

私の予想ではパーカー氏から100点は取れなくても、95~98点評価はもらえそうな出来で、

この価格というのは世界中探してもライバルはいないと思います。

味が濃すぎて一人で1本は飲めないでしょうから、数人で味わって感動できる事を思うと、お値打ちワインの中に入ると思います。

最後は食品から。今ワインでも、オリーブ・オイルでも最高の評価を受けているオルネッライア。

輸入業者の変更に伴い、4、410円の品が特価で入荷しました。

ワインの最高級品の値段は天井がありませんが、最高のオイルの味わいをこの機会に試してみてはいかがでしょうか。

地元からは、余市ソガ・タカヒコのピノ・ノワール種で発酵が終わったワイン酵母に、

グラニュー糖と、山形産アカシアのはちみつを加えて作ったオリジナルのジャム。

口に含むと、チョコレートと赤ワインがマリアージュしたような初体験の味わいです。

店頭にサンプルがございますので、是非ご試食してみてください。

スペイン・マラガ地方ラ・ボルヘニャ社の枝付きレーズン。

完熟したマスカット葡萄を天日乾燥させたレーズンは種まで熟しているため、

丸ごと噛んでいただくと種が香ばしいナッツのように味わえます。

熟成したチーズとは最高の付け合わせになるでしょう。

2013年 4月

2月の下旬、余市へ行って来ました。

毎年この時期、余市の葡萄栽培農家さんがワイン生産者さんと共に開催している「余市のワインを楽しむ会」に参加するためです。

会場は余市町中央公民館2階の会議室と廊下を全部使い、立食形式で行われます。

今回の入場者は450名、地元では募集後すぐに完売となるプラチナ・チケットだそうです。

私は昨年から参加していますが、ワインをサービスする各メーカーのブース前はすし詰め状態。

その中でワイン・グラスと、試飲のコメントを書くノートを持っていると、初めての方に名刺を渡すことが出来ません。

そこで妻に、「札幌・ワインショップフジヰ・藤井敏彦」という名札を頼んだ所、出来上がった名札は、

横16センチ、縦11センチの特大サイズ。付けるのに勇気がいる大きさです。

今年は「ワインを楽しむ会」の前にセミナーが企画され、

共に日本のワインに詳しい石井もと子さんと、 鹿取みゆきさんによる講演がありました。

石井さんはここ10~20年で有名になった新しいワイン産地、米オレゴン州と、ニュージーランドの2地区が、

世界のワインマーケットにどんなプロモーションを行い、認知されるようになったかを説明。

鹿取さんは葡萄栽培農家がワイナリー設立に向けての注意点を、

九州の茶葉農家がお茶の自社ブランドを展開しカフェも併設して直売を行っている例を出して説明していました。

その後の質疑応答では、講師の方が提案した余市にワインのインフォメーション・センターの 設置案に関して

賛成意見が多く出され、出席していた余市町長は財政赤字を理由に苦しい答弁を繰り返していました。

さて当日、私はセミナーの会場に着き次第、胸に特製の大きな名札を付けました。

知り合いの方からは「その名札はどうしたの?」とか「藤井さんも今日の講師なのですか?」とひやかされました。

そしてセミナーの後で宴会が始まると、450名の中で名札を付けているのは私一人。

「札幌のワイン屋さんですか!私は○○と申します」とか、

「藤井さん!紹介したい人がいる」と声を掛けられ、私のポケットは名刺で一杯。

集まった名刺の中には、先程ステージで苦しい答弁をしていた町長さんとか、

前の町長さんとか、普段はお会いできないような方々ともお話しができました。

昨年、名札を付けずに参加した時は、こんなに名刺は集まりませんでしたから、

まさにこの名札のおかげです。次から大人数の会には名札を付けようと決めて、妻に礼を言いました。

さて今月のオススメ・ワイン。

ブルゴーニュ地方では低価格でも良質な物が見つかりました。

ジャン・ルイ・カンソンのシャブリ1級畑11年、ブルゴーニュ・シャルドネ11年、ブルゴーニュ・ピノ・ノワール11年の3種。

特にシャブリ1級畑は、樽なしシャルドネでは理想の姿と言える出来。

ブラインドで出されたら3000円以上の価値があると思いました。  

さらにブルゴーニュ規格の赤、白は、この価格ですから全く期待せずに試飲を開始。

一口味わった後、そつのない出来に当社スタッフ全員の目が丸くなりました。

この価格のブルゴーニュがあるだけでも驚きなのに、薄っぺらでなく、ちゃんと楽しめる味わいを持っています。

多分、買い付け担当者は、随分苦労をしたのだと思いました。

そして共に2000円以下、ロジェ・リュケのサン・ヴェラン村10年と、

同じマコン地区の生産者ロシュバンのブルゴーニュ・ピノ・ノワールでもヴィエイユ・ヴィーニュ10年。

白は樽熟成をしていませんが、少し凝縮感のある果実味をミネラル感が引き締め、良く出来たマコン地区の上物。

赤も樹齢50年が納得できる凝縮感と木樽の風味があり、間違いなく2000円以上はするだろうという味わいです。

ボルドー地方からは、プルミエ・コート・ド・ボルドーのシャトー・スオウで上級品のフ・ド・シェーヌ(樫樽熟成)00年。

凝縮した果実味と豊かなタンニンが、13年を経てもまだまだたっぷり味わえます。

やっぱりボルドーは熟成感と共に、そこそこの濃さ強さがあった方が好きと言う方には理想と思える出来でしょう。

この価格で久しぶりに00年らしいワインに出会えた気がします。

イタリアからは北部の白でとても良質な物が見つかりました。

北部リグーリア州ルナエ社のヴェルメンティーノ種からの白。キンカンの砂糖煮の香り、

遅摘みを思わせるふくよかな果実味を引き締めるアルコール感。

凝縮感と奥行きのある味わいは、なかなかの物だと思います。

私の一押しは、フリウリ州のイル・カルピノがルンク畑で造る白3種。

ソーヴィニヨン種の白は、果実味の凝縮感がちょっと信じられないレベル。

しかも樽無しのタンク熟成で、これほど複雑な味わいは初体験でした。

マルヴァジア種は果実味よりも、溢れるミネラル感。柑橘の皮とアルコール感が、舌の上をギシギシと刺激します。

さらに上級品のセレツィオーネ・マルヴァジアになると、私は仏ローヌ北部のエルミタージュ・ブランを思い浮かべました。

そしてヴィーニャ・ルンクのビアンコはブレンド・タイプ。果実味お化けのソーヴィニヨン種と、

ミネラルお化けのマルヴァジア種が上手く合わさると、ふくよかでバランスの良い白に生まれ変わります。

改めて生産者イル・カルピノの実力をまざまざと見せつけられた気がします。

そしてジェラルド・チェザーリがピノ・グリージョ種で造る白は07年産。

輸入業者が長期在庫品の為に特別価格になって入荷しました。

6年を経た黄金色の色調、麦わらを思わす華やかな香り、

ふくよかさとミネラル感に熟成旨味が合わさり、これ以上はあり得ないような味わいでこの価格!

私は2倍でも安いと思います。間違いなく今月の旨安大賞はこのワインです。

最後に地元からは(株)北海道ワインの北海道・ケルナー11年。

この価格でこの品質は、さすが大手生産者と納得しました。

今まで同社には甘口ワインのイメージが強かったですが、このメリハリのある豊かな酸味は

同社が新しいステップに進んだ事を感じました。道内のワインは、今後ますます目が離せません。

2013年 3月

今月はワインのお話。

年が明けて1月中旬、昨年秋に創業して初仕込みを終えたブルース・ガットラブさんの10R(トアール)ワイナリーさんと、

三笠の山崎ワイナリーさん、千歳の中央葡萄酒さんに伺い、12年産のワインを試飲して来ました。

昨年の北海道の夏はとにかく暑かった。特に夜の寝苦しさは、北海道でもクーラーが欲しくなる程。

昨年の8月頃は、余市でも、空知でも葡萄生産者さんは皆笑顔で「今年はいいべ!」という声がどこでも聞かれました。

その後お盆を過ぎて、9月になっても暑さは続きました。しかしその頃から、

こんなに暑いのに葡萄の糖度が上がらないと言う声が、 生産者さんから少しずつ聞こえてきました。


好天の中で植物の葉がどんどん光合成をして栄養を作ると、

その栄養は葡萄の実に集まり甘く熟すだろうと普通は思います。

さて、植物は気温の変化で今の季節を感じているそうです。

暑い夏の時期は1センチでも高く背を伸ばし、1枚でも多く葉を増やして、

太陽のエネルギーをいっぱい受け止めようとするそうです。

そして朝夕が涼しくなってくると、植物は秋の到来を感じて木の生長を止め、冬に向けて木の生存のために身繕いを始めます。

そして自身の木が枯れてしまうことも想定して、子孫を残すために種を準備します。

しかし植物は足が無く自分で移動が出来ないので、種を別な場所にまくことができません。

そこで木は甘い実を成らせ、その実の中に種を入れたのです。甘い実は種を運んでくれる動物たちへのお駄賃。

実と共に食べられても種は消化されないため、動物と共に移動した後に糞と共に種がまかれます。

そこで条件が整えば、違う場所で芽が出るのです。


そこで昨年の天候を考えてみると、9月までは昼も夜も暑さが続き、植物は夏と思って木の生長を続けました。

10月になると雨が続き急に寒くなったので、季節は秋を飛ばして冬になりました。

種と実に栄養が蓄積される秋の期間が短かったため、あれほど暑かったのに思ったほど糖度が上がらなかったらしいのです。

しかし9月までは恵まれた気候で葡萄は生長したため、特に白はふくよかな味わいで全般に出来が良かったです。

赤は全体に淡い色調ですが、やはり中盤まで天候が良かったおかげで未熟な青さがなく、

あと2~3年も経てば熟成旨味が広がりそうな予感を持ちました。


子供の頃はてるてる坊主を作ったり、「明日天気になぁれ!」と靴を飛ばして天気を占いました。

あの頃より予報の精度は上がりましたが、葡萄の出来はやはりお天気次第なのですね。



さて今月のオススメワインは白で良い物が多く見つかりました。

ブルゴーニュの2010年は果実味に酸味とミネラル感が調和した素晴らしい白が造られた年。

サヴィニ村のシモン・ビーズがシャンプラン畑で造るブルゴーニュ規格の白と、

ベレーヌ(ニコラ・ポテル氏のブランド名)がサヴィニ・レ・ボーヌ村の自社畑で造った白は、価格以上の味わいでお薦めします。

でも、驚いたのは、赤で知られるフィリップ・シャルロパン・パリゾが07年産のシャブリ村で造った4種類の白。

正直言って今、一番の飲み頃はプティ・シャブリ07年でしょう。

昨年末から各生産者の並シャブリは11年産が日本に入荷しているのに、

シャルロパンが初めて造ったシャブリ07年産は6年以上熟成させて、

プティ・シャブリがやっと開き始めて来たというのです。

安旨とは良い辛い価格ですが、今月の一押し白です。


ボルドー地方からはオーメドック地区のシャトー・シャルマイユ02年。

この年は暑かった03年の陰に隠れて過小評価されていますが、小粒でも健全なカベルネ種のワインが造られました。

シャルマイユはまさにこの例で、完熟した果実味と熟成感が両方楽しめました。

シャトー・ヴァランドローのオーナー、テュヌヴァン氏が

「サンテミリオン地区じゃないけど、とても美味しいよ!」と言って造ったボルドー産赤、バッド・ボーイ08年。

5年を経た08年産は、そろそろ飲み頃に入り始めて来ました。


仏ロワール地方ではジョルジュ・ブリュネのヴーヴレ村01年と、デ・ゾービュイジエールのヴーヴレ村シレックス11年。

造り手は違っていても、同じヴーヴレ村、同じ品種のワインで、10年の時の流れを体験してみるチャンスです。

南仏からはミネルヴォワ村のシャトー・ベルヴィスでとても暑かった03年。

私はスパイス感とアルコール感が落ち着き、 アニマル系の熟成香が出てきた南仏の赤は大好きです。

10年熟成してこの低価格ですから、今月の赤の安旨大賞を受賞です。


今月のイタリアは赤が良かったです。

まずはピエモンテ州ピオ・マッカリオのシャルドネ種の白と、バルベラ種の赤。

共に北国らしい爽やかな酸味と果実味が楽しめて、この価格はとてもお買い得です。

北海道でもこのような赤ワインが安価で出来るようになれば、、、なんて思ってしまいました。

赤、白共に、安旨大賞の第二位受賞です。

あとは少し高くはなりますが、同じピエモンテ州でエンツォ・ボリエッティの

アルバ村産バルベラ種10年は、さすがと思わせる厚みと複雑さが出て、この価格でしたら充分お得だと思います。

飲み頃ワインではトスカーナ州ベリーニ社のコメディア08年。

イタリア品種とフランス品種が5年を経て上手く調和しています。

イタリアでもなく、フランスでもない、混血の複雑な味わいが楽しめます。


スペインの白ではリアス・バイシャス地区のグラン・バザンが造るアンバル06年。

爽やかさと熟成感の両方が楽しめる不思議な味。

少しワイン通の方に受けそうな、味わい深い白です。

私が大好きなリースリング種ではチリでビーニャ・レイダ社のリースリング11年。

爽やかな酸味の美味しさは、本場ドイツも驚くような出来の白でした。


北海道からは、暑かった12年産の白が入荷してきました。 宝水ワイナリーのケルナー種とシャルドネ種は、

共に完熟した果実味と爽やかな酸味の調和がとてもバランス良く仕上がっています。

改めて、道内の白の品質は、どんどん上がっているのが分かるような出来でした。


最後は食品から、スペイン・フォルム社のワイン・ヴィネガーで赤、白。

私もこのお酢をそのまま飲んで、むせませんでした。

果実感があって、ワインとお酢の中間と言った感じ。

これは是非一度味わっていただきたい初体験のお酢です。

店舗にサンプルがございますので、ご興味がある方は試飲が出来ます。

2013年 2月

夏と共に冬休みの間も、家内と息子は東京の実家に帰省します。

正月明け、ジージ、バーバの元で好き放題をしている息子から珍しく電話が来ました。「お父さん、マグロが一匹いくらになったか知ってる?」

そう、東京築地市場の初セリで大手寿司チェーン店が、マグロ一匹を一億五千万円で競り落としたニュースの事です。

電話で私がそのニュースは知っているよ、と答えると「ワインショップフジヰは、そのマグロ買えるの?」。ちょっと想定外の息子の質問にドキマキしました。

「お父さんだけでなく、会社のみんなで必死に1年間働いたお店の売上の合計だったらそのマグロは買えるけど、

そうしたら残りのお金は殆どなくなっちゃって、会社のみんなのお給料も払えないよ」と答えました。

息子は「でもすごい!買えるんだ!」と言って喜んでいました。

数年前まで、お年玉は大きい500円玉がお気に入りでしたが、 小学5年生にもなればお札の魅力も解っています。

しかし大人であっても、1億円の実際のイメージは銀行勤務でもなければ分からないのが事実かも知れません。

そんな時、息子も大好きなマグロのお寿司。その魚が一匹、一億五千万円というニュースは、

随分昔あった「三億円強奪」のニュースと同様に、良い意味で社会勉強になるものだと思いました。そして、今年のフジヰはもっと頑張らないと、年明けマグロの初セリ価格に追い越されてしまうでしょう。


さて今月のオススメワイン。

まずは仏ブルゴーニュ地方の赤から、クリストフ・ブリチェックが造るモレサンドニ村クロ・ソロン畑の赤10年。

香りのトップはスモークで、直ぐにチェリー・シロップ。舌の上でも瑞々しいチェリーの果実味が広がります。

今は魅力的な赤系果実の風味だけでも美味しく飲めちゃいますが、酸味とタンニン、そして上質な樽の風味がたっぷり溶け込んでいます。

でも真の飲み頃はあと7~8年熟成させてからでしょうか。もちろん予算に余裕のある方は、5番同じ造り手の1級畑の方を絶対お奨めします。

お安めの物ではパトリック・ユドロのブルゴーニュ・ピノ・ノワール10年。

この低価格で有機栽培をおこない、十分以上に薄旨系の美味しいワインに仕上げています。

ところで、09年が最高の年と言われていますが、ブルゴーニュに関しては赤、白ともに10年の方が上なのでは、、、と最近思っています。
さて白では、シャンドン・ブリアイユが造るペルナン村の宝とも言える1級畑イル・デ・ヴェルジュレス09年。

果実味とミネラルがたっぷりの骨太な味わいは、化粧無しのすっぴんの旨さがあるような気がしました。

皆さんにも味わっていただき、印象を伺ってみたい気がします。

白のお安めの物ではシャルル・ルノワール社のシャブリ11年。

定価的には2000円はするシャブリですが、まずはこの低価格でありながら薄っぺらくないのです。

そこそこの果実味とこの村特有の石灰質土壌のニュアンスがあるので、当社で高いシャブリを買われている方々が、

全部これに代わったらどうしようと思ったほどです。


ボルドーからはポイヤック村のシャトー・クロワゼ・バージュで約50年前の1964年。

40年を過ぎたコルクの抜栓は、コルクがボロボロになっている事が多く、ちぎれたり、折れたりで緊張します。

でも今回入荷分は、同シャトーで近年コルクの打ち直しがされているので安心して抜栓出来ると思います。

状態の良い50年前のワインが、この価格では普通見つかりません。誕生年じゃなくても買うべきワインでしょう。


お安めの中では、オー・メドック地区マコー村のシャトー・ド・ジロンヴィル08年。オーナーは元銀行家で、ワインに魅せられた方。

特にプティ・ヴェルド種に愛着があるようで、通常1~2%しか使われないこの品種を10%も栽培しブレンドしています。

更に同じ村に所有する上位シャトーのベル・ヴューでは、プティ・ヴェルド種を20%も使っています。

この品種は晩熟で作付け場所を選びますが、完熟するとカベルネ種よりも豊かなタンニンを持つそうです。

ジロンヴィルも豊かな果実味とタンニンで、価格以上の満足感が楽しめます。

更にお買い得なのは、ボルドー・スペリュール規格のシャトー・デュ・ボワ・シャンタン10年。

この価格のボルドーと言えば、多くは未熟な青さがあったり、薄っぺらだったりで、なかなかお薦め出来る物は無いのが実状。

ただ、同じシャトーの09年を販売していて好評でしたので、09年完売後に10年産を1本取り寄せ試飲しました。

多分10年は薄いだろうと思って試飲をしたら、当社スタッフの皆が目を丸くしました。

「10年も美味しいじゃない!」今月の安旨・赤ワイン大賞受賞です。


南仏の赤ではギガル社のジゴンダス村と、サンタ・デュック社のラストー村で、共に07年産。

この年、南仏でまずいワインは出来ようがない天候だったそうです。

それだけに6年を経ても、まだまだダイナマイトのように強くてスパイシーな味わいがたっぷり。

箱で買ってあと数年間でも冷暗所に保管しておけば、同一ワインの熟成度を年ごとに楽しむ事も出来るでしょう。

南仏の白ではファンカリユ社が造るペイ・ドック地区のシャルドネ種11年。

温暖な産地のシャルドネ種を、タンクと樽とで発酵させた後に樽熟成させました。樽のさじ加減が上手で、誰もが「ちょっと上物の白」と思う味わい。

この価格ですから文句無く、今月の安旨・白ワイン大賞受賞です。


イタリアではコリーノが所有するバローロで筆頭の畑ジャッキーニの07年。

現代的な製法を用いたワインは、パーカー94点バローロと思って味わうと拍子抜けするほど柔らかくて今から美味しいです。

強烈なタンニンの伝統的タイプの物を20年熟成させてから飲むのもいいでしょうが、

コリーノのバローロは収穫後6年ほどでうっとりさせるだけの魅力を十分持っています。

もう1点トスカーナ州バロンチーニ社が造るサン・コロンバーノ・キャンティ・リセルヴァ09年。この価格で樽熟成24ヶ月はたいしたもんです。

私は安くても熟成したワインが好きなので、この価格でこの味わいだと二重丸を付けてしまいます。


今月、イタリアの一押しは、トスカーナ州の名門フレスコバルディ社の輸入業者が変更になるため、元の業者が在庫処分で4割近く安くなって入荷しました。

カステル・ジョコンドのロッソ・ディ・モンタルチーノ10年と、トレント地区のスパークリングワイン・ブリュット(泡・辛口)です。

赤は濃度勝負ではなく、上品で生まれも育ちも毛並みの良さを感じさせるタイプ。

一方、泡の方は凝縮した果実味ときめ細かな泡で、魅力的な表情を惜しみなく振りまいています。

共に、4割安の今がチャンスですので、お見逃しなく!


白ではサルディーニャ島のムラがヴェルメンティーノ種で造る11年産。

日焼けした石を思わせる香りと、白桃や梨の香り。味わいは凝縮した果実味がパインの様です。

同じムラの赤は、逆に北国の赤の様なチャーミングなタイプ。そして赤、白共に醸造は若い女性が行っているそうです。

南でも澄んだ印象があり、清掃や収穫後の選別などを厳格に行っている証なのでしょう。

2013年 1月

11年夏に出版された鹿取みゆき著「日本ワインガイド」のその膨大な情報量と正確さに驚きました。

さらに読んでいくと、文章全体から日本の葡萄から造った日本ワインと、生産者さんに対する作者の熱い思いが伝わってきます。

仕事柄、ワイン関係の本は多数読んでいますが、今までに類を見ないガイドブックに、私は感動し昨年は毎日のように多くのお客様にこの本をご紹介していました。
その著者、鹿取さんが12月の中旬に北斗市のワイン生産者・佐々木夫妻と共に当店にお越しになりました。

初めてお会いした鹿取さんは、気さくで、飾らず、すぅーと溶け込む自然派ワインの様な方。

当社の北道道産ワインのコーナーを見て、増毛(マシケ)のポワール(洋梨のスパークリングワイン)を手に取り「これが飲みたかった!」とすかさずチョイス。

更に店内をおもちゃ売り場に放たれた子供のように(失礼)見て回り、九州産のネオ・ジンジャエールと、英国製のキニーネ入りトニックウォーター「フィーバー・ツリー」を見つけ、バーカウンターで試飲されました。

この本の取材で回ったワイナリーは、全国で多分100軒以上でしょう。

今では、国内のワイン生産者でこの本を知らない人はいないと思いますが、出版前は初対面に近い形で現地に伺い、原料葡萄の入手先等のデリケートな問題をどうやって調べ上げたのかが不思議でした。

本の最後にある作者のプロフィールには、「東京大学教育学部卒業のフード&ワインジャーナリスト」と書かれています。

自分の通信簿には苦い思い出しかなく、回りに東大出の方はいなかったので、私は勝手に鹿取さんを高級官僚の様な方と思っていました。

でも、お会いして話をしていると、二人の男の子さんを育てながら、仕事をされている気さくなお母さんと言った感じです。

そして何か興味があると素直に質問されます。無垢な心を持った方からの質問は、答える側も誠実にお答えしたいと思ってしまうのでしょう。

鹿取さんの人柄によって引き出された回答が、たくさんの正確な情報となりこの本になったのだと思いました。

さて今月のオススメワイン。

まずはアレック・ガンバル氏が造ったブルゴーニュ規格の白10年は、村名規格のワインをブレンドした為に村名は名乗れませんが、

品質は村名規格に近いもので、ちょうど中田さんが造るルー・デュモンと近いスタンスを持つと思います。定価は3000円ですからこの価格はかなりお得です。

赤はカレのボージョレで、蔵元で10年以上忘れられていた01年産。ギャンブラー気質を持つ私ですら、発注には勇気が必要でした。

グラスに注いだオレンジ色の色調を見た時はもうダメかなぁと思いましたが、キノコや油粘土といった熟成したピノ・ノワール種の香りが広がり、

味わいには意外な程枯れた感じが少なく、もう少しはこのピークの味わいを保っていられそうな気がしました。

古酒でこの価格はあり得ませんから、古酒入門ワインとしても最適かと思います。私個人としては、これが今月1番のお気に入りです。

ボルドーからはオー・メドック地区のシャトー・ベル・ヴュー06年。近年評判のシャトーらしく、凝縮した果実味とタンニンがたっぷり。

飲まれる1時間ほど前に抜栓されるか、もう1~2年ほど熟成させると、香りも開き始めることでしょう。

南仏からはアティチュードがコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュの葡萄で造るグランド・オディアンス08年。

グルナッシュ種やシラー種からのスパイス感と、熟成香が上手く調和し始めたこの味わいでこの価格は驚きです。今月1番の安旨ワインでしょう。

そこそこの価格にはなりますが、さすがに別格だなぁと思わせたのがアルザス地方のトップ、ツィント・フンブレヒトが

ヴィンツェンハイム村のゲヴュルツトラミネール種で造る白08年と、ロワール地方サンセール村のアルフォンス・メロのサンセール村で10年産。

飲んだ印象からはアルザスが6000円、サンセールが3000円はするでしょう。共に収量を下げて得られた、凝縮感と華やかな香りが楽しめます。

シュド・ウエスト地方からはプレモンがVDQS規格サン・モン地区で造った99年産。

馴染みがないタナ種主体でカベルネ種の上品さはありませんが、力強く骨太な味わいが楽しめます。

安くてフルボディタイプがお好みの方には、ぜひお薦めします。

私の近年の好みはドイツ。モーゼル地方ボリッヒがトリッテンハイム村アポテーケ(薬局の意)畑のアウスレーゼ規格で造った何と93年産の白。

一部にコルク片が浮いている為に、半額になって入荷しました。20年近く熟成した伝統的甘口ドイツワインをこんな価格で楽しめるとは信じられません。

一方、同じドイツでもケスター・ヴォルフが造るクラシックは現代的な辛口スタイルの白。

温暖なラインヘッセン地区が得意とするシルヴァーナ種は、ふくよかな桃の果実味と穏やかな酸味をミネラル感が包み込みます。

同じドイツでも味わいのスタイルが新、旧と違いますが、共に完成度は高いお薦め品です。

食品では地元、北海道・増毛町農産加工組合が作る洋梨果汁。

果汁100%でも、濃縮還元ではなくストレート果汁は違います。瓶の底には1センチ以上沈殿物がございますが、これこそが旨みの元なのでしょう。

飲む際は瓶を振って旨みの元を混ぜてから、グラスにお注ぎください。生の果実を頬張ったような風味が口中で広がります。

フランスからはボベッティ社のショコラ各種。特にピンクペッパー・ショコラは、甘さとコショウ辛さが舌の上で対立しながら溶け合います。

マスタードやローズマリーも同様の大人のためのショコラです。

コーヒーもいいですが、ブランディと共にいただくと、おやすみ前の一時が恋しくなるでしょう。

2012年 12月

今月は別れのお話。

今年はまず3月に愛車ルノー・キャトルとの突然の別れがありました。直ぐにご機嫌が悪くなるフランス人女性のような車でしたが、今も私の心の中には少し寂しさが残っています。

そして10月末になって、7年近く当社で働いてくれた「T」君が退社する事になりました。

その後は新人の三浦君が当社に加わり、今は仕事の手順を教える方も、教わる方も手一杯の感じです。

さらに11月に入って、家内が通っている教会の「N」牧師さんが急に病気で亡くなってしまいました。

牧師さんは素晴らしい情熱と希望を持った方だったので、私も病院にお見舞いに伺い回復を願っていました。しかし11月に入って様態が急変したそうで、今も信じられませんが天に召されてしまいました。

もちろん別れがあれば、当社にとって三浦君の様な新たな出会いもあります。

なにか私にとって今年は古い殻を破る時期で、来年は新しい事に挑戦する時になるように思えて来ました。そんなわけで、来年も当社をよろしくお願いいたします。


さて今月のオススメワイン。

ベルトラン・アンブロワーズが造るオート・コート・ド・ニュイ地区の白10年。

09年のフランスは、素晴らしい天候で果実味は凝縮したのですが、ブルゴーニュ地方の白に関しては過熟となり酸味が乏しく、ぼそっとした味わいの物が多いのです。

しかし10年の白は、丁度良い気候と開花時期の天候で収量低下が起こったため、ふくよかでバランスの良いワインが多いのです。このワインはまさに10年産の良さを体感できるお手本のような味わいでした。

ダニエル・リオンが本拠地プレモー村の葡萄で造った赤は、蔵元で飲み頃まで熟成させてから出荷した04年産。

8年を経たワインは大きめのグラスに注いでいただくと、マシュルームと腐葉土の熟成香で幸せな気持ちに浸れます。味わいは04年特有の豊かなタンニンがこなれ始め、熟成したピノ・ノワール種の入門としては最適の一本だと思います。

ツィント・フンブレヒトがゲベルシュヴィール村のリースリング種で造る10年産の白。

アルザス地区でトップ評価を受ける造り手は、安価な村名付きリースリング種でも驚きの出来です。

この品種特有の鉱物っぽさは少なく、蜂蜜、桃、白ゴマを思わせる香り。果実味の凝縮が凄いのに、それ以上にミネラルと酸が豊かな為に引き締まった辛口に感じられます。アルザス好きは、強烈なこの味わいをぜひお試しください。

ダンデゾンがシラー種の古木葡萄から造る赤11年。真黒な色調、たっぷりとした果実味とスパイス感はまるで南仏の太陽を味わっているようです。安価でフルボディ・タイプがお好きな方にお勧めします。

ペットボトルに入ったグリーナー・プラネットの赤、白。南仏の有機栽培葡萄を使って、ふくよかでとてもバランスの良い味わいを持っています。

それと、このハーフサイズの瓶を取っておくと、別の飲み残したワインを移し替える際に大変重宝しますので、一度お試しあれ。


イタリアからはトッレヴェントの赤、白。葡萄品種は赤がプリミティーヴォ種、白はピノ・ビアンコ種とソーヴィニヨン・ブラン種。

赤は少し干した果実等の練れたニュアンスが感じられる、ふくよかでバランスの良いタイプ。

白は1年若いせいか香り高く、ライチやドライフラワーを感じさせます。香り付けにゲヴェルツトラミネール種を少しブレンドしているのでは?と思うほどです。

オーストラリアからはワラビークリークのシャルドネ種からの白。世界中にシャルドネ種からの白はございますが、まずはこの価格にご注目ください。

フレッシュ&フルーティでバランスの良い味わいの白がこの価格、しかも少し練れたニュアンスの感じられる09年産です。09年の次は11年産になって価格も上がってしまうので、ご興味のある方はお早めにお買い求めください。

最後は食品からです。サブロネットが造るグレープジュース。ここはアンジュ村でビオディナミ(有機栽培)を実践するワイン生産者なので、本来は赤ワイン、アンジュ・ルージュ用のカベルネ・フラン種を絞って発酵させずに少量だけ瓶詰めしました。

この品種のワインはさわやかな青さが特徴ですが、果汁の段階ではひたすら濃く甘いだけで、ミント香も、ビオディナミに多い還元香もありませんでした。